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めざせ東京パラリンピック〜“わたしの夢”応援プロジェクト”、乙武さんとエール交換

めざせ東京パラリンピック〜“わたしの夢”応援プロジェクト”、乙武さんとエール交換

トークを繰り広げた乙武洋匡さん、斎藤由希子さん、萩野真世さん、村田奈々さん(左から)

トークを繰り広げた乙武洋匡さん、斎藤由希子さん、萩野真世さん、村田奈々さん(左から)

 

 「輝け!!未来へ!!東北のパラの星」と題したトークイベントが14日、釜石市の釜石東中体育館で開かれた。一般社団法人チームスマイル(東京都)が行う東日本大震災復興支援活動「“わたしの夢”応援プロジェクト」の一環で、同法人と釜石まちづくり会社が主催。「五体不満足」がベストセラーとなった作家の乙武洋匡さんが、来年の東京パラリンピック出場を目指す東北出身の女子アスリートらに話を聞いた。

 

 宮城県気仙沼市出身で、陸上の世界大会投てき3種目で優勝実績のある斎藤由希子さん(SMBC日興証券)、同仙台市出身で、車いすバスケットボール女子日本代表として国際大会に出場している萩野真世さん(アビームコンサルティング)、釜石市在住で、国内水泳大会で多数優勝している村田奈々さん(釜石市役所)がゲスト。

 

 観客約50人を前に各競技のデモンストレーションを実施。希望者が砲丸投げや車いすバスケを体験し、障害者スポーツへの理解を深めた。トークでは、競技を始めたきっかけや競技生活を送る上での苦労、ルールや見所などを語った。

 

 萩野さんは、障害の度合いによる選手の持ち点の合計が5人で14点以下になるようにチーム編成する車いすバスケの特徴的ルールを紹介。現在、国内大会は男女混合、国際大会は男女別で戦っており、各チームでの役割の違いに「いろいろな目線、状況に応じた対応力が養われる」とメリットを示した。

 

 左腕の肘から先が義手の斎藤さんは、中学の陸上部で健常者と共に競技を始め、東北大会で活躍。高校から障害者の大会にも出場し、大学生の時に日本記録をマークしたが、ライバルのいない大会に物足りなさを感じることも。「健常者と一緒の大会で、もっと上を目指していけば、いつか障害者の世界でトップに立てる」とパラリンピックを目指す決意を固めたという。

 

 高校時代に下肢機能障害を負った村田さんは20代前半から本格的に水泳に挑戦。現在、11歳の娘を育てながら競技を続ける。「娘は時に励まし、時に厳しい言葉をくれる頼もしいコーチ。遠征が続くと寂しい思いをさせてしまうが、できるだけ2人の時間は作るようにしている」。災害時に離れている場合は「お互いを信じて行動する」ことも確認し合っているという。

 

 来年の東京パラに、斎藤さんはやり投げでの出場を、萩野さんは女子日本代表12人に選ばれることを目指している。「今日のイベントが競技場に足を運ぶきっかけになれば。パラは知れば知るほど面白い。興味を持って見ていただけたら」、村田さんは「身近にパラ選手がいることを知ってもらえた。東京パラの盛り上がりが終息しないよう、私たち選手もさらに頑張っていきたい」とし、応援を呼び掛けた。

 

 先天性四肢欠損の乙武さんは、最新鋭の技術を搭載したロボット義足で、1年半前から歩く練習を重ねていることを明かした。「できない、足りないことを嘆くのではなく、できることで頑張っている3人から学ぶ点は多い。釜石はワールドカップで、ラグビーという強みが一段と強化された。釜石だからこそできることで、地域を盛り上げていただけたら」と期待した。

 

(復興釜石新聞 2019年12月18日発行 第851号より)

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復興釜石新聞と連携し、各号紙面より数日の期間を設け記者のピックアップ記事を2〜3点掲載しています。

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新しい体育館で熱い試合を見せたビッグブルズ(赤)

釜石市民体育館 こけら落とし、岩手ビッグブルズ 勝利で飾る〜釜石出身 澤口選手 貢献、今季初の10連勝に沸く

新しい体育館で熱い試合を見せたビッグブルズ(赤)

新しい体育館で熱い試合を見せたビッグブルズ(赤)

 

 1日に一般利用を開始した釜石市鵜住居町の市民体育館で14、15の両日、“こけら落とし”となる日本プロバスケットボール男子Bリーグ3部(B3)の公式試合が行われた。盛岡市に拠点を置く「岩手ビッグブルズ」のホームゲームで、石川県の金沢武士団(かなざわサムライズ)を相手に2連勝。津波被災地に新設された新たなスポーツ拠点のオープンを鮮やかな勝利で飾り、チームも今季初の10連勝に沸いた。

 

 14日は午後2時の試合開始を前に、釜石商工高虎舞委員会がオープニングパフォーマンス。野田武則釜石市長が歓迎のあいさつをした。会場には常設の2階観客席のほか、コートを囲む1階席も設けられ、市内外から訪れた1117人が観戦を楽しんだ。

 

 試合は3点シュートや速攻、リバウンドなどで着実に得点を重ねるブルズが終始リード。地元ファンの熱い声援も後押しし、今季最高の108得点で金沢(68点)を下した。

 

 試合ではブルズの専属チアが多彩なパフォーマンスを披露。ハーフタイムにはラグビーの釜石シーウェイブスRFCの選手らが、ラインアウトやタックルのプレー体験で子どもらを喜ばせた。

 

ハーフタイムに行われたラグビー体験も人気

ハーフタイムに行われたラグビー体験も人気

 

 平田ミニバス少年団の団員はゴール近くの1階席で観戦。阿部愛華さん、山﨑玲來さん、田畑愛羽さん(いずれも平田小5年)は「テレビと違い、生で見るダンク(シュート)は迫力満点。こんな近くで観戦したのは初めて。自分たちもここで試合をやってみたい」と大喜び。

 

 虎舞を披露した植田麗緒奈さん(釜石商工高1年)は「こけら落としに参加できてうれしい。バスケ部なので、プロの試合は一つ一つのプレーが勉強になる」と感激。新しい体育館の完成に「自分たちもスポーツで釜石を盛り上げられたらいいな」と話した。

 

 遠野市の多田剛さん(31)は家族で観戦。「明るくてきれいな体育館。先週、息子がここでバスケの試合をする予定だったが、インフルエンザの流行でお預けとなった」。息子の蒼人君(宮守小5年)は、ブルズが開く週1回のバスケスクールに通っていて、教わっている澤口誠選手(釜石市出身)は憧れの存在。「今日は100点超えですごかった。僕も澤口選手みたいに点を取れるようになりたい」と目標を掲げた。

 

果敢なプレーで観客を沸かせた澤口誠選手。釜石市民も大興奮

果敢なプレーで観客を沸かせた澤口誠選手。釜石市民も大興奮

 

 震災があった2011年にプロリーグ入りしたブルズは、試合やボランティア活動で被災者に力を与えてきた。今回の試合も選手それぞれが特別な思いを持って臨んだ。

 

 澤口選手(28)は地元釜石での試合は中学校以来。同級生には震災で家を失った友人もいる。甚大な被害があったこの場所で試合をし、勝利を届けられたことに「地元の人たちも勇気づけられたのではないか。スポーツできる環境がやっと整った。プロ選手を呼んだり、どんどんスポーツに関わってほしい」と願った。

 

 ブルズは次節(21、22日)、所沢市民体育館で埼玉ブロンコスと対戦する。

 

(復興釜石新聞 2019年12月18日発行 第851号より)

 

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スポーツ拠点として幅広い活用に期待が高まる市民体育館

震災復興事業最後の施設、スポーツ新拠点オープン〜鵜住居に市民体育館、14・15日にBリーグ公式試合

スポーツ拠点として幅広い活用に期待が高まる市民体育館

スポーツ拠点として幅広い活用に期待が高まる市民体育館

 

 東日本大震災で被災し、釜石市が鵜住居町に再整備を進めた市民体育館は1日、オープンした。市の震災復興事業としては最後となる公共施設。ラグビーワールドカップ(W杯)の試合会場となったスタジアムとともに新たなスポーツ拠点、イベントなど幅広い活用に期待が高まる。

 

イベントなど幅広い活用に期待

 

 桜木町にあった旧体育館は震災の地震で天井を支える鉄骨部分が壊れるなど被害を受けたのに加え、旧耐震基準で建てられていたこともあり、2013年に解体。鵜住居地区での再整備を決め、昨年7月に着工。新体育館は工期の変更や事業費の増額などもあったが、今年9月に完成した。W杯ではボランティアの休憩所として活用された。

 

鵜住居駅前地区に整備された「うのすまい・トモス」。市民体育館(奥)の開館で復旧が完了した

鵜住居駅前地区に整備された「うのすまい・トモス」。市民体育館(奥)の開館で復旧が完了した

 

 新しい体育館は鵜住居駅西側の敷地に建設された。鉄骨一部鉄筋コンクリート造り2階建てで、延べ床面積は約3550平方メートル。観客席は車いす用6席を含む776席を設けた。多機能トイレやエレベーター、赤ちゃん休憩室を備えるなどバリアフリーに配慮。空調(冷暖房)も備えた。事業費は約24億7千万円。

 

 セレモニーには関係者約40人が出席した。野田武則市長は「鵜住居地区は海、山、川を融合した拠点になり得る。スポーツや観光の拠点として活用してほしい」とあいさつ。テープカットでオープンを祝った。

 

関係者がテープカットしてオープンを祝った

関係者がテープカットしてオープンを祝った

 

 この日は、市民に無料開放。バスケットボール男子Bリーグ3部(B3)岩手ビッグブルズ選手との交流などが行われた。

 

 用意された卓球台で初プレーを楽しんだのは、鵜住居町の両川キヨさん(74)、片岸町の川崎寿子さん(78)。「最高。卓球台が16台あると聞いた。大会ができる」と口をそろえた。

 

思い思いにスポーツを楽しむ市民ら

思い思いにスポーツを楽しむ市民ら

 

 市スポーツ推進委員協議会はニュースポーツ体験を提供。吉田千秋会長(69)は「思いっ切りいろんな取り組みができ、活動の幅が広がる。忙しくなりそう」と笑みをこぼした。

 

 市体育協会の菊池達男理事長(79)は「スポーツを通じ希望が持てる施設であってほしい。釜石のスポーツが発展するよう大いに活用したい」と期待した。

 

 「こけら落とし」として、14、15日に岩手ビッグブルズの公式試合が行われる。

 

(復興釜石新聞 2019年12月4日発行 第847号より)

関連情報 by 縁とらんす
釜石市民体育館 – 釜石市
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後半11分、釜石はモーガン・ミッチェルが中央にトライを決め、追い上げる=釜石鵜住居復興スタジアム

釜石シーウェイブス、九州電力に19―26〜FW戦で圧倒するも… 猛追も及ばず

後半11分、釜石はモーガン・ミッチェルが中央にトライを決め、追い上げる=釜石鵜住居復興スタジアム

後半11分、釜石はモーガン・ミッチェルが中央にトライを決め、追い上げる=釜石鵜住居復興スタジアム

 

 ラグビー・トップチャレンジ(TC)リーグの釜石シーウェイブス(SW)RFCは23日、釜石鵜住居復興スタジアムに九州電力を迎えて対戦し、19―26(前半7―19)で競り負けた。新加入のロック、マイケル・フィッツジェラルドのトライで先制したものの、その後は4トライ(3ゴール)を許して逆転された。その後2トライを奪い、試合終了間際に追い付く好機を迎えたが、相手ゴールを目の前にしたモールでミス。悔しいノーサイドとなった。釜石は7点差以内の敗戦で勝ち点1を獲得。2試合を終え、1分け1敗の勝ち点3で7位。

 

 釜石は前半19分、フィッツジェラルドのトライで先制するも、その後はミスが相次ぎ、3トライを許す。後半も先にトライを奪われたが、11分にモーガン・ミッチェルが中央にトライ。34分にはナンバー8中野裕太が敵陣ゴール前のモールからトライを決め、1トライ差まで猛追。終了間際にも同じような形からゴール目前まで迫ったが、最後にノックオン。惜しくも追い付くことはできなかった。

 

終了間際のモール攻撃も、ノックオンで得点ならず

終了間際のモール攻撃も、ノックオンで得点ならず

 

 釜石はスクラムで圧倒するなどFW戦で優位に立ちながらも、この後の展開でパスミスを重ねるなど詰めを欠いた。何度か試みたキックパスも精度を欠き、決め手とはならなかった。スコット・ピアースヘッドコーチは「選手間のコミュニケーション、判断も、いま一つ」と課題を指摘する。

 

 ホームスタジアムでの今季最終戦。約1700人が客席を埋めたスタンドからは最後まで「カーマイシ」コールが響いた。声援を背に奮闘したWTB小野航大主将は「特別な思いで臨んだ試合だったが…」と唇をかんだ。

 

今季のホーム最終戦。終了後は感謝の餅まきが行われた

今季のホーム最終戦。終了後は感謝の餅まきが行われた

 

 プロップ佐々木和樹、フッカー吉田竜二がけがから復帰するなど、スクラムの威力は格段に増した。小野主将は「春にはなかった強み」と頼もしそう。FW陣をまとめるナンバー8中野裕太主将も「スクラムが大きな武器になっている」と自信を深める。しかし、チームは未勝利と結果につながらない。中野主将は次の栗田工業戦に向け、「FWでプレッシャーをかけ続けたい」と気合を入れ直した。

 

(復興釜石新聞 2019年11月27日発行 第845号より)

 

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W杯に刺激され、熱戦を繰り広げる児童ら

ワールドカップの興奮 子どもたちも〜小学校対抗タグラグビー、参加チーム増加

W杯に刺激され、熱戦を繰り広げる児童ら

W杯に刺激され、熱戦を繰り広げる児童ら

 

 日本中が熱狂したラグビーワールドカップ(W杯)の興奮が冷めない中、ラグビーのルールや基本を体験して学ぶ第3回釜石市小学校対抗タグラグビー大会(釜石東ロータリークラブ主催)が17日、釜石鵜住居復興スタジアムで行われた。市内の小学校を中心に20チーム、186人の児童が参加。W杯の舞台となった芝生のグラウンドを懸命に駆け回り、W杯の興奮を体で感じていた。

 

 1チーム5人で4ブロックに分かれて予選を行い、各組の上位2チームで決勝トーナメントを戦った。決勝に進んだのは、地元の鵜住居ファイターズ(鵜住居小)と小佐野タイガース(小佐野)。スタンドに家族らの大きな声援が響く中、鵜住居が6―5(前半3―3)で小佐野を破り優勝した。

 

優勝旗を手に喜ぶ鵜住居のメンバー

優勝旗を手に喜ぶ鵜住居のメンバー

 

 接戦の末、栄冠を手にした鵜住居主将の黒沢強優君(6年)は「毎朝20分の練習成果が出た。頂点に立つことができて、うれしい」と胸を張った。「W杯(フィジー対ウルグアイ)では、世界レベルのプレーに驚いた。きょうは、みんなで声を出し合い、ピッチの幅を広く使えたのが勝因」と喜びを語った。

 

 今回の大会は東京五輪・パラリンピックの「復興ありがとうホストタウン事業」として実施。オーストラリアから交流事業で釜石を訪れた7人の小学生も参加し、釜石の子どもたちと絆を育んだ。

 

 この大会は、W杯釜石開催に向け機運醸成を図る目的でスタート。鵜住居復興スタジアムに会場を移した前回の参加チームは第1回大会の2倍に拡大し、W杯を経た今回はさらに増えた。

 

 釜石東RCの中田義仁会長(大会事務局長)は「世界レベルのプレーが刺激になったのか、子どもたちのパスや動きの精度が上がっている。W杯の影響の大きさを実感した」と手応えを話す。「各学校での取り組みも増え、レベルは確実に上がっている。今後は、子どもたちを中心にした『ラグビーのまち釜石』を目指したい」と強調した。

 

(復興釜石新聞 2019年11月23日発行 第844号より)

 

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前半8分、釜石CTBヘルダス・ファンデンボルトが先制トライを決める=釜石鵜住居復興スタジアム

釜石シーウェイブス TCリーグ初戦、格上コカ・コーラとドロー〜終了間際に追いつく、「うの・スタ」W杯の熱狂再び

前半8分、釜石CTBヘルダス・ファンデンボルトが先制トライを決める=釜石鵜住居復興スタジアム

前半8分、釜石CTBヘルダス・ファンデンボルトが先制トライを決める=釜石鵜住居復興スタジアム

 

 ラグビーのトップチャレンジ(TC)リーグが開幕。釜石シーウェイブス(SW)RFCは16日、釜石鵜住居復興スタジアムにコカ・コーラを迎えて初戦を行い、24―24(前半19―12)で引き分けた。トップリーグ(TL)から降格した格上チームを相手に、最後の最後まで手に汗握る白熱戦を展開。「被災地に復興の光を」と突進する釜石SWのひたむきなプレーは、ラグビーワールドカップ(W杯)の会場となったスタジアムを再び熱狂に包んだ。

 

大勢の「カーマイシ」コールを背中に受け、突進する釜石FW

大勢の「カーマイシ」コールを背中に受け、突進する釜石FW

 

 釜石は前半8分、新加入のCTBヘルダス・ファンデンボルトのトライ(ゴール)で先制。フッカー吉田竜二、SO中村良真のトライなどでリードを広げ、19―12で折り返す。後半、2トライを奪われ逆転を許すも、試合終了間際に敵陣でのモールからナンバー8中野裕太主将がインゴールにボールを運び、土壇場で引き分けに持ち込んだ。

 

試合終了間際、釜石は敵陣ゴール前からモールを押し込んでトライ、ドローに持ち込む

試合終了間際、釜石は敵陣ゴール前からモールを押し込んでトライ、ドローに持ち込む

 

 劇的な幕切れに、熱戦を見守った2千人余りの観客は大興奮。スタンドでは大漁旗が打ち振られ、「カーマイシ、カーマイシ」と応援の声が響き渡った。

 

 この日が30歳の誕生日の中野主将は「あそこはスイッチが入った」と同点の場面を振り返る。時計の針が40分を過ぎ、5点差で迎えた敵陣ゴール前のラインアウト。「カーマイシ」コールに背中を押されるように、一団となってモールを押し込んだ。

 

 「W杯の会場となったスタジアムでラグビーができる幸せ。僕らが復興の光になる」と中野主将は前を向いた。

 

格上チームを相手に執念のドロー発進をスタンドから祝福する大漁旗

格上チームを相手に執念のドロー発進をスタンドから祝福する大漁旗

 

 今季から指揮を執るスコット・ピアースヘッドコーチは何より先に、FWの踏ん張りをたたえた。「スクラムで押し負けなかった。釜石スピリットを感じた。来週の九州電力戦も面白くなるよ」

 

(復興釜石新聞 2019年11月20日発行 第843号より)

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泥出し作業を進めるW杯組織委の有志

ラグビーW杯組織委員会、台風復旧支援〜嶋津事務総長らボランティア、熱狂支えた釜石に感謝

泥出し作業を進めるW杯組織委の有志

泥出し作業を進めるW杯組織委の有志

 

 ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会組織委員会の嶋津昭事務総長らが9、10の両日、先月の台風19号で大きな被害を出した釜石市内の被災地で、泥を運び出すなど復旧ボランティア活動に取り組んだ。2日に大会を終えたばかりの組織委から有志23人が参加。釜石鵜住居復興スタジアムやファンゾーンで大会の熱狂を支えた釜石に感謝しようと、作業に汗を流した。

 

 9日は、大規模な土砂災害に見舞われた尾崎白浜地区で活動した。20~70代の有志がW杯スタッフのユニホームで参加。高台にある久保ケフさん(84)方で汗を流した。

 

 久保さん方は台風の大雨で2つの沢から土砂や水が流れ込み床下浸水。家族2人は2階に避難し、現在も台所以外は1階に居場所がない。親類や知人、市の力を借り、床下や庭の整備、物置小屋の撤去を進めたが、居間の泥出しと、浸水を免れた畳の搬入が残っていた。

 

 組織委の有志は畳を玄関に運び入れ、1階居間の床下に堆積した泥を除去した。床板をはがした室内に踏み込み、厚さ15センチほどの泥を掘り出し、袋に詰め、一輪車で搬出。チームワーク良く作業に取り組んだ。

 

 嶋津事務総長も畳を運び、一輪車を押した。「釜石の1試合(ナミビア―カナダ)を中止したことは、やむを得なかった。残念な気持ちも伝えたいとやってきた。呼び掛けに、このメンバーが集まってくれた。市内でカナダチームが奉仕作業したことは、スポーツマンシップによる素晴らしいパフォーマンスだった」と改めて感謝の気持ちを表した。

 

「釜石に感謝の思いを」と嶋津事務総長

「釜石に感謝の思いを」と嶋津事務総長

 

 この日のボランティア活動には、W杯大会アンバサダーを務めた釜石シーウェイブス(SW)RFCの桜庭吉彦ゼネラルマネジャー(GM)も協力。嶋津事務総長は「桜庭さんは、復興スタジアムの活用についても話してくれた。釜石がトップリーグに上がるのを待っている」と期待した。

 

釜石SWの桜庭GMも駆け付け、力を発揮

釜石SWの桜庭GMも駆け付け、力を発揮

 

 久保さんは「この家を建てて54年。震災、山火事、今度の水害。あと何にもないといいけど、良いことも悪いこともある。でも、みなさんのおかげで暮らしが戻ります。本当にありがたい」と感謝した。

 

(復興釜石新聞 2019年11月13日発行 第841号より)

 

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仮設スタンドの撤去が進む釜石鵜住居復興スタジアム=6日

仮設スタンド撤去進む、幅広い活用模索〜ラグビーワールドカップ会場となった釜石鵜住居復興スタジアム

仮設スタンドの撤去が進む釜石鵜住居復興スタジアム=6日

仮設スタンドの撤去が進む釜石鵜住居復興スタジアム=6日

 

 2日に閉幕したラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の試合会場となった釜石鵜住居復興スタジアムで、仮設スタンド(約1万300席)の解体撤去作業が進んでいる。6日には、工事業者による作業が報道陣に公開された。今月中には全ての仮設施設が撤去され、常設約6千席のスタジアムとなる。

 

 作業は、台風19号の影響で中止となったナミビア―カナダ戦の翌10月14日に始まった。これまでに大型ビジョンや照明、メディア用に設けたプレハブハウスなどを撤去した。

 

 仮設席もすでに半分以上の撤去が終了。メイン、バックの両スタンドに増設した約3900席分の撤去を終え、現在は両サイドのスタンド(約6400席)解体が行われている。

 

 これら仮設施設の設置・撤去費は約9億3200万円。2年前に釜石市尾崎白浜で発生した山林火災の焼損材を活用した木造座席(6392席)を含む仮設席は当分の間市が管理し、活用策を検討する。

 

 約6千席のスタジアムについても市が所有管理しながら今後の活用策を探るとしているが、W杯終了後すでにサッカー教室や映画の上映会などに利用されている。

 

 市W杯推進本部の新沼司推進監は「大会を通じて世界へ復興支援への感謝や震災の教訓を伝えることができた。海と山が調和した素晴らしい環境にあるスタジアムは世界に評価された。今後は幅広い層に活用してほしい」と期待する。

 

 同スタジアムでは9月25日のフィジー―ウルグアイ戦を約1万4千人が観戦し、世界レベルのプレーに熱狂した。16日にはトップチャレンジ(TC)リーグの釜石シーウェイブス(SW)―コカ・コーラ戦が行われる。

 

(復興釜石新聞 2019年11月9日発行 第840号より)

 

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44日間にわたり日本国内を熱狂させたラグビーW杯。ファンゾーン釜石は子どもらの「感謝」の歌声で幕を開け、フィナーレを飾った

感謝の歌声でフィナーレ、ラグビーワールドカップ閉幕〜ファンゾーンに感動広がる、「釜石の挑戦」今後も

44日間にわたり日本国内を熱狂させたラグビーW杯。ファンゾーン釜石は子どもらの「感謝」の歌声で幕を開け、フィナーレを飾った

44日間にわたり日本国内を熱狂させたラグビーW杯。ファンゾーン釜石は子どもらの「感謝」の歌声で幕を開け、フィナーレを飾った

 

 日本で初めて開かれたラグビーワールドカップ(W杯)は2日、南アフリカの3度目の優勝で幕を閉じた。釜石市も舞台となり、国内がラグビーに熱狂した44日間。最終日のこの日、大町の市民ホールTETTOに設けられたファンゾーンには約3千人が入場。パブリックビュー(PV)が行われ、南アとイングランドが繰り広げる「ラグビー世界一」を懸けた激闘に酔いしれた。グランドフィナーレでは市内の小中学生が「ありがとうの手紙」の歌声を高らかに響かせ、復興支援への感謝の思いを改めて世界に向けて発信した。

 

「世界一」を懸けた南アフリカとイングランドの激闘に拍手を送るラグビーファン

「世界一」を懸けた南アフリカとイングランドの激闘に拍手を送るラグビーファン

 

 釜石のファンゾーンにはこの日、2つの大型スクリーンが設けられた。うち一つは、中継するNHKの協力による超精細の8K放送。360度方向に響く迫力の音声とともに、300インチの大画面に白熱の激闘シーンが映し出され、試合会場にいるような雰囲気が楽しめた。

 

NHKの協力で設置された超精細8K放送の大型画面に映し出された決勝戦

NHKの協力で設置された超精細8K放送の大型画面に映し出された決勝戦

 

 秋田市から家族4人で訪れた会社員平川和人さん(46)は「迫力が全然違う」と画面にくぎ付けとなった。花巻からJR釜石線で「SL銀河」の旅を楽しみ、釜石へ。「にわかラグビーファンの一人ですが、会場のこの盛り上がりには驚いた」と目を丸くした。妻の美衣子さん(43)は「家ではテレビの前で、家族4人でラグビーを楽しんでます」。会場で手渡された楕円(だえん)のボールを手にはしゃぎ回る杏樹さん(6)、悠人ちゃん(2)を笑顔で見守った。

 

「SL銀河」に乗り継ぎ秋田市から訪れた平川さん一家もファンゾーンの熱気を満喫

「SL銀河」に乗り継ぎ秋田市から訪れた平川さん一家もファンゾーンの熱気を満喫

 
 八幡平市の会社員高橋俊二さん(63)は、大会前に釜石鵜住居復興スタジアムを見学。9月25日のフィジー対ウルグアイ戦を観戦し、台風の影響で中止となったナミビア対カナダ戦のチケットも持っていた。この日は、仮設スタンドの撤去が進む復興スタジアムの状況をその目で確かめた上でファンゾーンへ。「決勝戦の臨場感が味わえて良かった。ベスト8まで進んだ日本代表の頑張りがあって、この盛り上がりもある。4年後が楽しみ」。早くも次回の大会へ期待を膨らませた。

 

 釜石のファンゾーンは、市内の小中学生でつくる「かまいし絆会議」の「ありがとう」の歌声で幕を開け、フィナーレも飾った。市によるとファンゾーンの入場者は3万9千人に上り、当初の見込み(1万4千人)の3倍に迫る人が世界レベルのプレーに熱狂した。

 

 決勝戦の表彰式まで見届けた多くの市民を前に、野田武則市長は「みなさんと歴史的な瞬間を楽しむことができた。『サンキュー フロム かまいし!』は感動を世界に発信する言葉になった。釜石の挑戦はこれからも続く」と締めくくった。

 

(復興釜石新聞 2019年11月6日発行 第839号より)

 

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釜石シーウェイブスRFC ホームゲーム2連戦応援企画 釜石・大槌ホテル旅館宿泊割引

釜石シーウェイブスRFC ホームゲーム2連戦応援企画 釜石・大槌ホテル旅館宿泊割引

釜石シーウェイブスRFC ホームゲーム2連戦応援企画 釜石・大槌ホテル旅館宿泊割引

 

釜石シーウェイブRFC トップチャレンジリーグ2019 ホームゲーム2連戦

11月16日(土)、23日(土)、釜石鵜住居復興スタジアムで開催!
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《クラブサポーター会員の割引対象追加》 11/12追記
釜石シーウェイブスのクラブサポーターカード(ゴールド・クリスタル・ファミリー)をご精算時に提示頂くことで、企画の宿泊割引が適用されます。
※電話でのご予約が必要となります。ご予約の際にはクラブサポーター会員である旨、お伝えください。

 

11月15~16 日、11月22~23日日宿泊限定
釜石・大槌ホテル旅館宿泊割引

前売チケット購入者限定割引

ご予約の際にチケットを購入している旨、チケットナンバーを宿泊施設にお伝えください。
※残室のある場合のみの適用となります。

対象ホテル<釜石>

釜石ベイシティホテル

ラグビー応援プラン1泊朝食・土産付¥6,500(税込)

釜石市大町1-8-1 TEL:0193-22-6611

 

ホテルルートイン釜石

シングル1泊朝食付 ¥7,200(税込)

釜石市大町2-5-17 TEL:050-5847-7701

 

ホテルマルエ

数限!朝7時チェックインプラン¥5,500(税込)

釜石市大渡町2-1-10 TEL:0193-24-3911

 

旅館なかむら

シングル1泊朝食付 ¥5,800(税込)
シングル1泊素泊り ¥4,000(税込)

釜石市中妻町2-4-15 TEL:0193-23-7527

 

三陸の宿たかきん

1泊素泊り ¥5,500(税込)

釜石市鈴子町6-8 TEL:0193-22-4559

 

ホテルサンルート釜石

シングル1泊朝食付 ¥6,000(税込)

釜石市大町2-3-3 TEL:0193-24-3311

 

ホテルフォルクローロ三陸釜石

シングル1泊朝食付 ¥7,800(税込)

釜石市鈴子町22-4 TEL:0193-38-5536

 

釜石ステーションホテル

シングル1泊朝食き ¥6,000(税込)

釜石市鈴子町4-1 TEL:0193-22-3070

 

ホテルシーガリアマリン

お問い合わせください

釜石市平田3-61-22 TEL:0193-26-5111

 

対象ホテル<大槌>

わの宿 柿栗館

1泊2食付 ¥8,800(税込)

上閉伊郡大槌町大槌 15-95-274 TEL:0193-27-7711

 

小川旅館

シングル1泊朝食付 ¥7,300(税込)

上閉伊郡大槌町小槌 26-131-1 TEL:0193-42-2628

 

企画

(株)かまいしDMC、釜石旅館ホテル組合、(一社)釜石観光物産協会

スクリーンに再現された洞口孝治、石山次郎選手ら新日鉄釜石ラグビー部V7戦士の勇姿

「北の鉄人」V7の軌跡をもう一度、名場面をスクリーンで再現〜NHK盛岡放送局、全7試合を上映

スクリーンに再現された洞口孝治、石山次郎選手ら新日鉄釜石ラグビー部V7戦士の勇姿

スクリーンに再現された洞口孝治、石山次郎選手ら新日鉄釜石ラグビー部V7戦士の勇姿

 

 V7の軌跡をもう一度――釜石市が「ラグビーのまち」として全国に知られるきっかけになった新日鉄釜石ラグビー部の日本選手権7連覇(V7)の試合を上映するイベントが26、27の両日、釜石市大町の情報交流センター釜石PITで開かれた。上映会は、ラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催を記念し、かつて「北の鉄人」と呼ばれた新日鉄釜石ラグビー部が日本一7連覇を達成したすべての試合を見てもらおうとNHK盛岡放送局が全国で初めて開催。客席を埋めた市民らは、スクリーンに再現されるV7の名場面に拍手を送った。

 

釜石PITの客席を埋めた市民らは、V7の名場面に拍手を送る

釜石PITの客席を埋めた市民らは、V7の名場面に拍手を送る

 

 当時の試合の模様を生放送したNHKにはほとんど映像が残っていないことから、千田美智仁さん、金野年明さんらV7メンバーが保存していた録画映像を提供、V7の全試合上映が実現した。

 

 26日にV1(1979年)~V3(81年)の3試合のほか、今年9月に埼玉県内で収録した「日本選手権V7の軌跡トークショー」の模様を上映。27日はV4(82年)~V7(85年)の4試合を上映した。

 

 2日間の最後に上映されたのは85年1月に行われた第22回日本選手権決勝、学生王者同志社大との一戦。6万人の大観衆で埋まった旧国立競技場を舞台に、赤いジャージーの松尾雄治選手が舞うように走り、FWの洞口孝治選手が力強くスクラムを押す。司令塔の松尾選手が「8の字」のサインを出し、ナンバー8千田選手がダメ押しトライを決める名場面もスクリーンに再現された。

 

 震災後まで釜石製鉄所で働いた釜石市平田の佐々木勊さん(72)は「会社の中庭での優勝報告会、まちで行われたV7パレードも見に行った」と振り返る。

 

 タクシードライバーとして松尾選手らV7メンバーを乗せたことがあるという同市八雲町の阿部征三郎さん(77)は「当時の選手の活躍は素晴らしかった」と懐かしんだ。

 

(復興釜石新聞 2019年10月30日発行 第837号より)

 

復興釜石新聞

復興釜石新聞(合同会社 釜石新聞社)

復興釜石新聞と連携し、各号紙面より数日の期間を設け記者のピックアップ記事を2〜3点掲載しています。

問い合わせ:0193-55-4713 〒026-0044 岩手県釜石市住吉町3-3

釜石SWのコーチからパス回しの基本などを教わるフランスの高校生ら=24日、釜石市球技場

日仏高校生 ラグビー交流、釜石市で合同練習〜フランスの生徒ら「復興へ向かう姿に感動」

釜石SWのコーチからパス回しの基本などを教わるフランスの高校生ら=24日、釜石市球技場

釜石SWのコーチからパス回しの基本などを教わるフランスの高校生ら=24日、釜石市球技場

 

 ラグビーワールドカップ(W杯)に合わせて来日したフランスの高校生6人が24日、釜石市甲子町の市球技場で地元の高校生とラグビーの合同練習で交流した。フランス南西部のオクシタニー州トゥルーズに拠点を置く日仏文化センターが企画。合同練習を前に震災の被災地を見学した高校生らは「釜石の人たちが震災から復興へと向かう姿に感動した」と口をそろえた。

 

合同練習で汗を流した釜石高、釜石商工高のラグビー部員らと記念撮影

合同練習で汗を流した釜石高、釜石商工高のラグビー部員らと記念撮影

 

 合同練習にはフランスの高校生男女6人と釜石高、釜石商工高のラグビー部員約20人が参加。釜石シーウェイブス(SW)RFCのスコット・ピアースヘッドコーチ、キース・デイビスコーチから指導を受けた。パス回しの技術やラックの動きなどを熱心に教わり、真剣な表情でプレーに取り組んだ。

 

 この日は合同練習を前に、W杯の試合会場となった釜石鵜住居復興スタジアムを見学。震災伝承施設「鵜住居トモス」にも足を運んだ。練習後は鵜住居町の旅館・宝来館で食事会が開かれ、昨年8月の復興スタジアムオープン記念セレモニーで「キックオフ宣言」をした洞口留伊さん(釜石高3年)らと交流を深めた。

 

 17年に日本で開かれたワールドユース交流大会で優勝したチームに所属するバチスト・ロメさん(17)は「コーチの指導は細かく、非常にテクニカルで、新しいことも学べた」と喜ぶ。

 

 フランスのクラブユース大会で優勝を狙うイリアナ・リショームさん(16)は「コーチの指導は基本を思い出させてくれ、ユーモアもあった」。文武両道で、将来は歯科医を目指すという。

 

 フランスの高校生らによる交流事業は今月20日から26日まで。日仏文化センター総務部長のクロード吉田さん(58)と交流を重ねてきた日仏交流サポート事務所(石巻市)の大島公司さん(34)が支援。釜石訪問は、新日鉄釜石ラグビー部のV7メンバーらでつくるスクラム釜石(石山次郎代表)がサポート。同NPO理事の泉秀仁さん(55)が石巻市から同行し、案内役を務めた。

 

 パリで生まれ、高校まで東京で暮らしたクロードさんは、テレビ関係のコーディネートをしたあと、10年前に日仏文化センターを立ち上げた。「ラグビーが盛んなオクシタニー州では日本の存在感が少ない。次回のW杯はフランスで開かれる。日本とフランスをつなげるにはラグビーが一番。今後もフランスと日本の交流の橋渡しに努めたい」と意欲を語った。

 

(復興釜石新聞 2019年10月30日発行 第837号より)

 

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