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ラグビー新リーグに向けた動きについて記者会見に応じる釜石SW関係者

「甘んずることなく前へ」釜石SW、ラグビー新リーグで2部に~地元和菓子店も活動後押し

ラグビー新リーグに向けた動きについて記者会見に応じる釜石SW関係者

ラグビー新リーグに向けた動きについて記者会見に応じる釜石SW関係者

 

 ラグビーのトップリーグ(TL)を刷新して来年1月にスタートする3部構成の新リーグ「リーグワン」。釜石シーウェイブス(SW)RFCは2部に入り、全6チームで1部昇格を争う。7月16日、釜石市大町の釜石PITで記者会見に応じた桜庭吉彦ゼネラルマネジャーは「2部に甘んずることなく前に進み、3年以内に1部に昇格し、10年後にチャンピオンシップを狙えるチームに」と決意を示した。

 

 新リーグには、釜石SWを含む国内24チームが参加。1部には昨季優勝した埼玉パナソニックワイルドナイツなど12チームが入り、2部と3部は各6チームとなった。1~3部でシーズンごとに入れ替え戦を行う。

 

 会見には、坂下功正総監督、須田康夫ヘッドコーチ(HC)、小野航大主将も出席。2部は昨季の成績で見ると、格上のチームが多い。坂下総監督は「体の大きいチームが挑んでくる。負けないフィジカルをつくることが必要になる」と強調。小野主将は「レベルの高いリーグに加入することができた。より高いモチベーションを持ちシーズンを迎えることができるよう準備していく」と力を込めた。

 

会見に臨む(右から)小野主将、須田HC、坂下総監督、桜庭ゼネラルマネジャー

会見に臨む(右から)小野主将、須田HC、坂下総監督、桜庭ゼネラルマネジャー

 

 今季のチームスローガンは「REVIVE(リバイブ)」。よみがえる、復活などの意味を持つ。「震災の時、多くの支えで活動を継続できた。新リーグをきっかけに、『ここにいる』との思いを伝えたい」と須田HC。桜庭ゼネラルマネジャーは新日鉄釜石の日本選手権7連覇、ラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催などに触れながら、「新しい釜石ラグビーの歴史を紡いでいきたい」とした。

 

 リニューアルしたエンブレムや、ニュージーランド代表としてのプレー経験もあるブレット・キャメロンら新規加入選手についても発表。キャメロンら外国人選手は、9月以降にチームに合流する予定だ。

 

釜石SWの新エンブレム

釜石SWの新エンブレム

 

「釜石SW応援」地元の老舗和菓子店・小島製菓、売り上げ寄付

 

釜石SWを応援しようと、寄付金を贈った小島製菓の関係者(前列右)ら

釜石SWを応援しようと、寄付金を贈った小島製菓の関係者(前列右)ら

 

 釜石SWの会見に合わせ、上中島町の小島製菓(菊地広隆社長)は同日、自社製品「釜石ラグビーパイ」の売り上げの一部をSWに寄付した。ラグビーで地域を盛り上げるチーム活動を後押しするのが目的。桜庭ゼネラルマネジャーに寄付金の目録を手渡した菊地社長は「未来に光り輝くものを残したい。今後の活動に役立ててほしい」と願った。

 

 ラグビーパイは、ラグビーボールの形に似せたパイ生地で自家製の粒あんやチョコあんを包んだ菓子。ラグビーW杯日本大会の開催決定を受け、2017年に作った。釜石SWの活躍とともに、土産品としての利用も好調で、累計100万個を売り上げるヒット商品となっている。寄付は20年の売り上げの一部を充てた。

 

釜石SW、交流試合などの日程発表

 

 会見では、9月26日に「ともだちマッチ」として、釜石鵜住居復興スタジアムで静岡ブルーレヴズと交流試合を行うことも発表。東日本大震災以降、さまざまな支援活動や交流事業を続けてきたヤマハ発動機ジュビロがチーム名を変更し、再訪する。

 

 11月14日にはラグビーW杯日本大会のレガシー(遺産)を継承するイベントとして、同スタジアムで神戸製鋼コベルコスティーラーズと記念試合を行う。県や市などでつくるイベント実行委での承認を受け、7月19日に発表した。「大震災の被災地」「日本選手権7連覇」のキーワードで結び付く両チームの対戦に、釜石SWは「ポジティブなメッセージを届けることができれば」としている。

2年ぶりの大会で躍動する選手ら

県ビーチボール競技大会 釜石市で震災後初開催~2年ぶりの試合に笑顔~

県ビーチボール競技大会 釜石市で震災後初開催~2年ぶりの試合に笑顔~

 

 第27回岩手県ビーチボール競技大会が18日、釜石市鵜住居町の市民体育館で開かれた。同市が会場となるのは東日本大震災後初めて。震災復興で2019年に新設された同体育館を利用し、昨年開催予定だったが、新型コロナウイルスの影響で1年延期されていた。選手たちは2年ぶりの大会開催を喜び、熱戦を繰り広げた。

 

 県ビーチボール協会(橋本昭治会長)主催の同大会は、競技の普及や参加者相互の親睦を目的に各地持ち回りで開催。釜石開催は約13年ぶりとなる。開会式で橋本会長は「昨年から各種大会が中止されているが、一生懸命練習している選手のために県大会開催を決めた。素晴らしい体育館でプレーできることに感謝し、練習の成果を存分に発揮してほしい」とあいさつ。野田武則市長が歓迎の言葉を述べた。

 

開会式では釜石市「愚零海」の女子選手が選手宣誓

開会式では釜石市「愚零海」の女子選手が選手宣誓

 

 釜石市のチーム「愚零海(グレイシー)」の女子選手3人が選手宣誓。「釜石の復興に関わってくれた全ての方に感謝し、今、ビーチボールができることを当たり前と思わず、最後まで全力でプレーする」と誓った。

 

新設された釜石市民体育館で初めて開かれた県ビーチボール競技大会

新設された釜石市民体育館で初めて開かれた県ビーチボール競技大会

 

2年ぶりの大会で躍動する選手ら

2年ぶりの大会で躍動する選手ら

 

 今大会には男女それぞれ10チームが参加。年齢区分で設けた3部門で予選リーグと決勝トーナメントが行われた。同協会には約50チームが登録するが、コロナ禍で思うように活動できないチームも多く、参加チーム数は例年より減少。それでも、久しぶりの試合に躍動し、競技仲間との絆を深めた。

 

 ビーチボール競技は1978年に富山県朝日町で考案された。ビニール製のボールでけがが少なく、年齢を問わず誰でも気軽に楽しめるスポーツとして人気を集める。同町と友好都市提携(84年~)を結ぶ釜石市でも競技普及が図られ、複数のチームが活動してきたが、現在は「愚零海」(男女各1チーム)のみが活動中。

 

県ビーチボール競技大会 釜石市で震災後初開催~2年ぶりの試合に笑顔~

 

釜石での大会開催を機に同市のビーチボール競技の振興に期待が高まる

釜石での大会開催を機に同市のビーチボール競技の振興に期待が高まる

 

 「愚零海」女子チームの監督兼選手、井浦沙空さん(24)は初めて経験する地元開催の大会に「新しくできた体育館で、みんなで集まってプレーできることに喜びを感じている。これを機に釜石の競技人口が増え、大会を重ねながら盛んになっていけば」と期待を込めた。

 

 各部門の結果は次の通り。

 

【男子】
▽18歳以上(参加チーム6)
優勝=婆娑羅(奥州市)2位=NEO(金ケ崎町)3位=赤猿(花巻市)、ムーミン(奥州市)
▽40歳以上(同2)
優勝=XP.Com(奥州市)2位=P.C.S(金ケ崎町)
▽50歳以上(同2)
優勝=ちぁありぃ(花巻市)2位=スバル(金ケ崎町)

 

【女子】
▽18歳以上(参加チーム4)
優勝=ビーチランナーズ(奥州市)2位=愚零海(釜石市)3位=救護班(花巻市)
▽35歳以上(同3)
優勝=NEO(金ケ崎町)2位=RK(花巻市)3位=Blue Rose(奥州市)
▽50歳以上(同3)
優勝=Blue Rose(奥州市)2位=SAKURA(花巻市)3位=ひとかべ(奥州市)

ラグビー15人制女子日本代表合同合宿が開催されます

ラグビー15人制女子日本代表合同合宿が開催されます

ラグビー15人制女子日本代表合同合宿が開催されます

 

釜石市では、「ラグビーのまち釜石」をより一層推進すべく釜石鵜住居復興スタジアムをはじめ、市内体育施設を利用した合宿や大会の誘致を推進しているところですが、この度、ラグビー女子15人制日本代表による「ラグビーワールドカップ2021ニュージーランド大会(女子)アジア最終予選」に向けた強化合宿を当市で行うこととなりました。
なお、ラグビー競技において日本代表が当市で合宿を行うことは初めてのことです。

日時

令和3年8月23日(月)〜27日(金) 4泊5日

参加人数

53名(選手40名/スタッフ13名)

練習場所

釜石鵜住居復興スタジアム、根浜多目的グラウンド

誘致の経過

釜石市を合宿地として選んでいただいた経緯は、ラグビーワールドカップ2019釜石開催で使用した、釜石鵜住居復興スタジアム等トレーニング施設が良い事、そして釜石市の豊な自然環境のなか合宿ができる事だけでなく、日本代表チームのヘッドコーチがカナダ人女性であり、ラグビーワールドカップ2019釜石開催でラグビー男子15人制カナダ代表の釜石での出来事もあることから、ヘッドコーチ自身も釜石が思い入れのある地であるため合宿地として選らんだもの。

ホスピタリティ/交流内容について

ラグビーのまち釜石として、コロナウィルス感染予防に十分配慮した上で、おもてなしを行う予定です。
合宿観戦や今後のおもてなしの取組みは、詳細が決まり次第お知らせしてまいります。

その他

○メディア対応(練習の公開、インタビュー機会など)については後日、日本ラグビーフットボール協会から案内の予定です。
○選手・スタッフは直前にPCR検査を受けて参加するため、合宿参加メンバーは直前に決定/発表されます。
○釜石シーウェイブスJr・釜石南高校OGの平野恵里子選手も日本代表に選出されているが同様に決定/発表されます。

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 文化スポーツ部 スポーツ推進課 ラグビーのまち推進係
〒026-0031 岩手県釜石市鈴子町22番1号 シープラザ釜石2F
電話:0193-27-5712 / Fax 0193-31-1170 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2021073000054/
釜石市

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釜石市公式サイトと連携し、縁とらんすがピックアップした記事を掲載しています。記事の内容に関するお問い合わせは、各記事の担当窓口までお問い合わせください。
野田市長(左)に全国での活躍を誓う釜石高の選手代表

高総体、定通制大会で練習成果を存分に 釜石高生が意気込み

野田市長(左)に全国での活躍を誓う釜石高の選手代表

野田市長(左)に全国での活躍を誓う釜石高の選手代表

 

 北信越5県(福井、新潟、富山、石川、長野)を中心に開催される2021年度全国高校総合体育大会(インターハイ)と、東京都などで行われる全国高校定時制通信制体育大会に釜石高から出場する選手代表5人が19日、釜石市役所を訪れ、野田武則市長に決意を伝えた。

 

 インターハイは7月25日、定通制大会は同30日に競技が始まり、それぞれ1カ月間熱戦が繰り広げられる。インターハイには同校から空手道に13人、弓道に1人が出場。定通制大会には同校定時制から陸上競技、卓球に各1人が参加する。

 

 同校は男女ともに空手道団体組手で出場する。男子主将の和田悠佑君(3年)は「3年間練習した成果を発揮できるよう頑張る」と意欲満々。女子主将の女澤美晴さん(同)は「無観客での開催だが、支えてくれた人たちへの感謝を込めて臨む。仲間とともに出場する最後の大会。楽しみながら悔いのない戦いをしたい」と熱い思いを伝えた。

 

全国大会に臨む決意を伝えた生徒たちを野田市長が激励した

全国大会に臨む決意を伝えた生徒たちを野田市長が激励した

 

 弓道部の亀井美冬さん(3年)は個人戦に臨み、全国から集まる選手と競い合う。「3年間の集大成として、いい試合をしたい」と前向き。暑い日が続く中でも練習を重ね、万全の状態で大会を迎える準備を進めている。

 

 同校定時制から陸上競技の男子100メートルに出場する阿部雄一君(4年)は「4年間陸上を頑張ってきた。最後の大会になるので、力を絞り出し限界に挑戦したい」と気合十分。卓球の個人戦に挑む越田凜姫(りめか)さん(同)は「一球一球に集中したい」と抱負を語った。

 

 野田市長は「いろんな経験を積むことが成長のきっかけになる。精いっぱい努力した分だけ得るものがある。がんばれ」と激励した。

 

高校総体などの出場者は次の通り。

 

■釜石高
【空手道】(富山県上市町/8月13日―15日)
▽男子団体組手=和田悠佑、鈴木光、似田貝尚人、佐々木鉄馬(3年)、佐藤蓮太、岩間武蔵(2年)、松田郷佑(1年)
▽男子個人組手=佐藤蓮太、鈴木光
▽男子個人形=坂本嘉之(1年)
▽女子団体組手=女澤美晴、藤原充葉、佐藤真鈴(3年)、菊池瑠唯(2年)、佐々木來愛(1年)
▽女子個人組手=女澤美晴、藤原充葉
▽女子個人形=佐藤真鈴
【弓道】(新潟県上越市/7月29日―8月1日)
▽女子個人=亀井美冬(3年)
 
■釜石高定時制
【陸上競技】(東京都世田谷区/8月22日―24日)
▽男子100㍍=阿部雄一(4年)
【卓球】(奈良県奈良市/8月4日―6日)
▽女子個人=越田凜姫(4年)

佐伯悠さんの指導が行われた釜石高、釜石商工高ラグビー部の合同練習=11日

釜石市ラグビー人財育成専門員・佐伯悠さん 市内の高校生に指導開始

ラグビー人財育成専門員として高校生への指導を始めた佐伯悠さん(後列右)

ラグビー人財育成専門員として高校生への指導を始めた佐伯悠さん(後列右)

 

 釜石市のラグビー人財育成専門員として1日付けで着任した元釜石シーウェイブス(SW)RFC選手の佐伯悠さん(36)が、10日から市内2高校のラグビー部の指導を開始した。佐伯さんは「スポーツをやるからには絶対勝ってほしい。自分が培ってきた技術や経験をしっかりと伝え、試合に勝つための準備に全力を尽くしたい」と意気込む。

 

 釜石高ラグビー部(9人)と釜石商工高同(10人)は本年度、試合に必要な選手数を確保できないため、合同チームとして大会に出場する。佐伯さんは、毎週土・日曜日に両校部員が集まる合同練習で指導にあたることになり、10、11の両日、商工高グラウンドで行われた練習から専門員としての指導を開始した。

 

 11日は両校から14人が指導を受けた。佐伯さんはプレーの基本となるパスやキック、タックルに加え、フォワードの選手らにスクラムやラインアウトのリフティングを指導。約2時間半の練習後、「試合の相手を意識して練習することが大切。その先には勝つこと。釜石でラグビーをやる誇りを持ち、頑張っていこう」と呼び掛けた。

 

佐伯悠さんの指導が行われた釜石高、釜石商工高ラグビー部の合同練習=11日

佐伯悠さんの指導が行われた釜石高、釜石商工高ラグビー部の合同練習=11日

 

タックルの基本を実践する部員ら

タックルの基本を実践する部員ら

 

平日練習のキーポイントなどを伝える佐伯さん

平日練習のキーポイントなどを伝える佐伯さん

 

 釜石高の川﨑瞭主将(3年)は「1つ1つのプレーが実際の試合でどんな意味を持つのかなど、より深く教えてもらえるので勉強になる。勝たなきゃという気持ちが生まれる」と刺激を受けた様子。合同チームのゲームキャプテンを務める商工高の三浦一真主将(3年)は「(2日間で)みんなうまくなってきている。パスをつなげたいので、効果的な練習法を教えてほしい」と意欲的。8月27日に開幕する全国高校ラグビー選手権県予選に向け、「個々が実力を発揮し、みんなで支え合えるチームに」と力を込めた。

 

 商工高同部顧問の稲生太貴教諭は佐伯さんの指導を「本当に心強い。足りない所、基本的な部分で最初から教えてもらえるのはありがたい。部員たちも言われたことを考えながら実践している」と歓迎。今後の実力向上に期待を寄せた。

 

ラインアウトのジャンパーの姿勢を佐伯さん自ら手本を示す 

ラインアウトのジャンパーの姿勢を佐伯さん自ら手本を示す 

 

フォワード陣によるラインアウト練習

フォワード陣によるラインアウト練習

 

 佐伯さんは関東学院大卒業後の2007年に釜石SWに加入。11年に主将となり、3年間チームをけん引した。20年に退団し、出身地神奈川県に戻ったが、釜石市が始めた「ラグビー人財育成プロジェクト」を知り、同専門員に応募。指導者として再び釜石で手腕を発揮することになった。日本ラグビー協会やワールドラグビーが認定するコーチ資格を持つ。

 

 「部員たちはすごく真っすぐ。成長が楽しみ」と佐伯さん。ラグビーが土壌としてある釜石で、小・中・高と続けられる環境の必要性を強く感じてきた。「一貫性を作れる機会が得られてうれしい。子どもたちの特性を伸ばしていきたい」と今後を見据える。小・中学生への指導も順次、行っていきたい考えだ。

ゴール前の攻防。選手たちの全力プレーにスタンドの関係者から盛んな拍手が送られた

被災3県で「子ども復興五輪」 岩手はW杯聖地うのスタでラグビー交流

復興が進んだまち並みを臨むスタジアムで行われた「子どもラグビー復興五輪」=10日

復興が進んだまち並みを臨むスタジアムで行われた「子どもラグビー復興五輪」=10日

 

 「復興五輪」を掲げる東京五輪の開幕を前に10日、東日本大震災の被災地・釜石市で、ラグビー交流や震災学習で地域への理解を深めるイベント「子ども復興五輪」が開かれた。これまで受けた支援に感謝し、被災地の姿を国内外に発信する同五輪の意義を感じてもらおうと復興庁が企画。釜石、宮古両市でラグビーに親しむ小学生20人が、実技指導や交流試合を楽しんだほか、語り部の講話から防災意識の重要性を学んだ。

 

 会場は、2019年にラグビーワールドカップ(W杯)会場となった釜石鵜住居復興スタジアム。釜石シーウェイブス(SW)ジュニアから11人、宮古ラグビースクールから9人が参加した。開会式でSWジュニアキャプテンの佐々木璃音さん(甲子小6年)が、「五輪に負けないぐらい、精いっぱいみんなで頑張る」と選手宣誓した。

 

選手宣誓をする釜石SWジュニアの佐々木璃音さん

選手宣誓をする釜石SWジュニアの佐々木璃音さん

 

 ラグビー教室では釜石SWRFCの小野航大主将、中野裕太選手、須田康夫ヘッドコーチが子どもたちを指導。ボールキャッチやパスの基本を、数種の練習メニューを用いて教えた。指導後、釜石と宮古の交流試合も行われた。あいにくの雨模様の中、両チームは全力プレーを見せ、W杯聖地で思い出を刻んだ。

 

 釜石の山﨑陽介君(小佐野小6年)は「試合が楽しかった。これからも練習を続け、今よりもっとうまくなりたい。プレーの判断が早くできるようになるのが目標」と刺激を受けた様子。この日は小野、中野両選手から体づくりやレベルアップのためのアドバイスもあり、子どもたちは多くの学びを得た。

 

釜石SWの選手らが指導したラグビー教室。確実なボールキャッチの技術などを学んだ

釜石SWの選手らが指導したラグビー教室。確実なボールキャッチの技術などを学んだ

 

釜石SWジュニアと宮古ラグビースクールの交流試合

釜石SWジュニアと宮古ラグビースクールの交流試合

 

ゴール前の攻防。選手たちの全力プレーにスタンドの関係者から盛んな拍手が送られた

ゴール前の攻防。選手たちの全力プレーにスタンドの関係者から盛んな拍手が送られた

 

 被災地産食材を使った弁当昼食の後は、震災や復興の学習。鵜住居町の「いのちをつなぐ未来館」で語り部活動を行う川崎杏樹さん(25)が自身の体験などを話した。川崎さんは震災時、同スタジアムの場所にあった釜石東中の2年生。隣接する鵜住居小の児童の手を取り高台まで避難し津波から逃れたこと、迅速に行動できた背景には日ごろから学校で行われていた防災教育があったことを明かした。ラグビーW杯の開催決定が釜石の復興加速につながったことも伝えた。

 

いのちをつなぐ未来館の川崎杏樹さんから当時の避難行動やまちの復興過程を聞いた学習

いのちをつなぐ未来館の川崎杏樹さんから当時の避難行動やまちの復興過程を聞いた学習

 

 宮古の山田楓さん(磯鶏小5年)は「自宅は海の近く。川崎さんの話を聞き、これから起きるかもしれない災害にちゃんと備えておきたいと思った。いざという時、すぐに逃げられるように」と気を引き締めた。間もなく開幕する五輪では「岩手県出身の選手が出場する競技とか見てみたい」と期待を込めた。

 

 この日は、亀岡偉民復興副大臣が来釜。子どもたちの様子を熱心に見守った。「コロナ禍で、子どもたちも日ごろの頑張りを披露する場が失われている。今日は生き生きとした姿が見られ、(イベントを)やって良かったと思う」。復興五輪について「厳しい状況に耐えながらもアスリートが日本に来てくれて、力を発揮する姿を子どもたちに見てほしい。スポーツの感動を味わい、目標にして頑張れる子が出てくるといい」と願った。

 

子どもたちの今後の活躍に期待し、熱いエールを送る亀岡偉民復興副大臣

子どもたちの今後の活躍に期待し、熱いエールを送る亀岡偉民復興副大臣

 

「子ども復興五輪」は岩手、宮城、福島の被災3県で実施。五輪の競技会場となっている宮城、福島では、それぞれ開催競技であるサッカー、野球による交流が行われている。

全日本バレーボール小学生大会県大会で初優勝した「栗林ラビースポーツ少年団」

栗林ラビー 全日本バレーボール小学生大会で県制覇 今年2度目の優勝に歓喜

全日本バレーボール小学生大会県大会で初優勝した「栗林ラビースポーツ少年団」

全日本バレーボール小学生大会県大会で初優勝した「栗林ラビースポーツ少年団」

 

 釜石市の小学生バレーボールチーム「栗林ラビースポーツ少年団」(団員18人)は、6月26、27日に花巻市で開かれた第41回全日本バレーボール小学生大会県大会で初優勝を果たした。本年2月の岩手めんこいテレビ杯県新人大会に続く県制覇。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、和歌山県で開催予定だった全国大会は中止され、念願の全国出場はかなわないが、チームは次の目標に向け練習に打ち込む。

 

 全日本大会は男、女、混合の3部門あり、ラビーは46チームが参加した女子部門で戦った。試合はトーナメント戦。第1シードのラビーは2回戦から登場し、5試合を勝ち抜いた。めんこい杯と同カードとなった準々決勝では、強豪の軽米に前回同様、2―1で逆転勝利。準決勝は金ケ崎を2―0、決勝は一関を2―1で下し、本県の頂点に輝いた。

 

 団員は釜石大槌地区の7校から集まるため、5、6月は練習日に各校の運動会や修学旅行が重なり思うように練習できなかった。コロナの影響で練習試合の機会も少なかったというが、「練習通り力を出せれば、いいゲームができると思った。現チームはレシーブとサーブが抜群。何とかエースにつなげば勝算はあった」と藤原明広監督(62)。

 

団員を指導する藤原明広監督=3日・栗林小体育館

団員を指導する藤原明広監督=3日・栗林小体育館

 

エースの山﨑新菜さんのスパイクは圧巻

エースの山﨑新菜さんのスパイクは圧巻

 

 攻撃の要、山﨑新菜さん(釜石小6年)は162センチの長身を生かした打点の高いスパイクが持ち味。今大会でも大活躍し、チームの勝利に貢献した。「コースの打ち分け、フォローが課題」とさらなるスキルアップに励む山﨑さん。「次の大会でも優勝できるように気持ちを入れて練習していきたい」と意気込む。

 

 主将の金野涼葉さん(鵜住居小6年)は今季のチームを「攻撃力が強くて、つなぎがいい」と自負。めんこい杯での優勝以降、練習にもさらに熱が入り、今大会では強化してきたスパイクやサーブでその成果が見られたという。「全国大会に行けなくて悔しい思いはあるけど、他の大会でまた優勝したい」と気持ちを切り替える。

 

競技経験者の保護者コーチを相手にブロック練習

競技経験者の保護者コーチを相手にブロック練習

 

さらなるレシーブ力向上へ守備練習もしっかりと

さらなるレシーブ力向上へ守備練習もしっかりと

 

 栗林ラビーは1984年に結成。県内大会では何度か準優勝し、2005年には全国大会初出場も果たしたが、これまで優勝経験は無かった。今年2月のめんこい杯が初めての県制覇。今大会が2度目の優勝となる。同団OGで、愛娘2人が団に所属する谷藤香代子さん(41)は「自分たちの時は県大会に出場するのがやっと。優勝するまでに成長してうれしい。ラビーが長く続いてくれれば」と願う。

 

8月の選抜大会に向け団員の気合いも十分!

8月の選抜大会に向け団員の気合いも十分!

 

 団の次の目標は、今大会のベスト16が出場する県選抜大会(8月21、22日に盛岡市で開催)。上位2チームが青森県で開催される東北大会に出場できる。藤原監督は「守備の弱点を克服し、速攻などでレベルの高い試合ができるようにしたい。状況を自分たちで判断する頭脳プレーが課題」とさらなる高みを目指す。併せて「精神面の強化、控え選手の育成にも力を入れ、全国で戦える実力をつけたい」と今後を見据える。

 

 なお、同団では随時、団員を募集中。対象は小学校1~6年生まで。入団や見学の問い合わせは菊池健副会長(電話090・8924・2221)へ。

市営プールで行われた屋外プール開きの神事

夏本番へ!釜石市営プール 屋外50メートルプール開放開始

市営プールで行われた屋外プール開きの神事

市営プールで行われた屋外プール開きの神事

 

 釜石市大平町の市営プールは3日、屋外プール開きを行い、今夏の利用を開始した。屋外にある3プールのうち、25メートル、幼児用プールで地質調査が行われるため、利用できるのは50メートルプールのみ(屋内プールは通常営業)。屋外開放は9月5日までの予定。同施設は、小・中学校の夏休み期間(7月22日~8月19日)は無休で営業する。

 

 3日は、シーズン中の安全を祈願する神事が行われた。同プールの市指定管理者・協立管理工業(小笠原拓生社長)、釜石水泳協会(西原義勝会長)、市から12人が出席。尾崎神社(浜町)の佐々木裕基宮司が祝詞を奏上。出席者の代表が玉串をささげ、利用者の安全を祈った。例年、神事の後に行われるスイミングクラブの子どもたちによる模範泳法の披露は、新型コロナウイルス感染防止のため、昨年に続き中止された。

 

出席者の代表が玉串をささげシーズンの安全を祈る

出席者の代表が玉串をささげシーズンの安全を祈る

 

 

 同施設の昨年度のプール利用者数は約2万4千人。新型コロナ感染拡大に伴う休業要請で4、5月は休館。屋外25メートル、幼児用プールの不具合で工事が行われ、夏季開放が約1カ月遅れたことなどで、前年度より約6千人減少した。

 

 館内ではコロナ対策として手指消毒のほか、3密回避のための対策を講じる。屋内プール利用は1回おおむね1時間30分以内。トレーニングルーム利用は1人1日1時間以内、一度にトレーニングできる人数は10人まで。施設責任者の小笠原重子さん(協立管理工業専務)は「飛沫感染を防止するため、特に更衣室などでは密にならないよう十分注意してほしい」と話す。

 

今季の屋外開放は50メートルプールのみ。ルールを守って安全な利用を!

今季の屋外開放は50メートルプールのみ。ルールを守って安全な利用を!

 

 この他、利用にあたっては、危険な飛び込みやコースを横断しての遊泳をしないなどマナーを守って安全に利用するよう呼び掛ける。夏休み中は幼児が無料、プールのない市内中学校の生徒は生徒手帳を提示すれば無料となる。市営プール利用についての問い合わせは同プール(電話0193・22・3190)へ。

釜石ラグビー人財育成専門員として着任した佐伯悠さん(右)、野田武則市長

釜石・ラグビー人財育成プロジェクト始動 専門員に元釜石SW佐伯さん

釜石ラグビー人財育成専門員として着任した佐伯悠さん(右)、野田武則市長

釜石ラグビー人財育成専門員として着任した佐伯悠さん(右)、野田武則市長

 

 ラグビーの普及や選手の育成・強化に向けた釜石市の取り組み「ラグビー人財育成プロジェクト」が動き出した。1日、子どもたちの指導などを担う専門員として、釜石シーウェイブス(SW)RFC元選手の佐伯悠さん(36)が着任した。ジュニア世代から高校まで切れ目ない選手の育成によりトップ選手輩出を目指し、ラグビーに関わる人材育成の基盤づくりが狙い。新しい「ラグビーのまち」の実現を目指す。

 

 佐伯さんは神奈川県横浜市出身。関東学院大卒業後、2007年に釜石SWに入団した。東日本大震災があった11年に主将になり、3年間チームをけん引。19年に退団した。日本ラグビー協会と日本スポーツ協会が認定するA級コーチ、ワールドラグビーが認定する資格(レベル2)を保有。仕事の都合で戻った神奈川県で高校生の指導に携わってきた。

 

 今回、会社を退職して専門員に転身した佐伯さん。「釜石には大きな恩がある。持てる力を還元できれば。ラグビーの楽しさを伝え、一人でも多くの子どもたちが関わってもらえるようにしたい」と意気込む。

 

現役時代の佐伯さん(中央) 2015年9月12日 釜石SW対ヤクルトレビンズ(写真:Grafica Inc. 西条佳泰)

 

 辞令を交付した野田武則市長は「ラグビーワールドカップのレガシー(遺産)を守りながら、ラグビーのまちを発展させたい。頑張ってほしい」と期待した。

 

 専門員の任用は、第6次市総合計画(21~30年度)で掲げる重点施策の一つ、「ラグビーのまち・釜石」を推進するため。市内の公的機関やスポーツ団体などでつくる協議会内に、教育関係者も交えた専門委員会を設置する方針で、佐伯さんは専門委の事務局業務を担う。プロジェクトに関する業務では、釜石SWが運営するSWジュニアや中学生対象のアカデミーと連携しながら競技の普及、全国大会出場を目標とした技術強化に向けた施策などを検討する。

市民体育館で行われたバドミントン。優勝目指し全力でプレー=19日

釜石大槌地区中総体 コロナに負けず、県大会目指し9競技で熱戦

市民体育館で行われたバドミントン。優勝目指し全力でプレー=19日

市民体育館で行われたバドミントン。優勝目指し全力でプレー=19日

 

 2021年度釜石大槌地区中学校総合体育大会(中総体)は19、20の両日、9競技が行われた。各会場では新型コロナウイルス感染防止策を徹底し、安全安心な大会運営に生徒、教員、保護者ら関係者が協力した。昨年は中止された県大会が今年は実施予定。選手は持てる力を存分に発揮し、地区代表の座をかけて熱戦を繰り広げた。

 

 昨年の中総体は県大会以上が中止され、釜石大槌地区では7月に代替の地区大会を無観客で実施。柔道を除く8競技が行われた。今年は一部競技を除き、保護者の観戦が可能となったが、人数制限や入退場時間の設定、拍手での応援など細かなルールが設けられた。特に屋内施設では十分な換気、選手との接触回避に努め、感染リスク低減を図った。

 

軟式野球の準決勝、釜石―大平・唐丹の試合=20日、平田運動公園野球場

軟式野球の準決勝、釜石―大平・唐丹の試合=20日、平田運動公園野球場

 

保護者はコロナ対策のマナーを守り、拍手で応援

保護者はコロナ対策のマナーを守り、拍手で応援

 

 釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムは、初めて同大会サッカー競技の会場となり、釜石東・甲子合同チームと大槌学園が対戦した。両校合同チームは昨秋の新人戦に続いての結成。甲子の菊池一朗主将は、中学部活動の集大成に「ラグビーワールドカップ(W杯)があった場所で試合ができてうれしい。3年間やり切った」。釜石東の松下青夏主将は「プレーしやすい会場。試合に負けて悔しいが、新人戦から甲子中と合同でやれたことは大切な思い出」と振り返った。

 

釜石鵜住居復興スタジアムで熱戦を繰り広げたサッカー。ラグビーW杯の聖地で中総体の思い出を刻む

釜石鵜住居復興スタジアムで熱戦を繰り広げたサッカー。ラグビーW杯の聖地で中総体の思い出を刻む

 

甲子中体育館で行われたバレーボール=19日

甲子中体育館で行われたバレーボール=19日

 

 バレーボールは甲子中体育館が会場。2連覇を目指す釜石中の女子は初戦から気合い十分。古水結菜キャプテンは「サーブも安定し、まずは1勝。絶対、県大会に行きたい」。菊池夢捺部長は「コロナの影響で各種大会が中止、内陸に練習試合に行けないなど実践の場が極端に減ったが、自分たちなりにできることをやってきた。次も勝ちたい」と思いを強くした。

 19日の降雨予報を受け、軟式野球の2試合、ソフトテニスの全日程が20日に順延されたが、2日間で全9競技の試合を終えた。

 

釜石市内第1走者を務めた奥村晄矢君。友達が大漁旗でエール(提供:東京2020組織委員会)

釜石を駆け抜けた五輪聖火リレー 夢・希望・笑顔つなぐ

釜石市(1・22キロ)を走った10~60代の聖火リレーランナー。市内外から集まった

釜石市(1・22キロ)を走った10~60代の聖火リレーランナー。市内外から集まった

 

 「復興五輪」を掲げる東京五輪の聖火が釜石市にやって来た。17日、魚河岸から大町の市民ホールTETTOまでの1・22キロで、本県ゆかりの8人のランナーが希望の炎をつないだ。東日本大震災からの復興、望郷の思い、支えてくれる人への感謝。ランナーはそれぞれの思いを聖火に込めて走った。沿道に駆け付けた市民らは新型コロナウイルス対策をとりながら拍手で迎えた。

 

 第1走者は釜石中3年の奥村晄矢君(14)。世界で活躍するトップアスリートの育成を目指す「いわてスーパーキッズ」に小学5年から参加している。さまざまな五輪競技種目を体験する中、現在は得意の走力を生かし陸上競技に打ち込んでいる。

 

釜石市内第1走者を務めた奥村晄矢君。友達が大漁旗でエール(提供:東京2020組織委員会)

釜石市内第1走者を務めた奥村晄矢君。友達が大漁旗でエール(提供:東京2020組織委員会)

 

 共に頑張る陸上部の仲間が大漁旗を振って後押しする中、堂々とした走りで進んだ奥村君。「気持ちよく、笑顔で走ることができた」とすがすがしい表情を見せた。世界的なスポーツの祭典・五輪の始まりを盛り上げるイベントに関わったことで、スポーツに対する思いを刺激された様子。「陸上をメインに大きな大会にも出場し、トップアスリートを目指したい」と前を向いた。

 

 「感動した」。わが子の勇姿を沿道で見守った母由佳さん(51)は感激の様子。「たくさんの人とわくわく感を共有したことを覚えていてほしい」と感慨深げに話した。

 

「バトンタッチ」。トーチキスでポーズを決める奥村晄矢君(左)と横田信之さん

「バトンタッチ」。トーチキスでポーズを決める奥村晄矢君(左)と横田信之さん

 

 揺らめく炎は「トーチキス」で第2走者の横田信之さん(53)=神奈川県横浜市=にリレー。釜石生まれで、4歳まで過ごした故郷にできた新しい街並みをしっかりと目に焼き付けるよう走った。「ありがとう」「岩手の思いをつないで走ろう」。沿道で見つめる人たちが掲げたメッセージに、「みんなが互いに応援し合っている感じ。トーチの炎で希望の炎をともすことができたらうれしい」と温かい気持ちを交換した。

 

 第3走者の清水信三さん(64)は震災復興に関わったことから岩手応援を続ける。第4走者の早坂沙織さん(33)は支えてくれる人たちへの感謝の気持ちを込め聖火をつないだ。

 

地元在住の新里さんと三上さん トライアスロンパフォーマンスで聖火をつなぐ

 

トーチの火を受け渡し、トライアスロン3種目のポーズを決める新里進さん(奥)と三上雅弘さん

トーチの火を受け渡し、トライアスロン3種目のポーズを決める新里進さん(奥)と三上雅弘さん

 

 釜石の震災復興のシンボルの1つ「トライアスロン」を模したパフォーマンスで聖火リレーを盛り上げたのは、第5走者の新里進さん(63)=浜千鳥社長=と第6走者の三上雅弘さん(57)=県トライアスロン協会会長=。2011年の震災から10年となる地元釜石の未来に希望を託し、聖火をつないだ。

 

 「トーチに火を受けた時、全国をつないできているという重みを強く感じた」と新里さん。「沿道の応援が何よりうれしく、楽しく走れた」と今までにない高揚感に胸を躍らせた。創業約100年の酒蔵の経営者。地域に密着した酒造りを行い、地元経済振興の一翼を担う。震災から10年の節目の年を「明るい未来への1つの区切り」と捉え、地域活性化の願いを赤々と燃える炎に込めた。

 

 三上さんは震災の津波で自営の店と自宅を失った。幾多の困難を乗り越え、18年に自宅を再建。現在は山田町の任期付き職員として働く。震災前から運営に携わってきた釜石はまゆりトライアスロン国際大会。被災の翌年から大会復活に向け動き出し、14年には全3種目による大会を実現。16年の岩手国体同競技の成功にも貢献した。

 

震災前の居住地只越町を走る三上雅弘さん。地元住民ら沿道の応援に笑顔で応える

震災前の居住地只越町を走る三上雅弘さん。地元住民ら沿道の応援に笑顔で応える

 

 一般公募枠で聖火ランナーに選ばれ、1年の延期を経ての大役。「思っていたよりも胸に込み上げてくるものがあった。本当にいろいろな人の支えがあって今日まで来たんだなと。言葉にならないような感情でした」と三上さん。被災地に向けられてきた支援に深く感謝し、「まだまだ課題は多い。自分たちが行動を起こし、まちを変えていく姿を引き続き発信していきたい」と誓った。

 

沸く沿道思い出す 最終走者・森重隆さん 変わらぬ笑顔で走り抜く

 

ゴールの市民ホールに到着した森重隆さん。新日鉄釜石ラグビー日本一のパレードをほうふつとさせる笑顔に市民も大喜び

ゴールの市民ホールに到着した森重隆さん。新日鉄釜石ラグビー日本一のパレードをほうふつとさせる笑顔に市民も大喜び

 

 最終走者は、新日鉄釜石ラグビー部で活躍し、現日本ラグビーフットボール協会長の森重隆さん(69)=福岡県福岡市。被災地の子どもたちを支える活動を継続する第7走者の湯澤大地さん(53)=神奈川県鎌倉市=から引き継いだ火をゴール地のTETTOに運んだ。

 

 盛大な拍手に高々とトーチを掲げ、現役時代と変わらぬ笑顔で応えた森さん。「第二の古里」とも言える地をゆっくりと走りながら、「40年前の(優勝)パレードを思い出していた」という。日本選手権7連覇がスタートした1979、80年に主将を務め、82年には選手兼監督として4連覇を達成。「ひげの森」と親しみを持って応援してくれた市民らの姿が重なった。「一生の思い出をありがとう」

 

 釜石も試合会場となった2019年のラグビーワールドカップ日本大会に携わり、「スポーツの力は人の心を動かす」と改めて実感。コロナ禍で開催の意義がかすんでいるとの懸念もある五輪について、「どんな形になるか分からないが、だからこそ頑張ってほしい。皆がやって良かったと思える大会に」と願った。

 

スポンサータオルやうちわを振りながらランナーを応援する市民=大町青葉通り

スポンサータオルやうちわを振りながらランナーを応援する市民=大町青葉通り

 

 只越町の関伊都子さん(51)は森重隆さんら釜石のために走ってくれたランナーの姿に感慨深げ。「リレーを盛り立てようと集まった市民の数も想像以上」と感動の瞬間を心に刻んだ。東京五輪の観戦チケットも入手し楽しみにしているが、「行けるのかどうか」。観客動員の詳細が見えない状況に複雑な思いをのぞかせた。

 

 うれしそうに走るランナーたちの姿に、只越町の菊地千津子さん(44)、凜さん(9)親子は「やって良かったんだ」と納得した様子。コロナの影響で活動制限が続く中での実施には複雑な気持ちもあったというが、「目の前で見たら楽しいし、地域が活気づく」と声を弾ませた。

新体制へ向け意欲を高める(左から)桜庭吉彦GM、須田康夫HC、坂下功正総監督

釜石シーウェイブス 21年度新体制~新ヘッドコーチに須田康夫氏、法人化で運営力強化

新体制へ向け意欲を高める(左から)桜庭吉彦GM、須田康夫HC、坂下功正総監督

新体制へ向け意欲を高める(左から)桜庭吉彦GM、須田康夫HC、坂下功正総監督

 

 ラグビー・トップチャレンジリーグ(TCL)の釜石シーウェイブス(SW)RFCは4日、2021年度の新体制を発表した。昨季はフォワード(FW)コーチとしてチームを支えた須田康夫氏(37)がヘッドコーチ(HC)に就任し、チームの指揮を執る。また、来年1月開幕予定の新リーグ参入に向け、法人格を取得。一般社団法人としてガバナンス(統治)の強化や信用力の向上も進めながら、新シーズンに臨む。

 

 SWは昨季、TCLの上位4チームを加えて行われるトップリーグのセカンドステージ出場を目標に戦ったが、5位に終わった。坂下功正総監督(62)は「残念な結果だった。バックスがゲームをコントロールできたら、もっと良くなった試合がたくさんあった。FWの強化という成果もあり、さらにレベルアップできると考えている。スタッフをまとめ、いいチームにしていきたい」と力を込めた。

 

 須田氏は10~17年度の8年間、SWでプレー。14~17年度はキャプテンを務めた。現役引退後は出身地の宮城県石巻市に戻り、高校チームの指導などに当たってきたが、昨年、2年ぶりに釜石へ。FW強化に手腕を発揮し、「釜石の強みはセットプレーとファイティングスピリット。しっかりと戦って、新しいウイニングカルチャーをつくれるよう誠心誠意努めていく。多くの人がグラウンドに顔を見に来てもらえるようなチームにしたい」とプランを描く。

 

 法人格の取得は4月30日付け。ゼネラルマネジャー(GM)を務める桜庭吉彦氏(54)が代表理事に就任した。SWはこれまで任意団体だったが、新リーグ参入の意思を示したことを受け、日本協会から社会的責任が明確な組織づくりを求められていた。

 

 法人化で、▽財政など組織運営の透明化・強化▽ホームゲーム主催に向けた社会的信用力の強化-を目指す。桜庭氏は「これまで以上に地域と共生するスポーツクラブとして取り組んでいく」とした。