釜石市の全14小中学校 22年度から「コミュニティー・スクール」に
釜石市教委は2022年度、市内全小中学校(14校)に地域住民や保護者が参画する学校運営協議会を設置する。地域と学校が一体となり、子どもたちの豊かな成長を支える「コミュニティー・スクール」実現への取り組み。協議会は学校運営について意見を述べ、子どもたちが抱える課題解決のための議論などを行う。委員には消防団などの防災関係者も入り、同市が力を入れる防災を核とした命の教育を後押しする。
小・中が同学区の甲子、唐丹は合同設置とし、12協議会が発足する予定。委員は地域、保護者、学校から選定した15人以内で構成。必要に応じ、目標達成のための部会を設け、関係する団体、組織と連携を図りながら地域と学校の協働活動を推進する。各校で委員の選出を進めており、研修などを経て、市教委が4月に任命する。
取り組みの背景にあるのは、子どもたちを取り巻く環境、学校が抱える課題の複雑・多様化。今後、学校と地域の連携はさらに重要になってくると考えられ、社会総がかりでの教育によって、釜石の未来を担う子どもたちの育成をサポートする。教育の課題や目標を共有し、それぞれが当事者として主体的に取り組むことで、市が第6次総合計画に掲げる「地域と人のつながりの中でみんなが育つまち」の実現も目指す。
コミュニティー・スクール(学校運営協議会制度)は、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」の一部改正により、17年度から導入が努力義務化された。本県では既に16市町村が導入し、22年度は全市町村で導入される見込み。
釜石市 22年度から10年間の「第3次生涯学習推進計画」策定へ
生涯学習推進を図る「釜石市社会教育委員会議」
釜石市社会教育委員会議(委員12人)の2021年度2回目の会議は1日、鈴子町の市教育センターで開かれた。委員と事務局(まちづくり課)職員ら22人が出席。市民を対象に実施した生涯学習基礎調査の結果、22年度を初年度とする「第3次市生涯学習推進計画」策定に向けた骨子案が示され、委員の意見を聞いた。
協議に先立ち、22年1月から新任期に入った委員(再任9、新任3)に委嘱状を交付。23年12月まで2年間の任期を確認した。市教委は22年度に導入するコミュニティー・スクールについて説明。社会教育分野にも関係することから、理解と協力を求めた。
第3次釜石市生涯学習推進計画骨子案などを協議
市生涯学習基礎調査は、第3次計画策定の基礎資料とする目的で、昨年8~9月に実施。無作為抽出による16歳以上80歳未満の男女1500人を対象に郵送で行った。回収率は40・5%(回答数608)。
調査によると、「生涯学習」という言葉自体は認知されているものの、「仕事や家事が忙しく時間がない」「きっかけがつかめない」という理由などで、学習活動に踏み出せていない実態があるほか、新型コロナウイルス感染症の影響も各質問項目で挙がった。希望する情報の入手方法で顕著だったのが年代による違い。若年層はインターネット、高齢者層は市広報や公民館だよりなど紙媒体を望む傾向が見られる。市は調査結果を公民館など関係職員で共有し、今後に生かす。
第3次市生涯学習推進計画は、22年度から10年間を計画期間とする。「学びと実践が循環し、つながりを創出する生涯学習社会を目指して」という基本方針のもと、6つの基本目標と施策を示す。▽ライフステージや社会の要請に応じた学習機会の提供▽大学や関係機関との連携強化など生涯学習推進体制の整備▽学習支援・指導を行うボランティアやコーディネーターの育成―などを目指す。「地域全体で子どもを育む環境づくり」では、コミュニティー・スクールとの兼ね合いも盛り込まれる予定。
委員からは計画策定へさまざまな意見が出された
委員からは「コロナで不自由さを感じながら生活している。手足を伸ばせる(心が開放される)ような活動を」「心のコミュニケーションが大切。実現可能な部分をどうするか」「地域に参加しやすい取り組みがあることが大事。健康な高齢者が社会貢献、自己実現を図れる場が必要」などの意見が出された。市は委員の意見を参考に計画案を策定。3月に開く本年度最後の会議で示すことにしている。
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