第35回釜石市民劇場 満天の星は知っている「天文学者 葛西昌丕」若き日の私記

第35回釜石市民劇場 満天の星は知っている「天文学者 葛西昌丕」若き日の私記

第35回釜石市民劇場 満天の星は知っている「天文学者 葛西昌丕」若き日の私記
 
市民手づくりの舞台で釜石の先人や家族愛を紹介し、広く愛されてきた「釜石市民劇場」の公演が2年ぶりに行われます。今年は、天文学者 葛西昌丕(かさいまさひろ)若き日の人間味あふれる側面を描いた物語をお届けします。
 
主催/釜石市民劇場実行委員会 
後援(予定)/釜石市・釜石市教育委員会・釜石市芸術文化協会
お問い合わせ:釜石市民劇場実行委員会 090-7798-2307(久保さん)

日時

令和4年3月6日(日曜) 10時30分開演/14時30分開演

会場

釜石市民ホールTETTO ホールA

入場料

前売券:1,000円 当日券:1,300円 (中学生以下は無料)

プレイガイド

釜石市民ホールTETTO、イオンタウン釜石、桑畑書店 ほか 
 
市内各地区生活応援センターでも前売券のお申込みができます。事前に申込書を生活応援センターにお出しください。当日、会場に引換券と代金をお持ちいただくとチケットとお引き換えできます。
 
第35回釜石市民劇場前売チケット申込書[DOCX:41KB]

この記事に関するお問い合わせ
釜石市文化スポーツ部 文化振興課 芸術文化係
〒026-0031 岩手県釜石市鈴子町22番1号 シープラザ釜石2階
電話:0193-27-5714 / Fax 0193-31-1170 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2022021000058/
釜石市

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釜石市公式サイトと連携し、縁とらんすがピックアップした記事を掲載しています。記事の内容に関するお問い合わせは、各記事の担当窓口までお問い合わせください。
専用ヘッドマークを付け運行する「ブルズ列車」

復興祈念試合へ三鉄が応援列車運行 岩手ビッグブルズ(バスケ)とコラボ

専用ヘッドマークを付け運行する「ブルズ列車」

専用ヘッドマークを付け運行する「ブルズ列車」

 

 三陸鉄道(中村一郎社長)は、3月に釜石、宮古両市で復興祈念試合を行うプロバスケットボールチーム・岩手ビッグブルズ(水野哲志社長)を応援しようと、21日から「ブルズ列車」の運行を開始した。専用ヘッドマークを装着した列車は、3月末まで久慈―盛間を毎日運行(1日2往復程度)。東日本大震災から11年となる沿岸被災地を両社のタッグで力付ける。

 

 21日、釜石駅で出発式が行われた。中村社長は6連勝中のブルズのさらなる活躍に期待。「沿岸の皆さんにもぜひ生で試合を見てほしい。列車に乗って会場に足を運び、たくさんの応援を」と呼び掛けた。水野社長は「震災の4カ月前に発足したチームも11年が経過。常に復興を意識し活動してきた。私たちの思いを乗せた列車が走ってくれるのは感動」と喜んだ。関係者のテープカットで運行開始を祝った。

 

三陸鉄道釜石駅駅舎前で出発式が行われ、テープカットで運行開始を祝った

三陸鉄道釜石駅駅舎前で出発式が行われ、テープカットで運行開始を祝った

 

 同列車のヘッドマークには、チームの願い「三陸と共に」という言葉と復興祈念試合の日程が記される。車内には選手15人を紹介するポスターを掲示。顔写真に直筆サインとそれぞれの鉄道や電車の思い出が添えられている。

 

選手のサイン入りポスターで彩られる車内。チームカラーの赤が視線を集める

選手のサイン入りポスターで彩られる車内。チームカラーの赤が視線を集める

 

ポスターには各選手の列車の思い出が添えられる

ポスターには各選手の列車の思い出が添えられる

 

 水野社長と式に出席し、車内を初めて見学した大澤歩選手(30)は「ここで選手を覚えて、会場で実物を楽しんでは」とコラボ企画に笑顔。自身は静岡県出身で、ブルズに移籍して1年目。「復興への思いが強く、共に成長してきたチームだと感じる。3月の祈念試合は何が何でも勝つ。皆さんに勇気と希望を与えられるような試合をしたい」と意気込む。

 

列車内を見学する岩手ビッグブルズの水野哲志社長(左)と大澤歩選手

列車内を見学する岩手ビッグブルズの水野哲志社長(左)と大澤歩選手

 

 復興祈念試合は、日本プロバスケットボール男子Bリーグ3部(B3)に所属するブルズのホーム戦。3月12、13日は宮古市民総合体育館でアルティーリ千葉と、26、27日は釜石市民体育館で東京八王子ビートレインズと対戦する。試合当日、三陸鉄道を利用して会場を訪れた人には、記念缶バッジをプレゼントする。

 

三鉄に乗って会場を訪れた人にプレゼントする缶バッジ。受け取り方は後日、両社のHPで告知

三鉄に乗って会場を訪れた人にプレゼントする缶バッジ。受け取り方は後日、両社のHPで告知

 

 震災後、本県沿岸の被災地で復興祈念試合を継続してきたブルズ。釜石市では2019年12月、鵜住居町に新設された市民体育館のこけら落としで初めて試合を行った。21年2月には、震災10年を機に作成した、同市出身アーティスト小林覚さんの作品をデザインした特別ユニフォームを着用し、試合に臨んだ。今季のユニフォームにも小林さんの作品が採用されており、宮古、釜石両会場の試合で身に着ける。

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ペッパーで買い物を疑似体験 平田小でプログラミング学習成果発表

ペッパーを使ったプログラミング学習の成果を見守る児童

ペッパーを使ったプログラミング学習の成果を見守る児童

 

 釜石市平田の平田小(鈴木崇校長、児童150人)の6年生23人は、ソフトバンクロボティクス社が開発した人型ロボット「Pepper(ペッパー)」を活用したプログラミング学習に取り組み、18日に同校で成果を発表した。児童は5~6人ずつの4班に分かれ、指示通りにペッパーを動かそうと試行錯誤してきた結果に喜んだり、頭を抱えたり。チームで協力して一つのプログラムを作り上げる大変さや楽しさを学んだ。

 

 市とソフトバンクが2020年7月に締結した「地方創生に関する連携協定」に基づく事業の一環で、平田公民館事業「平田キッズクラブ」として実施。今回の学習は3回構成で、1月31日と2月1日に同社員から「ロボブロックス」を用いたプログラムの作り方を学び、「買い物」をお題にペッパーの動作、しゃべらせる文言などをタブレット端末で入力していた。

 

班ごとにプログラミング学習で作った作品を発表した

班ごとにプログラミング学習で作った作品を発表した

 

 集大成となった18日は班ごとに発表。児童らが作ったプログラムを転送されたペッパーは、商店街に見立てた教室内を移動しながら、カレーライスや豚汁、刺し身などの献立に必要な食材を肉屋、スーパーマーケットなどで手に入れた。L字型に進んでゴールに設定された家にたどり着けば成功となるが、コースを外れたり、ゴールできないチームも。思うように動かず悔しがる児童も、うまくいって喜ぶ子も互いの頑張りに拍手を送り合った。

 

ラジオ体操でペッパーとの交流を楽しむ子どもたち

ラジオ体操でペッパーとの交流を楽しむ子どもたち

 

 佐々木璃夢(りむ)さんは「ミスがあったけど、しっかり動いてくれたからうれしい」と、ほっとした様子。ゴール手前で動きが止まるという失敗はあったものの、同社員から「チームとしてまとまりがあり、ペッパーのせりふもユーモアがあってセンスを感じる」と評価された。「言葉の入力が難しかったけど、みんなで何かを形にするのが面白かった。くじけそうになっても諦めないことや時間を守ることの大切さが分かった」と胸を張った。

 

学習を手伝ってくれたペッパーを囲んで笑顔を見せる平田小の6年生

学習を手伝ってくれたペッパーを囲んで笑顔を見せる平田小の6年生

 

 20年度に小学校で必修化されたプログラミング教育。同校では児童に1人1台タブレット端末を配布し算数や理科、総合的学習で取り組んでいるが、指導する教員で経験者は少なく、手探りで授業を進めている。同社による学習はプログラミングの基本を理解し、▽最後までやり抜く力▽言葉で伝える力▽理解し考える力▽チームで助け合う力-を身に付けるのが目的。端末で描いたイメージを、実際にロボット操作で確かめることもでき、担任の教員らは「学習の中で子どもたちの成長が期待できる教材」と手応えを得ていた。

協定書を手にする野田武則市長とLIFULL地方創生推進部の秋庭麻衣さん

子連れワーク推進へ 釜石市とLIFULL(東京都)連携協定締結

協定書を手にする野田武則市長とLIFULL地方創生推進部の秋庭麻衣さん

協定書を手にする野田武則市長とLIFULL地方創生推進部の秋庭麻衣さん

 

 釜石市は未就学児を持つ母親の就労支援を目的に、子連れワークの環境整備で実績のあるLIFULL(ライフル)=井上高志社長、東京都=と連携協定を結んだ。子育てと仕事を両立しながら、スキル取得やキャリアアップを目指すことができる新たな働き方、環境を創出する。

 

 18日、市役所でオンラインによる協定締結式が行われ、市側から野田武則市長ら7人、同社から地方創生推進部の秋庭麻衣さんがリモート出席。野田市長と井上社長が署名した協定書を取り交わした。両者は未就学児を持つ母親が子どもを保育施設に預けなくても仕事ができる体制構築を目指し、▽デジタル人材の育成▽子連れワークが可能なオフィスの整備▽リモートでの受注が可能な業務の掘り起し―などに協力して取り組む。

 

 不動産情報サイトを運営する同社は、空き家バンクによる自治体と移住希望者のマッチング、空き家を活用したワーケーション施設のプロデュースなど、地方創生に貢献する事業を展開。地域課題解決への取り組みの一環で、子育てと仕事を両立させたい母親の支援事業を行う。働きたい母親に登録してもらい、キッズスペース付きのオフィスや在宅でできるWebマーケティング関連の業務を依頼。ライフスタイルに合わせて雇用形態や就業時間を選べる柔軟な働き方を提案する。

 

釜石市役所で行われたオンラインでの協定締結式

釜石市役所で行われたオンラインでの協定締結式

 

 事業を担当する秋庭さんは「コロナ禍もあり、テレワークはかなり進んでいる。釜石が先進的なロールモデルとなって発信していくことが日本全体の活力にもつながっていく」と期待。在宅業務の推進で懸念される孤立化を防ぐため、空き家を活用した子連れオフィスの整備も進め、母親同士のコミュニティー形成を後押ししていく考え。

 

 野田市長は「子育てしながら働きたい方の仕事の場の確保は長年の課題。やっと方向性が見えてきた。これをスタートに沿岸被災地とも連携しながら拡大させていきたい」と意欲を示す。

 

秋庭さんと連携内容を確認し合う関係部課長ら

秋庭さんと連携内容を確認し合う関係部課長ら

 

 事業推進のための地域パートナーとして、ロコフィル(佐藤薫代表社員)も参画する。同市の起業型地域おこし協力隊員として2年前に着任した佐藤代表は、昨年5月に合同会社を設立し、テレワーク普及など働き方改革に関わる事業を行う。「子どもを見ながら在宅ワークをしたいという人は潜在的に多い。LIFULL、市と協力し、母親たちを支援できれば」と意気込む。

 

 釜石市は2017年には、同社と関連会社の三者で「空き家の利活用を通じた地域活性化連携協定」を締結している。

震災復興への貢献で釜石市から感謝状を受けた市内団体の代表ら(前列)

震災復興支援に感謝 釜石市が市内79非営利団体に感謝状贈呈

震災復興への貢献で釜石市から感謝状を受けた市内団体の代表ら(前列)

震災復興への貢献で釜石市から感謝状を受けた市内団体の代表ら(前列)

 

 釜石市は18日、「東日本大震災復興支援感謝のつどい」を市内のホテルで開き、復興推進に貢献した地域の非営利団体に感謝状を贈った。これまでの復興の歩みを振り返り、今後の支援の在り方を考える意見交換も行われ、会場の模様はユーチューブチャンネルで生配信された。収録映像は3月31日まで配信される。

 

 新型コロナウイルス感染拡大を考慮し、出席者を約20人に制限して開催。感謝状を贈呈する市内79団体のうち5団体の代表が出席し、野田武則市長から感謝状を受け取った。震災直後からボランティアの受け入れや支援活動のコーディネート、被災住民の心のケアなどに取り組んできた各団体。野田市長は「行政だけでは手が届かない部分に尽力してくれたおかげで、ここまで復興が成し遂げられた」と労をねぎらい、市民を代表して感謝の気持ちを伝えた。

 

釜石市社会福祉協議会など5団体に感謝状を贈呈(写真右は社協の丸木久忠会長)

釜石市社会福祉協議会など5団体に感謝状を贈呈(写真右は社協の丸木久忠会長)

 

復興10年の歩みを振り返り、今後の支援の在り方を考えた意見交換会

復興10年の歩みを振り返り、今後の支援の在り方を考えた意見交換会

 

 映像で同市の復興の歩みを振り返った後、5団体の代表と市の幹部職員らが意見交換。支援活動の内容やこの10年で感じたことを共有し、今後の支援について意見を交わした。

 

 釜石市社会福祉協議会によると、同社協が震災直後から開設したボランティアセンターを通じて活動した人は延べ約9万2千人(2020年度末まで)。菊池亮地域福祉課長は、同市におけるボランティア精神の根付きに確かな手応えを実感。丸木久忠会長は震災復興支援を機に、愛知県東海市や東京都荒川区の社協と災害時相互支援協定を結んだことを挙げ、平時の交流促進にも期待を寄せた。

 

 アットマークリアスNPOサポートセンターは、国際NGOなど外部の支援者と地元支援団体をつなぐ役割を担ったほか、市民の協力を得て仮設住宅の見守り活動を行った。川原康信事務局長は「外部支援の受け入れでは、地域の事情を知る地元組織が中間的役割を担うことでトラブル回避につながる」と話した。

 

震災後の支援活動で感じたことを話す市内団体の代表ら

震災後の支援活動で感じたことを話す市内団体の代表ら

 

野田武則市長と市幹部職員らが各団体の話に耳を傾けた

野田武則市長と市幹部職員らが各団体の話に耳を傾けた

 

 釜石支援センター望は仮設、復興住宅でのサロン活動やイベント開催で、住民のコミュニティー形成を後押ししてきた。ここ数年の課題として挙げたのは「支援者の高齢化」。活動を支えるボランティアは今後、減少が見込まれ、担い手不足が懸念される。海老原祐治センター長は「今までのボランティア活動は被災地が作った1つのレガシー(遺産)。これからも続けていけるしくみを市と協力して考えていければ」と願った。

 

 カリタス釜石はカトリック釜石教会(大只越町)を拠点に、ボランティアの受け入れやお茶っこサロンの開設などを行った。道又譲理事は「ボランティアで釜石に来た人たちからまた行きたいとの声をいただく。コロナが収まったら、復興した釜石に来てほしい」とし、まちの魅力発信など新たな形の活動を模索する。

 

 NPOおはこざき市民会議は、箱崎半島部8漁村集落の復興を目的に設立。ハード、ソフト両面の課題解決に取り組んできた。漁業体験、海産物を生かした特産品開発、郷土料理講習会などを継続し、水産業の振興、地域活性化につなげる。佐藤啓太理事長は「漁業体験が海の仕事への関心を高め、将来の担い手育成にもつながっていけば」と期待する。

 

震災から10年が経過し、今後の支援活動はどうあるべきかについても意見を交わした

震災から10年が経過し、今後の支援活動はどうあるべきかについても意見を交わした

 

 各団体が釜石の支援活動の特長としたのが「行政と民間の連携」。市社協は「市のさまざまな部署と情報交換を密にすることで支援ニーズを把握できた」、支援センター望は「行政と社協、各団体の協働が“釜石モデル”として注目されている」とし、これらの経験を未来に生かすことを望んだ。

 

 「コロナ禍で外出機会が減り、心身が衰えてしまう人が多い」との指摘も。今後は被災地域以外にも目を向け、住民の健康づくり、コミュニティー再構築などに取り組んでいく必要があるとの認識も示された。

震災で得た教訓を生かし協定を結んだ建設業、石油業の関係者

災害時、燃料を優先確保へ 釜石・建設業と石油業界が協力協定

震災で得た教訓を生かし協定を結んだ建設業、石油業の関係者

震災で得た教訓を生かし協定を結んだ建設業、石油業の関係者

 

 県建設業協会釜石支部(八幡康正支部長、会員42社)と県石油商業組合釜石支部(磯田志信支部長、同19社)は18日、災害時における燃料等の供給に関する協定を結んだ。県内初の試み。燃料確保が困難となり、復旧活動に支障が出た東日本大震災を教訓に、災害対応を円滑に進められるよう燃料の供給を優先的に行う連携体制を整える。

 

 震災時、被災地の人命救助や物資搬送、各種ライフラインの復旧に向けて優先されたのは、自衛隊や消防・救急車両など緊急車両が通行できるよう、流失した家屋など障害物を取り除いて救援ルートをつくる「道路啓開」の作業。重機などを保有する地元の建設業者が主に担った。

 

 その時に課題になったのが、燃料の確保だった。従来、各建設会社は個別契約するガソリンスタンドで給油するが、震災時は契約スタンドが被災したり、現場から遠くて利用できず、被災を免れた重機があっても稼働できない状態になった。緊急車両として稼働することができても、そもそも被災地では燃料が不足していたため、安定的な確保は難しかった。

 

稼働できる重機を記したホワイトボード。震災の記録として建設業協会釜石支部に残る

稼働できる重機を記したホワイトボード。震災の記録として建設業協会釜石支部に残る

 

 釜石市内も同様の状態で、「動かせる機械を稼働できないのが、もどかしかった」と八幡支部長(62)。残存燃料だけで動かしたり、市外から燃料の供給を受けながら災害対応に当たる中、徐々に市内の供給体制が回復。大事には至らなかったが、連携体制の必要性を認識した。最近では日本海溝・千島海溝沿いで巨大地震の発生が懸念されていることもあり、昨年、建設業協会から石油商業組合に協定締結について話を持ち込み、協議を重ねてきた。

 

 締結式は釜石市中妻町の建設業協会釜石支部で行い、八幡支部長と磯田支部長(61)が協定書に署名し取り交わした。災害発生時、建設業協会の要請に基づいて重機やダンプカーなどに燃料を優先供給。建設業協会の会員企業は釜石、大槌町にある石油商業組合所属のガソリンスタンドで、どこからでも給油できる。今後、共同訓練の実施など連携の在り方も検討していくことにしている。

 

協定書に署名する八幡支部長(手前)と磯田支部長(手前から2人目)

協定書に署名する八幡支部長(手前)と磯田支部長(手前から2人目)

 

 八幡支部長は「燃料の安定供給により災害対応が円滑に進む。震災から得た教訓を生かした備えが必要だ。地域の安全安心を守るため、同じような取り組みが広まっていけば」と意義を強調。磯田支部長は「いち早く復旧作業に携わってもらうことが大事になる。みんなで助け合っていく気持ちを持つことが重要だ」と加えた。

小泉賞を受けた菊池梢衣さん(左)、白川愛子さん(右)と釜石市ボクシング協会の小泉嘉明会長

3年間の精進たたえるボクシング「小泉賞」 釜石高の部員2人に授与

小泉賞を受けた菊池梢衣さん(左)、白川愛子さん(右)と釜石市ボクシング協会の小泉嘉明会長

小泉賞を受けた菊池梢衣さん(左)、白川愛子さん(右)と釜石市ボクシング協会の小泉嘉明会長

 

 釜石市ボクシング協会(小泉嘉明会長)は17日、高校3年間の部活動で競技に真摯(しんし)に向き合った釜石高の3年生部員2人に「小泉賞」を贈った。中妻町の昭和園クラブハウスで行われた贈呈式には、協会と同校ボクシング部から20人が出席。女子フライ級選手として活躍した菊池梢衣さん(3年)、マネジャーとして選手を支えた白川愛子さん(同)の努力をたたえた。

 

 「小泉賞」は、肉体、精神ともに過酷なスポーツであるボクシング競技に挑み、たゆまぬ精進と学業との両立を成し遂げた高校3年生に贈るもので、1999年に創設。卒業間近の毎年この時期に贈呈式を行っている。

 

 小泉会長は「3年間ごくろうさま。これからも未来を切り開きながら進んでいって」などと声をかけ、菊池さん、白川さんに記念のトロフィーを手渡した。また、「ボクシングは自身を鍛える意味ですごく神聖なスポーツ。個人競技だが、人との結びつきが強い」とし、後輩を含め部員らに人とのつながりの大切さを伝えた。

 

釜石高ボクシング部の後輩らが見守る中、行われた「小泉賞」贈呈式

釜石高ボクシング部の後輩らが見守る中、行われた「小泉賞」贈呈式

 

トロフィーを贈り高校3年間の頑張りをたたえた

トロフィーを贈り高校3年間の頑張りをたたえた

 

 同校ボクシング部は市内唯一の高校ボクシング部で、本年度は1~3年生13人(選手9、マネジャー4)で活動。5月には同校体育館を会場に県高総体が開かれ、菊池さんは女子フライ級で3位入賞を果たした。菊池さん、白川さんは3年生として部をまとめ、後輩らの良き手本となった。

 

 菊池さんは「練習はつらかったが、コーチやOB、顧問の先生の熱心な指導のおかげで続けてこられた。18年間生きてきて一番成長できた3年間だったと思う」と感謝。個人競技から「自分に勝つということを学べた」と実感する。卒業後は東京の国際系専門学校へ進学。将来は人道支援に携わりたいと夢を描く。「これからは自立していかなければならない。いろいろな壁にぶつかると思うが、『自分ならできる』と信じて頑張っていきたい」と前を見据える。

 

厳しい練習を重ね、大きく成長した菊池梢衣さん

厳しい練習を重ね、大きく成長した菊池梢衣さん

 

練習環境を整え、選手を支えてきた白川愛子さん

練習環境を整え、選手を支えてきた白川愛子さん

 

 白川さんは「選手の役に立っているか不安に思うこともあったが、『いつもありがとう』という言葉に自分も助けられた。裏方の大変さも知ることができた」と貴重な経験を心に刻む。部活以外では表に立って活動することも多かった。「サポートしてくれる人たちへの感謝の気持ちを忘れず、これからも歩んでいきたい」。支える、支えられる双方の立場を経験し、大事な人生訓を得た。春からは横浜の大学に進学する。「ジェンダー問題や教育格差について学び、目指す教員の仕事に生かせれば」と白川さん。

 

 2人は先輩や後輩、指導者らに恵まれた3年間を「幸せだった」と振り返り、後輩部員らの今後の活躍に期待。伝統ある同部のさらなる発展を願った。

ウメの木の剪定を学ぶ参加者=釜石市片岸町で

ウメ栽培技術向上へ 生産者ら講習会 剪定作業のポイント学ぶ

ウメの木の剪定を学ぶ参加者=釜石市片岸町で

ウメの木の剪定を学ぶ参加者=釜石市片岸町で

 

 釜石地方梅栽培研究会(前川訓章会長、会員23人)は10日、ウメ栽培の技術講習会を釜石市片岸町の圃(ほ)場などで開いた。安定生産に向けた栽培管理、技術向上を図るため、剪定(せんてい)に適した開花前のこの時期に開いているもので、会員ら約20人が参加。大船渡農業改良普及センター上席農業普及員の昆悦朗さん(53)が座学と実技でポイントを伝えた。

 

 実技講習は会員の山﨑ハル子さんの圃場(約300坪)で行われた。昆さんは剪定の目的について、▽樹勢の調整▽日照条件の改善▽病害虫の発生予防-などと説明。特に重要なのは「作業性の改善」で、樹高を下げ、日当りをさえぎるような枝を整理することで管理がしやすくなると助言した。

 

 「分かっていても、なかなか切ることができない」と会員ら。昆さんはノコギリやハサミを手に「木の勢いを確認し、軸となる枝を決める。流れに逆行している枝は思い切って間引く」などと話しながら、剪定を実演した。

 

ほころび始めた可憐な白い花に会員は意欲を高める=釜石市片岸町で

ほころび始めた可憐な白い花に会員は意欲を高める=釜石市片岸町で

 

 講習場所の畑を管理するのは山﨑さんの息子、元市さん(71)で、40本ほどのウメの木を育てる。日当たりのいい場所にあり、花が2、3輪ほころんでいるものも。「両親が道楽で始めたウメ栽培。自宅でウメを漬けるくらいで、素人も同然。毎年やってみなきゃ、分からない」と試行錯誤している。ポイントを教わる機会になり、「実がなるよう、樹形をイメージしながら枝を切っていく」と、木を見上げた。

 

 座学は鵜住居町の鵜住居地区生活応援センターで行い、剪定や施肥、病害虫防除など栽培管理の技術を学んだ。同会事務局、小川町の酒造会社浜千鳥の奥村康太郎さんが梅酒製造など、ウメを活用した取り組みを報告。梅酒で使われた実の2次利用について、会員らに意見を求める場面もあった。

 

講師の説明を熱心に聞く参加者=釜石市鵜住居町・鵜住居地区生活応援センター

講師の説明を熱心に聞く参加者=釜石市鵜住居町・鵜住居地区生活応援センター

 

 梅酒の原料として、浜千鳥がウメの集荷を始めたのは2010年。当初は生産・出荷者の入れ替わりが多く、不作の年にも当たるなど収量が安定しなかった。同会が設立した14年以降は出荷者が20人前後に定着。2トン弱だった収量は近年、5トン超となる年もあり、講習会の成果が出始めている。同社によると、安定的な梅酒製造には6~7トンが必要で、「生産者の拡大や技術の向上など継続的な取り組みを進めたい」としている。

 

 今年は6月中旬から7月上旬の集荷を見込む。前川会長(75)は「いいウメを育てるには手入れが必要。手間暇はかかるが、楽しみながら生産を続ける。仲間を増やし、地域資源を活用していきたい」と前を向いた。

寒さで川の水が凍り付いた橋野町の「鷲ノ滝」

厳冬の釜石市橋野町 氷と雪が造る「鷲ノ滝」の自然美

寒さで川の水が凍り付いた橋野町の「鷲ノ滝」

寒さで川の水が凍り付いた橋野町の「鷲ノ滝」

 

 釜石市の北西部、山あいに位置する橋野町。市街地に比べ、冬の気温が低い同地域では、この時期ならではの氷と雪の世界が広がる。名所として知られる市内最大級の滝の1つ「鷲ノ滝」も、豪快な水流が見られる春から秋とは違う趣を醸し、雪解けの春を待つ。同町青ノ木出身で地元の自然をこよなく愛す三浦勉さん(69)=野田町在住=の案内で10日、現地を訪ねた。

 

四季を通じて鷲の滝を訪れる三浦勉さん(右)。季節ごとの滝の表情を知る

四季を通じて鷲の滝を訪れる三浦勉さん(右)。季節ごとの滝の表情を知る

 

 同町中村集落を過ぎ、世界遺産「橋野鉄鉱山」に向かう途中の県道釜石遠野線から和山側に1・2キロ。鵜住居川の支流・赤柴川にある鷲ノ滝は、巨大な花こう岩などが段状に連なる傾斜地を流れる。三浦さんによると、落差は約13メートル。春夏には豊かな森林が蓄えた雨水や雪解け水が急流となって流れ落ちるが、今は寒さで凍った水流に雪が降り積もり、全く異なる表情を見せる。深さ約1・5メートルの滝つぼも水面が凍り、底は見えない。天然イワナの生息地で、渓流釣りのシーズンには釣り人も訪れるという。

 

三浦さんが撮影した水が流れている時の鷲ノ滝(2013年夏)

三浦さんが撮影した水が流れている時の鷲ノ滝(2013年夏)

 

滝つぼも水面が凍り雪が積もるが、氷の下は水が流れている

滝つぼも水面が凍り雪が積もるが、氷の下は水が流れている

 

 名称の由来は一説によると、「鷲(ワシ)が滝の裏側に巣を作っていたから」とのこと。長年の水流による浸食で巨岩の多くは上部が削られ、平面状になっている岩も。滝の下流もなだらかに削られた岩が見られ、その上を流れる清流の美しさが目を引くという。三浦さんは「春には左岸のヤマザクラが彩りを添える。紅葉の季節には落ち葉が流れ、四季折々の風景が魅力。滝の上流には奥入瀬(青森県)みたいな渓流もある」と、雪解けを心待ちにする。

 

周辺の木々が葉を落とす冬は、川の形状がはっきりと見て取れる

周辺の木々が葉を落とす冬は、川の形状がはっきりと見て取れる

 

 橋野地域には、三浦さんが確認しただけで約20カ所の滝があるという。集落から近い所では、産地直売所「橋野どんぐり広場」の東側(水車小屋裏手)にある「ママシタの滝」、沢桧川沿いの「瀧澤神社奥の院」から200メートル上流にある「ヨドマワリの滝」があるが、標高が低いため冬でも凍らず、流れ落ちる姿を見ることができる。

 

沢桧川上流の「ヨドマワリの滝」。一部凍っているが、水の流れはそのままに

沢桧川上流の「ヨドマワリの滝」。一部凍っているが、水の流れはそのままに

元気いっぱい虎舞を披露する園児たち

つなぐ伝統・虎舞 かまいしこども園 虎頭の引き継ぎ式

元気いっぱい虎舞を披露する園児たち

元気いっぱい虎舞を披露する園児たち

 

 釜石市天神町のかまいしこども園(藤原けいと園長、園児80人)は9日、大町の市民ホールで虎舞の引き継ぎ式を行った。卒園を控えた5歳児23人が最後の舞を元気いっぱいに披露。「がんばって」と4歳児に虎頭を手渡し、伝統をつないだ。

 

 同園では東日本大震災のあった2011年に虎舞を地域住民から習い、伝統芸能として継承する活動を開始。5歳児が虎頭を手に演舞、4歳児がおはやしを担当し、園行事や地域で披露してきた。新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、発表する機会は大幅に減り、21年度に観客を前に披露できたのは運動会の1回だけ。予定されていた市内の高齢者施設や県内外のこども園との交流はオンラインで行い、画面越しの発表となった。

 

 最後の舞台としていた地元ラグビーチームのホスト(本拠地)戦(3月)での応援は参加を控えることに。出演を楽しみにしていた全国虎舞フェスティバル(2月)も延期になったことから、ステージで踊る楽しい思い出を残してもらうため、代替えにと職員が企画した。

 

4、5歳児が力を合わせて元気な虎舞を披露した

4、5歳児が力を合わせて元気な虎舞を披露した

 

元気に跳ね回り、後輩や保護者にカッコいい姿を見せた

元気に跳ね回り、後輩や保護者にカッコいい姿を見せた

 

 保護者が見守る中、虎頭を手にした5歳児は1年間頑張った練習の成果を発表。跳ねたり、寝転がったり、広いステージを目いっぱい使って元気な舞を見せた。4歳児11人が威勢のいい、おはやしで演舞を後押しした。

 

釜石の伝統芸能・虎舞の虎頭を引き継いだ

釜石の伝統芸能・虎舞の虎頭を引き継いだ

 

 発表後、5歳児は虎頭を4歳児に手渡して引き継ぎ。「がんばります」と受け取る後輩たちに、「腰を下げた方がいいよ」「背筋をピーンとのばすとかっこいいよ」などと、虎を演じる時に気を付けるポイントを伝えた。

 

 小野寺諒君(6)は「うまくできた。楽しかった」と満足げ。父一男さん(51)、母優美子さん(43)は「最後に大きい舞台で踊る姿を見ることができて良かった。大きな動きに成長を感じた。これからいろんなことがあると思うが、失敗を恐れず、どんどんチャレンジしてほしい」と目を細めた。

 

 藤原園長は「大舞台に立つ経験は子どもの成長につながる。これをきっかけに、郷土芸能を続けてもらえたら」と期待した。

熱心にひな人形を縫い上げる参加者=7日、平田集会所

一針一針丁寧に ちりめん布でひな人形づくり、平田で教室

熱心にひな人形を縫い上げる参加者=7日、平田集会所

熱心にひな人形を縫い上げる参加者=7日、平田集会所

 

 釜石市平田町の平田集会所で7日、「ちりめん手芸教室」が開かれ、地域住民ら15人が桃の節句を前に、「おひなさま」作りに取り組んだ。平田地区生活応援センター(平田公民館)コミュニティ支援員サロン事業の一環。参加者は会話も楽しみつつ熱心に手を動かしていた。

 

 2回シリーズの最終回。講師は、ミシン・手芸用品の販売などを行う大町のニコー商会の里舘恭子さん(61)が務めた。参加者は色鮮やかな模様の付いたちりめん布を使い、高さ5センチほどの男びなを縫い上げた。オレンジやピンク、グリーンなどの色が付いた布で花飾りのタチバナと桜も作製。ひな人形の目が太かったり細かったり、タチバナの実も大きさがバラバラで、「みんな違っていい。どれもかわいい」と笑顔の連鎖も作った。

 

参加者は細かい作業も楽しんで取り組んだ=7日、平田集会所

参加者は細かい作業も楽しんで取り組んだ=7日、平田集会所

 

 細かな作業が続き、90歳女性は「目が悪いから大変。だけど、手芸が好きだから。いい出来栄え。どこに飾ろうかな」と思いを巡らす。ひざを悪くし、集会所の階段を上るのは苦になるが、「おしゃべりが好き。一人で家にいるよりいい」と目を細めた。

 

 同教室は昨年秋にも3回シリーズで実施。好評だったことから、今回のひな人形づくりが企画された。参加者から継続実施の要望が多く、4月以降、月1回程度開催することが、同日に決まった。「お月見」にちなんだ飾りづくりを楽しむという。

 

釜石市民ホールでひなまつり展 25日から

 
ひなまつり展のチラシを手に来場を呼び掛ける里館さん=10日、大町・ニコー商会

ひなまつり展のチラシを手に来場を呼び掛ける里館さん=10日、大町・ニコー商会

 

 里館さんは、釜石の店舗や大槌町で手芸教室を開いている。参加する女性たちの作品を紹介する「ひなまつり展」を25日から、釜石市大町の市民ホールTETTOギャラリーで予定する。

 

 釜石では木曜日に教室を開催。50~80代の女性10人ほどが通う。10日午前の教室には5人が参加し、展示会で並べるつるし飾りづくりを進めた。平田の女性(78)は「縫うのが楽しい。みんなとおしゃべりできるのもいい。ストレス発散、情報交換の場で、生活に欠かせない」と頬を緩めた。

 

 おひなさま展には壁掛けや人形、和の細工物など約200点を出品予定。里館さんは「一つひとつ表情が違う。見て楽しんでほしい。コロナ禍、少しでもほっこりしてもらえたら」と来場を呼び掛ける。ものづくりと会話を楽しむ手芸教室への参加は随時募集中。問い合わせは同社(電話0193・24・2366)へ。

竹灯籠の明かりで浮かび上がる根浜の避難階段。上り口には市指定避難場所への距離を示す看板も

震災の教訓 竹灯籠をともした避難階段で共有 3・11に向け根浜で点灯開始

竹灯籠の明かりで浮かび上がる根浜の避難階段。上り口には市指定避難場所への距離を示す看板も

竹灯籠の明かりで浮かび上がる根浜の避難階段。上り口には市指定避難場所への距離を示す看板も

 

 東日本大震災命日まで1カ月となった12日、釜石市鵜住居町根浜地区に追悼と防災への願いが込められた竹灯籠が設置された。灯籠の明かりが照らすのは根浜シーサイドキャンプ場と高台の市道箱崎半島線をつなぐ避難階段。市民らが手作りした50個の灯籠が“命を守る道”を教える。命日の3月11日まで、毎週土日祝日と11日当日、午後5時から同7時まで点灯する。

 

 12日は午後5時に点灯式を実施。灯籠を製作した親子らが見守る中、地元町内会「根浜親交会」の前川昭七会長が発電機のスイッチを押した。LED電球でともす灯籠が111段の階段を夕闇に浮かび上がらせると、集まった人たちがさっそく高台避難を体験。海抜20メートルの市道に続く階段を上った。

 

灯籠点灯後、避難階段を上り下りしてみる来場者

灯籠点灯後、避難階段を上り下りしてみる来場者

 

 竹灯籠の設置は、キャンプ場など一帯の観光施設を管理するかまいしDMC(河東英宜社長)が発案。震災犠牲者を追悼し、昨春完成した同階段を周知する目的で初めて取り組んだ。1月に市民らを対象とした製作体験会を実施。長さ約1メートルの青竹に電動ドリルで穴を開けて模様を施し、明かりが漏れるよう細工した。発電には、地域から出る廃食油を精製したバイオディーゼル燃料を用い、環境に配慮する。

 

体験会参加者らが手作りした竹灯籠。温かな光が階段を包む

体験会参加者らが手作りした竹灯籠。温かな光が階段を包む

 

辺りが暗くなると一層美しい光景が広がり、子どもたちは目を輝かせた

辺りが暗くなると一層美しい光景が広がり、子どもたちは目を輝かせた

 

 友人と足を運んだ藤原朱莉(あかり)さん(鵜住居小2年)は「手作りとは思えないほど、すごくきれい」と感激。「身近な所に避難できる場所があると安心。地震や津波の時は自分たちで早く行動できるように頑張りたい」と心構えを強くする。

 

 市内を代表する海水浴場・根浜海岸を有する同地区は、震災の津波で壊滅的な被害を受け、住民は新たに造成された高台の団地に移転。集落跡地にはキャンプ場や多目的広場が整備され、年間を通してレジャー客やスポーツ合宿の利用者などが訪れる。夏場には同海岸でトライアスロンやオープンウォータースイミングの大会も開かれるため、有事の際は高台避難が必須。キャンプ場から直接駆け上がれる階段が設置されたことで避難経路が増え、より安全で迅速な避難が可能となった。

 

キャンプ場(画面上部の明かりが点在する場所)から最短距離で高台避難が可能

キャンプ場(画面上部の明かりが点在する場所)から最短距離で高台避難が可能

 

竹灯籠には震災犠牲者への思い、未来の命を守りたいとの願いが込められる 

竹灯籠には震災犠牲者への思い、未来の命を守りたいとの願いが込められる 

 

 未曽有の大災害から間もなく11年―。同親交会の佐々木雄治事務局長(66)は震災の風化が進んでいく現実を憂慮。「津波はいつどこで遭遇するか分からない。警報、注意報が出たら、とにかく高い所に避難するという基本を再度確認してほしい」と願う。避難意識啓発にもつなげる今回の取り組み。「この階段をキャンプ場利用者だけではなく、広く多くの人に知ってもらいたい。日ごろから複数の避難ルートを確認しておくことも大事」と呼び掛ける。