タグ別アーカイブ: スポーツ

最初は白い目標球目掛け、球を投げる練習から

パラリンピックで注目!「ボッチャ」 住民交流のツールとして人気急上昇

ボッチャを楽しんだ栗橋公民館事業「みんなの輪交流会」

ボッチャを楽しんだ栗橋公民館事業「みんなの輪交流会」

 

 東京パラリンピックで日本人選手が金メダルを獲得し、一躍脚光を浴びた競技「ボッチャ」を楽しむ会が6日、釜石市栗林町の栗橋地区基幹集落センターで開かれた。栗橋公民館(栗澤厚博館長)主催の事業「みんなの輪交流会」で、地域住民が体験。新型コロナウイルス感染症岩手緊急事態宣言解除後、初の公民館活動となり、参加した16人がゲームを楽しみながら交流を深めた。

 

 「ボッチャ」は、脳性まひなどで運動機能に障害がある人向けに考案されたヨーロッパ発祥のスポーツ。パラリンピックでは1988年の韓国・ソウル大会から正式種目になった。国内では97年に日本ボッチャ協会が設立され、全国に広まった。適度な運動量やシンプルなルールから、近年では公式ルールをアレンジしたレクリエーションボッチャも人気で、介護施設やスポーツ交流イベントなどでも楽しまれている。

 

最初は白い目標球目掛け、球を投げる練習から

最初は白い目標球目掛け、球を投げる練習から

 

1チーム6人(1人1球)で対戦したゲーム

1チーム6人(1人1球)で対戦したゲーム

 

狙いを定めて球を投げる参加者。球の行方に目がくぎ付けに

狙いを定めて球を投げる参加者。球の行方に目がくぎ付けに

 

 競技は、ジャックボールと呼ばれる白い目標球を投げた後、対戦する両者が赤と青それぞれ6球を投げ合い、的となる目標球にいかに近づけられるかを競う。交流会では、レク用にアレンジしたルールを用い、3チームに分かれて対戦した。目標球はじゃんけんで勝ったチームが投げるが、どこに投げるかでその後の戦略も変わってくる。参加者は相手チームの球の位置などを見極めながら、目標球目掛けて自チームの球を放った。

 

同じチームの仲間とコースを慎重に見極める。戦略も重要なポイント

同じチームの仲間とコースを慎重に見極める。戦略も重要なポイント

 

ナイスプレーに拍手!ボッチャは見る面白さも

ナイスプレーに拍手!ボッチャは見る面白さも

 

 特別な技や体力を必要とせず、誰でも気軽に楽しめるボッチャ。参加者は仲間と戦略を考えるなど頭の体操もしながら、心身ともにリフレッシュ。たくさんの笑顔を広げた。栗林町の藤原成子さん(74)は「久しぶりに体を動かして、すごくいい気分。緊急事態宣言で家にこもっていたから、開放感もあってなおさらね。ボッチャは相手チームとの駆け引きが面白い。チームワークも大事な要素。またやってみたい」と声を弾ませた。

 

勝利に向け「エイエイオー」。気合い入れでチームの結束を固める

勝利に向け「エイエイオー」。気合い入れでチームの結束を固める

 

球は投げても転がしてもOK。投球スタイルは状況を見ながら判断

球は投げても転がしてもOK。投球スタイルは状況を見ながら判断

 

 ボッチャの用具セットを貸し出し、ゲームの仕方をレクチャーする市社会福祉協議会の生活支援コーディネーター高橋和義さんは「東京パラ大会以来、競技の認知度が高まり、市内でも利用予約が急増している。今は断トツの人気」と大会効果を実感。「普段使わない筋肉を遊びながら自然と動かせたり、互いにやじを入れて盛り上がったり。運動、交流の両面で心身を元気にする力があるのがボッチャ。うまくなってくると、みんな熱が入る」と魅力を語った。

簡単そうで難しい!?狙いを定めて輪を投げる参加者

釜石・西地区の公民館、スポーツで交流 お年寄りら和気あいあい

人工芝で伸び伸びとグラウンドゴルフを楽しむ参加者

人工芝で伸び伸びとグラウンドゴルフを楽しむ参加者

 

 釜石市の甲子・小佐野・中妻地区の公民館が主催する「西地区合同スポーツ交流大会」が7日、甲子町の市球技場で初めて開かれた。3地区から市民約70人が集い、グラウンドゴルフなど3種の競技に挑戦。公民館対抗というものの勝ち負けにこだわらず、和気あいあいと笑顔で触れ合いを楽しんだ。

 

スカットボールでは一打一打に拍手、ため息が混じった

スカットボールでは一打一打に拍手、ため息が混じった

 

簡単そうで難しい!?狙いを定めて輪を投げる参加者

簡単そうで難しい!?狙いを定めて輪を投げる参加者

 

 参加者は公民館ごとに5人一組でチームをつくり、10チームに分かれてグラウンドゴルフ、スカットボール、輪投げの3種競技に挑んだ。「おー、いい寄せだね」「あちゃー、思うようにいかない」。互いのプレーを褒め合い、励まし合いながら伸び伸びと体を動かしていた。

 

NO・1ポーズで優勝を喜ぶ中妻公民館チーム

NO・1ポーズで優勝を喜ぶ中妻公民館チーム

 

 各公民館の参加人数が異なるため、3種の平均得点で順位を決めた。優勝は2種目で1位となった中妻公民館(正木浩二館長)。最高齢参加者の似田貝五平さん(98)も活躍し、「楽しいね。元気でいるには何事も自分から進んでやらねば」と前向きな姿勢を見せた。

 

「次こそは」と上を目指すのは準優勝の甲子公民館チーム

「次こそは」と上を目指すのは準優勝の甲子公民館チーム

 

 甲子公民館(佐々木利光館長)は一歩及ばず準優勝。新型コロナウイルス感染症の影響で集まりを控えていた中の久しぶりの行事に、菅原武さん(77)は「今日はうまくいかなかった、中の上だな。外で発散できたし、初めて見る人もいて、いい交流になった」と喜んだ。

 

3位に終わったが、競技を存分に楽しんだ小佐野公民館チーム

3位に終わったが、競技を存分に楽しんだ小佐野公民館チーム

 

 全種目、得点が伸び悩んだ小佐野公民館(佐藤貴之館長)は3位に終わった。女性で最高齢参加となった菊池榮さん(94)は触れ合いが大好き。「年が年だから、追いつくのも大変。足手まといにならないよう頑張りたい」と言葉は控えめだが、足取りはしっかりと元気だった。

 

同級生3人がそろい大会が実現。左から正木館長、佐藤館長、佐々木館長

同級生3人がそろい大会が実現。左から正木館長、佐藤館長、佐々木館長

 

 同大会は3地区の地域会議と共催し、ニュースポーツを通じた住民の健康増進、他地区住民との交流促進を目的に開かれた。この春に3公民館で1969年生まれの同級生館長がそろい、「何か一緒にやろう」と思案。「エイヤ!」と開催を決めたという。3人の館長たちは「参加者が笑って楽しんでいる姿を見ることができたのが一番。面白かった―と反応が良かったのもうれしい」と手応えを実感。来年以降も継続し、回を重ねる恒例行事になるよう期待する。

震災後、新設された大槌学園の体育館で熱戦を繰り広げるバスケットボール競技

コロナ下2年目 釜石大槌地区中学校新人大会~感染防止策徹底し9競技で熱戦

震災後、新設された大槌学園の体育館で熱戦を繰り広げるバスケットボール競技

震災後、新設された大槌学園の体育館で熱戦を繰り広げるバスケットボール競技

 

 釜石大槌地区中学校新人大会(同地区中学校体育連盟主催)は11日、釜石市、大槌町の学校や公共体育施設で9競技が行われた。新型コロナウイルス感染症の県内患者数の増加で県独自の緊急事態宣言が発出される中、県中学校体育連盟が定める感染予防ガイドラインにのっとり開催。昨年に続き、各種対策を講じながら大会運営を図った。

 

 基本的に保護者を含め無観客で実施。一部競技は各チーム1人のビデオ撮影が認められた。入場者の体調確認、検温、消毒、マスク着用(選手は競技時以外)などを徹底。屋内競技では定期的な換気、選手控室の割り当てなどで三密回避に努めた。開・閉会式は行わず、時間短縮を図った。

 

釜石中で行われた剣道(上)、柔道(下)競技。釜石中、大槌学園の選手が個人戦で優勝を競い合った

釜石中で行われた剣道(上)、柔道(下)競技。釜石中、大槌学園の選手が個人戦で優勝を競い合った

 

釜石中で行われた剣道(上)、柔道(下)競技。釜石中、大槌学園の選手が個人戦で優勝を競い合った

 

 同大会は3年生が引退後、1、2年生のみで迎える初めての大会。昨年から続くコロナ感染症の影響で学校の部活動はさまざまな制約を受けるが、生徒らは精いっぱいの努力を重ね、大会当日を迎えた。各競技では、これまで培った技と力で試合に挑み、県大会出場を目指す姿が光った。

 

 甲子中女子ソフトテニス部の佐藤妃奈乃部長(2年)は「コロナで他校との練習試合がなくなるなど実践経験は不足しているが、まずまずの仕上がり。中総体は団体で準優勝だったので、今度こそ部員全員で優勝を狙いたい」と意気込んだ。結果は見事優勝。県大会への出場権を得た。

 

ソフトテニスは釜石高のコートを借用して競技。甲子、釜石、大槌の3校が出場した

ソフトテニスは釜石高のコートを借用して競技。甲子、釜石、大槌の3校が出場した

 

卓球競技は大槌町城山公園体育館で開催。個人戦には男女とも5校から選手が集い、トーナメント戦に挑んだ

卓球競技は大槌町城山公園体育館で開催。個人戦には男女とも5校から選手が集い、トーナメント戦に挑んだ

 

 釜石東中男子卓球部の佐々木和哉部長(2年)は「これまで3時間できていた練習が2時間になり、練習メニューも限られてきた。大会もできるか不安だったが、開催してもらいありがたい」と感謝。2年生は6月の中総体でも主力を担った。「3カ月でだいぶ成長した。チームのまとまりも出てきた」とし、来年の中総体に向け、さらなるレベルアップを誓った。

 

 釜石大槌地区の代表が出場する競技の県大会は、前期が10月16、17日(バスケットボール、サッカー、軟式野球、ソフトテニス)、後期が11月14日(柔道)、20、21日(バレーボール、卓球、バドミントン、剣道は21、22日)に県内各会場で開催される予定。

 

釜石大槌地区中学校新人大会(PDF/280KB)

平野恵里子選手

写真で振り返るラグビー女子日本代表候補釜石合宿

sakura15_02

ラグビー日本代表のファーストジャージとセカンドジャージに分かれて試合形式の公開練習が行われた

 

 ラグビーワールドカップ(W杯)ニュージーランド大会アジア最終予選に臨む女子15人制日本代表候補の合宿(女子15人制強化合宿・女子TID合宿)が8月22~27日に釜石市で行われた。同競技日本代表の合宿が釜石で行われるのは初めて。世界最高峰大会への出場を目指し、約50人が強化に励んだ。

 

sakura15_06

実戦さながらの気迫あふれるスクラム

 

sakura15_03

攻守で熱のこもったプレーが繰り広げられた

 

 強化合宿には、大槌町吉里吉里生まれで釜石シーウェイブスJr.出身の平野恵里子選手(29)=アザレア・セブン、釜石高-日体大も選出された。

 

sakura15_07

的確なパスをする平野選手

 

提供:(公財)日本ラグビーフットボール協会

練習終了後には野田武則市長より記念品が贈呈された 写真提供 :(公財)日本ラグビーフットボール協会

 

提供:(公財)日本ラグビーフットボール協会

写真提供 :(公財)日本ラグビーフットボール協会

 

 25日に予定されていた釜石鵜住居復興スタジアムでの公開練習は、コンディション調整等の都合により、場所を根浜多目的グラウンド(鵜住居町)へと変更し、報道関係者向けに行われた。 

 

根浜多目的グラウンドでの合同練習

根浜多目的グラウンドでの合同練習

 

sakura15_14

パスの練習にはげむ平野選手

 

平野選手、名倉選手、マッケンジーヘッドコーチへのインタビュー

 

 26日、釜石鵜住居復興スタジアムで実戦形式の練習を終えた平野選手、バックス名倉ひなの選手(24)=横河武蔵野アルテミ・スターズ=、レスリー・マッケンジーヘッドコーチ(HC)の3人が取材に応じ、釜石合宿の手応えや今後について語った。
 

※インタビューはマスクをしたうえで十分な距離をとって行われ、インタビュー終了後の写真撮影時のみマスクを外しています。

 

平野恵里子選手

平野恵里子選手(アザレア・セブン所属)

 

名倉ひなの選手

名倉ひなの選手(横河武蔵野アルテミ・スターズ所属)

 

レスリー・マッケンジーヘッドコーチ

元カナダ代表のレスリー・マッケンジーヘッドコーチ

 

-2019年のW杯日本大会の会場となったピッチに立った思いや合宿に臨んだ気持ちは。
 
平野選手「すごい胸が熱くなるような感じ。W杯予選に向け、ここを合宿の地に選んでもらったので、釜石の復興からの底力をしっかり吸収したい」
名倉選手「自分が一つでも、仲間にも相手チームにもいい影響を与えられるようにしたい」

 

-釜石合宿の手応えは。
 
マッケンジーHC「復興の一環で建てられたスタジアムでのトレーニングはスペシャルな体験で、選手たちは個人の目標やチームのゴールだけでなく、もっと大きなビジョンを得られたと感じている。釜石という地域、施設の環境、(代表)ジャージーをここで着ることができたことで、合宿や試合の質が上がった」

 

-コロナ禍だが、応援に駆け付けた地元の声援に抱いた思いは。
 
平野選手「震災から10年たって、日本代表候補としてラグビーを通して恩返しすることが一つの目標だった。プレッシャーもちょっと感じたが、プラスに変えてしっかり前向きに明るいニュースを届けられるようにしたい」
名倉選手「練習に向かうバスをカラフルな旗(大漁旗)を振って見送ってもらって頑張ろうと思った」

 

-日本代表候補は10月のアジア最終予選前の最後合宿を9月に関東で行う。スペインのリーグで約半年間プレーした経験を踏まえ、本番を前にした抱負は。
 
平野選手「1対1で勝負する戦術は日本でも生かせる部分だと思う。(9月の)合宿に呼ばれるよう、この後の練習もしっかり頑張りたい」

 

写真および取材協力:西条佳泰(株式会社Grafica)

東京パラリンピック24日開幕 釜石の「ものづくりの灯(ひ)」も聖火に

東京パラリンピック24日開幕 釜石の「ものづくりの灯(ひ)」も聖火に

東京パラリンピック24日開幕 釜石の「ものづくりの灯(ひ)」も聖火に

 

 東京パラリンピックの聖火は、全国47都道府県約880市区町村から集められた火とパラ大会発祥の地・英ストーク・マンデビルの火を合わせ、いよいよ、あす24日、開会式が行われる国立競技場に運ばれる。本県の全33市町村で採火された火は16日、盛岡市で集火され、開催地東京に送り出された。釜石市では、釜石駅前広場の「鉄のモニュメント」から〝ものづくりの灯(ひ)〟を採火し届けた。

 

 近代製鉄発祥150周年を記念し、2007年に設置された同モニュメントには、新日鉄釜石製鉄所(現・日本製鉄)構内で保存される高炉の火が分灯され、「ものづくりの灯」として燃え続けている。

 

 釜石での採火は15日にセレモニーとして行う予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う県独自の緊急事態宣言発出を受け、翌16日午前に無観客で実施。関係者6人が立ち会った。野田武則市長は「釜石の大事な火が全国の火と1つになり、さらなる元気と勇気を日本、世界に発信してくれることを願う」とあいさつ。モニュメントからトーチに採火し、盛岡に運ぶためのランタンに移した。

 

鉄のモニュメントから野田市長が「ものづくりの灯」をトーチに採火

鉄のモニュメントから野田市長が「ものづくりの灯」をトーチに採火

 

東京パラリンピック24日開幕 釜石の「ものづくりの灯(ひ)」も聖火に

 

 釜石の火を届けるのは、甲子町在住の全盲の砲丸投げアスリート小笠原智さん(75)。野田市長からランタンを託され、「パラアスリートが力いっぱい競技できるよう(祈りながら)、私も頑張って運んできます」と宣言。夕方、盛岡で行われる集火・出立式に妻ノリ子さん(69)、市の担当職員と共に向かった。

 

パラリンピック聖火になる火を野田市長から託される小笠原智さん

パラリンピック聖火になる火を野田市長から託される小笠原智さん

 

大役への感謝と意気込みを示す小笠原智さん(左)と妻のノリ子さん

大役への感謝と意気込みを示す小笠原智さん(左)と妻のノリ子さん

 

 難病で視力を失った小笠原さん。今回の大役に「重大な役目をいただき感謝。パラリンピックは自分も出てみたいと思う憧れの舞台」と喜びを表現。「選手にいい試合をしてもらうことが一番の願い。私たちもそれによって力をもらえる。どれだけうれしいことか。障害を持つ人たちが少しでも前に、外に出て、元気になるきっかけになれば」と思いを込めた。

 

 小笠原さんは、10月に三重県で開催予定の全国障害者スポーツ大会に出場が決まっている。同大会は、一昨年は台風19号、昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止されており、「何とか今年こそは」と2年越しの大会を目指し練習を重ねる。

 

 20日に東京都内で集火されたパラリンピック聖火は、都内各所での点火セレモニーを経て、あす24日、開会式会場の国立競技場に運ばれる。

勢いよくスタート!海水浴客の熱い視線が注がれる

2年ぶり根浜にアスリート集結~釜石オープンウォータースイミング~

海水浴客らも見守る中、行われた釜石オープンウォータースイミング=1日、根浜海岸

海水浴客らも見守る中、行われた釜石オープンウォータースイミング=1日、根浜海岸

 

 第5回釜石オープンウォータースイミング(OWS)2021根浜(同実行委主催)が1日、釜石市鵜住居町の根浜海岸特設会場で開かれた。新型コロナウイルス感染防止対策を講じ、2年ぶりに開催。小学4年生から70代まで大会最多の234人がエントリーし、自分の泳力に合わせた距離で完泳とベストタイム更新を目指した。

 

 競技は500メートル、1キロ、3キロ、5キロの種目で、海上に設置したブイを周回するコースで行われた。水温22度、気温27度(午前5時半現在)。午前9時からの競技開始後は、真夏の日差しが照りつけた。波は穏やかで、良好なコンディション。選手らはこれまで積み重ねた練習を糧に持てる力を存分に発揮した。

 

スタートエリアに向かう選手。通路での〝激励のハイタッチ〟はコロナ対策のため、今年は中止に

スタートエリアに向かう選手。通路での〝激励のハイタッチ〟はコロナ対策のため、今年は中止に

 

勢いよくスタート!海水浴客の熱い視線が注がれる

勢いよくスタート!海水浴客の熱い視線が注がれる

 

 かまいしSCに所属する熊谷凜音さん(平田小4年)は同大会初参加。500メートルに挑んだ。「海で1回練習はしたけど、やっぱり深くて水の濁りもあるので怖かった。もっと練習してまた出てみたい」と、さらなるレベルアップを誓った。

 

 今大会には、世界ジュニア選手権(15~19歳)日本代表選手に選ばれた高校、大学生ら5人が参加。海外で予定されていた選手権大会はコロナの影響で中止されたが、日本水泳連盟が強化事業の一環で選手を釜石に派遣した。大阪府の太成学院大高2年、岩住宏一郎さん(17)は5キロのトップでゴールし、「波の影響もなく真っすぐ泳げた感じ。課題としている前半のペースアップにも挑戦したが、結構いけた。80点ぐらいの出来」と手応えを実感。「頑張って世界で戦える選手になりたい」と高みを目指した。

 

競技力強化のため、釜石大会に参加した世界ジュニア選手権日本代表選手ら

競技力強化のため、釜石大会に参加した世界ジュニア選手権日本代表選手ら

 

 海など自然水域での長距離泳でタイムを競うOWSは、2016年の岩手国体で初めて正式競技として採用された。会場となった根浜海岸では、翌17年から国体のレガシー(遺産)を引き継ぐ形で地元主導の大会を開始し、回を重ねる。

 

 大会審判長を務める西原義勝さん(72)=釜石水泳協会会長=は「中高生の参加が増えてきた。県水泳連盟も選手育成に前向き。一般の水泳愛好者の参入も促しながら競技人口の底辺拡大を図り、当初目標の大会参加者350人を達成できれば。選手らの宿泊による観光面の経済効果にも期待したい」と今後を見据える。

 

 県水泳連盟は今大会の成績を基に、今年の三重とこわか国体水泳競技OWS(9月8日、尾鷲市)に出場する本県代表選手を決定。男子は大畠雄太朗さん(不来方高1年)=花巻SF所属=、女子は平賀雛さん(花巻南高2年)=同=が選ばれた。

ラグビー新リーグに向けた動きについて記者会見に応じる釜石SW関係者

「甘んずることなく前へ」釜石SW、ラグビー新リーグで2部に~地元和菓子店も活動後押し

ラグビー新リーグに向けた動きについて記者会見に応じる釜石SW関係者

ラグビー新リーグに向けた動きについて記者会見に応じる釜石SW関係者

 

 ラグビーのトップリーグ(TL)を刷新して来年1月にスタートする3部構成の新リーグ「リーグワン」。釜石シーウェイブス(SW)RFCは2部に入り、全6チームで1部昇格を争う。7月16日、釜石市大町の釜石PITで記者会見に応じた桜庭吉彦ゼネラルマネジャーは「2部に甘んずることなく前に進み、3年以内に1部に昇格し、10年後にチャンピオンシップを狙えるチームに」と決意を示した。

 

 新リーグには、釜石SWを含む国内24チームが参加。1部には昨季優勝した埼玉パナソニックワイルドナイツなど12チームが入り、2部と3部は各6チームとなった。1~3部でシーズンごとに入れ替え戦を行う。

 

 会見には、坂下功正総監督、須田康夫ヘッドコーチ(HC)、小野航大主将も出席。2部は昨季の成績で見ると、格上のチームが多い。坂下総監督は「体の大きいチームが挑んでくる。負けないフィジカルをつくることが必要になる」と強調。小野主将は「レベルの高いリーグに加入することができた。より高いモチベーションを持ちシーズンを迎えることができるよう準備していく」と力を込めた。

 

会見に臨む(右から)小野主将、須田HC、坂下総監督、桜庭ゼネラルマネジャー

会見に臨む(右から)小野主将、須田HC、坂下総監督、桜庭ゼネラルマネジャー

 

 今季のチームスローガンは「REVIVE(リバイブ)」。よみがえる、復活などの意味を持つ。「震災の時、多くの支えで活動を継続できた。新リーグをきっかけに、『ここにいる』との思いを伝えたい」と須田HC。桜庭ゼネラルマネジャーは新日鉄釜石の日本選手権7連覇、ラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催などに触れながら、「新しい釜石ラグビーの歴史を紡いでいきたい」とした。

 

 リニューアルしたエンブレムや、ニュージーランド代表としてのプレー経験もあるブレット・キャメロンら新規加入選手についても発表。キャメロンら外国人選手は、9月以降にチームに合流する予定だ。

 

釜石SWの新エンブレム

釜石SWの新エンブレム

 

「釜石SW応援」地元の老舗和菓子店・小島製菓、売り上げ寄付

 

釜石SWを応援しようと、寄付金を贈った小島製菓の関係者(前列右)ら

釜石SWを応援しようと、寄付金を贈った小島製菓の関係者(前列右)ら

 

 釜石SWの会見に合わせ、上中島町の小島製菓(菊地広隆社長)は同日、自社製品「釜石ラグビーパイ」の売り上げの一部をSWに寄付した。ラグビーで地域を盛り上げるチーム活動を後押しするのが目的。桜庭ゼネラルマネジャーに寄付金の目録を手渡した菊地社長は「未来に光り輝くものを残したい。今後の活動に役立ててほしい」と願った。

 

 ラグビーパイは、ラグビーボールの形に似せたパイ生地で自家製の粒あんやチョコあんを包んだ菓子。ラグビーW杯日本大会の開催決定を受け、2017年に作った。釜石SWの活躍とともに、土産品としての利用も好調で、累計100万個を売り上げるヒット商品となっている。寄付は20年の売り上げの一部を充てた。

 

釜石SW、交流試合などの日程発表

 

 会見では、9月26日に「ともだちマッチ」として、釜石鵜住居復興スタジアムで静岡ブルーレヴズと交流試合を行うことも発表。東日本大震災以降、さまざまな支援活動や交流事業を続けてきたヤマハ発動機ジュビロがチーム名を変更し、再訪する。

 

 11月14日にはラグビーW杯日本大会のレガシー(遺産)を継承するイベントとして、同スタジアムで神戸製鋼コベルコスティーラーズと記念試合を行う。県や市などでつくるイベント実行委での承認を受け、7月19日に発表した。「大震災の被災地」「日本選手権7連覇」のキーワードで結び付く両チームの対戦に、釜石SWは「ポジティブなメッセージを届けることができれば」としている。

2年ぶりの大会で躍動する選手ら

県ビーチボール競技大会 釜石市で震災後初開催~2年ぶりの試合に笑顔~

県ビーチボール競技大会 釜石市で震災後初開催~2年ぶりの試合に笑顔~

 

 第27回岩手県ビーチボール競技大会が18日、釜石市鵜住居町の市民体育館で開かれた。同市が会場となるのは東日本大震災後初めて。震災復興で2019年に新設された同体育館を利用し、昨年開催予定だったが、新型コロナウイルスの影響で1年延期されていた。選手たちは2年ぶりの大会開催を喜び、熱戦を繰り広げた。

 

 県ビーチボール協会(橋本昭治会長)主催の同大会は、競技の普及や参加者相互の親睦を目的に各地持ち回りで開催。釜石開催は約13年ぶりとなる。開会式で橋本会長は「昨年から各種大会が中止されているが、一生懸命練習している選手のために県大会開催を決めた。素晴らしい体育館でプレーできることに感謝し、練習の成果を存分に発揮してほしい」とあいさつ。野田武則市長が歓迎の言葉を述べた。

 

開会式では釜石市「愚零海」の女子選手が選手宣誓

開会式では釜石市「愚零海」の女子選手が選手宣誓

 

 釜石市のチーム「愚零海(グレイシー)」の女子選手3人が選手宣誓。「釜石の復興に関わってくれた全ての方に感謝し、今、ビーチボールができることを当たり前と思わず、最後まで全力でプレーする」と誓った。

 

新設された釜石市民体育館で初めて開かれた県ビーチボール競技大会

新設された釜石市民体育館で初めて開かれた県ビーチボール競技大会

 

2年ぶりの大会で躍動する選手ら

2年ぶりの大会で躍動する選手ら

 

 今大会には男女それぞれ10チームが参加。年齢区分で設けた3部門で予選リーグと決勝トーナメントが行われた。同協会には約50チームが登録するが、コロナ禍で思うように活動できないチームも多く、参加チーム数は例年より減少。それでも、久しぶりの試合に躍動し、競技仲間との絆を深めた。

 

 ビーチボール競技は1978年に富山県朝日町で考案された。ビニール製のボールでけがが少なく、年齢を問わず誰でも気軽に楽しめるスポーツとして人気を集める。同町と友好都市提携(84年~)を結ぶ釜石市でも競技普及が図られ、複数のチームが活動してきたが、現在は「愚零海」(男女各1チーム)のみが活動中。

 

県ビーチボール競技大会 釜石市で震災後初開催~2年ぶりの試合に笑顔~

 

釜石での大会開催を機に同市のビーチボール競技の振興に期待が高まる

釜石での大会開催を機に同市のビーチボール競技の振興に期待が高まる

 

 「愚零海」女子チームの監督兼選手、井浦沙空さん(24)は初めて経験する地元開催の大会に「新しくできた体育館で、みんなで集まってプレーできることに喜びを感じている。これを機に釜石の競技人口が増え、大会を重ねながら盛んになっていけば」と期待を込めた。

 

 各部門の結果は次の通り。

 

【男子】
▽18歳以上(参加チーム6)
優勝=婆娑羅(奥州市)2位=NEO(金ケ崎町)3位=赤猿(花巻市)、ムーミン(奥州市)
▽40歳以上(同2)
優勝=XP.Com(奥州市)2位=P.C.S(金ケ崎町)
▽50歳以上(同2)
優勝=ちぁありぃ(花巻市)2位=スバル(金ケ崎町)

 

【女子】
▽18歳以上(参加チーム4)
優勝=ビーチランナーズ(奥州市)2位=愚零海(釜石市)3位=救護班(花巻市)
▽35歳以上(同3)
優勝=NEO(金ケ崎町)2位=RK(花巻市)3位=Blue Rose(奥州市)
▽50歳以上(同3)
優勝=Blue Rose(奥州市)2位=SAKURA(花巻市)3位=ひとかべ(奥州市)

ラグビー15人制女子日本代表合同合宿が開催されます

ラグビー15人制女子日本代表合同合宿が開催されます

ラグビー15人制女子日本代表合同合宿が開催されます

 

釜石市では、「ラグビーのまち釜石」をより一層推進すべく釜石鵜住居復興スタジアムをはじめ、市内体育施設を利用した合宿や大会の誘致を推進しているところですが、この度、ラグビー女子15人制日本代表による「ラグビーワールドカップ2021ニュージーランド大会(女子)アジア最終予選」に向けた強化合宿を当市で行うこととなりました。
なお、ラグビー競技において日本代表が当市で合宿を行うことは初めてのことです。

日時

令和3年8月23日(月)〜27日(金) 4泊5日

参加人数

53名(選手40名/スタッフ13名)

練習場所

釜石鵜住居復興スタジアム、根浜多目的グラウンド

誘致の経過

釜石市を合宿地として選んでいただいた経緯は、ラグビーワールドカップ2019釜石開催で使用した、釜石鵜住居復興スタジアム等トレーニング施設が良い事、そして釜石市の豊な自然環境のなか合宿ができる事だけでなく、日本代表チームのヘッドコーチがカナダ人女性であり、ラグビーワールドカップ2019釜石開催でラグビー男子15人制カナダ代表の釜石での出来事もあることから、ヘッドコーチ自身も釜石が思い入れのある地であるため合宿地として選らんだもの。

ホスピタリティ/交流内容について

ラグビーのまち釜石として、コロナウィルス感染予防に十分配慮した上で、おもてなしを行う予定です。
合宿観戦や今後のおもてなしの取組みは、詳細が決まり次第お知らせしてまいります。

その他

○メディア対応(練習の公開、インタビュー機会など)については後日、日本ラグビーフットボール協会から案内の予定です。
○選手・スタッフは直前にPCR検査を受けて参加するため、合宿参加メンバーは直前に決定/発表されます。
○釜石シーウェイブスJr・釜石南高校OGの平野恵里子選手も日本代表に選出されているが同様に決定/発表されます。

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 文化スポーツ部 スポーツ推進課 ラグビーのまち推進係
〒026-0031 岩手県釜石市鈴子町22番1号 シープラザ釜石2F
電話:0193-27-5712 / Fax 0193-31-1170 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2021073000054/
釜石市

釜石市

釜石市公式サイトと連携し、縁とらんすがピックアップした記事を掲載しています。記事の内容に関するお問い合わせは、各記事の担当窓口までお問い合わせください。
野田市長(左)に全国での活躍を誓う釜石高の選手代表

高総体、定通制大会で練習成果を存分に 釜石高生が意気込み

野田市長(左)に全国での活躍を誓う釜石高の選手代表

野田市長(左)に全国での活躍を誓う釜石高の選手代表

 

 北信越5県(福井、新潟、富山、石川、長野)を中心に開催される2021年度全国高校総合体育大会(インターハイ)と、東京都などで行われる全国高校定時制通信制体育大会に釜石高から出場する選手代表5人が19日、釜石市役所を訪れ、野田武則市長に決意を伝えた。

 

 インターハイは7月25日、定通制大会は同30日に競技が始まり、それぞれ1カ月間熱戦が繰り広げられる。インターハイには同校から空手道に13人、弓道に1人が出場。定通制大会には同校定時制から陸上競技、卓球に各1人が参加する。

 

 同校は男女ともに空手道団体組手で出場する。男子主将の和田悠佑君(3年)は「3年間練習した成果を発揮できるよう頑張る」と意欲満々。女子主将の女澤美晴さん(同)は「無観客での開催だが、支えてくれた人たちへの感謝を込めて臨む。仲間とともに出場する最後の大会。楽しみながら悔いのない戦いをしたい」と熱い思いを伝えた。

 

全国大会に臨む決意を伝えた生徒たちを野田市長が激励した

全国大会に臨む決意を伝えた生徒たちを野田市長が激励した

 

 弓道部の亀井美冬さん(3年)は個人戦に臨み、全国から集まる選手と競い合う。「3年間の集大成として、いい試合をしたい」と前向き。暑い日が続く中でも練習を重ね、万全の状態で大会を迎える準備を進めている。

 

 同校定時制から陸上競技の男子100メートルに出場する阿部雄一君(4年)は「4年間陸上を頑張ってきた。最後の大会になるので、力を絞り出し限界に挑戦したい」と気合十分。卓球の個人戦に挑む越田凜姫(りめか)さん(同)は「一球一球に集中したい」と抱負を語った。

 

 野田市長は「いろんな経験を積むことが成長のきっかけになる。精いっぱい努力した分だけ得るものがある。がんばれ」と激励した。

 

高校総体などの出場者は次の通り。

 

■釜石高
【空手道】(富山県上市町/8月13日―15日)
▽男子団体組手=和田悠佑、鈴木光、似田貝尚人、佐々木鉄馬(3年)、佐藤蓮太、岩間武蔵(2年)、松田郷佑(1年)
▽男子個人組手=佐藤蓮太、鈴木光
▽男子個人形=坂本嘉之(1年)
▽女子団体組手=女澤美晴、藤原充葉、佐藤真鈴(3年)、菊池瑠唯(2年)、佐々木來愛(1年)
▽女子個人組手=女澤美晴、藤原充葉
▽女子個人形=佐藤真鈴
【弓道】(新潟県上越市/7月29日―8月1日)
▽女子個人=亀井美冬(3年)
 
■釜石高定時制
【陸上競技】(東京都世田谷区/8月22日―24日)
▽男子100㍍=阿部雄一(4年)
【卓球】(奈良県奈良市/8月4日―6日)
▽女子個人=越田凜姫(4年)

佐伯悠さんの指導が行われた釜石高、釜石商工高ラグビー部の合同練習=11日

釜石市ラグビー人財育成専門員・佐伯悠さん 市内の高校生に指導開始

ラグビー人財育成専門員として高校生への指導を始めた佐伯悠さん(後列右)

ラグビー人財育成専門員として高校生への指導を始めた佐伯悠さん(後列右)

 

 釜石市のラグビー人財育成専門員として1日付けで着任した元釜石シーウェイブス(SW)RFC選手の佐伯悠さん(36)が、10日から市内2高校のラグビー部の指導を開始した。佐伯さんは「スポーツをやるからには絶対勝ってほしい。自分が培ってきた技術や経験をしっかりと伝え、試合に勝つための準備に全力を尽くしたい」と意気込む。

 

 釜石高ラグビー部(9人)と釜石商工高同(10人)は本年度、試合に必要な選手数を確保できないため、合同チームとして大会に出場する。佐伯さんは、毎週土・日曜日に両校部員が集まる合同練習で指導にあたることになり、10、11の両日、商工高グラウンドで行われた練習から専門員としての指導を開始した。

 

 11日は両校から14人が指導を受けた。佐伯さんはプレーの基本となるパスやキック、タックルに加え、フォワードの選手らにスクラムやラインアウトのリフティングを指導。約2時間半の練習後、「試合の相手を意識して練習することが大切。その先には勝つこと。釜石でラグビーをやる誇りを持ち、頑張っていこう」と呼び掛けた。

 

佐伯悠さんの指導が行われた釜石高、釜石商工高ラグビー部の合同練習=11日

佐伯悠さんの指導が行われた釜石高、釜石商工高ラグビー部の合同練習=11日

 

タックルの基本を実践する部員ら

タックルの基本を実践する部員ら

 

平日練習のキーポイントなどを伝える佐伯さん

平日練習のキーポイントなどを伝える佐伯さん

 

 釜石高の川﨑瞭主将(3年)は「1つ1つのプレーが実際の試合でどんな意味を持つのかなど、より深く教えてもらえるので勉強になる。勝たなきゃという気持ちが生まれる」と刺激を受けた様子。合同チームのゲームキャプテンを務める商工高の三浦一真主将(3年)は「(2日間で)みんなうまくなってきている。パスをつなげたいので、効果的な練習法を教えてほしい」と意欲的。8月27日に開幕する全国高校ラグビー選手権県予選に向け、「個々が実力を発揮し、みんなで支え合えるチームに」と力を込めた。

 

 商工高同部顧問の稲生太貴教諭は佐伯さんの指導を「本当に心強い。足りない所、基本的な部分で最初から教えてもらえるのはありがたい。部員たちも言われたことを考えながら実践している」と歓迎。今後の実力向上に期待を寄せた。

 

ラインアウトのジャンパーの姿勢を佐伯さん自ら手本を示す 

ラインアウトのジャンパーの姿勢を佐伯さん自ら手本を示す 

 

フォワード陣によるラインアウト練習

フォワード陣によるラインアウト練習

 

 佐伯さんは関東学院大卒業後の2007年に釜石SWに加入。11年に主将となり、3年間チームをけん引した。20年に退団し、出身地神奈川県に戻ったが、釜石市が始めた「ラグビー人財育成プロジェクト」を知り、同専門員に応募。指導者として再び釜石で手腕を発揮することになった。日本ラグビー協会やワールドラグビーが認定するコーチ資格を持つ。

 

 「部員たちはすごく真っすぐ。成長が楽しみ」と佐伯さん。ラグビーが土壌としてある釜石で、小・中・高と続けられる環境の必要性を強く感じてきた。「一貫性を作れる機会が得られてうれしい。子どもたちの特性を伸ばしていきたい」と今後を見据える。小・中学生への指導も順次、行っていきたい考えだ。

ゴール前の攻防。選手たちの全力プレーにスタンドの関係者から盛んな拍手が送られた

被災3県で「子ども復興五輪」 岩手はW杯聖地うのスタでラグビー交流

復興が進んだまち並みを臨むスタジアムで行われた「子どもラグビー復興五輪」=10日

復興が進んだまち並みを臨むスタジアムで行われた「子どもラグビー復興五輪」=10日

 

 「復興五輪」を掲げる東京五輪の開幕を前に10日、東日本大震災の被災地・釜石市で、ラグビー交流や震災学習で地域への理解を深めるイベント「子ども復興五輪」が開かれた。これまで受けた支援に感謝し、被災地の姿を国内外に発信する同五輪の意義を感じてもらおうと復興庁が企画。釜石、宮古両市でラグビーに親しむ小学生20人が、実技指導や交流試合を楽しんだほか、語り部の講話から防災意識の重要性を学んだ。

 

 会場は、2019年にラグビーワールドカップ(W杯)会場となった釜石鵜住居復興スタジアム。釜石シーウェイブス(SW)ジュニアから11人、宮古ラグビースクールから9人が参加した。開会式でSWジュニアキャプテンの佐々木璃音さん(甲子小6年)が、「五輪に負けないぐらい、精いっぱいみんなで頑張る」と選手宣誓した。

 

選手宣誓をする釜石SWジュニアの佐々木璃音さん

選手宣誓をする釜石SWジュニアの佐々木璃音さん

 

 ラグビー教室では釜石SWRFCの小野航大主将、中野裕太選手、須田康夫ヘッドコーチが子どもたちを指導。ボールキャッチやパスの基本を、数種の練習メニューを用いて教えた。指導後、釜石と宮古の交流試合も行われた。あいにくの雨模様の中、両チームは全力プレーを見せ、W杯聖地で思い出を刻んだ。

 

 釜石の山﨑陽介君(小佐野小6年)は「試合が楽しかった。これからも練習を続け、今よりもっとうまくなりたい。プレーの判断が早くできるようになるのが目標」と刺激を受けた様子。この日は小野、中野両選手から体づくりやレベルアップのためのアドバイスもあり、子どもたちは多くの学びを得た。

 

釜石SWの選手らが指導したラグビー教室。確実なボールキャッチの技術などを学んだ

釜石SWの選手らが指導したラグビー教室。確実なボールキャッチの技術などを学んだ

 

釜石SWジュニアと宮古ラグビースクールの交流試合

釜石SWジュニアと宮古ラグビースクールの交流試合

 

ゴール前の攻防。選手たちの全力プレーにスタンドの関係者から盛んな拍手が送られた

ゴール前の攻防。選手たちの全力プレーにスタンドの関係者から盛んな拍手が送られた

 

 被災地産食材を使った弁当昼食の後は、震災や復興の学習。鵜住居町の「いのちをつなぐ未来館」で語り部活動を行う川崎杏樹さん(25)が自身の体験などを話した。川崎さんは震災時、同スタジアムの場所にあった釜石東中の2年生。隣接する鵜住居小の児童の手を取り高台まで避難し津波から逃れたこと、迅速に行動できた背景には日ごろから学校で行われていた防災教育があったことを明かした。ラグビーW杯の開催決定が釜石の復興加速につながったことも伝えた。

 

いのちをつなぐ未来館の川崎杏樹さんから当時の避難行動やまちの復興過程を聞いた学習

いのちをつなぐ未来館の川崎杏樹さんから当時の避難行動やまちの復興過程を聞いた学習

 

 宮古の山田楓さん(磯鶏小5年)は「自宅は海の近く。川崎さんの話を聞き、これから起きるかもしれない災害にちゃんと備えておきたいと思った。いざという時、すぐに逃げられるように」と気を引き締めた。間もなく開幕する五輪では「岩手県出身の選手が出場する競技とか見てみたい」と期待を込めた。

 

 この日は、亀岡偉民復興副大臣が来釜。子どもたちの様子を熱心に見守った。「コロナ禍で、子どもたちも日ごろの頑張りを披露する場が失われている。今日は生き生きとした姿が見られ、(イベントを)やって良かったと思う」。復興五輪について「厳しい状況に耐えながらもアスリートが日本に来てくれて、力を発揮する姿を子どもたちに見てほしい。スポーツの感動を味わい、目標にして頑張れる子が出てくるといい」と願った。

 

子どもたちの今後の活躍に期待し、熱いエールを送る亀岡偉民復興副大臣

子どもたちの今後の活躍に期待し、熱いエールを送る亀岡偉民復興副大臣

 

「子ども復興五輪」は岩手、宮城、福島の被災3県で実施。五輪の競技会場となっている宮城、福島では、それぞれ開催競技であるサッカー、野球による交流が行われている。