ラグビーW杯から2年 釜石東中生「絆の日」の活動で感謝の思い新たに
復興スタジアムの座席清掃に励む釜石東中生
釜石市の釜石東中(米慎司校長、生徒97人)は4日、地元の釜石鵜住居復興スタジアムで清掃活動を行い、震災復興支援への感謝の気持ちを表した。同スタジアムは、東日本大震災の津波で被災した同校の跡地に建つ。2019年のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の会場となった。生徒らは活動を通して世界と結ばれた絆を再確認し、震災と復興の記憶の継承、地域への貢献に意を強くした。
同活動は、ラグビーW杯のレガシーを継承する「絆の日」の取り組みの一環。市内14小中学校の児童・生徒でつくる「かまいし絆会議」が、釜石で試合が行われた9月25日を記念日に定め、各校で思いをつなぐ活動を展開している。
釜石東中は生徒会が中心となって活動を計画。絆会議が作詞し、W杯会場で歌った「ありがとうの手紙」の校内放送やスタジアム清掃などに取り組んだ。スタジアムでは学年ごとに手分けし、客席のシートを雑巾で水拭き。座席のすきまから生えた雑草も取り除いた。3年生有志が扮(ふん)する同校伝統の津波防災キャラクター「てんでんこレンジャー」は、スタジアムの看板をきれいにした。
ラグビーW杯に思いをはせながら丁寧に水拭き
「てんでんこレンジャー」は入り口看板を清掃
レンジャーは、スタジアムを汚す“ホタテ怪人”と戦う寸劇を披露。「当たり前に思う平和な日常は、誰かの努力や協力で成り立っていることを忘れてはいけない」とメッセージを発信し、全生徒で感謝の気持ちを込めたダンスを披露した。曲は人気グループ「EXILE」の復興支援チャリティーソング「Rising Sun」。同校の先輩たちがメンバーから直接指導を受け、18年のスタジアムオープニングイベントで踊った、東中自慢のダンスパフォーマンスだ。
大切なスタジアムを守ろうとホタテ怪人と戦うてんでんこレンジャー
「Rising Sun」のダンスパフォーマンスで感謝の気持ちを発信
先輩方の思いを引き継ぎ、心を一つに踊る生徒
レンジャーとして同活動を率いた前川威吹君(3年)は「W杯当時、台風で試合ができなかった選手たちが市内の土砂撤去を手伝ってくれた。今日は震災から続く多くの支援に少しでも恩返しできたかな。この場所を釜石市の象徴として、大切にしていってほしい」と願った。
生徒会長の佐々木健心君(3年)は「震災から10年。東中があったこの場所で感謝の気持ちを伝えたいと思った。先輩たちから『つないでほしい』と言われたダンスも、みんな全力で踊ってくれて一体感が生まれた。世界が注目した9月25日を忘れることなく、震災やW杯を継承していくことが必要」と後輩たちの活動に期待した。
釜石新聞NewS
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