展示室一新! 橋野鉄鉱山インフォセンター 世界遺産価値より分かりやすく 大型スクリーンで遺産巡りも

展示を更新した橋野鉄鉱山インフォメーションセンター。「明治日本の産業革命遺産」の理解が深まる=8日
釜石市橋野町の世界遺産「橋野鉄鉱山」のインフォメーションセンターが、新たな展示で生まれ変わった。「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」(8県11市23資産)の構成資産の一つとして、2015年に世界文化遺産登録されている同鉄鉱山。リニューアルした展示室には遺産全体への理解が深まる共通展示(パネル、映像)を導入。橋野鉄鉱山の解説パネルも内容がより分かりやすく整理され、登録後の発掘調査の成果なども盛り込まれた。映像は従来の5倍の大きさの大型スクリーンで見ることができる。世界遺産登録日の7月8日から公開している。
8日は関係者約20人が出席して、リニューアルオープンのセレモニーが行われた。髙橋勝教育長が小野共市長のあいさつを代読。「これを機に橋野鉄鉱山の世界遺産価値の理解増進を図れれば。観光、生涯学習、学校教育とも連携し、鉄の歴史と文化を生かしたまちづくりに一層取り組む」と決意を述べた。代表者のテープカットで新展示室の完成を祝った。

セレモニーに出席した市の教育関係者、工事監理・施工業者ら
約80平方メートルの展示室は視覚的に大きく変わった。入ってすぐ左側には「明治日本の産業革命遺産」の共通パネルが並ぶ。全構成資産が一貫した説明で全体の世界遺産価値を示すもので、同遺産の中の橋野鉄鉱山の位置付けも分かる。

明治日本の産業革命遺産の共通展示。23資産で構成する遺産の全体像が分かる

日本の近代化を推し進めた3つの産業分野を説明するパネル
対面には、共通パネルとデザインを合わせた橋野鉄鉱山のパネルを配置。三陸ジオパークのジオサイトでもあることから地質の説明も入れ、同鉄鉱山の歴史、資産を構成する「採掘場、運搬路、高炉場」跡、高炉のしくみ・特徴、製品の輸送経路まで、写真と説明文で分かりやすく解説する。高炉場跡で計画的に進められている発掘調査の成果など、登録後の10年間で得られた知見も盛り込む。パネルの下には専門用語の解説も。

橋野鉄鉱山を解説するパネルも充実。山の緑を基調としたデザイン

高炉場跡の発掘調査の成果(写真右下)も盛り込んだ展示。パネルの下には専門用語の解説が添えられる(同左下)
パネルは日本語と英語で表記され、中国語、韓国語はQRコードで説明文を読み取れるよう準備中(8月末までに導入)。多言語表示で外国人客の見学をサポートする。
映像は展示室左奥に設置された縦約1.2メートル、横約3メートルの大型スクリーンで見ることができる。明治日本の産業革命遺産世界遺産協議会(事務局:鹿児島県)が作成した共通映像システムで、23構成資産の解説を視聴可能。釜石独自のものとして、待機画面に市郷土資料館(鈴子町)で展示される同鉄鉱山高炉場跡のジオラマを採用したほか、鉄鉱山操業時(1860年代前半)に描かれた絵巻「紙本両鉄鉱山御山内並高炉之図(しほんりょうてっこうざんおやまうちならびにこうろのず)」(市立鉄の歴史館所蔵)のスクロール画像、岩手県の3世界遺産の紹介画像も盛り込む。タッチパネル操作で見学者が見たいものを選択できる。

従来の5倍の画面サイズで映像が見られる大型スクリーン。写真画像は待機画面の「橋野鉄鉱山高炉場跡のジオラマ」

鉄鉱山稼働時の様子が描かれた絵巻はスクロール画像で。本物は12月1日の「鉄の記念日」に合わせ鉄の歴史館で毎年公開

タッチパネル操作で全23資産の紹介映像を見ることができる。産業革命遺産巡りをお気軽に!
同センターは2013年にオープン。2年後の15年、世界遺産登録決定に伴う展示リニューアルはあったが、今回のような大規模更新は初めて。センター施設や史跡周辺の維持、管理業務を担う橋野町振興協議会の菊池郁夫会長は「オープンから13年が経過し、従来の展示では飽きがきている状況もあった。今回のリニューアルでまた多くのお客さまが来てくれることを願う。市とともに各種イベントも開催しながら誘客に努めていきたい」と話した。
「明治日本の産業革命遺産」の共通展示整備は世界遺産登録時に勧告され、内閣官房の整備計画により2020年度以降、8つのエリアごとに順次導入されてきた。釜石では24年度に設計業務を行い、本年2月から工事が進められてきた。総事業費は約4千万円。

橋野鉄鉱山の紹介映像。普段は非公開の「採掘場跡」も映像で(写真下)

セレモニー終了後、世界遺産室の森一欽室長が新たな展示について出席者に説明した
市教委文化財課世界遺産室の森一欽室長は「(共通展示の導入で)世界遺産全体の中での橋野鉄鉱山の位置付けが明確になった。大画面のスクリーンで各地の資産も見られる。他エリアと連携しながら明治日本の産業革命遺産の価値を発信していければ」と話す。

釜石新聞NewS
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