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輝くトロフィーを囲み、2年後のラグビーW杯に期待を膨らませる

ラグビーW杯 開催まであと2年、輝くトロフィー釜石に〜機運盛り上げアピール、会場12都市を巡回

輝くトロフィーを囲み、2年後のラグビーW杯に期待を膨らませる

輝くトロフィーを囲み、2年後のラグビーW杯に期待を膨らませる

 

 2019年ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会で優勝チームに授与されるトロフィー「ウェブ・エリス・カップ」が5日、釜石市鈴子町のラグビーカフェで公開された。歓迎セレモニーには、市内でラグビーに取り組む小・中・高校生や関係者など約250人が参加。輝くトロフィーを間近に見つめ、2年後に迫った大会に期待を膨らませた。

 

 歓迎セレモニーでは野田武則市長が「エリスカップが釜石にやってきた。W杯開催まであと2年。市民のさらなる盛り上げを」と呼び掛けた。

 

 日本代表としてW杯に3度出場した桜庭吉彦・釜石シーウェイブスゼネラルマネジャーは「優勝トロフィーをこんなに間近で見るのは自分も初めて」と感慨深げ。新日鉄釜石ラグビー部でスクラムを組み、ともに第1回W杯に出場した洞口孝治さん(1999年に他界)の名を挙げ、「きっと天国でほほ笑んでくれている」と思いを重ねた。

 

釜石で一般公開された「ウェブ・エリス・カップ」

釜石で一般公開された「ウェブ・エリス・カップ」

 

 集まったラグビー少年らは、トロフィーを囲んで次々に記念撮影。釜石中特設ラグビー部で活動する板澤亟瑛君(3年)は「W杯の優勝トロフィーがここにある。夢みたい」と興奮。11月に行われる県大会へ向け、「去年はベスト4だったが、今年は優勝したい」と決意を新たにした。

 

 トロフィーは純銀製で、高さ47・2センチ、重さ4・5キロ。ブドウの木などがデザインされ、歴代優勝チームの名が刻まれている。1823年、ラグビー校のウェブ・エリス少年がボールを手に持ち走り出した―という、ラグビーの起源とされる伝説にちなむ。

 

 W杯の会場となる全国12都市を9月20日から11月4日まで巡回。釜石には6日まで展示し、一般に公開された。7日には盛岡市のいわぎんスタジアムで開催されるW杯2年前イベントで展示する。

 

(復興釜石新聞 2017年10月7日発行 第628号より)

復興釜石新聞

復興釜石新聞(合同会社 釜石新聞社)

復興釜石新聞と連携し、各号紙面より数日の期間を設け記者のピックアップ記事を2〜3点掲載しています。

問い合わせ:0193-55-4713 〒026-0044 岩手県釜石市住吉町3-3

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ラグビートップチャレンジリーグ、釜石シーウェイブス3連敗〜TL昇格 早くも厳しく

前半3分、釜石WTB森山裕樹がゴール右隅に先制トライを決める

前半3分、釜石WTB森山裕樹がゴール右隅に先制トライを決める

 

 ラグビートップチャレンジ(TC)リーグ第3節の24日、地元釜石市球技場に九州電力(昨季トップキュウシュウ1位)を迎えて対戦した釜石シーウェイブス(SW)RFCは20―22(前半20―10)で惜しくも逆転負け。開幕から3連敗となり、トップリーグ(TL)昇格の最低条件である4位以内確保は難しくなった。釜石は前半、WTB森山裕樹の2トライなどで20―10と10点リードで折り返した。しかし、風下に回った後半7分、モールを押し込まれてトライを許し、22分にもトライを奪われ逆転された。終了間際に敵陣ゴール前まで攻め込んだが、あと一歩及ばなかった。次戦は10月7日、盛岡市のいわぎんスタジアムで日野自動車と対戦する。

 

 後半ロスタイムに入って2点差のビハインド。それまで防戦一方だった釜石はロックのステファン・ルイスが鬼気迫る形相で相手を引きずり、やっと敵陣ゴール前まで迫る。しかし、最後は相手にボールが渡って万事休す。ノーサイドの笛に釜石の選手はがっくりと膝を折り、しばらく立ち上がれなかった。

 

後半、鬼気迫る形相で突進するステファン・ルイス

後半、鬼気迫る形相で突進するステファン・ルイス

 

 釜石は前半3分、森山がタッチライン沿いをゴール右隅に飛び込み、鮮やかな先制トライで波に乗った。FW陣がスクラムで押し勝ち、14分には敵陣ゴール前でモールを押し込みルイスがトライ。その後2トライで追いつかれたが、36分にはFB村井佑太朗からボールを受けた森山がゴール中央まで運び、2つ目のトライ。約1300人で埋まったスタンドの「かーまいし」コールを背に折り返した。

 

 しかし風下に回った後半はFW戦で劣勢に立たされる。ロック菅原貴広が反則で一時退場。1人足りなくなったところを相手に突かれ、トライを献上。22分にはカウンターから相手FWに走り抜かれ、逆転を許した。

 

痛い逆転負けに、小村淳ヘッドコーチ(HC)は「チームで戦っていない。自分一人で戦っている。細かなミスが結果的に響いた。逆転された場面も、無理なパスからのノックオンが起点」と苦言。開幕からゲームキャプテンを務めるWTB小野航大は「地元で最後のゲーム。何とか勝ちたかったが、反則が多く、失点につながった」と反省。2トライと活躍したベテラン森山も「相手の展開が速く、付いていけなかった」と悔しさをにじませた。

 

開幕から3連敗で早くもTL昇格が難しくなったが、小村HCは「厳しいのは分かっていた。選手は1戦1戦成長している。これからは本当に負けられない試合が続く」と希望をつなぐ。

 

(復興釜石新聞 2017年9月27日発行 第625号より)

 

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Webb Ellis Cup

Webb Ellis Cup(ウェブ・エリス・カップ)の釜石市一般公開について

Webb Ellis Cup

 

ラグビーワールドカップの優勝トロフィーを広く市民に公開することにより、ラグビーワールドカップ2019釜石開催への市民の親近感・関心、今後の取り組みへの参画意識を図り、大会に向けた気運醸成を目的に、Webb Ellis Cup(ウェブ・エリス・カップ)一般公開を行います。

※ラグビーワールドカップ2019™ トロフィー・ロードショーとして12開催都市等国内を巡回しているもの。

 

一般公開期日

初 日…平成29年10月5日(木)17:30~20:00
<冒頭 ウェルカムセレモニーを実施(下記)>
2日目…平成29年10月6日(金) 9:00~12:00
その他…10/5~10/6は釜石市で公開しますが、10/7は盛岡市いわぎんスタジアムにてお披露目されます。

会場

釜石市鈴子町22-1 シープラザ釜石 2階「ラグビーカフェ釜石」

公開対象

市民・県民一般

ウェルカムセレモニーについて

一般公開を行うにあたり、次の内容でセレモニーを開催いたします。
日 時
平成29年10月5日(木)17:30~18:00 ※終了後、一般公開
会 場
釜石市鈴子町22-1 シープラザ釜石 2階「ラグビーカフェ」
主な内容
■ウェブ・エリス・カップの紹介
■除幕(下記各団体の代表者)
・市内小学生(釜石SWジュニア、鵜住居小・小佐野小のタグラグビーチーム)
・市内中学生(釜石中・甲子中・釜石東中の特設ラグビー部)
・市内高校生(釜石高、釜石商工高のラグビー部)
・ラグビーワールドカップ2019アンバサダー、釜石シーウェイブス選手
・RWC2019釜石開催支援連絡会 会長
・釜石市長  ※以上、予定
■記念撮影(除幕者)
■ラグビーワールドカップ2019アンバサダー ウェルカムトーク
(釜石シーウェイブスRFC GM 桜庭吉彦 様の講話) ほか

 

Webb Ellis Cup(ウェブ・エリス・カップ)とは

 
ラグビーワールドカップの優勝チームに贈られるトロフィー。純銀製で覆われたカップの持ち手には、ギリシャ神話のサテュロスとニンフの頭部が施され、ぶどうの木をモチーフにカップ全体が装飾されている。
カップの名前は、1823年ラグビー創始者と言われる英国のラグビー校というパブリックスクールの「ウィリアム・ウェブ・エリス」少年から由来。【高さ472㎜・重さ4.5kg(台座含)】
※歴代優勝チーム(ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ、イングランド)が刻印されている。

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 ラグビーワールドカップ2019推進室
〒026-0031 岩手県釜石市鈴子町22-1(シープラザ釜石内)
電話: 0193-27-8420 / Fax: 0193-22-6040 メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/shisei_joho/shokai/rugby_city/detail/1213093_3208.html
釜石市

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釜石市公式サイトと連携し、縁とらんすがピックアップした記事を掲載しています。記事の内容に関するお問い合わせは、各記事の担当窓口までお問い合わせください。
釜石東中生のエールを受け「東北ライド」に出発するスクラム釜石の石山次郎代表(右)ら=16日午前7時

スクラム東北ライド被災地走破〜今年は釜石から南相馬へ、ラグビーW杯盛り上げへ各地で交流

釜石東中生のエールを受け「東北ライド」に出発するスクラム釜石の石山次郎代表(右)ら=16日午前7時

釜石東中生のエールを受け「東北ライド」に出発するスクラム釜石の石山次郎代表(右)ら=16日午前7時

 

 2019年に釜石市で開催されるラグビーワールドカップ(W杯)を盛り上げようと、東日本大震災後から釜石の復興支援活動に取り組むNPO法人スクラム釜石(石山次郎代表)は今年も、東北沿岸の被災地を自転車で縦走する「スクラム東北ライド」を実施した。「出会おう世界! つなごう東北!」を合言葉に、3回目の今年は16日に釜石を出発。これまでとは逆コースで、18日まで3日間にわたり、ゴール地点の福島県南相馬市までを走り抜いた。

 

 ライドには、新日鉄釜石ラグビー部のメンバーとして日本一7連覇を達成した石山代表(60)と高橋博行事務局長(61)、「釜石ラグビー」をペンとカメラで追い続けるスポーツライターの大友信彦理事(55)=気仙沼市出身=ら4人が参加。16日は鵜住居町の釜石東中前で出発セレモニーが行われた。

 

 セレモニーには、この日、世界遺産の橋野鉄鉱山から学校まで24キロの踏破に挑む同校3年生や父母らも参加。石山代表は「ラグビーW杯が釜石で開かれるよう震災後からキャンペーンを展開し、願いがかなった。思い続ければ、きっとできる。みなさんもがんばって歩き通してほしい」と力強くエールを送った。生徒を代表して学年委員長の柏﨑一馬君(3年)が「僕たちも歩き切れるようがんばる。みなさんも無事目的地まで到着できるよう祈っています」と応えた。

 

 午前7時過ぎに出発した石山代表らはこの日、気仙沼市まで約90キロを走行。17日は台風18号が接近する中、同市で行われた「ツールド東北」に参加し、全国各地から集まったライダーと交流。ラグビーW杯釜石開催をアピールした。ラグビーW杯のキャンプ地誘致を目指す石巻市のラグビー関係者とも交流会を行った。

 

 石巻を出発した18日は台風接近で風雨が強まり、やむなく途中をトラックで移動した。昨年、一昨年のスタート地点だった南相馬の道の駅に無事到着。ライドコースの一部を走行した同市出身の歌手、渡瀬あつ子さんが日本ラグビー応援ソング「楕円の桜」を熱唱し、3日間に及ぶライドを締めくくった。

 

(復興釜石新聞 2017年9月20日発行 第623号より)

 

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釜石SW−三菱重工相模原 後半ロスタイム、CTB村田オスカロイドがトライを決め一矢報いる=釜石市球技場

ラグビーTCリーグ 釜石SW初戦黒星、三菱重工に7-19〜善戦も地力負け、終了間際 村田一矢報いる

釜石SW−三菱重工相模原 後半ロスタイム、CTB村田オスカロイドがトライを決め一矢報いる=釜石市球技場

釜石SW−三菱重工相模原 後半ロスタイム、CTB村田オスカロイドがトライを決め一矢報いる=釜石市球技場

 

 今季から新設されたラグビートップチャレンジ(TC)リーグが開幕。昨季トップイーストリーグ3位で、1年でのトップリーグ(TL)昇格を目指す釜石シーウェイブス(SW)RFCは10日、三菱重工相模原(昨季トップイースト1位)をホームグラウンドの釜石市球技場に迎えて対戦したが、7―19(前半0―12)で敗れ、黒星スタートとなった。釜石は前半、スクラムで互角に渡り合うなど善戦したものの、30分に先制トライを許し、ロスタイムにもトライを奪われる。後半はマイボールのラインアウトを奪われるなどミスが目立ち、終了間際にCTB村田オスカロイドのトライで一矢報いるにとどまった。釜石の次戦は17日、東京・秩父宮ラグビー場でホンダ(昨季TL16位)と対戦する。

 

 「フィジカル、外国人選手の状態など全ての面で相手の力が上だった。相手のミスをチャンスにできず、逆にこちらのミスを突かれた」と完敗を認めた釜石の小村淳ヘッドコーチ(HC)。悔しさをにじませながら試合展開を振り返るその表情には、思った以上に善戦した手ごたえが見て取れた。

 

 前半は半ば過ぎまで、ほぼ互角に渡り合った。スクラムで押し負けず、モールを押し込み何度か敵ゴールまで迫る場面もあった。

 

 しかし、ラインアウトのミスや反則でなかなかトライまで持って行けず、歯がゆい展開が続く。逆にモールを押し込まれ、先制トライを献上。前半ロスタイムには自陣ゴール前でラックを連取され、サイドを突かれて失点。後半14分にも右サイドを突破され、独走トライを許した。

 

 0―19と勝利が絶望的となる中、釜石はロスタイムに最後の意地を見せる。途中から出場したWTB森山裕樹からFBジョー・ピーターセンへとボールが渡り、これをつないだ村田オがゴール中央まで回り込んでダイビングトライ。「まさか…(ボールは)来ないと思っていた。次につながるトライ。サイコー」と叫んだ。

 

ゴールに向かって突進するFBジョー・ピーターセン

ゴールに向かって突進するFBジョー・ピーターセン

 

 「村田は流れを変える力を見せてくれた。最後まであきらめない姿は次の試合につながる」と小村HC。スタンドを埋めた約1800人の「かまいしコール」を背に、「熱い声援をプレッシャーと感じず、今後のいい形につなげていきたい」と応えた。

 

 けがで欠場した須田康夫主将に代わってゲームキャプテンを務めたWTB小野航大は「そんなに悲観的ではない。ディフェンスは思い切りできた。通用した部分もある」と前を向いた。

 

 トップリーグ昇格につながる新設リーグの初戦。釜石市球技場には市民らサポーター約1800人が訪れ、奮闘する釜石SWに「かーまいし!」と熱い声援を送った。釜石応援団もシンボルの大漁旗を打ち振り選手の背中を押したが、残念ながら初戦は勝利で飾れなかった。

 

 大漁旗を振り、選手に力を送るSW釜石応援団

大漁旗を振り、選手に力を送るSW釜石応援団

 

 転勤で上中島町に住む公務員、八重樫祐一さん(51)は妻、2人の子どもと家族そろって応援。「ちょっと押され気味だけど、FWがもっとがんばれば行ける」と力を送った。

 

 高校(黒沢尻北)時代にはラグビー部に所属し、フランカーとしてプレー。釜石でSWの試合がある時は家族で足を運ぶという。「地元と一体のチーム。まちで選手を見かけることも多い。これからも応援しますよ」と八重樫さん。

 

 FWで先発フル出場した木村優太選手と同じ職場という千鳥町の八幡松雄さん(70)は、SWサポーターのタオルを首に掛け、木村選手の奮闘を息子のように見守った。

 

 職場の昼休みには、木村選手の練習相手に駆り出され、パス交換をすることも。「ともかくまじめなヤツ。きょうは残念ながら負けてしまったが、TL昇格まで応援し続けるよ」と八幡さん。

 

(復興釜石新聞 2017年9月13日発行 第621号より)

 

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釜石駅前に立ち、TCリーグ開幕をPRする「V7戦士」の坂下功正さん(左)ら新日鉄釜石ラグビー部OB

「鉄人伝承」トップリーグ昇格応援〜ラグビーV7ら、釜石シーウェイブスの挑戦後押し

 釜石駅前に立ち、TCリーグ開幕をPRする「V7戦士」の坂下功正さん(左)ら新日鉄釜石ラグビー部OB

釜石駅前に立ち、TCリーグ開幕をPRする「V7戦士」の坂下功正さん(左)ら新日鉄釜石ラグビー部OB

 

 今月10日にラグビートップチャレンジ(TC)リーグの初戦を地元で迎える釜石シーウェイブス(SW)RFCを応援しようと、新日鉄釜石ラグビー部のOB有志が2日から釜石駅前で街頭宣伝活動を始めた。ラグビー日本一7連覇に輝く「V7戦士」らが先頭になり、釜石に住むOB約30人がSWのトップリーグ(TL)昇格を力強く後押し。開幕戦がある10日まで連日街頭に立ち、当日は2千人の観客動員を目指す。

 

 同部OBを中心に活動するNPO法人スクラム釜石(石山次郎代表)が協力し、初日は黄金期のスクラムハーフ(SH)として活躍した坂下功正さん(58)ら9人が参加。釜石駅前の国道283号をはさみ、道行く車に「一人でも多く足を運び、SWを応援しよう。みなさんの声援が力になります」と呼び掛けた。

 

 釜石ラグビー部のOBが、こうした形で街頭宣伝に取り組むのは初めて。現在はSWのアドバイザーを務める坂下さんは赤いジャージーを着て街頭に立ち、「相手は強いが、勝ってほしいし、勝てるぐらいの力は付いてきている。100%の力を出し切れば、きっと勝てる」とSWの初戦勝利に期待を込める。

 

 同部の初代主将で地元OB会の会長を務める三浦達夫さん(82)は「新リーグ開幕に合わせ、〝ラグビーのまち釜石〟を広く全国に知ってもらおうと赤いジャージーを取り出した。2年後には釜石でラグビーW杯もある。SWの躍進で市民にもっとラグビーの魅力を知ってもらいたい」と先頭に立つ。

 

 釜石SWのTCリーグ初戦は10日午後3時から、甲子町松倉の市球技場に三菱重工相模原を迎え撃つ。

 

(復興釜石新聞 2017年9月6日発行 第619号より)

 

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復興事業で完成した根浜の高台造成地をバックに繰り広げられるバイクレース

復興後押しトライアスロン、根浜に195人集う〜昨年の岩手国体を弾みに

海岸に打ち寄せる波を越えスイムに挑む選手ら=午前8時

海岸に打ち寄せる波を越えスイムに挑む選手ら=午前8時

 

 第23回釜石はまゆりトライアスロン国際大会(同実行委主催)は3日、釜石市鵜住居町の根浜海岸特設会場を発着点に開かれた。同大会は東日本大震災で中断を余儀なくされたが、関係者の熱意でいち早く復活への取り組みに着手。震災から3年後の2014年には競技全3種目の復活大会にこぎつけ、昨年の希望郷いわて国体同競技の釜石開催を成功に導いた。2年ぶりの今大会は、震災前と同じ総距離51・5キロで実施。全国から集まったアスリートに復興の進展を印象づけた。

 

 北海道から佐賀県まで195人がエントリー。51・5キロ(スイム1・5キロ、バイク40キロ、ラン10キロ)を個人で競うスタンダードに151人、2~3人で3種目を分担するリレーに8チーム23人、各種目半分の距離で競うスプリント(総距離25・75キロ)に21人が出場した。スプリントは同大会初の試み。

 

 午前8時、スイム(水泳)からスタート。三陸沖を通過した台風15号の影響で高波が押し寄せ、水温も17度(午前6時現在)と低めだったため、不安な人は事前にバイク(自転車)からのスタートに切り換える措置も講じられた。バイクは根浜から箱崎町を折り返し、橋野町を経由して根浜に戻るコース。橋野町を折り返すコースは震災後初めてで、沿道の地域住民らが熱い声援を送り大会を盛り上げた。ラン(長距離走)は根浜―箱崎間を周回した。

 

復興事業で完成した根浜の高台造成地をバックに繰り広げられるバイクレース

復興事業で完成した根浜の高台造成地をバックに繰り広げられるバイクレース

 

 注目を集めたのは、08年の北京五輪で5位入賞を果たした井出樹里さん(34)=神奈川県=。男子選手とスタンダード上位争いを繰り広げ、女子トップでゴール(2時間11分14秒)後は、ゴール地点で後続の選手を出迎えた。井出さんは「トライアスロンが大好きな人たちと一緒に、この地で大会ができたことは自分にとってもプラスで、ありがたい経験。大会の雰囲気も温かい。ぜひ、また来たい」と声を弾ませた。

 

ゴール後、充実の笑顔を輝かせる井出樹里さんと小林会長

ゴール後、充実の笑顔を輝かせる井出樹里さんと小林会長

 

 男子スタンダード1位(2時間02分12秒)に輝いたのは、大船渡市出身で昨年の国体に本県代表として出場した寺澤光介さん(23)=東京都=。高校1年の時に初めて挑んだのが同大会で、震災後も出場を続ける。「国体では思うような結果が出せなかった。今年はそのリベンジも込め全力で臨んだ。今後は東京とその次の五輪を見据え、海外レースでも経験を積みたい」とさらなる飛躍を誓った。

 

トリーズさん、12年ぶりエントリー

 

 リレーの部には、国際大会の冠が付いた第3回大会から出場し、同大会の発展に大きく貢献してきたトリーズ・マイケルさん(55)=東京都=が、妻りえ子さん(40)、競技仲間の丹内心悟さん(39)=愛知県=とチームを組んで出場。トリーズさんらは震災後、「Tri4Japan」の名で、被災地支援活動を展開し、毎年釜石を訪れている。

 

 05年以来の出場となったトリーズさんは「天気も良くて楽しかった。痛めている腰が治ったら、3種目フルで出たい」、2年ぶりの出場となったりえ子さんは「ビーチや緑地広場が戻って本当に良かった。沿道の皆さんの笑顔も温かくて、やっぱり釜石っていいな」と大会復活を喜び、「震災前のような完全な形になるまで、応援を続けたい」と夫婦で〝釜石愛〟をにじませた。

 

トリーズさん、12年ぶりエントリー

手を取り合ってゴールしたトリーズさん夫妻と丹内心悟さん(右)

 

 大会総括責任者の釜石トライアスロン協会、小林格也会長は「台風の影響も最小限で、無事終えられた。今年は初心者が参加しやすいようスプリントも設けたが、今後は子どもたちにもトライアスロンの面白さを知ってもらい、底辺拡大につなげたい。今年から始まったオープンウォータースイミングとともに根浜を拠点としたスポーツ振興にもつなげられれば」と意欲を見せた。

 

(復興釜石新聞 2017年8月6日発行 第619号より)

 

復興釜石新聞

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《インタビュー》釜石シーウェイブスRFC 桜庭吉彦GM

《インタビュー》釜石シーウェイブスRFC 桜庭吉彦GM【9/10 釜石SW開幕戦@松倉】

《インタビュー》釜石シーウェイブスRFC 桜庭吉彦GM

 

今季から新設された社会人ラグビーリーグ 3地域(関東・関西・九州)合同リーグ『ジャパンラグビートップチャレンジリーグ』に参戦する釜石シーウェイブスRFC。(以下釜石SW)

 

新リーグは、8チーム総当たりの1stステージの後、上位・下位4チームずつに分かれての2ndステージで最終順位が決定する。

 

【釜石シーウェイブス】鉄人伝承〜魂をつなぐ男たちの戦い ジャパンラグビートップチャレンジリーグ2017

【釜石シーウェイブス】鉄人伝承〜魂をつなぐ男たちの戦い ジャパンラグビートップチャレンジリーグ2017

リンク


 

リーグ設立にあたり、昨年の順位を単純に反映させた場合の釜石SWの順位は7位。ここからトップリーグ昇格を目指し新たなスタートを切ります。

 

縁とらんすでは、開幕を間近に控えたチームから、ゼネラルマネージャー(GM)の桜庭吉彦さんにお話を伺って来ました。

 

まずは、今季コーチングスタッフ体制が大きく変わって迎えた、ここまでのチーム作りについて

 

コーチングの面で言うと、まったく新しい事をするというよりは、今まで築いてきたものを活かしながら、改めて“勝つ”チームづくりを進めてきてもらっています。

 

ここまで、順調な点もそうではない点も色々ありましたが、開幕が迫った今、シーズンが楽しみだなと感じる段階までになってきています。

 

新リーグへの参戦が決まり、もしかしたら地元で試合が無いのでは・・・と心配していたのですが、釜石で試合(1stステージ内2試合)があり、ファンの一人としてホッとしています。

 

我々としても開幕を釜石で迎える事が出来て非常に嬉しく感じています。また、シーズン序盤に地元で比較的強いチームと対戦することをプラスにとらえています。地の利を活かし、地元の声援を力に変えて臨みたいです。

 

《インタビュー》釜石シーウェイブスRFC 桜庭吉彦GM

 

また、市内の色々な場所でたくさんの告知ポスターを目にしますね。

 

今年も、目を引く良いデザインのものを作っていただきました。まずは興味を持って頂き、試合があるという事を知って頂く事が第一歩だと思っています。

 

そして、そこから実際に会場に足を運んでいただけるよう市民の皆さんの近くに出向き、さらにPR活動していこうと考えています。

 

釜石シーウェイブス2017

 

最後に、これを読んで下さっている方々へメッセージをお願いします。

 

ラグビーに親しんで頂くこともそうですが、地元のチームが、関東や九州の大都市の強豪チームに立ち向かって行く姿を観て、何かを感じて頂ければと思っています。

 

「地元のチームが頑張っている」、そんな胸に響くような時間を共有して頂き、それが故郷に誇りを持ってもらえることに少しでも繋がってくれたら、これほど嬉しいことはありません。

 

皆さんの声援が選手の背中、スクラムを押す力になります。ぜひ会場で応援をよろしくお願いします。

 

釜石シーウェイブスRFC 桜庭吉彦GM

 

ジャパンラグビートップチャレンジリーグ2017

釜石市球技場でのホームゲームは9月に2試合行われます。
第1節 9月10日(日)15時キックオフ vs三菱重工相模原ダイナボアーズ 
第3節 9月24日(日)12時キックオフ vs九州電力キューデンヴォルテクス

また試合当日は、会場周辺で「にぎわいイベント」が行われます。こちらもぜひみんなで楽しみましょう!

 

釜石SW にぎわいイベント

 
 

チームの先頭に立ち、積極的に色々な場所へ顔を出している桜庭GM。地元のチームとして、市民の皆さんに親しみを持ってもらう為にどのような活動をして行くかを日々考えていらっしゃるそうです。

 

特に子供たちにラグビーの魅力を伝えることはもちろん、ラグビーを通じて地元愛を育んでもらえるような活動にさらに力を入れていきたいと話されていました。

 

また、桜庭さんおすすめの試合観戦のポイントを教えて下さいとお聞きした所、即答で「スクラムですね!スクラムを押しているかどうかを観て下さい」という答えが。ぜひスクラムに注目して試合観戦しましょう。

 

桜庭吉彦(さくらば・よしひこ) 
1966年、秋田県生まれ。身長192cm。 秋田工業高2年の時にラグビーを始める。3年時に全国高校ラグビー大会優勝。高校卒業後 新日本製鉄釜石製鐵所に入社、同ラグビー部入部。2006年現役引退。ポジションはロック。日本代表キャップ数43。ワールドカップに3回出場。そして、2019年ラグビーワールドカップアンバサダーも務めるラグビー界のレジェンド。

 

縁とらんす

かまいし情報ポータルサイト〜縁とらんす

縁とらんす編集部による記事です。

問い合わせ:0193-22-3607 〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-10 釜石情報交流センター内

7年ぶりに元気な顔をそろえたお盆野球大会の参加者ら

復活「お盆野球」に完成沸く〜鵜住居、箱崎、両石

7年ぶりに元気な顔をそろえたお盆野球大会の参加者ら

7年ぶりに元気な顔をそろえたお盆野球大会の参加者ら

 

 東日本大震災で被災した釜石市鵜住居町に野球仲間の歓声が7年ぶりに響き渡った。震災以降、中断されていた地域のお盆恒例行事「水野旗争奪お盆野球大会」が復活し、15日、釜石東中グラウンドで行われた。大会を待ち望んでいた地域住民らは、顔なじみの仲間と野球ができる喜びをかみしめ、復興への歩みをまた一歩推し進めた。

 

 鵜住居、箱崎、両石の3町から6チーム、約100人が参加。開会式で大里芳章実行委員長は「野球を普通にできることに感謝し、一日楽しんでほしい」とあいさつ。釜石東中3年の植田基希君が選手宣誓し、大会が幕を開けた。

 

 中学生以上を選手とし、地区ごとに結成した5チームと釜石東中チームが、トーナメント戦で優勝を競い合った=写真。この日は弱い雨が断続的に降るあいにくの天候となったが、復活大会にふさわしい熱戦が続き、選手も観客も明るい笑顔が光った。

 

 同大会は戦後の青少年健全育成を目的に始まった。お盆中に行われることで帰省者らも多く参加し、旧交を温め合う場になっていたが、2011年の震災で会場としていた東中が被災。大会休止を余儀なくされた。今年4月、高台に新校舎が完成し、グラウンド環境も整ったことから、大会復活への声が高まり、震災後初の大会が実現した。

 

 今大会では被災の大きかった鵜住居町中心部の地区(上、仲、川原、新川原)が「全川原」として合同チームを結成。各地に散らばる約20人が顔をそろえた。町内の仮設住宅に暮らす佐々木実さん(53)は震災前、新川原チームで参加。「和気あいあいの大会は見るのもやるのもよし。復活が待ち遠しかった。本当にうれしい」と感慨深げ。仲地区に実家があった佐藤圭さん(37)は千葉県から帰省し、「震災以降、会っていない人も多い。みんなに声を掛けられ、懐かしくて。母校の校舎も立派に再建され驚いた」と、古里が復興に向かう姿を目に焼き付けた。

 

 「伝統ある大会を無くしてはならない」「地域コミュニティー再生にも大会は必要」―。地元への愛着と復興への思いから、再スタートを切った同大会。大里実行委員長(48)は「人が集まるのはいいこと。毎年継続し、少しでも地域を盛り上げていきたい」と意を強くした。

 

復活「お盆野球」に完成沸く〜鵜住居、箱崎、両石

 

 結果は次の通り。
▽1回戦
日  向3―2中学生
箱  崎5―2両 石
▽2回戦
全川原5―1日 向
白  浜6―3箱 崎
▽決勝
全川原6―0白 浜
▽最優秀選手=佐々木重聡(全川原)
▽優秀選手=佐々木航太(白浜)

 

 【水野旗争奪お盆野球大会】
1947(昭和22)年、鵜住居村(当時)に水野医院を開業した水野勇医師が、戦後の荒廃した青少年の生活態度に心を痛め、地区対抗の野球大会を提案したのが始まり。48年に第1回大会が開かれ、55年に水野医師が寄贈した優勝旗が今に受け継がれる。

 

 最盛期の昭和40年代には根浜、川目、外山、片岸、室浜、水海のチームも名を連ね、14チームが3日間の熱戦を繰り広げた年も。震災による中断を経て復活した2017年大会は64回目となった。

 

 95年に水野医師が逝去(享年82)後は、妻の綾子さん、娘の幸子さん(仙台市在住)が遺志を継ぎ、大会支援を継続。復活大会にも協賛金が寄せられた。

 

(復興釜石新聞 2017年8月19日発行 第614号より)

 

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復興釜石新聞と連携し、各号紙面より数日の期間を設け記者のピックアップ記事を2〜3点掲載しています。

問い合わせ:0193-55-4713 〒026-0044 岩手県釜石市住吉町3-3

力強い土俵入りで観客を沸かせた稀勢の里関。右隣は露払いを務めた岩手出身の錦木関

復興願う横綱土俵入り、堂々の四股 被災地に力〜鵜住居で披露、市内から1千人「よいしょ」と掛け声

力強い土俵入りで観客を沸かせた稀勢の里関。右隣は露払いを務めた岩手出身の錦木関

力強い土俵入りで観客を沸かせた稀勢の里関。右隣は露払いを務めた岩手出身の錦木関

 

 東日本大震災の被災地復興を願う「横綱土俵入り」(日本相撲協会主催)が14日、釜石市の鵜住居小・釜石東中で行われた。現在4人いる横綱のうち稀勢の里(第72代)、日馬富士(第70代)の両横綱が来釜。復興途上の鵜住居の地に希望を与える力強い土俵入りを見せ、市内外から集まった約1千人の胸を躍らせた。

 

 会場は当初、同小・中のグラウンドを予定していたが、雨の影響で体育館に移して開催。横綱を含む幕内力士6人のほか、行司や呼び出しなど総勢約50人が訪れ、観客から熱烈な歓迎を受けた。全員で震災犠牲者に黙とうした後、両横綱が献花。巡業副部長の玉ノ井親方から野田武則釜石市長に記念品が贈られた。

 

 やぐら太鼓の3種の打ち分け、相撲甚句が披露され、いよいよ横綱の土俵入り。露払い、太刀持ちの力士らとステージに上がり、日馬富士は「不知火(しらぬい)型」、稀勢の里は「雲龍(うんりゅう)型」の土俵入りを見せた。かしわ手を打ち、四股を踏む横綱に観客から「よいしょ」の掛け声が飛び、その雄姿にたくさんのカメラが向けられた。

 

大勢の観客に迎えられ花道を進む日馬富士関ら

大勢の観客に迎えられ花道を進む日馬富士関ら

 

 鵜住居町の藤原正敏さん(72)は初めて生で見る土俵入りに「最高。やっぱり元気が出るね。相撲はテレビでよく見ていて稀勢の里のファン。けがを心配していたが元気そう。これからも応援したい」と大感激。同町の実家に仙台市から帰省中の手塚温美さん(29)は幼い子ども2人と来場。「(横綱は)すごく大きくて、かっこいいですね。被災地のために来てくれるのはありがたい。みんなうれしいと思う」と古里にもらった力に感謝した。

 

被災地に力を与えた両横綱ら日本相撲協会の一行

被災地に力を与えた両横綱ら日本相撲協会の一行

 

 被災地での復興横綱土俵入りは7年連続で行われ、本県では2011年6月(山田町、大槌町、大船渡市、陸前高田市)、12年8月(宮古市)以来。今年1月、日本人としては19年ぶりの横綱となった稀勢の里関は、昇進後初めての被災地での土俵入りに「温かい声援をいただき、もっと頑張らねばという気持ちになった。見えないところで苦しんでいる人もまだまだいると思う。少しでも力になりたい」とさらなる精進を誓った。日馬富士関は「相撲を通じて皆さんに喜びと力を与えられたらと思い、心を込めて土俵入りをさせていただいた。少しずつ復活しているまちがこれから発展していくことを願う」と思いを込めた。

 

 盛岡市出身の前頭、錦木関は稀勢の里関の露払いを務め、観客から大きな声援を受けた。「すごく光栄なこと。いろいろな人に自分を知っていただき、ありがたい」と、地元県民の期待をしっかりと受け止めた。

 

 一行は土俵入り披露に先立ち、釜石駅前の復興の鐘と鵜住居町の鵜住神社を訪れ、鎮魂と復興への祈りをささげた。

 

(復興釜石新聞 2017年8月19日発行 第614号より)

 

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水しぶきをあげ元気にスタートを切る5キロの出場選手

根浜に熱気、声援再び〜オープンウォータースイミング、国体の遺産継承

水しぶきをあげ元気にスタートを切る5キロの出場選手

水しぶきをあげ元気にスタートを切る5キロの出場選手

 

 「第1回釜石オープンウォータースイミング(OWS)2017根浜」(同実行委主催)は6日、釜石市鵜住居町の根浜海岸特設会場で開かれた。自然水域での長距離泳でタイムを競うOWSは、昨年のいわて国体で初めて正式競技として採用され、会場となった根浜に震災復興への大きな力をもたらした。国体のレガシー(遺産)を継承し、地元主導で立ち上げた今年の大会には、全国から175人が集結。同競技の普及・発展と地域振興へ新たな歴史が刻まれた。

 

 競技は小学4年生以上を対象に、500メートル、1キロ、3キロ、5キロの種目で実施。海上に設置したブイを周回するコースで行われた。この日は、あいにくの曇り空で気温26度、水温22度。低い水温と次第に出てきた風や波で、大会経験者でも厳しいレースとなったが、各選手はベストを尽くし、完泳後は充実の表情を見せた。

 

 500メートルに出場した菊池一朗君(甲子小5年)、藤原悠希君(釜石小同)は、市営プールで練習するチャレンジSTに所属。初めてのOWSに「海底が見えなくて怖かった。疲れた」と口をそろえたが、菊池君は「満足いく結果だった」、藤原君は「これからも参加したい」と競技への興味をのぞかせた。

 

関係者に見送られ競技に向かう500メートル出場の小学生

関係者に見送られ競技に向かう500メートル出場の小学生

 

 釜石高水泳部からは1キロに8選手が出場。部員らは大会運営の補助員としても活躍した。

 

 男子の高校生~29歳で2位に入った小笠原悠記君(2年)は「1位との差が1分半ぐらいあり、もう少し頑張りたいところ。機会があればまた挑戦したい。海での大会は復興の進展を感じさせる」と大会を歓迎。田中凛さん(2年)は「ブイに向かって真っすぐ泳ぐのが難しい」とプールとの大きな違いを実感。「地元の大会は地域の人たちが見に来るし、他県からも多くの人が集まる。続ければ復興の後押しにもなると思う」と話した。

 

競技と運営に活躍した釜石高水泳部

競技と運営に活躍した釜石高水泳部

 

 大会は、今年のえひめ国体に出場する岩手県選手の選考会も兼ねた。2年連続の代表を目指す男子の桑添陸さん(18)=新潟医療福祉大=は、5キロ総合で愛媛県代表選手に次ぐ2位に入り、予想通りの実力を見せた。代表選手(男女各1)は県水泳連盟により後日、正式決定する。

 

 愛媛代表の松村脩平さん(22)=松山市文化・スポーツ振興財団=は、いわて国体にも出場。「昨年、お世話になったこの地に恩返ししたい気持ちと国体前の最終調整として参加した。愛媛も国体に向け盛り上がっている。県民の期待に応えられるよう頑張りたい」と気を引き締めた。

 

 女子5キロには、昨年のリオデジャネイロ五輪日本代表で、いわて国体優勝者の貴田裕美さん(32)=コナミスポーツクラブ=が出場。五輪選手の本領を発揮し優勝した。プレ国体から3回目の釜石大会となった貴田さんは「地元の皆さんが一生懸命運営してくれて、すごく温かい大会」と評価。「OWSは東京五輪の種目にもなり、日本の若い選手も世界で活躍できるようになってきた。競技をもっと身近に感じ、たくさんの人に見てもらえるようになれば」と期待を寄せた。

 

 同実行委は、この大会を日本水泳連盟の認定大会にすることを目標に掲げる。日水連OWS副委員長の大貫映子さん(56)は「ライフセービングクラブなどの協力で安全面もしっかりしており、大会運営もスムーズにできていた」と講評。実行委事務局の西原義勝・県水連OWS委員長(釜石水泳協会会長)は「認定大会になれば、有名選手も来てくれる。市民レベルの大会要素と両立させ、さらなる競技の周知を図りたい。OWSの大規模な大会は東北では釜石だけなので、北の大会として発信力を高めていければ」と意欲を見せた。

 

(復興釜石新聞 2017年8月12日発行 第613号より)

 

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風を受けて進むヨットの面白さを体験した教室

風切るヨット 子どもら笑顔、被災の根浜に歓声響く〜震災後初の体験教室

風を受けて進むヨットの面白さを体験した教室

風を受けて進むヨットの面白さを体験した教室

 

 釜石市鵜住居町根浜を拠点に活動する釜石ヨットクラブ(三浦勝会長)は7月30日、子どもから大人まで一般の人たちを対象としたヨット教室を開いた。同教室は2008年から始めたが、11年に発生した震災の影響で、休止が続いていた。7年ぶりの復活に関係者の喜びもひとしお。甚大な津波被害から昨年、復旧にこぎつけたフィッシャリーナ周辺に子どもたちの明るい笑顔が戻ってきた。

 

 教室には市内の小・中学生と県内外の大学生ら12人が参加した。風で動くヨットの原理など基礎知識を学んだ後、4艇で大槌湾内に出艇。参加者はクラブメンバーと2人1組になり、大海原でのヨット操縦を体験した。

 

 この日は午前9時から10時台は風が弱く、ヨットを走らせるのに苦労したが、11時を過ぎてから良好な風が吹き始めた。午後には青空ものぞき、夏らしいマリンスポーツ日和に。参加者は復興が進む根浜、片岸地区の海からの景色を目に焼き付けながら、ヨットの醍醐味(だいごみ)を味わった。

 

 山﨑成美さん(鵜住居小6年)は「ヨットは意外とスピードが出た。風向きによって(帆がうまく風を捉えられるよう)方向転換するのが大変だったけど、楽しかった。また乗ってみたい」と目を輝かせた。

 

 長野大の4年生で、箱崎町の実家に帰省中の小林啓太さん(21)は「海の素晴らしさを肌で感じ、自然と一体になる感覚が最高」と初めてのヨット走行を満喫。震災時は釜石東中の3年生で、根浜の惨状も目の当たりにした。「完全復興にはまだまだ時間がかかるだろうが、防潮堤が整い、海のレジャー客もちらほらと見え始めている。前のようなにぎわいが復活してほしい」と思いを込めた。

 

 同教室は昨年の岩手国体を見据え、選手候補となるジュニアを育成しようと始められたが、3年続けたところで震災が発生。所有するヨットが流され、クラブの活動自体も存続が危ぶまれたが、各地の仲間の支援で活動を再開し、今年は念願だった本格的な体験教室を実現させた。

 

 「当初、子どもたちが集まるか心配もあったが、予想以上に反響があった」と手応えを実感する三浦会長。「クラブのメンバーが年を重ねていく中で、釜石のヨット活動継続には小・中学生など若い世代に『ヨットをやりたい』と思ってもらえるような取り組みが必要。県民大会などに出場できる選手も育てたい。教室も年に2、3回開催できれば」と、若手への競技普及に意欲を見せた。

 

(復興釜石新聞 2017年8月2日発行 第610号より)

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