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釜石市民劇場キャストの稽古=1月27日夜、市民ホールTETTO

釜石市民劇場 唐丹の天文学者・葛西昌丕をめぐる物語で3月6日公演へ

釜石市民劇場キャストの稽古=1月27日夜、市民ホールTETTO

釜石市民劇場キャストの稽古=1月27日夜、市民ホールTETTO

 

 第35回釜石市民劇場(同実行委主催)は、江戸時代の唐丹村で名をはせた天文学者・葛西昌丕(まさひろ)の人物像をフィクションで描く創作劇。3月6日に大町の市民ホールTETTOでの公演を予定する。新型コロナウイルス禍で2年ぶりとなる公演に向け、キャスト、スタッフらは気合い十分。本番まで1カ月余りとなり、熱のこもった稽古を続けている。

 

 葛西昌丕(1765―1836)は唐丹村本郷生まれ。葛西家は代々、五十集(いさば=水産加工)を営む地元の名家で、昌丕は若くして勉学の道へ。仙台で国学、天文地理などを学んだとされる。江戸幕府の命で全国を測量して歩いた伊能忠敬が唐丹を訪れた際に、関わりがあったとの説もあり、昌丕は測量から13年後の1814年に忠敬の偉業を記した石碑を建立している。同所の緯度と周りに星座名を刻んだ星座石も残し、これらは忠敬の測量事績を江戸時代に示したものとしては全国唯一とされる。1985年に県指定文化財となった。

 

葛西昌丕が建立した「陸奥州気仙郡唐丹村測量之碑」写真提供=市文化振興課

葛西昌丕が建立した「陸奥州気仙郡唐丹村測量之碑」写真提供=市文化振興課

 

唐丹の緯度(北緯39度12分)を中心に星座名を刻んだ「星座石」写真提供=市文化振興課

唐丹の緯度(北緯39度12分)を中心に星座名を刻んだ「星座石」写真提供=市文化振興課

 

 今回の市民劇場の脚本は同実行委の久保秀俊会長(73)が執筆。劇中では昌丕の功績はナレーションでの紹介にとどめ、人物像に焦点を当てる。「人間味のある人だった」という資料の一文から発想を膨らませ、地域の人たちとの関わりをフィクションで描いた。歴史資料によると、葛西家は明治三陸大津波で滅亡。一家や昌丕個人の私生活を詳しく記した資料はなく、地元で伝え聞く人も今となってはいないという。

 

 久保会長は「私財を投げ打って地域に新道を造るなど、科学者だけでなく人格者としても尊敬に値する人物だったのではないか。人にやさしく接し、話をよく聞いてあげただろう姿を想像し物語を書いた」と話す。二幕十場、約2時間の公演予定で、劇の前には地元本郷の「桜舞太鼓」がステージを盛り上げる。

 

 キャストは小学生から60代まで14人で、4人が初挑戦。昨年11月末から稽古を開始し、今はセリフと動作を組み合わせながら演技の基礎固めを行う。久保会長が総監督を務め、キャストの武田仁一さん(71)、小笠原景子さん(37)が助演出を兼ねる。舞台制作も始まっており、今後、キャストの協力も得ながら準備を進めていく。

 

地元言葉のイントネーションを教える助演出の武田仁一さん(右)

地元言葉のイントネーションを教える助演出の武田仁一さん(右)

 

現在、週4回ほどのペースで稽古を続けるキャスト。観客に楽しんでもらおうと熱心に励む

現在、週4回ほどのペースで稽古を続けるキャスト。観客に楽しんでもらおうと熱心に励む

 

総監督を務める久保秀俊実行委会長。今作品の脚本も手掛けた

総監督を務める久保秀俊実行委会長。今作品の脚本も手掛けた

 

 市民劇場初参加の西山彩菜さん(16)は、物語の主要人物となる「おユキ」役。「本心を出せず、どこか強がっている子ども。自分とは正反対」と役柄を分析。「本番では、おユキがこの場にいると錯覚させたい。ベテランの先輩たちに負けないよう、存在感を放っていけたら」と意気込む。

 

葛西昌丕役の久保修二さん(右)とおユキ役の西山彩菜さん

葛西昌丕役の久保修二さん(右)とおユキ役の西山彩菜さん

 

 主人公「葛西昌丕」役は久保修二さん(54)。20代初めに出演経験があり、一昨年の前回公演で約30年ぶりに復帰した。釜石出身で、自営業を営む花巻市から稽古に通う。初めての主役抜てきに「(多くの人と絡むので)相手とのセリフの間に苦労している」と難しさを実感。「恵まれた環境で勉強する昌丕が、つらい境遇を生きてきた人たちと接する中で芽生える心情の変化を表現できれば。人物像をしっかりイメージしながらやっていきたい」と気を引き締める。

 

 第35回釜石市民劇場「満天の星は知っている『天文学者葛西昌丕』若き日の私記」は、3月6日(日)午前10時半、午後2時半の2回公演。チラシやポスターが完成次第、チケット販売を開始する。

長唄三味線子ども教室発表会=中妻北地区コミュニティ消防センター

コロナに負けず稽古継続 長唄三味線子ども教室10人が成果発表

長唄三味線子ども教室発表会=中妻北地区コミュニティ消防センター

長唄三味線子ども教室発表会=中妻北地区コミュニティ消防センター 

 

 杵家会釜石支所(杵家弥多穂代表)が主催する伝統文化長唄三味線子ども教室は1月23日、本年度の教室最終日を迎え、受講した10人がこれまでの稽古の成果を発表した。新型コロナウイルス影響下での教室は2年目を迎えたが、意欲ある子どもたちの成長を止めまいと、感染防止策を徹底しながら稽古を継続。全15回の日程を終えた受講生は、さらなる上達を願い、来年度の開講に期待した。

 

 同教室は2008年度に開始し、東日本大震災による中断を経て再開。13年目となる本年度は昨年6月に開講し、小中高生9人と大人1人が受講した。継続受講は3~9年目。初受講した釜石中の2年生3人は、同会が昨年9月に学校に出向いて行った三味線体験会を機に教室へ。杵家代表ら4人の講師が、受講年数に応じてきめ細かく指導した。感染症対策として受講生を3組に分け、時間をずらして稽古した。

 

修了証書を授与される濱田真由香さん(右)

修了証書を授与される濱田真由香さん(右)

 

 発表会に先立ち行われた閉講式では、受講9年目となった濱田真由香さん(釜石中3年)が代表で修了証書を受け取った。来賓の市文化振興課・藤井充彦課長は、コロナ禍での学びの機会提供に敬意を表し、「先生方の熱意が子どもたちの意欲につながっているものと思う。教室で学んだことを日々の暮らしにも生かし、心身豊かに成長していくことを願う」と期待した。

 

「釜石市民歌」の演奏、歌で開演した発表会

「釜石市民歌」の演奏、歌で開演した発表会

 

 演奏は「釜石市民歌」からスタート。初心者2人は長唄三味線の入門曲「松の緑」の合いの手(間奏)で稽古の成果を発表。歌舞伎「娘道成寺」の合いの手など2曲が続いた。後半は講師が唄で加わり、「元禄花見踊り」(三部合奏)と「雪」の合方(あいかた)を演奏。春と冬の風情を醸す曲で季節の違いを表現した。最後は歌舞伎十八番の「勧進帳」から「寄せ」「こだま」「滝流し」「舞い」の4つの合方を披露。高度な技と息の合った音色で、見守った保護者や来賓をうならせた。

 

中級、上級者らによる演奏は聞きごたえ十分

中級、上級者らによる演奏は聞きごたえ十分

 

来賓や保護者は見事な調べに感心しながら拍手

来賓や保護者は見事な調べに感心しながら拍手

 

 稽古を始めて5カ月の及川美結さん(釜石中2年)は、学校での体験会を機に興味を持ち、「自分も弾けるようになりたい」と教室に通うように。10回の受講ながら、入門曲を演奏できるまでに上達した。「難しかったが、自分なりに頑張ってこられた」と達成感を見せ、「ちょっとずれただけで音が変わる。難しさもあるけど、それが楽しい。先輩方みたいに弾けるようになるのが目標」と稽古の継続を誓った。

 

 姉妹で三味線を学んできたのは佐藤七海さん(釜石高3年)、永愛さん(小佐野小6年)、あいなさん(同2年)の3人。七海さんは小学6年時に教室のチラシを見て、弟海輝人(みきと)君(現釜石高1年)と受講を開始。その後、2人の姿を追って妹2人も入り、昨年度まで4人で稽古に励んだ。

 

仲良く三味線を学んだ佐藤3姉妹。あいなさん、七海さん、永愛さん(左から)

仲良く三味線を学んだ佐藤3姉妹。あいなさん、七海さん、永愛さん(左から)

 

 就学前から教室に通い、長唄に親しんできたあいなさんは、3年目の本年度から三味線の稽古を本格化。6年目の永愛さんは、名取でも難しいという「滝流し」に初挑戦し、発表会で中高生らと見事な演奏を見せた。七海さんは年の離れた妹らと三味線で絆を深められたことを喜び、「昨年はきょうだいみんなで楽しんで演奏できた」とにっこり。7年の学びを振り返り、「練習を重ねるたびに上達するのがうれしくて。部活で吹奏楽をやってきたので、洋楽、邦楽それぞれの魅力を感じることができた」。高校卒業後は進学のため釜石を離れる予定で、「何らかの形で三味線も続けられたら」と願った。

 

「松の緑」の合いの手を堂々と弾く佐藤あいなさん(左)。将来が楽しみ

「松の緑」の合いの手を堂々と弾く佐藤あいなさん(左)。将来が楽しみ

 

「勧進帳」の合方「滝流し」を弾く佐藤永愛さん(前列右)。姉七海さん(後列左)と難曲に挑む

「勧進帳」の合方「滝流し」を弾く佐藤永愛さん(前列右)。姉七海さん(後列左)と難曲に挑む

 

 杵家代表は「長く続けてくれるのは(三味線が)好きだからこそ。稽古中は私語も無く、覚えるのに真剣。成長とともに難しい曲に挑戦できるのも励みになっているのでは」と話し、今後の開講にも意欲を示した。

jica01

国際協力で地域振興・人材育成を―釜石市とJICA東北、覚書締結

連携に関する覚書を結んだ野田市長(左から2人目)と小林所長(同3人目)、海外協力隊候補生の川松さん(右)ら

連携に関する覚書を結んだ野田市長(左から2人目)と小林所長(同3人目)、海外協力隊候補生の川松さん(右)ら

 

 釜石市と独立行政法人国際協力機構東北センター(JICA東北、宮城県仙台市、小林雪治所長)は14日、国際協力を通じた地域振興や人材育成に取り組むことを目的として「連携に関する覚書」を結んだ。取り組みの第1弾として、JICA海外協力隊の派遣前研修を実施。早速、候補生1人が活動を開始し、海外での協力活動に役立つ地域活性化や地方創生の取り組みについて知見を深める。

 

 JICA東北は東日本大震災の復興支援で釜石入りし、防災や減災のまちづくり、高校生のキャリア教育などに関わる活動で市と協力関係をつないできた。市では、外部との交流で新たな活力を育む「オープンシティ戦略」を掲げ、復興後の持続的成長を導く試みを進めており、今回の覚書もその一環。協働での活動を充実させることで戦略を強化させる。

 

 連携の内容は、▽海外協力隊合格者に対する市内での研修の実施▽帰国した隊員らのIターン促進▽開発途上地域からの技術研修員の受け入れや同地域への専門家の派遣▽市内での国際理解教育や多文化共生の促進-など。最長5年間、取り組みを進める。

 

野田市長(左)と小林所長(右)が覚書に署名した

野田市長(左)と小林所長(右)が覚書に署名した

 

 締結式は釜石市役所で行われ、野田武則市長と小林所長が覚書を取り交わした。野田市長は「復興後の将来を見据えた取り組み、時代の変わり目に合わせた人材が必要になる。互いが持つ知見を生かし、ウィンウィンの形に」と強調。小林所長は「関係人口、UIターンによる人口増加、地域振興の一助になれば。いろんな面で協力を深化させたい」と期待を込めた。

 

 派遣前研修に臨む隊員候補生、川松秀夫さん(61)も同席した。出身地の茨城県で36年間教員(高校)を務め、一昨年定年退職。今年8月以降、理科(専門は生物)分野で南アフリカ共和国への派遣が予定されている。地方創生や地域活性化に関心があり、震災復興の応援にもなればと釜石での研修を希望。高校、大学時代、ラグビーに打ち込んでいたことから、縁も感じている。

 

釜石で研修に臨む意気込みを伝えた川松さん(右)

釜石で研修に臨む意気込みを伝えた川松さん(右)

 

 研修期間は約3カ月間。活動先は市オープンシティ推進室、釜石シーウェイブスRFC、根浜MINDなどで、地域の現状把握や課題解決に向けた事業への理解を深める。川松さんは「地域に溶け込み、コミュニケーションをとりながら状況把握に努める。明るいまちづくりへ貢献できるよう取り組みたい」と意欲を見せた。

TETTOホールBで初めて開催された彩美会の展示会。会員の個性が光る作品が並んだ

コロナ禍の人々に心の潤いを 絵画グループ「彩美会」2年ぶりの作品展

TETTOホールBで初めて開催された彩美会の展示会。会員の個性が光る作品が並んだ

TETTOホールBで初めて開催された彩美会の展示会。会員の個性が光る作品が並んだ

 

 釜石市の絵画グループ、彩美会(小原孝夫会長、15人)は14日から16日まで、大町の市民ホールTETTOで作品展示会を開いた。年に1回、習作画展として開催してきた同展は、新型コロナウイルス感染症の影響で昨年度は中止。2年ぶりとなった本展は名称を「彩美会展」と改め、初めて市民ホールを会場とした。久しぶりの発表の場に会員は笑顔を輝かせ、来場者との交流を楽しんだ。

 

 会員と講師の佐々木実さん(二科会会友)が計67点を出品。油彩、水彩、色鉛筆、クレヨンなど各種技法で描かれた大小の力作が並んだ。風景、静物、芸能、動物など会員それぞれが描きたい題材に取り組み、講師の指導や仲間のアドバイスを受けながら作品を仕上げた。会場には昨年逝去した前会長の松坂寛一さんの遺作も展示された。

 

さまざまな技法で描かれた作品を興味深げに鑑賞

さまざまな技法で描かれた作品を興味深げに鑑賞

 

松坂寛一前会長(故人)の遺作「大橋鉱山」

松坂寛一前会長(故人)の遺作「大橋鉱山」

 

 会員最年長の菅原オトメさん(95)は、浄土ヶ浜や合掌造りの家屋のある田園風景など油彩5点を出品した。「風景を描くのが好き」で、家族と出かけた先で気に入った景色を写真に撮ってきて、思い出しながらキャンバスに向かう。60代で同会に入会、油絵一筋できた。以前は1カ月に1枚ペースで新しい作品を完成させ、仲間も驚くほど。「出来上がりが楽しみで(描き続ける)」。足が弱くなったこと、コロナの心配もあって、最近は活動日に顔を出せていないが、自宅で創作に没頭。会員の憧れの存在で、生涯現役を貫く。

 

最年長会員の菅原オトメさん(95)も会場に

最年長会員の菅原オトメさん(95)も会場に

 

菅原オトメさんが描いた風景画(油彩)の数々

菅原オトメさんが描いた風景画(油彩)の数々

 

 一方、昨年6月に入会した佐々木道彦さん(66)は、秋の猊鼻渓やアフリカ原住民の狩猟用仮面などをアクリル絵の具で描いた3点を出品。絵画経験ゼロからのスタートだったが、「楽しい。頭も使うのでぼけ防止にも」と新たな世界に魅了される。先輩会員の作品に「それぞれ個性があって面白い」と刺激を受け、「気軽にアドバイスをくれる和気あいあいの雰囲気もいい」と喜ぶ。発想力豊かな佐々木さんは、展示会場入り口を飾るオブジェも制作。運搬用一輪車の荷台に穴を開け、仮面風に仕上げた。タイトルは「SDGs(ネコ車)」。ユニークな再生アートが来場者の目を引いた。

 

仮面の作品を指差し、小原会長と会話を弾ませる佐々木道彦さん(66)

仮面の作品を指差し、小原会長と会話を弾ませる佐々木道彦さん(66)

 

入り口で来場者を迎えた佐々木さん制作オブジェ

入り口で来場者を迎えた佐々木さん制作オブジェ

 

 同会は定内町3丁目のひまわり集会所で月2回活動。歴代講師は釜石製鉄所OBで、3代目の佐々木さんは海外にも勉強に出向き、二科会岩手支部長も務めてきた。小原会長(73)は「佐々木先生は会員の描きたいものに合わせ指導してくれる。コロナ禍のこの2年も活動は継続できた。若い世代が興味を持ち、入会してもらえるよう今後、働きかけも進めていきたい」と話した。

 

 展示会は通算35回目。会場には市内の他の絵画グループ会員も足を運び、作品展開催を祝福。これまでとは違った展示空間での作品鑑賞を楽しみ、絵画談義に花を咲かせた。

ボーイスカウト釜石第2団創立60周年記念式典

ボーイスカウト釜石第2団60周年 釜石に残る唯一の団が活動継続へ意欲

ボーイスカウト釜石第2団創立60周年記念式典

ボーイスカウト釜石第2団創立60周年記念式典

 

 ボーイスカウト釜石第2団(菊地次雄育成会長、末永正志団委員長、64人)は12日、釜石市大町の情報交流センター釜石PITで、創立60周年記念式典を開いた。関係者約80人が出席。団に貢献した企業や団体の代表、団役員ら16人に感謝状を贈った。戦後、市内各地区で団が結成され、最盛期には7団が活動した釜石のボーイスカウト(BS)。現在は第2団のみが活動する。式典出席者は伝統を継承し、「地域や社会に役立つ人材育成」へ力を注いでいくことを誓い合った。

 

 式辞に立った菊地育成会長は「60年間のスカウト(団員)は1千人に及ぶ。大自然の中での仲間と助け合いながらの活動は後の大きな財産になる。次代を担う子どもの健全育成は大人の責任」と活動意義を強調。末永団委員長は東日本大震災後の活動について、「BS岩手連盟や県内の野外活動団体の協力で、遊び場の提供やキャンプへの招待を行い、被災地の子どもたちの心のケアに努めてきた。身を粉にして尽力した指導者らに感謝したい」と述べた。

 

末永正志団委員長が団の歴史や震災後の活動について紹介した

末永正志団委員長が団の歴史や震災後の活動について紹介した

 

2012年5月にBS岩手連盟と釜石第2団が開いた「遊びの広場」=シープラザ遊

2012年5月にBS岩手連盟と釜石第2団が開いた「遊びの広場」=シープラザ遊

 

 施設・設備の提供、寄付、永年奉仕(10年以上)などの功労で、団内外の16人に感謝状を贈呈。発団時からスカウト活動を継続し、指導者として長年貢献してきた育成会副会長の奥田耕一さん(73)に名誉役員の称号「先達」を贈った。奥田さんは中学2年生で入団。班長として団員を率い、第2団の礎を築いた。指導者となってからも団を精力的に支え、2019年度までの16年間、団委員長を務めた。発団時から60年間在籍するのは、奥田さんと現団委員長の末永さん(71)だけとなっている。

 

感謝状を受ける山崎義勝副団委員長。山崎さんは5月にBS日本連盟の功労賞「たか章」も受章

感謝状を受ける山崎義勝副団委員長。山崎さんは5月にBS日本連盟の功労賞「たか章」も受章

 

名誉役員の称号「先達」を贈られた奥田耕一さん

名誉役員の称号「先達」を贈られた奥田耕一さん

 

 式典では、副団委員長の山崎義勝さん(68)が本年5月の全国大会で、公益財団法人ボーイスカウト日本連盟の功労賞「たか章」を受章したことも報告された。第2団で同章を受けるのは4人目。式後の活動報告会ではスカウトらが歌で60周年を祝い、直近10年間の活動を映像で振り返った。

 

 BS釜石第2団は1961年、釜石小只越地区PTAが青少年の健全育成を目指し発団。地区の小・中学生32人でボーイ隊(小6~中3)を結成した。後にカブ隊(小3~小5)、ベンチャー隊(高校生)、ビーバー隊(小1、2)が発足。81年には同団最多のスカウト81人を数えた。野外活動を通じて安全、環境、防災などの知識とスキルを習得。仲間との活動で協調性や忍耐力を育み、現代社会で求められる生きる力を身に付ける。本年度はローバー隊員(19~25歳)含め47人がスカウト登録する。

 

60周年を祝ううちわを掲げるビーバー、カブ隊

60周年を祝ううちわを掲げるビーバー、カブ隊

 

りりしい制服姿で歌うボーイ、ベンチャー隊

りりしい制服姿で歌うボーイ、ベンチャー隊

 

 ボーイ隊2班班長の川端海惺君(釜石中2年)は「先輩たちに倣い、自分も後の人たちにつなげていけるようにしっかりリードし、活動の質を高めていきたい」、同1班班長の阿部雅俊君(大槌学園8年)は「何でも便利になっているが、それが無くなった時、自分で考え行動する力が求められる。スカウト活動で身に付けたことは災害時にも役立つ」とし、今後の活動へ意欲を示した。

 

 感謝状の贈呈は次の通り。
▽寄付=釜石東ロータリークラブ(齊藤裕基会長)
▽施設・設備提供=日東自動車工業(菊地次雄社長)
▽自然体験プログラム提供=浜千鳥(新里進社長)
▽維持会費提供(寄付)=奥田耕一(育成会副会長)、末永正志(団委員長)、山崎義勝(副団委員長)、山崎幹雄(元事務局長)
▽施設・設備提供、永年奉仕=高木稔(ビーバー隊長)、大信田信恵(カブ隊長)、小井土元彦(ボーイ隊長)、菊地次雄(育成会長)、新里進(育成会副会長)、奥田耕一、千田雅恵(育成会会計係)、末永正志、山崎義勝、千田与一(事務局長)、菊地敏文(団委員)、山口貴廣(同)、川端俊一(同)、工藤誠(同)

art at TETTO vol.3 Creator? 小笠原梓「イロトイロ」=市民ホールギャラリー

マルチな才能発揮 釜石の小笠原梓さん 初の個展で創作の楽しさ市民と共有

art at TETTO vol.3 Creator? 小笠原梓「イロトイロ」=市民ホールギャラリー

art at TETTO vol.3 Creator? 小笠原梓「イロトイロ」=市民ホールギャラリー

 

 デザインを中心に多彩な創作活動を続ける釜石市甲子町在住の小笠原梓さん(36)が、大町の市民ホールTETTOで初の個展「イロトイロ」を開いている。釜石・大槌在住の作家を紹介する同ホールの自主事業「art at TETTO(アートアットテット)」の第3弾。小笠原さんがデザインした商品や市民と取り組んだまちなかアートなどカラフルで楽しい作品が並び、心躍る空間を提供している。26日まで同ホールギャラリーで開催(最終日は午後5時まで)。

 

自身初の個展で作品を公開した小笠原梓さん

自身初の個展で作品を公開した小笠原梓さん

 

 小笠原さんは子どものころから絵を描くのが好きで、趣味で創作活動を続けてきた。近年はSNSへのアップなどで作品が多くの人の目に留まり、市内の事業者や団体から商業デザインの依頼を受けることも増えてきた。展示会では絵柄をデザインした手拭い、LINEスタンプ、冊子の表紙などを公開。依頼主のニーズ、釜石らしさなどを独自の感性で表現した作品は親しみやすく、温もりが感じられる。

 

釜石大観音仲見世通りのシェアオフィス「コーバ釜石マルダイ」のオリジナル手拭い

釜石大観音仲見世通りのシェアオフィス「コーバ釜石マルダイ」のオリジナル手拭い

 

2017年の尾崎半島林野火災の復旧支援を目的に作ったLINEスタンプ。収益は釜石地方森林組合に全額寄付

2017年の尾崎半島林野火災の復旧支援を目的に作ったLINEスタンプ。収益は釜石地方森林組合に全額寄付

 

市民グループ「ほ~でなす釜石」企画の“釜石すごろく”のイラストも手掛けた

市民グループ「ほ~でなす釜石」企画の“釜石すごろく”のイラストも手掛けた

 

 個人の創作活動に加え、市民を巻き込んだアート活動にも取り組む。2020年には市内の建造物の外壁をアートで彩るグループ「ゼロスポット」を仲間と立ち上げ、釜石大観音仲見世通りのオフィスやカフェ、防潮堤を飾る活動で脚光を浴びた。震災後に生まれた劇団「もしょこむ」の18年公演では、登場キャラクターの衣装デザイン、制作を担当。脚本、演出も手掛けるなど、幅広い分野で才能を発揮する。展示会では防潮堤アートや劇の衣装も披露した。

 

2018年、劇団もしょこむ公演の劇「華とワカメとヒーロースーツ」。登場キャラクターの衣装が個展で展示されている

2018年、劇団もしょこむ公演の劇「華とワカメとヒーロースーツ」。登場キャラクターの衣装が個展で展示されている

 

 18、19の両日は、ものづくりの楽しさを味わってもらおうとワークショップも開催した。自然乾燥で固まる市販の粘土を用い、エアプランツ(葉から水分を吸収する植物)ポットを作る体験で、ミニ鉢には人の顔をデザイン。子どもも大人も夢中になって造形を楽しんだ。谷古宇温大君(釜石小6年)は「粘土で作れるのは初めて知った。形をきれいにするのが難しかったけど、またやってみたい。作品は家に飾る」と大事に持ち帰った。

 

ワークショップ「エアプランツポット作り」

ワークショップ「エアプランツポット作り」

 

長さ365センチの絵巻(下絵は小笠原さん)に来場者が色を塗る体験コーナーも

長さ365センチの絵巻(下絵は小笠原さん)に来場者が色を塗る体験コーナーも

 

 現在、子育て支援センターのパート勤務、2人の娘(中1、小5)の子育てをしながら創作活動を続ける小笠原さん。ゼロスポットのイベントには親子連れの参加も多く、子どもたちの創造力醸成、協力して作品を作り上げる達成感など、さまざまな相乗効果も生み出している。

 

 今回、多くの人たちに作品を見てもらえる機会を得て、「夢のような経験。すごく幸せ。見た人が笑顔になったり褒めてくれたりするとうれしくて励みになる」と感謝。「これからも、ものづくりは続けていきたい。現代アートにも興味があり、勉強しつつ挑戦できたらいいな」。好きなことを形にする創作への意欲はまだまだ尽きない。

生徒はメモを取りながら水島さんの話に耳を傾けた

魅力発見の視点養う 釜石商工高で地域理解につなげる講座

地域の魅力や働く意義について考える釜石商工高1年生

地域の魅力や働く意義について考える釜石商工高1年生

 

 地域を見つめる視点を養う「地域魅力発見講座」が9日、釜石市大平町の釜石商工高(菊池勝彦校長、生徒234人)で行われた。県の「高校の魅力化促進事業」の一環。釜石商工生として地域のためにできることを考える視点を持ってもらうのが狙いで、1年生52人が参加した。講師は、起業型地域おこし協力隊(釜石ローカルベンチャー)の水島嘉人(ひさと)さん。市外から移住した経験から見える釜石の魅力、社会人としての職業観などを伝えた。

 

 神奈川県鎌倉市出身の水島さんは東日本大震災の復興支援ボランティア活動を通じて釜石と縁をつなぎ、2020年6月に同隊員に着任。中小企業診断士の資格を生かし、企業の経営をサポートする活動に携わっている。その中で見えた釜石の魅力の一つが、地域愛あふれる経営者の存在。熱い思いを持つ人たちと一緒に地域課題に向き合い、その思いを形にすることができるまち―と強調した。

 

生徒はメモを取りながら水島さんの話に耳を傾けた

生徒はメモを取りながら水島さんの話に耳を傾けた

 

 東京の印刷会社でやりがいを持って働いた経験などを紹介し、「働くことの意味を考え、話し合ってみよう」と促す場面も。収入を得ることや社会貢献、自己実現という意義があるとした上で、▽出会いとつながり▽直感に従う▽まずやってみる▽相手の思いに寄り添う▽誰とでも対等な関係でいる―など社会に出た時に役立つ大切な視点を伝えた。

 

 電気電子科の小野颯大(ふうた)君は「より良いまちにしたいという大人の思いが分かった。釜石について知らないこともあり、歴史を知りたくなった。違う視点から、良いところを見つけ出してみたい」と意識を高めた。

 

 同事業で、2年生は「地域産業理解講座・ワークショップ」に参加。地域産業の課題と解決策を考え話し合う「共有」の機会とした。3年生は課題研究の取り組みの中で、地元企業と共同しリンゴのジェラートやサンマのアヒージョ缶詰を開発。文化祭などで限定販売し、地場産品の魅力を発信した。同校では来年度も、こうした活動を継続する考えだ。

11年ぶりの釜石公演で観客を楽しませた吉田正記念オーケストラ

音楽で世界旅行を~吉田正記念オーケストラ 11年ぶりの演奏会で元気届ける

11年ぶりの釜石公演で観客を楽しませた吉田正記念オーケストラ

11年ぶりの釜石公演で観客を楽しませた吉田正記念オーケストラ

 

 吉田正記念オーケストラによる「元気が出る!オーケストラコンサート」(釜石市、一般財団法人自治総合センター主催)は4日、釜石市大町の市民ホールTETTOで開かれた。指揮をする大沢可直さんと同オーケストラは東日本大震災前の2010年10月に同ホールの前身、津波で被災した旧市民文化会館で公演しており、11年ぶりの来演。大編成による迫力ある生演奏で懐かしの名曲を聴かせ、復興する被災地でたくましく生きてきた市民らを音楽という世界旅行にいざなった。

 

 故吉田正(1921~98年)は国民栄誉賞受賞の作曲家。生前、数多くの〝吉田メロディー〟を生みだし、広く大衆に愛されてきた。記念オーケストラはその作品を半永久的に演奏する目的で2001年に結成。大沢さんは、吉田の作品をモチーフにクラシック化した「吉田正交響組曲」をつくり、同オーケストラの音楽監督に就任、国内外で演奏活動を展開している。

 

大編成による多彩な音色、迫力ある生演奏を披露した

大編成による多彩な音色、迫力ある生演奏を披露した

 

 コンサートは2部構成のプログラム。1部は「いつでも夢を」から始まり、吉田メロディーの世界へ誘いだした。4楽章ある同組曲7番では「子連れ狼」「和歌山ブルース」「潮来笠」「夜霧の第二国道」「東京ナイトクラブ」など昭和という時代を懐かしむ曲の数々を熱演。観客たちに若かりし日々を思い出させるような音楽ドラマとして聴かせた。

 

 2部は世界の名曲を味わう時間。「慕情」「太陽がいっぱい」など映画音楽を情感豊かに、「ベサメムーチョ」「キエンセラ」といったラテンの名曲は軽快に奏で、「チャイコフスキー交響曲4番」ではクラシックをなりわいとする交響楽団ならではの迫力ある多彩な音色で魅了した。曲の合間に、話題豊富なトークで観客を楽しませた大沢さん。フランク永井が歌った吉田メロディー「ラブ・レター」では指揮を休んで美声を響かせ、会場を沸かせた。

 

指揮者の大沢さんはユーモアあるトークで観客を喜ばせた。時には歌声も響かせた

指揮者の大沢さんはユーモアあるトークで観客を喜ばせた。時には歌声も響かせた

 

 アンコールは望郷の思いを歌う「異国の丘」。前回の釜石公演後に起こった震災に触れた大沢さんは「ドキドキしながら降り立った釜石、見事に復興していた。たくましい。生きているって素晴らしい。いいホールで音楽を生で楽しんでほしい」と願った。

 

懐かしの名曲がたっぷり詰まったコンサートを楽しんだ観客

懐かしの名曲がたっぷり詰まったコンサートを楽しんだ観客

 

 このコンサートは宝くじの助成で実施。約400枚のチケットは完売した。小川町の菊池忠太郎さん(85)、律子さん(77)夫妻は「すごい迫力。気持ちを表すような強弱のある演奏だった。なじみの曲ばかりで楽しかった。みんな心の中で歌っていたと思う。元気もらった」と笑顔を重ねた。

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「グリコワゴン」10年ぶり訪問に釜石っ子大興奮!朝食の約束もしっかりと

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ワゴン車の前でグリコポーズを決める白山小児童

 

 東日本大震災の被災地に元気を届けてきた総合食品メーカー江崎グリコ(大阪市)の「グリコワゴン」が11月下旬、釜石市内の小学校9校を訪問。子どもたちに夢あふれるひとときをプレゼントした。「地域活性化起業人」として同社から釜石市に派遣されている大窪諒さん(31)が、新型コロナウイルス禍でさまざまな楽しみが失われている子どもたちの思い出作りと食育の一助にと企画した。

 

 25日は、大窪さんと市商工観光課の職員ら5人が嬉石町の白山小学校(熊谷直樹校長、児童35人)を訪問した。大窪さんは低、中、高学年の各教室を回り、朝食の大切さを伝えるミニ講義を実施。欠食が体に及ぼす影響を説明し、「成長期のみんなの体は多くのエネルギー、栄養を必要としている。朝食をしっかり食べることで元気に登校でき、勉強にも集中できる。学力アップ効果も期待できる」と話した。

 

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朝食の重要性を教えた食育の講義=3、4年教室

 

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地域活性化起業人として活動する大窪諒さん。「おいしく朝食を食べ元気に登校を」と呼び掛けた

 

 朝食にはご飯やパンの炭水化物のほか、乳製品、卵、納豆などのたんぱく質、味噌汁や野菜ジュースなど「プラス1品」を心がけることもアドバイス。「早寝早起き、朝ごはん」の約束を交わした児童らにグリコの菓子をプレゼントし、家族で朝食を見直すためのリーフレットも添えた。

 

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10年ぶりの釜石訪問となった「グリコワゴン」

 

 この後、校舎前に止めた車両「グリコワゴン」を見学。さまざまな菓子で彩られた車体に児童らは歓声を上げ、記念写真を撮って楽しんだ。岡本羚依さん(3年)は「車のいろいろなところにお菓子が付いていてすごく工夫していると思った。世界に1台しかない車に会えてうれしい。今日の夜、眠れないかも」と大感激。好きな菓子“ビスコ”のプレゼントに目を輝かせ、朝食の約束を守ることも誓った。

 

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車体を装飾する「ポッキー」に笑顔を見せる児童

 

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赤と白で統一された運転、助手席に目がくぎ付け

 

 同車両は「日本中においしさと健康、わくわくした笑顔を」と2010年に製造。直後に東日本大震災が発生し、11年5月、釜石市を皮切りに東北の被災地支援を開始した。その後も全国の自然災害の被災地を中心に訪問を続け、走行距離は11万キロに及ぶ。「東北支援のスタートの地・釜石に、震災10年を経て自分がいるのも何かの縁」と大窪さん。児童らが喜ぶ姿に自身も笑みを広げ、健やかな成長を願った。

 

 大窪さんは20年7月からの同起業人の任期を今月末で終了する。これまで地元企業と釜石の魅力を伝える各種商品の開発に尽力してきた。13日には、この1年半の活動報告会を行う予定。

平田小で行われた建設業ふれあい事業。児童はずらりと並んだ重機の操作に夢中になった

迫力!重機操作、試乗に夢中 平田小で建設業ふれあい事業

平田小で行われた建設業ふれあい事業。児童はずらりと並んだ重機の操作に夢中になった

平田小で行われた建設業ふれあい事業。児童はずらりと並んだ重機の操作に夢中になった

 

 県建設業協会釜石支部青年部(山元一輝部会長、27社)による「建設業ふれあい事業」は16日、平田小(鈴木崇校長、児童150人)で行われ、1、2年生52人が実際の工事現場で活躍する重機を動かした。

 

 青年部会員に協賛事業所、重機のリース事業所が協力し、合わせて40人が児童を迎えた。校庭にはバックホー、土やアスファルトを固めるローラー車、除雪作業などで使うショベルローダー車、高所作業車の建設機械6台が並び、児童はヘルメットをかぶって順番に乗車。青年部会員に手伝ってもらいながら操作レバーを握り、土をすくい取ったり、コンクリートブロックを持ち上げて移動させるなど簡単な作業を体験した。

 

高所作業車に試乗し、「海、見えるね」と喜ぶ児童と青年部会員

高所作業車に試乗し、「海、見えるね」と喜ぶ児童と青年部会員

 

 高所作業車には安全帯を身に付けて乗り、校舎3階ほどの高さまで上がると、「ヤッホー」「イエーイ」などと校庭にいる友達に自慢げに手を振っていた。田中玲那さん(1年)は「大きい機械で少し怖かったけど、動かすのは楽しかった。動かし方を優しく教えてくれてうれしかった」とはにかみ、中里陽(あきら)君(2年)は「おじいちゃんが建設業で、橋とか作っている。こんな機械を動かしているんだと思った。かっこいい」と胸を張った。

 

子どもたちとの交流を楽しむ青年部会員ら。気分をリフレッシュさせ、本業に励む

子どもたちとの交流を楽しむ青年部会員ら。気分をリフレッシュさせ、本業に励む

 

 同事業は、建設業への理解と関心を深めてもらおうと継続する地域貢献活動。操作体験の後には奉仕活動も行い、校門周辺の水はけをよくするため砂利を敷きならした。山元部会長は「建設の仕事を見て、触れてもらうことで、将来の職業選択にも役立てば」と期待する。

入賞を喜ぶ村越さん(左から2人目)、佐藤さん(中央)

税の高校生作文で釜石商工高生2人表彰 釜石税務署

入賞を喜ぶ村越さん(左から2人目)、佐藤さん(中央)

入賞を喜ぶ村越さん(左から2人目)、佐藤さん(中央)

 

 国税庁主催の「税に関する高校生の作文」で県立釜石商工高(菊池勝彦校長、生徒234人)の村越梨緒菜さん(総合情報科2年)が最高賞の国税庁長官賞に次ぐ仙台国税局長賞に選ばれた。佐藤凜さん(同)は釜石税務署長賞を受賞。2人は16日、同校を訪れた同税務署の霜崎良人署長から賞状と記念品を受け取った。

 

 高校生作文は租税教育の充実を目的に、1962年度から毎年実施。今回は全国1563校から17万8807編、同国税局管内(東北6県)では147校1万4750編の応募があった。

 

釜石税務署では受賞作をポスターにして税に関する啓発に役立てる

釜石税務署では受賞作をポスターにして税に関する啓発に役立てる

 

 同校では同科2年生35人が夏休みの課題として取り組んだ。村越さんの受賞作の題は「人を支える『税』」。税金の使われ方や納税の仕組みを調べ、国全体で支え合っていることに気づいた一方、超高齢化社会による労働力不足で納税の負担は大きくなるだろうと考察する。税に関する問題はこれからを担う自分たちこそが目を向けるべきと強調。「一年後に選挙権を得る。国民全員が平等に、より良い暮らしができるよう投票を通じて参政することで、支える人になりたい」と結んだ。

 

 佐藤さんの作文のテーマは「消費税」。増税のメリット、デメリットを分析し、「賛否はあるが、増税分がどう使われ、どれほど重要かを理解したうえで意見を出すべき。将来、自分たちの生活にも関わってくることであり、税の重要性を考えてみてほしい」と求めている。

 

 2人は「受賞は驚いた。聞いたことがない言葉が多くて難しかったが、知識が深まった。これからも税について興味を持って調べてみたい」と前向きに捉えた。

 

釜石市役所本庁舎1階税務課に掲示中の高校生作文

釜石市役所本庁舎1階税務課に掲示中の高校生作文

 

 霜崎署長は「自分の考えをしっかり持ち、心強く感じた。税の意義、役割を理解し、生活に役立ててほしい」と期待。2人の作文は只越町の市役所本庁舎1階税務課窓口、鈴子町のシープラザ釜石に掲示されている。11月末まで。

鉄鉱石と石灰を混ぜたものを炉に投入する児童=12日

鉄づくりの歴史文化に理解 釜石小でたたら製鉄体験

釜石小5年生が挑んだ鉄づくり。れんがで積んだ炉に炭を入れる=12日

釜石小5年生が挑んだ鉄づくり。れんがで積んだ炉に炭を入れる=12日

 

 釜石小(及川靖浩校長、児童109人)で11、12の両日、昔ながらの鉄づくり「たたら製鉄」体験が行われた。5年生16人が築炉から粗鉄(ケラ)の取り出しまでを体験。鉄産地の歴史文化に理解を深めながら、ものづくりの面白さに触れた。

 

 同校の製鉄体験は釜石市地域学校協働本部事業の一環で実施し、今年で4回目。鉄づくりに関する市の出前講座を活用し、市文化振興課文化財係の加藤幹樹主任(36)らが指導した。

 

高炉づくりに取り組む児童。れんがを積み上げる作業に「重労働だ」と実感した=11日

高炉づくりに取り組む児童。れんがを積み上げる作業に「重労働だ」と実感した=11日

 

 初日は校庭の一角で高炉の築造、木炭を割る作業に取り組んだ。高炉はコンクリートブロックを基盤に耐火レンガ約100個を組み上げ、モルタルで隙間をふさいで補強。送風口、炉内を見る接眼レンズなどを固定した。木炭は、炉を温めるために使う分も合わせて約50キロ必要で、児童は「炭まみれ」になりつつ黙々とハンマーで砕いた。

 

鉄鉱石と石灰を混ぜたものを炉に投入する児童=12日

鉄鉱石と石灰を混ぜたものを炉に投入する児童=12日

 

 2日目が本格的な製鉄体験。木炭20キロ、釜石鉱山が提供した鉄鉱石10キロ、石灰1キロを原料に鉄の生産に挑んだ。炉に火入れし、順調に加熱。炎を上げた炉は内部が1300度ほどにもなる。児童は5分に1度、鉄鉱石と石灰を混ぜたものや炭を入れる作業を20回ほど繰り返した。

 

 昼前から鉱滓(ノロ)の抽出を行い、午後に炉を解体。粗鉄を取り出した。加藤主任はハンマーでたたいて鉄とノロの違いを示した。

 

不純物のノロ出しを見守る児童たち。鉄づくりの作業が順調に進んでいることを確認した=12日

不純物のノロ出しを見守る児童たち。鉄づくりの作業が順調に進んでいることを確認した=12日

 

作業の合間に行われた鍛冶体験。ものづくりの大変さ、楽しさを味わった=12日

作業の合間に行われた鍛冶体験。ものづくりの大変さ、楽しさを味わった=12日

 

 合間には、鍛冶体験も。児童は炭火で熱してオレンジ色になったくぎを何度もハンマーでたたいて薄くし、ペーパーナイフ風に仕上げた。同課の手塚新太課長補佐(49)がサポートした。

 

 5年生は総合的学習として事前に、鉄の歴史館の見学や近代製鉄の父・大島高任に関する講話で「鉄のまち釜石」について理解を深めてきた。木炭の破砕作業を担当した佐々木愛菜さんは「いろんな役割があり、しかもすべて手作業なので大変だった。鉄ができるか、わくわくしたし、みんなでやって達成感がある。一生懸命にやったことをこれからの生活に生かしたい」と充実感をにじませた。