厳冬の釜石市橋野町 氷と雪が造る「鷲ノ滝」の自然美
寒さで川の水が凍り付いた橋野町の「鷲ノ滝」
釜石市の北西部、山あいに位置する橋野町。市街地に比べ、冬の気温が低い同地域では、この時期ならではの氷と雪の世界が広がる。名所として知られる市内最大級の滝の1つ「鷲ノ滝」も、豪快な水流が見られる春から秋とは違う趣を醸し、雪解けの春を待つ。同町青ノ木出身で地元の自然をこよなく愛す三浦勉さん(69)=野田町在住=の案内で10日、現地を訪ねた。
四季を通じて鷲の滝を訪れる三浦勉さん(右)。季節ごとの滝の表情を知る
同町中村集落を過ぎ、世界遺産「橋野鉄鉱山」に向かう途中の県道釜石遠野線から和山側に1・2キロ。鵜住居川の支流・赤柴川にある鷲ノ滝は、巨大な花こう岩などが段状に連なる傾斜地を流れる。三浦さんによると、落差は約13メートル。春夏には豊かな森林が蓄えた雨水や雪解け水が急流となって流れ落ちるが、今は寒さで凍った水流に雪が降り積もり、全く異なる表情を見せる。深さ約1・5メートルの滝つぼも水面が凍り、底は見えない。天然イワナの生息地で、渓流釣りのシーズンには釣り人も訪れるという。
三浦さんが撮影した水が流れている時の鷲ノ滝(2013年夏)
滝つぼも水面が凍り雪が積もるが、氷の下は水が流れている
名称の由来は一説によると、「鷲(ワシ)が滝の裏側に巣を作っていたから」とのこと。長年の水流による浸食で巨岩の多くは上部が削られ、平面状になっている岩も。滝の下流もなだらかに削られた岩が見られ、その上を流れる清流の美しさが目を引くという。三浦さんは「春には左岸のヤマザクラが彩りを添える。紅葉の季節には落ち葉が流れ、四季折々の風景が魅力。滝の上流には奥入瀬(青森県)みたいな渓流もある」と、雪解けを心待ちにする。
周辺の木々が葉を落とす冬は、川の形状がはっきりと見て取れる
橋野地域には、三浦さんが確認しただけで約20カ所の滝があるという。集落から近い所では、産地直売所「橋野どんぐり広場」の東側(水車小屋裏手)にある「ママシタの滝」、沢桧川沿いの「瀧澤神社奥の院」から200メートル上流にある「ヨドマワリの滝」があるが、標高が低いため冬でも凍らず、流れ落ちる姿を見ることができる。
沢桧川上流の「ヨドマワリの滝」。一部凍っているが、水の流れはそのままに
釜石新聞NewS
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