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栗林ラビーが主催した復興応援ありがとうカップ

震災10年 釜石に小学生バレーボールチーム招き復興応援ありがとうカップ

栗林ラビーが主催した復興応援ありがとうカップ

栗林ラビーが主催した復興応援ありがとうカップ

 

 県内の小学生バレーボールチームが参加した「復興応援ありがとうカップ兼合同練習会」は14日、釜石市鵜住居町の市民体育館で開かれた。同市の栗林ラビーバレーボールスポーツ少年団(藤原明広監督)が、震災後に県内の仲間から受けた支援に対し、感謝の思いを伝えようと企画。沿岸と内陸から計6チームが参加し、試合を通じて親睦と交流を深めた。

 

 3チームずつ予選リーグを行った後、その順位を基に決勝トーナメントを実施。試合は2セットマッチで、セットカウント1対1の場合は得点の多いチームの勝利とする形で行われた。新型コロナウイルス禍で大会が減っている選手たちに多くの試合の場を提供し、実力向上につなげてもらう機会とした。

 

3チームで競った予選リーグ(釜石―奥州胆沢)

3チームで競った予選リーグ(釜石―奥州胆沢)

 

 栗林ラビーが練習場所としている栗林小体育館は、2011年の東日本大震災直後、被災者らの避難所となり、団はしばらく練習ができない状態が続いた。この時、支援の手を差し伸べてくれたのが県内陸部のチーム。自分たちの練習拠点に招いて体を動かす場を提供してくれたり、新しいシューズなどを用意してくれたりと物心両面で支えられた。

 

 「いつか恩返しができればと思っていた」と藤原監督。大会には10チーム以上から参加希望があったが、会場の体育館はコートを2面しか確保できないため、いつも練習会をしているチームを招いて6チームでの開催となった。

 

内陸から招かれた山岸ジュニアスポ少(盛岡市)

内陸から招かれた山岸ジュニアスポ少(盛岡市)

 

試合ができる喜びを胸に熱戦を繰り広げる選手ら

試合ができる喜びを胸に熱戦を繰り広げる選手ら

 

 栗林ラビーの金野涼葉主将(鵜住居小6年)は「震災後に新設されたこの体育館で、復興の記念の大会ができてうれしい。2週間後にも大会があるので、しっかり練習して備えたい」と意気込んだ。同じ市内のチーム、釜石ブルーウイングの小笠原桃華主将(鵜住居小6年)は「いい雰囲気で試合ができた。内陸のチームにも感謝の気持ちを返せた」と貴重な機会を喜んだ。

 

 決勝では栗林ラビーと江刺家ジュニアクラブ(九戸村)が対戦。2-0で栗林が勝利し、安定した強さを見せた。県内では27、28日に奥州市で県小学生バレーボール育成大会(いわて純情りんご杯)が開かれ、12月4日に住田町でベスト4のチームによる決戦が行われる。

 

優勝した栗林ラビーの選手、コーチら。次の目標は11月末の県育成大会優勝!

優勝した栗林ラビーの選手、コーチら。次の目標は11月末の県育成大会優勝!

 

今大会全試合を2―0で制した栗林ラビー(奥)

今大会全試合を2―0で制した栗林ラビー(奥)

 

 栗林ラビーは今年2月の県新人大会以来、複数の県大会で優勝しているものの、コロナ禍で東北、全国大会が中止され、県代表として上位大会に出場する夢はかなっていない。藤原監督は「育成大会は全国大会につながる。現チームで全国の舞台に行ける最後のチャンス」とし、チーム一丸となって優勝を目指す。

 

 今大会の決勝トーナメントの結果は次の通り。
【1回戦】
釜石1―1下矢作・横田(21―14、16―21)2点差で釜石の勝ち
山岸1-1江刺家(18―21、21-18)ジャンケン3―4で江刺家の勝ち
【準決勝】
栗林2―0釜石(21―8、21―2)
江刺家2―0奥州胆沢(21―10、21―20)
【決勝】
栗林2―0江刺家(21―12、21―10)

後半7分、釜石2本目のトライで喜びに沸き立つ

ラグビーW杯から2年 うのスタで釜石SWとコベルコ神戸が記念試合

約2100人の観衆が見守る中、行われた釜石シーウェイブスとコベルコ神戸の記念試合

約2100人の観衆が見守る中、行われた釜石シーウェイブスとコベルコ神戸の記念試合

 

 ラグビーワールドカップ(W杯)2019日本大会から2年。会場の1つとなった釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムで14日、記念試合が行われ、地元の釜石シーウェイブス(SW)RFCと神戸製鋼からチーム名を替えたコベルコ神戸スティーラーズが対戦した。SWは格上の神戸相手に善戦。25-40(前半11-19)で敗れはしたが、闘志あふれるプレーにスタンドは大いに盛り上がり、W杯の熱気をほうふつとさせた。

 

 来年1月に開幕するリーグワン(3部構成)で1部の神戸と2部の釜石。強豪神戸に挑む釜石は終始追う展開ながら、強化してきたFWを中心に成長した姿を見せた。前半、神戸の2本のトライで14点のリードを許した釜石は17分、ゴール正面のPGをFB中村良真が確実に決め3-14。23分にはマイボールラインアウトからモールに持ち込み、HO芳野寛が右隅にトライ。8-14と点差を縮めた。ロスタイムの40分すぎ、釜石は何度も神戸ゴールライン付近まで切り込むも攻め切れず、終了間際にCTBヘルダス・ファンデルヴォルトが決めたPGで、前半を11-19で折り返した。

 

モールを抜け出し、インゴール目がけて突進する芳野寛選手

モールを抜け出し、インゴール目がけて突進する芳野寛選手(写真:西条佳泰 Grafica Inc.)

 

 前半23分、待望のトライを決める釜石SW。8―14と点差を縮める

前半23分、待望のトライを決める釜石SW。8―14と点差を縮める

 

 後半、神戸のトライで11-26とされた釜石は7分、敵陣5メートル付近のラインアウトからのモールで一気に押し込み、FL木村優太がトライ。ゴールも決まり、18-26と押し戻した。神戸もすかさず反撃。3分後にトライ(ゴール成功)を奪い、15点差に突き放した。釜石は26分にもモールで攻め、途中出場のNo8王野尚希がゴール下にトライ(ゴール成功)。25-33と追い上げるも、試合終了2分前に神戸にトライを決められ、25-40で敗れた。

 

後半7分、釜石2本目のトライで喜びに沸き立つ

後半7分、釜石2本目のトライで喜びに沸き立つ

 

 試合後の記者会見で、釜石SWの須田康夫ヘッドコーチは「FWのモールスコアなど神戸に対して通用する部分も多く、自分たちの武器を確信できた。足りない部分を修正し、リーグ開幕までにクオリティーを高めていく」と気を引き締めた。CTB小野航大主将は「自分たちが目指す形にはまだ遠い。しっかり勝ち切りたい」とし、東北唯一のリーグワン参戦チームとして「多くの人が応援したいと思う強いチームになれるよう頑張っていく」と意気込みを示した。

 

善戦した釜石SWの選手ら。試合終了後、観戦客にあいさつに向かった

善戦した釜石SWの選手ら。試合終了後、観戦客にあいさつに向かった

 

両チームの健闘をたたえる観戦客。揺れる赤いフラッグが2年前のW杯を思い起こさせる

両チームの健闘をたたえる観戦客。揺れる赤いフラッグが2年前のW杯を思い起こさせる

 

 同スタジアムでのSWの試合は、3月のトップチャレンジリーグ近鉄戦以来8カ月ぶり。桜庭吉彦ゼネラルマネジャーは「このスタジアムに多くの人が集まってラグビーを通じて1つになることが、地元チームとしての活動意義。地域との距離が近い強みも生かし、リーグワンの集客につなげていきたい」と話した。

 

 コベルコ神戸の選手、スタッフらは前日に、陸前高田市の津波復興祈念公園なども訪問。福本正幸チームディレクターは阪神・淡路大震災の被災経験と重ね合わせ、「釜石SWが市民と一緒に震災復興を成し遂げてきたことを聞き、大きな学びを得ることができた。チームの力にし、神戸の皆さんにも還元していきたい」と感謝した。

 

記念試合を盛り上げるイベントも多彩に 幅広い世代が笑顔で満喫

 

桜舞太鼓と鵜住居幼稚園児の虎舞で作る花道を進む釜石、神戸の選手ら

桜舞太鼓と鵜住居幼稚園児の虎舞で作る花道を進む釜石、神戸の選手ら

 

 今回の記念試合は、W杯釜石開催のレガシー継承などを目指し、県や市で組織するいわて・かまいしラグビーメモリアルイベント実行委が主催した。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、観戦者を県内在住者に限定。約2100人が来場した。

 

 紫波町のラグビースクールで活動する藤尾陽成君(赤石小2年)は「プロの試合を間近で見られてうれしい。試合から学んだことを生かして頑張りたい」と力をもらった。盛岡市の森敬司さん(71)は19年のW杯開催時、釜石ファンゾーンで運営ボランティアとして活動。今回は純粋に試合観戦を楽しもうと駆け付け、「ここで作られたレガシー、ラグビー熱を体感。スポーツはいい。元気をもらった」と喜んだ。

 

 試合前には、歌手の平原綾香さんが県内のダンススクールの子どもたちと共演。市内の小中学生はハーフタイムに、世界への感謝を伝える「ありがとうの手紙」を合唱した。菅原優作君(甲子中3年)は「W杯とは規模が違うが、たくさんの方に見てもらう機会で、みんなで力を合わせて歌った。感謝の気持ちをしっかり伝えられた」と胸を張った。

 

試合前、感動の歌声を響かせた平原綾香さん。18年のスタジアム完成時にも招かれている

試合前、感動の歌声を響かせた平原綾香さん。18年のスタジアム完成時にも招かれている

 

合唱で震災復興への感謝を伝える市内の小中学生

合唱で震災復興への感謝を伝える市内の小中学生

 

 同スタジアムではW杯のフィジー対ウルグアイ戦が行われた。ナミビア対カナダ戦は台風の影響で中止され、県や市は昨年から両国を招いての記念試合を模索する。野田武則市長は「コロナで延びているが、引き続き努力していく。これが実現しない限り、19年のW杯は終わらない」と思いを述べた。

 

スタジアムで試合ができなかったナミビア、カナダの国旗を掲げ、両国への思いを発信

スタジアムで試合ができなかったナミビア、カナダの国旗を掲げ、両国への思いを発信

 

 敷地内には大画面で試合を楽しめるファンゾーンも設けられ、約360人が来場した。試合後のスペシャルトークショーには、対戦カードの釜石、神戸両チームに在籍した元日本代表FWの伊藤剛臣さんが登場。「釜石はチャレンジャー精神で神戸にぶつかり、試合は大いに盛り上がった。夢、希望、元気、勇気が釜石のレガシー。これからも一緒に盛り上げていきたい」などと話し、会場を沸かせた。

 

トークショーで盛り上げた伊藤剛臣さん(右)

トークショーで盛り上げた伊藤剛臣さん(右)

 

 八幡平市の藤原シゲ子さん(60)は記念試合のチケットを取ることはできなかったが、久しぶりの大きなイベントを楽しみたいと足を運んだ。W杯釜石開催を振り返る展示や飲食ブースを回り、催された抽選会で記念グッズをゲット。「来たかいがあった」と満足そうだった。

 

 飲食ブースには県内の業者やキッチンカーが出店。ホタテの浜焼き400食を提供したNPO法人おはこざき市民会議の佐藤啓太理事長(39)は「人が集まる景色は久々。新鮮な海産物をPRし、地域を盛り上げたい」と腕を振るった。

釜石リアスライオンズクラブ主催 第31回釜石地域中学校バスケットボール大会

釜石リアスLC杯中学校バスケ大会 競技力向上の一助に/県新人戦初優勝の釜石中男子 さらなる躍進に期待

釜石リアスライオンズクラブ主催 第31回釜石地域中学校バスケットボール大会

釜石リアスライオンズクラブ主催 第31回釜石地域中学校バスケットボール大会

 

 第31回釜石リアスライオンズクラブ杯釜石地域中学校バスケットボール大会は7日、釜石市鵜住居町の市民体育館で開かれた。男女とも釜石、大平、大槌の3校が参加。リーグ戦を行い、優勝を競い合った。

 

 同大会は青少年の健全育成、スポーツ振興などを目的に1992年にスタート。近年は11月に日程が設定されるが、昨年の第30回大会は新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期され、年度をまたいで本年4月に開催された。前回大会同様、今回も観戦は届け出た保護者のみとし、手指消毒、競技時以外のマスク着用など感染防止策を講じた。

 

保護者が見守る中、熱戦を繰り広げる選手たち

保護者が見守る中、熱戦を繰り広げる選手たち

 

女子「大平―釜石」の試合。勝利へ全力プレー

女子「大平―釜石」の試合。勝利へ全力プレー

 

 

 各チームは3年生引退後の1、2年生選手で結成。来年度の中総体に向けた新たなチーム作りを進める上で、競技力強化を図るための実戦経験の場となった。大会を主催する同クラブ(会員41人)の山崎智千(ともゆき)会長(58)は「少子化で生徒数が減る中でも大会を開けるのは幸せなこと。これまで言われてきた内陸の学校との力の差を埋める一助になるよう、今後も大会を続けていきたい」と願った。

 

 大会の結果は次の通り。
【男子】
釜石 117-20 大平
大平 52-42 大槌
釜石 121-27 大槌
 
優勝 釜石(5大会連続)
準優勝 大平
3位 大槌

 

【女子】
大平 102-10 大槌
釜石 95-17 大槌
大平 66-34 釜石
 
優勝 大平(2大会連続)
準優勝 釜石
3位 大槌

 

山崎会長から賞状を受け取る優勝の釜石中男子

山崎会長から賞状を受け取る優勝の釜石中男子

 

優勝杯を贈られる大平中女子。カップには歴代優勝校の名前が連なる

優勝杯を贈られる大平中女子。カップには歴代優勝校の名前が連なる

 

県新人戦初優勝の釜石中男子バスケ部 来年の東北中総体目指しチーム一丸

 

10月の県中学校新人大会で初優勝を果たした釜石中男子バスケットボール部

10月の県中学校新人大会で初優勝を果たした釜石中男子バスケットボール部

 

 釜石リアスライオンズクラブ杯大会で圧倒的強さを見せた釜石中男子バスケットボール部は、10月16、17の両日行われた県中学校新人大会(新人戦)で初優勝に輝いた。県制覇は、統合前の小佐野中が県中総体で果たして以来、約20年ぶり。新人戦での優勝は同校、釜石・大槌地区にとっても初の快挙となった。

 

 県新人戦バスケ競技には県内各地区の代表16チームが参加。釜石は1回戦で、磐井(一関地区)を68対63の接戦で下し、2回戦(釜石60-42見前)、準決勝(釜石70-56水沢南)と勝ち進んだ。決勝では、県大会上位の常連、石鳥谷(花巻地区)と対戦。71対42で勝利し、初の栄冠を勝ち取った。

 

 鈴木琥太郎主将(2年)は「フットワークとディフェンスを強化してきた結果だ。(初優勝は)自分たちの頑張りもあるが、支えてくれるコーチや先生、親のおかげ」と感謝。来年の中総体に向け、「他チームは釜中を倒そうと必死になってくると思う。自分たちも負けないよう頑張りたい。県制覇を達成して、東北大会ベスト4に入るのが目標」と意気込む。

 

釜石リアスLC杯大会でも相手チームを圧倒した釜石中男子(白ユニフォーム)

釜石リアスLC杯大会でも相手チームを圧倒した釜石中男子(白ユニフォーム)

 

 

 コーチを務める小澤弘貴さん(44)は「きつい練習にも耐えて頑張る頼もしい子たち。釜中出身の先輩高校生が練習相手になってくれて、部員らも吸収する部分が多い」と急成長の要因を明かす。この1年は「防御は最大の攻撃」をチームスローガンに、攻めるディフェンスを意識してきた。さらなるチーム力強化のため、「冬場の体力づくりをしっかりやって、攻撃のバリエーションを増やすのが目標。相手チームの研究も必要」と次年度を見据える。

 

 

 釜石中は13、14の両日、奥州市で開かれる県U15バスケットボール選手権大会に出場する。県新人戦の上位8チームと県内のクラブチームが参加し、16チームによるトーナメント戦を行う。優勝チームは全国大会への切符を手にする。

釜石鵜住居復興スタジアムの木製座席塗装作業

きれいなシートで観戦を! うのスタで木製座席の塗装ボランティア活動

釜石鵜住居復興スタジアムの木製座席塗装作業

釜石鵜住居復興スタジアムの木製座席塗装作業

 

 釜石市鵜住居町の釜石鵜住居復興スタジアムで10月30日、バックスタンド(約3千席)の木製座席の塗装をし直すボランティア活動が行われた。施設を運営する市と地元ラグビーチーム釜石シーウェイブス(SW)RFCが共催。市内外から集まった一般参加者とSWの選手、スタッフら約80人が作業に精を出した。同所では11月14日に、釜石SWとコベルコ神戸スティーラーズのメモリアルマッチが行われる。

 

 同スタジアムは2018年に竣工、19年のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の会場となった。常設6千席のうち約5千は木製座席。17年に発生した同市尾崎半島林野火災の被災木(スギ)が使われている。バックスタンドの木製座席には、昨年、「KAMAISHI UNOSUMAI」の文字を浮かび上がらせる茶と青色の塗装が施された。

 

 塗装から1年が経過した座席は、風雨や日差しの影響で所々、塗料が剥がれていた。ボランティア参加者は二手に分かれ、撥水(はっすい)効果のある2色の塗料をスポンジやはけを使って丁寧に塗り直した。約2時間の作業で、座席は鮮やかな色彩に生まれ変わり、観戦客を迎える準備が整った。

 

塗料が剥げた部分を中心に塗り直し。子どもたちも大人と一緒に頑張った

塗料が剥げた部分を中心に塗り直し。子どもたちも大人と一緒に頑張った

 

秋の日差しを受けながら作業に励む参加者

秋の日差しを受けながら作業に励む参加者

 

 盛岡市の浅沼美香さん(自営業)はW杯を機にラグビーファンとなり、地元チームを応援したいと釜石SWのサポーターに加入。今回初めて、同スタジアムの環境美化活動にも参加した。「(塗装作業は)意外と大変。でも、お客さんにはきれいな環境で試合を見てもらいたいと思って」と熱心に作業。メモリアルマッチの観戦チケット当選を願いながら、「強い相手に果敢に立ち向かっていく姿が格好良くて大好き。試合で見たい」とSWに熱いエールを送った。

 

 SWからは約60人が作業に協力した。小野航大主将(29)は「ホームスタジアムでもあり、快適に観戦してもらうために自分たちができることは手伝いたい」と精力的に活動。約半月後のメモリアルマッチを控え、「外国人選手も合流して1カ月。先週、試合(IBC杯)もして今年のチームのイメージも見えてきた」と実戦を心待ちにする。「W杯やラグビーの感動を伝えていくのも僕らの使命。また(試合を)見にきたくなるようなゲームをしたい」と意気込みを示した。

 

釜石SWの選手らも心を込めてボランティア活動

釜石SWの選手らも心を込めてボランティア活動

 

美しく生まれ変わった座席で観戦客を迎えるスタジアム。釜石SWとコベルコ神戸の熱戦に期待!

美しく生まれ変わった座席で観戦客を迎えるスタジアム。釜石SWとコベルコ神戸の熱戦に期待!

 

 この日は塗装作業に先立ち、地震、津波発生時を想定した避難誘導訓練も実施。車いす利用者も想定し、スタジアムから高台2カ所に安全、迅速に避難するための経路や方法を確認した。

横断歩道を渡る児童を見守る釜石SWの選手ら

釜石SW、登校する児童の見守り開始~「おはよう」でエネルギー交換

通学路の安全、がっちり!「横断中」の旗を手に児童の登校を見守るモーガン・ミッチェル選手

通学路の安全、がっちり!「横断中」の旗を手に児童の登校を見守るモーガン・ミッチェル選手

 

 釜石市を本拠地にするラグビーチーム「釜石シーウェイブス(SW)RFC」が、甲子町松倉地区の小学生たちの通学路に立ち、交通事故などに巻き込まれないよう見守る活動を始めた。来年1月に開幕する新リーグ「リーグワン」への参戦に向けた「地域密着」型の新たな取り組みで、チームをより身近に感じてもらう初の試みだという。

 

 チームは学校でのタグラグビー教室や運動会など行事参加で児童らと交流し、地域に愛されるチームづくりを進めてきた。地域貢献・連携活動の一環として、チームの練習グラウンド(市球技場)があり、選手やスタッフが多く暮らす甲子地区の甲子小児童が安心、安全に登校できるよう見守り活動を行うことにした。

 

横断歩道を渡る児童を見守る釜石SWの選手ら

横断歩道を渡る児童を見守る釜石SWの選手ら

 

 活動は基本的に週4日、朝の登校時間に合わせて30分間、市球技場付近の通学路で実施する。初回の1日朝は、7時から自動車販売店そばの2カ所の横断歩道に山田龍之介選手(30)とモーガン・ミッチェル選手(28)、牛窪心希(しんき)選手(25)らが立ち、児童らに「おはよう」などと呼びかけながら登校を見守った。

 

 見慣れない体の大きな選手らに「ちょっと怖い」と思った子もいたようだが、「横断中」と書かれた旗を掲げながら体を張って車を止める姿に、和泉心寧(ここね)さん(甲子小4年)は「守ってくれそう。うれしい」と頼もしさを感じていた。普段から選手らが練習する様子を見ていた子もいて、「また会いたい」と楽しみも増やした。

 

朝のあいさつで交流を深める甲子小児童と釜石SW選手

朝のあいさつで交流を深める甲子小児童と釜石SW選手

 

 牛窪選手は「地域の子どもたちに、こういう形で少しでもチームを知ってもらえたら。出勤時間と重なり、思ったより車が走っていた。運転手には通学路だということを認識してもらい、気を付けて走ってほしい」と求めた。

 

 桜庭吉彦ゼネラルマネジャーは「おはよう―という言葉のキャッチボールが子どもと選手の双方にいい効果をもたらすはず。エネルギーを交換し、1日頑張るぞと思ってもらえたら」と期待。誇りを持ってもらえるチームづくりは地域にとって身近な存在になることが大事だと強調し、「ラグビーのまち釜石」の実現に向け地域と結束した取り組みを続ける構えだ。

協定書を交わした大塚製薬の迫上智博仙台支店長(右)と野田武則釜石市長

市民の健康づくりへタッグ 釜石市と大塚製薬が包括連携協定締結

協定書を交わした大塚製薬の迫上智博仙台支店長(右)と野田武則釜石市長

協定書を交わした大塚製薬の迫上智博仙台支店長(右)と野田武則釜石市長

 

 釜石市と大塚製薬(東京都千代田区、井上眞社長)は12日、市民の健康づくりやスポーツの推進、災害対応に協力して取り組むことを目的とした包括連携協定を結んだ。高齢化が進む同市の課題解決に同社の知見を生かし、健康長寿の実現を後押しする。

 

 市役所で行われた締結式には、大塚製薬から迫上智博仙台支店長、竹内寛治盛岡出張所長ら4人が出席。迫上支店長と野田武則市長が署名した協定書を取り交わし、連携する7項目を確認した。

 

締結式で両者が協定書に署名し、連携項目を確認

締結式で両者が協定書に署名し、連携項目を確認

 

 連携項目は、健康長寿を目指した健康づくり、生活習慣病予防、スポーツや食育の推進、熱中症や災害時の対策など。子どもから高齢者まで幅広い年代の健康課題解決へ取り組む。高齢者が要介護状態にならないためのフレイル(加齢に伴う心身の衰え)対策、食育アプリなどを活用した子どもへの栄養指導、運動習慣の促進支援、災害対策では避難生活の栄養の偏りを改善する健康補助食品の提供などを想定する。

 

 市は本年度からの新たな市総合計画の重点施策に「健康寿命日本一へのトライ」を掲げ、市民の健康づくりや介護予防に力を入れる。三大疾病で亡くなる人、早世する人も多い現状から、野田市長は「健康で長生きが一番の課題。(大塚製薬の)全国の自治体との連携事例など先進的な取り組みに関する知見もいただき、課題解決に努めたい」とし、協定締結を喜んだ。

 

野田市長ら市幹部を前に迫上支店長があいさつ

野田市長ら市幹部を前に迫上支店長があいさつ

 

 迫上支店長は「当社は人々の健康への貢献をテーマに事業活動を行う。釜石市の高齢化に伴う課題のほか、コロナ禍明けの外出機会の創出なども見据えた取り組みができれば。市の関係部署と相談しながら、市民の皆さまの健康に少しでも貢献できるような活動を進めていきたい」と意気込んだ。

 

 同社の自治体との連携協定締結は、東北6県では釜石市が42市目、県内では5市目となる。これまでに全47都道府県とも協定を結んでいる。

最初は白い目標球目掛け、球を投げる練習から

パラリンピックで注目!「ボッチャ」 住民交流のツールとして人気急上昇

ボッチャを楽しんだ栗橋公民館事業「みんなの輪交流会」

ボッチャを楽しんだ栗橋公民館事業「みんなの輪交流会」

 

 東京パラリンピックで日本人選手が金メダルを獲得し、一躍脚光を浴びた競技「ボッチャ」を楽しむ会が6日、釜石市栗林町の栗橋地区基幹集落センターで開かれた。栗橋公民館(栗澤厚博館長)主催の事業「みんなの輪交流会」で、地域住民が体験。新型コロナウイルス感染症岩手緊急事態宣言解除後、初の公民館活動となり、参加した16人がゲームを楽しみながら交流を深めた。

 

 「ボッチャ」は、脳性まひなどで運動機能に障害がある人向けに考案されたヨーロッパ発祥のスポーツ。パラリンピックでは1988年の韓国・ソウル大会から正式種目になった。国内では97年に日本ボッチャ協会が設立され、全国に広まった。適度な運動量やシンプルなルールから、近年では公式ルールをアレンジしたレクリエーションボッチャも人気で、介護施設やスポーツ交流イベントなどでも楽しまれている。

 

最初は白い目標球目掛け、球を投げる練習から

最初は白い目標球目掛け、球を投げる練習から

 

1チーム6人(1人1球)で対戦したゲーム

1チーム6人(1人1球)で対戦したゲーム

 

狙いを定めて球を投げる参加者。球の行方に目がくぎ付けに

狙いを定めて球を投げる参加者。球の行方に目がくぎ付けに

 

 競技は、ジャックボールと呼ばれる白い目標球を投げた後、対戦する両者が赤と青それぞれ6球を投げ合い、的となる目標球にいかに近づけられるかを競う。交流会では、レク用にアレンジしたルールを用い、3チームに分かれて対戦した。目標球はじゃんけんで勝ったチームが投げるが、どこに投げるかでその後の戦略も変わってくる。参加者は相手チームの球の位置などを見極めながら、目標球目掛けて自チームの球を放った。

 

同じチームの仲間とコースを慎重に見極める。戦略も重要なポイント

同じチームの仲間とコースを慎重に見極める。戦略も重要なポイント

 

ナイスプレーに拍手!ボッチャは見る面白さも

ナイスプレーに拍手!ボッチャは見る面白さも

 

 特別な技や体力を必要とせず、誰でも気軽に楽しめるボッチャ。参加者は仲間と戦略を考えるなど頭の体操もしながら、心身ともにリフレッシュ。たくさんの笑顔を広げた。栗林町の藤原成子さん(74)は「久しぶりに体を動かして、すごくいい気分。緊急事態宣言で家にこもっていたから、開放感もあってなおさらね。ボッチャは相手チームとの駆け引きが面白い。チームワークも大事な要素。またやってみたい」と声を弾ませた。

 

勝利に向け「エイエイオー」。気合い入れでチームの結束を固める

勝利に向け「エイエイオー」。気合い入れでチームの結束を固める

 

球は投げても転がしてもOK。投球スタイルは状況を見ながら判断

球は投げても転がしてもOK。投球スタイルは状況を見ながら判断

 

 ボッチャの用具セットを貸し出し、ゲームの仕方をレクチャーする市社会福祉協議会の生活支援コーディネーター高橋和義さんは「東京パラ大会以来、競技の認知度が高まり、市内でも利用予約が急増している。今は断トツの人気」と大会効果を実感。「普段使わない筋肉を遊びながら自然と動かせたり、互いにやじを入れて盛り上がったり。運動、交流の両面で心身を元気にする力があるのがボッチャ。うまくなってくると、みんな熱が入る」と魅力を語った。

簡単そうで難しい!?狙いを定めて輪を投げる参加者

釜石・西地区の公民館、スポーツで交流 お年寄りら和気あいあい

人工芝で伸び伸びとグラウンドゴルフを楽しむ参加者

人工芝で伸び伸びとグラウンドゴルフを楽しむ参加者

 

 釜石市の甲子・小佐野・中妻地区の公民館が主催する「西地区合同スポーツ交流大会」が7日、甲子町の市球技場で初めて開かれた。3地区から市民約70人が集い、グラウンドゴルフなど3種の競技に挑戦。公民館対抗というものの勝ち負けにこだわらず、和気あいあいと笑顔で触れ合いを楽しんだ。

 

スカットボールでは一打一打に拍手、ため息が混じった

スカットボールでは一打一打に拍手、ため息が混じった

 

簡単そうで難しい!?狙いを定めて輪を投げる参加者

簡単そうで難しい!?狙いを定めて輪を投げる参加者

 

 参加者は公民館ごとに5人一組でチームをつくり、10チームに分かれてグラウンドゴルフ、スカットボール、輪投げの3種競技に挑んだ。「おー、いい寄せだね」「あちゃー、思うようにいかない」。互いのプレーを褒め合い、励まし合いながら伸び伸びと体を動かしていた。

 

NO・1ポーズで優勝を喜ぶ中妻公民館チーム

NO・1ポーズで優勝を喜ぶ中妻公民館チーム

 

 各公民館の参加人数が異なるため、3種の平均得点で順位を決めた。優勝は2種目で1位となった中妻公民館(正木浩二館長)。最高齢参加者の似田貝五平さん(98)も活躍し、「楽しいね。元気でいるには何事も自分から進んでやらねば」と前向きな姿勢を見せた。

 

「次こそは」と上を目指すのは準優勝の甲子公民館チーム

「次こそは」と上を目指すのは準優勝の甲子公民館チーム

 

 甲子公民館(佐々木利光館長)は一歩及ばず準優勝。新型コロナウイルス感染症の影響で集まりを控えていた中の久しぶりの行事に、菅原武さん(77)は「今日はうまくいかなかった、中の上だな。外で発散できたし、初めて見る人もいて、いい交流になった」と喜んだ。

 

3位に終わったが、競技を存分に楽しんだ小佐野公民館チーム

3位に終わったが、競技を存分に楽しんだ小佐野公民館チーム

 

 全種目、得点が伸び悩んだ小佐野公民館(佐藤貴之館長)は3位に終わった。女性で最高齢参加となった菊池榮さん(94)は触れ合いが大好き。「年が年だから、追いつくのも大変。足手まといにならないよう頑張りたい」と言葉は控えめだが、足取りはしっかりと元気だった。

 

同級生3人がそろい大会が実現。左から正木館長、佐藤館長、佐々木館長

同級生3人がそろい大会が実現。左から正木館長、佐藤館長、佐々木館長

 

 同大会は3地区の地域会議と共催し、ニュースポーツを通じた住民の健康増進、他地区住民との交流促進を目的に開かれた。この春に3公民館で1969年生まれの同級生館長がそろい、「何か一緒にやろう」と思案。「エイヤ!」と開催を決めたという。3人の館長たちは「参加者が笑って楽しんでいる姿を見ることができたのが一番。面白かった―と反応が良かったのもうれしい」と手応えを実感。来年以降も継続し、回を重ねる恒例行事になるよう期待する。

震災後、新設された大槌学園の体育館で熱戦を繰り広げるバスケットボール競技

コロナ下2年目 釜石大槌地区中学校新人大会~感染防止策徹底し9競技で熱戦

震災後、新設された大槌学園の体育館で熱戦を繰り広げるバスケットボール競技

震災後、新設された大槌学園の体育館で熱戦を繰り広げるバスケットボール競技

 

 釜石大槌地区中学校新人大会(同地区中学校体育連盟主催)は11日、釜石市、大槌町の学校や公共体育施設で9競技が行われた。新型コロナウイルス感染症の県内患者数の増加で県独自の緊急事態宣言が発出される中、県中学校体育連盟が定める感染予防ガイドラインにのっとり開催。昨年に続き、各種対策を講じながら大会運営を図った。

 

 基本的に保護者を含め無観客で実施。一部競技は各チーム1人のビデオ撮影が認められた。入場者の体調確認、検温、消毒、マスク着用(選手は競技時以外)などを徹底。屋内競技では定期的な換気、選手控室の割り当てなどで三密回避に努めた。開・閉会式は行わず、時間短縮を図った。

 

釜石中で行われた剣道(上)、柔道(下)競技。釜石中、大槌学園の選手が個人戦で優勝を競い合った

釜石中で行われた剣道(上)、柔道(下)競技。釜石中、大槌学園の選手が個人戦で優勝を競い合った

 

釜石中で行われた剣道(上)、柔道(下)競技。釜石中、大槌学園の選手が個人戦で優勝を競い合った

 

 同大会は3年生が引退後、1、2年生のみで迎える初めての大会。昨年から続くコロナ感染症の影響で学校の部活動はさまざまな制約を受けるが、生徒らは精いっぱいの努力を重ね、大会当日を迎えた。各競技では、これまで培った技と力で試合に挑み、県大会出場を目指す姿が光った。

 

 甲子中女子ソフトテニス部の佐藤妃奈乃部長(2年)は「コロナで他校との練習試合がなくなるなど実践経験は不足しているが、まずまずの仕上がり。中総体は団体で準優勝だったので、今度こそ部員全員で優勝を狙いたい」と意気込んだ。結果は見事優勝。県大会への出場権を得た。

 

ソフトテニスは釜石高のコートを借用して競技。甲子、釜石、大槌の3校が出場した

ソフトテニスは釜石高のコートを借用して競技。甲子、釜石、大槌の3校が出場した

 

卓球競技は大槌町城山公園体育館で開催。個人戦には男女とも5校から選手が集い、トーナメント戦に挑んだ

卓球競技は大槌町城山公園体育館で開催。個人戦には男女とも5校から選手が集い、トーナメント戦に挑んだ

 

 釜石東中男子卓球部の佐々木和哉部長(2年)は「これまで3時間できていた練習が2時間になり、練習メニューも限られてきた。大会もできるか不安だったが、開催してもらいありがたい」と感謝。2年生は6月の中総体でも主力を担った。「3カ月でだいぶ成長した。チームのまとまりも出てきた」とし、来年の中総体に向け、さらなるレベルアップを誓った。

 

 釜石大槌地区の代表が出場する競技の県大会は、前期が10月16、17日(バスケットボール、サッカー、軟式野球、ソフトテニス)、後期が11月14日(柔道)、20、21日(バレーボール、卓球、バドミントン、剣道は21、22日)に県内各会場で開催される予定。

 

釜石大槌地区中学校新人大会(PDF/280KB)

平野恵里子選手

写真で振り返るラグビー女子日本代表候補釜石合宿

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ラグビー日本代表のファーストジャージとセカンドジャージに分かれて試合形式の公開練習が行われた

 

 ラグビーワールドカップ(W杯)ニュージーランド大会アジア最終予選に臨む女子15人制日本代表候補の合宿(女子15人制強化合宿・女子TID合宿)が8月22~27日に釜石市で行われた。同競技日本代表の合宿が釜石で行われるのは初めて。世界最高峰大会への出場を目指し、約50人が強化に励んだ。

 

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実戦さながらの気迫あふれるスクラム

 

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攻守で熱のこもったプレーが繰り広げられた

 

 強化合宿には、大槌町吉里吉里生まれで釜石シーウェイブスJr.出身の平野恵里子選手(29)=アザレア・セブン、釜石高-日体大も選出された。

 

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的確なパスをする平野選手

 

提供:(公財)日本ラグビーフットボール協会

練習終了後には野田武則市長より記念品が贈呈された 写真提供 :(公財)日本ラグビーフットボール協会

 

提供:(公財)日本ラグビーフットボール協会

写真提供 :(公財)日本ラグビーフットボール協会

 

 25日に予定されていた釜石鵜住居復興スタジアムでの公開練習は、コンディション調整等の都合により、場所を根浜多目的グラウンド(鵜住居町)へと変更し、報道関係者向けに行われた。 

 

根浜多目的グラウンドでの合同練習

根浜多目的グラウンドでの合同練習

 

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パスの練習にはげむ平野選手

 

平野選手、名倉選手、マッケンジーヘッドコーチへのインタビュー

 

 26日、釜石鵜住居復興スタジアムで実戦形式の練習を終えた平野選手、バックス名倉ひなの選手(24)=横河武蔵野アルテミ・スターズ=、レスリー・マッケンジーヘッドコーチ(HC)の3人が取材に応じ、釜石合宿の手応えや今後について語った。
 

※インタビューはマスクをしたうえで十分な距離をとって行われ、インタビュー終了後の写真撮影時のみマスクを外しています。

 

平野恵里子選手

平野恵里子選手(アザレア・セブン所属)

 

名倉ひなの選手

名倉ひなの選手(横河武蔵野アルテミ・スターズ所属)

 

レスリー・マッケンジーヘッドコーチ

元カナダ代表のレスリー・マッケンジーヘッドコーチ

 

-2019年のW杯日本大会の会場となったピッチに立った思いや合宿に臨んだ気持ちは。
 
平野選手「すごい胸が熱くなるような感じ。W杯予選に向け、ここを合宿の地に選んでもらったので、釜石の復興からの底力をしっかり吸収したい」
名倉選手「自分が一つでも、仲間にも相手チームにもいい影響を与えられるようにしたい」

 

-釜石合宿の手応えは。
 
マッケンジーHC「復興の一環で建てられたスタジアムでのトレーニングはスペシャルな体験で、選手たちは個人の目標やチームのゴールだけでなく、もっと大きなビジョンを得られたと感じている。釜石という地域、施設の環境、(代表)ジャージーをここで着ることができたことで、合宿や試合の質が上がった」

 

-コロナ禍だが、応援に駆け付けた地元の声援に抱いた思いは。
 
平野選手「震災から10年たって、日本代表候補としてラグビーを通して恩返しすることが一つの目標だった。プレッシャーもちょっと感じたが、プラスに変えてしっかり前向きに明るいニュースを届けられるようにしたい」
名倉選手「練習に向かうバスをカラフルな旗(大漁旗)を振って見送ってもらって頑張ろうと思った」

 

-日本代表候補は10月のアジア最終予選前の最後合宿を9月に関東で行う。スペインのリーグで約半年間プレーした経験を踏まえ、本番を前にした抱負は。
 
平野選手「1対1で勝負する戦術は日本でも生かせる部分だと思う。(9月の)合宿に呼ばれるよう、この後の練習もしっかり頑張りたい」

 

写真および取材協力:西条佳泰(株式会社Grafica)

東京パラリンピック24日開幕 釜石の「ものづくりの灯(ひ)」も聖火に

東京パラリンピック24日開幕 釜石の「ものづくりの灯(ひ)」も聖火に

東京パラリンピック24日開幕 釜石の「ものづくりの灯(ひ)」も聖火に

 

 東京パラリンピックの聖火は、全国47都道府県約880市区町村から集められた火とパラ大会発祥の地・英ストーク・マンデビルの火を合わせ、いよいよ、あす24日、開会式が行われる国立競技場に運ばれる。本県の全33市町村で採火された火は16日、盛岡市で集火され、開催地東京に送り出された。釜石市では、釜石駅前広場の「鉄のモニュメント」から〝ものづくりの灯(ひ)〟を採火し届けた。

 

 近代製鉄発祥150周年を記念し、2007年に設置された同モニュメントには、新日鉄釜石製鉄所(現・日本製鉄)構内で保存される高炉の火が分灯され、「ものづくりの灯」として燃え続けている。

 

 釜石での採火は15日にセレモニーとして行う予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う県独自の緊急事態宣言発出を受け、翌16日午前に無観客で実施。関係者6人が立ち会った。野田武則市長は「釜石の大事な火が全国の火と1つになり、さらなる元気と勇気を日本、世界に発信してくれることを願う」とあいさつ。モニュメントからトーチに採火し、盛岡に運ぶためのランタンに移した。

 

鉄のモニュメントから野田市長が「ものづくりの灯」をトーチに採火

鉄のモニュメントから野田市長が「ものづくりの灯」をトーチに採火

 

東京パラリンピック24日開幕 釜石の「ものづくりの灯(ひ)」も聖火に

 

 釜石の火を届けるのは、甲子町在住の全盲の砲丸投げアスリート小笠原智さん(75)。野田市長からランタンを託され、「パラアスリートが力いっぱい競技できるよう(祈りながら)、私も頑張って運んできます」と宣言。夕方、盛岡で行われる集火・出立式に妻ノリ子さん(69)、市の担当職員と共に向かった。

 

パラリンピック聖火になる火を野田市長から託される小笠原智さん

パラリンピック聖火になる火を野田市長から託される小笠原智さん

 

大役への感謝と意気込みを示す小笠原智さん(左)と妻のノリ子さん

大役への感謝と意気込みを示す小笠原智さん(左)と妻のノリ子さん

 

 難病で視力を失った小笠原さん。今回の大役に「重大な役目をいただき感謝。パラリンピックは自分も出てみたいと思う憧れの舞台」と喜びを表現。「選手にいい試合をしてもらうことが一番の願い。私たちもそれによって力をもらえる。どれだけうれしいことか。障害を持つ人たちが少しでも前に、外に出て、元気になるきっかけになれば」と思いを込めた。

 

 小笠原さんは、10月に三重県で開催予定の全国障害者スポーツ大会に出場が決まっている。同大会は、一昨年は台風19号、昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止されており、「何とか今年こそは」と2年越しの大会を目指し練習を重ねる。

 

 20日に東京都内で集火されたパラリンピック聖火は、都内各所での点火セレモニーを経て、あす24日、開会式会場の国立競技場に運ばれる。

勢いよくスタート!海水浴客の熱い視線が注がれる

2年ぶり根浜にアスリート集結~釜石オープンウォータースイミング~

海水浴客らも見守る中、行われた釜石オープンウォータースイミング=1日、根浜海岸

海水浴客らも見守る中、行われた釜石オープンウォータースイミング=1日、根浜海岸

 

 第5回釜石オープンウォータースイミング(OWS)2021根浜(同実行委主催)が1日、釜石市鵜住居町の根浜海岸特設会場で開かれた。新型コロナウイルス感染防止対策を講じ、2年ぶりに開催。小学4年生から70代まで大会最多の234人がエントリーし、自分の泳力に合わせた距離で完泳とベストタイム更新を目指した。

 

 競技は500メートル、1キロ、3キロ、5キロの種目で、海上に設置したブイを周回するコースで行われた。水温22度、気温27度(午前5時半現在)。午前9時からの競技開始後は、真夏の日差しが照りつけた。波は穏やかで、良好なコンディション。選手らはこれまで積み重ねた練習を糧に持てる力を存分に発揮した。

 

スタートエリアに向かう選手。通路での〝激励のハイタッチ〟はコロナ対策のため、今年は中止に

スタートエリアに向かう選手。通路での〝激励のハイタッチ〟はコロナ対策のため、今年は中止に

 

勢いよくスタート!海水浴客の熱い視線が注がれる

勢いよくスタート!海水浴客の熱い視線が注がれる

 

 かまいしSCに所属する熊谷凜音さん(平田小4年)は同大会初参加。500メートルに挑んだ。「海で1回練習はしたけど、やっぱり深くて水の濁りもあるので怖かった。もっと練習してまた出てみたい」と、さらなるレベルアップを誓った。

 

 今大会には、世界ジュニア選手権(15~19歳)日本代表選手に選ばれた高校、大学生ら5人が参加。海外で予定されていた選手権大会はコロナの影響で中止されたが、日本水泳連盟が強化事業の一環で選手を釜石に派遣した。大阪府の太成学院大高2年、岩住宏一郎さん(17)は5キロのトップでゴールし、「波の影響もなく真っすぐ泳げた感じ。課題としている前半のペースアップにも挑戦したが、結構いけた。80点ぐらいの出来」と手応えを実感。「頑張って世界で戦える選手になりたい」と高みを目指した。

 

競技力強化のため、釜石大会に参加した世界ジュニア選手権日本代表選手ら

競技力強化のため、釜石大会に参加した世界ジュニア選手権日本代表選手ら

 

 海など自然水域での長距離泳でタイムを競うOWSは、2016年の岩手国体で初めて正式競技として採用された。会場となった根浜海岸では、翌17年から国体のレガシー(遺産)を引き継ぐ形で地元主導の大会を開始し、回を重ねる。

 

 大会審判長を務める西原義勝さん(72)=釜石水泳協会会長=は「中高生の参加が増えてきた。県水泳連盟も選手育成に前向き。一般の水泳愛好者の参入も促しながら競技人口の底辺拡大を図り、当初目標の大会参加者350人を達成できれば。選手らの宿泊による観光面の経済効果にも期待したい」と今後を見据える。

 

 県水泳連盟は今大会の成績を基に、今年の三重とこわか国体水泳競技OWS(9月8日、尾鷲市)に出場する本県代表選手を決定。男子は大畠雄太朗さん(不来方高1年)=花巻SF所属=、女子は平賀雛さん(花巻南高2年)=同=が選ばれた。