釜石駅前広場で開かれた春まつりで旬の味を楽しむ家族連れ
かまいし春まつり(釜石観光物産協会主催)は3、4の両日、釜石市鈴子町の釜石駅前広場で開かれた。5月の大型連休期間に合わせ、観光客をもてなそうと実施しているイベント。家族連れらが足を運んで、食と伝統芸能などのステージ発表でまちの魅力に触れた。
広場には焼き鳥や団子などを販売する事業者がブースを並べたほか、台湾や韓国の料理、スイーツなどを提供するキッチンカーも出店した。鵜住居町根浜の「松坂商店」は食べやすく輪切りにしたイカ焼きなどを売り出し、海のまちをPR。調理に腕を振り、「いらっしゃい」との呼び込みも担当した佐々木晴人さん(59)は「売れるかどうかはそのとき次第。参加することに意義がある。人とコミュニケーションをとるのが好きだから」と楽しんでいた。
元気な呼び込み、自慢の味で来場者をもてなす出店者
並んだキッチンカーで、目当ての味を買い求める人たち
釜石産めかぶ汁の無料お振る舞い(各日とも200食限定)もあり、人気を集めた。3日に足を運んだ青森県八戸市の西園彩叶(あやか)さん(吹上小6年)、母厚子さん(46)は「ネバネバしておいしかった。みそ汁の具材としてもいけるんだね」と発見。父勝晃さん(46)は釜石初訪問に「街がきれい。震災からの復興を感じた」と印象を話した。転勤族というが、東北への赴任は初めてで、三陸道などを利用した東北巡りを実践中。「食、自然、人との出会いを満喫したい」と笑った。
長い列ができた釜石産めかぶ汁のお振る舞い
めかぶ汁をそっと手渡し、あたたかい触れ合いも
ステージイベントも盛況だった。女形舞踊で市内外のデイサービス利用者らを楽しませている尚玉泉(本名・鹿野正治)さんは、あでやかな舞を披露。顔なじみの市民らも駆け付け、手拍子したり、うちわを振ったりして盛り上がった。釜石出身の民謡歌手佐野よりこさんも登場。その伸びやかな歌声に合わせ、観客らも口ずさんだりしていた。
女形舞踊などが披露されたステージイベントを楽しむ観客
イベントは、JR釜石線を走る観光列車「SL銀河」の盛り上げと運行への感謝も込めて企画する。地元の芸能や食を楽しむ様子を満足そうに見つめていたのは、同協会の和田利男事務局長(66)。だた、SL銀河は今季がラストとなり、持続可能な観光戦略を模索する必要性を感じている。世界遺産・橋野鉄鉱山、鉄の歴史、虎舞といった民俗芸能などの知られている「お宝」だけでなく、「巨木・古木、滝などの自然にスポットを当て、電動自転車などで域内を巡ってもらうグリーンスローモビリティなどの取り組みを試行していきたい」と先を見据えた。
ラストシーズンのSL銀河。大型連休期間中も多くの人が釜石にやってきた