中心市街地に向かう「鉄と魚とラグビーのまち釜石潮騒ウオーク」の参加者=大渡橋
岩手県ウオーキング協会(佐藤良介会長)主催の「第13回鉄と魚とラグビーのまち釜石潮騒ウオーク」は22日、釜石市東部地区を巡るコースで行われた。同協会が県内13コースで展開する「岩手路ウオークリーグ」の一環。新型コロナウイルス感染症の影響で中止が続いていたため、3年ぶりの開催となった。県内各地の協会員と一般参加者121人が集い、紅葉が始まった市内の景色を眺めながら元気に歩みを進めた。
同大会は毎年秋に行われる。今回は発着点となる鈴子広場のリニューアル(本年4月)後、初めての開催。昨年、創立20周年を迎えた釜石市ウオーキング協会(桝井昇会長、会員54人)の節目を祝う記念大会として位置づけられた。出発式で県協会の佐藤会長は、ウオーキングの普及・発展に尽力してきた釜石協会の活動をたたえ、感謝の気持ちを表した。
準備運動で体をほぐし、午前9時半に10キロ、5キロの各コースに分かれ、参加者がスタート。両コースとも大渡橋を渡り、最初の休憩地点・魚河岸テラスを目指して目抜き通りを進んだ。休憩後は、津波対策と市民の憩いの場を兼ねた盛り土避難路「グリーンベルト」へ向かった。2020年春に完成した歩道で、初めて大会コースに設定した。
午前9時半、5キロと10キロのグループに分かれ鈴子広場をスタート
震災から復興したまちの様子を見ながら歩みを進める。背後の建物は復興住宅=大町青葉通り
港を一望できるグリーンベルトは普段から市民の散歩コースに。斜面には植樹された桜が育つ
5キロコースは、港町のイオンタウン釜石前を通り、千年橋を渡って鈴子のゴールへ向かった。10キロコースは次の休憩地点・鉄の歴史館(大平町)を目指し、長い上り坂に挑んだ。釜石湾の美しい景色を横目に高台の同館へ。一息入れた後、湾を一望できる展望台“港の見える丘”に上った。帰りはカーブが連続する女坂(嬉石町)を下り、甲子川沿いの国道を通ってゴールした。
鉄の歴史館近くの展望台に向かう10キロコースの参加者。頂上まであと一息
待っていたのは釜石湾の絶景!思い出をスマホカメラに収めた
花巻協会の橋本純子さん(63)は10キロに参加。「これだけの人数が集まる大会は久しぶり。コロナ下ではあるが外なので、あまり臆することなく歩いている。歩いて免疫力をつけることも大事」と3年ぶりの釜石路を満喫。東日本大震災後の同市にも思いを寄せ、「来るたびに街並みの変化を感じさせてもらう。来年で(発災から)12年になるが、コロナもあり復興は長い道のり。私たちも食事や買い物で応援を続けたい」と願った。
5キロコースの参加者も元気な足取りで進む
まだまだ余裕の表情!仲間との久しぶりのウオーキングを楽しむ
釜石協会の小澤勲さん(79、栗林町)は「いつもは10キロだが、今回は知り合いと一緒に5キロで参加した。天気も良くて最高だね」と爽やかな表情。普段は趣味のアユ釣りの時期を除き、ほぼ毎日5~6キロ歩くといい、「習慣づけていないとだめ。歩くと体の調子も全然違う。家にこもってばかりでは老化に拍車がかかる」と気持ちを奮い立たせる。
震災前まで釜石協会員だった菊池みさ子さん(84)は、市広報で参加者募集の告知を見て12年ぶりに参加。「思い切って申し込んで良かった。みんなに会えてうれしい」と声を弾ませた。震災で嬉石町の自宅が津波に襲われ、避難所、仮設住宅生活を経て只越町の復興住宅に入居した。「買い物に出かける時はできるだけ歩くようにしている。今日は力をもらった。これからまた頑張って暮らしていきたい」と菊池さん。
昨年、創立20周年を迎えた釜石市ウオーキング協会の会員。末永い活動を誓う
釜石協会は2001年創立。毎月の例会ウオーキング、主催大会の運営、県協会行事への参加など精力的に活動を続けてきた。2代目の桝井会長(81)は「20年続いたのは、中心メンバーが会員を引っ張ってきてくれたおかげ」と感謝。釜石の大会には例年、多くの県内の仲間が集う。「他地域の大会にも積極的に出向き、交流を重ねてきた成果の表れ。今日もみんな知っている人ばかりで、涙がこぼれた」。会員の平均年齢は78歳。高齢化は進むが、「人とのつながりを大事にしながら、若い世代に引き継いでいきたい」と今後を見据える。
同協会はコロナで1年延期していた20周年記念式典を11月13日に市内のホテルで開催する予定。