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初開催の全日本少年少女空手道選抜大会に出場する児童6人ら=12日、釜石市役所

空手全国大会へ 釜石の小学生6人、東北代表として出場

初開催の全日本少年少女空手道選抜大会に出場する児童6人ら=12日、釜石市役所

初開催の全日本少年少女空手道選抜大会に出場する児童6人ら=12日、釜石市役所

 

 初開催される第1回全日本少年少女空手道選抜大会(2月11-12日、宮城県利府町・セキスイハイムスーパーアリーナ)に、釜石市内の小学生6人が東北代表として出場する。「1位を目指す」「練習してきたことを出し切りたい」。それぞれ選手たちは全国の舞台を心待ちにしている。

 

 大会は公益財団法人全日本空手道連盟主催。組手と形の両競技で個人戦、団体戦が行われる。東北代表の一員として本県からは小学生22人が出場する。

 

 釜石からは、和道会無心会(松永秀樹代表、16人)所属の人首瑠生(ひとかべ・るい)君(釜石小6年)、照井心陽(こはる)さん(平田小5年)、大久保亜美さん(小佐野小1年)、剛柔会小斎道場鵜住居(岩﨑政夫代表、13人)に所属する川崎煌聖(こうせい)君(鵜住居小3年)、佐々木惟楓(いちか)さんと川崎結月さん(ともに同1年)が参加。6人は昨夏に行われた東北選手権大会で上位4人に入るなど好成績を残した。

 

野田武則市長に出場を報告し、抱負を伝えた=12日、釜石市役所

野田武則市長に出場を報告し、抱負を伝えた=12日、釜石市役所

 

 12日は、野田武則市長に全国大会出場を報告。大会への意欲を伝えた6人に野田市長は「皆さんの活躍に元気をもらう。万全の体調で臨み、練習の成果を生かし頑張ってほしい」と激励した。

 

和道会無心会 練習で大会へ気持ちつなぐ

 

松永代表の指導を受け、練習を重ねる(手前から)照井心陽さん、人首瑠生君、大久保亜美さん=17日、上平田ニュータウン集会所

松永代表の指導を受け、練習を重ねる(手前から)照井心陽さん、人首瑠生君、大久保亜美さん=17日、上平田ニュータウン集会所

 

 和道会無心会では週4日、稽古日を設けている。毎回参加する照井さんは「稽古が楽しい」と言い切る。これまでは形で上位入賞を果たしてきたが、選抜大会では個人、団体とも参加する競技は組手。「得意と思っていない組手でどこまでいけるか。大会までにスピード、技を磨いていく。練習してきたことを全力で発揮したい」と強い気持ちで臨む。

 

 大久保さんも組手で個人、団体に出場。テレビで見た空手選手の「かっこよさ」に憧れ、「強くなりたい」と練習を重ねてきた。支える家族によると、普段友達とは控えめに話すようだが、稽古では「気合」の声出しが「道場で1番」とのこと。抱負を聞いてみると、「頑張りたい」とはにかんだ。

 

 「小学生では最後の大会になる」と気合十分なのは人首君。新型コロナウイルス禍で開催された東北選手権大会は、家族に医療関係者がいるため参加を辞退した。今回はこれまでの各種大会でいい結果を積み重ねてきたことから選出され、団体組手で出場する。県内から選ばれた仲間と力を合わせ、「1位をとれるよう頑張る」と力を込めた。

 

技の練習、体の鍛錬につながる準備運動もしっかり取り組む=17日、上平田ニュータウン集会所

技の練習、体の鍛錬につながる準備運動もしっかり取り組む=17日、上平田ニュータウン集会所

 

 今回代表入りした3人は「練習熱心」と松永代表(59)。「どんどん練習して気持ちをつないでいくことが大事。得手不得手を決めつけず、いろんなことをやり成長してほしい」と期待する。

 

剛柔会小斎道場鵜住居 自分に恥じない戦いを

 

岩﨑代表の指導の下、練習を重ねる(手前から)佐々木惟楓さん、川崎煌聖君、川崎結月さん=14日、鵜住居地区生活応援センター

岩﨑代表の指導の下、練習を重ねる(手前から)佐々木惟楓さん、川崎煌聖君、川崎結月さん=14日、鵜住居地区生活応援センター

 

 剛柔会小斎道場鵜住居は、火、金曜日に稽古。小学生はあいさつ、座礼、基本的な形を身に付ける。選抜大会では3人とも個人形に出場する。佐々木さんは友達が空手をやっていたことから仲間入りし、ともに切磋琢磨してきた。全国大会への出場は今回が初めて。「すごくうれしい。緊張するけど、頑張ります」と笑顔を見せた。

 

 煌聖君は、東北大会小学3年の部で優勝。「全国でも1位目指す」と意気込む。ぜんそくを克服しようと3歳で始め、今では健康になったと自覚。厳しい練習と指導者の指摘を受けることで自身の成長も感じていて、「大会までにやることがある。減点をなくすよう、完璧な形にしていく」と背筋を伸ばす。

 

 そんな煌聖君の姿を追っているのが、妹の結月さん。家でも動画を見ては「(練習を)やろう」と兄を促すほど熱心だという。直接伝えることはないが、「(お兄ちゃんの存在は)心強い」とうなずく。大会に向けては「全力を出し切れるように練習する」と前を向く。

 

仲間と楽しみながらストレッチを行って心をほぐす=14日、鵜住居地区生活応援センター

仲間と楽しみながらストレッチを行って心をほぐす=14日、鵜住居地区生活応援センター

 

 「煌聖は、体は大きくないが切れがある。1年生の2人は体が柔らかい。これからで、どう伸びるか」と見守る岩﨑代表(68)。「全国には強敵がいる。どこまで頑張れるか、自分を知る機会になる。礼を第一に、恥じないような立派な戦いを」とエールを送った。

釜石PITで行われた釜石SWの出陣式。チーム一丸となった奮闘を誓った

ラグビー・釜石シーウェイブスが出陣式 「リーグワン」初戦に合わせ

釜石PITで行われた釜石SWの出陣式。チーム一丸となった奮闘を誓った

釜石PITで行われた釜石SWの出陣式。チーム一丸となった奮闘を誓った

 

 ラグビーの新リーグ「リーグワン」が開幕した。釜石シーウェイブス(SW)RFCは6チームによる2部に参戦し、あす16日にビジターで三重ホンダヒートとの初戦を迎える。これを前に12日、釜石市大町の釜石PITで出陣式を行い、決意を示した。そして、戦いに臨むチームに欠かせないのが、声援を送るファンの存在。地域一体で「ラグビーのまち」を盛り上げようと、選手やスタッフは勧誘にも熱を入れる。

 

出陣式で奮闘誓う

 

「熱い応援を力に戦う」と意気込みを語る小野主将

「熱い応援を力に戦う」と意気込みを語る小野主将

 

 坂下功正総監督や小野航大主将ら8人が参加。小野主将は「昨年6月からトレーニングを重ね、最高の準備ができている。レベルの高いリーグになると思うが、しっかりと勝ち星を重ねることでチームもレベルアップでき、シーズンを通してさらに成長していける。ファン、サポーターと喜びを分かち合えるよう、一つでも多く勝てるよう選手一丸で頑張るので熱い応援を」とアピールした。

 

 釜石SWは、東北から新リーグに参戦する唯一のチーム。坂下総監督は「釜石、岩手、東北の皆さんの声援を受け止めて前に進んでいく。グラウンドに足を運んで応援してほしい」と呼び掛けた。

 

 スポンサー企業のべアレン醸造所(盛岡市)は応援ビールを発売し、チームの活躍を後押しする。パッケージはチームカラーの赤を基調に、背景にはホーム戦が行われる「釜石鵜住居復興スタジアム(うのスタ)」をデザイン。今季のチームスローガン「REVIVE(リバイブ=よみがえる、復活などの意味を持つ)」を前面にあしらった。数量限定(1万4000本)で販売。県内のスーパーなどに陳列されていて、同社の嶌田洋一専務は「すっきりとした味わいに仕上がった。観戦のお供に」と強調した。

 

釜石SW「応援ビール」をPRするべアレンの嶌田さん(右)、オフィシャルサポーターの葛巻さん

釜石SW「応援ビール」をPRするべアレンの嶌田さん(右)、オフィシャルサポーターの葛巻さん

 

 チームやスタジアムでの戦いを盛り上げるオフィシャルサポーターには、県内を中心にモデル・タレント・MCとして活躍する葛巻舞香さんが就任。「選手が前に向かって走っていけるよう、ファンとワンチームで応援したい」と力を込めた。

 

 釜石SWは、4月10日までホストとビジターで計10試合を行う。うのスタでのホーム戦は3月5日が皮切り。4試合が予定される。

 

「共に戦うファンに」入会を呼びかけ

 

県釜石地区合同庁舎で行ったファンクラブ入会への呼びかけ

県釜石地区合同庁舎で行ったファンクラブ入会への呼びかけ

 

 地域型クラブチームとして運営されている釜石SW。活動費を地域企業の支援やファンクラブ会員の会費でまかなっている。東日本大震災前に約3800人いた会員は震災後に減少。さらに、ここ数年はコロナ禍で対面での勧誘ができなかったため、現在は約半分の1700人弱になっている。

 

 より地域に密着し地元に愛されることを目指して、入会の呼びかけを強化。県沿岸広域振興局の協力を得て、5日にプロップの牛窪心希(しんき)選手(24)らが新町の県釜石地区合同庁舎で県職員らにアピールした。

 

 お昼休みに合わせて行い、約1時間の活動で30人が新規入会、会員更新をした。「いつも遅くまで練習しているね。心を動かす試合、期待してるよ」と声をかけたのは、沿岸振興局企画推進課の大釜範之課長(54)。野球、サッカー、バスケットボールなど最近、岩手のプロスポーツ界は明るい話題が続いていて、「ラグビーも」と熱視線を送る。

 

記念撮影に応じる牛窪選手(左)。入会した職員らの応援を力にした

記念撮影に応じる牛窪選手(左)。入会した職員らの応援を力にした

 

 記念撮影にも応じた牛窪選手は「頑張れ―とチームに期待する声をじかに聞くことができ、力をもらった」と目を見張った。今季、ニュージーランド代表として活躍した経験を持つ選手らが加入し、その高いスキルがチーム全体にいい刺激をもたらしていると手応えを実感。「倒されても立ち上がる姿を見に来てほしい」と意気込んだ。

 

 SWのホームページからも入会の申し込みができる。会員種別は「ゴールド」「クリスタル」「ファミリー」「スペシャル」の4種。年会費2000円~5万円で、カレンダーや優待券など特典が異なる。

スポーツ推進委員功労者表彰を受けた吉田千秋さん(右)

スポーツ振興に尽力33年 吉田千秋さん大臣表彰 市で伝達式

スポーツ推進委員功労者表彰を受けた吉田千秋さん(右)

スポーツ推進委員功労者表彰を受けた吉田千秋さん(右)

 

 地域のスポーツ振興に尽力したとして釜石市小佐野町の吉田千秋さん(71)が13日、スポーツ推進委員功労者表彰(文部科学大臣表彰)を受けた。新型コロナウイルスの影響で表彰式が中止になったことから、野田武則市長から表彰状を受け取った。吉田さんは「33年間の活動が評価されて光栄。仲間や関係者の協力あってこその受賞。体を動かしたり、人と交流することが好きで、委員の活動も楽しみながら続けられる」と喜びを語った。

 

 スポーツ推進委員は、全国の市町村においてスポーツ振興や普及のために住民に対して実技の指導や大会・イベントの準備などを行う行政から委託を受けた非常勤職員。1957年の開始時は「体育指導員」と呼ばれていたが、2011年から「スポーツ推進委員」に名称が変更された。市内では21人が地区ごとに活動。スポーツチャンバラ、スカットボール、安全吹き矢、ボッチャなどニュースポーツの普及、学校PTA行事での指導に取り組んでいる。

 

 同表彰は、長年の功績が顕著な人を文部科学省が表彰するもの。今年は全国で84人が表彰され、県内では吉田さんが唯一の受賞者となった。

 

双葉小で子どもたちに「ボッチャ」の面白さを紹介する吉田さん=2021年2月、釜石市スポーツ推進課提供

双葉小で子どもたちに「ボッチャ」の面白さを紹介する吉田さん=2021年2月、釜石市スポーツ推進課提供

 

甲子公民館で行われた「ボッチャ」の体験会では高齢者の活動を見守った=2021年3月、釜石市スポーツ推進課提供

甲子公民館で行われた「ボッチャ」の体験会では高齢者の活動を見守った=2021年3月、釜石市スポーツ推進課提供

 

 吉田さんは、1988年から同委員として活動。2010年からは同委員協議会の会長を務める。社会人時代にバスケットボールの選手、監督として活躍したことから、同競技の普及に取り組み、今年3月まで市バスケットボール協会副会長として競技人口の拡大や後継者育成に貢献。社会人を対象としたナイターバスケットボールの創設に関わり、連盟会長として現在も運営に尽力する。

 

 スポーツを通じた健康づくりをより頑張りたいと意気込む吉田さん。「みんなで楽しむスポーツの普及が一番大事。外に出て、おしゃべりも楽しみながら健康寿命を延ばすような取り組みを続け、コミュニティーづくりにつなげたい」と思い描いている。

全国ジュニアソフトテニス大会に出場する白石恋菜さん(中央左)と佐野琴美さん(同右)

ソフトテニス 白石恋菜、佐野琴美ペア(甲子小5年) 念願の全国大会出場へ

全国ジュニアソフトテニス大会に出場する白石恋菜さん(中央左)と佐野琴美さん(同右)

全国ジュニアソフトテニス大会に出場する白石恋菜さん(中央左)と佐野琴美さん(同右)

 

 釜石市の甲子ソフトテニスクラブ(吉田智代表、25人)に所属する甲子小5年の白石恋菜さん、佐野琴美さんペアが、24日から埼玉県熊谷市で開催される「第20回KENKO CUP(ケンコーカップ)全国ジュニアソフトテニス大会」に本県選抜チームの一員として出場する。昨年来の新型コロナウイルス禍で練習環境に制約があった中でも、飛躍的な成長を遂げている2人。初めて挑む全国の舞台に「仲間と協力して全力を尽くしたい」と意気込む。

 

 同大会には本県から小学5、6年生の9ペアが出場する。白石、佐野ペアは5年生が対象の選抜Bチーム(3ペア)に選ばれた。選考は本年度の県大会の成績を基にしたポイント制で実施された。2大会(5年の部)で優勝、準優勝を果たすなどした2人は、ポイント2位でBチームでの出場が決まった。

 

 1日は、野田武則市長に全国大会出場を報告。大会への意気込みを示した2人に野田市長は「よくぞ、ここまで頑張ってきた。全力を尽くし、悔いのない試合をしてほしい。釜石から応援している」と激励した。

 

野田武則市長に全国大会出場決定を報告=1日

野田武則市長に全国大会出場決定を報告=1日

 

 ソフトテニスをやっている姉(共に現甲子中3年)の姿に憧れ、小学1年生から競技を始めた2人。持ち前の素直さで教えられたことをどんどん吸収し、着実に力をつけてきた。昨年度は秋に行われた全日本小学生大会県予選(4年生以下の部)で準優勝。全国大会出場権を得たが、新型コロナ感染拡大の影響で大会規模が縮小され、出場はかなわなかった。

 

 コロナ禍2年目の本年度も夏前まで十分な練習ができなかったが、秋以降、通常の土・日曜練習に加え、平日夜の練習が可能となり、「見違えるほど力をつけてきた(吉田代表)」という。白石さんは「どんどん攻めるタイプ」、佐野さんは「コースを丁寧に狙っていくタイプ」で、攻撃のバリエーションが広がる。この1年で返球やサーブの精度も向上。一緒に練習する中学生とも対等に打ち合える成長ぶりを見せる。

 

力強いストロークで積極的に打ち込む攻撃が持ち味の白石恋菜さん

力強いストロークで積極的に打ち込む攻撃が持ち味の白石恋菜さん

 

相手の弱点を突くコースを狙って打つのが得意な佐野琴美さん

相手の弱点を突くコースを狙って打つのが得意な佐野琴美さん

 

全国大会に向け、平日夜も練習を重ねる=14日、甲子中体育館

全国大会に向け、平日夜も練習を重ねる=14日、甲子中体育館

 

 選抜チームに選ばれた時は、「驚きと共にすごくうれしかった」と2人。佐野さんは「自分たちがそこまで強くなっていると思わなくて。練習の成果を大会でしっかり出せていたんだなと実感した」。白石さんは「去年なら返せなかったボールにも追いつけるようになった。相手の動きを見て判断できるようにもなってきた」と進化を口にする。全国大会を楽しみにし、「団体戦なので仲間と協力し、勝ち上がっていけるよう頑張りたい。互いに声を掛け合い、チームを盛り上げていければ」と口をそろえる。

 

 

大会を楽しみに、さらなるレベルアップを目指す

大会を楽しみに、さらなるレベルアップを目指す

 

 競技未経験ながら自らラケットを握り、2人の練習を支える白石さんの父明伸さん(40)と佐野さんの父龍一さん(38)は「ランクが上の選手ばかりだと思うが、気負わず、挑戦者として大会を楽しんできてほしい。今の自分たちの力を全部出し切ってもらえれば」と願う。指導する吉田代表(53)は「自分たちが満足するプレーをしてくれるのが一番。岩手トップレベルの選手とも交流でき、視野を広げられる機会。この経験を来年度につなげてほしい」と期待する。

 

クラブの吉田智代表(左)の指導の下、中学生と一緒に練習に励む

クラブの吉田智代表(左)の指導の下、中学生と一緒に練習に励む

 

 大会は小学生男女の団体戦。24日に開会式が行われ、競技は25日に予選リーグ、26日に決勝トーナメントが行われる。

釜石市野球協会 2021年度表彰式=4日

釜石市野球協会 今季の活躍、長年の功労で学童選手、故監督2人を表彰

釜石市野球協会 2021年度表彰式=4日

釜石市野球協会 2021年度表彰式=4日

 

 釜石市野球協会(福成和幸会長)は4日、2021年度のシーズン終了にあたり、市内のホテルで表彰式を行った。協会登録チームの代表など23人が出席。各種大会の結果が報告され、顕著な活躍を見せた学童1選手を特別表彰。社会人チームの監督を長年務め、社会福祉にも貢献した1故人に感謝状を贈った。

 

 特別表彰を受けたのは、野球スポーツ少年団「釜石ファイターズ」に所属する唐丹小6年の柏海埼(みさき)君。2県大会で、いずれもフェンスオーバーの3本塁打(ツーラン1、ソロ2)を放つ快挙を見せ、「年間3本塁打賞」を受賞した。投手、捕手としてもチームの主力を担う柏君。表彰式当日は宮城県への遠征試合と重なったため、代理出席した祖父の信太郎さん(77)が表彰状を受け取った。

 

特別表彰を受けた柏海埼君(唐丹小6年)の代理で出席した祖父の信太郎さん(左)

特別表彰を受けた柏海埼君(唐丹小6年)の代理で出席した祖父の信太郎さん(左)

 

 協会への功労などで感謝状を贈られたのは、一般(C級)、OB(壮年)、早起き野球の3チームを擁する「ヨーカクラブ」の監督を務め、本年8月に急逝した佐野一男さん(享年75)。佐野さんは釜石早起き野球リーグへの参加チームとして同クラブを立ち上げ、後にリーグ会長に就任。1998年から福祉貢献を目的に、同リーグ主催で夏の「チャリティーナイター野球」を開催した。会場で寄せられる募金や成人選手のエラーなどに課す罰金ルールで集まった善意を市社会福祉協議会の「まごころ福祉基金」に寄付を続け、2013年には総額100万円を超えた。

 

2011年11月、チャリティーナイター野球の募金を市社協に届けた佐野一男さん(前列左)

2011年11月、チャリティーナイター野球の募金を市社協に届けた佐野一男さん(前列左)

 
震災から5カ月後(11年8月)に行われたチャリティーナイターで野球を楽しむ少年ら

震災から5カ月後(11年8月)に行われたチャリティーナイターで野球を楽しむ少年ら

 

 佐野さんに代わり感謝状を受け取った同クラブ主将の佐々木博貴さん(43)は「監督は、おやじのような存在。チーム内では厳しく、『野球に対する礼儀は絶対に守らないといけない。きれいな野球を』と常に言っていた」と明かし、今後も“佐野野球”の教えを守り抜くことを誓った。

 

 表彰に先立ちあいさつした福成会長は「この10年で野球人口は急激に減少している。根本にあるのは、やはり少子化。小中高は合併チームでの大会出場が増え、今後、社会人チームも減っていく可能性が高い」と指摘。釜石市協会の本年度登録チーム数は、一般10、OB2、中学校3、学童(スポ少)2だった。

 

表彰式で受賞者をたたえる協会登録チームの代表

表彰式で受賞者をたたえる協会登録チームの代表

 

 市内の学童野球は2011年には地区単位で12チームあったが、年々、団員確保が難しくなる状況を見越し、数年前から2チームに集約。浜町から甲子町、唐丹町までをエリアとする釜石ファイターズは、地区ごとの普段の練習と定期的な合同練習の両輪で大会出場を維持する。中学校も近年は1校単独でのチーム編成が難しくなり、2校合同チームでの大会出場が目立つ。協会の下村恵寿理事長は「野球をやりたい子どもたちのためにさまざまな工夫が必要。厳しい状況だが協会としても力を尽くし、釜石の野球を何とか盛り上げていきたい」と意気込む。

ラグビッグドリーム「絆マッチ」で全力プレーを見せる釜石(赤)と静岡の中学生

震災10年 ラグビーの絆を後世に ラグビッグドリームで子どもたち交流

ラグビッグドリーム「絆マッチ」で全力プレーを見せる釜石(赤)と静岡の中学生

ラグビッグドリーム「絆マッチ」で全力プレーを見せる釜石(赤)と静岡の中学生

 

 「ラグビッグドリーム2021with釜石絆の日」は11月28日、釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムで開かれた。釜石ラグビッグドリーム実行委(小笠原順一会長)、釜石ラグビー応援団(中田義仁会長)が主催し、中高生の試合や小学生のラグビークリニックを開催。東日本大震災からの復興が進んだラグビーの聖地・釜石で、子どもたちが仲間との絆を深め、未来への夢や希望を育んだ。

 

 クリニックには県内外のジュニアチームから約100人が参加。スペシャルアドバイザーにワールドカップ(W杯)元日本代表の伊藤剛臣さん(釜石シーウェイブスRFCアンバサダー)、五郎丸歩さん、廣瀬俊朗さん、女子ラグビーでリオデジャネイロ五輪出場の桑井亜乃さん、日本代表9キャップの平野恵里子さん(大槌町出身、釜石高卒)を招き、学年ごと3グループで指導を行った。低・中学年は遊びの要素を取り入れながら、ラグビーの基本動作や練習メニューを体験。高学年は試合形式の練習をし、仲間やアドバイザーと交流を深めた。

 

廣瀬俊朗さん、平野恵里子さんとゲームなどを楽しむ小学3・4年生

廣瀬俊朗さん、平野恵里子さんとゲームなどを楽しむ小学3・4年生

 

五郎丸歩さん(中央)が見守る中、試合形式で行われた5・6年生のラグビークリニック

五郎丸歩さん(中央)が見守る中、試合形式で行われた5・6年生のラグビークリニック

 

 釜石シーウェイブス(SW)ジュニアの小野鳳君(平田小6年)、畠山一気君(階上小同)は「貴重な機会。日本代表(経験者)に会えることは少ないので楽しかった」と感激の表情。キャプテンの佐々木璃音さん(甲子小6年)は「今までできていなかった基本を確認できた。中学生になってもアカデミーでラグビーを続ける。平野選手のように、いつか私も世界(の舞台)で輝ける選手になりたい」と夢を描いた。

 

 「絆マッチ」と題した中学生の試合は、静岡ブルーレヴズラグビースクールと釜石SWアカデミーが対戦した。静岡ブルーレヴズ(前ヤマハ発動機ジュビロ)は2011年、震災から3か月後の6月に釜石市を訪問。被災者のための復興支援活動に奮闘し、被災後初めて試合を行う釜石SWと対戦した。両チームの姿は市民に復興への力を与え、19年のラグビーW杯日本大会釜石誘致という一大目標を掲げる足掛かりとなった。以来、18年8月の同スタジアムオープニングイベントでの記念試合など交流が続く。

 

釜石シーウェイブスアカデミーと静岡ブルーレヴズラグビースクールの一戦

釜石シーウェイブスアカデミーと静岡ブルーレヴズラグビースクールの一戦

 

ゴール前の攻防を抜け出し、釜石がトライ=後半

ゴール前の攻防を抜け出し、釜石がトライ=後半

 

 世代を超え、受け継がれるラグビーの絆。静岡と釜石の中学生はW杯のレガシーが残るスタジアムで持てる力を発揮し、10年後の再対戦を夢見てさらなる精進を誓い合った。中学生の試合の前には、釜石・大船渡の3高校、宮古の2高校がそれぞれ結成した合同チームによる交流マッチも行われた。

 

 11年の交流試合以降、毎年釜石に足を運んできた五郎丸さんは、スタジアム周辺の景色の変遷に10年という復興の歩みの重さを実感。台風の影響で中止されたW杯カナダ対ナミビア戦について、「いつかこの地で実現することを1ラグビー人として願う」。釜石の子どもたちにも思いを寄せ、「この鵜住居から成長した選手が桜のジャージーを着て戦う姿を見てみたい」と期待を込めた。

 

クリニックで小学生にアドバイスする五郎丸さん

クリニックで小学生にアドバイスする五郎丸さん

 

 平野さんは「W杯の成功は子どもたちの力による部分も大きい。間近で見ていることは貴重な経験。ラグビーで培われてきた歴史あるまち釜石に誇りを持ち、これからも胸を張って競技を楽しんでほしい」と願った。

 

 W杯日本大会出場20カ国を各国の国歌でもてなすプロジェクト「スクラムユニゾン」を主導した廣瀬さん(元日本代表キャプテン)はメンバー2人と来釜。絆マッチの前後に、日本と次回W杯開催地フランスの国歌を歌った。「ずっと来たかった釜石」への訪問を喜ぶ廣瀬さんは「W杯で釜石は世界から注目を集めた。ラグビーが根付くこの土地をみんなで支え合い、未来につないでいければ」と協力に意欲を示した。

 

 

 今回のイベントは、市内の小中学生がW杯を記念して定めた9月25日の「絆の日」に合わせて開催予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、この日に延期された。

栗林ラビーが主催した復興応援ありがとうカップ

震災10年 釜石に小学生バレーボールチーム招き復興応援ありがとうカップ

栗林ラビーが主催した復興応援ありがとうカップ

栗林ラビーが主催した復興応援ありがとうカップ

 

 県内の小学生バレーボールチームが参加した「復興応援ありがとうカップ兼合同練習会」は14日、釜石市鵜住居町の市民体育館で開かれた。同市の栗林ラビーバレーボールスポーツ少年団(藤原明広監督)が、震災後に県内の仲間から受けた支援に対し、感謝の思いを伝えようと企画。沿岸と内陸から計6チームが参加し、試合を通じて親睦と交流を深めた。

 

 3チームずつ予選リーグを行った後、その順位を基に決勝トーナメントを実施。試合は2セットマッチで、セットカウント1対1の場合は得点の多いチームの勝利とする形で行われた。新型コロナウイルス禍で大会が減っている選手たちに多くの試合の場を提供し、実力向上につなげてもらう機会とした。

 

3チームで競った予選リーグ(釜石―奥州胆沢)

3チームで競った予選リーグ(釜石―奥州胆沢)

 

 栗林ラビーが練習場所としている栗林小体育館は、2011年の東日本大震災直後、被災者らの避難所となり、団はしばらく練習ができない状態が続いた。この時、支援の手を差し伸べてくれたのが県内陸部のチーム。自分たちの練習拠点に招いて体を動かす場を提供してくれたり、新しいシューズなどを用意してくれたりと物心両面で支えられた。

 

 「いつか恩返しができればと思っていた」と藤原監督。大会には10チーム以上から参加希望があったが、会場の体育館はコートを2面しか確保できないため、いつも練習会をしているチームを招いて6チームでの開催となった。

 

内陸から招かれた山岸ジュニアスポ少(盛岡市)

内陸から招かれた山岸ジュニアスポ少(盛岡市)

 

試合ができる喜びを胸に熱戦を繰り広げる選手ら

試合ができる喜びを胸に熱戦を繰り広げる選手ら

 

 栗林ラビーの金野涼葉主将(鵜住居小6年)は「震災後に新設されたこの体育館で、復興の記念の大会ができてうれしい。2週間後にも大会があるので、しっかり練習して備えたい」と意気込んだ。同じ市内のチーム、釜石ブルーウイングの小笠原桃華主将(鵜住居小6年)は「いい雰囲気で試合ができた。内陸のチームにも感謝の気持ちを返せた」と貴重な機会を喜んだ。

 

 決勝では栗林ラビーと江刺家ジュニアクラブ(九戸村)が対戦。2-0で栗林が勝利し、安定した強さを見せた。県内では27、28日に奥州市で県小学生バレーボール育成大会(いわて純情りんご杯)が開かれ、12月4日に住田町でベスト4のチームによる決戦が行われる。

 

優勝した栗林ラビーの選手、コーチら。次の目標は11月末の県育成大会優勝!

優勝した栗林ラビーの選手、コーチら。次の目標は11月末の県育成大会優勝!

 

今大会全試合を2―0で制した栗林ラビー(奥)

今大会全試合を2―0で制した栗林ラビー(奥)

 

 栗林ラビーは今年2月の県新人大会以来、複数の県大会で優勝しているものの、コロナ禍で東北、全国大会が中止され、県代表として上位大会に出場する夢はかなっていない。藤原監督は「育成大会は全国大会につながる。現チームで全国の舞台に行ける最後のチャンス」とし、チーム一丸となって優勝を目指す。

 

 今大会の決勝トーナメントの結果は次の通り。
【1回戦】
釜石1―1下矢作・横田(21―14、16―21)2点差で釜石の勝ち
山岸1-1江刺家(18―21、21-18)ジャンケン3―4で江刺家の勝ち
【準決勝】
栗林2―0釜石(21―8、21―2)
江刺家2―0奥州胆沢(21―10、21―20)
【決勝】
栗林2―0江刺家(21―12、21―10)

後半7分、釜石2本目のトライで喜びに沸き立つ

ラグビーW杯から2年 うのスタで釜石SWとコベルコ神戸が記念試合

約2100人の観衆が見守る中、行われた釜石シーウェイブスとコベルコ神戸の記念試合

約2100人の観衆が見守る中、行われた釜石シーウェイブスとコベルコ神戸の記念試合

 

 ラグビーワールドカップ(W杯)2019日本大会から2年。会場の1つとなった釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムで14日、記念試合が行われ、地元の釜石シーウェイブス(SW)RFCと神戸製鋼からチーム名を替えたコベルコ神戸スティーラーズが対戦した。SWは格上の神戸相手に善戦。25-40(前半11-19)で敗れはしたが、闘志あふれるプレーにスタンドは大いに盛り上がり、W杯の熱気をほうふつとさせた。

 

 来年1月に開幕するリーグワン(3部構成)で1部の神戸と2部の釜石。強豪神戸に挑む釜石は終始追う展開ながら、強化してきたFWを中心に成長した姿を見せた。前半、神戸の2本のトライで14点のリードを許した釜石は17分、ゴール正面のPGをFB中村良真が確実に決め3-14。23分にはマイボールラインアウトからモールに持ち込み、HO芳野寛が右隅にトライ。8-14と点差を縮めた。ロスタイムの40分すぎ、釜石は何度も神戸ゴールライン付近まで切り込むも攻め切れず、終了間際にCTBヘルダス・ファンデルヴォルトが決めたPGで、前半を11-19で折り返した。

 

モールを抜け出し、インゴール目がけて突進する芳野寛選手

モールを抜け出し、インゴール目がけて突進する芳野寛選手(写真:西条佳泰 Grafica Inc.)

 

 前半23分、待望のトライを決める釜石SW。8―14と点差を縮める

前半23分、待望のトライを決める釜石SW。8―14と点差を縮める

 

 後半、神戸のトライで11-26とされた釜石は7分、敵陣5メートル付近のラインアウトからのモールで一気に押し込み、FL木村優太がトライ。ゴールも決まり、18-26と押し戻した。神戸もすかさず反撃。3分後にトライ(ゴール成功)を奪い、15点差に突き放した。釜石は26分にもモールで攻め、途中出場のNo8王野尚希がゴール下にトライ(ゴール成功)。25-33と追い上げるも、試合終了2分前に神戸にトライを決められ、25-40で敗れた。

 

後半7分、釜石2本目のトライで喜びに沸き立つ

後半7分、釜石2本目のトライで喜びに沸き立つ

 

 試合後の記者会見で、釜石SWの須田康夫ヘッドコーチは「FWのモールスコアなど神戸に対して通用する部分も多く、自分たちの武器を確信できた。足りない部分を修正し、リーグ開幕までにクオリティーを高めていく」と気を引き締めた。CTB小野航大主将は「自分たちが目指す形にはまだ遠い。しっかり勝ち切りたい」とし、東北唯一のリーグワン参戦チームとして「多くの人が応援したいと思う強いチームになれるよう頑張っていく」と意気込みを示した。

 

善戦した釜石SWの選手ら。試合終了後、観戦客にあいさつに向かった

善戦した釜石SWの選手ら。試合終了後、観戦客にあいさつに向かった

 

両チームの健闘をたたえる観戦客。揺れる赤いフラッグが2年前のW杯を思い起こさせる

両チームの健闘をたたえる観戦客。揺れる赤いフラッグが2年前のW杯を思い起こさせる

 

 同スタジアムでのSWの試合は、3月のトップチャレンジリーグ近鉄戦以来8カ月ぶり。桜庭吉彦ゼネラルマネジャーは「このスタジアムに多くの人が集まってラグビーを通じて1つになることが、地元チームとしての活動意義。地域との距離が近い強みも生かし、リーグワンの集客につなげていきたい」と話した。

 

 コベルコ神戸の選手、スタッフらは前日に、陸前高田市の津波復興祈念公園なども訪問。福本正幸チームディレクターは阪神・淡路大震災の被災経験と重ね合わせ、「釜石SWが市民と一緒に震災復興を成し遂げてきたことを聞き、大きな学びを得ることができた。チームの力にし、神戸の皆さんにも還元していきたい」と感謝した。

 

記念試合を盛り上げるイベントも多彩に 幅広い世代が笑顔で満喫

 

桜舞太鼓と鵜住居幼稚園児の虎舞で作る花道を進む釜石、神戸の選手ら

桜舞太鼓と鵜住居幼稚園児の虎舞で作る花道を進む釜石、神戸の選手ら

 

 今回の記念試合は、W杯釜石開催のレガシー継承などを目指し、県や市で組織するいわて・かまいしラグビーメモリアルイベント実行委が主催した。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、観戦者を県内在住者に限定。約2100人が来場した。

 

 紫波町のラグビースクールで活動する藤尾陽成君(赤石小2年)は「プロの試合を間近で見られてうれしい。試合から学んだことを生かして頑張りたい」と力をもらった。盛岡市の森敬司さん(71)は19年のW杯開催時、釜石ファンゾーンで運営ボランティアとして活動。今回は純粋に試合観戦を楽しもうと駆け付け、「ここで作られたレガシー、ラグビー熱を体感。スポーツはいい。元気をもらった」と喜んだ。

 

 試合前には、歌手の平原綾香さんが県内のダンススクールの子どもたちと共演。市内の小中学生はハーフタイムに、世界への感謝を伝える「ありがとうの手紙」を合唱した。菅原優作君(甲子中3年)は「W杯とは規模が違うが、たくさんの方に見てもらう機会で、みんなで力を合わせて歌った。感謝の気持ちをしっかり伝えられた」と胸を張った。

 

試合前、感動の歌声を響かせた平原綾香さん。18年のスタジアム完成時にも招かれている

試合前、感動の歌声を響かせた平原綾香さん。18年のスタジアム完成時にも招かれている

 

合唱で震災復興への感謝を伝える市内の小中学生

合唱で震災復興への感謝を伝える市内の小中学生

 

 同スタジアムではW杯のフィジー対ウルグアイ戦が行われた。ナミビア対カナダ戦は台風の影響で中止され、県や市は昨年から両国を招いての記念試合を模索する。野田武則市長は「コロナで延びているが、引き続き努力していく。これが実現しない限り、19年のW杯は終わらない」と思いを述べた。

 

スタジアムで試合ができなかったナミビア、カナダの国旗を掲げ、両国への思いを発信

スタジアムで試合ができなかったナミビア、カナダの国旗を掲げ、両国への思いを発信

 

 敷地内には大画面で試合を楽しめるファンゾーンも設けられ、約360人が来場した。試合後のスペシャルトークショーには、対戦カードの釜石、神戸両チームに在籍した元日本代表FWの伊藤剛臣さんが登場。「釜石はチャレンジャー精神で神戸にぶつかり、試合は大いに盛り上がった。夢、希望、元気、勇気が釜石のレガシー。これからも一緒に盛り上げていきたい」などと話し、会場を沸かせた。

 

トークショーで盛り上げた伊藤剛臣さん(右)

トークショーで盛り上げた伊藤剛臣さん(右)

 

 八幡平市の藤原シゲ子さん(60)は記念試合のチケットを取ることはできなかったが、久しぶりの大きなイベントを楽しみたいと足を運んだ。W杯釜石開催を振り返る展示や飲食ブースを回り、催された抽選会で記念グッズをゲット。「来たかいがあった」と満足そうだった。

 

 飲食ブースには県内の業者やキッチンカーが出店。ホタテの浜焼き400食を提供したNPO法人おはこざき市民会議の佐藤啓太理事長(39)は「人が集まる景色は久々。新鮮な海産物をPRし、地域を盛り上げたい」と腕を振るった。

釜石リアスライオンズクラブ主催 第31回釜石地域中学校バスケットボール大会

釜石リアスLC杯中学校バスケ大会 競技力向上の一助に/県新人戦初優勝の釜石中男子 さらなる躍進に期待

釜石リアスライオンズクラブ主催 第31回釜石地域中学校バスケットボール大会

釜石リアスライオンズクラブ主催 第31回釜石地域中学校バスケットボール大会

 

 第31回釜石リアスライオンズクラブ杯釜石地域中学校バスケットボール大会は7日、釜石市鵜住居町の市民体育館で開かれた。男女とも釜石、大平、大槌の3校が参加。リーグ戦を行い、優勝を競い合った。

 

 同大会は青少年の健全育成、スポーツ振興などを目的に1992年にスタート。近年は11月に日程が設定されるが、昨年の第30回大会は新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期され、年度をまたいで本年4月に開催された。前回大会同様、今回も観戦は届け出た保護者のみとし、手指消毒、競技時以外のマスク着用など感染防止策を講じた。

 

保護者が見守る中、熱戦を繰り広げる選手たち

保護者が見守る中、熱戦を繰り広げる選手たち

 

女子「大平―釜石」の試合。勝利へ全力プレー

女子「大平―釜石」の試合。勝利へ全力プレー

 

 

 各チームは3年生引退後の1、2年生選手で結成。来年度の中総体に向けた新たなチーム作りを進める上で、競技力強化を図るための実戦経験の場となった。大会を主催する同クラブ(会員41人)の山崎智千(ともゆき)会長(58)は「少子化で生徒数が減る中でも大会を開けるのは幸せなこと。これまで言われてきた内陸の学校との力の差を埋める一助になるよう、今後も大会を続けていきたい」と願った。

 

 大会の結果は次の通り。
【男子】
釜石 117-20 大平
大平 52-42 大槌
釜石 121-27 大槌
 
優勝 釜石(5大会連続)
準優勝 大平
3位 大槌

 

【女子】
大平 102-10 大槌
釜石 95-17 大槌
大平 66-34 釜石
 
優勝 大平(2大会連続)
準優勝 釜石
3位 大槌

 

山崎会長から賞状を受け取る優勝の釜石中男子

山崎会長から賞状を受け取る優勝の釜石中男子

 

優勝杯を贈られる大平中女子。カップには歴代優勝校の名前が連なる

優勝杯を贈られる大平中女子。カップには歴代優勝校の名前が連なる

 

県新人戦初優勝の釜石中男子バスケ部 来年の東北中総体目指しチーム一丸

 

10月の県中学校新人大会で初優勝を果たした釜石中男子バスケットボール部

10月の県中学校新人大会で初優勝を果たした釜石中男子バスケットボール部

 

 釜石リアスライオンズクラブ杯大会で圧倒的強さを見せた釜石中男子バスケットボール部は、10月16、17の両日行われた県中学校新人大会(新人戦)で初優勝に輝いた。県制覇は、統合前の小佐野中が県中総体で果たして以来、約20年ぶり。新人戦での優勝は同校、釜石・大槌地区にとっても初の快挙となった。

 

 県新人戦バスケ競技には県内各地区の代表16チームが参加。釜石は1回戦で、磐井(一関地区)を68対63の接戦で下し、2回戦(釜石60-42見前)、準決勝(釜石70-56水沢南)と勝ち進んだ。決勝では、県大会上位の常連、石鳥谷(花巻地区)と対戦。71対42で勝利し、初の栄冠を勝ち取った。

 

 鈴木琥太郎主将(2年)は「フットワークとディフェンスを強化してきた結果だ。(初優勝は)自分たちの頑張りもあるが、支えてくれるコーチや先生、親のおかげ」と感謝。来年の中総体に向け、「他チームは釜中を倒そうと必死になってくると思う。自分たちも負けないよう頑張りたい。県制覇を達成して、東北大会ベスト4に入るのが目標」と意気込む。

 

釜石リアスLC杯大会でも相手チームを圧倒した釜石中男子(白ユニフォーム)

釜石リアスLC杯大会でも相手チームを圧倒した釜石中男子(白ユニフォーム)

 

 

 コーチを務める小澤弘貴さん(44)は「きつい練習にも耐えて頑張る頼もしい子たち。釜中出身の先輩高校生が練習相手になってくれて、部員らも吸収する部分が多い」と急成長の要因を明かす。この1年は「防御は最大の攻撃」をチームスローガンに、攻めるディフェンスを意識してきた。さらなるチーム力強化のため、「冬場の体力づくりをしっかりやって、攻撃のバリエーションを増やすのが目標。相手チームの研究も必要」と次年度を見据える。

 

 

 釜石中は13、14の両日、奥州市で開かれる県U15バスケットボール選手権大会に出場する。県新人戦の上位8チームと県内のクラブチームが参加し、16チームによるトーナメント戦を行う。優勝チームは全国大会への切符を手にする。

釜石鵜住居復興スタジアムの木製座席塗装作業

きれいなシートで観戦を! うのスタで木製座席の塗装ボランティア活動

釜石鵜住居復興スタジアムの木製座席塗装作業

釜石鵜住居復興スタジアムの木製座席塗装作業

 

 釜石市鵜住居町の釜石鵜住居復興スタジアムで10月30日、バックスタンド(約3千席)の木製座席の塗装をし直すボランティア活動が行われた。施設を運営する市と地元ラグビーチーム釜石シーウェイブス(SW)RFCが共催。市内外から集まった一般参加者とSWの選手、スタッフら約80人が作業に精を出した。同所では11月14日に、釜石SWとコベルコ神戸スティーラーズのメモリアルマッチが行われる。

 

 同スタジアムは2018年に竣工、19年のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の会場となった。常設6千席のうち約5千は木製座席。17年に発生した同市尾崎半島林野火災の被災木(スギ)が使われている。バックスタンドの木製座席には、昨年、「KAMAISHI UNOSUMAI」の文字を浮かび上がらせる茶と青色の塗装が施された。

 

 塗装から1年が経過した座席は、風雨や日差しの影響で所々、塗料が剥がれていた。ボランティア参加者は二手に分かれ、撥水(はっすい)効果のある2色の塗料をスポンジやはけを使って丁寧に塗り直した。約2時間の作業で、座席は鮮やかな色彩に生まれ変わり、観戦客を迎える準備が整った。

 

塗料が剥げた部分を中心に塗り直し。子どもたちも大人と一緒に頑張った

塗料が剥げた部分を中心に塗り直し。子どもたちも大人と一緒に頑張った

 

秋の日差しを受けながら作業に励む参加者

秋の日差しを受けながら作業に励む参加者

 

 盛岡市の浅沼美香さん(自営業)はW杯を機にラグビーファンとなり、地元チームを応援したいと釜石SWのサポーターに加入。今回初めて、同スタジアムの環境美化活動にも参加した。「(塗装作業は)意外と大変。でも、お客さんにはきれいな環境で試合を見てもらいたいと思って」と熱心に作業。メモリアルマッチの観戦チケット当選を願いながら、「強い相手に果敢に立ち向かっていく姿が格好良くて大好き。試合で見たい」とSWに熱いエールを送った。

 

 SWからは約60人が作業に協力した。小野航大主将(29)は「ホームスタジアムでもあり、快適に観戦してもらうために自分たちができることは手伝いたい」と精力的に活動。約半月後のメモリアルマッチを控え、「外国人選手も合流して1カ月。先週、試合(IBC杯)もして今年のチームのイメージも見えてきた」と実戦を心待ちにする。「W杯やラグビーの感動を伝えていくのも僕らの使命。また(試合を)見にきたくなるようなゲームをしたい」と意気込みを示した。

 

釜石SWの選手らも心を込めてボランティア活動

釜石SWの選手らも心を込めてボランティア活動

 

美しく生まれ変わった座席で観戦客を迎えるスタジアム。釜石SWとコベルコ神戸の熱戦に期待!

美しく生まれ変わった座席で観戦客を迎えるスタジアム。釜石SWとコベルコ神戸の熱戦に期待!

 

 この日は塗装作業に先立ち、地震、津波発生時を想定した避難誘導訓練も実施。車いす利用者も想定し、スタジアムから高台2カ所に安全、迅速に避難するための経路や方法を確認した。

横断歩道を渡る児童を見守る釜石SWの選手ら

釜石SW、登校する児童の見守り開始~「おはよう」でエネルギー交換

通学路の安全、がっちり!「横断中」の旗を手に児童の登校を見守るモーガン・ミッチェル選手

通学路の安全、がっちり!「横断中」の旗を手に児童の登校を見守るモーガン・ミッチェル選手

 

 釜石市を本拠地にするラグビーチーム「釜石シーウェイブス(SW)RFC」が、甲子町松倉地区の小学生たちの通学路に立ち、交通事故などに巻き込まれないよう見守る活動を始めた。来年1月に開幕する新リーグ「リーグワン」への参戦に向けた「地域密着」型の新たな取り組みで、チームをより身近に感じてもらう初の試みだという。

 

 チームは学校でのタグラグビー教室や運動会など行事参加で児童らと交流し、地域に愛されるチームづくりを進めてきた。地域貢献・連携活動の一環として、チームの練習グラウンド(市球技場)があり、選手やスタッフが多く暮らす甲子地区の甲子小児童が安心、安全に登校できるよう見守り活動を行うことにした。

 

横断歩道を渡る児童を見守る釜石SWの選手ら

横断歩道を渡る児童を見守る釜石SWの選手ら

 

 活動は基本的に週4日、朝の登校時間に合わせて30分間、市球技場付近の通学路で実施する。初回の1日朝は、7時から自動車販売店そばの2カ所の横断歩道に山田龍之介選手(30)とモーガン・ミッチェル選手(28)、牛窪心希(しんき)選手(25)らが立ち、児童らに「おはよう」などと呼びかけながら登校を見守った。

 

 見慣れない体の大きな選手らに「ちょっと怖い」と思った子もいたようだが、「横断中」と書かれた旗を掲げながら体を張って車を止める姿に、和泉心寧(ここね)さん(甲子小4年)は「守ってくれそう。うれしい」と頼もしさを感じていた。普段から選手らが練習する様子を見ていた子もいて、「また会いたい」と楽しみも増やした。

 

朝のあいさつで交流を深める甲子小児童と釜石SW選手

朝のあいさつで交流を深める甲子小児童と釜石SW選手

 

 牛窪選手は「地域の子どもたちに、こういう形で少しでもチームを知ってもらえたら。出勤時間と重なり、思ったより車が走っていた。運転手には通学路だということを認識してもらい、気を付けて走ってほしい」と求めた。

 

 桜庭吉彦ゼネラルマネジャーは「おはよう―という言葉のキャッチボールが子どもと選手の双方にいい効果をもたらすはず。エネルギーを交換し、1日頑張るぞと思ってもらえたら」と期待。誇りを持ってもらえるチームづくりは地域にとって身近な存在になることが大事だと強調し、「ラグビーのまち釜石」の実現に向け地域と結束した取り組みを続ける構えだ。

協定書を交わした大塚製薬の迫上智博仙台支店長(右)と野田武則釜石市長

市民の健康づくりへタッグ 釜石市と大塚製薬が包括連携協定締結

協定書を交わした大塚製薬の迫上智博仙台支店長(右)と野田武則釜石市長

協定書を交わした大塚製薬の迫上智博仙台支店長(右)と野田武則釜石市長

 

 釜石市と大塚製薬(東京都千代田区、井上眞社長)は12日、市民の健康づくりやスポーツの推進、災害対応に協力して取り組むことを目的とした包括連携協定を結んだ。高齢化が進む同市の課題解決に同社の知見を生かし、健康長寿の実現を後押しする。

 

 市役所で行われた締結式には、大塚製薬から迫上智博仙台支店長、竹内寛治盛岡出張所長ら4人が出席。迫上支店長と野田武則市長が署名した協定書を取り交わし、連携する7項目を確認した。

 

締結式で両者が協定書に署名し、連携項目を確認

締結式で両者が協定書に署名し、連携項目を確認

 

 連携項目は、健康長寿を目指した健康づくり、生活習慣病予防、スポーツや食育の推進、熱中症や災害時の対策など。子どもから高齢者まで幅広い年代の健康課題解決へ取り組む。高齢者が要介護状態にならないためのフレイル(加齢に伴う心身の衰え)対策、食育アプリなどを活用した子どもへの栄養指導、運動習慣の促進支援、災害対策では避難生活の栄養の偏りを改善する健康補助食品の提供などを想定する。

 

 市は本年度からの新たな市総合計画の重点施策に「健康寿命日本一へのトライ」を掲げ、市民の健康づくりや介護予防に力を入れる。三大疾病で亡くなる人、早世する人も多い現状から、野田市長は「健康で長生きが一番の課題。(大塚製薬の)全国の自治体との連携事例など先進的な取り組みに関する知見もいただき、課題解決に努めたい」とし、協定締結を喜んだ。

 

野田市長ら市幹部を前に迫上支店長があいさつ

野田市長ら市幹部を前に迫上支店長があいさつ

 

 迫上支店長は「当社は人々の健康への貢献をテーマに事業活動を行う。釜石市の高齢化に伴う課題のほか、コロナ禍明けの外出機会の創出なども見据えた取り組みができれば。市の関係部署と相談しながら、市民の皆さまの健康に少しでも貢献できるような活動を進めていきたい」と意気込んだ。

 

 同社の自治体との連携協定締結は、東北6県では釜石市が42市目、県内では5市目となる。これまでに全47都道府県とも協定を結んでいる。