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目標達成を今後の飛躍の糧に、釜石シーウェイブス納会・感謝会〜退団・引退選手の前途にエール

目標達成を今後の飛躍の糧に、釜石シーウェイブス納会・感謝会〜退団・引退選手の前途にエール

退団のあいさつをする星野将利選手(右から2人目)ら退団選手は13人

退団のあいさつをする星野将利選手(右から2人目)ら退団選手は13人

 

 釜石シーウェイブス(SW)RFCの2019年度納会・感謝会は25日、釜石市大町のホテルサンルート釜石で開かれた。選手やサポーターのほか、支援する企業などの関係者ら約150人が出席。本年度限りで退団・引退する選手13人、スタッフ2人の前途にエールを送った。

 

 今季の釜石SWは、初の試みとして行われたトップリーグカップ(TLC)に参戦し2勝3敗。ラグビーワールドカップ(W杯)終了後からスタートしたトップチャレンジ(TC)リーグでは3勝1分け3敗の4位と目標の「トップ4」を達成し、これまでで最高の成績を残した。本年度は、日本ラグビー協会がトップリーグ(TL)に代えて来年秋に立ち上げる新リーグへの参入を目指して取り組む。

 

 納会で小泉嘉明理事長は「W杯で日本ラグビーの立ち位置が明らかになり、今後はトップリーグも変わっていく。SWは今季の目標は達成できたが、今後のチームの方向性を明確にしながら前へ進んでいこう」と呼び掛けた。

 

 今季からチームの指揮を執るスコット・ピアースヘッドコーチ(HC)はシーズンを振り返った上で、「チームとして90%ぐらいの力を出すことができ、何とか目標は達成できた。まだまだ上に行ける」と今後の可能性に期待を託した。

 

 桜庭吉彦ゼネラルマネジャー(GM)は「TCリーグ3年目で、一番いい成績を残すことができた」とした上で、今季限りでチームを離れる選手やスタッフを紹介。新天地での活躍にエールを送った。

 

 退団するメンバーのうち、TLのリコーから移籍して2季プレーした星野将利選手(34)は「10年にわたるTLでの経験をSWで生かそうとしたが、思いを伝えることはなかなか難しかった」と反省。新リーグ参入へ向け、「選手がチームの目指すべき方向性をよく理解し、サポーターと一体となって前へ進むことを願う」と飛躍を託した。

 

 市内の中学校で講師をしながら2季プレーした二宮昂生選手(24)は「教員としてラグビーの指導者になりたい。釜石での経験を今後の財産にしたい」と退団に至った経緯を述べた。

 

 最大のスポンサー企業である日本製鉄釜石の竹内正守総務部長(SW副理事長)は「W杯を通じ、釜石にはラグビーの力が必要と痛感した。釜石に多くの選手が集まり、巣立っていく環境を整えたい」とした上で、「引き続きSWの支援を」と呼び掛けた。

 

退団選手は13人
▽ホラニ龍シオアペラトゥー(PR/18年~)日本製鉄釜石▽水本裕也(PR/14年~)同▽マット・マフィ(HO/18年~)同▽中川亮(HO/16年~)同▽コーリー・トーマス(LO/18年~)同▽高田裕雅(FL/18年~)釜石SW▽ケイン・コテカ(FL/18年~)日本製鉄釜石▽二宮昂生(SH/18年~)甲子中▽村山千里(SH/18年~)小規模多機能ホームやかた▽村田オスカロイド(CTB/16年~)釜石SW▽星野将利(WTB/18年~)日本製鉄釜石▽ユーゲン・フィサー(FB/18年~)同▽コディ・レイ(UB/18年~)同

 

(復興釜石新聞 2020年2月29日発行 第871号より)

 

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東北地方の精鋭男女がボクシングの魅力を試合で熱く

TETTOでボクシング、東北高校ボクシング新人大会〜スポーツ競技で初使用、今夏のインターハイに備え

東北地方の精鋭男女がボクシングの魅力を試合で熱く

東北地方の精鋭男女がボクシングの魅力を試合で熱く

 

 第31回東北高校ボクシング新人大会は16日から19日まで、釜石市大町の釜石市民ホールTETTOで開かれ、男子69人(8階級)、女子13人(6階級)が熱戦を展開した。釜石市では初開催で、市民ホールがスポーツ競技で使用されるのも初めて。今年8月に同会場で実施を見込むインターハイ・ボクシング競技のプレ大会に位置づけられ、会場設定、大会運営などの課題を本番に生かす。

 

 会場に充てられた市民ホールのホールAは可動式のステージが床面まで下げられ、その上にリングを設置。客席の前列を左右に移動し、平場の広いスペースができた。開会式は17日に行われ、選手団は映画「スターウオーズ」のテーマ曲に乗って入場した。

 

 主催者を代表し、岩手県高校体育連盟の山本武司会長が「優勝者は3月に石川県で開かれる全日本高校選手権に出場する。悔いのないよう、正々堂々と試合し、友情を育んで心に残る大会にするよう期待する」と激励した。岩手県高体連ボクシング専門部の佐々木光男部長(水沢工高校長)は「昨年のラグビーワールドカップ(W杯)から、今年はインターハイ・ボクシングの活躍で盛り上げよう」とあいさつ。野田武則市長が歓迎の言葉を述べた。

 

 地元水沢工高ボクシング部の渡辺健心主将(ライト級)が「対戦相手を尊重し、日ごろの練習成果を発揮して正々堂々と試合する」と宣誓した。

 

 試合は男子が1年生の2部、2年生中心の1部に分かれトーナメントで行われ、最終日は女子と、1部の決勝戦が行われた。

 

 大会最後の試合、男子1部・ミドル級に登場した黒沢尻工・鳥谷部魁君の弟侑希君(花巻市立矢沢小5年)ら家族3人は客席で応援した。自営業の父智さん(46)は「魁は中学校まで野球をしていた。私は柔道の指導をしているが、ボクシングが好きならいいと思った。インターハイや国体にも応援に行った。身長(184センチ)があるから体調管理が難しい。決勝はライバル同士の、見応えのあるいい試合だった」と息子の健闘をたたえた。

 

 会場については「初めて開かれたそうだが、照明や周囲の雰囲気は慣れていない感じ。客席からは見やすかった。インターハイでは選手や観客がもっと多くなる。リング1台でやるのは大変だろう」と語った。

 

(復興釜石新聞 2020年1月22日発行 第860号より)

 

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後半7分、ナンバー8中野裕太がトライを決め反撃開始=19日、東京・秩父宮ラグビー場

釜石シーウェイブス 目標の4位達成、TCリーグ最終戦 清水建設に逆転勝利〜前半の劣勢跳ね返す、ピアースHCの檄で結束

後半7分、ナンバー8中野裕太がトライを決め反撃開始=19日、東京・秩父宮ラグビー場

後半7分、ナンバー8中野裕太がトライを決め反撃開始=19日、東京・秩父宮ラグビー場

 

 ラグビー・トップチャレンジ(TC)リーグの釜石シーウェイブス(SW)RFCは19日、東京・秩父宮ラグビー場で清水建設と今季最終戦を行い、38―36(前半7―22)で逆転勝ちした。前半はミスが目立つ苦しい展開となったが、15点差を追う後半はセットプレーが安定し、劣勢を跳ね返した。釜石は通算3勝1分け3敗(勝ち点15)とし、TCリーグ3季目でこれまで最高の4位に浮上した。9千人を超える観客を前に、WTB小野航大主将は「トップ4を目標にぶれずにやってきた。シーズンを通してチームが成長できた」と胸を張った。今季はワールドカップ(W杯)開催の影響で、トップリーグ(TL)との入れ替え戦はない。

 

 釜石は後半7分、ナンバー8中野裕太主将がセットプレーからトライを決め反撃開始。SH南篤志のトライで3点差まで追い上げた後、16分にはロック上田宥人がトライを決め24―22と逆転に成功。その後、中野、WTB加賀亮太郎のトライでリードを広げたものの、逆に2トライを奪われるなど激しい攻防が続く。最後は釜石が2点差で辛くも逃げ切った。

 

大観衆の中で打ち振られる大漁旗。新日鉄釜石V7の黄金期を思わせた

大観衆の中で打ち振られる大漁旗。新日鉄釜石V7の黄金期を思わせた

 

 釜石は、前半と後半で全く別のチームに変わった。前半はスクラムで反則を繰り返し、モールも止められた。しかし後半、フッカーにマット・マフィを投入すると一気に流れが釜石に傾いた。

 

 「釜石の歴史を変えよう」。ハーフタイムでスコット・ピアースヘッドコーチが飛ばした檄(げき)も効いた。逆転トライを決めたロック上田宥人は「熱いものを胸に感じた。あの言葉で気持ちを切り替えることができた」と実感を込める。

 

 小野と共に“2人主将”としてチームを引っ張ってきた中野裕太は「4位以上は達成できたが、まだ上に3チームいて、さらにその上にトップリーグがある。満足せず、さらに上を目指す」と来季へ目標を見据えた。

 

(復興釜石新聞 2020年1月22日発行 第860号より)

 

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夢の聖火ランナーに、岩手県トライアスロン協会会長 三上さん〜五輪イヤーに大きな希望、6月18日 リレーでつなぐ

夢の聖火ランナーに、岩手県トライアスロン協会会長 三上さん〜五輪イヤーに大きな希望、6月18日 リレーでつなぐ

復興五輪”を盛り上げたいー。被災地での聖火リレーを楽しみに待つ三上雅弘さん

“復興五輪”を盛り上げたいー。被災地での聖火リレーを楽しみに待つ三上雅弘さん

 

 東京五輪・パラリンピックが開催される2020年が、いよいよ幕を開けた。「復興五輪」を掲げる同大会の注目の一つが、東日本大震災被災地での聖火リレー。公募で聖火ランナーに選ばれた釜石市大町の任期付き市職員三上雅弘さん(56)は「一生に一度のこと。夢のよう」と、幸運を手にした五輪イヤーに大きな希望を膨らませる。 

 

 全国47都道府県を巡る聖火リレーは3月26日の福島県を皮切りにスタート。岩手県は39番目の通過地で、6月17~19日までの3日間、28市町村の52・16キロ(264区間)で聖火がつながれる。三上さんは18日、岩泉町から陸前高田市まで沿岸8市町村で実施されるリレーで、いずれかの区間(1人約200メートル)を走ることが決まっている。

 

 一般公募ランナーの募集は昨夏行われ、5つの応募先(各都道府県実行委、リレー協賛4社)が設けられた。全てに応募した三上さんは、協賛の日本コカ・コーラ枠で当選を果たし、昨年12月25日に正式決定通知を受けた。

 

 応募フォームにはアピールポイントなどを書く作文欄がある。岩手県トライアスロン協会の会長を務める三上さんは、甚大な被害を受けた震災から立ち上がり、仲間と力を合わせ「釜石はまゆりトライアスロン国際大会」を復活させたことを書いた。

 

復活したはまゆりトライアスロンで笑顔満開の三上さん(前列左)=2015年

復活したはまゆりトライアスロンで笑顔満開の三上さん(前列左)=2015年

 

 釜石市内の走行コースは魚河岸から市民ホールTETTOまでの約1キロ。日本一7連覇の元新日鉄釜石ラグビー部で、現日本ラグビー協会会長の森重隆さん(68)ら2人が県推薦のランナーとして発表されており、「計算上、公募ランナーは3人走ることになるのではないか。できれば地元釜石のコースを走りたい」と三上さん。

 

 2011年の震災では、時計店を営んでいた只越町の店舗兼自宅が津波で全壊。定内町の仮設住宅で7年間暮らし、18年4月、大町に再建した自宅に移った。「被災後は多くの支援、応援を受け、ここまで来ることができた。1人ではなく、思いを寄せてくれた人たちみんなで走るというイメージで、聖火をつなげられたら」と願う。

 

 大会でのもう一つの楽しみは、2000年のシドニー五輪から採用されたトライアスロン競技。震災後の釜石大会には08年の北京五輪で歴代日本人最高の5位入賞を果たした井出樹里さん(36)が3年連続で出場し、最後のゴールまで選手を鼓舞する姿が選手、スタッフに勇気を与えた。「東京五輪から新たに男女のミックスリレーも行われる。いずれかで日本人がメダルに絡んでくれれば、競技の普及に弾みがつく」と期待を寄せる。

 

 釜石南高(現釜石高)時代はラグビー部に所属。ボランティアから始まった釜石のトライアスロンには選手、役員として長年携わり、ジョギングで鍛える健脚で仙人峠マラソン大会への出場も続ける三上さん。

 

 「スポーツは人の心を動かす大きな力がある。昨年のラグビーワールドカップ(W杯)同様、感動あふれる年になれば」

 

 ラグビーW杯から東京五輪へ―。世界的スポーツの祭典に心躍る1年が再び始まる。

 

(復興釜石新聞 2020年1月8日発行 第856号より)

 

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釜石中出身の菊池流帆選手、国内最高峰サッカーJ1へ〜天皇杯優勝の神戸に加入、J2山口から移籍

J1神戸に加入した菊池流帆選手はFC釜石の後輩とミニゲームを楽しむ=4日、釜石市球技場

J1神戸に加入した菊池流帆選手はFC釜石の後輩とミニゲームを楽しむ=4日、釜石市球技場

 

 サッカーJ2レノファ山口FC(山口県)からJ1ヴィッセル神戸(兵庫県)への加入が決まった釜石市出身の菊池流帆(りゅうほ)選手(23)は年末年始を故郷で過ごし、FC釜石の子どもたちと交流するなど新天地での活躍へ向けて英気を養った。釜石初のJ2リーガー菊池選手は、わずか1年で国内最高峰のJ1リーガーとなる。しかも神戸は、元日の第99回天皇杯サッカーで栄冠を手にしたチャンピオンチーム。「近い将来、日本代表やヨーロッパのチームに」という菊池選手の目標も現実味を帯びてきた。

 

 菊池選手は定内町の自営業菊池公威さん(49)、祐子さん(48)の長男。サッカーは幼児期から始め、小学校2年生でクラブチームに入団。優れた運動能力は、小佐野小6年の時にタグラグビー全国大会に出場するなどして証明した。釜石中1年からFC釜石(U―15)に入った時点で、プロになる決意を固めていた。

 

 高校サッカーの強豪・青森山田から大阪体育大へ進んだのは、目標に向けた選択。高校からDF(ディフェンス)プレーヤーとなり、大学では1メートル88センチ、体重80キロ前後の恵まれた体力を生かし、頭角を現した。3年生だった2017年夏、世界ユニバーシアード台北大会の優勝に貢献。4年生では関西大学リーグを制した。

 

 一昨年暮れ、J2レノファ山口と契約し、プロ入りの目標を達成した。山口では主としてリーグ後半から35試合に出場し、3得点を記録。1点は足技、2点は長身を生かしたヘディングで挙げた。

 

 その活躍に、J1神戸が獲得に乗り出した。菊池選手の移籍が発表されたのは昨年12月24日。年が明けた元日には、新国立競技場の「こけら落とし」ゲームとなった天皇杯で神戸は鹿島アントラーズを2―0で破り、初優勝した。

 

 神戸の中心選手には元スペイン代表で2010年のサッカーW杯優勝メンバー、アンドレス・イニエスタ、元ドイツ代表ルーカス・ポドルスキ、日本代表のMF山口蛍らがいる。

 

FC釜石の後輩と交流、正月休み 故郷で英気養う

 

 菊池選手は4日、FC釜石の後輩メンバーら50人とミニゲームを楽しみ、J1選手の強いボディーコンタクト、スピード、足技の片りんを示した。

 

 U―15のキャプテン佐守賢寿君(甲子中2年)は4歳からボールに触れ、小学生後半からGKに専念。「菊池さんのJ2での活躍はユーチューブで見ていた。フィジカルの強さが印象的で、J1に上がる可能性を思わせるプレーだった。もっと高いテクニック、強いフィジカル、スピードが求められる。神戸での活躍を見たい」と期待した。

 

 FC釜石で菊池さんを指導した小山善司さん(53)は「強い気持ちが、1年でJ1に押し上げた。すごいことだ。あのイニエスタとプレーするんだ」と、ため息交じりに語った。別の指導者は「J1、しかも天皇杯を獲得したばかりのヴィッセル神戸に入るなんて、流帆は“持っている”」と理想的なステップアップに驚いた。

 

 菊池選手は「子どもたちとゲームして楽しかった。(中学生は)ぼくのころより上手だ」と目を細めた。今後のJ1でのプレーには「すばらしいチームでプレーできる。臆せず、自分らしいプレーを貫き、日本代表に選ばれるようがんばる。(大震災を乗り越えた)子どもたちに勇気や希望を与えられる選手になりたい」と語った。

 

 サイン会には子どもや保護者が列をつくった。レノファ山口の公式サイトで、「神戸には成長するためではなく、成功しに行く」とファンとの別れの言葉をつづった菊池選手。色紙には、プロ選手としてのスタートを切った山口での背番号「49」を添え、新チームでの飛躍を期した。

 

 菊池選手は7日、家族と共に新天地の神戸へ向かった。

 

(復興釜石新聞 2020年1月8日発行 第856号より)

 

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トライアスロンの普及に尽力、東北を代表する大会に拡大〜岩手県体育協会、小林格也さんに功労賞

トライアスロンの普及に尽力、東北を代表する大会に拡大〜岩手県体育協会、小林格也さんに功労賞

表彰式で贈られた盾を手に受賞を喜ぶ小林格也さん

表彰式で贈られた盾を手に受賞を喜ぶ小林格也さん

 

 公益財団法人岩手県体育協会(達増拓也会長)の本年度表彰で、岩手県トライアスロン協会顧問の小林格也さん(80)=釜石市只越町=が「功労賞」を受賞した。釜石はまゆりトライアスロン国際大会を立ち上げるなど、本県におけるトライアスロン競技の普及・発展に尽力してきたことが高く評価された。小林さんは受賞を励みに、「競技のさらなる普及を」と意気込む。

 

 県体協の功労賞は「本県スポーツの普及振興に多大な業績をあげ、その功績が顕著な人」に贈られる。本年度は市町村体育協会推薦の13人、競技団体推薦の21人が受賞し、先月、盛岡市で表彰式が行われた。

 

 1986年、47歳で競技を始めた小林さんは、87年に県内の競技者と岩手県トライアスロンクラブを発足。地元釜石の競技人口を増やそうと仲間を集め、同好会も作った。釜石では競技自体、ほとんど知られていない中、全国大会開催を目指し、89年に釜石トライアスロン協会を設立(会長就任)。90年、鵜住居町根浜海岸を主会場とする第1回大会にこぎつけた。

 

 3回目からは国際大会として外国人選手も招き、出場者350人規模に拡大。第7回大会には史上最多の430人もの申し込みを記録した。小林さんは93年に設立された県協会でも会長を務め、同大会を東北を代表するレースに育て上げた。

 

 2010年までに21回を数えた大会は、11年の東日本大震災で中断を余儀なくされたが、翌年から復活への取り組みをスタート。15年には22回大会を実現し、16年の岩手国体では、正式競技となったトライアスロンの成功にも貢献した。

 

 同功労賞は所属団体の役員を20年以上務める功績者(故人含む)らが対象。小林さんは釜石協会会長として09年にも受賞しており、今回が2回目の表彰。「1回もらっているので驚いた。今回は震災を乗り越え、活動を継続していることも評価されたのでは」と推測。トライアスロンは国内で大会が開かれるようになって40年に満たない、歴史としてはまだ新しいスポーツ。「普及には時間がかかる。大会を継続することが何より重要。震災後、東北6県の大会は参加者が減った。課題を克服しながら次の世代につなげていきたい」と小林さん。

 

 震災復興10年目となる来年は、根浜海岸の砂浜再生事業が完了する見込み。「今まで以上の大会ができるよう、受け入れをしっかり頑張っていく。小・中学生のちびっこトライアスロンもいずれ復活できたら」。5年後に迎える30回大会を見据え、記念誌発行のため、津波で失った記録の収集にも努める。

 

 本年度の同功労賞は釜石市体育協会推薦で、熊倉扶美雄さんも受賞している。

 

(復興釜石新聞 2019年12月18日発行 第851号より)

関連情報 by 縁とらんす
釜石はまゆりトライアスロン大会
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めざせ東京パラリンピック〜“わたしの夢”応援プロジェクト”、乙武さんとエール交換

めざせ東京パラリンピック〜“わたしの夢”応援プロジェクト”、乙武さんとエール交換

トークを繰り広げた乙武洋匡さん、斎藤由希子さん、萩野真世さん、村田奈々さん(左から)

トークを繰り広げた乙武洋匡さん、斎藤由希子さん、萩野真世さん、村田奈々さん(左から)

 

 「輝け!!未来へ!!東北のパラの星」と題したトークイベントが14日、釜石市の釜石東中体育館で開かれた。一般社団法人チームスマイル(東京都)が行う東日本大震災復興支援活動「“わたしの夢”応援プロジェクト」の一環で、同法人と釜石まちづくり会社が主催。「五体不満足」がベストセラーとなった作家の乙武洋匡さんが、来年の東京パラリンピック出場を目指す東北出身の女子アスリートらに話を聞いた。

 

 宮城県気仙沼市出身で、陸上の世界大会投てき3種目で優勝実績のある斎藤由希子さん(SMBC日興証券)、同仙台市出身で、車いすバスケットボール女子日本代表として国際大会に出場している萩野真世さん(アビームコンサルティング)、釜石市在住で、国内水泳大会で多数優勝している村田奈々さん(釜石市役所)がゲスト。

 

 観客約50人を前に各競技のデモンストレーションを実施。希望者が砲丸投げや車いすバスケを体験し、障害者スポーツへの理解を深めた。トークでは、競技を始めたきっかけや競技生活を送る上での苦労、ルールや見所などを語った。

 

 萩野さんは、障害の度合いによる選手の持ち点の合計が5人で14点以下になるようにチーム編成する車いすバスケの特徴的ルールを紹介。現在、国内大会は男女混合、国際大会は男女別で戦っており、各チームでの役割の違いに「いろいろな目線、状況に応じた対応力が養われる」とメリットを示した。

 

 左腕の肘から先が義手の斎藤さんは、中学の陸上部で健常者と共に競技を始め、東北大会で活躍。高校から障害者の大会にも出場し、大学生の時に日本記録をマークしたが、ライバルのいない大会に物足りなさを感じることも。「健常者と一緒の大会で、もっと上を目指していけば、いつか障害者の世界でトップに立てる」とパラリンピックを目指す決意を固めたという。

 

 高校時代に下肢機能障害を負った村田さんは20代前半から本格的に水泳に挑戦。現在、11歳の娘を育てながら競技を続ける。「娘は時に励まし、時に厳しい言葉をくれる頼もしいコーチ。遠征が続くと寂しい思いをさせてしまうが、できるだけ2人の時間は作るようにしている」。災害時に離れている場合は「お互いを信じて行動する」ことも確認し合っているという。

 

 来年の東京パラに、斎藤さんはやり投げでの出場を、萩野さんは女子日本代表12人に選ばれることを目指している。「今日のイベントが競技場に足を運ぶきっかけになれば。パラは知れば知るほど面白い。興味を持って見ていただけたら」、村田さんは「身近にパラ選手がいることを知ってもらえた。東京パラの盛り上がりが終息しないよう、私たち選手もさらに頑張っていきたい」とし、応援を呼び掛けた。

 

 先天性四肢欠損の乙武さんは、最新鋭の技術を搭載したロボット義足で、1年半前から歩く練習を重ねていることを明かした。「できない、足りないことを嘆くのではなく、できることで頑張っている3人から学ぶ点は多い。釜石はワールドカップで、ラグビーという強みが一段と強化された。釜石だからこそできることで、地域を盛り上げていただけたら」と期待した。

 

(復興釜石新聞 2019年12月18日発行 第851号より)

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新しい体育館で熱い試合を見せたビッグブルズ(赤)

釜石市民体育館 こけら落とし、岩手ビッグブルズ 勝利で飾る〜釜石出身 澤口選手 貢献、今季初の10連勝に沸く

新しい体育館で熱い試合を見せたビッグブルズ(赤)

新しい体育館で熱い試合を見せたビッグブルズ(赤)

 

 1日に一般利用を開始した釜石市鵜住居町の市民体育館で14、15の両日、“こけら落とし”となる日本プロバスケットボール男子Bリーグ3部(B3)の公式試合が行われた。盛岡市に拠点を置く「岩手ビッグブルズ」のホームゲームで、石川県の金沢武士団(かなざわサムライズ)を相手に2連勝。津波被災地に新設された新たなスポーツ拠点のオープンを鮮やかな勝利で飾り、チームも今季初の10連勝に沸いた。

 

 14日は午後2時の試合開始を前に、釜石商工高虎舞委員会がオープニングパフォーマンス。野田武則釜石市長が歓迎のあいさつをした。会場には常設の2階観客席のほか、コートを囲む1階席も設けられ、市内外から訪れた1117人が観戦を楽しんだ。

 

 試合は3点シュートや速攻、リバウンドなどで着実に得点を重ねるブルズが終始リード。地元ファンの熱い声援も後押しし、今季最高の108得点で金沢(68点)を下した。

 

 試合ではブルズの専属チアが多彩なパフォーマンスを披露。ハーフタイムにはラグビーの釜石シーウェイブスRFCの選手らが、ラインアウトやタックルのプレー体験で子どもらを喜ばせた。

 

ハーフタイムに行われたラグビー体験も人気

ハーフタイムに行われたラグビー体験も人気

 

 平田ミニバス少年団の団員はゴール近くの1階席で観戦。阿部愛華さん、山﨑玲來さん、田畑愛羽さん(いずれも平田小5年)は「テレビと違い、生で見るダンク(シュート)は迫力満点。こんな近くで観戦したのは初めて。自分たちもここで試合をやってみたい」と大喜び。

 

 虎舞を披露した植田麗緒奈さん(釜石商工高1年)は「こけら落としに参加できてうれしい。バスケ部なので、プロの試合は一つ一つのプレーが勉強になる」と感激。新しい体育館の完成に「自分たちもスポーツで釜石を盛り上げられたらいいな」と話した。

 

 遠野市の多田剛さん(31)は家族で観戦。「明るくてきれいな体育館。先週、息子がここでバスケの試合をする予定だったが、インフルエンザの流行でお預けとなった」。息子の蒼人君(宮守小5年)は、ブルズが開く週1回のバスケスクールに通っていて、教わっている澤口誠選手(釜石市出身)は憧れの存在。「今日は100点超えですごかった。僕も澤口選手みたいに点を取れるようになりたい」と目標を掲げた。

 

果敢なプレーで観客を沸かせた澤口誠選手。釜石市民も大興奮

果敢なプレーで観客を沸かせた澤口誠選手。釜石市民も大興奮

 

 震災があった2011年にプロリーグ入りしたブルズは、試合やボランティア活動で被災者に力を与えてきた。今回の試合も選手それぞれが特別な思いを持って臨んだ。

 

 澤口選手(28)は地元釜石での試合は中学校以来。同級生には震災で家を失った友人もいる。甚大な被害があったこの場所で試合をし、勝利を届けられたことに「地元の人たちも勇気づけられたのではないか。スポーツできる環境がやっと整った。プロ選手を呼んだり、どんどんスポーツに関わってほしい」と願った。

 

 ブルズは次節(21、22日)、所沢市民体育館で埼玉ブロンコスと対戦する。

 

(復興釜石新聞 2019年12月18日発行 第851号より)

 

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スポーツ拠点として幅広い活用に期待が高まる市民体育館

震災復興事業最後の施設、スポーツ新拠点オープン〜鵜住居に市民体育館、14・15日にBリーグ公式試合

スポーツ拠点として幅広い活用に期待が高まる市民体育館

スポーツ拠点として幅広い活用に期待が高まる市民体育館

 

 東日本大震災で被災し、釜石市が鵜住居町に再整備を進めた市民体育館は1日、オープンした。市の震災復興事業としては最後となる公共施設。ラグビーワールドカップ(W杯)の試合会場となったスタジアムとともに新たなスポーツ拠点、イベントなど幅広い活用に期待が高まる。

 

イベントなど幅広い活用に期待

 

 桜木町にあった旧体育館は震災の地震で天井を支える鉄骨部分が壊れるなど被害を受けたのに加え、旧耐震基準で建てられていたこともあり、2013年に解体。鵜住居地区での再整備を決め、昨年7月に着工。新体育館は工期の変更や事業費の増額などもあったが、今年9月に完成した。W杯ではボランティアの休憩所として活用された。

 

鵜住居駅前地区に整備された「うのすまい・トモス」。市民体育館(奥)の開館で復旧が完了した

鵜住居駅前地区に整備された「うのすまい・トモス」。市民体育館(奥)の開館で復旧が完了した

 

 新しい体育館は鵜住居駅西側の敷地に建設された。鉄骨一部鉄筋コンクリート造り2階建てで、延べ床面積は約3550平方メートル。観客席は車いす用6席を含む776席を設けた。多機能トイレやエレベーター、赤ちゃん休憩室を備えるなどバリアフリーに配慮。空調(冷暖房)も備えた。事業費は約24億7千万円。

 

 セレモニーには関係者約40人が出席した。野田武則市長は「鵜住居地区は海、山、川を融合した拠点になり得る。スポーツや観光の拠点として活用してほしい」とあいさつ。テープカットでオープンを祝った。

 

関係者がテープカットしてオープンを祝った

関係者がテープカットしてオープンを祝った

 

 この日は、市民に無料開放。バスケットボール男子Bリーグ3部(B3)岩手ビッグブルズ選手との交流などが行われた。

 

 用意された卓球台で初プレーを楽しんだのは、鵜住居町の両川キヨさん(74)、片岸町の川崎寿子さん(78)。「最高。卓球台が16台あると聞いた。大会ができる」と口をそろえた。

 

思い思いにスポーツを楽しむ市民ら

思い思いにスポーツを楽しむ市民ら

 

 市スポーツ推進委員協議会はニュースポーツ体験を提供。吉田千秋会長(69)は「思いっ切りいろんな取り組みができ、活動の幅が広がる。忙しくなりそう」と笑みをこぼした。

 

 市体育協会の菊池達男理事長(79)は「スポーツを通じ希望が持てる施設であってほしい。釜石のスポーツが発展するよう大いに活用したい」と期待した。

 

 「こけら落とし」として、14、15日に岩手ビッグブルズの公式試合が行われる。

 

(復興釜石新聞 2019年12月4日発行 第847号より)

関連情報 by 縁とらんす
釜石市民体育館 – 釜石市
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後半11分、釜石はモーガン・ミッチェルが中央にトライを決め、追い上げる=釜石鵜住居復興スタジアム

釜石シーウェイブス、九州電力に19―26〜FW戦で圧倒するも… 猛追も及ばず

後半11分、釜石はモーガン・ミッチェルが中央にトライを決め、追い上げる=釜石鵜住居復興スタジアム

後半11分、釜石はモーガン・ミッチェルが中央にトライを決め、追い上げる=釜石鵜住居復興スタジアム

 

 ラグビー・トップチャレンジ(TC)リーグの釜石シーウェイブス(SW)RFCは23日、釜石鵜住居復興スタジアムに九州電力を迎えて対戦し、19―26(前半7―19)で競り負けた。新加入のロック、マイケル・フィッツジェラルドのトライで先制したものの、その後は4トライ(3ゴール)を許して逆転された。その後2トライを奪い、試合終了間際に追い付く好機を迎えたが、相手ゴールを目の前にしたモールでミス。悔しいノーサイドとなった。釜石は7点差以内の敗戦で勝ち点1を獲得。2試合を終え、1分け1敗の勝ち点3で7位。

 

 釜石は前半19分、フィッツジェラルドのトライで先制するも、その後はミスが相次ぎ、3トライを許す。後半も先にトライを奪われたが、11分にモーガン・ミッチェルが中央にトライ。34分にはナンバー8中野裕太が敵陣ゴール前のモールからトライを決め、1トライ差まで猛追。終了間際にも同じような形からゴール目前まで迫ったが、最後にノックオン。惜しくも追い付くことはできなかった。

 

終了間際のモール攻撃も、ノックオンで得点ならず

終了間際のモール攻撃も、ノックオンで得点ならず

 

 釜石はスクラムで圧倒するなどFW戦で優位に立ちながらも、この後の展開でパスミスを重ねるなど詰めを欠いた。何度か試みたキックパスも精度を欠き、決め手とはならなかった。スコット・ピアースヘッドコーチは「選手間のコミュニケーション、判断も、いま一つ」と課題を指摘する。

 

 ホームスタジアムでの今季最終戦。約1700人が客席を埋めたスタンドからは最後まで「カーマイシ」コールが響いた。声援を背に奮闘したWTB小野航大主将は「特別な思いで臨んだ試合だったが…」と唇をかんだ。

 

今季のホーム最終戦。終了後は感謝の餅まきが行われた

今季のホーム最終戦。終了後は感謝の餅まきが行われた

 

 プロップ佐々木和樹、フッカー吉田竜二がけがから復帰するなど、スクラムの威力は格段に増した。小野主将は「春にはなかった強み」と頼もしそう。FW陣をまとめるナンバー8中野裕太主将も「スクラムが大きな武器になっている」と自信を深める。しかし、チームは未勝利と結果につながらない。中野主将は次の栗田工業戦に向け、「FWでプレッシャーをかけ続けたい」と気合を入れ直した。

 

(復興釜石新聞 2019年11月27日発行 第845号より)

 

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W杯に刺激され、熱戦を繰り広げる児童ら

ワールドカップの興奮 子どもたちも〜小学校対抗タグラグビー、参加チーム増加

W杯に刺激され、熱戦を繰り広げる児童ら

W杯に刺激され、熱戦を繰り広げる児童ら

 

 日本中が熱狂したラグビーワールドカップ(W杯)の興奮が冷めない中、ラグビーのルールや基本を体験して学ぶ第3回釜石市小学校対抗タグラグビー大会(釜石東ロータリークラブ主催)が17日、釜石鵜住居復興スタジアムで行われた。市内の小学校を中心に20チーム、186人の児童が参加。W杯の舞台となった芝生のグラウンドを懸命に駆け回り、W杯の興奮を体で感じていた。

 

 1チーム5人で4ブロックに分かれて予選を行い、各組の上位2チームで決勝トーナメントを戦った。決勝に進んだのは、地元の鵜住居ファイターズ(鵜住居小)と小佐野タイガース(小佐野)。スタンドに家族らの大きな声援が響く中、鵜住居が6―5(前半3―3)で小佐野を破り優勝した。

 

優勝旗を手に喜ぶ鵜住居のメンバー

優勝旗を手に喜ぶ鵜住居のメンバー

 

 接戦の末、栄冠を手にした鵜住居主将の黒沢強優君(6年)は「毎朝20分の練習成果が出た。頂点に立つことができて、うれしい」と胸を張った。「W杯(フィジー対ウルグアイ)では、世界レベルのプレーに驚いた。きょうは、みんなで声を出し合い、ピッチの幅を広く使えたのが勝因」と喜びを語った。

 

 今回の大会は東京五輪・パラリンピックの「復興ありがとうホストタウン事業」として実施。オーストラリアから交流事業で釜石を訪れた7人の小学生も参加し、釜石の子どもたちと絆を育んだ。

 

 この大会は、W杯釜石開催に向け機運醸成を図る目的でスタート。鵜住居復興スタジアムに会場を移した前回の参加チームは第1回大会の2倍に拡大し、W杯を経た今回はさらに増えた。

 

 釜石東RCの中田義仁会長(大会事務局長)は「世界レベルのプレーが刺激になったのか、子どもたちのパスや動きの精度が上がっている。W杯の影響の大きさを実感した」と手応えを話す。「各学校での取り組みも増え、レベルは確実に上がっている。今後は、子どもたちを中心にした『ラグビーのまち釜石』を目指したい」と強調した。

 

(復興釜石新聞 2019年11月23日発行 第844号より)

 

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前半8分、釜石CTBヘルダス・ファンデンボルトが先制トライを決める=釜石鵜住居復興スタジアム

釜石シーウェイブス TCリーグ初戦、格上コカ・コーラとドロー〜終了間際に追いつく、「うの・スタ」W杯の熱狂再び

前半8分、釜石CTBヘルダス・ファンデンボルトが先制トライを決める=釜石鵜住居復興スタジアム

前半8分、釜石CTBヘルダス・ファンデンボルトが先制トライを決める=釜石鵜住居復興スタジアム

 

 ラグビーのトップチャレンジ(TC)リーグが開幕。釜石シーウェイブス(SW)RFCは16日、釜石鵜住居復興スタジアムにコカ・コーラを迎えて初戦を行い、24―24(前半19―12)で引き分けた。トップリーグ(TL)から降格した格上チームを相手に、最後の最後まで手に汗握る白熱戦を展開。「被災地に復興の光を」と突進する釜石SWのひたむきなプレーは、ラグビーワールドカップ(W杯)の会場となったスタジアムを再び熱狂に包んだ。

 

大勢の「カーマイシ」コールを背中に受け、突進する釜石FW

大勢の「カーマイシ」コールを背中に受け、突進する釜石FW

 

 釜石は前半8分、新加入のCTBヘルダス・ファンデンボルトのトライ(ゴール)で先制。フッカー吉田竜二、SO中村良真のトライなどでリードを広げ、19―12で折り返す。後半、2トライを奪われ逆転を許すも、試合終了間際に敵陣でのモールからナンバー8中野裕太主将がインゴールにボールを運び、土壇場で引き分けに持ち込んだ。

 

試合終了間際、釜石は敵陣ゴール前からモールを押し込んでトライ、ドローに持ち込む

試合終了間際、釜石は敵陣ゴール前からモールを押し込んでトライ、ドローに持ち込む

 

 劇的な幕切れに、熱戦を見守った2千人余りの観客は大興奮。スタンドでは大漁旗が打ち振られ、「カーマイシ、カーマイシ」と応援の声が響き渡った。

 

 この日が30歳の誕生日の中野主将は「あそこはスイッチが入った」と同点の場面を振り返る。時計の針が40分を過ぎ、5点差で迎えた敵陣ゴール前のラインアウト。「カーマイシ」コールに背中を押されるように、一団となってモールを押し込んだ。

 

 「W杯の会場となったスタジアムでラグビーができる幸せ。僕らが復興の光になる」と中野主将は前を向いた。

 

格上チームを相手に執念のドロー発進をスタンドから祝福する大漁旗

格上チームを相手に執念のドロー発進をスタンドから祝福する大漁旗

 

 今季から指揮を執るスコット・ピアースヘッドコーチは何より先に、FWの踏ん張りをたたえた。「スクラムで押し負けなかった。釜石スピリットを感じた。来週の九州電力戦も面白くなるよ」

 

(復興釜石新聞 2019年11月20日発行 第843号より)

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