9/25・釜石絆の日 ラグビーW杯2019開催うのスタで各年代が交流 支援継続の静岡BRに感謝


2023/09/25
釜石新聞NewS #スポーツ

「釜石絆の日」イベントで交流試合を行った釜石シーウェイブス(赤)と静岡ブルーレヴズ(青)

「釜石絆の日」イベントで交流試合を行った釜石シーウェイブス(赤)と静岡ブルーレヴズ(青)

 
 4年に一度のラグビーワールドカップ(W杯)がフランスで開催される中、前回2019年の日本大会会場地の一つとなった釜石市では、大会レガシー(遺産)を後世につないでいくためのイベントが17日、釜石鵜住居復興スタジアムで開かれた。官民でつくる釜石ラグビー応援団(中田義仁団長)が主催。11年の東日本大震災後、同市の復興支援を続ける静岡ブルーレヴズ(BR)が釜石シーウェイブス(SW)RFCと対戦。小中学生の交流試合も行われ、ラグビーがつなぐ“絆”を深めた。
 
 釜石市は震災復興の加速と世界中からの支援に対する感謝を伝えるため、19年のラグビーW杯日本大会の試合を誘致。翌年以降、大会で生まれた多くの支援者との絆を継承するため、試合(フィジー対ウルグアイ戦)が行われた9月25日を「釜石絆の日」として、ラグビーの交流試合を軸とした記念イベントを行っている。 
 
 昨年に続き、小学生チームの釜石SWジュニアが愛知県の東海ラグビースクールと対戦。東海市は製鉄所のつながりで古くから釜石市と交流があり、姉妹都市提携(2007年)を結ぶ関係。スポーツ交流も続けられていて、震災後は多くの支援を寄せている。
 
釜石SWと静岡BRは中学生チームも試合を行い、交流の輪を広げた

釜石SWと静岡BRは中学生チームも試合を行い、交流の輪を広げた

 
中学生は釜石SWと弘前サクラオーバルズの合同チーム(白)が県内友好チームとも対戦した

中学生は釜石SWと弘前サクラオーバルズの合同チーム(白)が県内友好チームとも対戦した

 
 中学生の試合では、釜石SWアカデミーと弘前サクラオーバルズ(青森県)の合同チームが岩手県内友好チームと対戦した。2年目の参加となる弘前の指導にあたるのは元釜石SWの選手、コーチで、退団後、市職員として19年のラグビーW杯釜石開催を支えた長田剛さん(40)。「私自身も育ててもらった釜石に今、教えている選手たちを連れて帰ってこられたことが非常に感慨深い」と長田さん。09年にSWに入団。釜石の地で歩んだ激動の13年―。復興の象徴“うのスタ”ににぎわいが生まれている様子に「建設から見ているので、人の笑顔でいっぱいになるのはすごくうれしい」と目を細めた。
 
弘前サクラオーバルズを指導する長田剛さん(右から3人目、下:黒長ジャージー)

弘前サクラオーバルズを指導する長田剛さん(右から3人目、下:黒長ジャージー)

 
午後1時キックオフの絆マッチ「釜石SW対静岡BR」

午後1時キックオフの絆マッチ「釜石SW対静岡BR」

 
 メインゲームはジャパンラグビーリーグワン2部の釜石SWと1部の静岡BRとの対戦。釜石にとっては今季プレシーズンマッチの初戦となった。釜石は昨季、出場機会の少なかった選手を中心に先発。前半20分ごろまではディフェンスもいい形で互角の戦いだったが、22分に静岡に先制されると、セットプレーなどのほころびが出始め、27分以降、立て続けに3トライを許した。子どもたちの“釜石”コールが響く中、前半終了間際の39分、釜石はフッカー王野尚希が待望の初トライ。5-28で折り返した。
 
前半39分、釜石はフッカー王野尚希(右から2人目)のトライで初得点

前半39分、釜石はフッカー王野尚希(右から2人目)のトライで初得点

 
 後半は相手陣内に攻め込む時間帯が増えた釜石。11分に静岡にトライを奪われるも、直後の15分には静岡ボールのラインアウトからボールを奪い、WTB吹越大清からパスを受けたSH東海林拓実が相手を振り切りトライ。23分にはロック、セルジオ・モレイラがゴールポスト中央に飛び込み追い上げたが、後半3トライを重ねた静岡との点差を縮めることはできず、17-47で敗れた。
 
後半15分、WTB吹越大清からボールを受け取り、インゴールを目指すSH東海林拓実(右から3人目)

後半15分、WTB吹越大清からボールを受け取り、インゴールを目指すSH東海林拓実(右から3人目)

 
後半23分、相手ディフェンスを突破し独走。中央にトライを決めたロック、セルジオ・モレイラ

 後半23分、相手ディフェンスを突破し独走。中央にトライを決めたロック、セルジオ・モレイラ

 
課題のディフェンスでは激しいタックルで押さえ込む場面も

課題のディフェンスでは激しいタックルで押さえ込む場面も

 
 「(1部チーム相手に)自分たちがどれだけやれるか―」。今季最初の力試しとなった試合を終え、須田康夫ヘッドコーチ(HC)は「一番重視しているコリジョン(接点)で、選手たちがしっかり体を張り、激しいディフェンスを見せてくれた。やれる手応えはつかめた感じ」と評価。初のゲームキャプテンを任されたSH東海林拓実選手も「点差はついたが、感覚としてはそれほど(大きな差)ではないと感じた。セットプレーでやられたり、コミュニケーションミスで点数を取られる場面が多かったので、そこを直していけばもっと近づけると思う」と話した。
 
ゲームキャプテンとして仲間を鼓舞した東海林拓実選手。トライを決めた選手にもいち早く駆け寄り、喜びを分かち合った(左)

ゲームキャプテンとして仲間を鼓舞した東海林拓実選手。トライを決めた選手にもいち早く駆け寄り、喜びを分かち合った(左)

 
 静岡ブルーレヴズは、11年の震災後、初めて釜石市内で開催された対外試合で釜石SWが対戦したチーム(当時のチーム名はヤマハ発動機ジュビロ)。以来、交流試合などで釜石支援を継続していて、この日は復興応援募金も届けた。
 
 当時、入団2年目の選手だった須田HCは「このまちのために戦おうと頑張ってこられたのは、大勢の人たちが駆け付けたあの時の試合があったからこそ。いつかレヴズさんに勝って恩返ししたい」と思いを込める。
 
ハーフタイムには釜石SWと静岡BRの絆を示すコラボ大漁旗を掲げた

ハーフタイムには釜石SWと静岡BRの絆を示すコラボ大漁旗を掲げた

 
当日は釜石まんぷくフェスも同時開催。絆マッチは約630人が観戦した 

当日は釜石まんぷくフェスも同時開催。絆マッチは約630人が観戦した 

 
 前日の全体ミーティングで、釜石でプレーする意味や12年の歴史を選手、スタッフで再認識し、当日に臨んだという静岡。堀川隆延アシスタントコーチは「ブルーレヴズになってからはアカデミー(中学生)の子たちも一緒に来て、さまざまな学びを得ている。そういう記憶に残る時間は素晴らしい。これからも継続していただき、互いの成長、発展性につなげていければ」と望んだ。

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