唐丹町大石・屋形遺跡で発掘調査体験 唐丹小児童 地域の歴史に興味津々


2021/08/20
釜石新聞NewS #文化・教育

縄文土器のかけらなどを掘り当てた子どもたち

縄文土器のかけらなどを掘り当てた子どもたち

 

 釜石市唐丹町大石の国史跡「屋形遺跡」で5日、小学生を対象にした発掘調査体験が行われた。唐丹小(柏﨑裕之校長)の4、5年生13人が挑戦。土の中から土器のかけらを見つけると「あった!」と歓声を上げた。

 

 同遺跡は東日本大震災の復興事業に伴う発掘調査で出土。縄文時代中期末から後期初頭(4000~3800年前)を主体とする竪穴住居や貯蔵蔵の遺構とともに、三陸沿岸では数少ない希少な事例の貝塚が発見された。三陸沿岸のなりわいの実体を示す遺跡として重要であることなどが評価され、今年3月に国史跡の指定を受けた。

 

 市文化振興課が遺跡の大きさなどを確認する試掘調査を進めていて、子どもたちに郷土の歴史に親しんでもらおうと企画。体験用に設けられた発掘現場に入った子どもたちはスコップなどで少しずつ土を掘り、埋まっている“何か”が見えたら、丁寧に周りの土を取り除いていくという作業を繰り返した。最初に何かを見つけて「ドキドキする」と胸を高鳴らせていたが、結果は石で「残念」と肩を落とす子も。めげずに掘り進めると、表面に紋様のある土器や石器のかけらが次々と見つかった。

 

屋形遺跡で発掘体験を行った小学生ら。地道な作業を熱心に続けた

屋形遺跡で発掘体験を行った小学生ら。地道な作業を熱心に続けた

 

 同課の加藤幹樹主任(36)は「見つかったものは約2300~4800年前のもの。唐丹では古くから魚を捕って暮らしていた」と解説した。試掘調査を行っている現場も案内。途中にある畑や草地に目をやると、縄による模様付けをされた土器のかけらが転がっていて、「普通にかけらが落ちている。この遺跡のすごさが分かる」と強調した。

 

子どもたちは試掘調査の現場も見学して地域の歴史に関心を寄せた

子どもたちは試掘調査の現場も見学して地域の歴史に関心を寄せた

 

 児童らは竪穴住居跡なども見学し、縄文時代から海の恩恵を受けて暮らしていた集落の様子を想像。鈴木琳雅君(5年)は「(土器のかけらが)簡単に出てきてびっくり。自分の住んでいるところにすごいものがあると思った。いろんなことを知った。また発掘してみたい。夏休みの思い出にもなった」と満足げだった。

 

 試掘調査は8日まで実施。市では今後は一般見学の受け入れを目指した整備・活用方法を探る考えだ。

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