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輝き増す〝優勝杯〟獲得へ中学生が熱戦~釜石リアスLC杯バスケ第30回大会

輝き増す〝優勝杯〟獲得へ中学生が熱戦~釜石リアスLC杯バスケ第30回大会

輝き増す〝優勝杯〟獲得へ中学生が熱戦~釜石リアスLC杯バスケ第30回大会

 

 釜石リアスライオンズクラブ(永澤光雄会長、会員39人)が主催する同クラブ杯釜石地域中学校バスケットボール大会は4月29日、釜石市鵜住居町の市民体育館で開かれた。30回目を迎えた今年は、男女の優勝杯をメンテナンス。輝きを増したカップが1位チームの栄誉をたたえた。

 

大会30周年にあたりメンテナンスされた優勝杯

大会30周年にあたりメンテナンスされた優勝杯

 

 同大会は青少年の健全育成を願う同クラブが1992年に開始。例年、冬季に行われ、30回大会は昨年11月に予定されていたが、新型コロナウイルス感染症患者が市内で初めて確認されたことを受け、延期となっていた。年度をまたぎ、春に設定された大会には、釜石・大槌地区の中学校から男子4チーム、女子3チームが参加。男子はトーナメント戦、女子は総当たりのリーグ戦で優勝を競い合った。

 

釜石―甲子の1回戦。白熱したゲームが繰り広げられた

釜石―甲子の1回戦。白熱したゲームが繰り広げられた

 

 2011年の震災以降、大会は市内の中学校体育館などを借りて行ってきたが、19年に新市民体育館が完成したことで、前回大会から同館が会場に。コロナ禍の今大会は、応援に訪れる保護者は事前に学校に届けを出してもらい、入場時に本人確認。関係者以外が立ち入らないようにし、会場内での手指消毒、マスク着用、換気などと共に感染防止策を徹底した。

 

会場ではコロナ感染防止のための各種対策がとられた

会場ではコロナ感染防止のための各種対策がとられた

 

 運営に協力する市バスケットボール協会の菊地秀明会長(62)は、コロナの影響が続く本年度を見据え、「様子を見ながらだが、地元参加だけの大会はできれば開催したい。どうやったらできるかという方向で考えていく」と話した。

 

ゴール前で激しい攻防を見せる大平と大槌の選手

ゴール前で激しい攻防を見せる大平と大槌の選手

 

 同クラブの永澤会長(73)は大会30周年にあたり、「先輩会員の功績が今に残っているのはうれしい限り。学校統合で参加チームは少なくなっているが、試合の機会を欲する中学生のためにも、大会を長く続けていきたい」と望んだ。

 

試合を見守る釜石リアスライオンズクラブの永澤光雄会長

試合を見守る釜石リアスライオンズクラブの永澤光雄会長(左)

 

 今大会の結果は次の通り。
【男子(トーナメント)】
<1回戦>釜石 109-45 甲子/大平 72-28 大槌
<3位決定戦>甲子 52-31 大槌
<決勝戦>釜石 94-37 大平  
最終順位 ①釜石 ②大平 ③甲子
 
【女子(リーグ戦)】
大平 41-33 大槌/大平 43-29 釜石/大槌 50-49釜石
最終順位 ①大平 ②大槌 ③釜石

体験会でパス練習に挑む中学生=4日、市球技場

シーウェイブスアカデミー体験会開催~競技人口の底辺拡大やトップ選手輩出を目指し、4月17日開校へ

体験会でパス練習に挑む中学生=4日、市球技場

体験会でパス練習に挑む中学生=4日、市球技場

 

 ラグビーの地域型クラブチーム、釜石シーウェイブスRFC(SW)は、ジュニア部門強化に向けた指導体制として、本年度から中学生対象のSWアカデミーを開校する。
 小学生から活動する団員や中学から新たにラグビーを始めたいという生徒の練習・試合環境を整え、競技人口の底辺拡大や将来のトップ選手輩出につなげる取り組み。17日に開校し、週3回の練習や交流戦などを重ねながら、1年後の大会出場を目指す。

 

 釜石SWではこれまで、幼児から中学生が所属するSWジュニアが活動。小学生は単独チームで各種大会に出場してきたが、中学生は人数が少なく、チームを結成しての大会出場は難しい状況にあった。このため、中学生団員は試合や実践練習の場を求めて、内陸部で行われる県内合同の練習会に出向くことが多く、保護者の負担も大きかった。
 2019年のラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催を機に、小学生団員はこの3年で1・5倍増の70人余りに拡大。アカデミー創設は、意欲ある子どもたちの成長を中学で途切れさせることなく、効果的なトレーニングで基本技術や体力の向上を図る狙いがある。

 

 開校に先立ち、3月14日と4月4日に、興味のある生徒向けに体験会を実施。4日は市内外から25人が参加し、パスやキックなど4つの練習メニューを体験した。

 

 小丸嘉斗君(釜石中3年)は小学5、6年時にSWジュニアで活動。中学ではテニス部に所属し、2年時からは校内に季節限定で設置される特設ラグビー部でも活動する。アカデミーで通年練習が可能になったことを喜び、「高校でもラグビーを続けたい。コロナ(の心配)もあるが、周りへの感謝を忘れず1年頑張りたい」と気を引き締めた。

 

アカデミーについて会見した坂下功正総監督、桜庭吉彦GM、鈴木亮大郎HC、細川進コーチ(右から)

アカデミーについて会見した坂下功正総監督、桜庭吉彦GM、鈴木亮大郎HC、細川進コーチ(右から)

 

 4日は体験会終了後、アカデミー開設に係る記者会見も開かれ、スタッフや今後の活動について説明があった。
 アカデミーのヘッドコーチには高校、U20日本代表を経験し、仙台育英高、関西学院大ラグビー部コーチを務めてきた鈴木亮大郎(りょうたろう)さん(31)=滝沢市出身=が就任。元釜石SW選手の細川進さん(42)ら10人のコーチ陣が指導にあたる予定。チームスローガン「Challenge(チャレンジ)」のもと、自ら考え行動できるプレーヤーを育成する。
 鈴木ヘッドコーチは「岩手から日本代表選手に育っていけるよう日々の練習をサポートしていく」、桜庭吉彦ゼネラルマネジャーは「ラグビーを通じた地域活性化にも貢献できれば」と意気込む。

 

 アカデミーの練習は月・水曜日が午後6時から、土曜日は午前10時から甲子町の市球技場で行う。入会は随時受け付ける。問い合わせは釜石SW事務局(電話0193・22・1173)へ。

釜石シーウェイブス ホーム戦飾れず、近鉄に15―36〜熱い声援に意地の2トライ

釜石シーウェイブス ホーム戦飾れず、近鉄に15―36〜熱い声援に意地の2トライ

近鉄を相手に奮闘する釜石SWフィフティーン=13日、釜石鵜住居復興スタジアム

近鉄を相手に奮闘する釜石SWフィフティーン=13日、釜石鵜住居復興スタジアム

 

 ラグビー・トップチャレンジ(TC)リーグの釜石シーウェイブス(SW)RFCは13日、ホームの釜石鵜住居復興スタジアムで近鉄と対戦し、15―36(前半3―17)で敗れた。後半にWTB氏家柊太、試合終了間際にフランカーのサム・ヘンウッドがトライを挙げたが、追撃も遠く及ばなかった。釜石SWは1勝2敗の勝ち点5でA組の3位となり、トップリーグ(TL)のプレーオフトーナメントには進めなかった。TCリーグは20日から順位決定戦を行い、釜石SWは5~8位決定戦に臨む。21日にBグループ4位のマツダと調布市で対戦する。

 

震災10年を迎え黙とうするスタンドのラグビーファン

震災10年を迎え黙とうするスタンドのラグビーファン

 

 コロナ禍の影響でTCリーグ開幕が遅れ、今季の釜石SWの最初で最後となるホーム公式戦。降りしきる冷たい雨の中、釜石フィフティーンはスタンドを埋めた熱心なファンの声援に背中を押され、格上の近鉄に最後まで食い下がった。

  

 前半に3トライを許し14点差で折り返した釜石SWは後半9分、交代で出たSO中村良真のキックを氏家が追い、インゴールで押さえてトライ。その後3トライを奪われるも、終了間際にヘンウッドがダイビングトライを決めて意地を見せた。

 

 震災10年を迎えた最初の週末に、今季初めて観客を入れて行われた意義深い一戦。奮闘むなしく敗れはしたものの、CTB小野航大主将は「特別な意味のある試合で、全員がプライドを持って80分間戦えた」と手応えを語る。共同主将として支えるFW中野裕太は「釜石でラグビーができることに感謝し、東北のチームとして盛り上げていきたい」と前を向いた。

  

復興五輪へ関心喚起、聖火リレートーチ展示

復興五輪へ関心喚起、聖火リレートーチ展示

五輪(左)とパラリンピックの聖火トーチを見学する親子

五輪(左)とパラリンピックの聖火トーチを見学する親子

 

 新型コロナウイルス感染拡大で1年延期された東京2020五輪、パラリンピック競技大会の聖火リレートーチの巡回展示が2月27、28の両日、釜石市のイオンタウン釜石で行われた。「復興五輪」への関心喚起を目的に聖火事業等県実行委が主催。県内の五輪聖火リレーは6月16日から3日間予定され、同市では17日に実施される。

 

 県内33市町村で行うトーチの展示は、昨年9月の雫石町を皮切りに始まり、釜石市は22カ所目。両大会のトーチは長さ71センチ、重さ1・2キロのアルミ製。桜をモチーフにしたデザインで、花びらを模した上部から立ち上る5つの炎が中央で一つになる構造。素材の一部に東日本大震災の仮設住宅に使われたアルミ建築廃材を再利用する。色は五輪用が桜ゴールド、パラ用が桜ピンク。パラのトーチには大会の精神を表す4つの言葉が点字で入れられている。

  

 五輪聖火リレーは3月25日、福島県からスタートする。岩手県では6月16日から18日までの日程で、約64キロの道のりを約280人のランナーがつなぐ。2日目の沿岸8市町村を回るコースで釜石市は6番目。魚河岸から市民ホールTETTOまで約1・2キロを8人のランナーがつなぐ。

 

 トーチの展示と合わせ会場では、東京大会で日本代表選手が着用予定のユニホームや過去の五輪、世界選手権で着用したユニホームも公開。本県出身選手が出場した過去の大会の歴史がパネルで紹介されたほか、三ヶ田礼一さん(スキーノルディック複合)、大井利江さん(パラ円盤投げ)ら本県出身4選手が大会で使用した競技用具も展示された。走り幅跳び、高跳びの選手が出した世界、日本記録を実感できる模擬セットもあり、来場者の注目を集めた。

  

 コロナの収束が見通せない中、開催への不安の声もある東京大会。見学に訪れた市内の会社役員男性(44)は「選手のことを考えると、無観客など何らかの方法で開催への道を探ってほしい。予算もかけて準備してきたものが全部ゼロになるのはもったいない」と話し、今後の動向を注視した。

釜石トライアスロン30周年記念誌発刊〜「継続は力」熱い思いを一冊に、震災からの復活 全国から支援

釜石トライアスロン30周年記念誌発刊〜「継続は力」熱い思いを一冊に、震災からの復活 全国から支援

震災から立ち上がってきた大会の軌跡が掲載された記念誌

震災から立ち上がってきた大会の軌跡が掲載された記念誌

 

 釜石市を代表する一大スポーツイベントに成長した「釜石はまゆりトライアスロン国際大会」は、1990年の開始から昨年で30周年を迎えた。大会を主管する釜石トライアスロン協会(小林格也会長)は、これまでの歩みを記録した30周年記念誌を先月発刊。東日本大震災からの大会復活、正式種目となった国体トライアスロンの釜石開催成功など、同市復興のシンボルとして走り続けた軌跡が関係者の熱い思いとともにつづられる。

 

 記念誌はA4判カラーで全50ページ。大会を支えてきた関係自治体や競技団体の代表、本県出身のトライアスリート、コース沿線の町内会長ら28人が寄稿。釜石大会の魅力や価値、地元にもたらした効果、懐かしい思い出などが、それぞれの視点で記されている。

  

 大会の歩みは、震災前の2010年までの20年間(通算21回開催)と、震災後の復活劇を1年ごとに追ったページで構成。豊富な写真を掲載し、多くの人々が関わってきた同大会を印象づける。

 

 11年の震災では大会メイン会場の根浜海岸と、コースとなっていた鵜住居、箱崎地区が津波で甚大な被害を受けた。協会員も被災し、大会存続が危ぶまれる中、復活の決断を後押ししたのが「復興の一助となってほしい」という地元の声。16年の岩手国体からトライアスロンが正式種目になり、釜石が開催地となることが決まっていたことも原動力となった。

 

完成した記念誌を手に関係者に感謝の気持ちを表す小林会長

完成した記念誌を手に関係者に感謝の気持ちを表す小林会長

 

 震災の翌12年にはオープンウォータースイム(水泳)、13年にはアクアスロン(水泳、長距離走)、14年にはトライアスロン(水泳、自転車、長距離走)の大会を実現させ、16年の国体開催につないだ。

  

 「震災直後は正直もうだめかと思ったが、市民や釜石を愛する全国の皆さんに支えられ、ここまでこられた。感謝しかない」と小林会長(82)。第1回大会から無事故できたことも大きな成果に挙げる。

 

 昨年は津波で流失した根浜海岸の砂浜再生工事が完了。30周年の記念大会を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大を受け、中止を余儀なくされた。震災、コロナと2度の危機に直面するが、「継続は力。今年こそ大会ができるようになることを祈る」。

 

 30周年記念誌は250部作成。大会関係者や支援者、協会員などに配られる。

県レベルのバレーボール大会で初めての優勝を飾った栗林ラビ—の主力選手と指導者

栗林ラビー(小学生バレー)県大会で快挙〜めんこいテレビ杯で初優勝、攻撃 守備のバランス良く

県レベルのバレーボール大会で初めての優勝を飾った栗林ラビ—の主力選手と指導者

県レベルのバレーボール大会で初めての優勝を飾った栗林ラビ—の主力選手と指導者

 

 第30回岩手めんこいテレビ杯県小学生バレーボール新人大会(県バレーボール協会、県小学生バレーボール連盟主催)は13、14の2日間にわたり、陸前高田市など気仙地域の5会場で開かれ、釜石市代表の栗林ラビーが優勝した。新人大会(5年生以下)とはいえ、1984年から活動するラビーはチーム史上初の県チャンピオンに輝いた。選手2人が有望選手賞、藤原明広監督兼代表が優秀監督賞を受けた。

  

 大会は男女と混合の計3部門あり、ラビーなど女子部門には38チームが出場した。ラビーは釜石・花巻地区(東和を含む)予選を勝ち抜き、本大会に進んだ。順調に勝ち進み、準々決勝では強豪の軽米にセットカウント2―1の逆転勝利。準決勝も一関を2―1で逆転して粘り強さを見せた。決勝は田頭(八幡平市)に2―0で圧倒した。

 

 全試合を通じて活躍した選手10人を選ぶ有望選手賞を山崎新菜さん(釜石5年)と小笠原早紀さん(栗林5年)が受けた。

 

 主将の金野涼葉さん(鵜住居5年)は1年生から入団し、ポジションは守備力を問われるバックセンター。「手応えは感じていたけど、本当に優勝してビックリした。全員サーブが良く、攻撃と守備のバランスもいい。6年生になったら、もう一度、県で優勝したい」と意欲を高めた。

 

 小林夏穂さん(栗林6年)は「今のメンバーは早くから試合に出ている。監督さんも、だんだん強くなっていると話していた。みんな元気がいい。優勝できて、私もうれしい。中学校でもバレーボールをします」と、〝後輩〟の活躍に励まされたよう。

  

 ラビーは創設から約36年のチーム歴を重ねる。これまで県内大会で何度か準優勝があり、2005年には全国大会に初出場した。数年前には選手が4人と存続の危機もあったが、栗林小児童主体の選手編成から広域化を進め、現在は1年生以上20人が登録する。選手が在籍する学校は市内6校、大槌町1校に広がる。

 

 保護者コーチ3人とチームを指導する藤原監督(62)は「新人大会とはいえ、県大会での初優勝はすごい。来年の活躍が楽しみだが、主力がごっそり抜けるその後が心配」と悩みは尽きない。

 

 チームの本拠地は栗林小体育館。練習は火・木曜日の午後6時半から約2時間。土・日曜日は午前9時から昼まで行う。加入、見学の問い合わせ、申し込みの連絡は、副会長の菊池健さん(電話090・8924・2221)へ午後6時以降に。

岩手ビッグブルズ(Bリーグ3部)、釜石でホーム2連勝 被災地を勇気づける〜特別ユニホームで躍動、釜石出身アーティスト 小林覚さんデザイン

岩手ビッグブルズ(Bリーグ3部)、釜石でホーム2連勝 被災地を勇気づける〜特別ユニホームで躍動、釜石出身アーティスト 小林覚さんデザイン

第4Q終盤、連続得点で勢いづく岩手ビッグブルズ(紺)=13日

第4Q終盤、連続得点で勢いづく岩手ビッグブルズ(紺)=13日

 

 日本プロバスケットボール男子Bリーグ3部(B3)の岩手ビッグブルズは13、14の両日、釜石市鵜住居町の市民体育館で開かれた第5節のホーム戦で、岐阜スゥープスと対戦。2試合とも勝利し、通算9勝1敗で単独首位をキープした。東日本大震災復興祈念試合と位置づけられた本戦。「絶対負けられない」とチーム一丸となってもぎとった勝利は、地元の観客らに大きな感動を与え、震災から間もなく10年となる被災地を活気づけた。

 

 ブルズの釜石での試合は、2019年12月の同体育館こけら落とし以来2回目。13日午後6時からの試合には、452人が来場した。

  

 第1クオーター(Q)を21―12、上々の立ち上がりを見せたブルズだったが、その後、岐阜にじわじわと追い上げられ苦しい展開に。第3Q終了時点で60―57とリードを奪われた。最終第4Qも一進一退の攻防。地元応援団の力強い後押しを受け、勝利への執念を燃やすブルスは終盤の連続得点で必死の追い上げ。試合終了1分20秒前に79―79の同点に持ち込んだ。ドラマはまだまだ続く。残り9・9秒。岐阜のファウルでフリースローを得たブルズは、奥州市出身、在籍10年目の千葉慎也選手が2本とも確実に決め、逆転に成功。激しいディフェンスで最後まで守り切り、81―79で接戦を制した。

 

試合終了間際、ブルズの逆転に沸きたつブースターら

試合終了間際、ブルズの逆転に沸きたつブースターら

 

 大槌町の会社員田中吉子さん(56)は「最後まで諦めない姿に感動した。最後の2点はみんなの気持ちが伝わったのかな。震災10年にあたり、(意義ある)大きなプレゼントになった」とチームをたたえた。

 

 釜石市の双葉ミニバス少年団に所属する川村惺雅君(双葉小6年)は「接戦試合でめっちゃ面白かった。ブルズのプレーは自分たちのお手本。ドリブルの強さとかまねできるようになりたい」と憧れのまなざし。この日は前座のU―12の試合に釜石選抜メンバーの一人として出場した。

  

 勝敗を左右するフリースローを決めた千葉選手(33)は、現選手の中で唯一の岩手県出身者。「この場面で自分かと運命的なものを感じた。この地の力も宿ったのかな。(ボールがゴールに)吸い込まれていった」。我慢強くプレーし、メンバー全員で被災地に届けられた価値ある勝利に喜びをにじませた。千葉選手はこの日、MVP賞も受賞した。

 

 14日は109―57、今シーズン最多得点で快勝。連勝を6に伸ばした。第6、7節は3位につける東京エクセレンスとの4連戦に挑む。

 

小林覚さんによる特別ユニホームで躍動

 

復興祈念ユニホームについて紹介する小林覚さん(右)と松田文登副社長

復興祈念ユニホームについて紹介する小林覚さん(右)と松田文登副社長

 

 今回の復興祈念試合で岩手ビッグブルズの選手を鼓舞したのが、釜石市出身のアーティスト小林覚さん(31)のアート作品をデザインした特別ユニホームの着用。被災地復興の力となるべく活動してきたクラブが、震災10年にあたり作成した。4月に宮古市で開催されるベルテックス静岡戦でも身に着ける。

 

 釜石の試合で着用したのは、2色(紺・白)のうち紺色のユニホーム。一部に小林さんが描いたアートがあしらわれる。原画は小林さんが大好きなビリー・ジョエルの名曲「マイ・ライフ」(1978年)をイメージした作品。歌詞を自分の耳に聞こえたとおりに文字化し、小林さんならではの表現でつづっている。同曲は自分らしい生き方や心の豊かさが歌われている。

 

ユニホームにデザインされた小林さんの作品

ユニホームにデザインされた小林さんの作品

 

 復興祈念ユニホームの作成は、知的障害のあるアーティストの作品をさまざまな形で世に送り出している福祉企画会社、ヘラルボニー(松田崇弥社長、盛岡市)との共同企画。復興にかけるブルズの強い思いに共感した同社がデザインを担当した。

 

 13日は小林さんと同社の松田文登副社長が試合を観戦。松田副社長は「障害のあるアーティストの作品をプロスポーツチームが取り入れるのは全国初。障害のイメージを変えていく一歩を岩手から踏み出せたのは大きい」と強調。

 

 今回のタイアップを提案した伊藤良太主将(28)は「おしゃれでかっこいいユニホーム」と気持ちを高ぶらせ、「スポーツとのコラボで発信できる社会的メッセージは多い。この実現が力になり、次の10年につながっていけば」と願った。

 

 被災地岩手でバスケットボールをする意義を選手全員で共有し、体現するブルズ。13日は試合前に岐阜の選手と釜石祈りのパークを訪れ献花、震災犠牲者の冥福を祈った。伊藤主将は「自分たちがバスケをする意味をあらためて考えさせられたと思う。つらい思いをしている方々に元気や明日への活力を与えられるようプレーしていきたい」と誓った。

ラグビーのまち構想実現に向け、釜石と東京をオンラインでつないで実施された協定締結式

「ラグビーのまち」創造へ〜釜石市、コンサルティング会社と連携協定 復興スタジアム

ラグビーのまち構想実現に向け、釜石と東京をオンラインでつないで実施された協定締結式

ラグビーのまち構想実現に向け、釜石と東京をオンラインでつないで実施された協定締結式

 

 釜石市は1月28日、コンサルティング会社フューチャーセッションズ(東京都渋谷区、有福英幸社長)とスポーツを生かしたまちづくりの実施に関する包括連携協定を結んだ。両者はラグビーワールドカップ(W杯)の会場となった釜石鵜住居復興スタジアムの運営、活用方法を検討する委員会の事務局業務を協働で進めており、連携を強化。「ラグビーのまち釜石」の多様な新価値の創造に挑戦する。

 

 フューチャーセッションは、多様な人をつなぎ共創的な対話や協業で新たな関係性やアイデアを生み出す場。同社は、この手法を用いた企画・運営、共創型の事業開発・組織開発支援などを展開している。釜石市との関わりは2014年からで、最近ではスタジアム運営委の事務局業務をサポートしてきた。

  

 協定締結は、双方が持つ資源を有効に活用した協働による活動を推進し、地域の活性化やラグビーのまちとしての振興を図るのが狙い。▽ラグビーW杯の成果を生かしたまちづくり▽スポーツを基軸とした地域産業の振興▽スポーツによる青少年の健全育成・人材育成―など7項目に取り組む。

 

 締結式は都内の同社と釜石市鈴子町のシープラザ釜石内のラグビーカフェをつなぎ、モニター越しで実施。野田武則市長は「力と知恵を借り、『ラグビーのまち釜石』構想の実現に向け一歩を進めたい」と期待を込めた。

 

 両者は取り組みを効果的に遂行するため、定期的に協議の場を設ける。有福社長は「パートナーとして、新たな価値の創造や地域課題の解決をサポートしたい」と強調した。

「素晴らしい環境に感謝」と秋田工の選手ら=釜石鵜住居復興スタジアム

花園での躍進誓う、合宿の成果を勝利に〜釜石市の補助金活用、盛岡工・秋田工

花園での勝利を目指し練習する盛岡工の選手ら=根浜多目的広場

花園での勝利を目指し練習する盛岡工の選手ら=根浜多目的広場

 

 第100回全国高校ラグビー大会に出場する盛岡工高と秋田工高のラグビー部が、27日から東大阪市の花園ラグビー場で開幕する大会に向け、釜石市でそれぞれ合宿を行った。市が11月に創設したスポーツ合宿推進事業補助金制度を活用した第1号で、釜石で昨年開催されたラグビーワールドカップ(W杯)のレガシー(遺産)を花園での躍進につなげる。両校の監督と主将が11日、釜石市役所を訪れ、野田武則市長に感謝と決意を述べた。

 

 優勝2回の盛岡工は12大会ぶり35回目の出場。初戦は28日に関西学院高(兵庫)と対戦する。小原義巧監督(38)は2007年から11年まで釜石シーウェイブス(SW)RFCのSOとして活躍。現役引退後、母校の実習教諭となり、16年からラグビー部の監督を務める。久しぶりに臨む花園へ向け、「合宿の成果を全国大会につなげ、岩手に明るいニュースを」と意気込む。兼平歩雅主将(3年)は「感謝の思いを忘れず、ベスト16に食い込めるよう頑張りたい」と決意を述べた。

 

「素晴らしい環境に感謝」と秋田工の選手ら=釜石鵜住居復興スタジアム

「素晴らしい環境に感謝」と秋田工の選手ら=釜石鵜住居復興スタジアム

 

 一方、全国最多15回の優勝を誇る秋田工は3大会ぶり68回目の出場。28日の初戦で東海大静岡翔洋高(静岡)と対戦する。淡路直明監督(56)は「釜石の素晴らしい環境で準備できることに感謝」、川瀬翔太主将(3年)は「合宿の成果を生かし、いい形で花園に臨みたい」と決意を述べた。

 

 秋田工出身で釜石シーウェイブス(SW)RFCの桜庭吉彦ゼネラルマネジャー(54)も駆け付け、「花園で東北旋風を」とエールを送った。野田市長は「目標を達成してほしい」と激励した上で、「復興スタジアムを多くの方に使ってもらうことで歴史が積み重ねられる」と合宿推進事業の意義を強調した。

 

野田市長を表敬訪問した盛岡工、秋田工の監督や主将ら

野田市長を表敬訪問した盛岡工、秋田工の監督や主将ら

 

 補助制度はW杯の会場となったスタジアムなど施設を活用し、交流人口の拡大を促すなどが狙い。対象は東北6県と新潟県の団体で、交通費と宿泊費(上限35万円)を補助する。

 

 盛岡工が11~13日、秋田工は11~14日に釜石で合宿。12日は盛岡工が鵜住居町の根浜海岸観光施設多目的広場で、秋田工は鵜住居復興スタジアムでそれぞれ練習を重ねた。

パスをつないでラグビーの楽しさに触れる児童

ラグビーで学ぶ「思いやり」、鵜住居小で体験授業

パスをつないでラグビーの楽しさに触れる児童

パスをつないでラグビーの楽しさに触れる児童

 

 鵜住居小(堀村克利校長、児童144人)は、ラグビーワールドカップ(W杯)の成果を生かしたまちづくりの推進に向け、釜石市が企画する「ラグビーのまち釜石」教室を体育の授業に取り入れている。12日は3、4年生が参加。地元のラグビー選手も実践する少しきつめのトレーニングメニューで競技を体験し、仲間を思いやる気持ちや協力することの大切さを体感した。

 

 講師は市スポーツ推進課ラグビーのまち推進係の長田剛主任。元ラグビー選手で、所属していた釜石シーウェイブス(SW)RFCの河野良太選手、吹越大清選手、吉田竜二選手兼コーチがサポートした。

 

 3年生27人の授業では「みんなで協力して目標を達成する」をテーマに、5チームに分かれて腕立て伏せや腹筋など10種類のトレーニングに挑んだ。走りながらパスをつなぐチャレンジでは、ボールを落として初めから何度もやり直しするチームも。「頑張れ」「もう少しだよ」と互いに声を掛け、励まし合ってメニューを達成した。

 

 小林大空(かなた)君は「みんなと力を合わせるのが楽しかった。ラグビーに親しみを持てた」と笑顔を見せた。

 

 品位、情熱、結束、規律、尊重という「ラグビー憲章」を紹介した長田主任。「ひとりでは難しいことも、みんなでやればできる。それぞれ得意、不得意なことがあり、できることで力を出し合うことが大事。普段の生活でも仲間と協力し合うことを忘れないで」と呼び掛けた。

 

 この教室は、ラグビーの魅力や楽しさに触れながら心身の健康増進、体力向上を図り、ラグビー精神を身に付ける機会にしてもらうのが狙い。実技・座学を選択でき、これまでに市内4小中学校で実施された。5校目の同校では6~13日に行い、全学年が取り組んだ。

「天童よしみ絆旗」をオール豊間根に贈る下村五五男会長(右)

「天童よしみ絆旗」15チームが争奪〜学童野球大会、釜石東ジュニアは準優勝

「天童よしみ絆旗」をオール豊間根に贈る下村五五男会長(右)

「天童よしみ絆旗」をオール豊間根に贈る下村五五男会長(右)

 
 大阪出身の演歌歌手天童よしみさんの東日本大震災被災地支援で釜石市を主会場に開かれる学童野球大会「三陸復興交流天童よしみ絆旗大会」(下村五五男実行委員長)は10月31日から11月3日まで釜石市の平田公園野球場と唐丹グラウンド、大船渡市の大船渡三陸総合運動公園で行われた。9回目の今回は県内の強豪15チームが参加し、トーナメントで対戦。決勝ではオール豊間根(山田町)が釜石東ジュニア(釜石)を4―0で下して優勝した。

 

 「打倒コロナ!祈念大会」と掲げた今回、釜石市代表の釜石ファイターズは1回戦で野田フェニックス(野田村)に敗れたが、釜石東ジュニアは米崎リトル(陸前高田市)、いちのへ(一戸町)、玉山(盛岡市)を退け決勝に進出した。

 

準々決勝で「いちのへ」(守備)に快勝した釜石東ジュニア=1日、唐丹グラウンド

準々決勝で「いちのへ」(守備)に快勝した釜石東ジュニア=1日、唐丹グラウンド

 

 釜石東を率いて2年目の三浦成人監督(43)は「コロナで大変だったが、野球を楽しませたい」と見守った。投打に活躍したエースで主将の久保朱璃君(鵜住居小6年)は「球速も上がり、コントロールも安定してきた」と成長を実感。攻守に好プレーを続けた遊撃手の小笠原颯真君(栗林小6年)は「春に比べ一人一人の力が高まった。自分も送球が確実になり、脚力も上がった」と自信を見せ、決勝に臨んだ。

 

 決勝では、捕手に楽天ジュニアのレギュラー佐々木想弥君(豊間根小6年)を擁するなど堅い守りの豊間根が勝った。大会MVPを獲得したエース堀合拓斗君(豊間根小6年)の祖父堀合徳治さん(72)は「きょうは拓斗のコントロールが良かった。体は小さいが、力がついている。最後まで投げ切った。大きな大会での優勝は初めてではないか」と目を細めた。

 

 敢闘賞に釜石東の田中柊羽君(栗林小5年)、実行委員長賞は野田フェニックスの小野寺涼哉君(野田小6年)、特別賞は豊間根の女子選手佐々木美優さん(豊間根小6年)が選ばれた。それぞれプロ野球選手の色紙、サインボール、ユニホームが贈られた。

 

 中学生時代から天童さんと親交を結ぶ唐丹町花露辺出身の下村実行委員長(65)は閉会式で、「来年は10回。天童さんが来てくれるといい」と期待しつつ、「みんなを見守っている多くの人たちに感謝し、これからも野球に親しんでほしい」と呼び掛けた。

 

 アトラクションでマウンドに上がり、両チームの打者と勝負を楽しんだ下村さんは「コロナ問題で実施を心配したが、各チームの熱意で予定より遅れながらも開催できた。震災は想像できない出来事だったが、コロナも深刻な問題。子どもは大変な状況にある。それでも野球への熱量は高い。その姿を今年も見られたことがうれしい」と感慨深そうに語った。

 

▽決勝
釜石東ジュニア
0000000 0
013000× 4
オール豊間根
(釜)久保―栗澤
(豊)堀合―佐々木
▽二塁打=田中輝(豊)、田中柊、久保朱(釜)

少年、ベテランが入り乱れて3・2キロのスタート

老いも若きも健康謳歌、W杯レガシー胸に ひた走る〜鵜住居復興スタジアム会場に、第46回釜石健康マラソン大会

少年、ベテランが入り乱れて3・2キロのスタート

少年、ベテランが入り乱れて3・2キロのスタート

 

 第46回釜石健康マラソン大会(釜石市体育協会、市陸上競技協会、釜石市主催)は10日、鵜住居町の釜石鵜住居復興スタジアムと周辺で行われた。大会が行われた午前中はあいにくの曇り空となったものの、幼児から80代まで173人のランナーと家族ら約500人が子どもの成長と健康を喜び合った。

 

 これまで会場としてきた甲子町松倉の市球技場から、今回初めて鵜住居復興スタジアムに移して行われた。この日午後に行われるラグビーワールドカップ(W杯)日本大会開催1周年記念試合を前に、スポーツと健康を謳歌(おうか)する舞台となった。参加者は市内、周辺の沿岸地域、県内外から集まった。

 

スタート直後の緩い上り坂では余裕いっぱい

スタート直後の緩い上り坂では余裕いっぱい

 

 開会式で市体育協会の菊池達男理事長が「ここで昨年、W杯が開かれた。レガシー(遺産)の場で元気に走った喜びの記憶が残るよう願う」とあいさつ。審判長の菊池信男市陸協理事長が新型コロナウイルス対策を呼び掛け、コースや注意事項を伝えた。市スポーツ推進委員の蓮見純子さんがストレッチなど準備運動を指導し、午前9時15分から順次スタートした。

 

 すべてのコースがスタジアムを1周し、鵜住居川河口と長内川南側の市道で折り返した。スポーツクラブの少年らはそろいのユニホームで出場。沿道では家族や仲間が声援を送った。幼児の部と対抗リレーはスタジアムの芝のグラウンドで行われた。キャラクターの着ぐるみ、仮装のランナーは観客の笑顔を誘った。

 

 沿道で妻勝子さん(79)=と共に孫の大里直輝君(鵜住居小3年)を応援したのは鵜住居町日向の大里利男さん(82)。「元気に育ってくれた。コロナ(問題)で、気軽に人と行ったり来たりできない。きょうは外の行事だから大丈夫だろう」と心置きなく声援を送った。

 

 小学校5・6年男子の部で1位となったFC釜石の山口悠貴君(甲子小6年)は「サッカーを始めて4年目。走るのは得意。きょうは調子が良かった」と、仲間と健闘をたたえ合った。

 

宮城県の高橋さん(右)はトレードマークのハワイアンスタイルで完走した

宮城県の高橋さん(右)はトレードマークのハワイアンスタイルで完走した

 

 ハワイアン・スタイルで出場したのは宮城県柴田町の高橋光春さん(67)。車で3時間半かけて駆け付け、3・2キロを23分20秒で完走した。20年前、生活習慣病(コレステロール値や脂肪肝)の診断に走り始めた。減量に成功し、体も引き締まった。東北各地のレースに出場し、ハワイでも走った。「初めての場所なので、ゆっくり景色を見ながら走った。福島県浪江町に復興支援で行ったこともあるが、胸が痛む状況だ。同じ大震災の被災地でも、鵜住居の方が穏やかに感じる」と印象を語った。