釜石の秋味といえば? 甲子柿!出荷始まる 豊作傾向で色・形・味バランスよし


2022/10/24
釜石新聞NewS #地域

釜石の秋を象徴する甲子柿。目揃会で生産者らが出来を確かめた

釜石の秋を象徴する甲子柿。目揃会で生産者らが出来を確かめた

  
 釜石市の秋の味覚「甲子柿」の今季出荷が始まった。20日、甲子柿の里生産組合(佐々木裕一組合長、21人・5団体)は組合員が品質を確認する「目揃(めぞろえ)会」と、消費者目線で出来栄えを評価する審査会を開催。今年は病害や天候の影響が少なく豊作傾向で、生産者らは収穫・出荷作業と忙しい日々が続く。「色や形、つや、食味のバランスがいい」とのお墨付きをもらい、伝統の味を全国に届けようと一層作業に熱を込める。
  
 甲子柿は、渋柿の一種の小枝柿を「柿室(かきむろ)」と呼ばれる暗室に入れ1週間ほどいぶし、渋を抜く地域伝統の製法で作られる。完熟トマトのような色味とぷるんとした食感、凝縮された甘味が特長。近年は豊富な栄養素も注目され、2021年には国の2つの制度(地理的表示[GI]保護制度、機能性表示食品)で特性が認められた。
  
 目揃会は甲子町の洞関コミュニティ消防センターで開かれた。関係者ら約20人が参加。生産者8人が化粧箱に詰めた柿を持ち寄り、色つやや大きさなど仕上がりを確認した。今年は夏場に雨量が多く、気温も高めだったが、台風による被害がなく、順調に成育。落葉病など病害の影響も少なかったが、最近ちらほらと葉などに斑点ができる農家もあり、防除について情報共有した。
  
実を手に取って色つや、重さを確認

実を手に取って色つや、重さを確認

  
豊作に顔をほころばせる生産者ら

豊作に顔をほころばせる生産者ら

  
 同町洞泉地区で10年前から生産に励む菊池永人さん(47)は「実が採りきれないほど。これまでで最高になりそう。糖度が高くて、おいしさも期待できる」と手応えを実感。ブランド化を進める中で、摘果など栽培管理に力を入れる生産者が多いが、「うちはほとんど手入れをせず自然任せ。昔ながらの小ぶりな実で季節の味を届けたい」と意欲を見せる。
  

3年目の審査会 「いぶしの製法」継承を期待

  
出品された甲子柿の見た目を審査する委員

出品された甲子柿の見た目を審査する委員

  
 審査会は大町の市民ホールTETTOで開かれ、9人の組合員が出品した。食や農業に関わる企業や団体の関係者らが委員(12人)となり、消費者目線で▽見た目(色、つや、傷の多少)▽味(甘さ、いぶし風味の有無、脱渋具合)▽食感―を審査。結果、9品全てが地方発送や各種販売会への出荷に値する品質と判断された。
  
柿を食べ比べ、甘さや食感などを確かめた

柿を食べ比べ、甘さや食感などを確かめた

  
 市農政推進協議会長で県食の匠の佐々木かよさん(71)は「味、形、つやがそろっているし、甘くて甲乙つけがたい。優秀で立派なものばかり。釜石の特産品、秋の味を楽しんでもらえる」と高評価。審査委員長の黒田博幸さん(51)=麻生三陸釜石工場総料理長=も「バランスよし」と太鼓判を押し、「いぶすという独自の製法を守り、継承してほしい」と期待した。
  
柿室でいぶす伝統の製法で作られ、真っ赤に色づいた甲子柿

柿室でいぶす伝統の製法で作られ、真っ赤に色づいた甲子柿

  
 この審査会は甲子柿の品質向上と品質統一化に向けた取り組みで、3年目の実施。佐々木組合長(72)は「凶作の昨年に比べると出来が良く、豊作にほっとしている。みなさんの声を糧にさらに頑張っていく」と力をもらった。出荷作業は例年通り11月中旬ごろまで続く見込みで、「気温の寒暖差が大きく、天気予報とのにらみ合いは続く。柿室の温度や湿度管理に気を配り、ハイレベルな品質、収量を確保したい」と気を引き締めた。
  
 市内では道の駅釜石仙人峠(甲子町)や一部スーパーなどで販売中。市外への認知度向上、販路拡大に向け、▽らら・いわて盛岡店対面販売会(10月25日、11月4、5日)▽伊丹空港「空の市」(10月29、30日)▽仙台藤崎百貨店GI産品フェア(11月11、12日)―への参加を予定している。

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