環境変化に合わせた読書推進活動を紹介する江刺さん
子どもの読書活動推進ボランティア講座は1月28日、釜石市小佐野町の市立図書館で開かれた。学校や地域で子どもたちの読書活動を支えるボランティア、読み聞かせ活動に関心のある人が対象で、9人が参加。市内外の活動団体による事例紹介や実演などから、活動のヒントを得、スキルアップを図った。
大船渡市を中心に読み聞かせや本を通じた交流活動を展開するNPO法人「おはなしころりん」理事長の江刺由紀子さんが「新型コロナウイルス禍での活動と学校ボランティアとの連携」をテーマに講義。「読み聞かせは本を通じた気持ちの手渡しができる大事な活動。できることをできる範囲で続けていく」と強調し、▽文通活動▽軒下古本屋▽新聞での本紹介―など新事業について説明した。
子どもの読書活動を支えるには「地域全体で子どもの成長を後押しするイメージが大切」と指摘。読書ボランティアらの地域を越えたつながりも促し、「情報交換しながら互いに元気を注入していきましょう」と呼び掛けた。江刺さんは実際に読み聞かせをし、「魔法のオレンジの木-ハイチの民話」に集録された「フクロウ」を紹介。声色の変化や強弱で登場人物を演じ分け、子どもの心を持った大人たちを物語の世界に誘い込んだ。
千田さんはおすすめ本を示して本選びのヒントを伝えた
釜石市内外の図書館で読み聞かせのボランティア活動に取り組む読書サポーター「颯(かぜ)・2000」事務局長の千田雅恵さんは、本の選び方をアドバイス。「自分が読んで共感できる本を選ぶこと。興味や関心のアンテナを張り巡らして自分の感性を磨くことが大切」と伝えた。「ぜつぼうの濁点」「ことろのばんば」など、子どもの年齢に合わせたおすすめ本を紹介。手遊びやわらべ歌を取り入れ、読み聞かせの場をさらに楽しい空間にするための工夫も見せた。
甲子町の女性(60代)は「江刺さんの読み聞かせに引きつけられた。本を読むことで心がしなやかになる、子どもならなおさら。発想も豊かになる」と実感。昨年から小学校図書室の運営補助などを行う学校図書ボランティアとして活動していて、楽しい空間づくり、児童への読み聞かせに意欲を見せた。
同館の川畑広恵館長は「コロナ禍、天災といった避けられないことがあっても、子どもたちが伸び伸びと強く育つためにできることがある」と確信する。コロナの流行を踏まえ参加型行事は減るが、多様なテーマで企画展を展開。2月1~22日に「猫の図書展」、同23日からは「ひなまつり展」を予定する。自宅で過ごす時間が増えている今だからこそ、本に触れ関心分野を広げてみては――。