タグ別アーカイブ: 文化・教育

3年生以上の児童が田植えに挑戦。一列に並んで丁寧に植え付けた

泥だらけも楽しく 白山小水田 41回目の田植え

3年生以上の児童が田植えに挑戦。一列に並んで丁寧に植え付けた

3年生以上の児童が田植えに挑戦。一列に並んで丁寧に植え付けた

 

 学校敷地内に水田を設け、児童が稲作体験に取り組んでいる釜石市嬉石町の白山小(熊谷直樹校長、児童34人)で14日、恒例の田植えが行われた。3年生以上の約20人が、1アールの田にもち米種のヒメノモチを植え付け。児童たちは手足を泥だらけにしながら楽しそうに取り組んだ。

 

 稲作体験は今年で41回目の取り組み。毎年苗を提供している甲子町上小川の農業藤井茂さん(81)、大船渡農業改良普及センターの農業普及員佐々木俊祐さんらが田植えの要領を伝えた。

 

 田んぼには格子状の目安が付けられていて、一定間隔に苗を植え付けることができるよう工夫した。苗を手に、田に足を踏み入れた児童は、やわらかい泥の感触に歓声。泥に足を取られながらも前進し、一つ一つ丁寧に植えていった。

 

やわらかい泥に足を取られながらも楽しそうに田植えに取り組む児童

やわらかい泥に足を取られながらも楽しそうに田植えに取り組む児童

 

 佐々木柚芽稀(ゆめき)さん(4年)は2回目の田植えで、上手にできたと満足げだった。腰を曲げた体勢に農作業の大変さも実感。「みんなで協力して頑張ったから、おいしい米がいっぱいとれるといいな」と期待を膨らませた。

 

 同校の水田は1979年度に開かれた。当初から5年生の体験学習に位置づけてきたが、児童の減少による学級編成の複式化などが常態化。数年前から全校児童が参加する形にして取り組みを続けている。

 

学校田に緑色の苗の点線を描いて満足げな白山小児童とサポーターたち

学校田に緑色の苗の点線を描いて満足げな白山小児童とサポーターたち

 

 今年は4月以降、1・2年が小石拾い、3・4年は田起こしを担当。水田づくりには地域住民らが力を貸し、畔(あぜ)の改良や周囲の除草などを進めた。

 

 児童は今後、除草作業をしながら生育状況を観察する。稲刈りと脱穀は10月を見込み、3年生以上で実施。11月に予定する収穫祭で実りに感謝しながら全員で味わい、水田学習を締めくくる。

 

 昨年度の収量は16キロ。藤井さんらサポーターは20キロの実りを期待している。

ワークショップメンバーが加わった第3部「古関裕而の世界」。振り付けも交え、曲の世界観を表現した

ノイホフ 2年ぶりに母の日コンサート~コロナ禍の新たな形構築へ~

4人で心を合わせ、美しいハーモニーを届けるメンバー。アニメ曲や童謡・唱歌メドレーで楽しませた

4人で心を合わせ、美しいハーモニーを届けるメンバー。アニメ曲や童謡・唱歌メドレーで楽しませた

 

 釜石市の「親と子の合唱団ノイホフ・クワィアー」(小澤一郎代表)は9日、第141回ファミリーコンサート「ははのそぼたちのうた~その27~」を大町の市民ホールTETTOで開いた。母の日にちなんだコンサートは5月の恒例行事だが、昨年は新型コロナウイルス感染拡大で全国に発令された緊急事態宣言を受け、やむなく中止された。収束が見通せない中で、感染防止と合唱活動をいかに両立させるか。本演奏会は、withコロナ時代の新たな形を模索していく一歩となった。

 

 演奏会では感染防止のガイドラインに示されている対策を可能な限り講じた。会場内全員のマスク着用、手指消毒、検温、来場者の連絡先記入、間隔を空けた客席配置のほか、出演者の振り付けも接触を避けるなど慎重を期した。合間には換気タイムも設けた。

 

心温まるステージに感激し、団員に拍手を送る観客

心温まるステージに感激し、団員に拍手を送る観客

 

 2年ぶりの母の日コンサートは3部構成。1部の「スタジオ・ジブリ名曲集」は、昨年12月のクリスマスコンサートで歌う予定だったが、コロナ禍で中止となり、念願の披露となった。「魔女の宅急便」「もののけ姫」など名作アニメから10曲を演奏。2部は「童謡・唱歌四季のメドレー」から春と夏の曲をテンポよく歌い上げた。

 

 3部は昨年のNHK連続テレビ小説で主人公となった作曲家・古関裕而(福島県出身)の楽曲を集めた。昭和初期に数々の名曲を残した古関氏。「とんがり帽子」「長崎の鐘」など年配者には懐かしい曲のほか、早稲田大、慶応義塾大の応援歌、多くの人になじみのある夏の全国高校野球大会の歌「栄冠は君に輝く」など、その手腕が光るメロディーが続いた。古関氏は釜石市とも縁がある。1937(昭和12)年の市制施行を記念して作られた「釜石市民歌」は古関氏が作曲。この日は5番まで全て聞かせた。

 

ワークショップメンバーが加わった第3部「古関裕而の世界」。振り付けも交え、曲の世界観を表現した

ワークショップメンバーが加わった第3部「古関裕而の世界」。振り付けも交え、曲の世界観を表現した

 

 同団1期生として創始者の故渡辺顕麿さんから指導を受けたという市内の男性(79)は「涙、涙で言葉にならない」と感激し、「市民歌も久しぶりに聞いた。ノイホフの歌は心が潤う。コロナも当分寄り付かないと思います」と明日への活力を得た様子。

 

 今回の出演者は市内在住の6人。例年、東京から駆け付けるメンバーなど4人が出演を見合わせ、少人数でのステージとなった。石山友里花さん(釜石高3年)は「いつかは(演奏会が)できるという気持ちで、みんな頑張ってきた。お客様がにこにこしながら聞いてくれて、うれしくなった」と喜びの表情。小学4年からの活動を振り返り、「誰かを笑顔にできる歌の力ってすごい。自分の生活の中でも合唱は大きい存在。卒業しても続けたい」と思いを強くした。1カ月のワークショップを経てステージに立った佐藤禮子さん(73)は「最初はドキドキでしたけど、歌っているうちにワクワクしてきた。声を出しているとコロナのストレスとか気持ちも発散できる」と充実感をにじませた。

 

釜石高3年の石山友里花さん(右)、同1年の千代川陽琉さんはフレッシュな歌声で「ひこうき雲」を披露

釜石高3年の石山友里花さん(右)、同1年の千代川陽琉さんはフレッシュな歌声で「ひこうき雲」を披露

 

 同団は昨年、緊急事態宣言が明けた6月から活動を再開。呼吸がしやすいマスクグッズを活用するなど工夫しながら、感染防止策と両輪で練習を重ねてきた。小澤代表(44)は本演奏会について「悩みつつも、開催する方向で取り組んできた。発表の場を失っている他団体が再び動き出すきっかけにもなれば」と話した。

「翳った太陽」を歌う会合同練習=釜石中音楽室

釜石艦砲戦災を歌で語り継ぐ~「翳(かげ)った太陽」を歌う会 今夏CD制作へ

「翳った太陽」を歌う会合同練習=釜石中音楽室

「翳った太陽」を歌う会合同練習=釜石中音楽室

 

 太平洋戦争末期に釜石市が受けた艦砲射撃の惨禍を歌で伝える「翳った太陽」を歌う会(種市誓子会長、22人)は、活動17年目の今年、初のCD制作を行う。7月に予定する録音作業、例年8月9日に行われる市戦没者追悼式での献唱を目指し、会員の練習が本格化。8日は、生徒が活動に参加する釜石中で、本年度初の合同練習が行われた。会員らは戦争の悲惨さ、平和の尊さを訴える使命を胸に、熱心に練習を重ねた。

 

 同会が歌い継ぐ「翳った太陽」は、艦砲戦災体験者で2006年に他界した石橋巌さん(元市働く婦人の家館長)の絵手紙などを基に創作された女声合唱組曲。市内でピアノ教室を開く最知節子さんが作曲を手がけ、計6曲(全17分)の作品に仕上げた。最知さんを講師に05年から婦人の家で活動する同会は、戦没者追悼式での献唱、学校訪問コンサートなどで戦災伝承活動を続けてきた。

 

最知節子さん(右)の指導を受ける釜中生ら

最知節子さん(右)の指導を受ける釜中生ら

 

 戦禍と重なる東日本大震災経験後は、しばらく活動を休止したが、戦後70年を迎えた15年から追悼式での献唱を再開。会員の高齢化が進む中、17年には若い世代への継承を望む会の呼び掛けに応えた釜石中の生徒が、特設合唱部を作り献唱に参加。活動は後輩にも受け継がれ、現在はコールジュニア「蓮」として同曲の合唱に取り組む。

 

 昨年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、大人も中学生も通常練習ができず、追悼式での献唱も感染防止のため中止された。本年度は新たに小学生2人が加わり、大人と小学生は婦人の家で、釜中生は学校でそれぞれ練習を開始。8日の合同練習には18人が参加し、最知さんから1時間半にわたり指導を受けた。最知さんは、新米教師だった石橋さんが艦砲射撃で教え子を失った悲しみ、焼け野原となったまちで遺体を運ぶ過酷な作業に従事したつらさなどを伝え、情景を脳裏に描きながら歌うこと、指揮者の手が示すテンポや声のトーンなどをしっかり理解することなどを教えた。

 

歌詞に込められた思いを聞き、当時に想像を巡らす

歌詞に込められた思いを聞き、当時に想像を巡らす

 

 釜中3年の三浦愛桜さんは「みんなの声が重なった時のハーモニーがきれい」と手応えを実感。「コロナもあるけど普通に生きられる今は幸せだと思う。艦砲射撃で亡くなった人の慰霊、歌に込められた体験者の思いを共有し、心を合わせて歌えるようにしたい」と意気込む。種市会長(73)は「戦争体験を話せる人が少なくなっている。この曲で戦争がいかに悲惨であるかを伝え、決して起こしてはいけないことを子どもたちにも受け継いでいってほしい」と願う。

 

初めて声を合わせ、自身の課題を見い出す参加者

初めて声を合わせ、自身の課題を見い出す参加者

 

 会では今後も合同練習の場を持ちながら、より良いハーモニーを目指す。CD録音は7月30日、市民ホールTETTOで行う予定。

子どもたちはタブレット端末を使った速読学習を体験。短時間のトレーニングで1分間に読める文字数がアップした

釜石の人材育成へ同級生がタッグ 6月からオンライン学習塾を開設

釜石の人材育成へ同級生がタッグ 6月からオンライン学習塾を開設

 

 釜石市の一般社団法人三陸ひとつなぎ自然学校(さんつな、伊藤聡代表理事)は、盛岡市で学習塾を展開するSoRaStars(山崎智樹代表取締役)と連携し、6月から小・中学生を対象としたオンライン学習塾を開く。子ども向けの各種体験活動の場を提供するさんつなと、独自の学習法で高い進学実績を誇るSoRa社がタッグを組み、地元に貢献できる人材を育てるのが目的。3日、開設に係る説明会が大町の釜石PITで開かれ、小・中学生と保護者26人が参加した。

 

オンライン学習塾開設の趣旨などを説明する三陸ひとつなぎ自然学校の伊藤聡代表(ステージ左から2人目)とSoRaStarsの山崎智樹代表(同右)

オンライン学習塾開設の趣旨などを説明する三陸ひとつなぎ自然学校の伊藤聡代表(ステージ左から2人目)とSoRaStarsの山崎智樹代表(同右)

 

 震災後の2012年4月に設立されたさんつなは、放課後子ども教室の開設や子どもの自主性を生かした地域活動の伴走コーディネートなど、地域への愛着や未来を生き抜く力を育む活動を行ってきた。震災から10年が経過する中で、地域の担い手育成にはこれまで取り組んできた「非認知能力」の分野と両輪で、学校の勉強など「認知能力」を伸ばすことが重要と考え、オンライン学習塾を発案。釜石で伊藤代表と高校まで同級だった山崎代表に相談を持ち掛け、両者のコラボが実現した。

 

 説明会で山崎代表は、近年の高校入試の出題例を紹介。暗記した知識だけでなく、「自分で考え、自分の言葉(文章)で具体的に答えることを求める問題が増えている」とし、認知的(学力アップ、目標達成)、非認知的(多角的視点獲得)両分野を鍛える必要性を指摘した。山崎代表によると「地域活動に参加している子ほど、国語と算数の得点率が高かった」というデータもあり、同塾では相乗効果を生む教育プログラムで子どもたちを指導している。

 

釜石で受けられる指導について聞く説明会の参加者

釜石で受けられる指導について聞く説明会の参加者

 

 この日は同塾が取り入れる速読トレーニングも体験。文章を固まりで読む訓練を重ねると、より多くの文字を短時間で読めるようになり、試験では問題を読む時間よりも解く時間を多く確保できるメリットがある。体験した市内の中学3年生は「いろいろなトレーニングをしたら、読むスピードが思いの外すぐに上がった。自分は英語などの文を読むのが遅いので、そこに生かせたら。継続してやってみたい」と興味を示した。

 

子どもたちはタブレット端末を使った速読学習を体験。短時間のトレーニングで1分間に読める文字数がアップした

子どもたちはタブレット端末を使った速読学習を体験。短時間のトレーニングで1分間に読める文字数がアップした

 

 「さんつな×SoRa学習塾」は、盛岡市の同塾と釜石市鵜住居町の「さんつなハウス」をオンラインで結び、受講する形をとる。個別指導のほか、中学3年生対象の集団授業、小学生対象の速読解プランも設ける。5月は入塾の検討期間とし、カウンセリングを受けた小・中学生向けに17日から26日まで無料体験授業を実施。その後、個別面談を行い、一人一人に合わせた学習計画を作成する。通常授業(有料)は6月7日からの開始を予定する。

 

 「単に勉強を教える場ではなく、いろいろな情報を得ることで子どもたちの興味を引き出し、選択肢を広げることにつながれば。ニーズを探りながらより良い形を目指したい」と伊藤代表(41)。12年3月に教育事業を立ち上げた山崎代表(41)は「背景には震災があった。当初から目指してきた人材育成の部分で、直接地元に関わることは望む形」とし、沿岸地域の学力向上など課題克服へ意欲を高めた。

コロナ禍2年目の春を生ブラスで元気に~釜石市民吹奏楽団がコンサート~

コロナ禍2年目の春を生ブラスで元気に~釜石市民吹奏楽団がコンサート~

コロナ禍2年目の春を生ブラスで元気に~釜石市民吹奏楽団がコンサート~

 

 釜石市民吹奏楽団(山内真紀人団長、団員50人)は2日、釜石市大町の市民ホールTETTOでスプリングコンサートを開いた。新型コロナウイルスの全国的な感染拡大の影響で生演奏の場が失われている中、感染防止策を講じた屋外空間で演奏を楽しむスタイルは昨夏に続き2回目。コロナ禍に対応した先駆的取り組みは、市外の音楽愛好者からも注目される。この日は約100人の観客と演奏者が音楽を通じて心を通わせ、共に明日への活力を得た。

 

 前回同様、ホールBと屋根のある広場を一体化する半屋外式の会場設営で実施。来場者は受付で検温、手指消毒、連絡先の記入に協力し、マスク着用の上、間隔をとった客席に着いた。プログラムチラシで、大声での歓声や食事を控えることも呼び掛けられた。

 

ホールBを屋外広場とつないだ開放空間でのコンサート

ホールBを屋外広場とつないだ開放空間でのコンサート

 

 コンサートは「ファンファーレ~天と大地からの恵み~」で幕明け。話題となった映画やアニメの主題歌、CMソング、昭和の歌謡曲など10のプログラムで観客を楽しませた。世界的大ヒットとなった映画「タイタニック」は劇中曲を含めたメドレーで、昨年一大ブームを巻き起こしたアニメ「鬼滅の刃」からは劇場版の主題歌「炎(ほむら)」、日本レコード大賞・栄光の昭和50年代楽曲メドレーでは「北酒場」「ルビーの指輪」など懐かしの4曲を届けた。

 

コロナ禍2年目の春に心を癒やすブラスサウンドを届ける団員ら

コロナ禍2年目の春に心を癒やすブラスサウンドを届ける団員ら

 

 アンコールに応え、演奏したのは「エール・マーチ」。昨年の全日本吹奏楽コンクールの課題曲だったが、コロナ禍でコンクールは中止に。今年のコンクールが実現すれば同曲を課題曲として演奏予定だという。団員らは2年ぶりのコンクール開催を願いながら、心を込めて演奏した。

 

 釜石市吹の団員と交流のある仙台市の菅原克彦さん(56)は「コロナ禍で軒並みコンサートが中止され、楽器の音が失われている。皆さんに勇気や元気を与える生演奏を続けている釜石の団員に敬意を表したい。こういう時代だからこそ、音楽って必要ではないか」と話した。

 

間隔を空けた客席で演奏を楽しむ来場者

間隔を空けた客席で演奏を楽しむ来場者

 

 釜石市吹は沿岸他市(宮古~気仙沼)の社会人吹奏楽団と一緒に、三陸自動車道の早期完成を願う「ルート45港町コンサート」を1997年から毎年春に開催。今年は震災10年と合わせ、宮古―気仙沼間の全線開通を祝うコンサートを予定していたが、新型コロナの感染拡大を受け、昨年に続き中止を決めた。これに替わる演奏発表の場として、今回のコンサートが企画された。

 

 山内団長(47)は「団員は練習以外のところでも感染防止対策を徹底し、団活動を含む日々の生活に細心の注意を払っている。今のところ体調不良者や感染者は出ていない。医療従事者ら職場の要請で活動を休止している団員も多い。そうした人たちが早く戻ってこられるようになれば」と願う。

工作や遊びなどおうち時間を楽しめるお薦めの本を集めた企画展

おうち時間を楽しもう!自宅での楽しみ方を提案する本を展示 釜石市立図書館

工作や遊びなどおうち時間を楽しめるお薦めの本を集めた企画展

工作や遊びなどおうち時間を楽しめるお薦めの本を集めた企画展

 

 釜石市小佐野町の市立図書館(川畑広恵館長)は、自宅でできる工作やおやつ作りなどの本を集めた「楽しもう!おうち時間」展を開いている。新型コロナウイルス感染症の影響で外出を控える傾向が続く中、充実した時間を過ごしてもらおうと1階展示ホールでお薦めの本を紹介している。15日まで。

 

 最近よく耳にする「おうち時間」。コロナ禍がまだ続きそうな中、「何をして過ごせばいいの?」と迷う人も少なくない。そんな悩みを解消させて自宅で過ごす時間を充実させる1冊探しを手伝う、関心分野を広げてもらえるようなお薦めの本70冊が並んでいる。

 

 普段とは違った料理を楽しみたい人に世界各地の家庭料理やスイーツのレシピ集、新しいことを始めようと考えている人には家庭菜園、家具づくりDIY(日曜大工)などを紹介。家で過ごす時間が増えたことで「何かに挑戦したい」と考える人を後押しするアイデアを提案する。お金をかけず気軽に家族で楽しめる工作や遊び、クイズ集などもある。

 

 子ども向けに本との出合いを提案する企画展も実施。赤ちゃんと一緒に絵本に親しんでもらう「スタートブック」や読み聞かせにお薦めの本などが並んだが、現在は終了。紹介した本は乳幼児向けコーナーで手に取ることができるようにしている。

 

本との触れ合いを促す「ブックスタート」のための乳幼児向け絵本も充実している

本との触れ合いを促す「ブックスタート」のための乳幼児向け絵本も充実している

 

 コロナ禍の中、同館では検温器や手指の消毒液の設置、換気、マスク着用の呼び掛けなど対策を取り、安心安全な読書空間づくりに努める。図書館の書籍を安心して利用してもらおうと、図書除菌機も導入。利用者が本を借りる際に自由に使用でき、ウイルスや菌を除去して持ち帰ることができる。

 

石市立図書館に導入された図書除菌機。利用者も自由に利用できる

石市立図書館に導入された図書除菌機。利用者も自由に利用できる

 

 今後も郷土について学んだり、季節の行事に合わせた特集などニーズに応える企画展を展開。感染対策に工夫を凝らしながら定期イベントの映画会(第2土曜日)、おはなし広場(第3土曜日)も継続し、読書の楽しさを発信する。

 

 川畑館長は「目先を変え、楽しんで過ごしてもらえるような取り組みを考えていきたい」と先を見据える。

完成したばかりの川目集会所。田郷鹿子踊の道具を囲んで交流するNTTドコモ関係者、地域住民ら

NTTドコモ 「東北応援社員募金」140万円寄付 田郷鹿子踊(釜石・鵜住居)活動施設の備品整備に活用

完成したばかりの川目集会所。田郷鹿子踊の道具を囲んで交流するNTTドコモ関係者、地域住民ら

完成したばかりの川目集会所。田郷鹿子踊の道具を囲んで交流するNTTドコモ関係者、地域住民ら

 

 NTTドコモ(本社・東京都千代田区)は4月26日、郷土芸能によるコミュニティー活性化の活動を後押ししようと、釜石市に140万円を贈った。東日本大震災の被災自治体を応援する同社の「東北応援社員募金」を活用。市では、鵜住居町川目地区に伝わる郷土芸能「田郷鹿子踊(たごうししおどり)」の活動施設の備品整備費に役立てる。

 

 釜石地域の鹿踊は、元禄・宝永年間(1688~1709)に扇州生まれの唯喜伝冶がこの地の住民に伝えたのが起源とされる。田郷鹿子踊は、砂子畑鹿踊(栗林町)の系統で、笛や太鼓、短歌調の唄に合わせ、勇壮活発に、時には礼を正して穏やかに舞うのが特徴。鵜住神社例祭などで奉納されてきた。活動拠点の鵜住居公民館川目分館が老朽化で廃止されることになり、市が代わりとなる集会施設の整備を進めてきた。

 

川目集会所は消防屯所との合築施設として整備された

川目集会所は消防屯所との合築施設として整備された

 

 贈呈式は、完成したばかりの川目集会所で行われ、ドコモCS東北岩手支店の田中和裕支店長が野田武則市長に寄付金の目録を手渡した。田中支店長は「少子高齢化が進む中であっても、伝統芸能を通じコミュニティーをつないでほしい」と期待。野田市長は「長い歴史を持つ伝統芸能を生かした地域づくりを応援いただいた。大いに活用し、親しまれる施設にしたい」と感謝した。

 

寄付金を贈った田中支店長(右から2人目)、目録を手にする小澤会長(中央)と野田市長(左から2人目)ら

寄付金を贈った田中支店長(右から2人目)、目録を手にする小澤会長(中央)と野田市長(左から2人目)ら

 

 田郷鹿子踊を伝承するのは川目町内会(小澤修会長、98世帯)。震災後、地域内外から15世帯ほどが移り住むなど、人の動きが加速した。郷土芸能を通じ、新たな住民交流、コミュニティーの活性化を図ろうと担い手を募り、児童生徒の参加が増加。子どもたちの練習を支えようと保護者ら大人たちが加わる形も生まれているという。

 

 寄付を受け、集会所に移動式テーブル10基、折り畳み椅子38脚、ホワイトボード1基、テレビ1台などを配置。小澤会長は「地域の人が集まる場ができた。充実した練習もでき、郷土芸能で地域を盛り上げていきたい」と意欲を見せた。

 

 東北応援社員募金は賛同した社員から毎月311円を募り、会社からの募金を上乗せして被災自治体に寄付する取り組みで、2012年度に開始。今回の20年度分には約7000人が参加し、被災3県の自治体に寄付金として贈られた。釜石市への寄付は4回目で、総額1400万円余りとなった。

来場者と触れ合う澤田麟太郎さん(左)。作品の紹介やものづくりの思いを伝えた

「やきもの日和、楽しんで」釜石生まれの澤田麟太郎さん 地元の作家紹介企画 釜石市民ホール

釜石市民ホールで開催中の「やきもの日和」。一風変わった陶作品が並ぶ

釜石市民ホールで開催中の「やきもの日和」。一風変わった陶作品が並ぶ

 

 釜石市を拠点に活動する陶芸家澤田麟太郎さん(39)=甲子町=の作品展「やきもの日和」が、大町の市民ホールTETTOギャラリーで開かれている。地元で作品を紹介するのは初めて。澤田さんは「見慣れた陶芸と比べると、少し様子が変。茶碗から何かが噴き出していたり、石ころみたいだったり。散歩に行くように気軽に遊びに来てほしい」と来場を呼び掛ける。5月9日まで。

 

 澤田さんは釜石生まれ、東京育ち。得意科目は図工で、小さいころからもの作りが好きだった。進路を決める際、木工を学びたいと考えていたが専攻がなかったため、多美術大美術学部の陶コースを選択。新たな知識を得る中で、「追求しがいがある」と陶芸の面白さにハマった。

 

 大学卒業後はIT関係のエンジニアとして働きながら、東京都昭島市を拠点に創作活動を開始。茶碗やつぼなどの作品を壊すのが特徴で、粘土そのままの色を生かした「かけら」をテーマにした作品をさまざまなグループ展で発表してきた。

 

会場には多彩な色合い、表情を見せる不思議な世界が広がっている

会場には多彩な色合い、表情を見せる不思議な世界が広がっている

 

 2011年3月11日、東日本大震災が発生すると、状況が一変した。釜石には祖父母が暮らし、子どものころから長期休暇期間を過ごすなど親しみがあった。祖父母らの様子が気になり、発災から約3カ月後に来釜。まちの中にある「がれき」に衝撃を受けた。自分の作品と重ったが、「(がれきは)ネガティブな要素にしかなかった」と、もの作りが手につかなくなった。その後数年はエンジニアの仕事に専念した。

 

 17年に創作活動の再開を考えるようになり、「やるなら、愛着のある釜石で」と18年に移住。作風は変わらないが、釉薬(ゆうやく)などカラフルな色を多用するようになり、「ひび割れた作品にもポジティブな何かが出てきた」と手ごたえを感じている。

 

 今回の展示では約60点を紹介する。形作られた器をさまざまな色の釉薬で満たし、焼成後に金づちなどで破壊、かけらを磨いて完成となる作品たち。釉薬の種類や色具合、注ぎ入れるタイミングなどで多彩な表情が生まれるといい、不思議な彩りの世界を楽しむことができる。

 

来場者と触れ合う澤田麟太郎さん(左)。作品の紹介やものづくりの思いを伝えた

来場者と触れ合う澤田麟太郎さん(左)。作品の紹介やものづくりの思いを伝えた

 

 澤田さんは「釜石は心の古里。展示会を開くことでこの地に陶芸の文化が育ち、興味を持ち、やりたいと思う人が増えるとうれしい」を期待。地域の人との触れ合いを楽しみにしている様子で、「陶芸を教えたい」との思いも膨らませている。

 

 同ホール自主事業「art at TETTO」シリーズ(年4回)の1回目。独自の方法で表現を楽しみ、日常に彩りを添える活動を展開する作家を紹介する。担当者は「新しい出会いは、冒険のようなもの。小さな冒険を楽しみ、新しい出会いを発見してほしい」と願う。次回は「写真家 小澤はな」展(8月13-22日)を予定する。

 

 やきもの日和は午前10時~午後5時まで鑑賞でき、入場無料。

大土直哉助教(右)から説明を受ける重茂中の生徒ら

大槌湾を拠点に三陸の海を学べる展示施設「おおつち海の勉強室」開室~子どもたちの探究心を伸ばせる環境を

オサガメのはく製が出迎える「おおつち海の勉強室」の展示室

オサガメのはく製が出迎える「おおつち海の勉強室」の展示室

 

 大槌町赤浜の東京大大気海洋研究所国際沿岸海洋研究センター(青山潤センター長)は、三陸の海の生物や環境などを学べる展示施設「おおつち海の勉強室」を新設。18日、開室記念式典を行い、一般開放を始めた。同大の研究成果を地域に還元しながら、地元の海について共に考える交流・連携拠点を目指す。

 

 同施設は震災の津波で被災したセンターの旧研究実験棟跡地に建設。鉄筋コンクリート造り平屋建てで、建物面積75平方メートル。センターのウミガメ研究者でイラストレーターの木下千尋さんが海の生き物を描いた外壁が目を引く。

 

施設の入り口で行われた式典出席者によるテープカット

施設の入り口で行われた式典出席者によるテープカット

 

 室内ではテーマを変えながら行う企画展示があり、今は「大槌湾の藻場と生物多様性」と題し、生物標本約120点が解説を添えて展示される。2019年にセンターの研究者によって発見された新種のカニ「オオヨツハモガニ」の紹介も。生きたヤドカリやウニ、ヒトデは水槽で見ることができる。写真や動画が見られるタッチパネル式の生き物図鑑、大槌湾の水温、風速・風向データや施設から臨む蓬莱島(ひょうたん島)の映像をリアルタイムで公開するモニターなどもある。

 

大槌湾の藻場の生物標本が並ぶ企画展示

大槌湾の藻場の生物標本が並ぶ企画展示

 

 入り口の「みんなでつくる大槌湾マップ」は、センターの調査活動を地図とともに掲示するほか、一般の人が見つけた生物を写真などで報告すると、研究者が調べて返事を書き、マップ上に反映させる展示。メールや投函での情報提供を呼び掛ける。

 

 三陸はウミガメの回遊コースになっていて、センターでも研究が盛ん。施設では、甲羅だけで長さ1・2メートルもあるオサガメの子のはく製が展示され、来遊する夏季には屋外水槽で生きたウミガメを観察できる。

 

 18日の式典には関係者約40人が出席。テープカットで開室を祝い、施設見学が行われた。説明した大土直哉助教(34)は「自然に興味を持つ子どもたちの探究心を伸ばしてあげられる環境が必要。施設を使って知識を深め、次のステップにつなげてもらえたら」と期待。この日は、センターと連携し海の学習に取り組む重茂中(宮古市)の生徒や、研究者と調査活動などを共にする大槌高「はま研究会」のメンバーも訪れ、新施設の活用に夢を膨らませた。

 

大土直哉助教(右)から説明を受ける重茂中の生徒ら

大土直哉助教(右)から説明を受ける重茂中の生徒ら

 

 青山センター長は「地元だけでなく観光客にも三陸の海の魅力を発信する場にしたい。将来的には、古里の海に思いを持つ人たちが企画や運営を担い、まちとして〝おらほの海〟を全国にアピールできれば」と話す。施設への入場は無料。当面は新型コロナウイルス感染予防のため、事前予約で見学を受け付ける(解説員が同行)。申し込みは同センター(電話0193・42・5611)へ。

旧市民文化会館の懐かしい写真や収蔵品が並ぶ企画展

市民ホールTETTOにて「旧市民文化会館展」開催~津波で被災し解体された旧会館の収蔵品などを公開

旧市民文化会館の懐かしい写真や収蔵品が並ぶ企画展

旧市民文化会館の懐かしい写真や収蔵品が並ぶ企画展

 

 東日本大震災の津波で被災し解体された旧釜石市民文化会館の歴史を振り返る企画展が、後継施設・釜石市大町の市民ホールTETTOギャラリーで開かれている。1978(昭和53)年の開館までの動きを紹介する資料や写真、収蔵品など約20点を展示。「さまざまな公演や催事に通いつめた」といった市民の思い出も並ぶ。25日まで。

 

開館に合わせ企業経営者から贈られた絵画「農村」。作者不明となっているが・・・

 

 旧文化会館は1978年12月に開館し、市民の文化活動や優れた芸術の実践・鑑賞の拠点として幅広く利用されてきた。2011年3月11日、震災の津波で大きな被害を受け、15年3月に解体された。企画展では旧会館の建設工事中の様子、大ホールや和室、研修室などの写真を展示。落成を記念し、連日舞台で行われた演奏会や郷土芸能祭などの公演、「三味線と民謡教室で教えている弟子たちに、ひのき舞台を踏ませてやりたい」「すばらしい会館を大切にしたい」など市民の声をつづった市政広報も掲示している。

 

 市の花、木、鳥が描かれた中ホールの緞帳(どんちょう)のデザイン画、「農村」と題名がついた作者不明の絵画など収蔵作品、建設費や備品など寄付者を刻んだ芳名録も紹介。会場には旧会館の思い出や詳細不明となっている展示作品の情報を書き込めるコーナーもある。

 

開館に合わせ企業経営者から贈られた絵画「農村」。作者不明となっているが・・・

開館に合わせ企業経営者から贈られた絵画「農村」。作者不明となっているが・・・

 

収蔵された経緯、作品名、作者など詳細について記録がない作品

収蔵された経緯、作品名、作者など詳細について記録がない作品

 

企画展は旧会館の収蔵品を保管する市文化振興課が発案。「地域にある優れた作品を埋もれさせたくない」との思いに共感した同ホールが、市郷土資料館の協力を得て開催。同ホールの阿部美香子さん(42)は「展示品には懐かしさ、味があり、当時の楽しい思い出がよみがえってくると思う。脳内タイムトラベルを楽しんでもらえたら」と来場を呼び掛ける。

 

開催時間は午前9時~午後9時までで、入場無料。問い合わせは同ホール(0193・22・2266)へ。

① 各種のフルートで奏でるオーケストラは圧巻

震災から10年となる被災地に癒やしの音色と歌声を~「フルートフェスティバル」

①	各種のフルートで奏でるオーケストラは圧巻

各種のフルートで奏でるオーケストラは圧巻

 

 フルートと合唱による心の復興コンサート「フルートフェスティバル」が3月28日、釜石市大町の市民ホールTETTOで開かれた。
 小佐野町のNPO法人ガバチョ・プロジェクト(山﨑眞行理事長)が主催。東日本大震災から10年となる被災地に癒やしの音色と歌声を届け、約250人の観客を魅了した。

 

 3部構成のステージ。1部は花巻、宮古、釜石のフルート奏者がアンサンブルを披露。ピッコロ、アルト、バスフルートも交え、クラシック、映画音楽などを聞かせた。
 釜石のメンバー18人はディズニー作品から3曲を四重奏で奏でた。

 

 2部は同フェス初参加の気仙沼のメンバーを加えた総勢約50人によるフルートオーケストラ。チャイコフスキー作曲のバレエ音楽「くるみ割り人形」より6曲を演奏し、フルートの心地良い響きで耳なじみの旋律をより強く印象付けた。
 この日は洗足学園音楽大客員教授の酒井秀明さん、講師の山田州子さんがゲスト出演。酒井さんはフルートソロ、山田さんはコントラバスフルートでオーケストラに参加した。

 

 3部は市内の合唱3団体から約50人が共演し、「花は咲く」「見上げてごらん夜の星を」など4曲を披露。震災後、各地で歌われ、被災者に希望をもたらしてきた楽曲を、フルートとコーラスの融合で聞かせた。

 

フィナーレの「ふるさと」の演奏では観客も歌を口ずさんだ

フィナーレの「ふるさと」の演奏では観客も歌を口ずさんだ

 

 高校2年の孫が出演した宮古市の根市知代子さん(70)は「コロナ禍でも対策を施し開催してくれてうれしい。感動の舞台を見せてもらった」、釜石市天神町の鈴木實さん(73)は「フルートだけの演奏がこんなにいいものとは。音色の良さにびっくりした」と余韻とともに会場を後にした。

 

 1978年に初演、震災後は沿岸被災地の心の復興に寄与している同フェスは、14回目を数える今回、「ウィーン・フィル&サントリー音楽復興祈念賞」を受けており、会場で贈呈セレモニーも行われた。
 山﨑理事長はこの10年の音楽活動を通じ、「技術的なうまさや頭で考える音のきれいさではなく、胸の中に直接響く音楽こそが一番大事だと感じた」と話し、演奏者と観客が喜びや幸せを分かち合える音楽舞台にさらなる意欲を示した。

虎舞拠点 改築完了〜浜町 尾崎清友会館、伝承の意欲新たに

虎舞拠点 改築完了〜浜町 尾崎清友会館、伝承の意欲新たに

新たな練習拠点(正面)の完成を喜び、伝統の虎舞を威勢よく披露する尾崎青友会(台村公園)

新たな練習拠点(正面)の完成を喜び、伝統の虎舞を威勢よく披露する尾崎青友会(台村公園)

 

 釜石市浜町2丁目の台村公園にあった尾崎町郷土芸能伝承施設(通称・尾崎清友会館)の改築工事が完了し、2月28日、現地で落成式が行われた。この施設を拠点とする台村虎舞=尾崎清友会(佐藤真輔会長、40人)が、再建事業を支援した関係者ら約20人を前に、感謝を込めて虎舞を披露。郷土芸能活動のさらなる推進を誓い、まちの安全を祈願した。

  

 木造施設の老朽化に伴い改築。地元の尾崎町町内会(西村征勝会長、50世帯)と共同利用する。鉄筋コンクリート造りの地下1階が集会施設。木造の地上1階部分が会館となる共用施設で、延べ床面積54・5平方メートル。事業費3963万円のうち約2千万円は、機能性食品の通販事業を展開する有限会社毎日元気(本社札幌市、瀧澤潤賜社長)が社会貢献として寄付した。

 

 落成式で野田武則市長は「震災時は住民の避難に活用された。新しい施設が住民に親しまれ、活用されるよう願う」とあいさつ。清友会の佐藤会長(29)は「立派な施設を建てていただき、感謝する。会員一同、一層精進する」と謝辞を述べた。佐藤会長は、野田市長、毎日元気と市の〝橋渡し〟を担う三陸いりや水産(釜石市平田)の宮崎洋之社長に額装した「尾崎清友会」の手ぬぐいを贈った。

  

 毎日元気は震災からの復興支援で、釜石市に高額の寄付を続ける。「釜石よいさ」の復活、唐丹町の大石集会所増築、桜の植樹、世界遺産・橋野鉄鉱山がある橋野町青ノ木の環境整備、仙人マラソンなども支援してきた。

 

 佐藤会長は「会館は畳敷きにしてもらい、エアコンもあって太鼓の管理に最適だ。以前は屋外の公園で練習していたが、今後は室内でもできる。技の伝承に力が入る」と喜びを語った。