2年ぶりの再会に笑顔満開! 陶芸家きむらさん釜石・大槌住民と交流
イベントを開いたきむらとしろうじんじんさん
京都を拠点に活動する陶芸家のきむらとしろうじんじんさんが3日、釜石市大町の市民ホールTETTOで、楽焼茶わんを焼いて抹茶を楽しむ野だてイベントを開いた。東日本大震災後、被災した釜石市、大槌町を継続して訪れ、住民らと交流を深めるきむらさん。TETTOでのイベントは昨年10月に予定されていたが、新型コロナウイルス感染症の影響で中止となっていた。今回、待望の訪問が実現し、両市町の住民らが芸術の秋を満喫した。
参加者が体験したのは素焼きした器への絵付け。好みの形を選び、さまざまな色の釉薬(ゆうやく)で思い思いの模様を施した。約800度に熱した窯で焼き上げた後、新聞紙を燃やした缶の中でいぶした(焼き+いぶし約1時間)。いぶすことで、色の劇的変化も楽しめるという。取り出した後、水に入れて冷まし、やすりで磨いて仕上げた。
イメージを膨らませ、茶わんの絵付けに挑戦
窯から出した茶わんをいぶし用の缶に移す
同市大平町の菊池詩子さん(61)は「焼き上がると、イメージした模様と全く違った。できてみないと分からない面白さがある。仕上がりは上々」と大満足。独特の風貌のきむらさんを「一度見たら忘れない姿」と思い出に刻み、「何年かに1回でも来ていただけると、にぎわいの場にもなりそう。自分の作品が1つずつ増えていく楽しみも味わえる」と継続来訪を期待した。
会場では、焼き上げた茶わんで抹茶をいただくことも可能。きむらさんが自ら茶をたて、来場者に振る舞った。
絵付けをし、焼き上がった器の出来栄えは?
自ら抹茶をたて、来場者を迎えるきむらさん
きむらさんは1967年、新潟県生まれ。京都市立芸術大で陶芸を学んだ。95年から同スタイルの野だてで全国各地を回り、焼き物や茶の魅力を伝えている。2011年の大震災後は東北の被災地に心を寄せ、12年秋の大槌町での復興支援イベントを機に毎年、釜石・大槌地域への来訪を続けてきた。
きむらさんの作業を見つめるスタッフ、来場者ら。ボランティアには約20人が協力した
「手伝ってくれる地元のボランティアスタッフ、住民の皆さんとも顔なじみになっていただけに、昨年来られなかったのがすごく寂しくて」ときむらさん。この日は2年ぶりの再会を抱き合って喜ぶ姿も見られた。「通りすがりの人が記念撮影したり、純粋に茶わん目的で来たり、自由に楽しんでくれるこの風景が何より大好き。今後も来られる限りは来ます。ぜひ遊びに来てください」とメッセージを残した。
釜石新聞NewS
復興釜石新聞を前身とするWeb版釜石新聞です。専属記者2名が地域の出来事や暮らしに関する様々なNEWSをお届けします。取材に関する情報提供など: 担当直通電話 090-5233-1373/FAX 0193-27-8331/問い合わせフォーム