活気のある地域づくりへ思い込め 釜石東中生が応援ポスター作成
釜石東中2年生が作った地域応援ポスター
釜石市鵜住居町の釜石東中(米慎司校長、生徒97人)の2年生40人が、東日本大震災の復興に力を尽くしながら地域で働き続ける大人たちの姿を取材した。住民らの生き方、古里に対する愛着を知った生徒たちは、「もっと活気のある街になるよう、一緒に頑張りたい」との気持ちを強くし、応援ポスターを作って町内の店や施設に掲示している。
新型コロナウイルス禍で中止となった職場体験学習の代替えとして企画。少人数、短時間の受け入れで可能な職業インタビューという形式で行い、協力事業者への感謝を伝えようと作成した。震災から10年がたち、復興は進んでいるが、「もっと地域を盛り上げるために中学生が力になれることはないか」と考えたのも理由の一つだ。
職業インタビューは7月に行い、学区内の高齢者施設や保育施設、飲食店、自動車整備店など32の事業所が協力した。復興や仕事への思いを聞き取った生徒は、まとめとしてポスター作りに取り組み、9月に完成させた。
ポスターには鵜住居地域で働く人たちの手と思いが散りばめられている
ポスターはA2サイズ(縦420センチ、横594センチ)で、生徒40人の学びを散りばめている。モチーフは取材に協力した住民の「手」。復興を支えてきた証しであり、職業によって味が出る面白さもある。「この手につながりたい」。生徒たちが感じた思い、印象に残ったイメージを言葉にして添えた。
タイトルは「頑張っぺし釜石!!」。生徒たちが大好きだという根浜海岸を背景に配置した。震災で苦しい思いはしたが、「海とともに生きていく鵜住居」を表している。
人に関わる仕事がしたいとぼんやり思い描いている小澤空泉(そらみ)さんは栗林小を訪ね、舞良昌孝校長に働く上で大切にしていることなどを聞いた。ポスターには差し出された大きい手のひらと、その仕事を選んだ理由を尋ねた時に返ってきた「子どもたちの人生に関われる」という言葉をのせた。文字は優しい印象の人柄をイメージしたピンク色を選び、添えた矢印には「未来につながる仕事だ」との実感を込めた。
取材を通して、コミュニケーション力の大切さを学んだ小澤さん。「いろんな人の意見を聞きながら、将来の夢、選択肢を広げられるようにしたい」と前を向く。
応援ポスターは鵜住居郵便局にも掲示されている
鵜住居郵便局(小笠原博人局長)では、入り口の掲示板で応援ポスターを紹介。中学生の活動を知る機会になると好感を持ったようで、「将来、地元に残り地域の力になってほしい」と期待する。
ポスターは校舎内にも掲示中で、学年主任の菅原隆宏教諭は「地域の人たちの職業にかける思いを知ることで、地元を愛してほしい。将来を見据え、自分の意思で選択し、行動できる人になってほしい」と願う。
釜石新聞NewS
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