音楽で世界旅行を~吉田正記念オーケストラ 11年ぶりの演奏会で元気届ける
11年ぶりの釜石公演で観客を楽しませた吉田正記念オーケストラ
吉田正記念オーケストラによる「元気が出る!オーケストラコンサート」(釜石市、一般財団法人自治総合センター主催)は4日、釜石市大町の市民ホールTETTOで開かれた。指揮をする大沢可直さんと同オーケストラは東日本大震災前の2010年10月に同ホールの前身、津波で被災した旧市民文化会館で公演しており、11年ぶりの来演。大編成による迫力ある生演奏で懐かしの名曲を聴かせ、復興する被災地でたくましく生きてきた市民らを音楽という世界旅行にいざなった。
故吉田正(1921~98年)は国民栄誉賞受賞の作曲家。生前、数多くの〝吉田メロディー〟を生みだし、広く大衆に愛されてきた。記念オーケストラはその作品を半永久的に演奏する目的で2001年に結成。大沢さんは、吉田の作品をモチーフにクラシック化した「吉田正交響組曲」をつくり、同オーケストラの音楽監督に就任、国内外で演奏活動を展開している。
大編成による多彩な音色、迫力ある生演奏を披露した
コンサートは2部構成のプログラム。1部は「いつでも夢を」から始まり、吉田メロディーの世界へ誘いだした。4楽章ある同組曲7番では「子連れ狼」「和歌山ブルース」「潮来笠」「夜霧の第二国道」「東京ナイトクラブ」など昭和という時代を懐かしむ曲の数々を熱演。観客たちに若かりし日々を思い出させるような音楽ドラマとして聴かせた。
2部は世界の名曲を味わう時間。「慕情」「太陽がいっぱい」など映画音楽を情感豊かに、「ベサメムーチョ」「キエンセラ」といったラテンの名曲は軽快に奏で、「チャイコフスキー交響曲4番」ではクラシックをなりわいとする交響楽団ならではの迫力ある多彩な音色で魅了した。曲の合間に、話題豊富なトークで観客を楽しませた大沢さん。フランク永井が歌った吉田メロディー「ラブ・レター」では指揮を休んで美声を響かせ、会場を沸かせた。
指揮者の大沢さんはユーモアあるトークで観客を喜ばせた。時には歌声も響かせた
アンコールは望郷の思いを歌う「異国の丘」。前回の釜石公演後に起こった震災に触れた大沢さんは「ドキドキしながら降り立った釜石、見事に復興していた。たくましい。生きているって素晴らしい。いいホールで音楽を生で楽しんでほしい」と願った。
懐かしの名曲がたっぷり詰まったコンサートを楽しんだ観客
このコンサートは宝くじの助成で実施。約400枚のチケットは完売した。小川町の菊池忠太郎さん(85)、律子さん(77)夫妻は「すごい迫力。気持ちを表すような強弱のある演奏だった。なじみの曲ばかりで楽しかった。みんな心の中で歌っていたと思う。元気もらった」と笑顔を重ねた。
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