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勉強と部活を両立 卒業控えた釜高生4人へ努力の証し「小泉賞」 釜石市ボクシング協会

小泉賞を受けた佐々木悠さん(左)、鈴木佳穂さん(右)と釜石市ボクシング協会の小泉嘉明会長

小泉賞を受けた佐々木悠さん(左)、鈴木佳穂さん(右)と釜石市ボクシング協会の小泉嘉明会長

 
 釜石高ボクシング部で3年間部活動に励んだ3年生部員に贈られる「小泉賞」。肉体、精神ともに過酷なスポーツであるボクシング競技に挑み、そして学業との両立を実践した生徒をたたえようと、釜石市ボクシング協会(小泉嘉明会長)が1999年に創設した取り組みだ。毎年、卒業を控えたこの時期に贈呈式を行っていて、今年は2月21日に中妻町の昭和園クラブハウスで開催。選手2人、マネジャー2人の計4人が努力の証しとなるトロフィーを手にした。
 
昭和園クラブハウスで行われた贈呈式。小泉会長のあいさつに耳を傾ける釜石高ボクシング部員ら

昭和園クラブハウスで行われた贈呈式。小泉会長のあいさつに耳を傾ける釜石高ボクシング部員ら

 
笑顔や充実した表情を見せながらトロフィーを受け取った

笑顔や充実した表情を見せながらトロフィーを受け取った

 
 卒業する3年生のうち選手として活躍した佐々木悠さんと鈴木佳穂さんの2人が参加。小泉会長は「きついことも多かっただろう。それでも続けてきた頑張りには価値がある。今は分からずとも、後で利いてくる。3年間で成し遂げたことをかみしめつつ、人生を開拓してほしい」と激励。後輩や協会役員ら約20人も温かい拍手を送り、新たな道を歩み出す2人の背中を押した。
 
 同校ボクシング部は本年度、1~3年生16人(選手11、マネジャー5)で活動。顧問の和賀大毅教諭によると、女子ピン級の佐々木さんは細身ながら破壊力ある左ストレートが持ち味で、ライトフライ級の鈴木さんは入部後すぐに腰を痛めたものの、うまく付き合う方法を見いだし前に進み続ける頑張り屋。県高総体では佐々木さんが準優勝、鈴木さんは3位入賞と結果を残した。この日は不参加だったが、マネジャーの小野未優さん、菅原彩葉さんは手先の器用さを生かしたお守りづくり、洗濯やリングの掃除などでマメな気配りを発揮し、選手を支えた。
 
トロフィーを手に、経験を将来に生かす思いを新たにする佐々木さん(左)、鈴木さん

トロフィーを手に、経験を将来に生かす思いを新たにする佐々木さん(左)、鈴木さん

 
 佐々木さんと鈴木さんは幼少期からの幼なじみで、格闘技好きの鈴木さんの誘いに「高校では個人競技を」と考えていた佐々木さんが乗って入部。練習のつらさ、廃部の不安など一緒に乗り越えてきた。引退後、練習や試合に挑む後輩たちの姿に力をもらって受験勉強に集中。海洋生物に興味がある佐々木さんは岩手大農学部、鈴木さんはヘアメイクアーティストを目指し仙台市の美容系専門学校へ進学する。
 
 「ボクシングを次の世代につなげてほしい」。2人に共通する思いだ。「周りの支えがあってこそ、リングに立てる。誰かのために懸命になってくれる人がいつもいた」と鈴木さん。それが自身の頑張り、精神面の強化、そして「今度は私が誰かを笑顔にしたい」と夢を描くことにつながったと感じている。佐々木さんは部長として部員をまとめた経験がコミュニケーション力の向上になったと実感。個人競技だが、人との結びつきが強いボクシング部の継承に向け、「部員獲得を頑張ってほしい」と願った。
 
先輩から伝統を引き継ぎ、活躍を誓う佐々木夏さん(左)と菊池麗さん

先輩から伝統を引き継ぎ、活躍を誓う佐々木夏さん(左)と菊池麗さん

 
 同部では、卒業生たちの希望をつなぐ明るいニュースがあった。本年度の県新人戦で女子ピン級の菊池麗(あきら)さん、男子ピン級の佐々木夏さん(ともに2年)が優勝。東北大会へ進んだが、惜しくも全国は逃した。その実績を力に2人は「もっと上に行く」「燃え尽きることができるよう頑張る」と誓う。
  
 仲間の頑張りに刺激された部員たちは「高総体で優勝する」などとそれぞれ目標を設定。そんな頼もしい姿に、卒業生や小泉会長、協会役員らは目を細めていた。
 
 

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スポ少剣道全国大会へ 釜石剣正館・宮本一輝さん(釜石中3年)県大会で優勝

宮本一輝さん(後列中央)の全国大会出場を喜ぶ釜石剣正館の団員ら=1月11日、釜石市役所

宮本一輝さん(後列中央)の全国大会出場を喜ぶ釜石剣正館の団員ら=1月11日、釜石市役所

  
 釜石市で活動する剣道スポーツ少年団「釜石剣正館」(細川親雄館長、団員14人)の宮本一輝(いっき)さん(釜石中3年)が、昨年11月に盛岡市の県営武道館で開かれた第49回県スポーツ少年団剣道大会の中学生男子個人の部で優勝した。3月に新潟県で開幕する全国大会に岩手県代表として出場する。剣正館によると、同部門の釜石勢の優勝は1983年以来、約40年ぶり。初めての全国大会、中学生活最後の大会に宮本さんは「日本一を目指して頑張る」と気合を高めている。
  
 県大会では、序盤を危なげなく勝ち進んだ。準決勝戦では同じ剣正館の岩﨑暖さん(同)との同門対決となり、延長戦となる接戦を制して決勝戦に駒を進めた。決勝戦では、「県の強化選手にもなる強い相手。小学生時代から練習試合を含めて一度も勝ったことがなかった」という一戸の選手を相手にまたも延長戦となり、苦戦しながらも勝利。頂点に輝き、全国大会行きの切符をつかんだ。
  
野田武則市長に全国大会出場を報告する宮本さん(左から2人目)=1月11日、釜石市役所

野田武則市長に全国大会出場を報告する宮本さん(左から2人目)=1月11日、釜石市役所

  
 宮本さんは1月11日、細川館長(74)や小学校から共に練習する団員らと市役所の野田武則市長を訪ね、全国大会出場を報告。自身初となる県代表としての全国出場に「稽古をつけてくれた先生や切磋琢磨(せっさたくま)してきた仲間のおかげ。努力してきたものを全て出し切りたい」と意気込みを伝えた。
  
野田市長らと懇談する釜石剣正館の団員ら=1月11日、釜石市役所

野田市長らと懇談する釜石剣正館の団員ら=1月11日、釜石市役所

  
 宮本さんが出場する第45回全国スポーツ少年団剣道交流大会(日本スポーツ協会日本スポーツ少年団、全日本剣道連盟など主催)は3月25日から27日に上越市の謙信公武道館で開催。野田市長は「悔いのない戦いをしてほしい」と激励した。
   

仲間の後押しで気合十分

   
全国大会に向け練習を続ける宮本さん(手前右)=1月21日、釜石中格技場

全国大会に向け練習を続ける宮本さん(手前右)=1月21日、釜石中格技場

   
 釜石剣正館は1975年、「八雲剣道スポーツ少年団」として発足。3年後に現名に改称した。現在は釜石中格技場(火曜日)、小佐野小体育館(土曜日)で稽古を重ねている。
   
 中学3年生は1月末で卒団だが、全国大会を控えた宮本さんは同団で鍛錬を続ける。部活が終わったことで体力が落ちていると感じて自宅でも素振りや筋トレに取り組み、日々調整中。「毎日の積み重ねが勝ちにつながる」と高い士気を維持している。
   
宮本さんは切磋琢磨した仲間の応援を力にする=1月21日、釜石中格技場

宮本さんは切磋琢磨した仲間の応援を力にする=1月21日、釜石中格技場

   
 そんな宮本さんを、小学校時代から共に剣道に親しんできた同級生4人が応援する。卒団まで残りわずかになった21日の稽古には山陰皇騎さん(団長)、岩﨑さん、藤原悠生さんも参加。「集大成となる最後の県大会で一輝君が優勝し、一緒に頑張ってきたからうれしかった」と笑顔を重ね、手合わせできる時間を楽しんでいた。この日参加しなかった佐藤謙眞さんを含めた5人は、高校受験に向けた勉強にも励む。
   
気合とともに基本の打ち込みを繰り返す団員ら=1月21日、釜石中格技場

気合とともに基本の打ち込みを繰り返す団員ら=1月21日、釜石中格技場

   
 剣正館では、今回の全国大会出場を機に「釜石剣道」の盛り上げを図ろうと、新規団員を募集している。ただ新型コロナウイルス禍で、一度に複数人を集めた体験会や見学会などの実施は控えているのが実情。個別の見学・体験は歓迎していて、団員の山陰宗真さん(釜石中1年)は「3年生はチームワークがよく、練習も一致団結して頑張っていた。先輩を越せるように励みたい」と仲間が増えることを期待している。
   
 少子化で団体活動の継続は難しさを増す。白土雅一副館長は「スポーツはいい結果、勝つことも大事だが、一番大切にしているのが人材育成。ともにしのぎを削る中で、互いを思いやる、相手を重んじる心を体得する」と意義を強調。今後も、剣道を通じ子どもたちの成長を見守っていく構えだ。

 

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釜石SWホーム初戦 昨季2位の三重に完敗 ディフェンスの課題修正し次節へ

時折、雪が吹き付ける中、行われた釜石SW―三重ホンダヒート戦。約1200人が観戦した

時折、雪が吹き付ける中、行われた釜石SW―三重ホンダヒート戦。約1200人が観戦した

 
 NTTジャパンラグビーリーグワン2部の釜石シーウェイブス(SW)RFCは25日、釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムでホーム初戦を迎えた。昨季2部2位の三重ホンダヒートと対戦。12-75(前半5-42)で敗れ、開幕2連敗となった。第3節は来年1月14日、夢の島競技場(東京都)で3部から昇格した清水建設江東ブルーシャークスと対戦する。
 
 前半開始直後に連続トライを決め、勢いに乗る三重に猛攻を受けた釜石は、30分までに6トライ(6ゴール)を奪われ、0-42と大きく引き離された。初得点のチャンスは36分。ゴールポスト付近の密集からSH村上陽平がFB中村良真につなぎ、中村が左サイドにキックパス。WTB小野航大主将が確実にキャッチし、トライに持ち込んだ。ゴールは入らず、5-42で前半を折り返した。
 
前半36分、三重の選手を寄せ付けず、左から回り込んで初トライを決めた小野航大主将(中)

前半36分、三重の選手を寄せ付けず、左から回り込んで初トライを決めた小野航大主将(中)

 
 後半開始時、4人を入れ替えた釜石。2分に三重にトライを決められ5-47で迎えた8分、今季新加入、後半から出場したナンバー8セタ・コロイタマナ(フィジー出身)がゴール前のスクラムから自ら運び、相手ディフェンス4人を振り切り右隅にトライ。中村良真のゴールも決まって12-47と追い上げた。後半は敵陣に攻め込む時間帯が増えたが追加点には至らず、三重にさらに4トライを許し12-75で敗れた。
 
後半8分、力強い突破力でゴールに向かう新加入のセタ・コロイタマナ選手(中央)

後半8分、力強い突破力でゴールに向かう新加入のセタ・コロイタマナ選手(中央)

 
 試合後の記者会見―。須田康夫ヘッドコーチ(HC)、小野航大主将は「寒い中、応援に駆け付けてくれたファンに申し訳ない」と反省の弁。「フィジカルバトルで相手に食い込まれる部分が多く、前半の失点につながった。マイボールラインアウトでボールを取れなかったのもゲームを崩してしまった理由の一つ」と須田HC。三重のスピードのある攻撃を抑え込めず、容易に突破を許してしまったことも反省点に挙げられた。
 
 小野主将は昨季より高いレベルが求められる2部の戦いに「このレベルで戦えないと生き残れないし、上にも上がれない。もう一度、自分たちの足りないところを明確にして3週間後、しっかり戦えるようにしたい」と立て直しを誓った。
 
 この日は試合後のグラウンドで、釜石SWのSH南篤志選手が前節・日野レッドドルフィンズ戦で公式戦出場50試合(通算50キャップ)を達成したことも報告され、家族やチームメイトから祝福を受けた。
 
 前節で50キャップを達成した南篤志選手(前列中央)。家族や仲間、三重の選手らに祝福された

前節で50キャップを達成した南篤志選手(前列中央)。家族や仲間、三重の選手らに祝福された

 
 今季、釜石SWのホーム戦には釜石、大槌の全小中学生を無料招待。オリジナルパスポートを首にかけ来場した市内の小学生ら

今季、釜石SWのホーム戦には釜石、大槌の全小中学生を無料招待。オリジナルパスポートを首にかけ来場した市内の小学生ら

 
 釜石SWは初の試みとして、釜石、大槌両市町の全小中学生(釜:約1800人、大:約700人)に、同スタジアムで行われる今季ホーム戦(全5試合)を無料観戦できるパスポートを配布。25日はこれを利用して地元の子どもたちが足を運んだ。ホーム戦残り4試合は来年3月に行われる。
 
ハーフタイムに披露された市内園児による「ラグビー体操」

ハーフタイムに披露された市内園児による「ラグビー体操」

 
次節の勝利に期待!課題を修正して臨む釜石SW

次節の勝利に期待!課題を修正して臨む釜石SW

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日本卓球の支援受け9回目 釜石・大槌地区卓球大会に90人参加 試合の喜び味わう

Nittaku杯第9回釜石・大槌地区卓球大会=市民体育館

Nittaku杯第9回釜石・大槌地区卓球大会=市民体育館

 
 Nittaku(ニッタク)杯釜石・大槌地区卓球大会は11日、釜石市鵜住居町の市民体育館で開かれた。東日本大震災後、用具メーカー「日本卓球」の支援を受けて始まった大会は9回目。小学生から一般まで約90人が参加し、個人戦(シングルス)と団体戦で日ごろの練習の成果を競い合った。
 
 同大会は2012年まで行われた釜石市民卓球大会(11年は震災の影響で中止)を衣替えし、13年から始まった。釜石市卓球協会(安久津吉延会長)と大槌町卓球協会(中前繁夫会長)が主催、日本卓球が協賛する。第1回から津波被害を免れた大槌町の城山公園体育館を会場としてきたが、19年の釜石市民体育館の完成で7回大会から会場を移した。
 
家族らがギャラリーで見守る中、試合に挑んだ

家族らがギャラリーで見守る中、試合に挑んだ

 
中学女子1年の部決勝トーナメント。ハイレベルな戦いが展開された

中学女子1年の部決勝トーナメント。ハイレベルな戦いが展開された

 
 新型コロナウイルス感染症の流行で一度大会を中止したが、昨年から再開。コロナ前は150人前後の参加があったが、昨年、今年は100人に満たない規模に。今大会も急きょ出場を取りやめるチームが出るなど、感染症の影響は続く。
 
 競技は8種目。中学生の部は男女、学年(1、2年)別のシングルスで、小学生も参加した。一般の部は男女別のシングルスと団体戦(2単1複)で、高校生も参加。予選リーグと決勝トーナメント・リーグが行われた。競技の合間には日本卓球の新作ラケットを試し打ちできる時間も。五輪日本代表選手も使用するモデルなどを体験した。
 
選手らは新しいモデルのラケットに興味津々。日本卓球の担当者(右)から説明を受けた

選手らは新しいモデルのラケットに興味津々。日本卓球の担当者(右)から説明を受けた

 
日本代表選手も使用する新作ラケットで試し打ち

日本代表選手も使用する新作ラケットで試し打ち

 
 日本卓球は震災直後、同市に対し試合で使う仕切り用フェンスなどを支援。各地から届く支援物資の仕分け会場などで大いに役立った。市民体育館が完成した際には卓球台4台を寄贈。協賛を続ける同大会では、参加賞や入賞者の景品としてタオルやラケット・シューズケースなどさまざまな用品を提供している。
 
 自身も競技者である同社営業第三部(仙台連絡所)の細井秀剛課長は「大会は自分の力を試す以外に仲間との交流の場でもあり、選手にとって大事」と継続を歓迎。コロナ禍による大会の減少は用具のメンテナンスにも影響しており、「大会が無いとラバーの張り替えをしない人が多い。定期的に替えないとプレーにも影響するので注意が必要」と呼び掛ける。
 
 東京五輪での日本代表選手の活躍で、長く競技を離れていた親世代が久しぶりにラケットを握ったり、その姿を見た子どもが「自分も」と卓球を始めたり…。細井課長は「卓球は生涯スポーツ。始める年齢に早い、遅いはない。勝ちたい、健康維持のためにと、それぞれの目的で長く続けてもらえれば」と願う。
 
一般女子の部に参加した高校生選手も躍動

一般女子の部に参加した高校生選手も躍動

 
一般男子の部にも高校生が参加。社会人選手と技を競い合った

一般男子の部にも高校生が参加。社会人選手と技を競い合った

 
 
 大会の結果は次の通り。
【中学生男子1年シングルス】
1位 髙清水瑛妥(釜石東中) 2位 小國潤(大槌学園) 3位 荒澤想(大槌学園)、小石裕一郎(大槌学園)
【中学生女子1年シングルス】
1位 香川真紀(唐丹中) 2位 小野愛姫(唐丹中) 3位 倉本麗(吉里吉里中)、佐野志央理(大槌Jr卓球スポ少)
【中学生男子2年シングルス】
1位 関谷省吾(吉里吉里中) 2位 菊池寛人(甲子小) 3位 白岩優一朗(甲子中)、得平空(大槌学園)
【中学生女子2年シングルス】
1位 香川彩夏(唐丹中) 2位 堀合美嶺(大槌学園) 3位 佐々木優那(大槌学園)、臼沢梓(大槌学園)
【一般男子シングルス】
1位 藤原周平(釜石クラブ) 2位 鈴木伸二(釜石クラブ) 3位 猪又颯太(釜石高)
【一般女子シングルス】
1位 本多寛奈(釜石高) 2位 田中彩乃(釜石高) 3位 渡邊明日美(釜石未来)
【一般男子団体戦】
1位 釜石クラブ 2位 KTクラブ 3位 チームたまり屋
【一般女子団体戦】
1位 釜石未来 2位 釜石高 3位 フレンズ釜石

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ラグビー・釜石シーウェイブス 17日に開幕戦 出陣式で勝利への誓い/釜石駅前には横断幕

釜石シーウェイブスRFC 今季のリーグ開幕に向けた出陣式=7日

釜石シーウェイブスRFC 今季のリーグ開幕に向けた出陣式=7日

 
 NTTジャパンラグビーリーグワン2部の釜石シーウェイブス(SW)RFCは17日、今季リーグの開幕戦(対日野レッドドルフィンズ)を迎える。7日、釜石市大町の市民ホールTETTOで出陣式が開かれ、選手、首脳陣らが意気込みを示した。釜石鵜住居復興スタジアムが会場のホストゲームは5試合が組まれ、初戦となる第2節・三重ホンダヒート戦が25日に行われる。
 
 出陣式には選手、スタッフとファンクラブ会員、スポンサー企業の代表ら約100人が参加。会場の様子はオンラインでも配信された。須田康夫ヘッドコーチ(HC)は「選手たちは昨シーズンの悔しさをばねに、さらなる高みを目指して準備してきた。トップ3を目標に、『釜石、また勝ったね』と言ってもらえるようなシーズンにしたい」とあいさつした。
 
 ポジションごとに選手が紹介され、会場の拍手を受けて登壇。今季のリーグ戦について小野航大主将は「レベルが高く、さらに厳しい戦いが予想される。1試合でも多く勝利し皆さんと喜びを分かち合えるよう、チーム一丸となって頑張っていく。『釜石ラグビーの復活』を感じてもらえる熱いゲームをお見せしたい」と意気込んだ。
 
意気込みを語る小野航大主将(中央)

意気込みを語る小野航大主将(中央)

 
 釜石SWは昨季、レギュラーシーズン1勝9敗(不戦敗1)、順位決定戦1勝1敗で、2部残留を決めた。今季は16選手が新加入。1部昇格につながる「2部3位以内」を目標に掲げる。初戦の相手・日野について須田HCは「体の大きな外国人選手も多く、フィジカルなプレーが想定される。自分たちは素早く起き上がり、スピードで勝利したい」。新加入選手について聞かれた中野裕太選手会長は「各選手の経験がチームに還元されている。試合会場で顔と名前を覚え応援を」と願った。
 
新加入選手の活躍にも期待が寄せられる

新加入選手の活躍にも期待が寄せられる

 
現役引退を撤回し、アシスタントコーチ兼任で釜石に復帰した片岡将選手は「役割を全うし、自分なりの恩返しをしたい」と語った(中央)

現役引退を撤回し、アシスタントコーチ兼任で釜石に復帰した片岡将選手は「役割を全うし、自分なりの恩返しをしたい」と語った(中央)

 
ファンクラブ会員らが勝利を誓う選手たちの言葉に聞き入った

ファンクラブ会員らが勝利を誓う選手たちの言葉に聞き入った

 
 チームは今季のホスト5試合に市内の全小中学生約1800人を無料招待する。市と連携した「釜石ドリームパスポート」という企画。配布するオリジナルの入場パスカードを会場で提示すれば、無料で観戦できる。桜庭吉彦ゼネラルマネジャーは「ラグビーのまちで生まれ育つ子どもたちに生で試合を見てもらい、感じたことを将来に生かしてもらえれば」と望んだ。
 
浜千鳥の新里進社長は新ラベルになったSW応援ボトルの商品を紹介

浜千鳥の新里進社長は新ラベルになったSW応援ボトルの商品を紹介

 
 18年前からSW応援ラベルの酒を発売する市内の酒造会社、浜千鳥(新里進社長)は今季から新しくなったラベルを紹介。初のコラボ企画を手掛けたベアレン醸造所(嶌田洋一社長、盛岡市)とヘラルボニー(松田崇弥社長、同)は、釜石出身アーティスト小林覚さんの絵を外箱にデザインしたSW応援ビールのギフト商品を紹介。チームの今季の活躍に大きな期待を寄せた。
 
 SWファン歴10年以上という奥州市の四戸和夫さん(70)は「選手たちも元気そうで、けがをした選手も順調に治っているよう。新加入選手の顔も分かってきた。後は応援に行くだけ」と開幕戦を心待ちに。釜石市の地域おこし協力隊に手を挙げ、11月に着任したばかりの竹中伸明さん(34、大阪府高槻市出身)は、ドリームパスポート企画を称賛。「スローガン・REVIVE(リバイブ)に込めた、すぐ起きて次のプレーへというスタイルにも注目している。ホストゲームに来る人たちを何らかの形で支えられたら」。ラグビーW杯を機に同市にほれ込んだ竹中さんは、夢だったご当地でのラグビーに関する活動に意欲を燃やす。
 
 17日の日野戦は武蔵野陸上競技場で、25日の三重戦はうのスタで、ともに正午キックオフ。
 

SWに熱い声援を! 初の「シーズン横断幕」釜石駅前に設置 高校ラグビー部員が作業に協力

 
釜石駅前に掲げたシーズン横断幕と設置作業に協力した高校生ら=4日

釜石駅前に掲げたシーズン横断幕と設置作業に協力した高校生ら=4日

 
 釜石SWは4日、釜石市鈴子町の国道283号沿いにチームへの応援を呼び掛ける横断幕を設置した。市民に今季の試合日程を告知し、会場に足を運んでもらおうと初めて企画した。地域連携の一環で釜石、釜石商工の両高校ラグビー部員と作業。シーズン開幕に向け、市全体の盛り上がりを願った。
 
 日本製鉄北日本製鉄所釜石地区の国道に面したフェンスに設けられている看板用スペースを借用。横断幕は縦1・8メートル、横16メートル。「D1昇格を目指し、釜石の意地とプライドをかけて迎え撃つ!!」などと記し、ホスト5試合の対戦相手、日程を大きく表示。ビジター5試合の日程も示した。赤地がひときわ目を引く横断幕はシーズン終了まで掲げられる。
 
横断幕は駅に降り立った人や通行人らの目を引く

横断幕は駅に降り立った人や通行人らの目を引く

 
桜庭吉彦ゼネラルマネジャー(右)に教わり、設置作業にあたる高校生

桜庭吉彦ゼネラルマネジャー(右)に教わり、設置作業にあたる高校生

 
 チームスタッフ、両校ラグビー部員ら10人で作業。幕の周りの穴にくくりつけるためのロープを通し、フェンスに取り付けられている鉄パイプに設置した。釜石高ラグビー部の及川佳倫キャプテン(2年)は「地域活性化の手伝いができてうれしい。SWは学校隣の市球技場で練習していて、公開練習を見に行く機会もある。FWに注目している。ホームの試合は全勝して、1部に昇格してほしい」と期待を込めた。
 
 両校ラグビー部は合同チームを結成して大会に出場している。昨年7月から元釜石SW主将で、同市ラグビー人財育成専門員の佐伯悠さん(37)の指導を受けている。

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東北のインディアカ24チーム 初の大会開催地・釜石市で全国大会目指し熱戦

釜石市民体育館で初めて開かれた「北海道・東北ブロックインディアカ大会」=20日

釜石市民体育館で初めて開かれた「北海道・東北ブロックインディアカ大会」=20日

 
 第38回北海道・東北ブロックインディアカ大会岩手大会は20日、釜石市鵜住居町の市民体育館で開かれた。北海道・東北インディアカ協議会(吉村和武会長/山形県)が主催。本県が開催地となるのは2013年以来9年ぶり。同市は今回初めて会場に選ばれた。5県から24チーム180人が参加。来年度開催予定の第18回全日本インディアカトーナメント大会の出場権をかけ、熱い戦いが繰り広げられた。
 
 新型コロナウイルス感染症の影響で2年連続の大会中止を余儀なくされたため、待望の再開。開会式では吉村会長が選手たちを激励。釜石市スポーツ推進課の佐々木豊課長が歓迎のあいさつを述べた。地元チーム「釜石リプリーズ」の佐々木昂弥主将、昆真由好選手が選手宣誓をした。
 
バレーボールに似たスポーツ「インディアカ」

バレーボールに似たスポーツ「インディアカ」

 
 インディアカはドイツで考案されたニュースポーツ。羽根の付いた特殊なボールをネットを挟んで片手で打ち合うバレーボールに似た競技で、コートはバドミントンダブルスと同じ広さ。日本には1968年ごろオーストリアから輸入された。80年に日本協会が設立され、全国スポーツ・レクリエーション祭の種目にもなっている。
 
 今大会では男女混合、シニア女子(60歳以上)、シニア男女混合(45歳以上)の3部門で予選リーグと決勝トーナメントが行われた。上位2チームが来年度の全国大会に出場する(3位は枠があれば推薦出場)。
 
宮城、岩手から3チームが参加した「シニア女子の部」

宮城、岩手から3チームが参加した「シニア女子の部」

 
「シニア男女混合の部」には5県から6チームが参加

「シニア男女混合の部」には5県から6チームが参加

 
13チームで優勝を競った「男女混合の部」。スピード感あふれるプレーが展開された

13チームで優勝を競った「男女混合の部」。スピード感あふれるプレーが展開された

 
 市内から唯一出場の「釜石リプリーズ」は2003年に結成。全国スポレク祭に参加するため、当時の市スポーツ推進委員が中心となり立ち上げた。現メンバーは20~30代の社会人。仕事が終わった後、週1回の練習に励む。佐々木主将(29)は地元での初めての大きな大会を「楽しみにしていた。県外の強いチームとの対戦はレベルアップにもつながる」と歓迎。インディアカの魅力を「年齢や経験したスポーツなどに関係なく、すぐにチャレンジできて楽しめる。親子で競技に親しむ人もいる。ぜひ、いろいろな人に経験してほしい」と話す。
 
地元釜石から唯一出場した「釜石リプリーズ」

地元釜石から唯一出場した「釜石リプリーズ」

 
釜石は予選リーグ第1試合で柏木クラブY(青森県)と対戦

釜石は予選リーグ第1試合で柏木クラブY(青森県)と対戦

 

 
 釜石への大会誘致に尽力した市スポーツ推進委員の柏﨑洋也さん(39)=釜石リプリーズ代表=は東北の競技人口について「県によって偏りがある。岩手県はまだまだ少ないほう。愛好者を増やし、東北全体の盛り上げにつなげていきたい」と今後を見据える。同大会には前回まで約30チームが参加していたが、新型コロナの影響で競技に親しむ医療従事者などが県外に出るのを控える状況もあり、今大会はこれまでで最も少ない参加人数となった。
 
 大会結果は次の通り。
【男女混合の部】優勝=MIDC(宮城県)準優勝=日の出NEO(福島県)3位=木曜会(福島県)
【シニア女子の部】優勝=大衡ききょう(宮城県)※参加3チーム中、2チームが欠員のためオープン参加となり、入賞は1チーム
【シニア男女混合の部】優勝=スクランブルF(福島県)準優勝=栗原(宮城県)
3位=大蔵すまんすまん(山形県)
※【男子の部】は日の出メンズ(福島県)、【女子の部】はRAKUDO(山形県)のみの参加のため、両チームが全国大会に出場。

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ラグビーのまちの小学生はつらつプレー!釜石東R杯タグラグビー大会 3年ぶりに

3年ぶりに開催された釜石東ロータリーカップ小学校対抗タグラグビー大会

3年ぶりに開催された釜石東ロータリーカップ小学校対抗タグラグビー大会

 
 釜石東ロータリーカップ2022第4回釜石市小学校対抗タグラグビー大会は13日、釜石鵜住居復興スタジアムで開かれた。釜石ラグビー応援団(中田義仁団長)が主催。市内4校から4年生以上で結成する12チームが参加し、優勝を目指して熱戦を繰り広げた。3年生以下は楕円のボールに親しみ、ラグビーの面白さを体感。2019年のラグビーワールドカップ(W杯)会場となった同スタジアムを、約140人が元気いっぱいに駆け回った。
 
 新型コロナウイルス感染症の影響で2年間の中止を経ての開催。開会式では平田小6年の三浦孝太郎君が「ラグビーのまち釜石に生きる小学生として、みんなでラグビーの楽しさを味わえることに感謝し、チームワークを大切に全力でプレーすることを誓う」と宣誓した。震災復興支援への感謝の気持ちを歌い継ぐ「ありがとうの手紙」を全員で合唱。大会が幕を開けた。
 
高らかに選手宣誓する平田小6年の三浦孝太郎君

高らかに選手宣誓する平田小6年の三浦孝太郎君

 
紅葉に囲まれたスタジアムで大会を楽しんだ児童

紅葉に囲まれたスタジアムで大会を楽しんだ児童

 
 甲子、平田小は各2チーム、小佐野、鵜住居小は各4チームを結成して出場。釜石シーウェイブス(SW)ジュニア(3~5年)の1チームがオープン参加した。2ブロックに分かれて予選リーグ(試合時間6分)を行い、それぞれ上位2チームが決勝トーナメント(前後半5分)に進んだ。選手らは仲間や家族の応援を受けながら練習の成果を発揮。相手にタグを取られないよううまくかわしたり、味方への効果的なパスなどでボールを前に進めトライを勝ち取ると喜びの笑顔を広げた。
 
腰に付けた相手タグを取るのがタックルの代わり

腰に付けた相手タグを取るのがタックルの代わり

 
年代や男女を問わずラグビーの面白さを味わえるタグラグビー

年代や男女を問わずラグビーの面白さを味わえるタグラグビー

 
 決勝は鵜住居小同士の対戦。互いの手の内を知る両チームだが、絶妙なボール運びなどで相手を寄せ付けずトライに持ち込んだ「鵜小JETS」が「鵜小マングース」を10―0で破り、優勝を手にした。鵜住居小は3位以上を独占する活躍を見せた。
 
 優勝したJETSのキャプテン千葉龍希君(6年)は「1回も負けないで優勝できた。決勝は目標の10点を取ることができてうれしい」と完全勝利に胸を張った。12月18日には県知事杯兼サントリーカップ県大会(奥州市水沢・Zアリーナ)に出場する。「今日はタグミスやトライを許すところもあったので、次の大会までに完璧にできるよう修正していきたい。優勝を目指す」と気を引き締めた。同大会には鵜住居小から4チームが出場する予定。
 
決勝は、鵜小JETS(赤ビブス)と鵜小マングース(黄同)の対戦

決勝は、鵜小JETS(赤ビブス)と鵜小マングース(黄同)の対戦

 
確実なパスなどで得点を重ねたJETS(赤)

確実なパスなどで得点を重ねたJETS(赤)

 
1~3位を独占した鵜住居小。12月の県大会出場に向け弾みをつけた

1~3位を独占した鵜住居小。12月の県大会出場に向け弾みをつけた

 
 大会に初めて参加した小佐野小の佐野友悠君(6年)は「タグラグビーは敵の防御を抜けると全力で走れるのが気持ちいい。みんなで協力してゴールまでいけるとすごく楽しいなって思う」。自身は最終学年で大会は最後となったが、後輩たちに向け「これからも協力し合って、大きい大会で優勝してほしい」とエールを送った。
 
 同大会はラグビーW杯の機運醸成を図る一環で17年に開始。年々、参加人数も増えてきていた中でコロナ禍に見舞われた。第3回大会まで釜石東ロータリークラブが主催していたが、本大会から釜石ラグビー応援団が主催を引き継いだ。市、市ラグビーフットボール協会、釜石SWRFCが全面協力するほか、市内外のボランティアが運営を支える。
 
子どもたちの健全育成、「ラグビーのまち釜石」への意識付けにつながるタグラグビー大会

子どもたちの健全育成、「ラグビーのまち釜石」への意識付けにつながるタグラグビー大会

 
 中田団長(大会長)は「2年のブランクはあったが、今回また一からスタートしたいという思いもあり、再開を決めた。子どもたちが笑顔でのびのびとプレーする姿が見られて良かった。競技を楽しんだ思い出は、ラグビーのまちへの誇り、地元愛にもつながっていくと思う。ラグビー人口の底辺拡大という意味でもさらに多くの子どもたちに参加してほしい」と願った。

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W杯から3年「ラグビーのまち釜石」を発信 SW、中学生が交流試合&体験イベント

ラグビーW杯釜石開催から3年を記念した2022ラグビッグドリーム。約1300人が観戦

ラグビーW杯釜石開催から3年を記念した2022ラグビッグドリーム。約1300人が観戦

 
 2022ラグビッグドリーム~RWC MEMORIAL~(釜石ラグビッグドリーム実行委主催)は9日、釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムで開かれた。2019年のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の会場となった同スタジアムで、ジャパンラグビーリーグワン2部の釜石シーウェイブス(SW)RFCと1部の東芝ブレイブルーパス東京が対戦。市内中学校の特設ラグビー部による交流試合も行われた。W杯のレガシー(遺産)継承、台風の影響で中止された「ナミビア対カナダ」の再戦を願い、企画された。
 
 中学生の交流試合は、特設ラグビー部を結成している釜石東中と甲子中の対戦。2週間後に県中総体を控えた両チームにとって力試しの場となった。試合は15分ハーフで行われ、4トライを挙げた釜石東が26-12(前半12-5)で勝利した。3年生を中心に生徒らの強い希望で、数年ぶりにチームを結成した釜石東。黒澤強優主将(3年)は「ボールを手にした一人一人が自信を持って走り抜いたことが勝因」と胸を張った。この日はチームにとって初めての試合。見つかった課題を修正し、最終目標の中総体に挑む。
 
釜石東中、甲子中の特設ラグビー部が対戦した交流試合

釜石東中、甲子中の特設ラグビー部が対戦した交流試合

 
相手ディフェンスを寄せ付けず、インゴールへ走る釜石東の選手(左から2人目)

相手ディフェンスを寄せ付けず、インゴールへ走る釜石東の選手(左から2人目)

 
 市内の現中学生は小学生の時に、同スタジアムで行われたラグビーW杯を観戦した。甲子中特設ラグビー部の悦渕嵩主将(3年)は「W杯が行われた芝生でプレーすることができて光栄。ラグビーは釜石の誇りであり象徴。高校に行っても続けたい。台風でできなかったナミビア対カナダ戦が実現したら仲間と応援に来たい」と願った。
 
 一般来場者がラグビーに親しめる場も設けられた。W杯を機に釜石でも体験機会が増えたストリートラグビーのコーナーは一般社団法人STREET RUGBY ALLIANCE(ストリートラグビーアライアンス、東京都)が開設。幅広い年代がトライを楽しんだ。甲子町の夏目未咲さん(27)は長女梨世ちゃん(4)と体験し、「誰でもできてすごく親しみやすい」と笑顔。W杯や釜石SWの試合にも足を運んでおり、「ラグビーって面白い。地元なのでSWも応援したい」と声を弾ませた。
 
誰でも体験できるストリートラグビーのコーナー

誰でも体験できるストリートラグビーのコーナー

 
子どもたちも笑顔でトライ!「ラグビーって楽しいな」

子どもたちも笑顔でトライ!「ラグビーって楽しいな」

 
 同法人エグゼクティブプロデューサーの出口圭造さんは「釜石は僕らにとっても神聖で特別な場所。来るたびに身が引き締まる思い」と、震災復興、W杯誘致の力を称賛。コロナ禍で同法人の活動も停滞してきたが、「来年のW杯フランス大会に向け、再度ラグビー熱を盛り上げる一助を担えれば。ラグビーの楽しさを感じ、興味を持ってもらえるような場を積極的に提供していきたい」と意気込んだ。
 
 釜石SWとBL東京の試合前には甲子中の生徒が「ハカ」を披露。ラグビーニュージーランド代表(オールブラックス)が国際試合前に見せる先住民マオリの民族舞踊を再現し、両チームを鼓舞した。
 
気合いの入った掛け声とともに甲子中の生徒が披露した「ハカ」

気合いの入った掛け声とともに甲子中の生徒が披露した「ハカ」

 
 釜石SWは前半23分、左ラインアウトモールからつないだCTBヘルダス・ファンデルボルトが相手ディフェンスを突破し初トライ。今季新加入のSOジョシュア・スタンダーのゴールで7-5と逆転したが、前半終了間際に2トライを奪われ、7-19で折り返した。後半、控え選手に次々と交替した釜石は粘り強いディフェンスを続け、相手を1トライに抑えた。アタックはゴール目前のプレーが何度か見られたが、セットプレーのミスやペナルティーなどであと一歩届かず、7-26で敗れた。
 
前半23分、釜石SWのCTBヘルダス・ファンデルボルトが同点のトライ

前半23分、釜石SWのCTBヘルダス・ファンデルボルトが同点のトライ

 
ファンデルボルト(左)は後半も強力な突破でゴールラインに迫った

ファンデルボルト(左)は後半も強力な突破でゴールラインに迫った

 
 釜石SWはプレシーズンマッチ5戦目。格上の1部チームとの試合は3戦目となった。WTB小野航大主将は「コンタクトエリアで劣っている感じはしなかったが、細かい部分で(BL東京の)質は非常に高かった。自分たちとの違いを体で感じられたのは大きい」と収穫を得た様子。須田康夫ヘッドコーチは「ラインスピード、ダブルタックルを意識し、ディフェンスが粘れるようになってきた」。1部チームの接点の激しさ、しつこさを経験し、「プレッシャーの中で、いかに自分たちのゲームができるかが課題」と話した。
 
 ハーフタイムには、市内の中学生が描いた5メートル四方の「釜石の大きな絵」がお披露目された。NPO法人アース・アイデンティティー・プロジェクツ(河原裕子代表、東京都)から同市に「世界一大きな絵」プロジェクトへの参加依頼があり、「復興と世界平和」をテーマに完成させた。
 
虎舞、大観音、ラグビーボールなどが描かれた釜石の大きな絵(右下拡大)。W杯で試合が中止になったナミビア、カナダ国旗とともに披露された

虎舞、大観音、ラグビーボールなどが描かれた釜石の大きな絵(右下拡大)。W杯で試合が中止になったナミビア、カナダ国旗とともに披露された

 
 同プロジェクトは世界中の子どもたちが描いた絵をつなぎ、一枚の大きな絵を作ることで、平和を愛する気持ちを育み、世界的視野で平和と環境を守る機運を広げようとするもの。同市では震災で受けた支援への感謝と、復興を遂げた被災地からの平和への願いを絵に込めた。「世界一大きな絵」はパリ五輪が開催される2024年にフランスで披露される予定。

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うのスタ周辺を老若男女が力走 釜石健康マラソン2年ぶり開催 体力向上の一助に

釜石鵜住居復興スタジアムで開かれた第48回釜石健康マラソン大会=8日

釜石鵜住居復興スタジアムで開かれた第48回釜石健康マラソン大会=8日

 
 第48回釜石健康マラソン大会(釜石市体育協会、市陸上競技協会、市主催)は8日、同市鵜住居町の釜石鵜住居復興スタジアムを発着点に周辺コースで行われた。甲子町の市球技場から会場を移して2回目の開催。新型コロナウイルス感染症の影響で昨年は中止されたため、2年ぶりの大会となった。子どもから大人まで約200人が参加し、秋の気配を感じながら思い思いのペースで完走を目指した。
 
 同大会は体育の日(現スポーツの日)にちなんだ市民総参加のスポーツイベントとして始まり、今に受け継がれる。長年、市陸上競技場(現市球技場)を会場としてきたが、2020年からラグビーワールドカップ日本大会(19年開催)会場の一つとなった同スタジアムで開かれる。
 
 今大会には1歳から78歳までがエントリー。距離、年代、男女別などで13部門が設けられた。開会式の後、時間をずらしながら各部がスタート。1キロ、2キロ、3キロのコースはスタジアム外周と同町新川原地区方面への市道を使って設定された。小学生はバスケットボール、サッカー、ラグビーなどの所属チーム単位での参加が目立ち、そろいのユニホーム姿で存在感を見せた。沿道では家族や仲間が声援を送り、参加ランナーを鼓舞。くじけそうになる子どもたちも力をもらってゴールを目指した。
 
女子の3キロは小学校高学年から一般までが一緒にスタート

女子の3キロは小学校高学年から一般までが一緒にスタート

 
所属スポーツ団体のユニホーム姿で3キロに挑む小学校高学年男子

所属スポーツ団体のユニホーム姿で3キロに挑む小学校高学年男子

 
ゴールまであと少し。最後の力を振り絞って懸命にひた走る=スタジアム西側駐車場入り口

ゴールまであと少し。最後の力を振り絞って懸命にひた走る=スタジアム西側駐車場入り口

 
 競技場内では約200メートルのコースを2周する幼児の部が行われ、父母に手を引かれた子どもたちも元気に“かけっこ”を楽しんだ。小学生チームのリレー(100メートル×4)競技も行われ、白熱したレースを繰り広げた。完走者にはタイムや順位を記載した完走証が発行された。閉会式では各部門の上位者を表彰した。
 
小学校低学年女子1キロのスタート。応援の家族を見つけて手を振る子も

小学校低学年女子1キロのスタート。応援の家族を見つけて手を振る子も

 
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お父さんと一緒に元気にゴール!ほほ笑ましい光景が広がった幼児の部

 
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仲間との絆を深めたリレーの部。日ごろのトレーニングの成果も発揮

 
 団体参加した小佐野ミニバスケットボールスポーツ少年団の主将、岩鼻奏河君(11)は3キロを完走。2年ぶりの大会に「久しぶりなので(3キロは)長く感じた。スタート直後の山際の上り坂が一番つらかった。体力もちょっと落ちていたかも」とブランクを実感。11月にミニバスの大会を控えているといい、「さらに体力をつけて勝ちたい。県大会にいくのが目標」と意気込んだ。
 
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スタジアム裏、山際の上り坂は最初の難関=小学校中学年男子2キロの部

 
 甲子町の平野建さん(39)は長女志凰ちゃん(5)と親子の部1キロに、次男志頼君(3)と幼児の部に参加し、それぞれの手を引いて無事完走。夏休みに練習したという志凰ちゃんは「ちょっぴり疲れた。でも走るのは好き」とにっこり。2回目の参加となった長男志磨君(6)は小学校低学年の1キロに初挑戦し、「途中で歩きたくなったけど頑張った。次は1位を取りたい」と意気揚々。家族でスポーツの秋を満喫した建さんは「普段、子どもと一緒に体を動かす機会は少ない。コロナ下でも大会を開催してもらって感謝。子どもには、回を重ねることで力がついていく感覚も味わってほしい」と願った。
 
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コース沿いにはわが子の頑張りをカメラに収める保護者らが並んだ

 
 同大会はあと2回で50回という大きな節目を迎える。市陸上競技協会の菊池信男会長は「(少子化、人口減などで)参加人数は従来に比べ減っているが、先輩たちがつないできた歴史ある大会。健康づくりのマラソンを意識づけ、細々でも長く大会を続けていければ」と話した。

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ラグビーW杯のレガシーを後世に 「釜石絆の日」イベント 交流の輪広がる

「釜石絆の日」ジュニア(小学生)マッチ=24日、釜石鵜住居復興スタジアム

「釜石絆の日」ジュニア(小学生)マッチ=24日、釜石鵜住居復興スタジアム

 
 ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会開催から3年―。競技会場の一つとなった釜石市では、フィジー対ウルグアイ戦が行われた9月25日を「釜石絆の日」とし、震災復興や大会を機に生まれた支援者とのつながりを継承する取り組みを進める。本年度は23日から25日まで、県内外の小中学生や釜石シーウェイブス(SW)RFCのラグビー交流試合などが行われた。官民でつくる釜石ラグビー応援団(中田義仁団長)が主催した。
 
 姉妹都市の愛知県東海市、東日本大震災後の復興支援でつながる静岡県袋井市から小学生と引率者ら計約60人が来釜。23日は鵜住居町の震災伝承施設「いのちをつなぐ未来館」を訪れ、釜石市の被災状況と震災の教訓を学んだ。小中学生が津波から避難した経路も見学し、迅速な高台避難の大切さを実感した。
 
東日本大震災の被災状況を学ぶ袋井市の小学生ら=いのちをつなぐ未来館、23日

東日本大震災の被災状況を学ぶ袋井市の小学生ら=いのちをつなぐ未来館、23日

 
メモを取るなどしながら震災学習に臨む東海市の小学生

メモを取るなどしながら震災学習に臨む東海市の小学生

 
 初めて釜石市を訪れた袋井市の有藤皐君(山名小5年)は「たくさんの人が亡くなり、まちが破壊されたことを聞き、悲しくなった」と震災の悲惨さを実感。地元では南海トラフ地震による津波の危険性もあり、「すぐに山の方に避難するなど、自分の命は自分で守れるようになりたい。釜石で学んだことを家族や友だちにも伝えようと思う」と話した。
 
 24日はW杯会場となった釜石鵜住居復興スタジアムで、3市の小学生によるスポーツ交流が行われた。袋井市の小学生8人はタグラグビークラブで活動する1~6年生。釜石からは鵜住居小のタグラグビーチームに所属する4~6年生22人が参加し、試合で交流を深めた。あいにくの雨模様だったが、子どもたちは元気いっぱい。試合の楽しさを味わった。
 
 鵜住居小6年の千葉龍希君は「友だちとかもできて楽しい。またこういう機会があるといいな」と期待。4年生から始めたタグラグビーは「トライを決めた瞬間が気持ちいい」と話し、冬の県大会に向けて「みんなで協力して勝ちたい」と意気込んだ。
 
タグラグビーの試合を楽しむ袋井市と釜石・鵜住居小の児童=24日

タグラグビーの試合を楽しむ袋井市と釜石・鵜住居小の児童=24日

 
 ラグビーの交流試合は、東海ラグビースクールと釜石SWジュニアの対戦。東海市からは6年生14人が訪れた。12分マッチを3本行った後、両チームの選手を混ぜた即席チームでの対戦も試みた。選手たちは日ごろの練習の成果を発揮しながら、普段対戦機会のない相手のプレーにも刺激を受けた。
 
 東海チームの釜石遠征リーダーを務めた井上咲太郎君(名古屋市立西山小6年)は「さすが“ラグビーのまち釜石”だけあって皆さん強くて、いい練習になった。他地域のチームとの対戦は新しい戦略とかもあってすごく勉強になる」と成果を得た。古くから親交の深い両市について、「これからもずっと交流が続いてほしい。釜石の子どもたちが東海市に来たらぜひ歓迎したい」と目を輝かせた。
 
東海ラグビースクール(赤)と釜石SWジュニアの交流試合。雨天を吹き飛ばす熱戦を繰り広げた

東海ラグビースクール(赤)と釜石SWジュニアの交流試合。雨天を吹き飛ばす熱戦を繰り広げた
 
 「また会おう!」末永い絆を願い笑顔で記念撮影

「また会おう!」末永い絆を願い笑顔で記念撮影

 
 東海市には1964年、製鉄所の合理化に伴い、釜石市から約2300人が移住した。以降、官民の交流が続き、災害時の相互応援協定(2003年)などを経て、07年に姉妹都市提携を結んだ。一方、袋井市は、1880年代に釜石で日本の近代製鉄の基礎を築いた横山久太郎(釜石鉱山田中製鉄所初代所長)の出身地で、震災以降、釜石市に対し多くの支援の手を差し伸べてきた。
 
絆マッチ「釜石SW(赤)-船岡自衛隊ワイルドボアーズ」

絆マッチ「釜石SW(赤)-船岡自衛隊ワイルドボアーズ」

 
 25日は同スタジアムでラグビー絆マッチが行われ、中学生チームの釜石SWアカデミー、レッドファイヤーズRFC(北上市)、弘前サクラオーバルズ(青森県弘前市)が交流した。釜石SWはトップイーストリーグの船岡自衛隊ワイルドボアーズと対戦。17トライを奪い、95-0で勝利した。24日は小学生向けのラグビークリニック、25日は誰でもラグビー体験ができる「ラグビーのまち釜石教室」も行われた。
 
この日の試合は釜石SWのプレシーズンマッチ3戦目。観戦無料で行われた

この日の試合は釜石SWのプレシーズンマッチ3戦目。観戦無料で行われた

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日本スポーツマスターズ岩手大会 軟式野球出場の釜石・ヨーカクラブ 鹿児島代表に善戦

日本スポーツマスターズ岩手大会軟式野球 奄美BBC(鹿児島)―ヨーカクラブ(岩手)

日本スポーツマスターズ岩手大会軟式野球 奄美BBC(鹿児島)―ヨーカクラブ(岩手)

 
 日本スポーツマスターズ2022岩手大会は23日から26日まで県内12市町で11競技を実施。釜石市など沿岸6市町では24日から軟式野球競技が行われた。同市平田総合公園野球場では1回戦から準決勝まで計6試合があり、各都道府県の代表が熱戦を繰り広げた。地元釜石からはヨーカクラブが出場。目標としていた全国の舞台で持てる力を存分に発揮した。マスターズ大会は3年ぶり、本県では初開催となった。
 
 軟式野球は40歳以上の選手で構成する32チームが出場し、トーナメント戦で優勝を競い合った。平田球場の初日は降雨のため、屋内で開始式。第1試合で対戦するヨーカクラブ(開催地枠)と鹿児島県代表の奄美BBC(ベースボールクラブ)が顔をそろえた。大会名誉会長の野田武則釜石市長は、東日本大震災で受けた全国からの復興支援に深く感謝。「全力を尽くして健闘を」と選手らにエールを送った。
 
岩手県野球協会尾形英一副会長が開会宣言。(左から)ヨーカクラブの遠野大輔主将、菅原隆監督

岩手県野球協会尾形英一副会長が開会宣言。(左から)ヨーカクラブの遠野大輔主将、菅原隆監督

 
 始球式には地元の浜っ子野球スポ少、釜石中で5年間野球を続けた佐々木唯さん(20)が登場。その姿を追ってスポ少に入った妹凜さん(釜石商工高3年)が打者、県内唯一の女性審判員として活躍する母美紀さん(45)が球審を務め、式を盛り上げた。
 
始球式で投手を務めた佐々木唯さん(左)。母美紀さん(中)、妹凜さんも協力。写真提供:釜石市野球協会

始球式で投手を務めた佐々木唯さん(左)。母美紀さん(中)、妹凜さんも協力。写真提供:釜石市野球協会

 
 第1試合はグラウンド整備のため1時間余り遅れて開始。両チームの投手は上々の立ち上がりを見せ、味方の堅い守備も手伝って互いに得点を許さない。試合が動いたのは5回裏。ヨーカクラブの先頭打者、9番小笠原大洋が左中間を突く2塁打を放ち、続く1番佐々木博貴の犠打、盗塁で二、三塁の好機に。ここで2番鈴木得之の飛球を一塁手が捕球し損ねる間に小笠原がホームにかえり、待望の先制点。さらに3番阿部裕樹の犠飛で佐々木がホームに滑り込み、2点目を挙げた。
 
ヨーカクラブは5回、鈴木(背26)の打球が相手のミスを誘い、小笠原(背0)がホームにかえり1点を先制

ヨーカクラブは5回、鈴木(背26)の打球が相手のミスを誘い、小笠原(背0)がホームにかえり1点を先制

 
犠飛で三塁の佐々木(背1)がホームに滑り込み追加点。0-2とする

犠飛で三塁の佐々木(背1)がホームに滑り込み追加点。0-2とする

 
 奄美BBCもすかさず反撃。6回表、2安打で出塁後、ヨーカのミスや四球で2点を返し同点に追いつくと、なおも満塁の好機に強打の一発。さらに1点を加え3-2と逆転に成功した。奄美は最終7回にも3本の長打や犠飛で3点を追加。6-2とヨーカを突き放した。
 
 最終回、ヨーカの攻撃は2点を挙げた5回と同じ打順。小笠原の内野安打、佐々木の右前打などでまずは1点。阿部が右翼線に運び追加点を挙げるが、後続が倒れ試合終了。6-4で敗れ、全国大会初勝利は次回への持ち越しとなった。
 
観戦客からは健闘をたたえる拍手が送られた

観戦客からは健闘をたたえる拍手が送られた

 
 早起き野球チームとしてスタートしたヨーカクラブは創部45年。早起き野球は県大会優勝4回、一般(C級)も東北大会出場などを果たすが、全国大会出場は、活動4年目の壮年(40歳以上)チームも含め初めての経験。今大会は、クラブの創始者で昨夏急逝した佐野一男前監督(享年75)の願いをかなえる大舞台となった。
 
試合前、気持ちを一つにするヨーカクラブの選手ら。佐野一男前監督の遺影に黙とうをささげた(左上)

試合前、気持ちを一つにするヨーカクラブの選手ら。佐野一男前監督の遺影に黙とうをささげた(左上)

 
 監督を引き継いだ菅原隆さん(58)は「佐野前監督が口癖のように言っていたのが全国大会出場の夢。一緒に出よう、ヨーカクラブの名を知らしめようと、みんな頑張ってきた。負けたのは残念だが、一つ目標は達成できた」と安堵(あんど)の表情。「来週もOB(壮年)の県大会があるので、今日の悔しさもぶつけて県王者を目指したい」と勢いづいた。
 
 「監督、怒っているだろうな~」。厳しくも選手に慕われた佐野前監督の姿を思い浮かべ、菅原さんと笑顔で口をそろえた佐々木博貴さん(43)。「相手チームは一枚も二枚も上手だったという印象。何とかしがみついてできたのかな」。震災もありながら、野球を楽しめていることに喜びを感じ、「まだまだ強くなれると野球の神様が言ってくれている。釜石のために頑張らねば」と意気込んだ。
 
会場では釜石名物「魚河岸ジェラート」と「仙人秘水」をお振る舞い。参加者の疲れを癒やした

会場では釜石名物「魚河岸ジェラート」と「仙人秘水」をお振る舞い。参加者の疲れを癒やした

 
 3日間の熱戦の結果、優勝したのは愛知県代表の安城ベースボールクラブ。6年ぶり3度目の日本一に輝いた。岩手県代表の永愛友OB、開催地枠の雫石クラブOB、クロニーズは1回戦で敗れた。

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釜石SW 格上・静岡と2年ぶりに交流試合 新戦力活躍で3トライ 防御の課題確認

『黄金の國、いわて。』presentsともだちマッチ2022 釜石SW(赤)―静岡ブルーレヴズ=釜石鵜住居復興スタジアム

『黄金の國、いわて。』presentsともだちマッチ2022 釜石SW(赤)―静岡ブルーレヴズ=釜石鵜住居復興スタジアム

 
 NTTジャパンラグビーリーグワン2部の釜石シーウェイブス(SW)RFCは11日、釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムで、同1部の静岡ブルーレヴズと交流試合を行った。東日本大震災後の釜石支援を機に交流を続ける両チームの対戦は2年ぶり。格上の静岡相手に釜石は3トライを挙げたが、地力で勝る静岡の猛攻を受け、19-59(前半7-38)で敗れた。
 
 釜石にとっては今季のプレシーズンマッチ2戦目、初のホーム戦となり、約1千人が客席を埋めた。今季、17人の新加入選手を迎えた釜石は、先発7人が新加入。前半、攻撃のペースをつかめず、防戦一方の釜石は、静岡に6トライを奪われるなど苦しい展開となった。終了間際の40分、敵陣22メートルライン内にボールを持ち込んだ釜石は、新加入のCTB石垣航平が強力な突破で相手を振り切り中央にトライ。SO中村良真のゴールも決まって、7-38で前半を折り返した。
 
前半40分、釜石はボールを持ったCTB石垣航平が力強く前進しトライ。初得点を挙げた

前半40分、釜石はボールを持ったCTB石垣航平が力強く前進しトライ。初得点を挙げた

 
 後半開始直後の2分、釜石は石垣のパスを受けた新加入のWTB阿部竜二が絶妙なキックでボールを前に運び、自ら拾って左サイドから回り込んで中央にトライ(ゴール成功)。14-38とした。18分には相手ペナルティーで得たボールを敵陣5メートルラインからSH村上陽平が右に展開。SO中村、ロック/タタナ・ダラスとつなぎ、ダラスが右隅にトライ(ゴール失敗)。19-38と点差を縮めたが、その後は得点に至らず、さらに3トライを重ねた静岡に19-59で敗れた。
 
後半18分、相手タックルをかわしトライを決めた釜石のロック/タタナ・ダラス(左)

後半18分、相手タックルをかわしトライを決めた釜石のロック/タタナ・ダラス(左)

 
 トライを決めた石垣、ダラスは今季、宗像サニックスブルースから移籍(ダラスは2018年以来の釜石復帰)。紫波町出身の阿部は今春、関東学院大を卒業し入団した。試合後の記者会見で石垣選手は「攻めきれない場面が多かったが、ディフェンス、アタックともに前に出ることを意識した。応援してくれる地域の方々のためにもっと頑張りたい」と意を強くした。
 
 須田康夫ヘッドコーチ、小野航大主将は、静岡の激しいブレイクダウン、セットプレーでプレッシャーを受け失点を重ねたことを反省点としながらも、「自分たちがボールを持ち、やりたいことをできた時間帯は通用している感覚があった。そういう時間をどれだけ長くできるかが今後の課題」とし、ディフェンスの修正、集中力の維持など改善点を示した。
 
 小野主将は震災後、交流試合を継続してくれている静岡に感謝。「トップレベルを感じられる機会。近い将来、このグラウンドで(静岡と)公式戦をできるよう、一刻も早く1部に上がりたいという思いが強くなった。チームとして共有し、やっていければ」と願った。
 
観客の前で健闘をたたえ合う釜石、静岡の選手ら

観客の前で健闘をたたえ合う釜石、静岡の選手ら

 
震災を機に結ばれた両チームの絆はさらに強く…

震災を機に結ばれた両チームの絆はさらに強く…

 
 釜石SWのプレシーズンマッチ3戦目は今月25日。同スタジアムで、トップイーストリーグの船岡自衛隊ワイルドボアーズと対戦する(観戦無料)。