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沈みがちな地域に元気を、感謝のハーモニー〜釜石高音楽部、宮古高とコラボ 絆深める

沈みがちな地域に元気を、感謝のハーモニー〜釜石高音楽部、宮古高とコラボ 絆深める

釜石高、、宮古高の部員が心をひとつに歌い上げた「願い〜震災を乗り越えて〜」=アンコールで

釜石高、、宮古高の部員が心をひとつに歌い上げた「願い〜震災を乗り越えて〜」=アンコールで

 

 釜石高音楽部(菊池風花部長、9人)の第6回定期演奏会は7月26日、釜石市民ホールTETTOで開かれた。新型コロナウイルス感染拡大でコンクールなど各種発表の場が失われてきた同部にとって、本年度初の演奏会。部員らの思いが込められたステージは、コロナ禍で気持ちが沈みがちな地域住民に明日への元気をもたらした。

 

 4部構成のステージ。1部は2、3年生7人が無伴奏女声合唱曲集「なみだうた」より4曲を披露。昨年度のアンサンブルコンテスト県大会で歌い、銀賞を受賞した曲で、アカペラの美しい響きで観客を魅了した。

 

 2部は古くから歌い継がれる日本のわらべうたや唱歌。初舞台となった1年生男子2人を加え、「通りゃんせ」「ふるさと」など5曲を大人のアレンジで聞かせた。

 

 休憩後の後半は、友情出演した宮古高音楽部(7人)のステージから。震災後、被災地を勇気づけてきた「花は咲く」「糸」を歌い、沿岸住民の心の絆を深めた。

 

 3部は釜石高の部員がお気に入りの1曲をグループに分かれ歌唱。「勇気100%」「待つわ」などを振り付きで披露したほか、河内萌々子さん(2年)のソロを交えた英語の楽曲も届けた。

 

 4部はディズニーセレクション。「Let It Go~ありのままで~」「アンダー・ザ・シー」など人気の映画曲をそろえ、歌の前には物語の一場面を演じて楽しませた。

 

 3部合唱の豊かなハーモニー、工夫を凝らしたステージに約150人の観客から惜しみない拍手が送られた。アンコールでは2校の部員が「願い~震災を乗り越えて~」を手話付きで歌い、感動のフィナーレを迎えた。

 

 宮古高の1年生部員の母大澤美智子さん(48)は、初めて聞く釜石高の演奏に「男声が入ると幅が広がるというか、すごく素敵でした。エネルギッシュなパフォーマンスもいいですね。子どもたちの頑張りは親にも力をくれる」と喜びを表した。

 

 釜石高の菊池部長は本年度唯一の3年生部員。「課外とかで練習に行けないことも多かったが、2年生が率先して動いてくれた。こうして演奏会ができて感謝しかない」と思い出のステージを締めくくった。

 

 全日本合唱コンクールが中止となるも、落ち込む気持ちを奮い立たせ、定演を成功させた同部。アルトパートに加わった伊藤雄基君(1年)は「歌には人を喜ばせたり、気持ちを回復させたりする力がある。今日は自分も先輩たちの歌声に感動し、涙が出そうになった。音楽ってすごい」と実感を込めた。

 

(復興釜石新聞 2020年8月1日発行 第897号より)

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部員らの思いが込められた演奏を会場一体となって楽しんだ

コロナに負けず 迫力のブラス〜釜石高校吹奏楽部、演奏の喜びかみしめ

部員らの思いが込められた演奏を会場一体となって楽しんだ

部員らの思いが込められた演奏を会場一体となって楽しんだ

 

 釜石高吹奏楽部(高木李子部長、部員26人)の第87回定期演奏会は18日、釜石市大町の市民ホールTETTOで開かれた。新型コロナウイルス感染拡大の影響でコンクールが中止。練習時間も制限されるなど、例年とは違う状況下で迎えた演奏会。部員らは観客の前で演奏できる喜びを一層かみしめ、約270人に精いっぱいのステージを届けた。

 

 入場者の体温チェック、アルコール消毒、マスク着用など感染防止対策を徹底して開催。会場のホールAは客席最前列を使用せず、一席ずつ間隔を空け座ってもらう形で、通常の約半分420席のみ提供。〝密〟の回避に努めた。

 

 今年の定演のテーマは「青春~この夏に捧ぐ~」。1部は吹奏楽の名曲を中心に3曲を演奏した。今年のコンクールで演奏予定だった「マードックからの最後の手紙」は、豪華客船「タイタニック号」の沈没事件をモチーフにした曲。演奏中に、釜石高で古くに使われた始業開始を告げるハンドベルを楽器として用いた。

 

 2部はドラマやアニメの話題曲など5曲で、中には部員が編曲した作品も。前川真心君(2年)は大人気アニメ「鬼滅の刃」のオープニング曲「紅蓮華」を、川前優愛さん(3年)はディズニーメドレーを手がけ、迫力の吹奏楽サウンドで魅了した。打楽器(マリンバ)二重奏、サクソフォン四重奏のアンサンブルも聞かせた。

 

 例年の3部構成から規模を縮小した形となったが、部員らの努力が光るステージに客席から大きな拍手が送られた。

 

 同定演は久しぶりという甲子町の女性(67)は「感動で涙が出た。練習も苦労したんでしょうね。コロナや大雨災害のニュースでストレスもいっぱいだったが、今日は元気をもらった感じ」と喜びの笑顔。市民吹奏楽団で活動する平田の多田由佳さん(67)は「こうして演奏会ができるようになってきたのはうれしいこと。高校生たちも頑張っている。自分たちも8月2日のコンサートに向け力を注ぎたい」とバトンを受け継いだ。

 

 同部はコロナ対策で休校となった3月は全く活動ができず、新年度に入ってから再開。1年生10人を迎えスタートした矢先、本年度の全日本吹奏楽コンクールの中止が発表された。目標の一つを失い意気消沈するも、定演で良いものを届けたいと、限られた練習時間の中で懸命に取り組んできた。

 

 高木部長(3年)は「1年生を中心に基礎力を上げるのに苦労した。練習通りにいかない面もあったが、みんなで力を合わせ終われたのは何より」と充実の表情。編曲に加え、初めて指揮も担当した前川君は「何とか仕上げて発表できた。演奏を率いる立場になって、広い視野の必要性など大変さを感じた」と貴重な経験を成長につなげた様子。

 

 同部は昨年度のコンクールで19年ぶりの東北大会出場を果たした。今年の挑戦はかなわなかったが、前川君は「今のマイナスな状況をプラスにとって、個々の基礎固めなどをしながら高みを目指していきたい」と、次年度への精進を誓った。

 

(復興釜石新聞 2020年7月25日発行 第896号より)

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看板づくりに取り組んだ子どもたち

鵜住居「いのちをつなぐ未来館」、開・閉館知らせる看板作り 施設をより身近に

看板づくりに取り組んだ子どもたち

看板づくりに取り組んだ子どもたち

 

 釜石市の「かまいしDMC」が指定管理者として運営する鵜住居町の伝承施設「いのちをつなぐ未来館」は、地元の子どもたちの協力を得て、開館・閉館を知らせる看板を製作している。身近な風景を表現し、分かりやすさを重視。夏休み前までに完成させる考えだ。

 

 未来館ではA3サイズの紙に印刷しラミネート加工したものを掲げて開館、閉館を示している。来館者から多く聞かれたのは「開いているのか閉まっているのか、分かりづらい」との声。施設の利用しやすさ向上のため、今回の看板づくりを企画した。

 

 ここに伝承施設はあるが、地域には東日本大震災を知らない子どもが増えている―。伝える活動の課題の一つと捉えているのは、未来館スタッフの川崎杏樹(あき)さん(24)。製作活動を通じ、施設を訪れるきっかけに、より身近に感じてもらいたいと、子どもたちの力を借りることにした。

 

 鵜住居地区で放課後子ども教室を開いている一般社団法人三陸ひとつなぎ自然学校(伊藤聡代表理事)の協力で、6月下旬に製作を始めた。3回目の活動は7月9日、鵜住居公民館川目分館で実施。鵜住居小児童4人が参加した。

 

 現在進行するのは「CLOSE(閉館)」を知らせる看板。青い海と空をテーマにした画を描き、砂浜は根浜海岸の砂や貝殻などを使って表現している。

 

 川崎心花(ここな)さん(2年)は「色を作ったり、貝殻を貼って楽しかった。かわいいのができた」と満足そうだった。

 

 釜石産のサクラなどを加工した板(縦86センチ、横42センチ、厚さ約5ミリ)を使用。釜石地方森林組合が提供した。

 

 今後、「OPEN(開館)」も製作。テーマは山や森で、緑や茶で色づけし、葉っぱや木の実などを使って自然の豊かさを表する。

 

 川崎さんは「開館中かそうでないか、文字だけでなく、色でも区別できるよう工夫してもらった。作った看板がどんな風に活用されるか、楽しみに来てもらえたら」と期待する。

 

 未来館では地域の大人たちにも製作協力を依頼。近くにある復興住宅入居者らが「何か手伝いたい」と望んでいることを知ったからで、鵜住居地区生活応援センターと連携し活動を計画している。

 

(復興釜石新聞 2020年7月18日発行 第895号より)

 

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安全と感染症対策を組み合わせた標語に対応したポスターを描いた児童が名誉署員に

「新しい生活様式」を標語に、子どもらの視点でアピール〜釜石警察署と上中島児童館が連携企画

安全と感染症対策を組み合わせた標語に対応したポスターを描いた児童が名誉署員に

安全と感染症対策を組み合わせた標語に対応したポスターを描いた児童が名誉署員に

 

 新型コロナウイルス対策の「新しい生活様式」の定着が進む中、子どもたちの視点で安全を考える標語・図画展が6月いっぱい、釜石市港町のイオンタウン釜石2階のイベントスペースで開かれている。釜石警察署(仲谷千春署長)と市立上中島児童館(佐藤悦男館長、登録児童30人)が連携し、「現在の防犯と安全課題」をアピールしている。

 

 釜石署は感染症対策が日常化したことを受け、治安維持の必要性を市民に伝える広報活動を企画。治安課題と感染症対策を意識した標語を選び、同署庁舎などの見学体験で交流があった同児童館を利用する双葉小児童が作画を引き受けた。

 

 色鉛筆で完成した作品は6点。4日、児童館の女子児童3人らが会場での開会式に参加した。仲谷署長が「名誉釜石警察署員賞」を贈り、協力に感謝。「難しいテーマにもかかわらず、秀作ぞろい。多くの住民に、この絵を見て、感染症対策に少しでも明るく、優しい気持ちで取り組むよう願う」と語った。

 

 作品のテーマは、「交通安全」が▽車間距離の確保▽県外への移動自粛▽速度超過への警戒。「生活安全」では▽外出時はカギ掛けとマスクの着用▽手指消毒の徹底と違法薬物の追放▽感染症予防とテロ対策への協力。ラグビーワールドカップ(W杯)、ラグビーボール、市のキャラクター「かまリン」をアレンジして「釜石」を強調する作品もある。

 

 かまリンをモチーフにした小山幸亜さん(3年)は「お出かけはマスクと鍵かけ忘れずに」の標語に挑戦。本来は左手に持つ市の花ハマユリをキーに変え、マスクにはラグビーボールを描き込んだ。昨年秋のW杯釜石会場では全校でフィジー対ウルグアイ戦を観戦、応援しており、マスクにはラグビー会場のイメージも持たせた。

 

 中村優美さん(5年)は「人も車も距離を確認して安全に」のテーマを選んだ。2人の子どもが感染予防の安全距離を保ち、下段には3台の縦列車の中央にバツ印を入れて「安全な車間距離の保持」をアピールした。

 

 黒澤菜々子さん(5年)は「見てくれるみんなに伝わるよう工夫し、協力して描いた。感染対策や、防犯を意識してもらえばいい」と期待した。

 

 日常の学校生活、家庭生活でも以前にはなかった規制や注意事項に囲まれる児童。中村さんは「みんなの命が大切だから、できることをする。家族で県外にも行かない」。黒澤さんは「今は我慢して、後でたくさん楽しむ」と笑顔を見せた。

 

(復興釜石新聞 2020年6月20日発行 第891号より)

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根浜に植える海浜植物の種をまく釜石東中の2年生

根浜海岸再生へ活動、釜石東中学校〜今秋の植栽へ種まき、地元実行委と連携

根浜に植える海浜植物の種をまく釜石東中の2年生

根浜に植える海浜植物の種をまく釜石東中の2年生

 

 震災の津波で減少した釜石市鵜住居町根浜海岸の海浜植物を再生させる取り組みが今年もスタート。種から育てた苗を現地に植える活動に協力する釜石東中(米慎司校長、生徒107人)で17日、同海岸の植生を学ぶ座学と種まきが行われ、1、2年生68人が地元の原風景復活に意欲を高めた。

 

 同校では、震災後の海辺環境再生へ官民で取り組む根浜海岸林再生実行委(前川昭七会長)と連携し、2018年から地元由来の海浜植物を育て植え戻す活動に着手。本年度初回となったこの日は、1年生が座学、2年生が種まきを行った。

 

 座学の講師は、震災後、県内海岸の植生調査を行ってきた県立大総合政策学部の島田直明准教授(植生学、景観生態学)。震災の津波による砂浜の変化、海浜植物への影響などを説明し、根浜の海岸林、海浜植生の問題改善策を示した。

 

 県南部の海岸は北部に比べ、地盤沈降による砂浜の減少面積が大きく、海浜植物の種類も少ない。そんな中でも、砂浜が残った片岸海岸と震災前隣接していた鵜住居川旧河口付近は13種の海浜植物が育っており、県南の植生保全を進める上で重要な場所とされる。また、根浜海岸は被災してもマツ林が残り、「白砂青松」が見られる県内唯一の海岸として、その希少性が高まっている。

 

 島田准教授は津波で激減した海浜植物を再び根浜に取り戻す方策として、防潮堤とマツ林の境界スペースに砂を投入(16年県海岸林植栽事業)し、地元採取の種から育てた苗を植える活動を紹介。北側の林には、同様に育てたマツ苗を補植することも明かし、生徒らの協力を求めた。

 

 この後、昨夏、片岸海岸で採取したハマヒルガオ(200粒)、ハマエンドウ(100粒)の種を育苗用のポットに植え付け。発芽を促すため、紙ヤスリや爪切りで種の表面に傷を付ける下準備も体験した。島田准教授らが昨秋、プランターに種まきし、発芽したケカモノハシをポットに植え替える作業も行った。種は2~3週間で発芽し、秋には約10~15センチに成長するという。

 

片岸海岸に自生するハマヒルガオ。根浜での復活に期待!

片岸海岸に自生するハマヒルガオ。根浜での復活に期待!

 

 昨年の座学を経て、今年は種まきを行った佐々木凜さん(2年)は「根浜のような環境の海岸は県内でも少ないので大切にしていきたい。自分たちが率先して活動するのも意義あること。水の管理などをして、きれいな花が咲くよう育てたい」と話した。

 

 同実行委事務局、NPO法人環境パートナーシップいわて(盛岡市)の佐々木明宏専務理事は「釜石の人たちは地元の自然を守ろうという思いが強い。子どもたちの活動は地域の元気の源。豊かな生態系に学びを深め、大事にする心を次の世代につないでいってほしい」と願った。

 

 釜石東中は来月8日に根浜の植栽地の環境整備を全校生徒で実施。学校で育てた苗は10月に2年生が現地に植える予定。

 

(復興釜石新聞 2020年6月20日発行 第891号より)

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新緑をバックにクリスタルボウルの心地良い音色を響かせる佐々木桐子さん

新緑に響くクリスタルボウル、心癒やす澄んだ音色〜佐々木桐子さん、初の公開演奏

新緑をバックにクリスタルボウルの心地良い音色を響かせる佐々木桐子さん

新緑をバックにクリスタルボウルの心地良い音色を響かせる佐々木桐子さん

 

 水晶でできたヒーリング効果の高い楽器「クリスタルボウル」の演奏会が5月30日、釜石市のふれあい小川産直で開かれた。演奏したのは、中小川在住の佐々木桐子さん(55)。同楽器に魅せられ、1年ほど前から技術を磨く佐々木さんが公の場で演奏するのは初めて。新緑や小川のせせらぎ、鳥のさえずりが心地良い屋外空間で、心身を癒やす澄んだ音色を響かせた。

 

 この楽器は粉砕した水晶をさまざまな大きさの型に入れ、高温で溶解し成型されたもので、仏具のおりんのような形状。音階も設定されている。音を出すマレット(ばち)はスエード、シリコン、ゴム素材があり、円形のふちをたたいたりこすったりすることで鐘のような音が響く。1970年代に米国で生まれ、日本には80年代に持ち込まれた。

 

 佐々木さんは現在、師事する宮城県仙台市の遠藤園子さんの演奏会で初めて同楽器に出会い、感動と衝撃を受けた。何度か生演奏を聞くうちに「自分もやってみたい」との思いが膨らみ、遠藤さんのレッスンに通うように。これまで内輪での演奏会は経験があるが、今回は念願かない、一般客向けの野外演奏会が実現した。

 

 佐々木さんの演奏スタイルは、その場の雰囲気に合わせた即興演奏。「曲を奏でるというよりは和音を楽しむ感覚」と、3種のマレットを操り豊かな音の世界を繰り広げる。

 

 クリスタルボウルから発せられる音(波動)はリラックス効果があり、肉体的疲労や精神的ストレスの軽減に役立つとされる。人の体は70%が水分。波動が体内の水分を振動させ、めぐりを良くするのではとの説もあり、体験者には不眠症や肩凝りが治ったという人もいるという。

 

 この日、演奏を聞いた人からは「体の力が抜けるよう。気持ち良かった」、「いいリラクゼーション」、「体の中から悪いものが流れる感じ」などの声が聞かれた。

 

 佐々木さんは自身が初めて演奏を聞いた時の様子を「緊張している脳が直接もみほぐされていくような感覚」と表現。自分で演奏する時も「1人だと、うとうとすることも」。外部での初演奏会に「質問もいただき、手応えを感じた。いいロケーションの中で自然と一体となって演奏できた」と喜んだ。

 

 同演奏会は、7日にも甲子町洞泉の「陽子の庭」で開かれた。

 

(復興釜石新聞 2020年6月13日発行 第890号より)

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小山さん(右から3人目)のサポートを受けながらみそづくりに取り組む釜石小児童

伝統の味を次世代へ、釜石小児童がみそづくり体験〜発酵食品の免疫力に注目

小山さん(右から3人目)のサポートを受けながらみそづくりに取り組む釜石小児童

小山さん(右から3人目)のサポートを受けながらみそづくりに取り組む釜石小児童

 

 釜石市大渡町のみそ、しょうゆ製造販売業、藤勇醸造のみそづくり教室が5月28日、釜石小(及川靖浩校長、児童117人)で開かれ、4年生の児童15人が煮た大豆をつぶすなど作業に取り組んだ。

 

 同社専務で「みそソムリエ」の小山和宏さん(55)が講師を務めた。児童は、みその始まりや種類、発酵について学んだあと、県産の大豆を使って米みそづくりを体験。ミンチ機で煮豆をつぶし、米こうじや塩などを加えて混ぜ、よくこねて球状の「みそ玉」を作って、たるに入れた。

 

 4年生は今回、地域の産業を学ぶ総合学習の一環でみそづくりに挑戦した。白野真心(まみ)さんは「教室に広がっていた煮た大豆の香りが少しずつ変化するのを感じた。みそになるまでは大変そうだなと思ったけど、楽しくできた」とにっこり。出来上がりへの期待感を聞くと、「絶対おいしい」と、友達と声をそろえた。

 

 同社では食育や発酵食品に興味を持ってもらおうと、4年前から同様の教室を開いている。2013年に和食がユネスコ無形文化遺産に登録され、健康志向と相まって発酵食品への関心が高まっていると小山さん。現在の新型コロナウイルス感染症の影響で、「腸内環境を整える発酵食品が免疫力の維持、向上につながるとされ、注目されている」と加える。

 

 手づくりみそは同社で発酵させ、来年2月ごろに児童の元に届ける予定。小山さんは「伝統の味に慣れ親しんでもらい、世代をつなげていきたい」と思いを話した。

 

(復興釜石新聞 2020年6月6日発行 第889号より)

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橋野鉄鉱山見学会を開催します

橋野鉄鉱山見学会を開催します【※募集終了】

日時

2020年7月18日(土)9時から12時

集合場所

橋野鉄鉱山インフォメーションセンター(9時までにお集まりください)

対象

体力に自信のある人

定員

20人

参加費

500円(保険料・資料代など)

内容

非公開の採掘場跡、運搬路跡を含む見学会です。
(※6/25(木)に誤字について修正を行いました。運搬「炉」ではなく正しくは運搬「路」でした。大変申し訳ありませんでした。)
高炉場跡から採掘場跡を現地解説しながら徒歩にて見学します。
(片道約3km・高低差250m)

その他

・動きやすく、汚れてもいい服装で参加願います。
・水分は多めにご用意ください。
なお、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、以下の取組みへのご協力をお願いいたします。
受付時に、非接触型の体温計で検温を実施いたします。
・37.5度以上の発熱や風邪症状のある方、体調に不安のある方はご参加をご遠慮ください。

申し込み

募集は終了しました
7月14日(火)までに市世界遺産課へ電話、FAX、メールでお申し込みください。
FAX、メールでお申込みする際は(①参加者氏名 ②住所 ③電話番号)の記載をお願いいたします。
※一家族でお申込みする場合は、参加者全員の名前の記載をお願いいたします。
電話番号 :0193-22-8846(平日のみ)
FAX番号:0193-24-3629
メールアドレス:hashino★city.kamaishi.iwate.jp ★を@に変更して送信してください(6月15日更新)

地図


橋野鉄鉱山インフォメーションセンター

この記事に関するお問い合わせ
文化スポーツ部 世界遺産課 管理係
〒0026-0002 岩手県釜石市大平町3丁目12番7号
電話:0193-22-8846 / Fax 0193-24-3629 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2020060500058/
釜石市

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釜石市公式サイトと連携し、縁とらんすがピックアップした記事を掲載しています。記事の内容に関するお問い合わせは、各記事の担当窓口までお問い合わせください。
3年生以上の児童が、にぎやかに田植え=14日、白山小

学校田に児童らの声弾む〜白山小学校で40回目の田植え

3年生以上の児童が、にぎやかに田植え=14日、白山小

3年生以上の児童が、にぎやかに田植え=14日、白山小

 

 釜石市嬉石町の敷地内に約1アールの学校田がある白山小(熊谷直樹校長、児童37人)で14日、児童による田植えが行われた。青空に薫風が吹き渡る中、3年生以上の25人が田に踏み込み、もち米の苗を植えた。稲刈りは10月を見込み、12月には餅つきして全員で味わう。

 

 熊谷校長は「稲作体験を通じて自然の恵みや農家の仕事を学び、たくさんの疑問を探してほしい」と児童に呼び掛けた。大船渡農業改良普及センターの柄澤真梨歩技師が田植えの方法を説明。6年生が手本を示し、低学年が続いた。同センターの昆悦朗上席指導員は「初めての児童が多い割には、しっかり植えられた」と感心した。

 

 3年の伊藤夢愛來さんは「田んぼはニュルニュルしたけど、気持ちよかった。お米がいっぱいとれればいい」と声を弾ませた。苗(ヒメノモチ)の提供を続ける甲子町上小川の農業藤井茂さん(80)は「苗は順調に育った。子どもがいっぱいの田植えも面白い」と目を細めた。

 

 同校の水田は1979年度に開かれ、校舎改築のため2年間の休止を経て今年で通算40回目の田植えとなった。当初から5年生の体験学習に位置づけてきたが、児童の減少による学級編成の複式化などが常態化。今年は新型コロナウイルスの問題も加わり、全校児童が参加するよう変更した。

 

 4月以降の除草、施肥、田起こし、代かきなどの作業の中で、1・2年(複式)は土ならし、小石拾い、3・4年(同)は田起こし、水入れを担当した。水田づくりをサポートする成澤幹雄さん(80)らは畔(あぜ)の改良を進め、周囲の除草を徹底。土をならし、水田を縁取る「くろ」を整備した。

 

 稲刈りと脱穀は5・6年(いずれも単式)を中心に行い、収穫祭では餅つきして水田学習を締めくくる。

 

 昨年度の収量は22キロだった。サポーターらは「30キロ」の豊作を期待している。

 

(復興釜石新聞 2020年5月16日発行 第887号より)

 

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完成を報告した佐野よりこさん(左から2人目)

古里の復興後押し民謡集、佐野よりこさんCD制作〜「天までとどけ」と願い込め、ネットで資金募り 一般販売も

完成を報告した佐野よりこさん(左から2人目)

完成を報告した佐野よりこさん(左から2人目)

 

 釜石市鵜住居町出身の民謡歌手、佐野よりこさん(49)=盛岡市在住=が、東日本大震災の教訓を伝える民謡CD制作のため、インターネットで資金を募っていたクラウドファンディングは目標額を達し、録音が実現した。3日、完成したCD「佐野よりこ民謡集~天までとどけ」を持参し、野田武則市長を訪ね、「支えてくれた皆さんに感謝。心に潤いを与える音楽で復興への願いと元気を届けられたらうれしい」と思いを話した。

 

 佐野さんにとって初のCD化。外山節や南部牛追唄など全国大会で優勝した際に披露した岩手の民謡を中心に13曲を収録した。

 

自身初のCD「佐野よりこ民謡集」。古里への思い、震災の教訓を歌の力に込めた

自身初のCD「佐野よりこ民謡集」。古里への思い、震災の教訓を歌の力に込めた

 

 収録曲の一つ「新・津波てんでんこ」は福島県の民謡である新相馬節の替え歌として佐野さん自らが作詞している。

 

 ♪頃は三月枕を濡(ぬ)らす
 逢(あ)えぬ我が子を夢に見る
 黒い波来たあの日を想い
 消えぬ悲しみ伝えゆく
 早く逃げろと教えてくれた
 願い忘れずてんでんこ

 

 残された家族の悲しみや津波の恐ろしさを訴える。

 

 古里の“ソウルソング”「釜石小唄」「釜石浜唄」も収録。釜石小唄は1950年の発売以来、70年ぶりの再録という。

 

 佐野さんは震災の津波で実家も、大切な両親も亡くした経験から制作を決意。古くから地域の生活に根ざした民謡を通して震災の教訓を届け、語り継ぐためプロジェクトを立ち上げ、クラウドファンディングに挑戦した。

 

 昨年11月7日から今年1月16日まで募り、目標額300万円を上回る400万円超が集まった。団体・企業を含め247人が応援。地元釜石や県内を中心に、宮城、東京、福井などからも寄せられたという。

 

 市役所を訪れたのは佐野さんと、釜石観光物産協会の澤田政男会長、和田利男事務局長の3人。釜石観光物産親善大使も務める佐野さんが取り組みを報告し、「歌い続けることで両親の思いもつないでいける気がする。つらいことだけではない、明るい部分も発信していきたい」と力を込めた。

 

 野田市長は「熱の込もった歌声。釜石の宝。聴くたびに涙が出る。歴史や文化を継承してほしい」と今後の活躍を期待した。

 

 CDは1800枚制作。支援者に返礼品として贈るほか、一般販売される。市内では釜石観光総合案内所、かまいし特産品店(シープラザ釜石内)、道の駅釜石仙人峠、釜石情報交流センター、野村商店(鵜の郷交流館内)、桑畑書店など。県内では東山堂でも取り扱い、インターネットでも購入できる。

 

 価格は2100円(税抜き)。収益の一部は釜石市の災害義援金として寄付する予定だ。

 

 問い合わせは釜石観光総合案内所(電話0193・22・5835)へ。

 

(復興釜石新聞 2020年4月11日発行 第883号より)

 

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古き良き時代「昭和」の歌で、懐かしい日々を思い起こす心温まる時間を届けた「北海道歌旅座」

被災地励ます「昭和の歌」熱演に手拍子、アンコール〜「一緒に歌えて最高」北海道歌旅座、全国に歌声届けて11年

古き良き時代「昭和」の歌で、懐かしい日々を思い起こす心温まる時間を届けた「北海道歌旅座」

古き良き時代「昭和」の歌で、懐かしい日々を思い起こす心温まる時間を届けた「北海道歌旅座」

 

 北海道札幌市を拠点に全国各地に歌声を届ける「北海道歌旅座」の公演が2月29日、釜石市大町の市民ホールTETTOで開かれた。昭和の歌コンサート「愛の讃歌」と題した公演に約130人が集まり、懐かしの名曲とパワフルなステージにたくさんの笑顔を広げた。

 

 一座のメンバー5人は全員が北海道出身。ピアノの弾き語り、作詞・作曲も手がけるボーカルの吉田淳子さん、バイオリンの高杉奈梨子さん、「ザ・サーモンズ」としてコーラスや打楽器、ギターなどを担当する佐久間千絵さん、有田秀哉さん、司会太郎さんで結成する。

 

 初の釜石公演は2部構成。1部は吉田さんと高杉さんの「荒城の月・月光メドレー」の演奏で幕開け。昭和20~60年代の流行歌が続いた。「リンゴの歌」「いつでも夢を」「二人でお酒を」「昭和枯れすすき」「お久しぶりね」「氷点」などを、弾き語りやデュエット、バイオリンの独奏を交えて披露。背後には自然や時代を象徴するイメージ映像、歌詞が映し出され、観客は歌を口ずさみ、手拍子を取りながら楽しんだ。

 

 2部は、吉田さんが定年退職した父への思いを歌にしたオリジナル曲「重ね日」でスタート。後半は5人全員が登場。バックダンスが花を添え、「イヨマンテの夜」「真赤な太陽」と続き、昭和に人気を博した歌声喫茶を模して「青い山脈」「明日があるさ」などで、会場一体となって盛り上がった。時にエネルギッシュに、時にしっとりと歌い上げるステージは観客を魅了し、熱烈なアンコールに2曲で応えた。

 

 平田の福井宏さん(77)は「やっぱり昔の歌はいいね。当時のいろいろなことが思い出される。学生時代のことから何からね」と顔をほころばせた。

 

 姉妹で足を運んだ大渡町の藤井早苗さん(84)、野田町の松田纓子(ようこ)さん(81)は新型コロナウイルスの影響による中止を心配したが、開催に一安心。2人とも歌が大好きで「楽しみにしていた。オペラ歌手のような声量、情熱的な歌いぶりに感激。構成もうまいし、人を引き付ける力がすごい。一緒に歌えて最高」と元気をもらった様子。

 

手拍子をしながら、多彩な歌のステージを楽しむ観客

手拍子をしながら、多彩な歌のステージを楽しむ観客

 

 一座は今年で結成11周年。「小さな町にも音楽を届けたい」と2009年、北海道の全市町村公演を目標に活動をスタート。後に全国にも足を延ばし、これまでに訪れた市町村数は約400に上る。「道内はあと1カ所で全179市町村の訪問を達成する。全国には1700~1800の市町村があるので、世代交代しながら公演を続けていければ」と吉田さん(42)。

 

 今回の全国ツアーは2月中旬から20公演以上を予定していたが、新型コロナの影響で3月までの17公演が中止に。吉田さんらは釜石公演の実現に感謝し、「皆さんの明るさ、気取らない温かさに支えられた。震災を乗り越え、元気に暮らしていこうというたくましさを感じる」と話した。

 

 市民ホールでは、新型コロナの影響による催し物の自粛が出始めており、「開催については問い合わせてほしい」としている。

 

(復興釜石新聞 2020年3月7日発行 第873号より)

 

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取材時のさまざまなエピソードを交え、三作について語る佐々涼子さん(左)

佐々涼子さん(ノンフィクション作家)トークイベント〜「エンド・オブ・ライフ」出版記念

取材時のさまざまなエピソードを交え、三作について語る佐々涼子さん(左)

取材時のさまざまなエピソードを交え、三作について語る佐々涼子さん(左)

 

 ベストセラーとなった「エンジェルフライト国際霊柩送還士」(集英社)、「紙つなげ!彼らが本の紙を造っている 再生・日本製紙石巻工場」(早川書房)で注目のノンフィクション作家佐々涼子さん(52)=神奈川県出身=が、新刊「エンド・オブ・ライフ」の発売を記念して24日、釜石市でトークイベントを開いた。親交のある大町の桑畑書店(桑畑眞一社長)が主催。人の生死を見つめ続けてきた佐々さんの取材姿勢や“伝えたい思い”が観客の心を捉えた。

 

 同店隣のSOMPOケア釜石事務所が会場。来訪を心待ちにしていた市民ら約20人が客席を埋めた。佐々さんの著書が人生の転機になったという釜援隊隊長の二宮雄岳さん(53)=神奈川県出身=が聞き手となり、対談形式でトークを展開した。

 

 「エンジェルフライト」は、異国で亡くなった人の遺体を家族の元に届ける日本の専門業者が舞台。「紙つなげ!」は、東日本大震災の津波で壊滅的な被害を受けた製紙工場の再興を描く。「登場するのはプロフェッショナルだが名前のない人たち。自分自身を無にし、他の人たちを支えていこうとする姿が、読者はぐっとくるのかな」と佐々さん。

 

 二宮さんは、前職の金融機関勤務時代に両著と出会った。30年来の友人の急死、震災発生も重なり、「生きていく意味を真剣に考えるようになった」。20年続けた仕事を辞め、2014年10月、釜石に来た。

 

 観客が驚いたのは、佐々さんが明かした身を削るような執筆時の様子。「自分に話をしてくれた人たちの気持ちを何とかして届けなきゃと毎回必死。書いて伝えないと、そこで止まってしまうから…」。自らに課す重圧は体が悲鳴を上げるほど。頭髪の脱毛や手術にまで至ったこともあったという。

 

 今月5日に発売された「エンド・オブ・ライフ」(集英社)は、在宅での終末医療の現場を7年にわたり追った作品。「エンジェル―」「紙つなげ!」に続く命と向き合う三部作の最終章で、早くも話題となっている。

 

 本を執筆するきっかけとなったのは、すい臓がんを患った看護師の友人の存在。訪問診療に従事し、200人の患者をみとってきた友人は、自身の病とどう向き合い、最期を迎えたのか。患者宅の訪問にも度々同行した佐々さんは、末期がん患者らそれぞれの生きざまをつぶさに見つめてきた。

 

 「理想の死の迎え方に正解はない。この本を機に(誰にも訪れる)死に向かって、どう生きていくのか考えることができれば。“生きるためのレッスン”を彼らは教えてくれた」と佐々さん。二宮さんは「人は生きてきたように死んでいく」という心に響いた一節を示し、「死ぬことと生きることは表裏一体。今、何をすべきなのか深く考えさせられた」と話した。

 

 日本語教師を経て、39歳ごろから本格的に執筆を始めた佐々さんは、これまで5作品を出版。数々の賞も受賞している。新刊について「重い話かもしれないが、読んだ後は明るい気持ちになれる部分も。自分の生き方や幸せを点検、確認してもらえたらいいのかな」。

 

 この日は観客の質問にも答え、サイン会で交流。釜石市民との新たな絆を結んだ。

 

(復興釜石新聞 2020年2月29日発行 第871号より)

 

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