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海中映像を見ながら水中ドローンの役割を学ぶ

三陸の海をもっと学ぼう!中学生対象に釜石でサマースクール開催

県漁業取締船「岩鷲」を見学したカレッジ参加者

県漁業取締船「岩鷲」を見学したカレッジ参加者

 

 次代を担う中学生に郷土が誇る海への関心を高めてもらおうと、「三陸マリンカレッジ~Summer School~」が7月31日、釜石市平田の岩手大釜石キャンパスなどで開かれた。県沿岸広域振興局と東京大大気海洋研究所国際沿岸海洋研究センター(大槌町)が主催。沿岸部の中学生ら13人が三陸の水産業や海洋環境、海上保安業務の一端に触れ、好奇心をかきたてられた。

 

 県と同センターは、震災で海に親しむ機会の減った子どもたちが興味を持つきっかけにと、昨年度初めて同カレッジを開催。1泊2日の合宿学習で知りたいことを絞り込み、同大研究者らのサポートを受けながら調査、実習を重ね、成果を発表する一連の取り組みを行った。今回は2年目の本開催を前に、導入部としてサマースクールを企画した。

 

 この日は4プログラムを体験。県水産技術センターでは、アワビの種苗生産・放流など本県を代表する養殖水産物の資源管理について学んだ。平田漁港の岸壁では、水中カメラで海底の様子や魚を観察。近年、活躍する水中ドローンの説明も受けた。県漁業取締船「岩鷲」では、普段見られない船内の装備機器を見学。業務内容について聞いた。釜石海上保安部の協力で海の安全講習もあり、救命胴衣の着用、応急的な救命器具作りを体験した。

 

海中映像を見ながら水中ドローンの役割を学ぶ

海中映像を見ながら水中ドローンの役割を学ぶ

 

ペットボトルを使った応急救命器具作りを体験

ペットボトルを使った応急救命器具作りを体験

 

 佐々木奈碧人君(大平中3年)は「水産技術センターの方からアワビの話を聞いたり、普段乗れない取締船に乗せてもらったり、全てが新鮮な体験だった。海についてもっと知りたくなった。この後行われるマリンカレッジにも参加してみたい」と興味をそそられた様子。

 

 昨年度の同カレッジには6人が参加。地元の海の環境と天気、生物との関係、カキの養殖棚に集まる生物、地元の海で捕れる魚とその漁獲法など、それぞれに興味をもった分野で学習に取り組んだ。サマースクールでは、昨年度の受講生が自身の経験や感想を語った。

 

 本年度の三陸マリンカレッジは11月に同センターでの合宿を予定。1人1人テーマを決めて、専門家の話を聞いたり関係施設での実地学習を行ったりして、冬休み中にレポートをまとめる。学習成果発表会は来年1月に開催する計画。県の担当者は「学校とは違った勉強ができる。沿岸部の海に関心のある中学生にどんどん参加してほしい」と呼び掛ける。参加者は秋から募集を始める。

ハマユリの種を手に笑顔でポーズを決める釜石小児童、長谷川代表理事(右)、野田市長(左)

宇宙から帰還、釜石市の花ハマユリの種~花咲く未来に期待

ハマユリの種を手に笑顔でポーズを決める釜石小児童、長谷川代表理事(右)、野田市長(左)

ハマユリの種を手に笑顔でポーズを決める釜石小児童、長谷川代表理事(右)、野田市長(左)

 

 東日本大震災から10年となる今年。被災地の復興を宇宙から発信する「東北復興宇宙ミッション2021」が行われた。被災地から集めたメッセージ、花や農作物の種などを国際宇宙ステーション(ISS)に打ち上げる取り組みで、釜石市も参加。宇宙を旅した市の花ハマユリの種が帰還し、7月26日、市に引き渡された。種は市の担当部局が育て、市内の学校や公園に植える予定。

 

 宇宙ミッションは福島、宮城、岩手の被災3県の市町村で結成する実行委員会の主催。一般財団法人ワンアース(茨城県龍ケ崎市)が企画し、事務局を務める。震災の記憶と教訓、復興支援への感謝を伝えるメッセージや写真、植物の種などを宇宙に送り、3月11日には野口聡一飛行士がISSからメッセージを発信した。

 

 ハマユリの種は平田・佐須地区の岩場から採取。震災の津波で水没したが、その年の夏に花を咲かせ、復興に向かう住民らの支えになったという。6月に米航空宇宙局(NASA)のロケットで宇宙に飛び、ISSに約1カ月“滞在”。7月10日に地上へ戻った。

 

長谷川代表理事(左)から種を受け取る子どもたち

長谷川代表理事(左)から種を受け取る子どもたち

 

 受領式は市役所で行い、実行委事務局長を務める同法人の長谷川洋一代表理事が野田武則市長や釜石小の6年生3人に種を手渡した。長谷川代表理事は「地域を元気に、他のまちと交流していけるか、種を生かした取り組みを考えてほしい。本当の意味はこれから始まる」と期待。野田市長は「大事に育てていく。花に関わる子どもたちの成長も楽しみにしたい」と感謝した。

 

 小澤和史君は「宇宙に行った貴重な種をありがとうございます」とお礼の言葉。防災マップ作りなど震災学習に取り組んでいることを伝え、「震災の出来事、経験した人の思いを語り継ぎたい」と気持ちを強めた。そもそもハマユリの花を見たことがないという佐々木友香さん、関悠汰君は「きれいに咲いたのを見たい」と期待を膨らませた。

2年ぶりに演奏会を開いた釜石商工高吹奏楽部

心を一つに10人が感謝の演奏~釜石商工高吹奏楽部2年ぶりの定演~

2年ぶりに演奏会を開いた釜石商工高吹奏楽部

2年ぶりに演奏会を開いた釜石商工高吹奏楽部

 

 釜石商工高吹奏楽部(佐藤諒華部長、8人)は7月25日、釜石市大町の市民ホールTETTOで第3回定期演奏会を開いた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で昨年度は中止したため2年ぶりの開催。顧問の教諭2人も演奏に加わり、持てる力を発揮。支えてくれた仲間や家族への感謝を込め演奏した。

 

 「Unite Our Sounds~笑顔と感謝を届けよう~」をテーマに掲げ、1部は滝廉太郎の「花」をアレンジした「花のプロセッショナル」で幕開け。今年の吹奏楽コンクールで演奏した「ふたつの伝承歌」へと続いた。2、3年生5人は、昨年のアンサンブルコンテストで発表した管楽五重奏「未だ見ぬ景色へ続く道」を披露した。

 

2・3年生は管楽五重奏でコンテスト出場曲を披露

2・3年生は管楽五重奏でコンテスト出場曲を披露

 

2部は虎舞委員会が出演。ステージを盛り上げた

2部は虎舞委員会が出演。ステージを盛り上げた

 

 2部は同校虎舞委員会が友情出演。演目「跳ね虎」を舞い、昨年度の全国高校総合文化祭にWeb出場した際の映像を見せながら、虎舞の由来や演目について解説した。最終3部はポップスステージ。テレビドラマや映画の主題歌、アニメ曲メドレーなど7曲をソロを交えて聞かせた。ネット配信で人気に火がついたYOASOBIの「夜に駆ける」など難曲にも挑戦。ブラスサウンドならではの心地良い音の響きで楽しませた。

 

人気の曲を集め、楽しませたポップスステージ

人気の曲を集め、楽しませたポップスステージ

 

部員のソロにも注目!カジュアルな雰囲気の第3部

部員のソロにも注目!カジュアルな雰囲気の第3部

 

 同部は本年度、1年生3人、2年生2人、3年生3人で活動する。少人数、コロナ禍と活動にはさまざまな苦労も伴ったが、演奏会に向けては1人1人が自分の役割を全うし、プログラム構成からステージ演出まで生徒主体で取り組んだ。

 

 佐藤部長(3年)は高校から吹奏楽を始め、1年時に副部長を任された。自らの演奏技術向上、リーダーシップに大きなプレッシャーを感じ、部長として迎える本演奏会に向けても「正直逃げ出したい」と思う時があったという。それでも頑張ってこられたのは、部員の協力や支えがあったから。「何とか最後まで乗り切れた。失敗もしたが、まとまった演奏ができたと思う」。後輩たちには「失敗を恐れず、仲間を信じてやり切ることを大事にしてほしい」と願った。

 

 顧問の太田柚子教諭(27)は「準備段階から生徒の自主性が随所に光った。生徒会や虎舞委員会、家族の協力もあって初めて成立した演奏会。周りに助けられて自分たちも頑張れたという経験は、今後の人生にも生かされるのでは」と話した。

37人の力を結集した釜石高吹奏楽部の定期演奏会

釜石高吹奏楽部、音楽部 コロナ禍に負けず熱演 定期演奏会で元気発信

生ブラスで輝く時間を 心躍るステージに観客も笑顔

 

37人の力を結集した釜石高吹奏楽部の定期演奏会

37人の力を結集した釜石高吹奏楽部の定期演奏会

 

 釜石高吹奏楽部(石村海帆部長、37人)の第88回定期演奏会は7月17日、釜石市大町の市民ホールTETTOで開かれた。1年生18人を迎え、例年より多い部員数で活動する同部。演奏会ではさらに厚みを増した音の響きで観客を魅了し、会場一体となって音楽の楽しみを味わった。

 

 3部構成のプログラム。1部は吹奏楽の醍醐味(だいごみ)を味わえる3曲。過去にコンクールの課題曲にもなった吹奏楽のための「風之舞」、今年のコンクールで同部が自由曲に選んだ交響詩「あんたがたどこさ」など、曲調の変化でストーリー性を感じさせる作品を届けた。

 

 2部は五輪イヤーにちなみ、テレビ中継各局がテーマソングに用いた曲など5曲を演奏。選手の活躍と重なる印象的な楽曲が観客の心を捉え、開幕を間近に控えた東京五輪への期待感を高めた。3部は人気グループのヒット曲やアニメソングのステージ。〝縄跳びダンス〟が話題となったNiziUの「Make you happy」など2曲は1年生部員がダンスパフォーマンスで盛り上げ、にぎやかなステージとなった。

 

1年生部員のダンスでステージは一層華やかに

1年生部員のダンスでステージは一層華やかに

 

休憩時間はアンサンブル演奏でも楽しませた

休憩時間はアンサンブル演奏でも楽しませた

 

 合間の休憩時間には各種楽器のアンサンブル演奏も披露。約350人の観客が生徒の頑張りをたたえ、盛んな拍手を送った。山田町の千代川博一さん(69)は、本年度入部した孫の陽琉さん(1年)の応援を兼ねて来場。同部の演奏は初めて聞くといい、「高校生の演奏はやはり音量や技術が違う。知らない曲も結構あったが楽しめた」と声を弾ませた。

 

ミッキーマウス・マーチでは各パートが楽器の魅力をアピール

ミッキーマウス・マーチでは各パートが楽器の魅力をアピール

 

 久しぶりの大所帯となった同部。コロナの影響が続く中、練習場所を増やしての〝密〟の回避、換気の徹底など感染防止対策を講じながら練習を重ねる。「昨年よりは練習時間を確保できているが、人前で演奏する機会は極端に減った。自分たちもお客様も共に楽しめる演奏会は気持ちが高ぶる。こういう場を大事にしたい」と石村部長(3年)。

 

 昨年度は中止され、2年ぶりの開催となった県吹奏楽コンクール沿岸地区大会(7月3、4日)では、高校小編成の部で金賞を受賞。1位通過で県大会出場を決めた。2日に北上市で開かれた県大会同部門には18校が出場。釜石高は銀賞だった。

 

部員7人が心を込め感動のハーモニー ミュージカルにも初挑戦

 

美しいハーモニーで観客を魅了する釜石高音楽部

美しいハーモニーで観客を魅了する釜石高音楽部

 

 釜石高音楽部(平松和佳奈部長、7人)は7月24日、市民ホールTETTOで第7回定期演奏会を開いた。会の実現へ協力してくれた同校の仲間、来場者に感謝しながら、最高のステージを届けた。

 

 3部構成の1部は「ア・カペラの響き」と題し、ラテン語の宗教曲「おお 聖なる宴よ」など3曲を披露した。2部は邦人作曲家による合唱曲。木下牧子作曲の「散歩」は4声部以上に分かれる難易度の高い曲で、練習の成果が光った。信長貴富編曲の「7つの子ども歌」からは「通りゃんせ」「ずいずいずっころばし」など4曲を抜粋。現代のアレンジでよみがえるわらべ歌は新鮮な感動を与えた。

 

 2部には、部員にOGがいる縁で「遠野少年少女合唱隊」が賛助出演。遠野地方に伝わるわらべ歌「ほたるのうた」「とんびとんび」などを聞かせ、演奏会を盛り上げた。

 

賛助出演した遠野少年少女合唱隊。地域を越えて合唱の輪を広げる

賛助出演した遠野少年少女合唱隊。地域を越えて合唱の輪を広げる

 

 3部は3年生が集大成としたミュージカル。名作「シンデレラ」のストーリーを同部オリジナル脚本で上演した。全部員で登場人物を演じ、各場面での歌が物語の世界観を高めた。アンコールは、震災を機に生まれた「群青」、「願い~震災を乗り越えて~」を歌唱。「願い―」は震災後、避難所となった釜石高体育館で当時の音楽部が歌った曲に作曲者が新たな歌詞を付けたもので、全国で歌い継がれる。

 

初挑戦のミュージカル「シンデレラ」。練習を重ねた演技、歌唱を大舞台で披露

初挑戦のミュージカル「シンデレラ」。練習を重ねた演技、歌唱を大舞台で披露

 

 甲子町の菊池幸紀さん(20)は「合唱曲もミュージカルも素晴らしい仕上がり。感動した。コロナ禍でも生徒たちの力を発揮する場は必要。鑑賞の機会は観客にとってもありがたい」と喜んだ。

 

 同部は本年度1年生2人、3年生5人で活動。演奏会にはピアノ伴奏や裏方スタッフで吹奏楽部など他部の生徒が協力。平松部長(3年)は「多くの支えをいただき、何とか成功できた。人数も少なく不安が大きかったが、出来は上々。自分たちも楽しんでやれた」と達成感をにじませた。

 

とびきりの笑顔でミュージカルを締めくくる部員ら

とびきりの笑顔でミュージカルを締めくくる部員ら

 

 前日には不来方高、前週には宮古高の定期演奏会に出演。震災後につながった両校との絆は今も途絶えることなく続く。震災から10年―。「私たちも大きな力をもらってきた。後輩にもつないでいってほしい」と平松部長。今月下旬に予定される全日本合唱コンクール県大会では「みんなが後悔なく、いい演奏ができれば」と願う。

作者の小野寺浩さんと、7月に開かれた「サムディ45」作品展で紹介した色鉛筆・パステル画

美術集団「サムディ45」小野寺さん、日仏美術展に初挑戦で初入選

作者の小野寺浩さんと、7月に開かれた「サムディ45」作品展で紹介した色鉛筆・パステル画

作者の小野寺浩さんと、7月に開かれた「サムディ45」作品展で紹介した色鉛筆・パステル画

 

 「第22回 日本・フランス現代美術世界展」(JIAS日本国際美術家協会主催)に色鉛筆画「三陸虎の舞い」を初出展した釜石市の美術集団「サムディ45」所属の小野寺浩(ゆたか)さん(61)=甲子町=が、このほど初入選を果たした。「素直にうれしい。虎舞をモチーフにシリーズ化したいと考えており、作品に向かう意欲も高まった」と力を得ている。

 

 同展は、フランスやオランダなど海外の著名作家作品と、公募により選出された邦人作家作品が合同展示される展覧会。フランスの老舗サロン「サロン・ドトーヌ」が特別協賛する。油彩画や日本画などの平面作品に加え、ガラス工芸や彫刻、建築デザインなど、多様な分野の作品を受け入れている。

 

 「三陸虎の舞い」(縦100センチ、横80・3センチ)は、地元の郷土芸能「虎舞」をモチーフに、色鉛筆とパステルを併用し色彩豊かに仕上げた作品。釜石も試合会場となった2019年のラグビーワールドカップ日本大会を盛り上げようと、地元の高校生が披露した躍動感あふれる演舞に心を引かれ、題材に選んだ。東日本大震災発生から復興を進める中、日々変化する地域を元気づけ、人をつなげてきた郷土芸能の価値を見つめてもらいたいとの願いも込めた。

 

入選作品「三陸虎の舞い」

入選作品「三陸虎の舞い」

 

 小野寺さんは4年ほど前、市内のパステル画教室に参加したのをきっかけに本格的に絵を描き始めた。もともと色鉛筆画に興味があったことから、画材を併用した作品づくりも開始。サムディや陸前高田市の美術団体に所属し、地元の美術展への出品などを通じ、画力を磨いてきた。

 

 初出展初入選に、「モチーフが良かった。世界から見ると、まだ知られていない、飽きていないものだったのだろう」と控えめに話す小野寺さん。自分の絵が世界的に認められたとの実感もあるようで、「世界観が変わる入り口にいる感じ。走り出したばかりだが、どんな変化があるか楽しみ」と、この先に広がる景色を思い描いている。

 

 第22回展は8月5日~15日に東京・六本木の国立新美術館で開催。小野寺さんの作品も展示される。今回、全国から約200人の公募があり、入選したのは約150人。海外の招待作家作品と合わせ、約500点が出展されるという。

野田市長(左)に全国での活躍を誓う釜石高の選手代表

高総体、定通制大会で練習成果を存分に 釜石高生が意気込み

野田市長(左)に全国での活躍を誓う釜石高の選手代表

野田市長(左)に全国での活躍を誓う釜石高の選手代表

 

 北信越5県(福井、新潟、富山、石川、長野)を中心に開催される2021年度全国高校総合体育大会(インターハイ)と、東京都などで行われる全国高校定時制通信制体育大会に釜石高から出場する選手代表5人が19日、釜石市役所を訪れ、野田武則市長に決意を伝えた。

 

 インターハイは7月25日、定通制大会は同30日に競技が始まり、それぞれ1カ月間熱戦が繰り広げられる。インターハイには同校から空手道に13人、弓道に1人が出場。定通制大会には同校定時制から陸上競技、卓球に各1人が参加する。

 

 同校は男女ともに空手道団体組手で出場する。男子主将の和田悠佑君(3年)は「3年間練習した成果を発揮できるよう頑張る」と意欲満々。女子主将の女澤美晴さん(同)は「無観客での開催だが、支えてくれた人たちへの感謝を込めて臨む。仲間とともに出場する最後の大会。楽しみながら悔いのない戦いをしたい」と熱い思いを伝えた。

 

全国大会に臨む決意を伝えた生徒たちを野田市長が激励した

全国大会に臨む決意を伝えた生徒たちを野田市長が激励した

 

 弓道部の亀井美冬さん(3年)は個人戦に臨み、全国から集まる選手と競い合う。「3年間の集大成として、いい試合をしたい」と前向き。暑い日が続く中でも練習を重ね、万全の状態で大会を迎える準備を進めている。

 

 同校定時制から陸上競技の男子100メートルに出場する阿部雄一君(4年)は「4年間陸上を頑張ってきた。最後の大会になるので、力を絞り出し限界に挑戦したい」と気合十分。卓球の個人戦に挑む越田凜姫(りめか)さん(同)は「一球一球に集中したい」と抱負を語った。

 

 野田市長は「いろんな経験を積むことが成長のきっかけになる。精いっぱい努力した分だけ得るものがある。がんばれ」と激励した。

 

高校総体などの出場者は次の通り。

 

■釜石高
【空手道】(富山県上市町/8月13日―15日)
▽男子団体組手=和田悠佑、鈴木光、似田貝尚人、佐々木鉄馬(3年)、佐藤蓮太、岩間武蔵(2年)、松田郷佑(1年)
▽男子個人組手=佐藤蓮太、鈴木光
▽男子個人形=坂本嘉之(1年)
▽女子団体組手=女澤美晴、藤原充葉、佐藤真鈴(3年)、菊池瑠唯(2年)、佐々木來愛(1年)
▽女子個人組手=女澤美晴、藤原充葉
▽女子個人形=佐藤真鈴
【弓道】(新潟県上越市/7月29日―8月1日)
▽女子個人=亀井美冬(3年)
 
■釜石高定時制
【陸上競技】(東京都世田谷区/8月22日―24日)
▽男子100㍍=阿部雄一(4年)
【卓球】(奈良県奈良市/8月4日―6日)
▽女子個人=越田凜姫(4年)

佐伯悠さんの指導が行われた釜石高、釜石商工高ラグビー部の合同練習=11日

釜石市ラグビー人財育成専門員・佐伯悠さん 市内の高校生に指導開始

ラグビー人財育成専門員として高校生への指導を始めた佐伯悠さん(後列右)

ラグビー人財育成専門員として高校生への指導を始めた佐伯悠さん(後列右)

 

 釜石市のラグビー人財育成専門員として1日付けで着任した元釜石シーウェイブス(SW)RFC選手の佐伯悠さん(36)が、10日から市内2高校のラグビー部の指導を開始した。佐伯さんは「スポーツをやるからには絶対勝ってほしい。自分が培ってきた技術や経験をしっかりと伝え、試合に勝つための準備に全力を尽くしたい」と意気込む。

 

 釜石高ラグビー部(9人)と釜石商工高同(10人)は本年度、試合に必要な選手数を確保できないため、合同チームとして大会に出場する。佐伯さんは、毎週土・日曜日に両校部員が集まる合同練習で指導にあたることになり、10、11の両日、商工高グラウンドで行われた練習から専門員としての指導を開始した。

 

 11日は両校から14人が指導を受けた。佐伯さんはプレーの基本となるパスやキック、タックルに加え、フォワードの選手らにスクラムやラインアウトのリフティングを指導。約2時間半の練習後、「試合の相手を意識して練習することが大切。その先には勝つこと。釜石でラグビーをやる誇りを持ち、頑張っていこう」と呼び掛けた。

 

佐伯悠さんの指導が行われた釜石高、釜石商工高ラグビー部の合同練習=11日

佐伯悠さんの指導が行われた釜石高、釜石商工高ラグビー部の合同練習=11日

 

タックルの基本を実践する部員ら

タックルの基本を実践する部員ら

 

平日練習のキーポイントなどを伝える佐伯さん

平日練習のキーポイントなどを伝える佐伯さん

 

 釜石高の川﨑瞭主将(3年)は「1つ1つのプレーが実際の試合でどんな意味を持つのかなど、より深く教えてもらえるので勉強になる。勝たなきゃという気持ちが生まれる」と刺激を受けた様子。合同チームのゲームキャプテンを務める商工高の三浦一真主将(3年)は「(2日間で)みんなうまくなってきている。パスをつなげたいので、効果的な練習法を教えてほしい」と意欲的。8月27日に開幕する全国高校ラグビー選手権県予選に向け、「個々が実力を発揮し、みんなで支え合えるチームに」と力を込めた。

 

 商工高同部顧問の稲生太貴教諭は佐伯さんの指導を「本当に心強い。足りない所、基本的な部分で最初から教えてもらえるのはありがたい。部員たちも言われたことを考えながら実践している」と歓迎。今後の実力向上に期待を寄せた。

 

ラインアウトのジャンパーの姿勢を佐伯さん自ら手本を示す 

ラインアウトのジャンパーの姿勢を佐伯さん自ら手本を示す 

 

フォワード陣によるラインアウト練習

フォワード陣によるラインアウト練習

 

 佐伯さんは関東学院大卒業後の2007年に釜石SWに加入。11年に主将となり、3年間チームをけん引した。20年に退団し、出身地神奈川県に戻ったが、釜石市が始めた「ラグビー人財育成プロジェクト」を知り、同専門員に応募。指導者として再び釜石で手腕を発揮することになった。日本ラグビー協会やワールドラグビーが認定するコーチ資格を持つ。

 

 「部員たちはすごく真っすぐ。成長が楽しみ」と佐伯さん。ラグビーが土壌としてある釜石で、小・中・高と続けられる環境の必要性を強く感じてきた。「一貫性を作れる機会が得られてうれしい。子どもたちの特性を伸ばしていきたい」と今後を見据える。小・中学生への指導も順次、行っていきたい考えだ。

ジャガイモ栽培体験に取り組んだ子どもたちは「大きいの、とったよー」と豊かな実りを喜んだ

「すげー」ジャガイモごろごろ~甲東こども園 収穫体験

真剣な表情でイモ堀りに取り組む園児たち。最初はイモの茎だけが手に残って残念がる子もいた

真剣な表情でイモ堀りに取り組む園児たち。最初はイモの茎だけが手に残って残念がる子もいた

 

 釜石市野田町の甲東こども園(野田摩理子園長、園児145人)は14日、近くにある同園の「ちびっこ農園」でジャガイモ堀りを行った。年長児38人が約30キロを収穫。「すげー、とれたねー」と大はしゃぎだった。

 

 「でっかいイモ、ほるぞー。エイエイオー」との掛け声で気合いを入れ、畑に入った園児たち。イモの茎をつかみ、ありったけの力で引き抜いた。最初は茎だけが手に残って「なかった」と気を落としたり、勢い余って尻もちをつく子も。めげずに手で土を掘り出すとジャガイモが次々と顔を出し、「わー、大きい」「まだ出てくるー」などと歓声を上げた。

 

「みてみてー」と自慢したり、収穫の楽しさを体感する子どもたち

「みてみてー」と自慢したり、収穫の楽しさを体感する子どもたち

 

 平野志磨ちゃん(5)は「大きいの、とった。小さいのも、かわいかった。たくさんとって楽しかった。ポテトチップにして食べたい」と笑った。

 

 ジャガイモ栽培体験は食育の一環。恵まれた自然環境を保育に取り入れ、子どもたちに食べ物や植物への関心を持ってもらおうと実施している。年長児は4月に約1アールの畑にキタアカリの種イモを植え付け、草取りなど手入れをしたり、成長の様子を観察してきた。

 

ジャガイモ栽培体験に取り組んだ子どもたちは「大きいの、とったよー」と豊かな実りを喜んだ

ジャガイモ栽培体験に取り組んだ子どもたちは「大きいの、とったよー」と豊かな実りを喜んだ

 

 収穫したジャガイモは園行事のお泊り会でカレーの具材となり、みんなで味わった。

海図第1号の複製パネルを手にする松吉慎一郎部長(右)と山陰宗真君

広く深く海に関心を~「海図第1号」複製寄贈 釜石市に第2管区海保本部

海図第1号の複製パネルを手にする松吉慎一郎部長(右)と山陰宗真君

海図第1号の複製パネルを手にする松吉慎一郎部長(右)と山陰宗真君

 

 船が安全に航行できるよう、海岸の地形や水深、灯台などの目標物を分かりやすく示した海の地図「海図」。150年前に近代的技術を用いた日本単独の海図づくりが始まり、最初の作成地となったのは釜石市だった―。12日、「陸中國釜石港之圖(りくちゅうのくにかまいしこうのず)」と題された海図第1号の複製パネルが市に贈られた。海上保安庁の海図150周年記念事業の一環。市では教育委員会を通じ市内全14小中学校に届け、海との関わりや歴史を学ぶ機会に活用してもらう。

 

 国内では1871(明治4)年、兵部省海軍部に水路局(現同庁海洋情報部)が設置され、日本人の手だけで海洋調査から海図作成までを一貫して行う「水路業務」がスタート。今年は150年の節目に当たる。72(同5)年、水路局によって初めて刊行されたのが、釜石港の海図だった。当時の釜石は、東京―函館間航路の中間補給地点として重要な港であったことに加え、官営製鉄所が建設される直前だったこともあり、船舶の安全性や利便性を確保するために作成された。

 

 贈呈式は釜石市役所で行われ、第2管区海上保安本部(宮城県塩釜市)や市の関係者、代表校の児童らが出席。釜石海上保安部の松吉慎一郎部長が双葉小児童会長の山陰宗真君(6年)にパネルを手渡した。

 

 贈られたのは原物(縦25・3センチ、横31・7センチ)を約2倍に拡大したもの。「第1号になった土地の海を誇りに、興味を持っていきたい」と山陰君。釣りが好きで釜石港も釣り場の一つと言い、「海の深さとかが細かく書かれていて、必要で大切なものだと思う」とうなずいた。

 

海保本部の関係者が海図に書かれた文字などを解説した

海保本部の関係者が海図に書かれた文字などを解説した

 

 松吉部長は「日本が近代化を図っていく時に選ばれ、当時から重要な要衝であった証し。海図を通じ、広く深く海に関心を持ってもらえたら。地域の誇りとして受け継いでほしい」と期待。同席した野田武則市長は「脈々と続く歴史の重み、誇りを大切に、海とともに生活していく中で新しい発展を目指していく」と港湾の重要性を再認識した。

 

 記念事業の一環として、29日まで盛岡市の県立図書館でパネル展を実施している。10月には釜石市鈴子町のシープラザ釜石でも同様の展示を開催する予定。複製パネルは市内の高校2校にも贈られた。

いのちをつなぐ未来館で震災学習プログラムを体験する参加者

教育旅行誘致へ策探る~南いわて連携連絡会議、鵜住居で視察・研修

いのちをつなぐ未来館で震災学習プログラムを体験する参加者

いのちをつなぐ未来館で震災学習プログラムを体験する参加者

 

 教育旅行誘致を図る「南いわて連携型教育旅行推進連絡会議」の視察・研修は8日、釜石市鵜住居町内で行われた。津波伝承施設「いのちをつなぐ未来館」で学習プログラムを体験したほか、修学旅行の受け入れ状況など情報を交換。広域連携で効果的な教育旅行の提案につなげる考えだ。

 

 同会議は、北上市を除く県南広域振興局管内7市町と、大槌町以南の沿岸5市町の行政機関、観光協会など関係28団体によって2019年度に立ち上げられた。県南振興局経営企画部が事務局となり、沿岸部の震災学習と平泉の世界遺産を柱にした教育旅行推進体制の構築や修学旅行の受け入れなどを進め、地域観光の魅力創出について認識を深めている。

 

 約30人が参加。未来館では、東日本大震災の被災状況や釜石の子どもたちの避難行動などに関する施設スタッフの説明に耳を傾けながら展示物を見て回った。実際に児童生徒が体験する学習プログラムに触れ、施設に理解を深めた。

 

 会議は鵜住居公民館に会場を移して開催。県の観光統計によると、20年度の教育旅行客の入り込みは学校数が延べ4243校(19年度比30・8%増)、児童生徒数は22万5480人回(同5・5%増)で、震災前の10年度以降では最多となっている。

 

鵜住居公民館では修学旅行の受け入れ状況などをもとに意見交換した

鵜住居公民館では修学旅行の受け入れ状況などをもとに意見交換した

 

 新型コロナウイルス感染症の影響で行き先を近場に変更する傾向があり、県内や東北地方からの入り込みが増加。各市町や団体による受け入れ状況の報告でも、その傾向を実感する声が多かった。現状を「特需」で終わらせないため、震災・防災学習のほか、「SDGs(持続可能な開発目標)をキーワードにした学びを売りにすべき」といった意見も出た。

 

 県南振興局観光商業・食産業課の荒濱清一課長は「市町の単独では対応できないこともある。近隣市町や、沿岸、内陸という広域で連携を進め、より良い旅行プランづくりにつながっていけば」と期待した。

環境大臣表彰を受けた加藤直子さん(前列中央)と伝達式に出席した県、市の職員ら

甲子町の加藤直子さん 長年の環境保全活動で「環境大臣表彰」受賞

環境大臣表彰を受けた加藤直子さん(前列中央)と伝達式に出席した県、市の職員ら

環境大臣表彰を受けた加藤直子さん(前列中央)と伝達式に出席した県、市の職員ら

 

 身近な生き物観察による環境学習や地球温暖化防止活動で環境保護意識の普及啓発に尽力してきた釜石市甲子町の加藤直子さん(74)が、環境大臣から表彰を受けた。自らの経験を踏まえ、自然との共生、地球環境に目を向ける大切さを訴え続ける加藤さん。表彰は「共に活動してきた仲間たちを代表していただいたもの」と感謝し、活動継続に意欲を示す。

 

 加藤さんは、環境省が6月の環境月間に合わせて行う環境大臣表彰3部門のうち、「地域環境保全功労者」として、本年度の受賞者に選ばれた。同部門では本県から唯一の受賞。2日、表彰伝達式が新町の釜石地区合同庁舎で行われ、県沿岸広域振興局の森達也局長から表彰状が手渡された。小泉進次郎環境大臣のメッセージも伝えられた。

 

 加藤さんは北九州出身。3歳の時に釜石に移住し、自然豊かな甲子川流域で育った。子どものころからカエルや昆虫が大好き。自身の子育てでも、「子どもには自然と触れ合う経験が必要」と強く感じてきた。49歳から環境に関わる取り組みを本格化。「身近な生き物に触れる感動を味わってほしい」と、市内3カ所にビオトープ(生物生息空間)を整備し、環境教育に役立ててきた。

 

加藤さんが講師を務めた鵜住居小児童の環境学習(2006年)を記録したアルバム=加藤さん所有

加藤さんが講師を務めた鵜住居小児童の環境学習(2006年)を記録したアルバム=加藤さん所有

 

片岸町のビオトープで生き物探しをする鵜小児童。この場所は震災の津波で流失した

片岸町のビオトープで生き物探しをする鵜小児童。この場所は震災の津波で流失した

 

鵜住居小の教室で事前学習を行う加藤さん

鵜住居小の教室で事前学習を行う加藤さん

 

 1997年から釜石市のこどもエコクラブ「アースレンジャーかまいし」のサポーターを務める。生き物観察を通じて子どもたちに命の尊さを教え、人間も自然環境の中で生かされていること、その自然を自分たちで守っていかなければならないことを伝え続けてきた。

 

 2005年には同市地球温暖化対策地域協議会の発足に関わり、代表に。エコドライブや環境家計簿の普及活動を推進し、ごみ減量や二酸化炭素排出削減に取り組む。同振興局土木部の「甲子川の明日を語る会」委員(96年~)、県環境アドバイザー(03年~)としても活躍する。

 

 志を同じくする仲間と03年に立ち上げた民間団体「かまいし環境ネットワーク」(加藤代表)では、河川や海辺の清掃活動を通して市民の環境理解、保護意識高揚を促す。東日本大震災後は、津波で流失した絶滅危惧植物「ミズアオイ」の復活に子どもたちと取り組み、注目を集めた。

 

ミズアオイ復活への取り組みを紹介する新聞記事=復興釜石新聞(2012年9月)

ミズアオイ復活への取り組みを紹介する新聞記事=復興釜石新聞(2012年9月)

 

ミズアオイを育成する田んぼで行われたこどもエコクラブの生き物探し(2013年7月)

ミズアオイを育成する田んぼで行われたこどもエコクラブの生き物探し(2013年7月)

 

 長年にわたる活動で一番心に残るのは「ビオトープ」。加藤さんは「卵を産んで次の世代に命をつないでいく姿を繰り返し見られるのはうれしい。その営みを子どもたちにも見てほしい。小さな生き物との出会いによって、命を守っていける能力を身に付けてもらえれば」と期待。一方で、カエルやトンボ、チョウなど子どもたちに身近な生き物が確実に減ってきている現状も危惧し、「多様な自然が失われている。いろいろな生き物が住めるような環境を取り戻したい」と新たなビオトープ構想に夢を描く。

フルートの佐々木勤子さんらと届けた「ユーミン・オールディーズ」。女声合唱でよみがえる名曲の数々に観客も大喜び

アンサンブル・ル・シエル 歌い込んだハーモニー2年ぶりに披露

合唱用の飛沫(ひまつ)防止マスクを着用して歌うアンサンブル・ル・シエルのメンバー

合唱用の飛沫(ひまつ)防止マスクを着用して歌うアンサンブル・ル・シエルのメンバー

 

 釜石市の女声合唱グループ「アンサンブル・ル・シエル」(中村玲代表)は6月20日、大町の市民ホールTETTOで7回目のコンサートを開いた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で昨年は中止したため、2年ぶりの開催。観客約50人が美しい歌声とハーモニーに酔いしれ、コロナ禍を忘れる心潤うひとときに笑顔を広げた。

 

 指導者の木下佳子さんの指揮で、賛助出演を含む12人のメンバーが1年間温めてきたプログラムを届けた。オープニングを飾ったのは、髙田三郎作曲の「雅楽の旋法による聖母賛歌」。クリスチャンで、女声合唱のための典礼聖歌を数多く残している髙田氏の代表作をア・カペラで歌い上げた。

 

 ア・カペラは相澤直人作品選集からも。谷川俊太郎、工藤直子、みなづきみのり作詩の7曲を聞かせ、祈りや希望が染み入る曲に観客が聞きほれた。最後は松任谷由実のヒット曲をメドレーで送る「ユーミン・オールディーズ」(信長貴富編曲)。ゲストの佐々木洋子さんのピアノ、佐々木勤子さんのフルートと共演し、にぎやかなステージで締めくくった。佐々木さんらは合唱の合間に楽器演奏でも魅了した。

 

フルートの佐々木勤子さんらと届けた「ユーミン・オールディーズ」。女声合唱でよみがえる名曲の数々に観客も大喜び

フルートの佐々木勤子さんらと届けた「ユーミン・オールディーズ」。女声合唱でよみがえる名曲の数々に観客も大喜び

 

素晴らしい歌声に盛んな拍手を送る観客

素晴らしい歌声に盛んな拍手を送る観客

 

 大渡町の女性(69)は「よくここまで練習されて。聞いていて涙がにじんだ。やっぱりコーラスっていいなあと思ってね」。自身も合唱団体に所属しており、「コロナが落ち着いたら、自分たちも活動していきたい」と心待ちにした。

 

 2013年に結成した同グループは年に1回のコンサートを継続してきた。昨年はコロナ禍で中止の判断を下したが、今年は観客、出演者、会場形態とあらゆる面を考慮した感染防止策を講じて開催。振り付け、衣装替えなどの演出もなくし、公演時間も通常より短縮した。

 

 「直前まで開催できるか不安だったが、無事にできて何より。音楽を聞く機会がなかったお客様が少しでも楽しみ、鬱々(うつうつ)とした気分を晴らしてもらえたなら幸い」と中村代表(38)。メンバーの約半数は市外在住のため、全員そろっての練習がなかなかできなかったというが、発表できた喜びにメンバーは充実の表情を見せた。