タグ別アーカイブ: 文化・教育

art at TETTO vol.3 Creator? 小笠原梓「イロトイロ」=市民ホールギャラリー

マルチな才能発揮 釜石の小笠原梓さん 初の個展で創作の楽しさ市民と共有

art at TETTO vol.3 Creator? 小笠原梓「イロトイロ」=市民ホールギャラリー

art at TETTO vol.3 Creator? 小笠原梓「イロトイロ」=市民ホールギャラリー

 

 デザインを中心に多彩な創作活動を続ける釜石市甲子町在住の小笠原梓さん(36)が、大町の市民ホールTETTOで初の個展「イロトイロ」を開いている。釜石・大槌在住の作家を紹介する同ホールの自主事業「art at TETTO(アートアットテット)」の第3弾。小笠原さんがデザインした商品や市民と取り組んだまちなかアートなどカラフルで楽しい作品が並び、心躍る空間を提供している。26日まで同ホールギャラリーで開催(最終日は午後5時まで)。

 

自身初の個展で作品を公開した小笠原梓さん

自身初の個展で作品を公開した小笠原梓さん

 

 小笠原さんは子どものころから絵を描くのが好きで、趣味で創作活動を続けてきた。近年はSNSへのアップなどで作品が多くの人の目に留まり、市内の事業者や団体から商業デザインの依頼を受けることも増えてきた。展示会では絵柄をデザインした手拭い、LINEスタンプ、冊子の表紙などを公開。依頼主のニーズ、釜石らしさなどを独自の感性で表現した作品は親しみやすく、温もりが感じられる。

 

釜石大観音仲見世通りのシェアオフィス「コーバ釜石マルダイ」のオリジナル手拭い

釜石大観音仲見世通りのシェアオフィス「コーバ釜石マルダイ」のオリジナル手拭い

 

2017年の尾崎半島林野火災の復旧支援を目的に作ったLINEスタンプ。収益は釜石地方森林組合に全額寄付

2017年の尾崎半島林野火災の復旧支援を目的に作ったLINEスタンプ。収益は釜石地方森林組合に全額寄付

 

市民グループ「ほ~でなす釜石」企画の“釜石すごろく”のイラストも手掛けた

市民グループ「ほ~でなす釜石」企画の“釜石すごろく”のイラストも手掛けた

 

 個人の創作活動に加え、市民を巻き込んだアート活動にも取り組む。2020年には市内の建造物の外壁をアートで彩るグループ「ゼロスポット」を仲間と立ち上げ、釜石大観音仲見世通りのオフィスやカフェ、防潮堤を飾る活動で脚光を浴びた。震災後に生まれた劇団「もしょこむ」の18年公演では、登場キャラクターの衣装デザイン、制作を担当。脚本、演出も手掛けるなど、幅広い分野で才能を発揮する。展示会では防潮堤アートや劇の衣装も披露した。

 

2018年、劇団もしょこむ公演の劇「華とワカメとヒーロースーツ」。登場キャラクターの衣装が個展で展示されている

2018年、劇団もしょこむ公演の劇「華とワカメとヒーロースーツ」。登場キャラクターの衣装が個展で展示されている

 

 18、19の両日は、ものづくりの楽しさを味わってもらおうとワークショップも開催した。自然乾燥で固まる市販の粘土を用い、エアプランツ(葉から水分を吸収する植物)ポットを作る体験で、ミニ鉢には人の顔をデザイン。子どもも大人も夢中になって造形を楽しんだ。谷古宇温大君(釜石小6年)は「粘土で作れるのは初めて知った。形をきれいにするのが難しかったけど、またやってみたい。作品は家に飾る」と大事に持ち帰った。

 

ワークショップ「エアプランツポット作り」

ワークショップ「エアプランツポット作り」

 

長さ365センチの絵巻(下絵は小笠原さん)に来場者が色を塗る体験コーナーも

長さ365センチの絵巻(下絵は小笠原さん)に来場者が色を塗る体験コーナーも

 

 現在、子育て支援センターのパート勤務、2人の娘(中1、小5)の子育てをしながら創作活動を続ける小笠原さん。ゼロスポットのイベントには親子連れの参加も多く、子どもたちの創造力醸成、協力して作品を作り上げる達成感など、さまざまな相乗効果も生み出している。

 

 今回、多くの人たちに作品を見てもらえる機会を得て、「夢のような経験。すごく幸せ。見た人が笑顔になったり褒めてくれたりするとうれしくて励みになる」と感謝。「これからも、ものづくりは続けていきたい。現代アートにも興味があり、勉強しつつ挑戦できたらいいな」。好きなことを形にする創作への意欲はまだまだ尽きない。

生徒はメモを取りながら水島さんの話に耳を傾けた

魅力発見の視点養う 釜石商工高で地域理解につなげる講座

地域の魅力や働く意義について考える釜石商工高1年生

地域の魅力や働く意義について考える釜石商工高1年生

 

 地域を見つめる視点を養う「地域魅力発見講座」が9日、釜石市大平町の釜石商工高(菊池勝彦校長、生徒234人)で行われた。県の「高校の魅力化促進事業」の一環。釜石商工生として地域のためにできることを考える視点を持ってもらうのが狙いで、1年生52人が参加した。講師は、起業型地域おこし協力隊(釜石ローカルベンチャー)の水島嘉人(ひさと)さん。市外から移住した経験から見える釜石の魅力、社会人としての職業観などを伝えた。

 

 神奈川県鎌倉市出身の水島さんは東日本大震災の復興支援ボランティア活動を通じて釜石と縁をつなぎ、2020年6月に同隊員に着任。中小企業診断士の資格を生かし、企業の経営をサポートする活動に携わっている。その中で見えた釜石の魅力の一つが、地域愛あふれる経営者の存在。熱い思いを持つ人たちと一緒に地域課題に向き合い、その思いを形にすることができるまち―と強調した。

 

生徒はメモを取りながら水島さんの話に耳を傾けた

生徒はメモを取りながら水島さんの話に耳を傾けた

 

 東京の印刷会社でやりがいを持って働いた経験などを紹介し、「働くことの意味を考え、話し合ってみよう」と促す場面も。収入を得ることや社会貢献、自己実現という意義があるとした上で、▽出会いとつながり▽直感に従う▽まずやってみる▽相手の思いに寄り添う▽誰とでも対等な関係でいる―など社会に出た時に役立つ大切な視点を伝えた。

 

 電気電子科の小野颯大(ふうた)君は「より良いまちにしたいという大人の思いが分かった。釜石について知らないこともあり、歴史を知りたくなった。違う視点から、良いところを見つけ出してみたい」と意識を高めた。

 

 同事業で、2年生は「地域産業理解講座・ワークショップ」に参加。地域産業の課題と解決策を考え話し合う「共有」の機会とした。3年生は課題研究の取り組みの中で、地元企業と共同しリンゴのジェラートやサンマのアヒージョ缶詰を開発。文化祭などで限定販売し、地場産品の魅力を発信した。同校では来年度も、こうした活動を継続する考えだ。

11年ぶりの釜石公演で観客を楽しませた吉田正記念オーケストラ

音楽で世界旅行を~吉田正記念オーケストラ 11年ぶりの演奏会で元気届ける

11年ぶりの釜石公演で観客を楽しませた吉田正記念オーケストラ

11年ぶりの釜石公演で観客を楽しませた吉田正記念オーケストラ

 

 吉田正記念オーケストラによる「元気が出る!オーケストラコンサート」(釜石市、一般財団法人自治総合センター主催)は4日、釜石市大町の市民ホールTETTOで開かれた。指揮をする大沢可直さんと同オーケストラは東日本大震災前の2010年10月に同ホールの前身、津波で被災した旧市民文化会館で公演しており、11年ぶりの来演。大編成による迫力ある生演奏で懐かしの名曲を聴かせ、復興する被災地でたくましく生きてきた市民らを音楽という世界旅行にいざなった。

 

 故吉田正(1921~98年)は国民栄誉賞受賞の作曲家。生前、数多くの〝吉田メロディー〟を生みだし、広く大衆に愛されてきた。記念オーケストラはその作品を半永久的に演奏する目的で2001年に結成。大沢さんは、吉田の作品をモチーフにクラシック化した「吉田正交響組曲」をつくり、同オーケストラの音楽監督に就任、国内外で演奏活動を展開している。

 

大編成による多彩な音色、迫力ある生演奏を披露した

大編成による多彩な音色、迫力ある生演奏を披露した

 

 コンサートは2部構成のプログラム。1部は「いつでも夢を」から始まり、吉田メロディーの世界へ誘いだした。4楽章ある同組曲7番では「子連れ狼」「和歌山ブルース」「潮来笠」「夜霧の第二国道」「東京ナイトクラブ」など昭和という時代を懐かしむ曲の数々を熱演。観客たちに若かりし日々を思い出させるような音楽ドラマとして聴かせた。

 

 2部は世界の名曲を味わう時間。「慕情」「太陽がいっぱい」など映画音楽を情感豊かに、「ベサメムーチョ」「キエンセラ」といったラテンの名曲は軽快に奏で、「チャイコフスキー交響曲4番」ではクラシックをなりわいとする交響楽団ならではの迫力ある多彩な音色で魅了した。曲の合間に、話題豊富なトークで観客を楽しませた大沢さん。フランク永井が歌った吉田メロディー「ラブ・レター」では指揮を休んで美声を響かせ、会場を沸かせた。

 

指揮者の大沢さんはユーモアあるトークで観客を喜ばせた。時には歌声も響かせた

指揮者の大沢さんはユーモアあるトークで観客を喜ばせた。時には歌声も響かせた

 

 アンコールは望郷の思いを歌う「異国の丘」。前回の釜石公演後に起こった震災に触れた大沢さんは「ドキドキしながら降り立った釜石、見事に復興していた。たくましい。生きているって素晴らしい。いいホールで音楽を生で楽しんでほしい」と願った。

 

懐かしの名曲がたっぷり詰まったコンサートを楽しんだ観客

懐かしの名曲がたっぷり詰まったコンサートを楽しんだ観客

 

 このコンサートは宝くじの助成で実施。約400枚のチケットは完売した。小川町の菊池忠太郎さん(85)、律子さん(77)夫妻は「すごい迫力。気持ちを表すような強弱のある演奏だった。なじみの曲ばかりで楽しかった。みんな心の中で歌っていたと思う。元気もらった」と笑顔を重ねた。

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「グリコワゴン」10年ぶり訪問に釜石っ子大興奮!朝食の約束もしっかりと

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ワゴン車の前でグリコポーズを決める白山小児童

 

 東日本大震災の被災地に元気を届けてきた総合食品メーカー江崎グリコ(大阪市)の「グリコワゴン」が11月下旬、釜石市内の小学校9校を訪問。子どもたちに夢あふれるひとときをプレゼントした。「地域活性化起業人」として同社から釜石市に派遣されている大窪諒さん(31)が、新型コロナウイルス禍でさまざまな楽しみが失われている子どもたちの思い出作りと食育の一助にと企画した。

 

 25日は、大窪さんと市商工観光課の職員ら5人が嬉石町の白山小学校(熊谷直樹校長、児童35人)を訪問した。大窪さんは低、中、高学年の各教室を回り、朝食の大切さを伝えるミニ講義を実施。欠食が体に及ぼす影響を説明し、「成長期のみんなの体は多くのエネルギー、栄養を必要としている。朝食をしっかり食べることで元気に登校でき、勉強にも集中できる。学力アップ効果も期待できる」と話した。

 

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朝食の重要性を教えた食育の講義=3、4年教室

 

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地域活性化起業人として活動する大窪諒さん。「おいしく朝食を食べ元気に登校を」と呼び掛けた

 

 朝食にはご飯やパンの炭水化物のほか、乳製品、卵、納豆などのたんぱく質、味噌汁や野菜ジュースなど「プラス1品」を心がけることもアドバイス。「早寝早起き、朝ごはん」の約束を交わした児童らにグリコの菓子をプレゼントし、家族で朝食を見直すためのリーフレットも添えた。

 

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10年ぶりの釜石訪問となった「グリコワゴン」

 

 この後、校舎前に止めた車両「グリコワゴン」を見学。さまざまな菓子で彩られた車体に児童らは歓声を上げ、記念写真を撮って楽しんだ。岡本羚依さん(3年)は「車のいろいろなところにお菓子が付いていてすごく工夫していると思った。世界に1台しかない車に会えてうれしい。今日の夜、眠れないかも」と大感激。好きな菓子“ビスコ”のプレゼントに目を輝かせ、朝食の約束を守ることも誓った。

 

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車体を装飾する「ポッキー」に笑顔を見せる児童

 

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赤と白で統一された運転、助手席に目がくぎ付け

 

 同車両は「日本中においしさと健康、わくわくした笑顔を」と2010年に製造。直後に東日本大震災が発生し、11年5月、釜石市を皮切りに東北の被災地支援を開始した。その後も全国の自然災害の被災地を中心に訪問を続け、走行距離は11万キロに及ぶ。「東北支援のスタートの地・釜石に、震災10年を経て自分がいるのも何かの縁」と大窪さん。児童らが喜ぶ姿に自身も笑みを広げ、健やかな成長を願った。

 

 大窪さんは20年7月からの同起業人の任期を今月末で終了する。これまで地元企業と釜石の魅力を伝える各種商品の開発に尽力してきた。13日には、この1年半の活動報告会を行う予定。

平田小で行われた建設業ふれあい事業。児童はずらりと並んだ重機の操作に夢中になった

迫力!重機操作、試乗に夢中 平田小で建設業ふれあい事業

平田小で行われた建設業ふれあい事業。児童はずらりと並んだ重機の操作に夢中になった

平田小で行われた建設業ふれあい事業。児童はずらりと並んだ重機の操作に夢中になった

 

 県建設業協会釜石支部青年部(山元一輝部会長、27社)による「建設業ふれあい事業」は16日、平田小(鈴木崇校長、児童150人)で行われ、1、2年生52人が実際の工事現場で活躍する重機を動かした。

 

 青年部会員に協賛事業所、重機のリース事業所が協力し、合わせて40人が児童を迎えた。校庭にはバックホー、土やアスファルトを固めるローラー車、除雪作業などで使うショベルローダー車、高所作業車の建設機械6台が並び、児童はヘルメットをかぶって順番に乗車。青年部会員に手伝ってもらいながら操作レバーを握り、土をすくい取ったり、コンクリートブロックを持ち上げて移動させるなど簡単な作業を体験した。

 

高所作業車に試乗し、「海、見えるね」と喜ぶ児童と青年部会員

高所作業車に試乗し、「海、見えるね」と喜ぶ児童と青年部会員

 

 高所作業車には安全帯を身に付けて乗り、校舎3階ほどの高さまで上がると、「ヤッホー」「イエーイ」などと校庭にいる友達に自慢げに手を振っていた。田中玲那さん(1年)は「大きい機械で少し怖かったけど、動かすのは楽しかった。動かし方を優しく教えてくれてうれしかった」とはにかみ、中里陽(あきら)君(2年)は「おじいちゃんが建設業で、橋とか作っている。こんな機械を動かしているんだと思った。かっこいい」と胸を張った。

 

子どもたちとの交流を楽しむ青年部会員ら。気分をリフレッシュさせ、本業に励む

子どもたちとの交流を楽しむ青年部会員ら。気分をリフレッシュさせ、本業に励む

 

 同事業は、建設業への理解と関心を深めてもらおうと継続する地域貢献活動。操作体験の後には奉仕活動も行い、校門周辺の水はけをよくするため砂利を敷きならした。山元部会長は「建設の仕事を見て、触れてもらうことで、将来の職業選択にも役立てば」と期待する。

入賞を喜ぶ村越さん(左から2人目)、佐藤さん(中央)

税の高校生作文で釜石商工高生2人表彰 釜石税務署

入賞を喜ぶ村越さん(左から2人目)、佐藤さん(中央)

入賞を喜ぶ村越さん(左から2人目)、佐藤さん(中央)

 

 国税庁主催の「税に関する高校生の作文」で県立釜石商工高(菊池勝彦校長、生徒234人)の村越梨緒菜さん(総合情報科2年)が最高賞の国税庁長官賞に次ぐ仙台国税局長賞に選ばれた。佐藤凜さん(同)は釜石税務署長賞を受賞。2人は16日、同校を訪れた同税務署の霜崎良人署長から賞状と記念品を受け取った。

 

 高校生作文は租税教育の充実を目的に、1962年度から毎年実施。今回は全国1563校から17万8807編、同国税局管内(東北6県)では147校1万4750編の応募があった。

 

釜石税務署では受賞作をポスターにして税に関する啓発に役立てる

釜石税務署では受賞作をポスターにして税に関する啓発に役立てる

 

 同校では同科2年生35人が夏休みの課題として取り組んだ。村越さんの受賞作の題は「人を支える『税』」。税金の使われ方や納税の仕組みを調べ、国全体で支え合っていることに気づいた一方、超高齢化社会による労働力不足で納税の負担は大きくなるだろうと考察する。税に関する問題はこれからを担う自分たちこそが目を向けるべきと強調。「一年後に選挙権を得る。国民全員が平等に、より良い暮らしができるよう投票を通じて参政することで、支える人になりたい」と結んだ。

 

 佐藤さんの作文のテーマは「消費税」。増税のメリット、デメリットを分析し、「賛否はあるが、増税分がどう使われ、どれほど重要かを理解したうえで意見を出すべき。将来、自分たちの生活にも関わってくることであり、税の重要性を考えてみてほしい」と求めている。

 

 2人は「受賞は驚いた。聞いたことがない言葉が多くて難しかったが、知識が深まった。これからも税について興味を持って調べてみたい」と前向きに捉えた。

 

釜石市役所本庁舎1階税務課に掲示中の高校生作文

釜石市役所本庁舎1階税務課に掲示中の高校生作文

 

 霜崎署長は「自分の考えをしっかり持ち、心強く感じた。税の意義、役割を理解し、生活に役立ててほしい」と期待。2人の作文は只越町の市役所本庁舎1階税務課窓口、鈴子町のシープラザ釜石に掲示されている。11月末まで。

鉄鉱石と石灰を混ぜたものを炉に投入する児童=12日

鉄づくりの歴史文化に理解 釜石小でたたら製鉄体験

釜石小5年生が挑んだ鉄づくり。れんがで積んだ炉に炭を入れる=12日

釜石小5年生が挑んだ鉄づくり。れんがで積んだ炉に炭を入れる=12日

 

 釜石小(及川靖浩校長、児童109人)で11、12の両日、昔ながらの鉄づくり「たたら製鉄」体験が行われた。5年生16人が築炉から粗鉄(ケラ)の取り出しまでを体験。鉄産地の歴史文化に理解を深めながら、ものづくりの面白さに触れた。

 

 同校の製鉄体験は釜石市地域学校協働本部事業の一環で実施し、今年で4回目。鉄づくりに関する市の出前講座を活用し、市文化振興課文化財係の加藤幹樹主任(36)らが指導した。

 

高炉づくりに取り組む児童。れんがを積み上げる作業に「重労働だ」と実感した=11日

高炉づくりに取り組む児童。れんがを積み上げる作業に「重労働だ」と実感した=11日

 

 初日は校庭の一角で高炉の築造、木炭を割る作業に取り組んだ。高炉はコンクリートブロックを基盤に耐火レンガ約100個を組み上げ、モルタルで隙間をふさいで補強。送風口、炉内を見る接眼レンズなどを固定した。木炭は、炉を温めるために使う分も合わせて約50キロ必要で、児童は「炭まみれ」になりつつ黙々とハンマーで砕いた。

 

鉄鉱石と石灰を混ぜたものを炉に投入する児童=12日

鉄鉱石と石灰を混ぜたものを炉に投入する児童=12日

 

 2日目が本格的な製鉄体験。木炭20キロ、釜石鉱山が提供した鉄鉱石10キロ、石灰1キロを原料に鉄の生産に挑んだ。炉に火入れし、順調に加熱。炎を上げた炉は内部が1300度ほどにもなる。児童は5分に1度、鉄鉱石と石灰を混ぜたものや炭を入れる作業を20回ほど繰り返した。

 

 昼前から鉱滓(ノロ)の抽出を行い、午後に炉を解体。粗鉄を取り出した。加藤主任はハンマーでたたいて鉄とノロの違いを示した。

 

不純物のノロ出しを見守る児童たち。鉄づくりの作業が順調に進んでいることを確認した=12日

不純物のノロ出しを見守る児童たち。鉄づくりの作業が順調に進んでいることを確認した=12日

 

作業の合間に行われた鍛冶体験。ものづくりの大変さ、楽しさを味わった=12日

作業の合間に行われた鍛冶体験。ものづくりの大変さ、楽しさを味わった=12日

 

 合間には、鍛冶体験も。児童は炭火で熱してオレンジ色になったくぎを何度もハンマーでたたいて薄くし、ペーパーナイフ風に仕上げた。同課の手塚新太課長補佐(49)がサポートした。

 

 5年生は総合的学習として事前に、鉄の歴史館の見学や近代製鉄の父・大島高任に関する講話で「鉄のまち釜石」について理解を深めてきた。木炭の破砕作業を担当した佐々木愛菜さんは「いろんな役割があり、しかもすべて手作業なので大変だった。鉄ができるか、わくわくしたし、みんなでやって達成感がある。一生懸命にやったことをこれからの生活に生かしたい」と充実感をにじませた。

釜石東中2年生が作った地域応援ポスター

活気のある地域づくりへ思い込め 釜石東中生が応援ポスター作成

釜石東中2年生が作った地域応援ポスター

釜石東中2年生が作った地域応援ポスター

 

 釜石市鵜住居町の釜石東中(米慎司校長、生徒97人)の2年生40人が、東日本大震災の復興に力を尽くしながら地域で働き続ける大人たちの姿を取材した。住民らの生き方、古里に対する愛着を知った生徒たちは、「もっと活気のある街になるよう、一緒に頑張りたい」との気持ちを強くし、応援ポスターを作って町内の店や施設に掲示している。

 

 新型コロナウイルス禍で中止となった職場体験学習の代替えとして企画。少人数、短時間の受け入れで可能な職業インタビューという形式で行い、協力事業者への感謝を伝えようと作成した。震災から10年がたち、復興は進んでいるが、「もっと地域を盛り上げるために中学生が力になれることはないか」と考えたのも理由の一つだ。

 

 職業インタビューは7月に行い、学区内の高齢者施設や保育施設、飲食店、自動車整備店など32の事業所が協力した。復興や仕事への思いを聞き取った生徒は、まとめとしてポスター作りに取り組み、9月に完成させた。

 

ポスターには鵜住居地域で働く人たちの手と思いが散りばめられている

ポスターには鵜住居地域で働く人たちの手と思いが散りばめられている

 

 ポスターはA2サイズ(縦420センチ、横594センチ)で、生徒40人の学びを散りばめている。モチーフは取材に協力した住民の「手」。復興を支えてきた証しであり、職業によって味が出る面白さもある。「この手につながりたい」。生徒たちが感じた思い、印象に残ったイメージを言葉にして添えた。

 

 タイトルは「頑張っぺし釜石!!」。生徒たちが大好きだという根浜海岸を背景に配置した。震災で苦しい思いはしたが、「海とともに生きていく鵜住居」を表している。

 

 人に関わる仕事がしたいとぼんやり思い描いている小澤空泉(そらみ)さんは栗林小を訪ね、舞良昌孝校長に働く上で大切にしていることなどを聞いた。ポスターには差し出された大きい手のひらと、その仕事を選んだ理由を尋ねた時に返ってきた「子どもたちの人生に関われる」という言葉をのせた。文字は優しい印象の人柄をイメージしたピンク色を選び、添えた矢印には「未来につながる仕事だ」との実感を込めた。

 

 取材を通して、コミュニケーション力の大切さを学んだ小澤さん。「いろんな人の意見を聞きながら、将来の夢、選択肢を広げられるようにしたい」と前を向く。

 

応援ポスターは鵜住居郵便局にも掲示されている

応援ポスターは鵜住居郵便局にも掲示されている

 

 鵜住居郵便局(小笠原博人局長)では、入り口の掲示板で応援ポスターを紹介。中学生の活動を知る機会になると好感を持ったようで、「将来、地元に残り地域の力になってほしい」と期待する。

 

 ポスターは校舎内にも掲示中で、学年主任の菅原隆宏教諭は「地域の人たちの職業にかける思いを知ることで、地元を愛してほしい。将来を見据え、自分の意思で選択し、行動できる人になってほしい」と願う。

多様な表現活動に取り組む市民らの個性豊かな作品を紹介する芸術文化祭

文化の光を継承・発展させよう 第51回釜石市民芸文祭 新たな発信手段に挑戦

多様な表現活動に取り組む市民らの個性豊かな作品を紹介する芸術文化祭

多様な表現活動に取り組む市民らの個性豊かな作品を紹介する芸術文化祭

 

 第51回釜石市民芸術文化祭(市、市芸術文化協会主催)は12日から14日まで、大町の市民ホールTETTOで開かれた。新型コロナウイルス禍でも文化芸術の光を発信しようと、市内の表現者たちは「チャレンジ」を合言葉に創作意欲を込めた作品を展示。初のYouTube(ユーチューブ)生配信も行い、発表部門の団体は仲間とともに舞台に立つ喜びや躍動する姿を伝えた。

 

 13日の開会セレモニーで芸文協(27団体、約400人)の河東眞澄会長は「会員、先人の思いをつなぎ継承、発展させるべく開催。懸命に活動する姿を発信したい」とあいさつ。県内で芸術文化振興に取り組む「幸せ出ずる国いわて実行委員会」(尾関良夫実行委員長)による寄付贈呈があり、東日本大震災の復興支援コンサートで集めた応援金約27万円が芸文協に贈られた。復興応援のため「おひなさま色紙」を送り続ける北九州市の近藤紫鳳さんには感謝状を送ることにし、オンラインでつないで10年の心温まる思いに謝意を表した。

 

特別展示された故星山駿さんの作品。中央が寄贈者の東子さん

特別展示された故星山駿さんの作品。中央が寄贈者の東子さん

 

 戦後、教員として釜石に赴任した故星山駿さん(1954年死去)の絵画2点が市に贈られ、特別展示された。釜石の風景が題材で、1点は魚市場から見た漁船。もう1点は朝日に照らされる三貫(さんがん)島がテーマの作品だが未完で、仕上げる直前に59歳で亡くなったという。

 

 寄贈したのは星山さんの長女東子(はるこ)さん(83)=東京都調布市。「高校1年の途中まで過ごした釜石は古里。この古里を大好きだった父の絵を釜石に帰したい」と思いを明かす。野田武則市長の「宝物が増えた」との言葉に感激し、亡父の思いが未来に向けて歩んでいくまちへの力強いメッセージになることを期待した。

 

一般参加として元仮設住宅住民が作った虎頭も並び、釜石らしさが光った

一般参加として元仮設住宅住民が作った虎頭も並び、釜石らしさが光った

 

 展示部門は協会加盟の16団体が参加。絵画や生け花、水墨画、切り絵、写真、書道など各分野の力作が並んだ。ステンドグラス教室「BEHOLD(ビホールド)」(佐藤敏子主宰)はクリスマスや花など季節をモチーフにした壁掛け、ランプシェードなど電球を仕込んだ作品を紹介。大船渡市から月2回、約10年通い続ける阿部仲子さん(54)は「陽の光を通すとガラスの色や表情が変わる。その美しさに、ときめきが止まらない」と魅力を語った。

 

好評の体験コーナー。色鮮やかな折り紙に女性たちは夢中になった

好評の体験コーナー。色鮮やかな折り紙に女性たちは夢中になった

 

 折り紙、エコクラフト、ちぎり絵、レザークラフトの体験コーナーもあり、来場者が手作りの面白さに触れた。桜木町の女性(70代)は2つのクラフトづくりに挑戦。「いろんな経験ができ、楽しかった。市民が集い、マスクをしながらでも会話ができるのは幸せなこと」と目を細めた。

 

稽古の様子を舞台上で紹介した裏千家茶道こども教室

稽古の様子を舞台上で紹介した裏千家茶道こども教室

 

 ステージでは5団体が大正琴、バレエ、歌や舞踊を披露した。今回初登場となったのは、裏千家又新会(菊池宗英会長)を母体に組織する実行委が実施する茶道こども教室。コロナの感染状況は落ち着いているが、団体活動が難しい現状に変わりはなく、同教室も年間18回開催予定のうち、稽古できたのは4回だけ。それでも、成果発表の機会になると出演を決め、舞台に茶席を設け、お点前の稽古風景を見せた。6年目の横田楽(がく)君(甲子小6年)は「緊張したが、うまくできた。見てもらえる機会をつくってもらって、うれしい」とうなずいた。

 

 ユーチューブ動画の公開は12月末まで。検索ボックスに「第51回釜石市民芸術文化祭」と入力し、動画を選択すると視聴できる。

 

sousakuhiroba

手作りのかざりで素敵なクリスマス&お正月を!「創作ひろば」

手作りのかざりで素敵なクリスマス&お正月を!「創作ひろば」

 

開催要項・参加申込書チラシ(PDFファイル/578KB)

目的

季節の行事に伴う飾り作りを通して、文化に触れながらもの作りを楽しむ。

日時と内容

【①】令和3年12月 5日(日) 9:30~11:30
Aコース『サンタの庭』:自然素材で、温かみのある作品に
Bコース『クリスマスツリー』:自シーグラスor松ぼっくりでツリーに挑戦!
 
【②】令和3年12月12日(日) 9:30~11:30
Cコース『しめ縄飾り』:稲わらでしめ縄体験
Dコース『ミニ門松』:自然素材で門松づくりに挑戦!
 
※受付開始9:00

場所

岩手県立陸中海岸青少年の家
(〒028-1371 下閉伊郡山田町船越2-42)

対象・定員

幼児・小学生 ~ 一般
※小学校3年生以下は保護者同伴とします。
※各コース定員30名とし、定員になり次第しめきります。

参加料

A・Bコース:1作品 300円
C・Dコース:1作品 500円

携行品等

・創作活動にふさわしい服装
・上履き
・作品持ち帰り用の袋等
・マスク
・飾り付けたい物等(付けたい飾りがございましたらご持参ください。)

その他

①と②へ複数の参加も可能です。
・傷害保険には加入しませんので、必要な方は各自で加入手続きをお願いします。
・申込締切日(11月27日)以降にキャンセルされる場合は、後日参加料をお支払いいただき、材料をお渡しします。

参加申込

11月7日(日)~11月26日(金)9:00~17:00
①〜⑥を明記して、FAXまたはメール、郵送でお知らせください。
①氏名(漢字/ふりがな)
②学校名・学年
③性別
④郵便番号・住所
⑤電話・FAX番号
⑥希望のコースと作品数
 
岩手県立陸中海岸青少年の家(マリンランド陸中)
〒028-1371 岩手県下閉伊郡山田町船越2-42
TEL 0193-84-3311
FAX 0193-84-3312
メール kenriturikuchu@echna.ne.jp

主催

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釜石リアスライオンズクラブ主催 第31回釜石地域中学校バスケットボール大会

釜石リアスLC杯中学校バスケ大会 競技力向上の一助に/県新人戦初優勝の釜石中男子 さらなる躍進に期待

釜石リアスライオンズクラブ主催 第31回釜石地域中学校バスケットボール大会

釜石リアスライオンズクラブ主催 第31回釜石地域中学校バスケットボール大会

 

 第31回釜石リアスライオンズクラブ杯釜石地域中学校バスケットボール大会は7日、釜石市鵜住居町の市民体育館で開かれた。男女とも釜石、大平、大槌の3校が参加。リーグ戦を行い、優勝を競い合った。

 

 同大会は青少年の健全育成、スポーツ振興などを目的に1992年にスタート。近年は11月に日程が設定されるが、昨年の第30回大会は新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期され、年度をまたいで本年4月に開催された。前回大会同様、今回も観戦は届け出た保護者のみとし、手指消毒、競技時以外のマスク着用など感染防止策を講じた。

 

保護者が見守る中、熱戦を繰り広げる選手たち

保護者が見守る中、熱戦を繰り広げる選手たち

 

女子「大平―釜石」の試合。勝利へ全力プレー

女子「大平―釜石」の試合。勝利へ全力プレー

 

 

 各チームは3年生引退後の1、2年生選手で結成。来年度の中総体に向けた新たなチーム作りを進める上で、競技力強化を図るための実戦経験の場となった。大会を主催する同クラブ(会員41人)の山崎智千(ともゆき)会長(58)は「少子化で生徒数が減る中でも大会を開けるのは幸せなこと。これまで言われてきた内陸の学校との力の差を埋める一助になるよう、今後も大会を続けていきたい」と願った。

 

 大会の結果は次の通り。
【男子】
釜石 117-20 大平
大平 52-42 大槌
釜石 121-27 大槌
 
優勝 釜石(5大会連続)
準優勝 大平
3位 大槌

 

【女子】
大平 102-10 大槌
釜石 95-17 大槌
大平 66-34 釜石
 
優勝 大平(2大会連続)
準優勝 釜石
3位 大槌

 

山崎会長から賞状を受け取る優勝の釜石中男子

山崎会長から賞状を受け取る優勝の釜石中男子

 

優勝杯を贈られる大平中女子。カップには歴代優勝校の名前が連なる

優勝杯を贈られる大平中女子。カップには歴代優勝校の名前が連なる

 

県新人戦初優勝の釜石中男子バスケ部 来年の東北中総体目指しチーム一丸

 

10月の県中学校新人大会で初優勝を果たした釜石中男子バスケットボール部

10月の県中学校新人大会で初優勝を果たした釜石中男子バスケットボール部

 

 釜石リアスライオンズクラブ杯大会で圧倒的強さを見せた釜石中男子バスケットボール部は、10月16、17の両日行われた県中学校新人大会(新人戦)で初優勝に輝いた。県制覇は、統合前の小佐野中が県中総体で果たして以来、約20年ぶり。新人戦での優勝は同校、釜石・大槌地区にとっても初の快挙となった。

 

 県新人戦バスケ競技には県内各地区の代表16チームが参加。釜石は1回戦で、磐井(一関地区)を68対63の接戦で下し、2回戦(釜石60-42見前)、準決勝(釜石70-56水沢南)と勝ち進んだ。決勝では、県大会上位の常連、石鳥谷(花巻地区)と対戦。71対42で勝利し、初の栄冠を勝ち取った。

 

 鈴木琥太郎主将(2年)は「フットワークとディフェンスを強化してきた結果だ。(初優勝は)自分たちの頑張りもあるが、支えてくれるコーチや先生、親のおかげ」と感謝。来年の中総体に向け、「他チームは釜中を倒そうと必死になってくると思う。自分たちも負けないよう頑張りたい。県制覇を達成して、東北大会ベスト4に入るのが目標」と意気込む。

 

釜石リアスLC杯大会でも相手チームを圧倒した釜石中男子(白ユニフォーム)

釜石リアスLC杯大会でも相手チームを圧倒した釜石中男子(白ユニフォーム)

 

 

 コーチを務める小澤弘貴さん(44)は「きつい練習にも耐えて頑張る頼もしい子たち。釜中出身の先輩高校生が練習相手になってくれて、部員らも吸収する部分が多い」と急成長の要因を明かす。この1年は「防御は最大の攻撃」をチームスローガンに、攻めるディフェンスを意識してきた。さらなるチーム力強化のため、「冬場の体力づくりをしっかりやって、攻撃のバリエーションを増やすのが目標。相手チームの研究も必要」と次年度を見据える。

 

 

 釜石中は13、14の両日、奥州市で開かれる県U15バスケットボール選手権大会に出場する。県新人戦の上位8チームと県内のクラブチームが参加し、16チームによるトーナメント戦を行う。優勝チームは全国大会への切符を手にする。

震災の記憶継ぐCD、来年3月発売へ 釜石高吹奏楽部も参加「復興の力に」

震災の記憶継ぐCD、来年3月発売へ 釜石高吹奏楽部も参加「復興の力に」

リハーサルでCD収録曲を練習する釜石高吹奏楽部の生徒ら

リハーサルでCD収録曲を練習する釜石高吹奏楽部の生徒ら

 

 毎年3月11日に発売されている東日本大震災の復興支援CD「絆~忘れない」。NPO法人日本アクティブ・フード協会(東京都中央区、神原進理事長)が、2016年から展開する被災地支援プロジェクトの一環で制作している。来年発売の7枚目のCDに、釜石高吹奏楽部(川崎真菜部長、部員26人)が参加することになり、3日、釜石市大町の市民ホールで収録に臨んだ。

 

 同部が担当するのは、被災地復興を願ってつくられた「がんばれニッポン」と、元気を届けようと生徒たちが選んだ「マーチ・シャイニング・ロード」の2曲。リハーサルではホール内での音の響きや強弱、音出しのタイミングなどを丁寧に確認した。緊張気味の仲間たちをリラックスさせようと、指揮を担当する生徒が馬のかぶりもので登場。肩と気持ちをほぐした生徒たちは心を一つに軽快な音色を響かせた。

 

生徒たちは聴く人に元気を届けようと録音に臨んだ

生徒たちは聴く人に元気を届けようと録音に臨んだ

 

 指揮のほか、チューバも担当した佐藤碧さん(1年)は「高校生らしい華やかさと元気で、聴く人を勇気づけられたら」と思いを込め演奏。トランペットを担当する川崎部長(2年)は「震災復興に携わる、大きな経験ができる機会。微力だが、精いっぱいの演奏で復興の力を盛り上げたい」と感情を音に乗せた。

 

 このCDには被災地復興の願いを込めつくられた「花の冠」「群青」「わせねでや」「未来の光へ」などが収録され、曲を通して震災の記憶を語り継いでいこうと制作が続けられている。収益金は被災地の子どもたちの支援に活用。神原理事長は「震災から10年たつが、今なお苦しい思いを抱えている人がいる。被災地の子どもたちの歌声、演奏を届けることで、忘れないという思いをつないでいく」と強調する。

 

 釜石高吹奏楽部が参加するCDは来年3月11日に全国販売される。今回は歌手のさとう宗幸さんらアーティストのほか、宮城、福島両県の子どもらも参加。ジョン・レノンの「イマジン」も収録される予定だという。