タグ別アーカイブ: スポーツ

ラグビーリーグワン2部第10節 釜石シーウェイブス対花園近鉄ライナーズ=10日

釜石SWリーグ最終戦 花園の攻撃力に大敗 順位決定戦5月1日 ホームで広島と

ラグビーリーグワン2部第10節 釜石シーウェイブス対花園近鉄ライナーズ=10日

ラグビーリーグワン2部第10節 釜石シーウェイブス対花園近鉄ライナーズ=10日

 
 NTTジャパンラグビーリーグワン2部の釜石シーウェイブス(SW)RFCは10日、釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムでレギュラーシーズン最終戦を迎え、花園近鉄ライナーズと対戦。12―98(前半0-46)の大差で敗れた。釜石は1勝9敗勝ち点7で5位となり、この後、下位3チームが総当たりで4~6位を決める順位決定戦に挑む。

 

 前後半で花園に15トライを奪われた釜石。攻守で厳しい戦いを強いられるきっかけとなったのは、反則による選手の退場。前半6分、ナンバー8サム・ヘンウッドのタックルが危険なプレー(ハイタックル)と判定され、レッドカードで一発退場処分に。1人少ない14人でのプレーが最後まで影響した。

 
 前半開始早々、日本代表CTBシオサイア・フィフィタがノーホイッスルトライで先制し、勢いに乗る花園。ヘンウッドの退場により14人で戦う釜石は、花園の強力な突破、正確で速いパス回しに苦戦し、前半終了までに8トライを献上。敵陣でのアタックチャンスをつかめないまま、0-46で折り返した。

 
CTB小野航大(左)、LO山田龍之介の気迫あふれるタックル=後半

CTB小野航大(左)、LO山田龍之介の気迫あふれるタックル=後半

 
 まずは1トライを返し、流れを変えたい釜石は後半2分、最初のラインアウトからフランカー河野良太がCTBヘルダス・ファンデルボルトにつなぎ、相手守備の弱い部分を突いて左隅にトライ。ゴールは失敗するも待望の得点を挙げ、5-46とした。しかし、数的不利は攻守への影響を避けられず、試合は再び花園ペースに。30分過ぎまでに6トライを奪われた。

 

 釜石最後の見せ場は33分。後半途中出場のプロップ高橋拓也が相手ディフェンスを引きつけたすきに、ファンデルボルトが後から走り込んできた河野にパス。高校時代はWTBという河野は、スピードに乗って相手をかわしながら中央を突破し、ゴール真下にトライ。ゴールも決まって12-88としたが、その後、花園にさらに1トライを許すなどし、12-98で完敗した。

 

後半33分、花園のタックルをかわし、インゴールまで走り抜いたフランカー河野良太(中央)

後半33分、花園のタックルをかわし、インゴールまで走り抜いたフランカー河野良太(中央)

 
釜石SWの2本目のトライに沸くスタンド=後半

釜石SWの2本目のトライに沸くスタンド=後半

 
 「すべてどこをとっても相手のほうが上だった」とCTB小野航大主将。須田康夫ヘッドコーチ(HC)は相手を止めきれなかったタックルについて「1つ1つ課題をつぶし、修正していく」と話した。ただ小野主将、須田HCともに、昨シーズンからの成長という部分ではフィジカルのレベルアップ、試合で通用する手応えを実感。「チャンスをもらって試合で活躍できた若手選手もいて、チームの底上げも図られている」とした。

 

 順位決定戦まで3週間。小野主将は「自分たちのやるべきことを整理することが大切。チームとしてできる準備をしたい」と前を向いた。釜石SWの順位決定戦は2試合とも釜石鵜住居復興スタジアムが会場。5月1日にマツダスカイアクティブズ広島(6位)と、8日に日野レッドドルフィンズ(4位)と対戦する。正午キックオフ。

ラグビーリーグワン2部第9節 釜石シーウェイブス対三重ホンダヒート=2日

釜石SW 格上・三重に1点差の惜敗 開幕戦からの成長ぶり表す

ラグビーリーグワン2部第9節 釜石シーウェイブス対三重ホンダヒート=2日

ラグビーリーグワン2部第9節 釜石シーウェイブス対三重ホンダヒート=2日

 

 NTTジャパンラグビーリーグワン2部第9節、釜石シーウェイブス(SW)RFC対三重ホンダヒート戦は2日、釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムで行われた。格上・三重との2戦目をホームで迎えた釜石。地元ファンらに勝利を―と果敢に挑んだが、17-18(前半17-10)、1点差で惜しくも敗れた。1勝8敗勝ち点7で5位。レギュラー最終戦の10日は、同スタジアムで花園近鉄ライナーズと対戦する。

 

 前半、7点差で三重を追う釜石は36分、キックの蹴り合いから敵陣に入ると、SOブレット・キャメロンが相手2人を引きつけ、ナンバー8サム・ヘンウッドに絶妙なパス。サポートしていたフランカー河野良太にボールが渡り、三重ディフェンスを退け、走り切った河野が左中間にトライ。キャメロンのゴールも決まり、10-10と同点に追いついた。

 

前半36分、釜石SWの河野良太(中央)が追いかける三重の選手を振り切って走り抜きトライ

前半36分、釜石SWの河野良太(中央)が追いかける三重の選手を振り切って走り抜きトライ

 
釜石SWの今試合初トライを喜ぶ地元ファンら

釜石SWの今試合初トライを喜ぶ地元ファンら

 

 ロスタイムに入ると同時に、釜石は敵陣ゴール前のラインアウトから素早い攻撃。モールから河野が出したボールをヘンウッドがキャッチし、鋭く切り込んだCTBヘルダス・ファンデルボルトにパス。そのまま、抜け出したファンデルボルトがトライを決め(ゴール成功)、17-10で前半を折り返した。

 

前半40分、釜石SWのヘルダス・ファンデルボルト(中央)が勝ち越しのトライを決め逆転

前半40分、釜石SWのヘルダス・ファンデルボルト(中央)が勝ち越しのトライを決め逆転

 

 前半終了間際、ハイタックルでイエローカードが出された三重は1人少ない状態で後半のキックオフ。この間に追加点をあげたい釜石だったが、反則が多く得点まで至らない。三重は後半22分にトライ(ゴール失敗)、28分にPGを奪い、釜石は17-18と逆転を許した。

 

 最後のチャンスはロスタイム。三重のオフサイドの反則で、釜石はPGを選択。逆転勝利を狙ったキャメロンのキックは惜しくも右にそれ、ノーサイド。わずか1点差、悔しい敗戦となったが、最後まで力の限り戦った選手にスタンドから健闘をたたえる拍手が送られた。

 

ホームでの初勝利は果たせなかったが、80分間の激闘に観客から大きな拍手が送られた

ホームでの初勝利は果たせなかったが、80分間の激闘に観客から大きな拍手が送られた

 

 開幕戦では三重に24-48で敗れた釜石。接戦に持ち込んだ今回について須田康夫ヘッドコーチ(HC)は「前回の反省点を生かしてゲームを進められた。次のプレーに移動するスピードを意識して挑んだ結果」と手応えを実感。CTB小野航大主将は「勝てなかったが、ポジティブなゲームだったと思う。ただ、後半のペナルティーの多さなどは改善点。もう一度一丸となって強いチームを目指す」と次を見据えた。

 

 「けが人も戻り、ベストメンバーに近い状態になってきている。シーズンを通して選手一人一人の成長も大きい」と須田HC。初先発となったプロップ束田涼太、WTB加賀亮太郎、FB中村良真の3選手のチームへのインパクトも「しっかりやってくれた」とたたえた。

ラグビーリーグワン2部 釜石SWホーム初戦 対日野レッドドルフィンズ=12日

釜石SWホーム初戦 気迫あふれるプレーも勝利ならず 日野に7-55

ラグビーリーグワン2部 釜石SWホーム初戦 対日野レッドドルフィンズ=12日

ラグビーリーグワン2部 釜石SWホーム初戦 対日野レッドドルフィンズ=12日

 

 NTTジャパンラグビーリーグワン2部第7節。釜石シーウェイブス(SW)RFCは12日、釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムで、日野レッドドルフィンズと対戦し、7-55(前半7-17)で敗れた。1勝6敗勝ち点5で5位。前日に東日本大震災発生から11年となり、復興の象徴である同スタジアムでの今季初戦を勝利で飾ろうと奮闘したが、力及ばなかった。

 

 前半18分までに2トライ1PGで、0-17と日野にリードを許した釜石は、38分、日野のボックスキックをWTB氏家柊太がキャッチ。自陣10メートル付近から日野を振り切って一気に走り抜け、サポートした新加入のSH村上陽平にパス。村上は左サイドから回り込み、中央にトライ。SOブレット・キャメロンのゴールも決まり、7-17で前半を折り返した。

 

日野のキックをキャッチし、敵陣を目指す氏家柊太選手(左)

日野のキックをキャッチし、敵陣を目指す氏家柊太選手(左)

 

氏家選手からパスを受ける村上陽平選手。そのまま走り切りトライ

氏家選手からパスを受ける村上陽平選手。そのまま走り切りトライ

 

 後半は運動量に勝る日野が着実に得点を重ねた。釜石はゴールライン目前まで攻め込む場面もあったが、得点には結びつかなかった。釜石の2選手にイエローカードが出され、各10分間の一時退場も。悪い流れを断ち切れず、後半は無得点。7-55で試合を終えた。

 

 試合後の記者会見で釜石の須田康夫ヘッドコーチは「自分たちのペースでゲームを進められず、修正できないまま終わってしまった」。ディフェンスでの失点を抑えるために「いろいろなプレッシャーの中での我慢。ブレイクダウンの見極めが鍵」と課題を見据えた。

 

 開幕戦で負傷し、戦線から離れていた小野航大主将は、日野戦から復帰。「震災11年」の翌日、ホーム初戦と、特別な思いを持って臨んだ試合だったが、「ミスも多く、自分たちがやりたいことをできなかった」。残り3試合に向け、「自分たちがやってきたこと、仲間を信じて切り替えたい」と話した。

 

 唯一のトライを決めた村上選手は「勝利することで県民に元気を届けたかったが、かなわず残念」。今季2トライ、司令塔としても注目され、「アタックリズムの強みを全面的に出し、ゲームメークできたら」と意気込んだ。

 

強風の中1040人が観戦。両チームに熱いエールを送った

強風の中1040人が観戦。両チームに熱いエールを送った

 

 釜石SW、第8節は20日、広島市でマツダスカイアクティブズ広島と対戦する。釜石市大町の釜石PITでパブリックビューイングを予定する。

 

日野、釜石 試合前日「3・11」に釜石祈りのパーク訪問

 

東日本大震災の話を聞く日野の選手=11日午後

東日本大震災の話を聞く日野の選手=11日午後

 

 日野レッドドルフィンズの選手、スタッフら約50人は、試合前日の11日、復興スタジアム近くの震災犠牲者慰霊追悼施設「釜石祈りのパーク」を訪問。同市の被災状況などを聞いた後、釜石SWと合同で献花。地震発生時刻の午後2時46分、黙とうをささげた。

 

 震災伝承施設「いのちをつなぐ未来館」スタッフから、同パークの場所にあった鵜住居地区防災センターで多くの住民が津波の犠牲になったこと、全校避難で津波から逃れた釜石東中、鵜住居小跡地に復興スタジアムが建つことなどを聞き、震災の教訓に理解を深めた。チームとして同震災被災地で学ぶのは、日野にとって初めてのことだという。

 

sw

祈りのパークでは釜石SWと共に震災犠牲者に献花した。撮影:西条佳泰 Grafica Inc.

 

 講話後、日野、釜石両チームは同市の震災犠牲者の名前が刻まれた芳名板の前で白菊を手向けた。地震発生時刻を告げるサイレンが鳴ると一斉に黙とう。犠牲者の冥福を祈った。

 

釜石から恩返し トンガ支援へラグビー応援団がTシャツ販売

 

トンガ支援Tシャツを着用し、販売する応援団員

トンガ支援Tシャツを着用し、販売する応援団員

 

 釜石ラグビー応援団(中田義仁団長)は、1月に海底火山噴火で津波など深刻な被害を受けたトンガを支援しようと、チャリティーTシャツを作成。売上金の一部を寄付するプロジェクトを始動した。12日、釜石SWのホーム初戦が行われた釜石鵜住居復興スタジアムで販売。限定1千枚のTシャツは引き続き、釜石情報交流センター(大町)、かまいし特産店(鈴子町、シープラザ釜石内)、道の駅釜石仙人峠(甲子町)で販売する。価格は2750円(税込み)。

 

 白地の支援Tシャツは、胸元に「#PRAYforTONGA」のロゴと、トンガの国旗、同応援団のマークを刺しゅうであしらった。1枚につき1千円を寄付する。12日は、Tシャツを着用した応援団員がスタジアム内で観戦客に支援への協力を呼び掛けた。

 

Tシャツ販売ブースにはトンガに思いを寄せる人たちが集まった

Tシャツ販売ブースにはトンガに思いを寄せる人たちが集まった

 

 2011年の東日本大震災発生時、釜石SWにはトンガ出身のピタ・アラティニ選手、ルイ・ラタ選手が所属していた。救出にきた大使館職員の帰国要請を断り、自ら釜石に残った両選手は、支援物資の積み降ろしなど被災者のために力を尽くした。その後も何人ものトンガ出身選手が釜石でプレーし、市民との交流を深めた。

 

 中田団長(53)は「今度は私たちがトンガの皆さんを助ける番。多くのラグビーサポーターにとってもトンガはなじみのある国。今日も多くの人たちが協力してくれている」と感謝。さらなる支援の輪の広がりを期待した。寄せられた善意の寄付先は今後、団で相談して決める。

 

釜石SWの支援Tシャツ(右)とコラボ!!

釜石SWの支援Tシャツ(右)とコラボ!!

 

 同応援団は、ラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催のレガシー(遺産)を継承しようと、20年7月に結成。「ラグビーのまち釜石」の発信、地元開催の各種大会のボランティア運営、ラグビーを通じた内外の交流事業などを行う。

専用ヘッドマークを付け運行する「ブルズ列車」

復興祈念試合へ三鉄が応援列車運行 岩手ビッグブルズ(バスケ)とコラボ

専用ヘッドマークを付け運行する「ブルズ列車」

専用ヘッドマークを付け運行する「ブルズ列車」

 

 三陸鉄道(中村一郎社長)は、3月に釜石、宮古両市で復興祈念試合を行うプロバスケットボールチーム・岩手ビッグブルズ(水野哲志社長)を応援しようと、21日から「ブルズ列車」の運行を開始した。専用ヘッドマークを装着した列車は、3月末まで久慈―盛間を毎日運行(1日2往復程度)。東日本大震災から11年となる沿岸被災地を両社のタッグで力付ける。

 

 21日、釜石駅で出発式が行われた。中村社長は6連勝中のブルズのさらなる活躍に期待。「沿岸の皆さんにもぜひ生で試合を見てほしい。列車に乗って会場に足を運び、たくさんの応援を」と呼び掛けた。水野社長は「震災の4カ月前に発足したチームも11年が経過。常に復興を意識し活動してきた。私たちの思いを乗せた列車が走ってくれるのは感動」と喜んだ。関係者のテープカットで運行開始を祝った。

 

三陸鉄道釜石駅駅舎前で出発式が行われ、テープカットで運行開始を祝った

三陸鉄道釜石駅駅舎前で出発式が行われ、テープカットで運行開始を祝った

 

 同列車のヘッドマークには、チームの願い「三陸と共に」という言葉と復興祈念試合の日程が記される。車内には選手15人を紹介するポスターを掲示。顔写真に直筆サインとそれぞれの鉄道や電車の思い出が添えられている。

 

選手のサイン入りポスターで彩られる車内。チームカラーの赤が視線を集める

選手のサイン入りポスターで彩られる車内。チームカラーの赤が視線を集める

 

ポスターには各選手の列車の思い出が添えられる

ポスターには各選手の列車の思い出が添えられる

 

 水野社長と式に出席し、車内を初めて見学した大澤歩選手(30)は「ここで選手を覚えて、会場で実物を楽しんでは」とコラボ企画に笑顔。自身は静岡県出身で、ブルズに移籍して1年目。「復興への思いが強く、共に成長してきたチームだと感じる。3月の祈念試合は何が何でも勝つ。皆さんに勇気と希望を与えられるような試合をしたい」と意気込む。

 

列車内を見学する岩手ビッグブルズの水野哲志社長(左)と大澤歩選手

列車内を見学する岩手ビッグブルズの水野哲志社長(左)と大澤歩選手

 

 復興祈念試合は、日本プロバスケットボール男子Bリーグ3部(B3)に所属するブルズのホーム戦。3月12、13日は宮古市民総合体育館でアルティーリ千葉と、26、27日は釜石市民体育館で東京八王子ビートレインズと対戦する。試合当日、三陸鉄道を利用して会場を訪れた人には、記念缶バッジをプレゼントする。

 

三鉄に乗って会場を訪れた人にプレゼントする缶バッジ。受け取り方は後日、両社のHPで告知

三鉄に乗って会場を訪れた人にプレゼントする缶バッジ。受け取り方は後日、両社のHPで告知

 

 震災後、本県沿岸の被災地で復興祈念試合を継続してきたブルズ。釜石市では2019年12月、鵜住居町に新設された市民体育館のこけら落としで初めて試合を行った。21年2月には、震災10年を機に作成した、同市出身アーティスト小林覚さんの作品をデザインした特別ユニフォームを着用し、試合に臨んだ。今季のユニフォームにも小林さんの作品が採用されており、宮古、釜石両会場の試合で身に着ける。

小泉賞を受けた菊池梢衣さん(左)、白川愛子さん(右)と釜石市ボクシング協会の小泉嘉明会長

3年間の精進たたえるボクシング「小泉賞」 釜石高の部員2人に授与

小泉賞を受けた菊池梢衣さん(左)、白川愛子さん(右)と釜石市ボクシング協会の小泉嘉明会長

小泉賞を受けた菊池梢衣さん(左)、白川愛子さん(右)と釜石市ボクシング協会の小泉嘉明会長

 

 釜石市ボクシング協会(小泉嘉明会長)は17日、高校3年間の部活動で競技に真摯(しんし)に向き合った釜石高の3年生部員2人に「小泉賞」を贈った。中妻町の昭和園クラブハウスで行われた贈呈式には、協会と同校ボクシング部から20人が出席。女子フライ級選手として活躍した菊池梢衣さん(3年)、マネジャーとして選手を支えた白川愛子さん(同)の努力をたたえた。

 

 「小泉賞」は、肉体、精神ともに過酷なスポーツであるボクシング競技に挑み、たゆまぬ精進と学業との両立を成し遂げた高校3年生に贈るもので、1999年に創設。卒業間近の毎年この時期に贈呈式を行っている。

 

 小泉会長は「3年間ごくろうさま。これからも未来を切り開きながら進んでいって」などと声をかけ、菊池さん、白川さんに記念のトロフィーを手渡した。また、「ボクシングは自身を鍛える意味ですごく神聖なスポーツ。個人競技だが、人との結びつきが強い」とし、後輩を含め部員らに人とのつながりの大切さを伝えた。

 

釜石高ボクシング部の後輩らが見守る中、行われた「小泉賞」贈呈式

釜石高ボクシング部の後輩らが見守る中、行われた「小泉賞」贈呈式

 

トロフィーを贈り高校3年間の頑張りをたたえた

トロフィーを贈り高校3年間の頑張りをたたえた

 

 同校ボクシング部は市内唯一の高校ボクシング部で、本年度は1~3年生13人(選手9、マネジャー4)で活動。5月には同校体育館を会場に県高総体が開かれ、菊池さんは女子フライ級で3位入賞を果たした。菊池さん、白川さんは3年生として部をまとめ、後輩らの良き手本となった。

 

 菊池さんは「練習はつらかったが、コーチやOB、顧問の先生の熱心な指導のおかげで続けてこられた。18年間生きてきて一番成長できた3年間だったと思う」と感謝。個人競技から「自分に勝つということを学べた」と実感する。卒業後は東京の国際系専門学校へ進学。将来は人道支援に携わりたいと夢を描く。「これからは自立していかなければならない。いろいろな壁にぶつかると思うが、『自分ならできる』と信じて頑張っていきたい」と前を見据える。

 

厳しい練習を重ね、大きく成長した菊池梢衣さん

厳しい練習を重ね、大きく成長した菊池梢衣さん

 

練習環境を整え、選手を支えてきた白川愛子さん

練習環境を整え、選手を支えてきた白川愛子さん

 

 白川さんは「選手の役に立っているか不安に思うこともあったが、『いつもありがとう』という言葉に自分も助けられた。裏方の大変さも知ることができた」と貴重な経験を心に刻む。部活以外では表に立って活動することも多かった。「サポートしてくれる人たちへの感謝の気持ちを忘れず、これからも歩んでいきたい」。支える、支えられる双方の立場を経験し、大事な人生訓を得た。春からは横浜の大学に進学する。「ジェンダー問題や教育格差について学び、目指す教員の仕事に生かせれば」と白川さん。

 

 2人は先輩や後輩、指導者らに恵まれた3年間を「幸せだった」と振り返り、後輩部員らの今後の活躍に期待。伝統ある同部のさらなる発展を願った。

画面を見つめる釜石市民ら=釜石PIT

釜石SWの奮戦に拍手 地元でパブリックビューイング

画面を見つめる釜石市民ら=釜石PIT 

画面を見つめる釜石市民ら=釜石PIT

 

 ラグビー・リーグワン2部の釜石シーウェイブス(SW)RFCは5日、相模原ギオンスタジアム(神奈川県)で三菱重工相模原ダイナボアーズと対戦。地元釜石市ではファンらが集い、画面越しに声援を送った。試合はSWが14-68で敗れたが、最後まで挑み続ける姿に会場から、「次こそは」と期待する声が上がった。

 

 チーム主催のパブリックビューイング(PV)は今回が2回目。大町の釜石PITで約30人が255インチの大画面で観戦した。SWは相手の守備を崩せず、トライは前半の1回にとどまった。開幕から3連敗となったが、試合が終わると見守ったファンたちは拍手で奮闘をたたえた。

 

 大漁旗をモチーフにしたTシャツに身を包んで応援した鵜住居町の徳増初子さん(71)は「点は離れていたけど、選手たちは強くなっている。次こそは勝って」と願った。新型コロナウイルスの感染流行で現地に出向くのは控えたが、「みんなと一緒に応援できる場を設けてもらってありがたい」と感謝した。

 

 ■トンガ支援 チャリティーTシャツ販売

 
トンガ支援のチャリティーTシャツと募金箱=釜石PIT

トンガ支援のチャリティーTシャツと募金箱=釜石PIT

 

 PV会場の応援席では、赤色のTシャツを着たファンらの姿が目立った。海底火山の大規模噴火で津波や火山灰の被害を受けたトンガを支援しようと、SWが製作したチャリティーTシャツだ。トンガ国旗と赤地に白で「PRAY FOR TONGA」との文字をプリント。3000円で販売し、経費以外がトンガへの義援金として送られる。

 

 SWにはこれまでトンガ出身の選手が何人も在籍していた。現在、チームで主務・通訳を務めるマヘ・トゥビさんも同国出身。そして、東日本大震災時には同国から支援を受けたこともある。桜庭吉彦ゼネラルマネジャーは「困っている人に手を差し伸べる、これがラグビー精神だと思う。できるわずかなことかもしれないが、少しでもトンガの復興が進めば」と祈った。

 

 会場には募金箱も設置し、協力を呼び掛けた。この取り組みは今後も継続する予定だ。

初開催の全日本少年少女空手道選抜大会に出場する児童6人ら=12日、釜石市役所

空手全国大会へ 釜石の小学生6人、東北代表として出場

初開催の全日本少年少女空手道選抜大会に出場する児童6人ら=12日、釜石市役所

初開催の全日本少年少女空手道選抜大会に出場する児童6人ら=12日、釜石市役所

 

 初開催される第1回全日本少年少女空手道選抜大会(2月11-12日、宮城県利府町・セキスイハイムスーパーアリーナ)に、釜石市内の小学生6人が東北代表として出場する。「1位を目指す」「練習してきたことを出し切りたい」。それぞれ選手たちは全国の舞台を心待ちにしている。

 

 大会は公益財団法人全日本空手道連盟主催。組手と形の両競技で個人戦、団体戦が行われる。東北代表の一員として本県からは小学生22人が出場する。

 

 釜石からは、和道会無心会(松永秀樹代表、16人)所属の人首瑠生(ひとかべ・るい)君(釜石小6年)、照井心陽(こはる)さん(平田小5年)、大久保亜美さん(小佐野小1年)、剛柔会小斎道場鵜住居(岩﨑政夫代表、13人)に所属する川崎煌聖(こうせい)君(鵜住居小3年)、佐々木惟楓(いちか)さんと川崎結月さん(ともに同1年)が参加。6人は昨夏に行われた東北選手権大会で上位4人に入るなど好成績を残した。

 

野田武則市長に出場を報告し、抱負を伝えた=12日、釜石市役所

野田武則市長に出場を報告し、抱負を伝えた=12日、釜石市役所

 

 12日は、野田武則市長に全国大会出場を報告。大会への意欲を伝えた6人に野田市長は「皆さんの活躍に元気をもらう。万全の体調で臨み、練習の成果を生かし頑張ってほしい」と激励した。

 

和道会無心会 練習で大会へ気持ちつなぐ

 

松永代表の指導を受け、練習を重ねる(手前から)照井心陽さん、人首瑠生君、大久保亜美さん=17日、上平田ニュータウン集会所

松永代表の指導を受け、練習を重ねる(手前から)照井心陽さん、人首瑠生君、大久保亜美さん=17日、上平田ニュータウン集会所

 

 和道会無心会では週4日、稽古日を設けている。毎回参加する照井さんは「稽古が楽しい」と言い切る。これまでは形で上位入賞を果たしてきたが、選抜大会では個人、団体とも参加する競技は組手。「得意と思っていない組手でどこまでいけるか。大会までにスピード、技を磨いていく。練習してきたことを全力で発揮したい」と強い気持ちで臨む。

 

 大久保さんも組手で個人、団体に出場。テレビで見た空手選手の「かっこよさ」に憧れ、「強くなりたい」と練習を重ねてきた。支える家族によると、普段友達とは控えめに話すようだが、稽古では「気合」の声出しが「道場で1番」とのこと。抱負を聞いてみると、「頑張りたい」とはにかんだ。

 

 「小学生では最後の大会になる」と気合十分なのは人首君。新型コロナウイルス禍で開催された東北選手権大会は、家族に医療関係者がいるため参加を辞退した。今回はこれまでの各種大会でいい結果を積み重ねてきたことから選出され、団体組手で出場する。県内から選ばれた仲間と力を合わせ、「1位をとれるよう頑張る」と力を込めた。

 

技の練習、体の鍛錬につながる準備運動もしっかり取り組む=17日、上平田ニュータウン集会所

技の練習、体の鍛錬につながる準備運動もしっかり取り組む=17日、上平田ニュータウン集会所

 

 今回代表入りした3人は「練習熱心」と松永代表(59)。「どんどん練習して気持ちをつないでいくことが大事。得手不得手を決めつけず、いろんなことをやり成長してほしい」と期待する。

 

剛柔会小斎道場鵜住居 自分に恥じない戦いを

 

岩﨑代表の指導の下、練習を重ねる(手前から)佐々木惟楓さん、川崎煌聖君、川崎結月さん=14日、鵜住居地区生活応援センター

岩﨑代表の指導の下、練習を重ねる(手前から)佐々木惟楓さん、川崎煌聖君、川崎結月さん=14日、鵜住居地区生活応援センター

 

 剛柔会小斎道場鵜住居は、火、金曜日に稽古。小学生はあいさつ、座礼、基本的な形を身に付ける。選抜大会では3人とも個人形に出場する。佐々木さんは友達が空手をやっていたことから仲間入りし、ともに切磋琢磨してきた。全国大会への出場は今回が初めて。「すごくうれしい。緊張するけど、頑張ります」と笑顔を見せた。

 

 煌聖君は、東北大会小学3年の部で優勝。「全国でも1位目指す」と意気込む。ぜんそくを克服しようと3歳で始め、今では健康になったと自覚。厳しい練習と指導者の指摘を受けることで自身の成長も感じていて、「大会までにやることがある。減点をなくすよう、完璧な形にしていく」と背筋を伸ばす。

 

 そんな煌聖君の姿を追っているのが、妹の結月さん。家でも動画を見ては「(練習を)やろう」と兄を促すほど熱心だという。直接伝えることはないが、「(お兄ちゃんの存在は)心強い」とうなずく。大会に向けては「全力を出し切れるように練習する」と前を向く。

 

仲間と楽しみながらストレッチを行って心をほぐす=14日、鵜住居地区生活応援センター

仲間と楽しみながらストレッチを行って心をほぐす=14日、鵜住居地区生活応援センター

 

 「煌聖は、体は大きくないが切れがある。1年生の2人は体が柔らかい。これからで、どう伸びるか」と見守る岩﨑代表(68)。「全国には強敵がいる。どこまで頑張れるか、自分を知る機会になる。礼を第一に、恥じないような立派な戦いを」とエールを送った。

釜石PITで行われた釜石SWの出陣式。チーム一丸となった奮闘を誓った

ラグビー・釜石シーウェイブスが出陣式 「リーグワン」初戦に合わせ

釜石PITで行われた釜石SWの出陣式。チーム一丸となった奮闘を誓った

釜石PITで行われた釜石SWの出陣式。チーム一丸となった奮闘を誓った

 

 ラグビーの新リーグ「リーグワン」が開幕した。釜石シーウェイブス(SW)RFCは6チームによる2部に参戦し、あす16日にビジターで三重ホンダヒートとの初戦を迎える。これを前に12日、釜石市大町の釜石PITで出陣式を行い、決意を示した。そして、戦いに臨むチームに欠かせないのが、声援を送るファンの存在。地域一体で「ラグビーのまち」を盛り上げようと、選手やスタッフは勧誘にも熱を入れる。

 

出陣式で奮闘誓う

 

「熱い応援を力に戦う」と意気込みを語る小野主将

「熱い応援を力に戦う」と意気込みを語る小野主将

 

 坂下功正総監督や小野航大主将ら8人が参加。小野主将は「昨年6月からトレーニングを重ね、最高の準備ができている。レベルの高いリーグになると思うが、しっかりと勝ち星を重ねることでチームもレベルアップでき、シーズンを通してさらに成長していける。ファン、サポーターと喜びを分かち合えるよう、一つでも多く勝てるよう選手一丸で頑張るので熱い応援を」とアピールした。

 

 釜石SWは、東北から新リーグに参戦する唯一のチーム。坂下総監督は「釜石、岩手、東北の皆さんの声援を受け止めて前に進んでいく。グラウンドに足を運んで応援してほしい」と呼び掛けた。

 

 スポンサー企業のべアレン醸造所(盛岡市)は応援ビールを発売し、チームの活躍を後押しする。パッケージはチームカラーの赤を基調に、背景にはホーム戦が行われる「釜石鵜住居復興スタジアム(うのスタ)」をデザイン。今季のチームスローガン「REVIVE(リバイブ=よみがえる、復活などの意味を持つ)」を前面にあしらった。数量限定(1万4000本)で販売。県内のスーパーなどに陳列されていて、同社の嶌田洋一専務は「すっきりとした味わいに仕上がった。観戦のお供に」と強調した。

 

釜石SW「応援ビール」をPRするべアレンの嶌田さん(右)、オフィシャルサポーターの葛巻さん

釜石SW「応援ビール」をPRするべアレンの嶌田さん(右)、オフィシャルサポーターの葛巻さん

 

 チームやスタジアムでの戦いを盛り上げるオフィシャルサポーターには、県内を中心にモデル・タレント・MCとして活躍する葛巻舞香さんが就任。「選手が前に向かって走っていけるよう、ファンとワンチームで応援したい」と力を込めた。

 

 釜石SWは、4月10日までホストとビジターで計10試合を行う。うのスタでのホーム戦は3月5日が皮切り。4試合が予定される。

 

「共に戦うファンに」入会を呼びかけ

 

県釜石地区合同庁舎で行ったファンクラブ入会への呼びかけ

県釜石地区合同庁舎で行ったファンクラブ入会への呼びかけ

 

 地域型クラブチームとして運営されている釜石SW。活動費を地域企業の支援やファンクラブ会員の会費でまかなっている。東日本大震災前に約3800人いた会員は震災後に減少。さらに、ここ数年はコロナ禍で対面での勧誘ができなかったため、現在は約半分の1700人弱になっている。

 

 より地域に密着し地元に愛されることを目指して、入会の呼びかけを強化。県沿岸広域振興局の協力を得て、5日にプロップの牛窪心希(しんき)選手(24)らが新町の県釜石地区合同庁舎で県職員らにアピールした。

 

 お昼休みに合わせて行い、約1時間の活動で30人が新規入会、会員更新をした。「いつも遅くまで練習しているね。心を動かす試合、期待してるよ」と声をかけたのは、沿岸振興局企画推進課の大釜範之課長(54)。野球、サッカー、バスケットボールなど最近、岩手のプロスポーツ界は明るい話題が続いていて、「ラグビーも」と熱視線を送る。

 

記念撮影に応じる牛窪選手(左)。入会した職員らの応援を力にした

記念撮影に応じる牛窪選手(左)。入会した職員らの応援を力にした

 

 記念撮影にも応じた牛窪選手は「頑張れ―とチームに期待する声をじかに聞くことができ、力をもらった」と目を見張った。今季、ニュージーランド代表として活躍した経験を持つ選手らが加入し、その高いスキルがチーム全体にいい刺激をもたらしていると手応えを実感。「倒されても立ち上がる姿を見に来てほしい」と意気込んだ。

 

 SWのホームページからも入会の申し込みができる。会員種別は「ゴールド」「クリスタル」「ファミリー」「スペシャル」の4種。年会費2000円~5万円で、カレンダーや優待券など特典が異なる。

スポーツ推進委員功労者表彰を受けた吉田千秋さん(右)

スポーツ振興に尽力33年 吉田千秋さん大臣表彰 市で伝達式

スポーツ推進委員功労者表彰を受けた吉田千秋さん(右)

スポーツ推進委員功労者表彰を受けた吉田千秋さん(右)

 

 地域のスポーツ振興に尽力したとして釜石市小佐野町の吉田千秋さん(71)が13日、スポーツ推進委員功労者表彰(文部科学大臣表彰)を受けた。新型コロナウイルスの影響で表彰式が中止になったことから、野田武則市長から表彰状を受け取った。吉田さんは「33年間の活動が評価されて光栄。仲間や関係者の協力あってこその受賞。体を動かしたり、人と交流することが好きで、委員の活動も楽しみながら続けられる」と喜びを語った。

 

 スポーツ推進委員は、全国の市町村においてスポーツ振興や普及のために住民に対して実技の指導や大会・イベントの準備などを行う行政から委託を受けた非常勤職員。1957年の開始時は「体育指導員」と呼ばれていたが、2011年から「スポーツ推進委員」に名称が変更された。市内では21人が地区ごとに活動。スポーツチャンバラ、スカットボール、安全吹き矢、ボッチャなどニュースポーツの普及、学校PTA行事での指導に取り組んでいる。

 

 同表彰は、長年の功績が顕著な人を文部科学省が表彰するもの。今年は全国で84人が表彰され、県内では吉田さんが唯一の受賞者となった。

 

双葉小で子どもたちに「ボッチャ」の面白さを紹介する吉田さん=2021年2月、釜石市スポーツ推進課提供

双葉小で子どもたちに「ボッチャ」の面白さを紹介する吉田さん=2021年2月、釜石市スポーツ推進課提供

 

甲子公民館で行われた「ボッチャ」の体験会では高齢者の活動を見守った=2021年3月、釜石市スポーツ推進課提供

甲子公民館で行われた「ボッチャ」の体験会では高齢者の活動を見守った=2021年3月、釜石市スポーツ推進課提供

 

 吉田さんは、1988年から同委員として活動。2010年からは同委員協議会の会長を務める。社会人時代にバスケットボールの選手、監督として活躍したことから、同競技の普及に取り組み、今年3月まで市バスケットボール協会副会長として競技人口の拡大や後継者育成に貢献。社会人を対象としたナイターバスケットボールの創設に関わり、連盟会長として現在も運営に尽力する。

 

 スポーツを通じた健康づくりをより頑張りたいと意気込む吉田さん。「みんなで楽しむスポーツの普及が一番大事。外に出て、おしゃべりも楽しみながら健康寿命を延ばすような取り組みを続け、コミュニティーづくりにつなげたい」と思い描いている。

全国ジュニアソフトテニス大会に出場する白石恋菜さん(中央左)と佐野琴美さん(同右)

ソフトテニス 白石恋菜、佐野琴美ペア(甲子小5年) 念願の全国大会出場へ

全国ジュニアソフトテニス大会に出場する白石恋菜さん(中央左)と佐野琴美さん(同右)

全国ジュニアソフトテニス大会に出場する白石恋菜さん(中央左)と佐野琴美さん(同右)

 

 釜石市の甲子ソフトテニスクラブ(吉田智代表、25人)に所属する甲子小5年の白石恋菜さん、佐野琴美さんペアが、24日から埼玉県熊谷市で開催される「第20回KENKO CUP(ケンコーカップ)全国ジュニアソフトテニス大会」に本県選抜チームの一員として出場する。昨年来の新型コロナウイルス禍で練習環境に制約があった中でも、飛躍的な成長を遂げている2人。初めて挑む全国の舞台に「仲間と協力して全力を尽くしたい」と意気込む。

 

 同大会には本県から小学5、6年生の9ペアが出場する。白石、佐野ペアは5年生が対象の選抜Bチーム(3ペア)に選ばれた。選考は本年度の県大会の成績を基にしたポイント制で実施された。2大会(5年の部)で優勝、準優勝を果たすなどした2人は、ポイント2位でBチームでの出場が決まった。

 

 1日は、野田武則市長に全国大会出場を報告。大会への意気込みを示した2人に野田市長は「よくぞ、ここまで頑張ってきた。全力を尽くし、悔いのない試合をしてほしい。釜石から応援している」と激励した。

 

野田武則市長に全国大会出場決定を報告=1日

野田武則市長に全国大会出場決定を報告=1日

 

 ソフトテニスをやっている姉(共に現甲子中3年)の姿に憧れ、小学1年生から競技を始めた2人。持ち前の素直さで教えられたことをどんどん吸収し、着実に力をつけてきた。昨年度は秋に行われた全日本小学生大会県予選(4年生以下の部)で準優勝。全国大会出場権を得たが、新型コロナ感染拡大の影響で大会規模が縮小され、出場はかなわなかった。

 

 コロナ禍2年目の本年度も夏前まで十分な練習ができなかったが、秋以降、通常の土・日曜練習に加え、平日夜の練習が可能となり、「見違えるほど力をつけてきた(吉田代表)」という。白石さんは「どんどん攻めるタイプ」、佐野さんは「コースを丁寧に狙っていくタイプ」で、攻撃のバリエーションが広がる。この1年で返球やサーブの精度も向上。一緒に練習する中学生とも対等に打ち合える成長ぶりを見せる。

 

力強いストロークで積極的に打ち込む攻撃が持ち味の白石恋菜さん

力強いストロークで積極的に打ち込む攻撃が持ち味の白石恋菜さん

 

相手の弱点を突くコースを狙って打つのが得意な佐野琴美さん

相手の弱点を突くコースを狙って打つのが得意な佐野琴美さん

 

全国大会に向け、平日夜も練習を重ねる=14日、甲子中体育館

全国大会に向け、平日夜も練習を重ねる=14日、甲子中体育館

 

 選抜チームに選ばれた時は、「驚きと共にすごくうれしかった」と2人。佐野さんは「自分たちがそこまで強くなっていると思わなくて。練習の成果を大会でしっかり出せていたんだなと実感した」。白石さんは「去年なら返せなかったボールにも追いつけるようになった。相手の動きを見て判断できるようにもなってきた」と進化を口にする。全国大会を楽しみにし、「団体戦なので仲間と協力し、勝ち上がっていけるよう頑張りたい。互いに声を掛け合い、チームを盛り上げていければ」と口をそろえる。

 

 

大会を楽しみに、さらなるレベルアップを目指す

大会を楽しみに、さらなるレベルアップを目指す

 

 競技未経験ながら自らラケットを握り、2人の練習を支える白石さんの父明伸さん(40)と佐野さんの父龍一さん(38)は「ランクが上の選手ばかりだと思うが、気負わず、挑戦者として大会を楽しんできてほしい。今の自分たちの力を全部出し切ってもらえれば」と願う。指導する吉田代表(53)は「自分たちが満足するプレーをしてくれるのが一番。岩手トップレベルの選手とも交流でき、視野を広げられる機会。この経験を来年度につなげてほしい」と期待する。

 

クラブの吉田智代表(左)の指導の下、中学生と一緒に練習に励む

クラブの吉田智代表(左)の指導の下、中学生と一緒に練習に励む

 

 大会は小学生男女の団体戦。24日に開会式が行われ、競技は25日に予選リーグ、26日に決勝トーナメントが行われる。

釜石市野球協会 2021年度表彰式=4日

釜石市野球協会 今季の活躍、長年の功労で学童選手、故監督2人を表彰

釜石市野球協会 2021年度表彰式=4日

釜石市野球協会 2021年度表彰式=4日

 

 釜石市野球協会(福成和幸会長)は4日、2021年度のシーズン終了にあたり、市内のホテルで表彰式を行った。協会登録チームの代表など23人が出席。各種大会の結果が報告され、顕著な活躍を見せた学童1選手を特別表彰。社会人チームの監督を長年務め、社会福祉にも貢献した1故人に感謝状を贈った。

 

 特別表彰を受けたのは、野球スポーツ少年団「釜石ファイターズ」に所属する唐丹小6年の柏海埼(みさき)君。2県大会で、いずれもフェンスオーバーの3本塁打(ツーラン1、ソロ2)を放つ快挙を見せ、「年間3本塁打賞」を受賞した。投手、捕手としてもチームの主力を担う柏君。表彰式当日は宮城県への遠征試合と重なったため、代理出席した祖父の信太郎さん(77)が表彰状を受け取った。

 

特別表彰を受けた柏海埼君(唐丹小6年)の代理で出席した祖父の信太郎さん(左)

特別表彰を受けた柏海埼君(唐丹小6年)の代理で出席した祖父の信太郎さん(左)

 

 協会への功労などで感謝状を贈られたのは、一般(C級)、OB(壮年)、早起き野球の3チームを擁する「ヨーカクラブ」の監督を務め、本年8月に急逝した佐野一男さん(享年75)。佐野さんは釜石早起き野球リーグへの参加チームとして同クラブを立ち上げ、後にリーグ会長に就任。1998年から福祉貢献を目的に、同リーグ主催で夏の「チャリティーナイター野球」を開催した。会場で寄せられる募金や成人選手のエラーなどに課す罰金ルールで集まった善意を市社会福祉協議会の「まごころ福祉基金」に寄付を続け、2013年には総額100万円を超えた。

 

2011年11月、チャリティーナイター野球の募金を市社協に届けた佐野一男さん(前列左)

2011年11月、チャリティーナイター野球の募金を市社協に届けた佐野一男さん(前列左)

 
震災から5カ月後(11年8月)に行われたチャリティーナイターで野球を楽しむ少年ら

震災から5カ月後(11年8月)に行われたチャリティーナイターで野球を楽しむ少年ら

 

 佐野さんに代わり感謝状を受け取った同クラブ主将の佐々木博貴さん(43)は「監督は、おやじのような存在。チーム内では厳しく、『野球に対する礼儀は絶対に守らないといけない。きれいな野球を』と常に言っていた」と明かし、今後も“佐野野球”の教えを守り抜くことを誓った。

 

 表彰に先立ちあいさつした福成会長は「この10年で野球人口は急激に減少している。根本にあるのは、やはり少子化。小中高は合併チームでの大会出場が増え、今後、社会人チームも減っていく可能性が高い」と指摘。釜石市協会の本年度登録チーム数は、一般10、OB2、中学校3、学童(スポ少)2だった。

 

表彰式で受賞者をたたえる協会登録チームの代表

表彰式で受賞者をたたえる協会登録チームの代表

 

 市内の学童野球は2011年には地区単位で12チームあったが、年々、団員確保が難しくなる状況を見越し、数年前から2チームに集約。浜町から甲子町、唐丹町までをエリアとする釜石ファイターズは、地区ごとの普段の練習と定期的な合同練習の両輪で大会出場を維持する。中学校も近年は1校単独でのチーム編成が難しくなり、2校合同チームでの大会出場が目立つ。協会の下村恵寿理事長は「野球をやりたい子どもたちのためにさまざまな工夫が必要。厳しい状況だが協会としても力を尽くし、釜石の野球を何とか盛り上げていきたい」と意気込む。

ラグビッグドリーム「絆マッチ」で全力プレーを見せる釜石(赤)と静岡の中学生

震災10年 ラグビーの絆を後世に ラグビッグドリームで子どもたち交流

ラグビッグドリーム「絆マッチ」で全力プレーを見せる釜石(赤)と静岡の中学生

ラグビッグドリーム「絆マッチ」で全力プレーを見せる釜石(赤)と静岡の中学生

 

 「ラグビッグドリーム2021with釜石絆の日」は11月28日、釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムで開かれた。釜石ラグビッグドリーム実行委(小笠原順一会長)、釜石ラグビー応援団(中田義仁会長)が主催し、中高生の試合や小学生のラグビークリニックを開催。東日本大震災からの復興が進んだラグビーの聖地・釜石で、子どもたちが仲間との絆を深め、未来への夢や希望を育んだ。

 

 クリニックには県内外のジュニアチームから約100人が参加。スペシャルアドバイザーにワールドカップ(W杯)元日本代表の伊藤剛臣さん(釜石シーウェイブスRFCアンバサダー)、五郎丸歩さん、廣瀬俊朗さん、女子ラグビーでリオデジャネイロ五輪出場の桑井亜乃さん、日本代表9キャップの平野恵里子さん(大槌町出身、釜石高卒)を招き、学年ごと3グループで指導を行った。低・中学年は遊びの要素を取り入れながら、ラグビーの基本動作や練習メニューを体験。高学年は試合形式の練習をし、仲間やアドバイザーと交流を深めた。

 

廣瀬俊朗さん、平野恵里子さんとゲームなどを楽しむ小学3・4年生

廣瀬俊朗さん、平野恵里子さんとゲームなどを楽しむ小学3・4年生

 

五郎丸歩さん(中央)が見守る中、試合形式で行われた5・6年生のラグビークリニック

五郎丸歩さん(中央)が見守る中、試合形式で行われた5・6年生のラグビークリニック

 

 釜石シーウェイブス(SW)ジュニアの小野鳳君(平田小6年)、畠山一気君(階上小同)は「貴重な機会。日本代表(経験者)に会えることは少ないので楽しかった」と感激の表情。キャプテンの佐々木璃音さん(甲子小6年)は「今までできていなかった基本を確認できた。中学生になってもアカデミーでラグビーを続ける。平野選手のように、いつか私も世界(の舞台)で輝ける選手になりたい」と夢を描いた。

 

 「絆マッチ」と題した中学生の試合は、静岡ブルーレヴズラグビースクールと釜石SWアカデミーが対戦した。静岡ブルーレヴズ(前ヤマハ発動機ジュビロ)は2011年、震災から3か月後の6月に釜石市を訪問。被災者のための復興支援活動に奮闘し、被災後初めて試合を行う釜石SWと対戦した。両チームの姿は市民に復興への力を与え、19年のラグビーW杯日本大会釜石誘致という一大目標を掲げる足掛かりとなった。以来、18年8月の同スタジアムオープニングイベントでの記念試合など交流が続く。

 

釜石シーウェイブスアカデミーと静岡ブルーレヴズラグビースクールの一戦

釜石シーウェイブスアカデミーと静岡ブルーレヴズラグビースクールの一戦

 

ゴール前の攻防を抜け出し、釜石がトライ=後半

ゴール前の攻防を抜け出し、釜石がトライ=後半

 

 世代を超え、受け継がれるラグビーの絆。静岡と釜石の中学生はW杯のレガシーが残るスタジアムで持てる力を発揮し、10年後の再対戦を夢見てさらなる精進を誓い合った。中学生の試合の前には、釜石・大船渡の3高校、宮古の2高校がそれぞれ結成した合同チームによる交流マッチも行われた。

 

 11年の交流試合以降、毎年釜石に足を運んできた五郎丸さんは、スタジアム周辺の景色の変遷に10年という復興の歩みの重さを実感。台風の影響で中止されたW杯カナダ対ナミビア戦について、「いつかこの地で実現することを1ラグビー人として願う」。釜石の子どもたちにも思いを寄せ、「この鵜住居から成長した選手が桜のジャージーを着て戦う姿を見てみたい」と期待を込めた。

 

クリニックで小学生にアドバイスする五郎丸さん

クリニックで小学生にアドバイスする五郎丸さん

 

 平野さんは「W杯の成功は子どもたちの力による部分も大きい。間近で見ていることは貴重な経験。ラグビーで培われてきた歴史あるまち釜石に誇りを持ち、これからも胸を張って競技を楽しんでほしい」と願った。

 

 W杯日本大会出場20カ国を各国の国歌でもてなすプロジェクト「スクラムユニゾン」を主導した廣瀬さん(元日本代表キャプテン)はメンバー2人と来釜。絆マッチの前後に、日本と次回W杯開催地フランスの国歌を歌った。「ずっと来たかった釜石」への訪問を喜ぶ廣瀬さんは「W杯で釜石は世界から注目を集めた。ラグビーが根付くこの土地をみんなで支え合い、未来につないでいければ」と協力に意欲を示した。

 

 

 今回のイベントは、市内の小中学生がW杯を記念して定めた9月25日の「絆の日」に合わせて開催予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、この日に延期された。