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釜石ラグビー人財育成専門員として着任した佐伯悠さん(右)、野田武則市長

釜石・ラグビー人財育成プロジェクト始動 専門員に元釜石SW佐伯さん

釜石ラグビー人財育成専門員として着任した佐伯悠さん(右)、野田武則市長

釜石ラグビー人財育成専門員として着任した佐伯悠さん(右)、野田武則市長

 

 ラグビーの普及や選手の育成・強化に向けた釜石市の取り組み「ラグビー人財育成プロジェクト」が動き出した。1日、子どもたちの指導などを担う専門員として、釜石シーウェイブス(SW)RFC元選手の佐伯悠さん(36)が着任した。ジュニア世代から高校まで切れ目ない選手の育成によりトップ選手輩出を目指し、ラグビーに関わる人材育成の基盤づくりが狙い。新しい「ラグビーのまち」の実現を目指す。

 

 佐伯さんは神奈川県横浜市出身。関東学院大卒業後、2007年に釜石SWに入団した。東日本大震災があった11年に主将になり、3年間チームをけん引。19年に退団した。日本ラグビー協会と日本スポーツ協会が認定するA級コーチ、ワールドラグビーが認定する資格(レベル2)を保有。仕事の都合で戻った神奈川県で高校生の指導に携わってきた。

 

 今回、会社を退職して専門員に転身した佐伯さん。「釜石には大きな恩がある。持てる力を還元できれば。ラグビーの楽しさを伝え、一人でも多くの子どもたちが関わってもらえるようにしたい」と意気込む。

 

現役時代の佐伯さん(中央) 2015年9月12日 釜石SW対ヤクルトレビンズ(写真:Grafica Inc. 西条佳泰)

 

 辞令を交付した野田武則市長は「ラグビーワールドカップのレガシー(遺産)を守りながら、ラグビーのまちを発展させたい。頑張ってほしい」と期待した。

 

 専門員の任用は、第6次市総合計画(21~30年度)で掲げる重点施策の一つ、「ラグビーのまち・釜石」を推進するため。市内の公的機関やスポーツ団体などでつくる協議会内に、教育関係者も交えた専門委員会を設置する方針で、佐伯さんは専門委の事務局業務を担う。プロジェクトに関する業務では、釜石SWが運営するSWジュニアや中学生対象のアカデミーと連携しながら競技の普及、全国大会出場を目標とした技術強化に向けた施策などを検討する。

市民体育館で行われたバドミントン。優勝目指し全力でプレー=19日

釜石大槌地区中総体 コロナに負けず、県大会目指し9競技で熱戦

市民体育館で行われたバドミントン。優勝目指し全力でプレー=19日

市民体育館で行われたバドミントン。優勝目指し全力でプレー=19日

 

 2021年度釜石大槌地区中学校総合体育大会(中総体)は19、20の両日、9競技が行われた。各会場では新型コロナウイルス感染防止策を徹底し、安全安心な大会運営に生徒、教員、保護者ら関係者が協力した。昨年は中止された県大会が今年は実施予定。選手は持てる力を存分に発揮し、地区代表の座をかけて熱戦を繰り広げた。

 

 昨年の中総体は県大会以上が中止され、釜石大槌地区では7月に代替の地区大会を無観客で実施。柔道を除く8競技が行われた。今年は一部競技を除き、保護者の観戦が可能となったが、人数制限や入退場時間の設定、拍手での応援など細かなルールが設けられた。特に屋内施設では十分な換気、選手との接触回避に努め、感染リスク低減を図った。

 

軟式野球の準決勝、釜石―大平・唐丹の試合=20日、平田運動公園野球場

軟式野球の準決勝、釜石―大平・唐丹の試合=20日、平田運動公園野球場

 

保護者はコロナ対策のマナーを守り、拍手で応援

保護者はコロナ対策のマナーを守り、拍手で応援

 

 釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムは、初めて同大会サッカー競技の会場となり、釜石東・甲子合同チームと大槌学園が対戦した。両校合同チームは昨秋の新人戦に続いての結成。甲子の菊池一朗主将は、中学部活動の集大成に「ラグビーワールドカップ(W杯)があった場所で試合ができてうれしい。3年間やり切った」。釜石東の松下青夏主将は「プレーしやすい会場。試合に負けて悔しいが、新人戦から甲子中と合同でやれたことは大切な思い出」と振り返った。

 

釜石鵜住居復興スタジアムで熱戦を繰り広げたサッカー。ラグビーW杯の聖地で中総体の思い出を刻む

釜石鵜住居復興スタジアムで熱戦を繰り広げたサッカー。ラグビーW杯の聖地で中総体の思い出を刻む

 

甲子中体育館で行われたバレーボール=19日

甲子中体育館で行われたバレーボール=19日

 

 バレーボールは甲子中体育館が会場。2連覇を目指す釜石中の女子は初戦から気合い十分。古水結菜キャプテンは「サーブも安定し、まずは1勝。絶対、県大会に行きたい」。菊池夢捺部長は「コロナの影響で各種大会が中止、内陸に練習試合に行けないなど実践の場が極端に減ったが、自分たちなりにできることをやってきた。次も勝ちたい」と思いを強くした。

 19日の降雨予報を受け、軟式野球の2試合、ソフトテニスの全日程が20日に順延されたが、2日間で全9競技の試合を終えた。

 

釜石市内第1走者を務めた奥村晄矢君。友達が大漁旗でエール(提供:東京2020組織委員会)

釜石を駆け抜けた五輪聖火リレー 夢・希望・笑顔つなぐ

釜石市(1・22キロ)を走った10~60代の聖火リレーランナー。市内外から集まった

釜石市(1・22キロ)を走った10~60代の聖火リレーランナー。市内外から集まった

 

 「復興五輪」を掲げる東京五輪の聖火が釜石市にやって来た。17日、魚河岸から大町の市民ホールTETTOまでの1・22キロで、本県ゆかりの8人のランナーが希望の炎をつないだ。東日本大震災からの復興、望郷の思い、支えてくれる人への感謝。ランナーはそれぞれの思いを聖火に込めて走った。沿道に駆け付けた市民らは新型コロナウイルス対策をとりながら拍手で迎えた。

 

 第1走者は釜石中3年の奥村晄矢君(14)。世界で活躍するトップアスリートの育成を目指す「いわてスーパーキッズ」に小学5年から参加している。さまざまな五輪競技種目を体験する中、現在は得意の走力を生かし陸上競技に打ち込んでいる。

 

釜石市内第1走者を務めた奥村晄矢君。友達が大漁旗でエール(提供:東京2020組織委員会)

釜石市内第1走者を務めた奥村晄矢君。友達が大漁旗でエール(提供:東京2020組織委員会)

 

 共に頑張る陸上部の仲間が大漁旗を振って後押しする中、堂々とした走りで進んだ奥村君。「気持ちよく、笑顔で走ることができた」とすがすがしい表情を見せた。世界的なスポーツの祭典・五輪の始まりを盛り上げるイベントに関わったことで、スポーツに対する思いを刺激された様子。「陸上をメインに大きな大会にも出場し、トップアスリートを目指したい」と前を向いた。

 

 「感動した」。わが子の勇姿を沿道で見守った母由佳さん(51)は感激の様子。「たくさんの人とわくわく感を共有したことを覚えていてほしい」と感慨深げに話した。

 

「バトンタッチ」。トーチキスでポーズを決める奥村晄矢君(左)と横田信之さん

「バトンタッチ」。トーチキスでポーズを決める奥村晄矢君(左)と横田信之さん

 

 揺らめく炎は「トーチキス」で第2走者の横田信之さん(53)=神奈川県横浜市=にリレー。釜石生まれで、4歳まで過ごした故郷にできた新しい街並みをしっかりと目に焼き付けるよう走った。「ありがとう」「岩手の思いをつないで走ろう」。沿道で見つめる人たちが掲げたメッセージに、「みんなが互いに応援し合っている感じ。トーチの炎で希望の炎をともすことができたらうれしい」と温かい気持ちを交換した。

 

 第3走者の清水信三さん(64)は震災復興に関わったことから岩手応援を続ける。第4走者の早坂沙織さん(33)は支えてくれる人たちへの感謝の気持ちを込め聖火をつないだ。

 

地元在住の新里さんと三上さん トライアスロンパフォーマンスで聖火をつなぐ

 

トーチの火を受け渡し、トライアスロン3種目のポーズを決める新里進さん(奥)と三上雅弘さん

トーチの火を受け渡し、トライアスロン3種目のポーズを決める新里進さん(奥)と三上雅弘さん

 

 釜石の震災復興のシンボルの1つ「トライアスロン」を模したパフォーマンスで聖火リレーを盛り上げたのは、第5走者の新里進さん(63)=浜千鳥社長=と第6走者の三上雅弘さん(57)=県トライアスロン協会会長=。2011年の震災から10年となる地元釜石の未来に希望を託し、聖火をつないだ。

 

 「トーチに火を受けた時、全国をつないできているという重みを強く感じた」と新里さん。「沿道の応援が何よりうれしく、楽しく走れた」と今までにない高揚感に胸を躍らせた。創業約100年の酒蔵の経営者。地域に密着した酒造りを行い、地元経済振興の一翼を担う。震災から10年の節目の年を「明るい未来への1つの区切り」と捉え、地域活性化の願いを赤々と燃える炎に込めた。

 

 三上さんは震災の津波で自営の店と自宅を失った。幾多の困難を乗り越え、18年に自宅を再建。現在は山田町の任期付き職員として働く。震災前から運営に携わってきた釜石はまゆりトライアスロン国際大会。被災の翌年から大会復活に向け動き出し、14年には全3種目による大会を実現。16年の岩手国体同競技の成功にも貢献した。

 

震災前の居住地只越町を走る三上雅弘さん。地元住民ら沿道の応援に笑顔で応える

震災前の居住地只越町を走る三上雅弘さん。地元住民ら沿道の応援に笑顔で応える

 

 一般公募枠で聖火ランナーに選ばれ、1年の延期を経ての大役。「思っていたよりも胸に込み上げてくるものがあった。本当にいろいろな人の支えがあって今日まで来たんだなと。言葉にならないような感情でした」と三上さん。被災地に向けられてきた支援に深く感謝し、「まだまだ課題は多い。自分たちが行動を起こし、まちを変えていく姿を引き続き発信していきたい」と誓った。

 

沸く沿道思い出す 最終走者・森重隆さん 変わらぬ笑顔で走り抜く

 

ゴールの市民ホールに到着した森重隆さん。新日鉄釜石ラグビー日本一のパレードをほうふつとさせる笑顔に市民も大喜び

ゴールの市民ホールに到着した森重隆さん。新日鉄釜石ラグビー日本一のパレードをほうふつとさせる笑顔に市民も大喜び

 

 最終走者は、新日鉄釜石ラグビー部で活躍し、現日本ラグビーフットボール協会長の森重隆さん(69)=福岡県福岡市。被災地の子どもたちを支える活動を継続する第7走者の湯澤大地さん(53)=神奈川県鎌倉市=から引き継いだ火をゴール地のTETTOに運んだ。

 

 盛大な拍手に高々とトーチを掲げ、現役時代と変わらぬ笑顔で応えた森さん。「第二の古里」とも言える地をゆっくりと走りながら、「40年前の(優勝)パレードを思い出していた」という。日本選手権7連覇がスタートした1979、80年に主将を務め、82年には選手兼監督として4連覇を達成。「ひげの森」と親しみを持って応援してくれた市民らの姿が重なった。「一生の思い出をありがとう」

 

 釜石も試合会場となった2019年のラグビーワールドカップ日本大会に携わり、「スポーツの力は人の心を動かす」と改めて実感。コロナ禍で開催の意義がかすんでいるとの懸念もある五輪について、「どんな形になるか分からないが、だからこそ頑張ってほしい。皆がやって良かったと思える大会に」と願った。

 

スポンサータオルやうちわを振りながらランナーを応援する市民=大町青葉通り

スポンサータオルやうちわを振りながらランナーを応援する市民=大町青葉通り

 

 只越町の関伊都子さん(51)は森重隆さんら釜石のために走ってくれたランナーの姿に感慨深げ。「リレーを盛り立てようと集まった市民の数も想像以上」と感動の瞬間を心に刻んだ。東京五輪の観戦チケットも入手し楽しみにしているが、「行けるのかどうか」。観客動員の詳細が見えない状況に複雑な思いをのぞかせた。

 

 うれしそうに走るランナーたちの姿に、只越町の菊地千津子さん(44)、凜さん(9)親子は「やって良かったんだ」と納得した様子。コロナの影響で活動制限が続く中での実施には複雑な気持ちもあったというが、「目の前で見たら楽しいし、地域が活気づく」と声を弾ませた。

新体制へ向け意欲を高める(左から)桜庭吉彦GM、須田康夫HC、坂下功正総監督

釜石シーウェイブス 21年度新体制~新ヘッドコーチに須田康夫氏、法人化で運営力強化

新体制へ向け意欲を高める(左から)桜庭吉彦GM、須田康夫HC、坂下功正総監督

新体制へ向け意欲を高める(左から)桜庭吉彦GM、須田康夫HC、坂下功正総監督

 

 ラグビー・トップチャレンジリーグ(TCL)の釜石シーウェイブス(SW)RFCは4日、2021年度の新体制を発表した。昨季はフォワード(FW)コーチとしてチームを支えた須田康夫氏(37)がヘッドコーチ(HC)に就任し、チームの指揮を執る。また、来年1月開幕予定の新リーグ参入に向け、法人格を取得。一般社団法人としてガバナンス(統治)の強化や信用力の向上も進めながら、新シーズンに臨む。

 

 SWは昨季、TCLの上位4チームを加えて行われるトップリーグのセカンドステージ出場を目標に戦ったが、5位に終わった。坂下功正総監督(62)は「残念な結果だった。バックスがゲームをコントロールできたら、もっと良くなった試合がたくさんあった。FWの強化という成果もあり、さらにレベルアップできると考えている。スタッフをまとめ、いいチームにしていきたい」と力を込めた。

 

 須田氏は10~17年度の8年間、SWでプレー。14~17年度はキャプテンを務めた。現役引退後は出身地の宮城県石巻市に戻り、高校チームの指導などに当たってきたが、昨年、2年ぶりに釜石へ。FW強化に手腕を発揮し、「釜石の強みはセットプレーとファイティングスピリット。しっかりと戦って、新しいウイニングカルチャーをつくれるよう誠心誠意努めていく。多くの人がグラウンドに顔を見に来てもらえるようなチームにしたい」とプランを描く。

 

 法人格の取得は4月30日付け。ゼネラルマネジャー(GM)を務める桜庭吉彦氏(54)が代表理事に就任した。SWはこれまで任意団体だったが、新リーグ参入の意思を示したことを受け、日本協会から社会的責任が明確な組織づくりを求められていた。

 

 法人化で、▽財政など組織運営の透明化・強化▽ホームゲーム主催に向けた社会的信用力の強化-を目指す。桜庭氏は「これまで以上に地域と共生するスポーツクラブとして取り組んでいく」とした。

震災後、関係者の努力で復活させ、回を重ねてきた釜石はまゆりトライアスロン国際大会(2019年、第25回大会)

「はまゆりトライアスロン」2年連続で中止 新型コロナ感染拡大を考慮

震災後、関係者の努力で復活させ、回を重ねてきた釜石はまゆりトライアスロン国際大会(2019年、第25回大会)

震災後、関係者の努力で復活させ、回を重ねてきた釜石はまゆりトライアスロン国際大会(2019年、第25回大会)

 

 9月5日に予定されていた「第26回釜石はまゆりトライアスロン国際大会」は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、昨年に続き、中止されることが決まった。同実行委(小泉嘉明実行委員長)が発表した。

 

 5月9日に、大会を主管する釜石トライアスロン協会(小林格也会長)の定例総会、同大会実行委の会合が開かれ、今年の大会開催の可否を協議。全国的に感染拡大が続き、本県でも感染者が増えていることから、「安全を優先させることが最善」と判断し、中止を決めた。

 

 同大会は釜石市鵜住居町根浜海岸を主会場に1990年にスタート。参加者は最大で約400人に上った年もあり、東日本大震災前の2010年までに21回の開催を数えた。震災の津波で同海岸やコースとなっている周辺地域が甚大な被害を受け、11年の大会を中止。16年の岩手国体でトライアスロンが正式競技となり、同市が開催地となることが決まっていたこともあり、復活を望む地元の声に後押しされ、12年から大会復活への取り組みを開始。14年にはスイム、バイク、ランの全3種目による大会を実現させ、16年の国体につないだ。

 

早くコロナが収束して、全国のトライアスリートの笑顔が戻ることを願う

早くコロナが収束して、全国のトライアスリートの笑顔が戻ることを願う

 

 昨年は大会開始から30周年の記念大会を予定していたが、新型コロナの収束が見込めず、やむなく中止。「今年こそは」と開催の道を探っていたが、全国の感染状況を考慮し断念した。同協会の小林会長(82)は「この厳しい状況では仕方がない。やはり健康な状態で開催できるのがベスト。コロナが収束したら、みんなで楽しめるような大会をしたい」と望んだ。

聖火リレーを盛り上げようと、市中心部の目抜き通りで植栽活動に取り組む大町町内会の会員ら=3日

東京五輪聖火リレー 17日に釜石で 公道実施に向け準備着々

聖火リレーに合わせて行われる交通規制を伝える看板

聖火リレーに合わせて行われる交通規制を伝える看板

 

 東京五輪の聖火が、いよいよ岩手県にやってくる。北海道から届く聖火を宮城県につなぐ本県の聖火リレーは16~18日に行われ、県内28市町村の約46キロを巡る。新型コロナウイルスの感染拡大で公道での聖火リレーを中止する道府県が相次ぐ中、県は予定通り実施する方針(盛岡市を除く)で、釜石市内では17日に行われる。コース沿いにはすでに交通規制などを伝える看板が設置され、きれいな街並みで聖火を迎える準備も進められている。

 

 市内のリレーは、17日午後5時23分に魚河岸の魚市場西側駐車場をスタートし、同5時40分に大町の市民ホールTETTOに到着してゴールとなる。1・22キロの道のりを、日本ラグビーフットボール協会長の森重隆さん(釜石応援ふるさと大使)ら8人でつなぐ。

 

「気持ちよく走って」 地域住民ら聖火リレーコースを花で彩る

 

聖火リレーを盛り上げようと、市中心部の目抜き通りで植栽活動に取り組む大町町内会の会員ら=3日

聖火リレーを盛り上げようと、市中心部の目抜き通りで植栽活動に取り組む大町町内会の会員ら=3日

 

 3日には、ランナーに気持ち良く走ってもらおうと、沿道を花で彩る活動が行われた。東日本大震災の被災地と東京都を花苗の育成、植栽活動でつなぐ「岩手×東京 花のみちプロジェクト」の一環で、今年で8年目。大町町内会(奥村忠雄会長、105世帯)、青葉花っこ会(山﨑太季子代表、約20人)、只越町町内会(長柴政義会長、約60世帯)、周辺の復興住宅住民ら約50人が力を合わせた。

 

青葉花っこ会は東京五輪の競技会場を彩るオレンジ色のマリーゴールドの植え付け作業に協力した=3日

青葉花っこ会は東京五輪の競技会場を彩るオレンジ色のマリーゴールドの植え付け作業に協力した=3日

 

 大町から只越町までの目抜き通りや青葉通りの花壇にベゴニア、マリーゴールドの花苗450株を植栽。奥村会長は、孫晄矢さん(釜石中3年)が聖火ランナーとして走る予定で、「聖火ロードに花を飾り盛り上げたい。8人のランナーの応援になれば」と待ち望んでいる。

 

 同プロジェクトは、「被災地を花のあるまちに」と願う公益財団法人東京都道路整備保全公社が県と連携し進める活動で、東京から培養土や肥料などの提供を受け、県が花苗を用意。今年は花苗計4150株を植える計画で、13日は大渡町内会が大渡橋周辺、19日に鈴子町内会が釜石駅前周辺で活動する。

 

 花苗の一部300株を住民らが育成する取り組みも。東京五輪で野球・ソフトボールの競技会場となる福島県のあづま球場に送る予定で、大会成功に向けたエールや復興支援への感謝の気持ちを発信する。

 

きれいな環境で聖火を迎えよう 市職員らリレールートを清掃

 

きれいな環境で聖火を迎えようと、中心市街地で清掃活動に取り組む市職員ら=10日

きれいな環境で聖火を迎えようと、中心市街地で清掃活動に取り組む市職員ら=10日

 

 10日には市職員がリレールートを中心に市街地の清掃活動を行った。業務終了後の午後5時20分頃から行われ、約360人が参加。道路や駐車場に落ちているプラスチック製の食品容器や空き缶、たばこの吸い殻などを回収。道端に伸びた雑草も抜き取った。活動は6時過ぎまで行われ、2トントラックと軽トラック計1・5台分のごみや草が集まった。

 

青葉通りの草取りに汗を流す市職員。気持ちよい環境で観覧してもらおうと取り組んだ=10日

青葉通りの草取りに汗を流す市職員。気持ちよい環境で観覧してもらおうと取り組んだ=10日

 

 市生活環境課の和賀利典課長は「6月は環境月間でもあり、市街地のきれいな街づくりに市職員も協力したい。楽しみにしている聖火リレーが無事できれば。ランナーの皆さんに公道を走る気分を楽しんでほしい」と期待した。

 

交通規制に協力を 観覧は「密集避けて」

 

 聖火リレー当日は午後4時40分~同6時10分に、ルートとなる県道4号線(釜石港線)の大町~浜町周辺で交通規制が行われる。う回路を設定しているが、道路混雑が予想され、市では夕方の自家用車利用の自粛、交通量や路上駐車の抑制に協力を求めている。

 

 沿道での応援は制限されていないが、市は「密」を避けるよう呼び掛け。リレーの様子はNHKのホームページで配信されるライブストリーミングで見られるほか、TETTOでは大画面で視聴可能。午前9時半~午後8時まで無料で利用できる。

旧釜石二中跡地に整備された「大天場運動広場」

旧釜石二中跡地に「大天場運動広場」完成 1日から供用開始

旧釜石二中跡地に整備された「大天場運動広場」

旧釜石二中跡地に整備された「大天場運動広場」

 

 釜石市は、中妻町の旧昭和園グラウンドに替わる運動施設として、八雲町の旧釜石第二中跡地に「大天場運動広場」を整備。1日から供用を開始した。防球ネットや夜間照明を備えた多目的グラウンドは無料開放され、市民の体力・健康維持や競技団体の練習場など有効活用に期待が寄せられる。

 

 同広場は、市の都市公園「大天場公園」の一部だった旧昭和園グラウンドの機能復旧を目的に、旧釜石二中跡地を代替用地として整備された。面積約5500平方メートルの多目的グラウンドには、コの字型に防球ネット(高さ8~10メートル、延長208メートル)を設置。午後9時まで使用可能な照明13基も備えた(照明使用は市への申請が必要)。グラウンド北側にはトイレ棟、地域の集会所としても利用される詰所、駐車場(23台)を配置した。工期は2020年4月~21年5月。事業費は約2億1700万円。山長建設(山﨑寛代表取締役)が施工した。

 

かけっこ、ウオーキング、球技など多目的に利用できるグラウンド。水はけも良好

かけっこ、ウオーキング、球技など多目的に利用できるグラウンド。水はけも良好

 

グラウンドの周りには防球ネット、夜間照明、ベンチなどが設置された

グラウンドの周りには防球ネット、夜間照明、ベンチなどが設置された

 

運動広場の完成を喜ぶ供用開始式典の出席者=1日

運動広場の完成を喜ぶ供用開始式典の出席者=1日

 

 1日に行われた供用開始式典には、市や地元町内会の代表ら約20人が出席。野田武則市長は「市民に広く周知し、多くの人に親しまれ、活用される場所にしていきたい」とあいさつ。八雲睦会、大天場公園愛護会の木下義男会長に詰所の鍵が、市体育協会の下村恵壽事務局長にグラウンド入り口の鍵が引き渡された。

 

 旧昭和園グラウンドは、製鉄所従業員の労働環境整備の一環で1930年に開場。地域に開かれた運動場として多くの歴史を刻んできた。2011年の東日本大震災後は仮設住宅用地(118戸)となり、現在は釜石警察署が立地する。一方、06年に閉校した旧釜石二中は震災後、体育館が遺体安置所になった。校舎・体育館は13年に解体。校庭には11年に同警察署の仮設庁舎が建設され、現庁舎に移転する19年まで業務を続けた。

 

旧釜石二中の校舎。2013年に解体された

旧釜石二中の校舎。2013年に解体された

 

 八雲地区親交会の西村晴夫会長(79)は「子どものころから親しんできた昭和園グラウンドがなくなるのは寂しかった。家族全員の母校である二中跡地も思い出の場所。高齢化が進む地域にとって、グラウンドは住民の健康増進に役立つ。ここは海抜19メートルあり、津波避難場所としても活用できる」と喜んだ。

 

 グラウンドは誰でも自由に利用できるが、スポーツ大会など独占使用を希望する場合は市都市計画課に問い合わせてほしいとのこと(市都市公園条例に基づき、使用料が発生する場合あり)。詰所は地元町内会が管理する。問い合わせは市都市計画課管理係(電話0193・27・8435)へ。

5人で戦う男子の団体試合。一人一人が持てる力を発揮し、チーム一丸となって優勝を目指す

2年ぶりの晴れ舞台で躍動~県高総体開幕~釜石では柔道とボクシング

コロナ対策で選手らは2階観客席で開会式に臨んだ

コロナ対策で選手らは2階観客席で開会式に臨んだ

 

 第73回岩手県高等学校総合体育大会(県高総体)は20日に開幕した。新型コロナウイルス感染症の影響で昨年度の大会は中止されたため、2年ぶりの開催。釜石市は柔道とボクシングの競技会場となり、柔道は21日から23日まで、鵜住居町の釜石市民体育館で行われた。ボクシングは27日から30日まで、甲子町の釜石高体育館で行われる。

 

 本年度の県高総体は、例年各校が集まり、にぎやかな応援合戦を繰り広げる総合開会式を中止。競技は無観客で行い、各会場とも手指消毒や競技時以外のマスク着用、声を出しての応援禁止などコロナ対策を徹底し、感染防止に努めた。

 

声援の代わりに拍手で仲間を鼓舞する。コロナ禍ならではの大会風景

声援の代わりに拍手で仲間を鼓舞する。コロナ禍ならではの大会風景

 

 柔道競技には県内各校から約500人が参加。開会式は、選手が地区ごとに指定された2階観客席に座ったまま行われ、一斉移動などによる感染リスクを避けた。県高等学校体育連盟柔道専門部の齋藤哲裕部長があいさつ。「健康や安全のありがたさ、試合ができる喜びをこれほどにかみしめる高総体は今までなかったかもしれない。稽古、実践不足もあろうが、今できる最大限の力を発揮してほしい」と述べた。

 

 開催市から晴山真澄副市長が出席し、野田武則市長の祝辞を代読。「今後の沿岸地区での各種スポーツ大会開催へ大きなはずみとなる。昨年10月には、当館で県高校柔道新人大会も開かれた。選手には慣れた環境でもある。緊張せず、悔いの残らないよう精いっぱい頑張ってほしい」と激励した。

 

 館内には4つの試合場が設けられた。初日は団体試合が行われ、男子31校、女子19校がそれぞれトーナメントで優勝を競い合った。声援は送れなかったものの、各チームは味方の技が決まると拍手でたたえ、静かに勝利への闘志を燃やした。館内は常時換気され、数試合ごとに畳の消毒も行われた。2日目、3日目は階級別の個人試合で、釜石・大槌地区からは大槌高の2選手が出場した。

 

大会は女子団体試合からスタート。これまで培った技と力で勝利への執念を燃やす

大会は女子団体試合からスタート。これまで培った技と力で勝利への執念を燃やす

 

5人で戦う男子の団体試合。一人一人が持てる力を発揮し、チーム一丸となって優勝を目指す

5人で戦う男子の団体試合。一人一人が持てる力を発揮し、チーム一丸となって優勝を目指す

 

 盛岡北高の水沼勝生主将(3年)は「今年も大会が出来ないかもと思っていたので、試合ができるのは本当にうれしい。この1年はマスクをつけて練習するなど大変だった。家族が見に来られないのは残念だが、いい報告ができるよう頑張りたい」と意気込んだ。

 

 高総体柔道競技の東北大会は6月26日から山形県酒田市で、全国大会(インターハイ)は8月8日から長野県長野市で開催される予定。

選手宣誓をする釜石ファイターズの金野悠人主将

球春到来!釜石の少年野球チームが結団式~県大会での健闘誓い合う

今季初の大会となる会長旗杯争奪春季大会=8日

今季初の大会となる会長旗杯争奪春季大会=8日

 

 釜石市野球スポーツ少年団協会(菅原章会長、2チーム)の本年度の結団式は8日、平田公園野球場で行われ、少年野球シーズンが幕を開けた。協会加盟の釜石ファイターズ(31人)と釜石東ジュニア(18人)のメンバーが参加。式の後、7月までに開催される3大会の釜石予選を兼ねた第46回会長旗杯争奪春季大会が開かれ、両チームが新体制でのチーム力を確認。県大会に向けた課題を探った。

 

市野球スポ少協会の結団式に臨む2チームの選手ら

市野球スポ少協会の結団式に臨む2チームの選手ら

 

 昨シーズンの大会優勝旗が返還された後、菅原会長があいさつ。「日ごろの練習の成果を白球に込め、思い切り野球を楽しんでください。新型コロナウイルスの感染拡大が続く。体調管理には十分注意し、1年間頑張ってほしい」と激励した。市体育協会の河東眞澄副会長は「グラウンド整備など陰で支えてくれる多くの方々に感謝の気持ちを持ち、プレーしてほしい」と望んだ。釜石ファイターズの金野悠人主将(6年)が選手宣誓。「大好きな野球ができることに感謝し、仲間と力を合わせて白球に食らいつき、一球一球全力でプレーすることを誓う」と高らかな声を響かせた。

 

選手宣誓をする釜石ファイターズの金野悠人主将

選手宣誓をする釜石ファイターズの金野悠人主将

 

 開幕試合は4つの大会を兼ねた。会長旗杯のほか、高円宮賜杯第41回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント、第43回全国スポーツ少年団軟式野球交流大会(県予選=いわての牛乳杯)、第39回岩手日報杯三陸海岸学童軟式野球大会(第27回マクドナルド・カップ)の各釜石予選。試合は釜石ファイターズが7対5で釜石東ジュニアを下し、29日に開幕する2大会県予選の出場選択権を得た。これにより、ファイターズは全国スポ少交流大会県予選(岩泉町)へ、釜石東は全日本学童大会県予選(大船渡市)へ出場することになった。7月17日からの三陸海岸学童大会(釜石市)にはファイターズが第1代表、釜石東が第2代表で出場する。

 

試合前練習で入念にウオーミングアップ

試合前練習で入念にウオーミングアップ

 

 この日は試合終了後、大会中の地震発生を想定した避難訓練も行われた。災害発生時に選手、観客をどう避難させるか、対応を学ぶためのもので、同協会としては初の試み。1日に同球場で高校野球の試合中に地震があったこと、沿岸部には海岸近くのグラウンドも多いことから、県野球協会の要請を受けて実施した。高台に位置する同球場は津波の危険性は低いものの、揺れが大きかった場合には施設の倒壊も心配される。訓練は事前に監督だけに知らせ、子どもたちには知らされない形で行われた。

 

 少年から壮年まで各大会の運営に関わる市野球協会は、コロナ禍2年目の今シーズンも参加チームや会場の感染症対策を徹底し、安全な大会運営を目指す。

輝き増す〝優勝杯〟獲得へ中学生が熱戦~釜石リアスLC杯バスケ第30回大会

輝き増す〝優勝杯〟獲得へ中学生が熱戦~釜石リアスLC杯バスケ第30回大会

輝き増す〝優勝杯〟獲得へ中学生が熱戦~釜石リアスLC杯バスケ第30回大会

 

 釜石リアスライオンズクラブ(永澤光雄会長、会員39人)が主催する同クラブ杯釜石地域中学校バスケットボール大会は4月29日、釜石市鵜住居町の市民体育館で開かれた。30回目を迎えた今年は、男女の優勝杯をメンテナンス。輝きを増したカップが1位チームの栄誉をたたえた。

 

大会30周年にあたりメンテナンスされた優勝杯

大会30周年にあたりメンテナンスされた優勝杯

 

 同大会は青少年の健全育成を願う同クラブが1992年に開始。例年、冬季に行われ、30回大会は昨年11月に予定されていたが、新型コロナウイルス感染症患者が市内で初めて確認されたことを受け、延期となっていた。年度をまたぎ、春に設定された大会には、釜石・大槌地区の中学校から男子4チーム、女子3チームが参加。男子はトーナメント戦、女子は総当たりのリーグ戦で優勝を競い合った。

 

釜石―甲子の1回戦。白熱したゲームが繰り広げられた

釜石―甲子の1回戦。白熱したゲームが繰り広げられた

 

 2011年の震災以降、大会は市内の中学校体育館などを借りて行ってきたが、19年に新市民体育館が完成したことで、前回大会から同館が会場に。コロナ禍の今大会は、応援に訪れる保護者は事前に学校に届けを出してもらい、入場時に本人確認。関係者以外が立ち入らないようにし、会場内での手指消毒、マスク着用、換気などと共に感染防止策を徹底した。

 

会場ではコロナ感染防止のための各種対策がとられた

会場ではコロナ感染防止のための各種対策がとられた

 

 運営に協力する市バスケットボール協会の菊地秀明会長(62)は、コロナの影響が続く本年度を見据え、「様子を見ながらだが、地元参加だけの大会はできれば開催したい。どうやったらできるかという方向で考えていく」と話した。

 

ゴール前で激しい攻防を見せる大平と大槌の選手

ゴール前で激しい攻防を見せる大平と大槌の選手

 

 同クラブの永澤会長(73)は大会30周年にあたり、「先輩会員の功績が今に残っているのはうれしい限り。学校統合で参加チームは少なくなっているが、試合の機会を欲する中学生のためにも、大会を長く続けていきたい」と望んだ。

 

試合を見守る釜石リアスライオンズクラブの永澤光雄会長

試合を見守る釜石リアスライオンズクラブの永澤光雄会長(左)

 

 今大会の結果は次の通り。
【男子(トーナメント)】
<1回戦>釜石 109-45 甲子/大平 72-28 大槌
<3位決定戦>甲子 52-31 大槌
<決勝戦>釜石 94-37 大平  
最終順位 ①釜石 ②大平 ③甲子
 
【女子(リーグ戦)】
大平 41-33 大槌/大平 43-29 釜石/大槌 50-49釜石
最終順位 ①大平 ②大槌 ③釜石

体験会でパス練習に挑む中学生=4日、市球技場

シーウェイブスアカデミー体験会開催~競技人口の底辺拡大やトップ選手輩出を目指し、4月17日開校へ

体験会でパス練習に挑む中学生=4日、市球技場

体験会でパス練習に挑む中学生=4日、市球技場

 

 ラグビーの地域型クラブチーム、釜石シーウェイブスRFC(SW)は、ジュニア部門強化に向けた指導体制として、本年度から中学生対象のSWアカデミーを開校する。
 小学生から活動する団員や中学から新たにラグビーを始めたいという生徒の練習・試合環境を整え、競技人口の底辺拡大や将来のトップ選手輩出につなげる取り組み。17日に開校し、週3回の練習や交流戦などを重ねながら、1年後の大会出場を目指す。

 

 釜石SWではこれまで、幼児から中学生が所属するSWジュニアが活動。小学生は単独チームで各種大会に出場してきたが、中学生は人数が少なく、チームを結成しての大会出場は難しい状況にあった。このため、中学生団員は試合や実践練習の場を求めて、内陸部で行われる県内合同の練習会に出向くことが多く、保護者の負担も大きかった。
 2019年のラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催を機に、小学生団員はこの3年で1・5倍増の70人余りに拡大。アカデミー創設は、意欲ある子どもたちの成長を中学で途切れさせることなく、効果的なトレーニングで基本技術や体力の向上を図る狙いがある。

 

 開校に先立ち、3月14日と4月4日に、興味のある生徒向けに体験会を実施。4日は市内外から25人が参加し、パスやキックなど4つの練習メニューを体験した。

 

 小丸嘉斗君(釜石中3年)は小学5、6年時にSWジュニアで活動。中学ではテニス部に所属し、2年時からは校内に季節限定で設置される特設ラグビー部でも活動する。アカデミーで通年練習が可能になったことを喜び、「高校でもラグビーを続けたい。コロナ(の心配)もあるが、周りへの感謝を忘れず1年頑張りたい」と気を引き締めた。

 

アカデミーについて会見した坂下功正総監督、桜庭吉彦GM、鈴木亮大郎HC、細川進コーチ(右から)

アカデミーについて会見した坂下功正総監督、桜庭吉彦GM、鈴木亮大郎HC、細川進コーチ(右から)

 

 4日は体験会終了後、アカデミー開設に係る記者会見も開かれ、スタッフや今後の活動について説明があった。
 アカデミーのヘッドコーチには高校、U20日本代表を経験し、仙台育英高、関西学院大ラグビー部コーチを務めてきた鈴木亮大郎(りょうたろう)さん(31)=滝沢市出身=が就任。元釜石SW選手の細川進さん(42)ら10人のコーチ陣が指導にあたる予定。チームスローガン「Challenge(チャレンジ)」のもと、自ら考え行動できるプレーヤーを育成する。
 鈴木ヘッドコーチは「岩手から日本代表選手に育っていけるよう日々の練習をサポートしていく」、桜庭吉彦ゼネラルマネジャーは「ラグビーを通じた地域活性化にも貢献できれば」と意気込む。

 

 アカデミーの練習は月・水曜日が午後6時から、土曜日は午前10時から甲子町の市球技場で行う。入会は随時受け付ける。問い合わせは釜石SW事務局(電話0193・22・1173)へ。

釜石シーウェイブス ホーム戦飾れず、近鉄に15―36〜熱い声援に意地の2トライ

釜石シーウェイブス ホーム戦飾れず、近鉄に15―36〜熱い声援に意地の2トライ

近鉄を相手に奮闘する釜石SWフィフティーン=13日、釜石鵜住居復興スタジアム

近鉄を相手に奮闘する釜石SWフィフティーン=13日、釜石鵜住居復興スタジアム

 

 ラグビー・トップチャレンジ(TC)リーグの釜石シーウェイブス(SW)RFCは13日、ホームの釜石鵜住居復興スタジアムで近鉄と対戦し、15―36(前半3―17)で敗れた。後半にWTB氏家柊太、試合終了間際にフランカーのサム・ヘンウッドがトライを挙げたが、追撃も遠く及ばなかった。釜石SWは1勝2敗の勝ち点5でA組の3位となり、トップリーグ(TL)のプレーオフトーナメントには進めなかった。TCリーグは20日から順位決定戦を行い、釜石SWは5~8位決定戦に臨む。21日にBグループ4位のマツダと調布市で対戦する。

 

震災10年を迎え黙とうするスタンドのラグビーファン

震災10年を迎え黙とうするスタンドのラグビーファン

 

 コロナ禍の影響でTCリーグ開幕が遅れ、今季の釜石SWの最初で最後となるホーム公式戦。降りしきる冷たい雨の中、釜石フィフティーンはスタンドを埋めた熱心なファンの声援に背中を押され、格上の近鉄に最後まで食い下がった。

  

 前半に3トライを許し14点差で折り返した釜石SWは後半9分、交代で出たSO中村良真のキックを氏家が追い、インゴールで押さえてトライ。その後3トライを奪われるも、終了間際にヘンウッドがダイビングトライを決めて意地を見せた。

 

 震災10年を迎えた最初の週末に、今季初めて観客を入れて行われた意義深い一戦。奮闘むなしく敗れはしたものの、CTB小野航大主将は「特別な意味のある試合で、全員がプライドを持って80分間戦えた」と手応えを語る。共同主将として支えるFW中野裕太は「釜石でラグビーができることに感謝し、東北のチームとして盛り上げていきたい」と前を向いた。