世界一へジャンプ!日本代表としてアマチュアラグビー大会に挑む選手たち
9月にフランスで開幕するラグビーのワールドカップ(W杯)に合わせて初めて開かれる「ワールドアマチュアラグビーフェスティバル」に、日本代表として岩手県釜石市からチームが出場する。その名はずばり「いわて釜石ラグビーフットボールクラブ」。市や県にゆかりのあるメンバー30人が公募で選ばれている。8月26日に釜石鵜住居復興スタジアムで結団式。「世界一を狙う」と戦いを前に気持ちを高めている。
派遣団は選考を通過した釜石シーウェイブス(SW)のOBや県内クラブチーム在籍者、県外在住の元プロ選手らに加え、役員・スタッフ5人で構成。団長は県ラグビーフットボールクラブ協会の白根敬介会長が務める。
結団式に臨んだ「いわて釜石ラグビーフットボールクラブ」
結団式では、チームを派遣するラグビー国際交流推進事業実行委員会の小泉嘉明会長が「岩手、釜石の思いを発信しながら、思いっ切りプレーしてきて」、野田武則市長は「日本代表として有意義な戦いを」などと激励。チームフラッグなどを贈って活気づけた。
大漁旗をモチーフにしたユニホームもお披露目。「KAMAISHI大漁旗Tシャツ」をアレンジし、明るい太陽(赤)とダイナミックな波(黒と白)が目を引く。制作に関わった「釜石応援ふるさと大使」の藤原綾子さん(56)=東前町出身、ユミカツラインターナショナルアクセサリーデザイナー=は「身に着けた皆さんは格好いい。実力、気力、体力十分に、気持ちで頑張ってきてください」と背中を押した。
大漁旗をモチーフにしたユニホームを紹介する藤原綾子さん
決意を語る(右から)福士周太主将、白根敬介団長、佐伯悠ヘッドコーチ
ヘッドコーチ兼選手で、市スポーツ推進課の佐伯悠さん(38)は「世界一を狙える、素晴らしいメンバーが集まった。戦うだけでなく、東日本大震災の復興支援への感謝、岩手や釜石は元気だ!と世界に発信してくる」と熱を込めた。主将の福士周太さん(29)は「世界で戦えるチャンスをもらった。優勝を目指し頑張ってくる」と意気込んだ。
この日から27日まで事前合宿。式の後、さっそくグラウンドに出て練習。攻撃や守備の連係を確認し、チームの結束を高めた。練習後には、近くの震災伝承施設・いのちをつなぐ未来館で津波発災当時の出来事や教訓を学ぶ研修会を実施。ほか、9月10日にも練習会を予定する。
合宿の練習でプレーの連係を確認し、チームの結束を高める
「パパ、かっこいい!」。スタンドから送られる、かわいらしい応援が目に入った。埼玉県宮代町の中村勇琥(ゆうご)君(小学3年生)、碧葉(あおば)さん(同1年)、燦斗(あきと)ちゃん(3)きょうだいが見つめていたのは、父彰さん(36)の雄姿。フランスで見せてほしいのは「かっこいいスロー」と声をそろえ、フッカーとしての活躍を期待していた。きょうだいの母江里子さん(41)は「子どもたちにラガーマンとしての姿を記憶してほしかったから、選手としてチャンスをもらえてうれしい。持ち味のフィールドワークを生かしたプレーをしてくれたら」と目を細めた。
「パパ、頑張れ!」。中村彰選手の挑戦を家族が応援
チーム一丸!迫る戦いに向け、練習に励む中村選手ら
そんなキラキラ輝くまなざしを力にする彰さん。いくつかのクラブチームを渡り歩いたというが、特に思い入れがあるのが釜石SW時代だったことから、「この地でまたジャージーを着ること」を望んだ。メンバーとは、この日が初顔合わせ。「短い期間でチームを作り上げなければならない。コミュニケーションをとって、ユニホームのように明るい仲間たちと戦いに挑みたい」と気合を入れた。
いわて釜石クラブ派遣団、活躍を期待する関係者
フェスティバルは9月23~30日、釜石と姉妹都市提携を結ぶディーニュ・レ・バン市を中心としたプロバンス地方で開かれる。ラグビーW杯の出場国を主に20カ国が出場。いわて釜石チームは同20日に渡仏する。