金融機関の強盗事件想定 釜石郵便局で模擬訓練 関係者も見学し対応学ぶ
釜石郵便局で行われた強盗対応模擬訓練=18日
釜石地区金融機関防犯協会(会長:佐藤清文岩手銀行釜石支店長、30機関)は18日、強盗を想定した模擬訓練を釜石市只越町の釜石郵便局(伴幸治局長)で行った。釜石警察署(前川剛署長)の協力を得て実施。参加した窓口営業部の9人は通報、犯人とのやりとり、現場の状況把握など、いざという時の対応の仕方を経験し、課題を確認した。
訓練は同協会会員機関から14人が見学する中で行われた。釜石署員2人が扮(ふん)した強盗が拳銃を持って押し入り、女性客(署員)1人を人質に取って、持ってきたかばんに現金を入れるよう要求。犯人は大声で局員を脅し続けた。窓口の責任者が金庫から出した金を差し出すが、犯人は再度要求。金を奪うと発砲して威嚇し、車で逃走した。
男性局員2人が「強盗だー」と声を上げながら犯人を追いかけ、走り去る逃走車両にカラーボール(訓練用)を投げつけた。局内ではけがをした人質の客を保護し応急手当て。犯人が行き来した場所をテープで仕切り、現場保存(証拠保全)に努めた。通報で署員が駆けつけるまでの間、犯人の体格、服装、凶器などを確認し合い情報を集約した。到着した署員は犯人の特徴や逃走手段を聞き取り、現場の状況とともに本署に無線連絡。防犯カメラ映像に映る犯人の特徴などを撮影し伝送した。
犯人が脅し続ける中、責任者は現金の入ったかばんを差し出す(左下写真)
カラーボールを手に逃走した犯人を追う男性局員
テープを張って現場保存。犯人の足跡や指紋検出につながる
訓練後、釜石署生活安全課の小田島徹課長は「犯人逃走後にやるべきことを責任者が明確に指示できるといい。犯人の迅速手配につなげるため、防犯カメラ映像の再生に日ごろから慣れておくことも大切」と助言。犯人役の署員からは「追跡する際は犯人が持っている凶器を考慮し、より安全な方法で。拳銃は発砲の危険があるので、離れた所から犯人の特徴を見るのも一つの手」との話も。110番非常通報装置の普及活動などを行う日本防災通信協会岩手県支部の山田剛支部長は、警察からの逆信電話の対応について説明。犯人とのやりとりについて「1人が交渉役になることで、犯人の目や意識が他の人に向かなくなる」とした。
記憶した犯人の特徴を出し合い、情報をまとめる
現場に到着した署員に、人質になった客のけがの状況を伝える
警察の聞き取りに応じる窓口業務の責任者(右)
初めて訓練に臨んだ入社1年目の新屋遥香さん(21)は「犯人の特徴を見る役割だったが、怖くてなかなか目を向けられなかった。訓練で実際の場面を少しイメージできた。落ち着いて見ることを心がけ、少しでも記憶に残るようにしたい」。窓口営業部の佐々木健部長(53)は、責任者として名乗り出て犯人役と対峙(たいじ)した。「ある程度、自分の中で想定して臨んだが、半分出せたかどうか」。実際の場面での対応の難しさを実感し、「これがスタート。訓練で良かった点、悪かった点を再度洗い出し、防犯体制強化に努めていきたい」と気を引き締めた。
訓練後、釜石署員から改善点などのアドバイスがあった
同協会では地区内の金融機関での強盗訓練を毎年実施。新型コロナウイルス感染症の影響で2年間は実施を見送ったが、本年から再開した。
釜石新聞NewS
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