釜石大観音仲見世通りに子連れオフィス「LIFULL FaM」 空き家改修しオープン
作業デスクに子どもと並んで座り、仕事をする母親
働く母親が子どもを連れて出勤できる「子連れオフィス」が4日、釜石市大平町の釜石大観音仲見世通りに開所した。同市と東京都の不動産情報サービス業LIFULL(ライフル、井上高志社長)が結ぶ連携協定の一環で整備。テレワーク普及など働き方改革に関わる事業を行う同市のロコフィル(佐藤薫代表社員)が管理運営する。空き店舗を地域住民やボランティアの力を借りて改修。キッズスペースを備え、未就学児を持つ母親らの仕事と育児の両立を応援する。
子連れワークができるオフィス「LIFULL FaM釜石」
釜石大観音仲見世通りの空き家を改修しオープン
施設名は「LIFULL FaM(ライフル・ファム)釜石」。同通りにある木造2階建ての空き家を改修。延べ床面積は約70平方メートルで、1階は遊具などを置くキッズスペース、2階がテレワーカーの作業デスクなど配置したワークスペースで仕事や打合せなど多目的に利用することができる。
同市とライフルは今年2月に結んだ連携協定に基づき、未就学児を持つ母親らの就労支援を促進。育児しながら仕事を通じてスキル取得やキャリアアップを目指すことができる新たな働き方として、Webマーケティングなどのテレワークへの挑戦を応援する。本年度は6~8月にテレワーカー育成研修を実施。修了生で、ロコフィルスタッフとして登録した人などの施設利用を想定する。
関係者がテープカットし、開所を祝った
この日、現地で開所式があり、関係者がテープカットで祝った。野田武則市長は「人口減に歯止めをかけるため、地元で暮らしながら、やりたい仕事ができるまちを目指したい。若者、子育て中の女性たちが活躍する拠点を温かい目で見守ってほしい」と願った。
式の後には内覧会も。この空き家は、同通りでシェアオフィスを運営しながら、にぎわい再生と交流の場づくりに取り組んでいる宮崎達也さん(50)が、不動産賃貸事業を行う会社を新たに立ち上げて取得した。床の張り替えや壁塗りなど改修作業の大部分を地域住民や市内外の企業ボランティアの協力を得て進めた。階段には地元産スギ材を使い、木のぬくもりを感じてもらえるよう工夫。透かしの装飾が施された欄間(らんま)など和の雰囲気を残しつつ、温かみのある空間を作り上げた。
キッズスペースを備えたテレワークオフィスを内覧する関係者
作業や打ち合わせなど多目的に利用できるワークスペース
昔ながらの和の風情を残しつつ、落ち着いて仕事ができる環境を整えた
研修の修了生で、5歳と2歳の娘を持つ源太沢町の平松寿倖(ひさこ)さん(32)は「託児付きで使える施設なら利用し、少しずつ仕事をしてみたい」と前向きに捉えた。ロコフィルから仕事の紹介を受け、「ママレポーター」として事業所紹介の記事作成を受注。今後もこうした情報通信技術(ICT)を活用し時間や場所の制約を受けず、柔軟に働く形を続けたいと考えていて、「作業している時に託児してもらえたり、子どもを遊ばせるスペースがあれば集中できる。同じ年代の子を持つ人たちとのつながりを持てるのもうれしい」と歓迎した。
保育士や子育て支援員らが見守る体制も用意する
ライフルは、福井県鯖江市や島根県雲南市など全国にキッズスペース付きの拠点を開設しており、釜石は5カ所目。ライフルファム事業責任者の秋庭麻衣さんは「一人で仕事する日が続くとストレスを抱える。週に1、2回集まって話し合うコミュニケーションの場があることで、日々のモチベーションアップにもつながる」と利点を強調した。空き家の再生という地域と作り上げた施設にも手応えを実感。テレワーカーを目指す講座やイベントなどの開催を見据え、「気軽に来てもらえるような地域に開かれた場所にしたい」と力を込めた。
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