タグ別アーカイブ: スポーツ

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ラグビー釜石SW 2部残留決める 入れ替え戦で昭島に1勝1分け

引き分けに持ち込んだ釜石SWの入れ替え戦第1戦(対昭島)=6日、釜石鵜住居復興スタジアム

引き分けに持ち込んだ釜石SWの入れ替え戦第1戦(対昭島)=6日、釜石鵜住居復興スタジアム

 
 NTTジャパンラグビーリーグワン2部4位の釜石シーウェイブス(SW)RFC は6、13の両日、3部3位のクリタウォーターガッシュ昭島との入れ替え戦に臨み、1勝1分け勝ち点6で2部残留を決めた。6日の釜石鵜住居復興スタジアムでのホーム戦で引き分け。望みをつないでいたが、13日のパロマ瑞穂ラグビー場(名古屋市)での第2戦で勝利を収め、来季も2部で戦うことが決まった。
 
 6日は今季最後のホーム戦。985人の観客が駆け付けた。降雨の中での試合開始となり、ハンドリングエラーなどのミスが目立った釜石は前半、昭島に2トライを許し3-18で折り返した。後半、釜石は序盤に4人を入れ替え、流れを変えようとするも、昭島の強いスクラムなどで押さえ込まれた。19点差で後半残り15分。釜石は26分、FBキャメロン・ベイリーのチーム初トライを機に攻撃の勢いを取り戻した。33分には後半出場のフッカー隈本浩太がトライを決め18-25、7点差に詰め寄った。ロスタイムに入ってからもゴール前で粘り強く攻め続け、最後はナンバー8サム・ヘンウッドが密集の中で押し込んだ。SO落和史のゴールキックで25-25。引き分けに持ち込んだ。
 
後半26分、キャメロン・ベイリーが飛び出し独走。この日チーム初トライを決め、観客が沸いた

後半26分、キャメロン・ベイリーが飛び出し独走。この日チーム初トライを決め、観客が沸いた
 
後半45分、ラストプレーでサム・ヘンウッドがトライ。落和史のゴールで同点に追い付いた

後半45分、ラストプレーでサム・ヘンウッドがトライ。落和史のゴールで同点に追い付いた

 
 課題のスクラム、ラインアウトの修正に取り組み臨んだ1週間後の第2戦。釜石は前半4分にWTB阿部竜二のトライで先制すると、17分にロック、ベンジャミン・ニーニー、19分にSH南篤志がトライを決め、25-7のリードで折り返した。後半は昭島の猛攻で3トライを奪われ追い上げられたが、ナンバー8サム・ヘンウッドのトライ、PG2本で得点を重ね、38-28で勝利をもぎとった。
 
 釜石SWはレギュラーシーズン2勝8敗(1試合は不戦勝、5位)、4、5位順位決定戦1勝(4位)、2、3部入れ替え戦1勝1分けで、リーグワン2季目を終えた。19日に市民ホールTETTOホール前広場でファン感謝祭が予定される。
 
第1戦後、両チームの選手を拍手でねぎらう観客

第1戦後、両チームの選手を拍手でねぎらう観客

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アマチュアラグビー世界大会(フランス)へ、選手求む!「いわて釜石クラブ」派遣

アマ大会への選手派遣に向け発足したラグビー国際交流推進事業実行委=11日、釜石PIT

アマ大会への選手派遣に向け発足したラグビー国際交流推進事業実行委=11日、釜石PIT

  
 2019年9月、釜石市も舞台となったラグビーワールドカップ(W杯)日本大会。あれから4年、あの熱戦が今年、フランスで繰り広げられる。そして同時期に、釜石の国際姉妹都市ディーニュ・レ・バン市を中心としたプロバンス地方でもう一つの戦い「第1回ワールドアマチュアラグビーフェスティバル」が開催される。市は岩手・釜石チームの派遣に向け、4月11日にラグビー国際交流推進事業実行委員会を発足。17日には日本代表チームとして戦いに挑む選手の公募を始めた。
  
 フェスティバルは9月23~30日に開かれる。同8日に開幕するラグビーW杯の出場国と同じ20チームが出場する。ディーニュ市から出場の打診があり、交流促進やW杯のレガシー(遺産)継承、「ラグビー県いわて」「ラグビーのまち釜石」の発信につながると期待を込め、選手の派遣を決めた。
  
スポーツを通じた国際交流の可能性について認識を共有した実行委=11日、釜石PIT

スポーツを通じた国際交流の可能性について認識を共有した実行委=11日、釜石PIT

  
 実行委は、派遣を機にスポーツを通じた国際交流の活発化とそれを生かしたまちづくりの推進が目的。11日に大町の釜石PITで開かれた設立・第1回総会には、実行委を構成する県や市、ラグビー関係団体などの担当者約20人が参加した。会則や事業計画・収支予算などを審議、原案通り承認した。
  
 参加者から、他チームのレベルや選手の経験値についての質問、情報収集の必要性を強調する意見などがあった。会長に選ばれたラグビーのまち釜石推進協議会の小泉喜明会長(77)は「W杯日本大会後も取り組んできたラグビー振興や頑張りを発信できたら。明るく平和的な場を設けられるのはいいことで、和気あいあいと交流してほしい」と期待を込めた。
  
 総会の様子を見守った野田武則市長は「W杯で発信した釜石ラグビーのレガシーを継承していきたい。派遣する選手は岩手・釜石の代表だが、日本代表でもある。全国に取り組みを発信し、応援してもらいながらラグビーの素晴らしさ、国際交流の大切さを訴えられたら。時間はないが準備を進め、成功させたい」と協力を求めた。
  
「いわて釜石ラグビーフットボールクラブ」への参加を呼びかける釜石市スポーツ推進課の佐伯悠さん=17日、シープラザ釜石

「いわて釜石ラグビーフットボールクラブ」への参加を呼びかける釜石市スポーツ推進課の佐伯悠さん=17日、シープラザ釜石

   
 チーム名は「いわて釜石ラグビーフットボールクラブ」。コーチやトレーナーを含め30人程度を公募する。選手の応募条件は、▽成人男性(高校生を除く)▽ラグビー経験者▽①釜石市民②釜石市出身者③釜石市にゆかりのある人④岩手県内在住者のいずれかを満たすこと―など。渡航費などを含め15万円程度の個人負担が必要となる。市ホームページから応募用紙をダウンロードし、記入して市国際交流課に持参か郵送、またはメール送信で申し込む。締め切りは5月22日。問い合わせは同課(電話0193・27・5713)へ。

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高校ラグビー強豪12チーム W杯聖地釜石・うのスタで交流試合 震災講話で防災も学ぶ  

全国から高校ラグビーの強豪校が集った交流会=2日、釜石鵜住居復興スタジアム

全国から高校ラグビーの強豪校が集った交流会=2日、釜石鵜住居復興スタジアム

 
 全国のラグビー強豪校が参加した東北復興高校ラグビー交流会(同実行委主催)は1日から3日間、釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムと根浜シーサイド天然芝広場で開かれた。常翔学園(大阪府)、東福岡(福岡県)、桐蔭学園(神奈川県)など、全国大会で名を知られた12チームが“ラグビーのまち釜石”に集結。約350人が試合や防災学習を通じて交流を深めた。
 
 2019年に開かれたラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の会場の一つとなった同スタジアム。大会レガシーを継承し、ラグビー振興や震災復興の一助にと企画された交流会は当初20年に開催予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で断念。感染症の規制緩和が図られた今年、常翔学園ラグビー部の野上友一ゼネラルマネジャーの各校への声掛けで再び開催機運が高まり、地元釜石のラグビー関係者とともに3年越しの実現にこぎ着けた。
 
桐蔭学園(神奈川県、緑ジャージ)と福島県高校合同チームの試合

桐蔭学園(神奈川県、緑ジャージ)と福島県高校合同チームの試合

 
黒沢尻工業(岩手県、黒赤しまジャージ)―常翔学園(大阪府)=2日、根浜シーサイド

黒沢尻工業(岩手県、黒赤しまジャージ)―常翔学園(大阪府)=2日、根浜シーサイド

 
 1、2の両日はできるだけ多くのチームと試合ができるよう、20分1本の対戦カードが組まれた。最終3日は、2日間の試合で選出されたベスト選手30人によるエキシビジョンマッチが行われた。各校の選手らはコロナ禍で他県チームとの試合機会が減っていただけに、本交流会は新年度のチーム作りに向け、自他の力を知るいい機会になった。
 
 滞在中は、防災学習にも取り組んだ。学校ごとに東日本大震災の犠牲者の芳名が掲げられる「釜石祈りのパーク」や震災伝承施設「いのちをつなぐ未来館」を訪問。2日は同スタジアムに全参加者が集まり、未来館スタッフの川崎杏樹さん(26)から話を聞いた。川崎さんは震災前、同スタジアムの場所にあった釜石東中の卒業生で、2年時に震災を経験。隣接していた鵜住居小の児童と大津波から逃れた避難行動について話し、防災への備えの大切さを伝えた。
 
大津波から逃れた川崎杏樹さんの話を聞く参加者

大津波から逃れた川崎杏樹さんの話を聞く参加者

 
スタジアムの場所にあった釜石東中、鵜住居小の校舎は高台造成地に新築され(写真奥)、2017年に仮設校舎から移った

スタジアムの場所にあった釜石東中、鵜住居小の校舎は高台造成地に新築され(写真奥)、2017年に仮設校舎から移った

 
 東福岡高の内田陽太朗さん(3年)は初めて訪れた同スタジアムに「とても素晴らしいグラウンド。W杯選手がプレーした場所で試合ができてうれしい」と笑顔。同校は1月、全国高校ラグビー大会で7回目の優勝に輝いた。3月の全国選抜大会は準優勝。チームは「リベンジに向け燃えている」と、本交流会もレベルアップへの好機とした。内田さんは震災の話を聞き、被災地の悲しみに共感。家庭では災害時の避難場所や方法を家族で話し合い、非常持ち出し袋も準備しているといい、「これを機にさらに防災意識を高めたい」と話した。
 
東北からは仙台育英学園(写真:黄黒ジャージ)、秋田工業、青森山田も参加

東北からは仙台育英学園(写真:黄黒ジャージ)、秋田工業、青森山田も参加

 
対常翔学園戦でトライを決める仙台育英学園

対常翔学園戦でトライを決める仙台育英学園

 
 参加者の中には釜石市出身者の姿も。釜石中から仙台育英学園に進んだ及川勝太さん(3年)は地元での交流機会を喜び、「全国大会トップ4のチームとも対戦できた。体を当ててみて常翔学園とかの強度の高さを実感。この冬の花園に向けて全国で勝てるチームになっていけたら」と刺激を受けた様子。長年抱いてきた花園出場の夢を糧に「地元の人たちに自分のプレーしている姿を見てもらえるよう、もっと頑張らねば」と精進を誓った。
 
釜石市出身、仙台育英学園3年のCTB及川勝太さん(左)。父勝加さん(右)は釜石シーウェイブスジュニアの指導者

釜石市出身、仙台育英学園3年のCTB及川勝太さん(左)。父勝加さん(右)は釜石シーウェイブスジュニアの指導者

 
 実行委員長を務めた釜石市ラグビーフットボール協会の小笠原順一会長(63)は「全国からこれだけの強豪校が来てくれて感動している。今年はラグビーW杯(フランス大会)もあるので、もう一度地元のラグビー熱が高まれば」と期待。交流会の継続開催も見据え、「地元高校の合同チームの参加も実現できれば。これを機に釜石へのラグビー合宿誘致にも取り組んでいきたい」と夢を描いた。

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釜石SW レギュラーシーズン最終戦も勝利ならず 4月22日の順位決定戦は再び江東と

今季2回目の対戦「釜石SW―江東」=19日

今季2回目の対戦「釜石SW―江東」=19日

 
 NTTジャパンラグビーリーグワン2部の釜石シーウェイブス(SW)RFCは19日、釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムで清水建設江東ブルーシャークスと対戦し、26―35(前半14―22)で敗れた。26日の日野レッドドルフィンズ戦が相手の不祥事で不戦勝となったため、2勝8敗勝ち点9(5位)でレギュラーシーズンを終えた。4月22日の4~5位順位決定戦で再び江東と対戦する。
 
 ホームでの今季勝利をかける釜石、実戦での初勝利を目指す江東。先制したのは釜石だった。前半2分、けがから復帰し3試合目の出場となったCTBヘルダス・ファンデルボルトが今季初トライ(ゴール成功)。チームを勢いづけるも、その後はディフェンスミスなどで江東に3トライを許した。釜石の追加点は33分。敵陣ラインアウトを起点に、ファンデルボルトが力強い突破で22メートルまで運び、すぐさま右に展開。外側に1人余す余裕で最後はフルバック片岡領が決めた(ゴール成功)。
 
前半2分、先制トライを決めるヘルダス・ファンデルボルト(中央)

前半2分、先制トライを決めるヘルダス・ファンデルボルト(中央)

 
前半33分、片岡領(左)が抜け出しSW2本目のトライ。7点差に詰め寄る

前半33分、片岡領(左)が抜け出しSW2本目のトライ。7点差に詰め寄る

 
片岡領のナイストライに喜びの大漁旗がはためく

片岡領のナイストライに喜びの大漁旗がはためく

 
 8点差で追う釜石は後半、継続したアタックは見せるもハンドリングエラーなど大事な場面でのミスが出て、なかなかトライまで持ち込めない。江東のPG、トライでさらに点差を広げられた。25分以降、8選手を入れ替え。33分には敵陣5メートル手前のスクラムから粘り強く攻め続け、フランカー河野良太が相手の隙を突いてトライ。39分には途中出場のフランカー、セタ・コロイタマナのトライ(ゴール成功)で追い上げたが、差は埋められず、26-35で敗れた。
 
後半33分、河野良太(手前)のトライで追加点

後半33分、河野良太(手前)のトライで追加点

 
 試合後の記者会見。「細かいミスとペナルティーで崩してしまった印象。取り急いでしまった」とWTB小野航大主将。ディフェンスがうまくいかなかった要因として「ゲインラインを越えられ、ネガティブなフェーズになってからのタックルが多かった。接点でもっと戦わないといけない」と修正点を見据えた。
 
 レギュラーシーズンを終え、須田康夫ヘッドコーチは「昨季よりトライ数、得点能力は飛躍的に改善したが、ディフェンスはまだ課題が残る。最終的にどこで取り返し、どう取り切るかという部分で、プレー選択の明確な意図が必要」と総括。順位決定戦で勝利して1つ順位を上げ、3部との入れ替え戦に臨めるよう、1カ月間しっかり準備を進めていくことを誓った。

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釜石SW 首位・浦安に19-92 震災被災地での特別な試合 無念の大敗 次こそホーム勝利を

リーグワン2部第8節 釜石SW-浦安=12日

リーグワン2部第8節 釜石SW-浦安=12日

 
 NTTジャパンラグビーリーグワン2部の釜石シーウェイブス(SW)RFCは12日、釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムで浦安D-Rocksと対戦。19-92(前半0―45)で敗れた。1勝7敗、勝ち点5で最下位。レギュラーシーズン最終戦は19日、同スタジアムで清水建設江東ブルーシャークスと対戦する。
 
 全勝でリーグ首位の浦安に必死で食らいついたが、猛攻を止めることができなかった。釜石は前後半で14トライ(認定を含む)を奪われ、今季最多の92失点。相手選手の個々のスキルの高さ、戦術のうまさに何度もディフェンスを突破され、スタンドからため息がもれた。前半、敵陣ゴール近くまで切り込む場面もあったが、ボールをキープできず、得点には至らなかった。
 
 釜石の反撃は後半5分。敵陣22メートル付近の攻防から今季新加入のフランカー武者大輔、SOジョシュア・スタンダーとつなぎ、フェイントで走り抜き初トライ。27分には、後半出場のSH村上陽平が的確な判断でゴール前まで運び、最後はロック、ベンジャミン・ニーニーが決めた。浦安も攻撃の手を緩めず、点差が開く中、釜石は試合終了間際に意地の1トライをもぎ取った。
 
後半5分、ジョシュア・スタンダーのトライで釜石SW初得点

後半5分、ジョシュア・スタンダーのトライで釜石SW初得点

 
敵陣ゴール前に切り込み、2本目のトライにつなげた村上陽平(中央)

敵陣ゴール前に切り込み、2本目のトライにつなげた村上陽平(中央)

 
試合終了間際、左隅インゴールに飛び込んだキャメロン・ベイリー(右)

試合終了間際、左隅インゴールに飛び込んだキャメロン・ベイリー(右)

 
 「特別な日に特別な場所でプレーする」意義-。東日本大震災から12年となった日の翌日。被災した小中学校跡地にできた希望のスタジアム。「勇気を届けよう」と強い思いを持って臨んだ一戦だったが、結果は大差での敗戦。WTB小野航大主将は「ここで後ろ向きな姿は見せたくないという思いがあったので…。情けない」と目を赤らめた。レギュラー最終戦は1週間後。下を向いてはいられない。「今日のゲームから何を感じ、どう変われるか。この先が重要」と前を見据えた。
 
試合前には選手、観客らが東日本大震災の犠牲者に黙とうをささげた

試合前には選手、観客らが東日本大震災の犠牲者に黙とうをささげた

 
 この日の試合は、スポーツツーリズムを通じて地域経済の活性化に貢献する「一枚岩プロジェクト」と協働。首都圏からの観戦ツアー、スポーツによる地方創生をテーマにしたオンラインシンポジウムなどが行われた。試合前には、釜石市出身のアーティスト小林覚さんがプロジェクトにまつわる言葉を織り込んで制作したアート作品のお披露目もあった。来場者は1208人。
 
小林覚さんの作品お披露目(撮影:西条佳泰 / Grafica Inc.)

小林覚さんの作品お披露目(撮影:西条佳泰 / Grafica Inc.)

 
 釜石高生徒による震災伝承活動も行われた。生徒有志で結成する防災・震災伝承グループ「夢団~未来へつなげるONE TEAM~」の17人が活動。施設内に建つ震災の教訓を伝える祈念碑の前では、2年生4人が語り部として自らの経験などを伝えた。
 
 この日が語り部デビューの久保陽嘩さん。保育園での昼寝の最中、大地震に見舞われた。迎えに来た親と避難し、寒い車の中で一夜を明かした。海岸部の自宅では逃げ遅れた祖母が津波にのまれたが、幸い助かることができた。小中学校では地震発生時の行動を学んだ。最近は大人の率先行動が見られないことに違和感を覚えるという。「皆さん、災害の恐ろしさを忘れていませんか?」。こう呼びかけた久保さん。「災害は忘れたころにやってくる。災害は待ってくれない」。自分や大事な人の命を守るために「今できることはたくさんある」と備えの大切さを訴えた。
 
自身の体験を基に災害への備えを呼び掛けた久保陽嘩さん(右)。多くの人が足を止め聞き入った

自身の体験を基に災害への備えを呼び掛けた久保陽嘩さん(右)。多くの人が足を止め聞き入った

 
 「もっと、こうしていれば」「詰めが甘かったのかな」―。震災後、大人たちから聞く言葉に久保さんは「防災はやりすぎがちょうどいいと思う。同じ釜石でも被災の有無で意識の差がある。災害があったことを忘れないでほしい」と願った。
 
震災の教訓を伝える石碑の前で行われた「夢団」による語り部活動

震災の教訓を伝える石碑の前で行われた「夢団」による語り部活動

 
防災食班は自分たちで考えたストック食品のレシピなどを紹介

防災食班は自分たちで考えたストック食品のレシピなどを紹介

 
 夢団は本年度、防災食の研究にも取り組む。会場では、常温保存食品を日常的にストックして災害時にも応用する方法や簡単アレンジレシピを紹介。秋山瑠奈さん(1年)は「災害時には食料が足りなくなる。備えが大事。日常食の活用法なども参考にしてほしい」と願った。

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釜石SW 愛知に38-44で惜敗 1部昇格なくなる 残り2戦でホーム白星狙う

釜石SWホーム3連戦始まる。5日は豊田自動織機シャトルズ愛知と対戦

釜石SWホーム3連戦始まる。5日は豊田自動織機シャトルズ愛知と対戦

 
 NTTジャパンラグビーリーグワン2部の釜石シーウェイブス(SW)RFCは5日、釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムで豊田自動織機シャトルズ愛知と対戦。38-44(前半18-31)で敗れ、1部昇格条件の3位以内への可能性がなくなった。後半に一時逆転し、今季初のホーム戦勝利に期待が高まったが、あと一歩及ばず6点差で涙をのんだ。1勝6敗、勝ち点5でリーグ最下位の6位。次節は12日、同スタジアムで首位の浦安D-Rocksと対戦する。
 
 前半早々、釜石は愛知に2トライを許すも12分、敵陣ラインアウトからボールをキープ。中央付近から左に展開し、タッチライン際でキャッチしたWTB小野航大主将がインゴールに持ち込んだ。いい流れをつかんだ釜石は25分にPGを決めた直後、自陣での攻防からフランカー河野良太が抜け出し、ナンバー8サム・ヘンウッドにパス。一気に敵陣5メートルまで運び、最後はロック、ベンジャミン・ニーニーがトライ(ゴール成功)、15-19とした。その後、愛知2トライ、釜石1PGで18-31。13点差で前半を折り返した。
 
タッチラインぎりぎりでボールを受け、インゴールに走り込む小野主将(右)=前半12分

タッチラインぎりぎりでボールを受け、インゴールに走り込む小野主将(右)=前半12分

 
河野のパスを受け独走。敵陣5メートルまで切り込んだヘンウッド(手前右から2人目)

河野のパスを受け独走。敵陣5メートルまで切り込んだヘンウッド(手前右から2人目)

 
前半26分、ニーニーのトライ(左側)。後半4分にも2本目を決め、点差を縮める(右白枠内)

前半26分、ニーニーのトライ(左側)。後半4分にも2本目を決め、点差を縮める(右白枠内)

 
 後半開始直後は釜石が猛攻。4分、左サイドから長短のパスでつなぎ、右ゴール目前でWTB阿部竜二が後方に走り込んだニーニーに託し、後半初得点(ゴール成功)。ニーニーの2本目に会場が沸いた。PGでさらに詰め寄ると13分、敵陣22メートルスクラムからヘンウッドが自ら持ち出しサイドアタック。33-31と逆転した。18分に愛知がトライで再逆転。22分には、後半出場のSO中村良真の左インゴールへのキックを小野主将が押さえ、この日2本目のトライ。38-38の同点に戻した。釜石は残り10分でPGを2本決められ、ホーム初勝利を逃した。
 
スクラムから右サイドアタックで逆転トライを決めたヘンウッド(中央)=後半13分

スクラムから右サイドアタックで逆転トライを決めたヘンウッド(中央)=後半13分

 
 昨年12月以来、約2カ月ぶりのホーム戦はマスク着用の声出し応援が可能に。コロナの制限緩和で、会場には久しぶりの選手を鼓舞する掛け声が響いた。入場観客数は約830人。釜石、大槌両市町の小中学生が無料観戦できるパスポートで入場した佐伯晃君(甲子小4年)は「惜しくも負けて残念。でも試合は面白かったし、SWの選手はかっこ良かった」と憧れのまなざしを向けた。
 
 SWの稲田壮一郎選手と同じ職場の菊池唯さん(41)は「今回はいけるんじゃないかと思っていたが、惜しかったですね。でも僅差の試合は魅力的。稲田選手の出場も見られて良かった」と笑顔。地元で試合観戦できる環境も喜び、「また来ます。SW選手には残り2試合、体に気を付けて頑張ってほしい」とエールを送った。
 
青空の下、観客は久しぶりのホームでの試合を楽しんだ

青空の下、観客は久しぶりのホームでの試合を楽しんだ

 
大漁旗をなびかせ、選手の奮闘をたたえるバックスタンド席の観客

大漁旗をなびかせ、選手の奮闘をたたえるバックスタンド席の観客

 
 1月の愛知との1戦目は14-64の大差で敗れた釜石。上位を争う2チームとの対戦を経て臨んだ今回は、ディフェンスの粘りや外への素早い展開など確実な成長を感じさせた。一方で、試合立ち上がりの失点は引き続きの課題。
 
 須田康夫ヘッドコーチ(HC)は「優勢にゲームを進めることはできていたが、悔やまれるプレーがいくつか。一人一人の規律、プレーの精度が必要」。小野主将も「細かいエラーが勝ち切れなかった要因。短い期間で修正できれば次の2戦、勝つチャンスはある」とみる。トップ3の目標には届かないが、レギュラーシーズン残り2試合もホームで全力を尽くす。「目標の方向性を修正し、自分たちのベストを見せたい」と須田HC。次節の試合は、発生から12年となる東日本大震災命日の翌日。小野主将は「ここで、このチームでプレーする意味を今一度チーム内で共有し、皆さんを勇気づけられるゲームをしたい」と意気込む。

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勉強と部活を両立 卒業控えた釜高生4人へ努力の証し「小泉賞」 釜石市ボクシング協会

小泉賞を受けた佐々木悠さん(左)、鈴木佳穂さん(右)と釜石市ボクシング協会の小泉嘉明会長

小泉賞を受けた佐々木悠さん(左)、鈴木佳穂さん(右)と釜石市ボクシング協会の小泉嘉明会長

 
 釜石高ボクシング部で3年間部活動に励んだ3年生部員に贈られる「小泉賞」。肉体、精神ともに過酷なスポーツであるボクシング競技に挑み、そして学業との両立を実践した生徒をたたえようと、釜石市ボクシング協会(小泉嘉明会長)が1999年に創設した取り組みだ。毎年、卒業を控えたこの時期に贈呈式を行っていて、今年は2月21日に中妻町の昭和園クラブハウスで開催。選手2人、マネジャー2人の計4人が努力の証しとなるトロフィーを手にした。
 
昭和園クラブハウスで行われた贈呈式。小泉会長のあいさつに耳を傾ける釜石高ボクシング部員ら

昭和園クラブハウスで行われた贈呈式。小泉会長のあいさつに耳を傾ける釜石高ボクシング部員ら

 
笑顔や充実した表情を見せながらトロフィーを受け取った

笑顔や充実した表情を見せながらトロフィーを受け取った

 
 卒業する3年生のうち選手として活躍した佐々木悠さんと鈴木佳穂さんの2人が参加。小泉会長は「きついことも多かっただろう。それでも続けてきた頑張りには価値がある。今は分からずとも、後で利いてくる。3年間で成し遂げたことをかみしめつつ、人生を開拓してほしい」と激励。後輩や協会役員ら約20人も温かい拍手を送り、新たな道を歩み出す2人の背中を押した。
 
 同校ボクシング部は本年度、1~3年生16人(選手11、マネジャー5)で活動。顧問の和賀大毅教諭によると、女子ピン級の佐々木さんは細身ながら破壊力ある左ストレートが持ち味で、ライトフライ級の鈴木さんは入部後すぐに腰を痛めたものの、うまく付き合う方法を見いだし前に進み続ける頑張り屋。県高総体では佐々木さんが準優勝、鈴木さんは3位入賞と結果を残した。この日は不参加だったが、マネジャーの小野未優さん、菅原彩葉さんは手先の器用さを生かしたお守りづくり、洗濯やリングの掃除などでマメな気配りを発揮し、選手を支えた。
 
トロフィーを手に、経験を将来に生かす思いを新たにする佐々木さん(左)、鈴木さん

トロフィーを手に、経験を将来に生かす思いを新たにする佐々木さん(左)、鈴木さん

 
 佐々木さんと鈴木さんは幼少期からの幼なじみで、格闘技好きの鈴木さんの誘いに「高校では個人競技を」と考えていた佐々木さんが乗って入部。練習のつらさ、廃部の不安など一緒に乗り越えてきた。引退後、練習や試合に挑む後輩たちの姿に力をもらって受験勉強に集中。海洋生物に興味がある佐々木さんは岩手大農学部、鈴木さんはヘアメイクアーティストを目指し仙台市の美容系専門学校へ進学する。
 
 「ボクシングを次の世代につなげてほしい」。2人に共通する思いだ。「周りの支えがあってこそ、リングに立てる。誰かのために懸命になってくれる人がいつもいた」と鈴木さん。それが自身の頑張り、精神面の強化、そして「今度は私が誰かを笑顔にしたい」と夢を描くことにつながったと感じている。佐々木さんは部長として部員をまとめた経験がコミュニケーション力の向上になったと実感。個人競技だが、人との結びつきが強いボクシング部の継承に向け、「部員獲得を頑張ってほしい」と願った。
 
先輩から伝統を引き継ぎ、活躍を誓う佐々木夏さん(左)と菊池麗さん

先輩から伝統を引き継ぎ、活躍を誓う佐々木夏さん(左)と菊池麗さん

 
 同部では、卒業生たちの希望をつなぐ明るいニュースがあった。本年度の県新人戦で女子ピン級の菊池麗(あきら)さん、男子ピン級の佐々木夏さん(ともに2年)が優勝。東北大会へ進んだが、惜しくも全国は逃した。その実績を力に2人は「もっと上に行く」「燃え尽きることができるよう頑張る」と誓う。
  
 仲間の頑張りに刺激された部員たちは「高総体で優勝する」などとそれぞれ目標を設定。そんな頼もしい姿に、卒業生や小泉会長、協会役員らは目を細めていた。
 
 

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スポ少剣道全国大会へ 釜石剣正館・宮本一輝さん(釜石中3年)県大会で優勝

宮本一輝さん(後列中央)の全国大会出場を喜ぶ釜石剣正館の団員ら=1月11日、釜石市役所

宮本一輝さん(後列中央)の全国大会出場を喜ぶ釜石剣正館の団員ら=1月11日、釜石市役所

  
 釜石市で活動する剣道スポーツ少年団「釜石剣正館」(細川親雄館長、団員14人)の宮本一輝(いっき)さん(釜石中3年)が、昨年11月に盛岡市の県営武道館で開かれた第49回県スポーツ少年団剣道大会の中学生男子個人の部で優勝した。3月に新潟県で開幕する全国大会に岩手県代表として出場する。剣正館によると、同部門の釜石勢の優勝は1983年以来、約40年ぶり。初めての全国大会、中学生活最後の大会に宮本さんは「日本一を目指して頑張る」と気合を高めている。
  
 県大会では、序盤を危なげなく勝ち進んだ。準決勝戦では同じ剣正館の岩﨑暖さん(同)との同門対決となり、延長戦となる接戦を制して決勝戦に駒を進めた。決勝戦では、「県の強化選手にもなる強い相手。小学生時代から練習試合を含めて一度も勝ったことがなかった」という一戸の選手を相手にまたも延長戦となり、苦戦しながらも勝利。頂点に輝き、全国大会行きの切符をつかんだ。
  
野田武則市長に全国大会出場を報告する宮本さん(左から2人目)=1月11日、釜石市役所

野田武則市長に全国大会出場を報告する宮本さん(左から2人目)=1月11日、釜石市役所

  
 宮本さんは1月11日、細川館長(74)や小学校から共に練習する団員らと市役所の野田武則市長を訪ね、全国大会出場を報告。自身初となる県代表としての全国出場に「稽古をつけてくれた先生や切磋琢磨(せっさたくま)してきた仲間のおかげ。努力してきたものを全て出し切りたい」と意気込みを伝えた。
  
野田市長らと懇談する釜石剣正館の団員ら=1月11日、釜石市役所

野田市長らと懇談する釜石剣正館の団員ら=1月11日、釜石市役所

  
 宮本さんが出場する第45回全国スポーツ少年団剣道交流大会(日本スポーツ協会日本スポーツ少年団、全日本剣道連盟など主催)は3月25日から27日に上越市の謙信公武道館で開催。野田市長は「悔いのない戦いをしてほしい」と激励した。
   

仲間の後押しで気合十分

   
全国大会に向け練習を続ける宮本さん(手前右)=1月21日、釜石中格技場

全国大会に向け練習を続ける宮本さん(手前右)=1月21日、釜石中格技場

   
 釜石剣正館は1975年、「八雲剣道スポーツ少年団」として発足。3年後に現名に改称した。現在は釜石中格技場(火曜日)、小佐野小体育館(土曜日)で稽古を重ねている。
   
 中学3年生は1月末で卒団だが、全国大会を控えた宮本さんは同団で鍛錬を続ける。部活が終わったことで体力が落ちていると感じて自宅でも素振りや筋トレに取り組み、日々調整中。「毎日の積み重ねが勝ちにつながる」と高い士気を維持している。
   
宮本さんは切磋琢磨した仲間の応援を力にする=1月21日、釜石中格技場

宮本さんは切磋琢磨した仲間の応援を力にする=1月21日、釜石中格技場

   
 そんな宮本さんを、小学校時代から共に剣道に親しんできた同級生4人が応援する。卒団まで残りわずかになった21日の稽古には山陰皇騎さん(団長)、岩﨑さん、藤原悠生さんも参加。「集大成となる最後の県大会で一輝君が優勝し、一緒に頑張ってきたからうれしかった」と笑顔を重ね、手合わせできる時間を楽しんでいた。この日参加しなかった佐藤謙眞さんを含めた5人は、高校受験に向けた勉強にも励む。
   
気合とともに基本の打ち込みを繰り返す団員ら=1月21日、釜石中格技場

気合とともに基本の打ち込みを繰り返す団員ら=1月21日、釜石中格技場

   
 剣正館では、今回の全国大会出場を機に「釜石剣道」の盛り上げを図ろうと、新規団員を募集している。ただ新型コロナウイルス禍で、一度に複数人を集めた体験会や見学会などの実施は控えているのが実情。個別の見学・体験は歓迎していて、団員の山陰宗真さん(釜石中1年)は「3年生はチームワークがよく、練習も一致団結して頑張っていた。先輩を越せるように励みたい」と仲間が増えることを期待している。
   
 少子化で団体活動の継続は難しさを増す。白土雅一副館長は「スポーツはいい結果、勝つことも大事だが、一番大切にしているのが人材育成。ともにしのぎを削る中で、互いを思いやる、相手を重んじる心を体得する」と意義を強調。今後も、剣道を通じ子どもたちの成長を見守っていく構えだ。

 

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釜石SWホーム初戦 昨季2位の三重に完敗 ディフェンスの課題修正し次節へ

時折、雪が吹き付ける中、行われた釜石SW―三重ホンダヒート戦。約1200人が観戦した

時折、雪が吹き付ける中、行われた釜石SW―三重ホンダヒート戦。約1200人が観戦した

 
 NTTジャパンラグビーリーグワン2部の釜石シーウェイブス(SW)RFCは25日、釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムでホーム初戦を迎えた。昨季2部2位の三重ホンダヒートと対戦。12-75(前半5-42)で敗れ、開幕2連敗となった。第3節は来年1月14日、夢の島競技場(東京都)で3部から昇格した清水建設江東ブルーシャークスと対戦する。
 
 前半開始直後に連続トライを決め、勢いに乗る三重に猛攻を受けた釜石は、30分までに6トライ(6ゴール)を奪われ、0-42と大きく引き離された。初得点のチャンスは36分。ゴールポスト付近の密集からSH村上陽平がFB中村良真につなぎ、中村が左サイドにキックパス。WTB小野航大主将が確実にキャッチし、トライに持ち込んだ。ゴールは入らず、5-42で前半を折り返した。
 
前半36分、三重の選手を寄せ付けず、左から回り込んで初トライを決めた小野航大主将(中)

前半36分、三重の選手を寄せ付けず、左から回り込んで初トライを決めた小野航大主将(中)

 
 後半開始時、4人を入れ替えた釜石。2分に三重にトライを決められ5-47で迎えた8分、今季新加入、後半から出場したナンバー8セタ・コロイタマナ(フィジー出身)がゴール前のスクラムから自ら運び、相手ディフェンス4人を振り切り右隅にトライ。中村良真のゴールも決まって12-47と追い上げた。後半は敵陣に攻め込む時間帯が増えたが追加点には至らず、三重にさらに4トライを許し12-75で敗れた。
 
後半8分、力強い突破力でゴールに向かう新加入のセタ・コロイタマナ選手(中央)

後半8分、力強い突破力でゴールに向かう新加入のセタ・コロイタマナ選手(中央)

 
 試合後の記者会見―。須田康夫ヘッドコーチ(HC)、小野航大主将は「寒い中、応援に駆け付けてくれたファンに申し訳ない」と反省の弁。「フィジカルバトルで相手に食い込まれる部分が多く、前半の失点につながった。マイボールラインアウトでボールを取れなかったのもゲームを崩してしまった理由の一つ」と須田HC。三重のスピードのある攻撃を抑え込めず、容易に突破を許してしまったことも反省点に挙げられた。
 
 小野主将は昨季より高いレベルが求められる2部の戦いに「このレベルで戦えないと生き残れないし、上にも上がれない。もう一度、自分たちの足りないところを明確にして3週間後、しっかり戦えるようにしたい」と立て直しを誓った。
 
 この日は試合後のグラウンドで、釜石SWのSH南篤志選手が前節・日野レッドドルフィンズ戦で公式戦出場50試合(通算50キャップ)を達成したことも報告され、家族やチームメイトから祝福を受けた。
 
 前節で50キャップを達成した南篤志選手(前列中央)。家族や仲間、三重の選手らに祝福された

前節で50キャップを達成した南篤志選手(前列中央)。家族や仲間、三重の選手らに祝福された

 
 今季、釜石SWのホーム戦には釜石、大槌の全小中学生を無料招待。オリジナルパスポートを首にかけ来場した市内の小学生ら

今季、釜石SWのホーム戦には釜石、大槌の全小中学生を無料招待。オリジナルパスポートを首にかけ来場した市内の小学生ら

 
 釜石SWは初の試みとして、釜石、大槌両市町の全小中学生(釜:約1800人、大:約700人)に、同スタジアムで行われる今季ホーム戦(全5試合)を無料観戦できるパスポートを配布。25日はこれを利用して地元の子どもたちが足を運んだ。ホーム戦残り4試合は来年3月に行われる。
 
ハーフタイムに披露された市内園児による「ラグビー体操」

ハーフタイムに披露された市内園児による「ラグビー体操」

 
次節の勝利に期待!課題を修正して臨む釜石SW

次節の勝利に期待!課題を修正して臨む釜石SW

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日本卓球の支援受け9回目 釜石・大槌地区卓球大会に90人参加 試合の喜び味わう

Nittaku杯第9回釜石・大槌地区卓球大会=市民体育館

Nittaku杯第9回釜石・大槌地区卓球大会=市民体育館

 
 Nittaku(ニッタク)杯釜石・大槌地区卓球大会は11日、釜石市鵜住居町の市民体育館で開かれた。東日本大震災後、用具メーカー「日本卓球」の支援を受けて始まった大会は9回目。小学生から一般まで約90人が参加し、個人戦(シングルス)と団体戦で日ごろの練習の成果を競い合った。
 
 同大会は2012年まで行われた釜石市民卓球大会(11年は震災の影響で中止)を衣替えし、13年から始まった。釜石市卓球協会(安久津吉延会長)と大槌町卓球協会(中前繁夫会長)が主催、日本卓球が協賛する。第1回から津波被害を免れた大槌町の城山公園体育館を会場としてきたが、19年の釜石市民体育館の完成で7回大会から会場を移した。
 
家族らがギャラリーで見守る中、試合に挑んだ

家族らがギャラリーで見守る中、試合に挑んだ

 
中学女子1年の部決勝トーナメント。ハイレベルな戦いが展開された

中学女子1年の部決勝トーナメント。ハイレベルな戦いが展開された

 
 新型コロナウイルス感染症の流行で一度大会を中止したが、昨年から再開。コロナ前は150人前後の参加があったが、昨年、今年は100人に満たない規模に。今大会も急きょ出場を取りやめるチームが出るなど、感染症の影響は続く。
 
 競技は8種目。中学生の部は男女、学年(1、2年)別のシングルスで、小学生も参加した。一般の部は男女別のシングルスと団体戦(2単1複)で、高校生も参加。予選リーグと決勝トーナメント・リーグが行われた。競技の合間には日本卓球の新作ラケットを試し打ちできる時間も。五輪日本代表選手も使用するモデルなどを体験した。
 
選手らは新しいモデルのラケットに興味津々。日本卓球の担当者(右)から説明を受けた

選手らは新しいモデルのラケットに興味津々。日本卓球の担当者(右)から説明を受けた

 
日本代表選手も使用する新作ラケットで試し打ち

日本代表選手も使用する新作ラケットで試し打ち

 
 日本卓球は震災直後、同市に対し試合で使う仕切り用フェンスなどを支援。各地から届く支援物資の仕分け会場などで大いに役立った。市民体育館が完成した際には卓球台4台を寄贈。協賛を続ける同大会では、参加賞や入賞者の景品としてタオルやラケット・シューズケースなどさまざまな用品を提供している。
 
 自身も競技者である同社営業第三部(仙台連絡所)の細井秀剛課長は「大会は自分の力を試す以外に仲間との交流の場でもあり、選手にとって大事」と継続を歓迎。コロナ禍による大会の減少は用具のメンテナンスにも影響しており、「大会が無いとラバーの張り替えをしない人が多い。定期的に替えないとプレーにも影響するので注意が必要」と呼び掛ける。
 
 東京五輪での日本代表選手の活躍で、長く競技を離れていた親世代が久しぶりにラケットを握ったり、その姿を見た子どもが「自分も」と卓球を始めたり…。細井課長は「卓球は生涯スポーツ。始める年齢に早い、遅いはない。勝ちたい、健康維持のためにと、それぞれの目的で長く続けてもらえれば」と願う。
 
一般女子の部に参加した高校生選手も躍動

一般女子の部に参加した高校生選手も躍動

 
一般男子の部にも高校生が参加。社会人選手と技を競い合った

一般男子の部にも高校生が参加。社会人選手と技を競い合った

 
 
 大会の結果は次の通り。
【中学生男子1年シングルス】
1位 髙清水瑛妥(釜石東中) 2位 小國潤(大槌学園) 3位 荒澤想(大槌学園)、小石裕一郎(大槌学園)
【中学生女子1年シングルス】
1位 香川真紀(唐丹中) 2位 小野愛姫(唐丹中) 3位 倉本麗(吉里吉里中)、佐野志央理(大槌Jr卓球スポ少)
【中学生男子2年シングルス】
1位 関谷省吾(吉里吉里中) 2位 菊池寛人(甲子小) 3位 白岩優一朗(甲子中)、得平空(大槌学園)
【中学生女子2年シングルス】
1位 香川彩夏(唐丹中) 2位 堀合美嶺(大槌学園) 3位 佐々木優那(大槌学園)、臼沢梓(大槌学園)
【一般男子シングルス】
1位 藤原周平(釜石クラブ) 2位 鈴木伸二(釜石クラブ) 3位 猪又颯太(釜石高)
【一般女子シングルス】
1位 本多寛奈(釜石高) 2位 田中彩乃(釜石高) 3位 渡邊明日美(釜石未来)
【一般男子団体戦】
1位 釜石クラブ 2位 KTクラブ 3位 チームたまり屋
【一般女子団体戦】
1位 釜石未来 2位 釜石高 3位 フレンズ釜石

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ラグビー・釜石シーウェイブス 17日に開幕戦 出陣式で勝利への誓い/釜石駅前には横断幕

釜石シーウェイブスRFC 今季のリーグ開幕に向けた出陣式=7日

釜石シーウェイブスRFC 今季のリーグ開幕に向けた出陣式=7日

 
 NTTジャパンラグビーリーグワン2部の釜石シーウェイブス(SW)RFCは17日、今季リーグの開幕戦(対日野レッドドルフィンズ)を迎える。7日、釜石市大町の市民ホールTETTOで出陣式が開かれ、選手、首脳陣らが意気込みを示した。釜石鵜住居復興スタジアムが会場のホストゲームは5試合が組まれ、初戦となる第2節・三重ホンダヒート戦が25日に行われる。
 
 出陣式には選手、スタッフとファンクラブ会員、スポンサー企業の代表ら約100人が参加。会場の様子はオンラインでも配信された。須田康夫ヘッドコーチ(HC)は「選手たちは昨シーズンの悔しさをばねに、さらなる高みを目指して準備してきた。トップ3を目標に、『釜石、また勝ったね』と言ってもらえるようなシーズンにしたい」とあいさつした。
 
 ポジションごとに選手が紹介され、会場の拍手を受けて登壇。今季のリーグ戦について小野航大主将は「レベルが高く、さらに厳しい戦いが予想される。1試合でも多く勝利し皆さんと喜びを分かち合えるよう、チーム一丸となって頑張っていく。『釜石ラグビーの復活』を感じてもらえる熱いゲームをお見せしたい」と意気込んだ。
 
意気込みを語る小野航大主将(中央)

意気込みを語る小野航大主将(中央)

 
 釜石SWは昨季、レギュラーシーズン1勝9敗(不戦敗1)、順位決定戦1勝1敗で、2部残留を決めた。今季は16選手が新加入。1部昇格につながる「2部3位以内」を目標に掲げる。初戦の相手・日野について須田HCは「体の大きな外国人選手も多く、フィジカルなプレーが想定される。自分たちは素早く起き上がり、スピードで勝利したい」。新加入選手について聞かれた中野裕太選手会長は「各選手の経験がチームに還元されている。試合会場で顔と名前を覚え応援を」と願った。
 
新加入選手の活躍にも期待が寄せられる

新加入選手の活躍にも期待が寄せられる

 
現役引退を撤回し、アシスタントコーチ兼任で釜石に復帰した片岡将選手は「役割を全うし、自分なりの恩返しをしたい」と語った(中央)

現役引退を撤回し、アシスタントコーチ兼任で釜石に復帰した片岡将選手は「役割を全うし、自分なりの恩返しをしたい」と語った(中央)

 
ファンクラブ会員らが勝利を誓う選手たちの言葉に聞き入った

ファンクラブ会員らが勝利を誓う選手たちの言葉に聞き入った

 
 チームは今季のホスト5試合に市内の全小中学生約1800人を無料招待する。市と連携した「釜石ドリームパスポート」という企画。配布するオリジナルの入場パスカードを会場で提示すれば、無料で観戦できる。桜庭吉彦ゼネラルマネジャーは「ラグビーのまちで生まれ育つ子どもたちに生で試合を見てもらい、感じたことを将来に生かしてもらえれば」と望んだ。
 
浜千鳥の新里進社長は新ラベルになったSW応援ボトルの商品を紹介

浜千鳥の新里進社長は新ラベルになったSW応援ボトルの商品を紹介

 
 18年前からSW応援ラベルの酒を発売する市内の酒造会社、浜千鳥(新里進社長)は今季から新しくなったラベルを紹介。初のコラボ企画を手掛けたベアレン醸造所(嶌田洋一社長、盛岡市)とヘラルボニー(松田崇弥社長、同)は、釜石出身アーティスト小林覚さんの絵を外箱にデザインしたSW応援ビールのギフト商品を紹介。チームの今季の活躍に大きな期待を寄せた。
 
 SWファン歴10年以上という奥州市の四戸和夫さん(70)は「選手たちも元気そうで、けがをした選手も順調に治っているよう。新加入選手の顔も分かってきた。後は応援に行くだけ」と開幕戦を心待ちに。釜石市の地域おこし協力隊に手を挙げ、11月に着任したばかりの竹中伸明さん(34、大阪府高槻市出身)は、ドリームパスポート企画を称賛。「スローガン・REVIVE(リバイブ)に込めた、すぐ起きて次のプレーへというスタイルにも注目している。ホストゲームに来る人たちを何らかの形で支えられたら」。ラグビーW杯を機に同市にほれ込んだ竹中さんは、夢だったご当地でのラグビーに関する活動に意欲を燃やす。
 
 17日の日野戦は武蔵野陸上競技場で、25日の三重戦はうのスタで、ともに正午キックオフ。
 

SWに熱い声援を! 初の「シーズン横断幕」釜石駅前に設置 高校ラグビー部員が作業に協力

 
釜石駅前に掲げたシーズン横断幕と設置作業に協力した高校生ら=4日

釜石駅前に掲げたシーズン横断幕と設置作業に協力した高校生ら=4日

 
 釜石SWは4日、釜石市鈴子町の国道283号沿いにチームへの応援を呼び掛ける横断幕を設置した。市民に今季の試合日程を告知し、会場に足を運んでもらおうと初めて企画した。地域連携の一環で釜石、釜石商工の両高校ラグビー部員と作業。シーズン開幕に向け、市全体の盛り上がりを願った。
 
 日本製鉄北日本製鉄所釜石地区の国道に面したフェンスに設けられている看板用スペースを借用。横断幕は縦1・8メートル、横16メートル。「D1昇格を目指し、釜石の意地とプライドをかけて迎え撃つ!!」などと記し、ホスト5試合の対戦相手、日程を大きく表示。ビジター5試合の日程も示した。赤地がひときわ目を引く横断幕はシーズン終了まで掲げられる。
 
横断幕は駅に降り立った人や通行人らの目を引く

横断幕は駅に降り立った人や通行人らの目を引く

 
桜庭吉彦ゼネラルマネジャー(右)に教わり、設置作業にあたる高校生

桜庭吉彦ゼネラルマネジャー(右)に教わり、設置作業にあたる高校生

 
 チームスタッフ、両校ラグビー部員ら10人で作業。幕の周りの穴にくくりつけるためのロープを通し、フェンスに取り付けられている鉄パイプに設置した。釜石高ラグビー部の及川佳倫キャプテン(2年)は「地域活性化の手伝いができてうれしい。SWは学校隣の市球技場で練習していて、公開練習を見に行く機会もある。FWに注目している。ホームの試合は全勝して、1部に昇格してほしい」と期待を込めた。
 
 両校ラグビー部は合同チームを結成して大会に出場している。昨年7月から元釜石SW主将で、同市ラグビー人財育成専門員の佐伯悠さん(37)の指導を受けている。

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東北のインディアカ24チーム 初の大会開催地・釜石市で全国大会目指し熱戦

釜石市民体育館で初めて開かれた「北海道・東北ブロックインディアカ大会」=20日

釜石市民体育館で初めて開かれた「北海道・東北ブロックインディアカ大会」=20日

 
 第38回北海道・東北ブロックインディアカ大会岩手大会は20日、釜石市鵜住居町の市民体育館で開かれた。北海道・東北インディアカ協議会(吉村和武会長/山形県)が主催。本県が開催地となるのは2013年以来9年ぶり。同市は今回初めて会場に選ばれた。5県から24チーム180人が参加。来年度開催予定の第18回全日本インディアカトーナメント大会の出場権をかけ、熱い戦いが繰り広げられた。
 
 新型コロナウイルス感染症の影響で2年連続の大会中止を余儀なくされたため、待望の再開。開会式では吉村会長が選手たちを激励。釜石市スポーツ推進課の佐々木豊課長が歓迎のあいさつを述べた。地元チーム「釜石リプリーズ」の佐々木昂弥主将、昆真由好選手が選手宣誓をした。
 
バレーボールに似たスポーツ「インディアカ」

バレーボールに似たスポーツ「インディアカ」

 
 インディアカはドイツで考案されたニュースポーツ。羽根の付いた特殊なボールをネットを挟んで片手で打ち合うバレーボールに似た競技で、コートはバドミントンダブルスと同じ広さ。日本には1968年ごろオーストリアから輸入された。80年に日本協会が設立され、全国スポーツ・レクリエーション祭の種目にもなっている。
 
 今大会では男女混合、シニア女子(60歳以上)、シニア男女混合(45歳以上)の3部門で予選リーグと決勝トーナメントが行われた。上位2チームが来年度の全国大会に出場する(3位は枠があれば推薦出場)。
 
宮城、岩手から3チームが参加した「シニア女子の部」

宮城、岩手から3チームが参加した「シニア女子の部」

 
「シニア男女混合の部」には5県から6チームが参加

「シニア男女混合の部」には5県から6チームが参加

 
13チームで優勝を競った「男女混合の部」。スピード感あふれるプレーが展開された

13チームで優勝を競った「男女混合の部」。スピード感あふれるプレーが展開された

 
 市内から唯一出場の「釜石リプリーズ」は2003年に結成。全国スポレク祭に参加するため、当時の市スポーツ推進委員が中心となり立ち上げた。現メンバーは20~30代の社会人。仕事が終わった後、週1回の練習に励む。佐々木主将(29)は地元での初めての大きな大会を「楽しみにしていた。県外の強いチームとの対戦はレベルアップにもつながる」と歓迎。インディアカの魅力を「年齢や経験したスポーツなどに関係なく、すぐにチャレンジできて楽しめる。親子で競技に親しむ人もいる。ぜひ、いろいろな人に経験してほしい」と話す。
 
地元釜石から唯一出場した「釜石リプリーズ」

地元釜石から唯一出場した「釜石リプリーズ」

 
釜石は予選リーグ第1試合で柏木クラブY(青森県)と対戦

釜石は予選リーグ第1試合で柏木クラブY(青森県)と対戦

 

 
 釜石への大会誘致に尽力した市スポーツ推進委員の柏﨑洋也さん(39)=釜石リプリーズ代表=は東北の競技人口について「県によって偏りがある。岩手県はまだまだ少ないほう。愛好者を増やし、東北全体の盛り上げにつなげていきたい」と今後を見据える。同大会には前回まで約30チームが参加していたが、新型コロナの影響で競技に親しむ医療従事者などが県外に出るのを控える状況もあり、今大会はこれまでで最も少ない参加人数となった。
 
 大会結果は次の通り。
【男女混合の部】優勝=MIDC(宮城県)準優勝=日の出NEO(福島県)3位=木曜会(福島県)
【シニア女子の部】優勝=大衡ききょう(宮城県)※参加3チーム中、2チームが欠員のためオープン参加となり、入賞は1チーム
【シニア男女混合の部】優勝=スクランブルF(福島県)準優勝=栗原(宮城県)
3位=大蔵すまんすまん(山形県)
※【男子の部】は日の出メンズ(福島県)、【女子の部】はRAKUDO(山形県)のみの参加のため、両チームが全国大会に出場。