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「第2回 かまいし百円市」の出店者を募集します

「第2回 かまいし百円市」の出店者を募集します

「第2回 かまいし百円市」の出店者を募集します
 
釜石まちづくり(株)では、2022年12月4日(日)に「第2回かまいし百円市」を開催します。販売商品を全て100円とするフリーマーケットやバザーのような形態で、“100円均一フリマ”と言ったイメージです。
 
例えばこのような商品の出品を想定しています・・・
リユース可能な子供用品、持て余してしまったお中元や引き出物の中身、まだまだ使えるおもちゃ、ダブったガチャガチャ、ちょっとしたコレクションアイテム、端数が残ってしまったパック商品、かつての趣味の名残、ハンドメイドグッズに変身する素材たち、野菜やお菓子・・
・・などなど、価格を100円として頂ければ、一部の取扱い禁止商品以外は何でもOKです。
 
全て100円ということで、出店される皆様にとっては大きな販売益には繋がりにくいかもしれませんが、以下のような点に意義を見出して下さる皆様のご出店を募集いたします。
・リユースの促進による社会活動的意義
・みんなで出店する楽しさ
・街の賑わいの場づくり など
 
初回はプレ開催のため、狭い範囲の口コミでの参加募集でしたが、2回目以降は広く参加を募集します(当面は、釜石市内にお住まいの方、及び釜石市内で活動する団体やグループに限定)。
各種サークル活動などのグループをはじめ、社会福祉法人やNPO等の社会活動団体、町内会やクラブ・少年団活動等の地域活動の一環として、学校や幼稚園・PTAや保護者会の催しとしてなど、皆様のご出店をお待ちしています。
 

開催概要

日 時: 2022年12月4日(日)10:30~14:00
場 所: 釜石市民ホールTETTO・ホール前広場
主 催: 釜石まちづくり(株)
キャッチコピー: 「100円握ってお宝さがし!」

出店の基本情報

◎全ての商品を100円(税込)で販売すること
※この基本ルールを遵守頂けない場合は当日でも出店中止となりますのでご注意下さい
◎ 50個以上の商品をご用意頂けること(多い分には大歓迎!)
◎ 開催日時点での新型コロナの状況に応じた対策にご協力頂けること
◎「出店について」の要件を遵守頂けること
・参加可能枠を超えるご応募があった際は抽選とさせて頂きます
・チャリティ活動(売上は○○へ寄付、○○を支援、教育や社会福祉活動資金に充当)が
伴う場合は、条件により別枠での出店が可能ですのでご相談下さい
・今後、「五百円市」や「千円市」の実施も検討しています(日時等は未定)

出店について

◆物品の販売以外のサービスを商品として提供することはできません
(マッサージ、ヘアカット、診断、占いなど ※縁日等に類するものや主催者が要請したものは除く)
◆出店料は1,000円となります
◆出店スペースの広さは、幅2~2.5m×奥行1.5~2mを目安に調整させて頂きます
また、販売台、シート、釣銭等は各自でご準備下さい(主催者による両替には限りがあります)
◆会場は屋外となりますので、各自で出店時の寒さ対策をお願いします
◆出店者には、釜石大町駐車場の24時間駐車券(通常800円)を500円にて斡旋いたします
(団体の場合は駐車台数分の購入OK)
◆ペット等を同伴しての出店は禁止です(介助犬等を除く)
◆火器の使用や発電機の持込みは禁止です

取扱い禁止商品

以下の商品の取扱い及び取引は禁止といたします
生鮮食品など衛生管理上好ましくない物、その場で調理提供する飲食品、ペット等の生き物、
偽造品や盗品など法律に抵触する商品、受発注や目録を介しての後日取引を前提とした商品、
取扱い資格の必要な危険物や薬品(有資格者でも不可)、公序良俗に反する物、大量の火薬類、
再販売やオークション等への出品を前提とした取引
※大量の酒類を取り扱う場合は事前にご相談ください
※この他、主催者が不適切と判断した商品については取扱いを中止頂く場合があります

新型コロナウイルス感染症対策について

出店及びご来場にあたり、手指の消毒・距離の確保・過度な密集の解消・状況に応じたマスク着用など、各開催日の時点で行政や各種機関が指示及び推奨する対策に準じて頂くほか、主催者や施設の判断による感染症予防策を要請する場合があります。

出店の申し込み方法

出店に関しての各種事項(開催概要、基本条件、出店について、取扱い禁止商品、コロナ対策)を必ずご確認・ご理解のうえ、下記の出店申込書を記入して釜石まちづくり(株)までお申込み下さい。
 
・釜石まちづくり(株)の社員によるご紹介やご案内による場合は直接担当社員まで
・それ以外の場合は、釜石まちづくり(株)FAX <0193-27-8331>
申込み締切 2022年11月18日(金)
 
問合せ等については、同様に担当社員にご連絡いただくか、
釜石まちづくり(株)TEL <0193-22-3607> までお願いします。

出店概要&申込書

PDF版(913KB)
「第2回 かまいし百円市」の出店概要&申込書
 
Word版(32KB)
「第2回 かまいし百円市」の出店概要&申込書

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育て!根浜由来の植物 釜石東中生7種を植栽 震災前の海岸風景復活へ活動5年目

釜石東中2年生による海浜植物の移植作業=根浜

釜石東中2年生による海浜植物の移植作業=根浜

 
 東日本大震災の津波で多くの海浜植物が失われた釜石市鵜住居町の根浜海岸。地域に親しまれたかつての風景を取り戻そうと、地元の釜石東中(佃拓生校長、生徒102人)は、同海岸由来の植物を種から育て現地に植え戻す活動を2018年から継続する。5年目を迎えた今年も、生徒たちが大切に育てた苗を移植。息の長い活動で根浜の原風景復活を目指す。
 
 同校は、震災後の海辺環境再生へ官民で取り組む根浜海岸林再生実行委(前川昭七会長)と連携し、総合的な学習の一環として同活動をスタートさせた。毎年春に同海岸について学ぶ座学、種まきから始め、夏に移植地の清掃など環境整備、秋には育てた苗の植栽を行っている。
 
 種まきと苗の育成、移植に取り組むのは2年生。今年は5月にハマヒルガオ、ハマエンドウ、ハマボウフウの種をまき、水やりや日光管理を行いながら成長を促してきた。移植は10月26日に実施。生徒26人が地元の協力者らと作業にあたった。移植場所は防潮堤沿いに連なるマツ林の海側スペース。同所には16年に県の事業で砂が投入されている。この日は、講師を務める県立大総合政策学部の島田直明教授(植生学、景観生態学)らが育てたケカモノハシ、コウボウムギなど4種も合わせて移植。生徒らは雑草を刈り取った後、地面に穴を掘り、計約250株を植え付けた。
 
生徒たちは移植場所の雑草取りから作業開始

生徒たちは移植場所の雑草取りから作業開始

 
苗を植えるための穴を掘る。力のいる作業

苗を植えるための穴を掘る。力のいる作業

 
育苗ポットから取り出した苗を砂地に移植

育苗ポットから取り出した苗を砂地に移植

 
 学級会長の小笠原颯真君は「学習を始める前は知らなかった珍しい植物ばかり。根浜の名物になるぐらい、たくさん生えて育ってほしい。ハマナスとかきれいな花も見られるので、もっとみんなに愛されるような海岸になったらうれしい」と未来の姿を思い描く。
 
 根浜海岸の砂浜とマツ林周辺には震災前、10数種の海浜植物が見られたが、津波で砂浜の半分以上が流失。マツ林は残ったが、植物の数は激減した。種を取り苗を育成して植え戻す活動は地元住民らが始め、支援者の協力で続けられてきた。この活動に中学生が加わり、学校ぐるみで取り組みが進むことについて、島田教授は「自分たちが住む地域への愛着にもつながるのでは。中学生の活動によって、地域の人たちが根浜海岸の希少価値を再認識し、大事にしたいと思ってくれたら」と期待を込める。
 
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 釜石東中生が植栽を続ける約100メートルの区間では、これまでに植えた苗が着実に根付いている。今後はさらに効率的に増やせるよう工夫しながら取り組んでいくという。

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ご褒美は太平洋を望む絶景 御箱崎「ゆったりウオーキング」 釜石・甲子公民館企画

箱崎半島を散策した「ゆったりウオーキング」の参加者ら

箱崎半島を散策した「ゆったりウオーキング」の参加者ら

 
 釜石市甲子町の甲子公民館(佐々木利光館長)が行う健康づくり事業「ゆったりウオーキング」が10月21日、同市北東部の箱崎半島で行われた。東北自然歩道「新・奥の細道」コースにもなっている散策路を50~80代の10人が歩き、太古の地球活動から生まれた大自然を堪能。健康で歩ける喜び、郷土が誇る景観の素晴らしさを体感し、思い出を心に刻んだ。
 
 同館が年6回シリーズで開催するウオーキング企画の本年度5回目。箱崎半島のコースは今回が初めての選定となった。箱崎町白浜地区集落を経て、スタート地点の大沢遺跡駐車場までは車両で移動。講師を務める蓮見純子さん(健康運動実践指導者)の案内で、午前9時55分、入り口の赤鳥居をくぐって出発した。目的地の半島突端、御箱崎灯台までは片道約3.9キロ。散策路はアップダウンが続く険しいコース。一行は樹木が生い茂る森の景色も楽しみながら、無理のない速度で歩みを進めた。
 
大沢遺跡駐車場から半島先端部を目指して出発

大沢遺跡駐車場から半島先端部を目指して出発

 
緑に囲まれた散策路をゆっくりと進む

緑に囲まれた散策路をゆっくりと進む

 
勾配のきつい坂道はトレッキングポールを利用して体への負担を軽減

勾配のきつい坂道はトレッキングポールを利用して体への負担を軽減

 
 半島の先端が近づいてくると、木々の間から右手に釜石湾、左手に大槌湾が見え隠れ。普段、見ることのない角度からの三陸の景色に参加者は感激の声を上げた。スタートから約1時間20分で、東屋とトイレがあるポイントに到着。休憩後、最終目的地を目指した。灯台までの道のりには、地元住民が漁業繁栄や家内安全を祈願する御箱崎神社があり、古い石碑群や複数の赤鳥居が地域信仰の奥深さを感じさせた。一行は鐘を鳴らして参拝した。
 
半島の北側は大槌湾から山田湾を眺望できる

半島の北側は大槌湾から山田湾を眺望できる

 
複数の赤い鳥居が目を引く御箱崎神社。参加者はほこらの前で参拝(左下写真)

複数の赤い鳥居が目を引く御箱崎神社。参加者はほこらの前で参拝(左下写真)

 
箱崎白浜出身の佐々木利光館長(左)からは地元住民ならではの話も聞けた

箱崎白浜出身の佐々木利光館長(左)からは地元住民ならではの話も聞けた

 
 灯台に到着すると、目の前には太平洋の絶景が広がった。リアス海岸の地形で陸地側に深く入り込んだ湾風景を見慣れている釜石市民にとって、視界いっぱいに広がる長大な水平線は新鮮な光景。沖を航行する船舶も見られ、参加者は盛んにスマホカメラのシャッターを切った。
 
半島の突端にそびえる御箱崎灯台。目の前には外洋の壮大な景色が広がる(左上写真)

半島の突端にそびえる御箱崎灯台。目の前には外洋の壮大な景色が広がる(左上写真)

 
水平線をバックに記念撮影。灯台までの完歩に参加者は充実の笑顔!

水平線をバックに記念撮影。灯台までの完歩に参加者は充実の笑顔!

 
 半島先端部南側には断崖を下った先に、同市が誇る景勝地「千畳敷」が広がる。約1億2千万年前、地中から上昇したマグマが冷え固まって花こう岩を形成。長い年月をかけて波の浸食を受け、現在のような荒々しい岩場が生み出されたとされる。同所は三陸ジオパークのジオサイトの一つにもなっている。散策路からは崖伝いに急峻、極狭の遊歩道があるが、下りるには十分な注意が必要。今回は参加者の安全を考慮して、上から眺める形にした。
 
巨大な岩、荒々しい岩肌が独特の景色を生み出している「千畳敷」

巨大な岩、荒々しい岩肌が独特の景色を生み出している「千畳敷」

 
長年の波の浸食で奇妙な形状に削られた花こう岩

長年の波の浸食で奇妙な形状に削られた花こう岩

 
天候によってさまざまな色合いを見せる千畳敷周辺の海

天候によってさまざまな色合いを見せる千畳敷周辺の海

 
 千畳敷から南東方向には、国の天然記念物に指定されている無人島「三貫島」が見える。市の鳥「オオミズナギドリ」の繁殖地で、市の木「タブノキ」に覆われる同市を象徴する島。参加者は見どころ満載の自然景観を存分に満喫し、昼食をはさんで往復約7.8キロを歩き抜いた。
 
千畳敷から望む「三貫島」(写真赤丸部分)

千畳敷から望む「三貫島」(写真赤丸部分)

 
 「誰かの力を借りないと来られない場所。すごく興味があり、一度来てみたかった」と谷藤敦子さん(79)。目の前に広がる大パノラマに、「おおらかな気持ちになり、思い切り空気を吸いたくなる。今日はばっちり見える眼鏡もかけてきた」と満面の笑み。土を踏みしめて歩くという街中ではできない体験も喜び、「これも健康だからできること。今、こうして歩けていることが一番の幸せ」とありがたさをかみしめた。
 
 今回の参加者の中で最高齢は永須由美子さん(83)。初めて訪れた箱崎半島に、「今まで歩いた中でもきついコース。距離も長いし。でも頑張って歩いた」と充実の表情。会話し、景色を見ながら歩くのが何よりの楽しみといい、同ウオーキング企画への参加を続ける。10年ほど前から意識的に歩くようになり、普段は自宅周辺を1時間ほど歩くのが日課。この日の帰路では他の参加者より一足早くゴールし、仲間を驚かせた。
 
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 講師の蓮見さんは市内3公民館で健康づくりのための体操指導などを行い、ウオーキングにも力を入れる。「歩かないと歩けなくなる。動かないと動けなくなる」をモットーに、認知症予防にもつながるウオーキングを高齢者らを中心に勧める。「箱崎半島にはいつかみんなを連れてきたいと思っていた。念願がかないうれしい。見どころいっぱいのコースはまだまだたくさんある。時には遠出しながら歩く楽しみ、脚を動かす大切さを伝えていければ」と話した。

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新園舎の完成祈願 小佐野保育園(釜石)で上棟式 祝いの風習・餅まきに園児ら大喜び

園の関係者と施工業者が屋根に上って餅まきし安全祈願

園の関係者と施工業者が屋根に上って餅まきし安全祈願

  
 園舎の新築建て替え工事を進めている釜石市小佐野町の小佐野保育園(小笠原真理子園長)で10月26日、上棟式があった。園児30人と園の職員、施工業者、地域住民らが集まり、工事の無事故と完成を祈願。祝いの風習だが、今では珍しくなった餅まきも行われ、子どもたちが夢中で記念の縁起物を拾い集めた。
   
 上棟式は建築儀礼の一つで、建物を新築する際に「完成後も建物が無事であるように」と願い、基本構造が完成して棟木を上げる時に行われるもの。酒や米などを飾った上で餅や硬貨をまくもので、これを拾うことで縁起が良いと言われている。
  
 時代の変化もあり、上棟式が行われることは珍しくなっており、施工を担当する山元(只越町)の現場代理人佐々木竜一さん(48)も「東日本大震災後は行っていないし、やる業者も少ないのでは」と話す。今回は「建物を建てる時の風習を子どもたちに教えたい」と企画。楽しい記憶として残してもらえるよう餅のほか、お菓子も用意した。
  
子どもたちは豪快にまかれた縁起物を夢中で拾い集めた

子どもたちは豪快にまかれた縁起物を夢中で拾い集めた

  
両手に抱えきれないほどの餅やお菓子に大満足の園児

両手に抱えきれないほどの餅やお菓子に大満足の園児

   
 上棟式の神事は、棟上げ後の建物の屋根上で執り行われ、園児らは園庭から見守った。伝統的な儀式の餅まきでは、同園を運営する社会福祉法人釜石愛育会(中妻町)の小野寺哲理事長らが餅や菓子を豪快にまき、園児らが歓声を上げながら受け取った。
  
 両手いっぱいに縁起物を抱えて大満足の子どもたちは、工事関係者に手作りのお礼状をプレゼント。「あたらしいほいくえんをつくってくれてありがとう!えんですごせるひをたのしみにしているよ」とわくわく感を伝えた。
  
たくさんの餅やお菓子を抱えて笑顔を見せる子どもたち 

たくさんの餅やお菓子を抱えて笑顔を見せる子どもたち

  
園児は工事関係者(中)にお礼状を贈って感謝を伝えた

園児は工事関係者(中)にお礼状を贈って感謝を伝えた

  
 工事は旧施設の老朽化解消や耐震化に対応した園舎整備のため、新しく建て替えるもの。木造一部2階建て、延べ床面積は約648平方メートル。7月に着工、来年1月下旬の完成予定で、同2月中の利用開始を目指している。子どもたちのたくさんの笑顔に触れた佐々木さんは「いいものをしっかり作りたい」と力をもらった。
  
新築建て替え工事が進む小佐野保育園。来年1月の完成を予定する

新築建て替え工事が進む小佐野保育園。来年1月の完成を予定する

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3年ぶり「釜石潮騒ウオーク」に121人 創立20年の釜石協会「息の長い活動を」

中心市街地に向かう「鉄と魚とラグビーのまち釜石潮騒ウオーク」の参加者=大渡橋

中心市街地に向かう「鉄と魚とラグビーのまち釜石潮騒ウオーク」の参加者=大渡橋

 
 岩手県ウオーキング協会(佐藤良介会長)主催の「第13回鉄と魚とラグビーのまち釜石潮騒ウオーク」は22日、釜石市東部地区を巡るコースで行われた。同協会が県内13コースで展開する「岩手路ウオークリーグ」の一環。新型コロナウイルス感染症の影響で中止が続いていたため、3年ぶりの開催となった。県内各地の協会員と一般参加者121人が集い、紅葉が始まった市内の景色を眺めながら元気に歩みを進めた。
 
 同大会は毎年秋に行われる。今回は発着点となる鈴子広場のリニューアル(本年4月)後、初めての開催。昨年、創立20周年を迎えた釜石市ウオーキング協会(桝井昇会長、会員54人)の節目を祝う記念大会として位置づけられた。出発式で県協会の佐藤会長は、ウオーキングの普及・発展に尽力してきた釜石協会の活動をたたえ、感謝の気持ちを表した。
 
 準備運動で体をほぐし、午前9時半に10キロ、5キロの各コースに分かれ、参加者がスタート。両コースとも大渡橋を渡り、最初の休憩地点・魚河岸テラスを目指して目抜き通りを進んだ。休憩後は、津波対策と市民の憩いの場を兼ねた盛り土避難路「グリーンベルト」へ向かった。2020年春に完成した歩道で、初めて大会コースに設定した。
 
午前9時半、5キロと10キロのグループに分かれ鈴子広場をスタート

午前9時半、5キロと10キロのグループに分かれ鈴子広場をスタート

 
震災から復興したまちの様子を見ながら歩みを進める。背後の建物は復興住宅=大町青葉通り

震災から復興したまちの様子を見ながら歩みを進める。背後の建物は復興住宅=大町青葉通り

 
港を一望できるグリーンベルトは普段から市民の散歩コースに。斜面には植樹された桜が育つ

港を一望できるグリーンベルトは普段から市民の散歩コースに。斜面には植樹された桜が育つ

 
 5キロコースは、港町のイオンタウン釜石前を通り、千年橋を渡って鈴子のゴールへ向かった。10キロコースは次の休憩地点・鉄の歴史館(大平町)を目指し、長い上り坂に挑んだ。釜石湾の美しい景色を横目に高台の同館へ。一息入れた後、湾を一望できる展望台“港の見える丘”に上った。帰りはカーブが連続する女坂(嬉石町)を下り、甲子川沿いの国道を通ってゴールした。
 
鉄の歴史館近くの展望台に向かう10キロコースの参加者。頂上まであと一息

鉄の歴史館近くの展望台に向かう10キロコースの参加者。頂上まであと一息

 
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待っていたのは釜石湾の絶景!思い出をスマホカメラに収めた

 
 花巻協会の橋本純子さん(63)は10キロに参加。「これだけの人数が集まる大会は久しぶり。コロナ下ではあるが外なので、あまり臆することなく歩いている。歩いて免疫力をつけることも大事」と3年ぶりの釜石路を満喫。東日本大震災後の同市にも思いを寄せ、「来るたびに街並みの変化を感じさせてもらう。来年で(発災から)12年になるが、コロナもあり復興は長い道のり。私たちも食事や買い物で応援を続けたい」と願った。
 
5キロコースの参加者も元気な足取りで進む

5キロコースの参加者も元気な足取りで進む

 
まだまだ余裕の表情!仲間との久しぶりのウオーキングを楽しむ

まだまだ余裕の表情!仲間との久しぶりのウオーキングを楽しむ

 
 釜石協会の小澤勲さん(79、栗林町)は「いつもは10キロだが、今回は知り合いと一緒に5キロで参加した。天気も良くて最高だね」と爽やかな表情。普段は趣味のアユ釣りの時期を除き、ほぼ毎日5~6キロ歩くといい、「習慣づけていないとだめ。歩くと体の調子も全然違う。家にこもってばかりでは老化に拍車がかかる」と気持ちを奮い立たせる。
 
 震災前まで釜石協会員だった菊池みさ子さん(84)は、市広報で参加者募集の告知を見て12年ぶりに参加。「思い切って申し込んで良かった。みんなに会えてうれしい」と声を弾ませた。震災で嬉石町の自宅が津波に襲われ、避難所、仮設住宅生活を経て只越町の復興住宅に入居した。「買い物に出かける時はできるだけ歩くようにしている。今日は力をもらった。これからまた頑張って暮らしていきたい」と菊池さん。
 
昨年、創立20周年を迎えた釜石市ウオーキング協会の会員。末永い活動を誓う

昨年、創立20周年を迎えた釜石市ウオーキング協会の会員。末永い活動を誓う

 
 釜石協会は2001年創立。毎月の例会ウオーキング、主催大会の運営、県協会行事への参加など精力的に活動を続けてきた。2代目の桝井会長(81)は「20年続いたのは、中心メンバーが会員を引っ張ってきてくれたおかげ」と感謝。釜石の大会には例年、多くの県内の仲間が集う。「他地域の大会にも積極的に出向き、交流を重ねてきた成果の表れ。今日もみんな知っている人ばかりで、涙がこぼれた」。会員の平均年齢は78歳。高齢化は進むが、「人とのつながりを大事にしながら、若い世代に引き継いでいきたい」と今後を見据える。
 
 同協会はコロナで1年延期していた20周年記念式典を11月13日に市内のホテルで開催する予定。

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60歳以上も生き生き就労 釜石市シルバー人材センター 奉仕活動で事業をアピール

清掃活動を行った釜石市シルバー人材センターの会員、職員ら=20日

清掃活動を行った釜石市シルバー人材センターの会員、職員ら=20日

 
 公益社団法人釜石市シルバー人材センター(前川公二理事長)は20日、港町のイオンタウン釜石周辺の歩道で清掃奉仕活動を行った。全国シルバー人材センター事業協会が定める10月の普及啓発促進月間にちなんだ活動。登録会員と職員約50人が参加し、縁石沿いや店舗前の植え込みに生える雑草を取り除いた。そろいの帽子とベスト姿で作業し、買い物客や道行く市民らにシルバーパワーをアピールした。
 
 活動は同センターの存在を広く知ってもらい、就労する会員や受託する仕事を増やすのが狙い。例年、中心市街地でごみ拾いなどの清掃活動を行っているが、今年は除草をメインにした。活動場所はイオン釜石の南側駐車場と店舗建物の間を走る市道沿い。会員らは作業を分担しながら、夏の間に伸びた雑草を鎌などを使って刈り、袋に詰めて回収した。来店や車両通行で人目につきやすい一帯は、約1時間半の作業ですっきりとした景観を取り戻した。
 
イオンタウン釜石前の道路沿いで行った除草作業

イオンタウン釜石前の道路沿いで行った除草作業

 
縁石周辺に生えた草を取り除き回収した

縁石周辺に生えた草を取り除き回収した

 
 同センターは60歳以上の人を対象に働く場を提供する。登録会員はセンターが自治体や企業、一般家庭などから受けた仕事を請け負う。派遣労働者としての就業も可能。仕事は草取り・刈り、植木のせん定、襖・障子張り、家事援助、施設管理、清掃、筆耕など多岐にわたる。
 
 会員の佐々木安美さん(69)は「社会とのつながりがほしい。頭の活性化にもなれば」と今年4月に入会。市内のコミュニティー施設で清掃業務に従事する。家族の介護でしばらく外での仕事から離れており、久しぶりの社会復帰。「生きがいを感じる。1日3時間と無理のない範囲でできるのもいい。やる気があれば年齢にかかわらず、いつからでも始められる」と就業の喜びを語る。
 
店舗前の植え込みの中の雑草も取り除いた

店舗前の植え込みの中の雑草も取り除いた

 
青空の下、奉仕活動に汗を流す会員ら

青空の下、奉仕活動に汗を流す会員ら

 
縁石周辺にたまった土も取り、見違えるほどきれいな環境に

縁石周辺にたまった土も取り、見違えるほどきれいな環境に

 
 同センターの登録会員数は332人(男266/女66、20日現在)。2000年代中ごろのピーク時には約580人が登録していたが、定年延長の広がりや東日本大震災後の人口減などで減少傾向が続く。前川英之事務局長は「高齢化の進展、定年延長で入会年齢が上がっており、管理的な仕事を求める人が増えている。肉体労働だけではなく幅広い業務を受けられるよう会員の増強、契約先の開拓を図り、双方の利益になる事業運営を目指していきたい」と話した。同センターの今年4~8月の受託額は約6300万円。前年同比5%増となっている。
 
 センターでは毎月第4木曜日午前10時から、浜町の事務所で入会説明会を開催。入会についての問い合わせや相談は随時、受け付けている。詳しくは同センター(電話0193・22・2182)へ。

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宇宙を旅した復興横断幕 いのちをつなぐ未来館(釜石・鵜住居町)で展示公開

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いのちをつなぐ未来館で展示中の「東北復興宇宙ミッション2021」横断幕

  
 東日本大震災発生から10年の節目に被災地の復興を発信する「東北復興宇宙ミッション2021」で、国際宇宙ステーション(ISS)から帰還した横断幕が、釜石市鵜住居町の「いのちをつなぐ未来館」で展示公開されている。同館を指定管理する「かまいしDMC」の社員有志でつくる天文部が市内各所で撮った星空の写真も紹介。「宇宙を身近に感じながら震災を考え、知るきっかけに」と期待する。11月4日までを予定する。
 
 宇宙ミッションは震災の記憶と教訓、復興支援への感謝を伝えるメッセージや写真、植物の種などを宇宙に送り、被災地の現状を発信するもの。一般財団法人ワンアース(茨城県龍ケ崎市)が企画し、東北被災3県の約50自治体が参加した。
 
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被災自治体が復興の姿や支援への感謝を伝える画像とメッセージを寄せた

 
 横断幕は2021年3月11日にISSで感謝のメッセージを読み上げた野口聡一宇宙飛行士のバックに掲示されていたもの。福島県川俣町特産の川俣シルクで制作され、ミッションに参画した各自治体が復興への思いなどを画像とともに記している。縦1・2メートル、横7メートル。同年2月20日にロケットで打ち上げられ、4カ月余り宇宙を〝旅〟し、7月10日に地球に帰還した。参加した各自治体で巡回展示されている。
 
 釜石が発信した画像は、市内小中学生が中心となって世界中に感謝を伝える活動「#Thank You From KAMAISHI 」を紹介。2019年に地元で開催されたラグビーワールドカップ(W杯)を盛り上げるための準備や試合会場での応援の様子、復活した三陸鉄道などを散りばめている。この横断幕のほか、市の花ハマユリの種もISSに〝滞在〟し、無事帰還した。
 
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釜石の子どもたちの笑顔で感謝を伝える。「ありがとう」

 
 同館職員の佐々学さん(43)は「宇宙を旅した特別な旗を見に来てほしい。震災を知らない子どもたちが増えているので、次世代への伝承にもつながれば」と期待する。
 
 天文部の活動で、市内の星空を収めた写真約20点も掲示。昨年の冬から今年の夏にかけて世界遺産・橋野鉄鉱山、根浜海岸などで見られたオリオン座や「天の川」を写した。「星」をテーマに、三陸ジオパークの箱崎半島を紹介するパンフレットも作成、同館で配布する。「釜石は星がきれい。そんな星空を楽しむことができる素晴らしい環境がある。宇宙を身近に感じることで地元の魅力を知ってほしい」と佐々さん。きらめく夜空を楽しみ続けるため環境を守っていこうと思いを強めている。
  
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宇宙ミッションのメッセージ集と星空ガイドブックを紹介する佐々さん

 
 

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釜石の秋味といえば? 甲子柿!出荷始まる 豊作傾向で色・形・味バランスよし

釜石の秋を象徴する甲子柿。目揃会で生産者らが出来を確かめた

釜石の秋を象徴する甲子柿。目揃会で生産者らが出来を確かめた

  
 釜石市の秋の味覚「甲子柿」の今季出荷が始まった。20日、甲子柿の里生産組合(佐々木裕一組合長、21人・5団体)は組合員が品質を確認する「目揃(めぞろえ)会」と、消費者目線で出来栄えを評価する審査会を開催。今年は病害や天候の影響が少なく豊作傾向で、生産者らは収穫・出荷作業と忙しい日々が続く。「色や形、つや、食味のバランスがいい」とのお墨付きをもらい、伝統の味を全国に届けようと一層作業に熱を込める。
  
 甲子柿は、渋柿の一種の小枝柿を「柿室(かきむろ)」と呼ばれる暗室に入れ1週間ほどいぶし、渋を抜く地域伝統の製法で作られる。完熟トマトのような色味とぷるんとした食感、凝縮された甘味が特長。近年は豊富な栄養素も注目され、2021年には国の2つの制度(地理的表示[GI]保護制度、機能性表示食品)で特性が認められた。
  
 目揃会は甲子町の洞関コミュニティ消防センターで開かれた。関係者ら約20人が参加。生産者8人が化粧箱に詰めた柿を持ち寄り、色つやや大きさなど仕上がりを確認した。今年は夏場に雨量が多く、気温も高めだったが、台風による被害がなく、順調に成育。落葉病など病害の影響も少なかったが、最近ちらほらと葉などに斑点ができる農家もあり、防除について情報共有した。
  
実を手に取って色つや、重さを確認

実を手に取って色つや、重さを確認

  
豊作に顔をほころばせる生産者ら

豊作に顔をほころばせる生産者ら

  
 同町洞泉地区で10年前から生産に励む菊池永人さん(47)は「実が採りきれないほど。これまでで最高になりそう。糖度が高くて、おいしさも期待できる」と手応えを実感。ブランド化を進める中で、摘果など栽培管理に力を入れる生産者が多いが、「うちはほとんど手入れをせず自然任せ。昔ながらの小ぶりな実で季節の味を届けたい」と意欲を見せる。
  

3年目の審査会 「いぶしの製法」継承を期待

  
出品された甲子柿の見た目を審査する委員

出品された甲子柿の見た目を審査する委員

  
 審査会は大町の市民ホールTETTOで開かれ、9人の組合員が出品した。食や農業に関わる企業や団体の関係者らが委員(12人)となり、消費者目線で▽見た目(色、つや、傷の多少)▽味(甘さ、いぶし風味の有無、脱渋具合)▽食感―を審査。結果、9品全てが地方発送や各種販売会への出荷に値する品質と判断された。
  
柿を食べ比べ、甘さや食感などを確かめた

柿を食べ比べ、甘さや食感などを確かめた

  
 市農政推進協議会長で県食の匠の佐々木かよさん(71)は「味、形、つやがそろっているし、甘くて甲乙つけがたい。優秀で立派なものばかり。釜石の特産品、秋の味を楽しんでもらえる」と高評価。審査委員長の黒田博幸さん(51)=麻生三陸釜石工場総料理長=も「バランスよし」と太鼓判を押し、「いぶすという独自の製法を守り、継承してほしい」と期待した。
  
柿室でいぶす伝統の製法で作られ、真っ赤に色づいた甲子柿

柿室でいぶす伝統の製法で作られ、真っ赤に色づいた甲子柿

  
 この審査会は甲子柿の品質向上と品質統一化に向けた取り組みで、3年目の実施。佐々木組合長(72)は「凶作の昨年に比べると出来が良く、豊作にほっとしている。みなさんの声を糧にさらに頑張っていく」と力をもらった。出荷作業は例年通り11月中旬ごろまで続く見込みで、「気温の寒暖差が大きく、天気予報とのにらみ合いは続く。柿室の温度や湿度管理に気を配り、ハイレベルな品質、収量を確保したい」と気を引き締めた。
  
 市内では道の駅釜石仙人峠(甲子町)や一部スーパーなどで販売中。市外への認知度向上、販路拡大に向け、▽らら・いわて盛岡店対面販売会(10月25日、11月4、5日)▽伊丹空港「空の市」(10月29、30日)▽仙台藤崎百貨店GI産品フェア(11月11、12日)―への参加を予定している。

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2基のみこし、曳き船に市民ら感涙 3年ぶりの釜石まつり コロナ禍からの復活に力

釜石まつり(尾崎神社、日本製鉄山神社合同祭)=16日、薬師公園御旅所

釜石まつり(尾崎神社、日本製鉄山神社合同祭)=16日、薬師公園御旅所

 
 釜石市浜町の尾崎神社と桜木町の日本製鉄北日本製鉄所釜石地区山神社の合同祭「釜石まつり」(同実行委主催)は14日から3日間にわたって行われた。新型コロナウイルス感染症の影響で中止が続いていた同市最大の秋祭りが3年ぶりに復活。15日は釜石湾内で曳き船まつり(尾崎神社海上渡御)、16日は市中心市街地で両神社のみこし渡御を繰り広げ、まちに活気をもたらした。参加者、観客ともに大きな喜びに包まれ、地元の宝を再認識。コロナ禍からの脱却に大きな弾みをつけた。
 
曳き船まつり(尾崎神社海上渡御)は4年ぶりの開催=15日、釜石港

曳き船まつり(尾崎神社海上渡御)は4年ぶりの開催=15日、釜石港

 
 尾崎神社奥宮のご神体をみこしに迎え、海上を渡御する曳き船まつりは、江戸時代から続く伝統神事。海上安全や豊漁などを祈願する。コロナ前の2019年も悪天候で中止されたため、今回は4年ぶりの開催。魚河岸の市魚市場前から出港した14隻の船団は尾崎半島青出浜にある奥宮にご神体を迎えに行き、午後0時半ごろ帰港。大漁旗をなびかせた各船は港内を3周した。船には神楽や虎舞の郷土芸能団体が乗り込み、にぎやかなおはやしや舞を披露。みこしを乗せた御召船第18宝生丸(釜石湾漁協)が岸壁に近づくと、見物客が手を合わせた。
 
色とりどりの大漁旗をなびかせ進む漁船=釜石市魚市場前

色とりどりの大漁旗をなびかせ進む漁船=釜石市魚市場前

 
船首でちょうちんを掲げ、舞を見せる錦町虎舞

船首でちょうちんを掲げ、舞を見せる錦町虎舞

 
船が岸壁に近づくと、互いに手を振ったり声を掛け合ったりした

船が岸壁に近づくと、互いに手を振ったり声を掛け合ったりした

 
 北上市の川﨑千鶴子さん(61)は「震災前に見て以来。コロナで気持ちが落ちている時だけに気分が上がる。浜ならではの威勢の良さも魅力」と大喜び。釜石・甲子町に暮らす義母妙さん(84)は「いい天気に爽やかな海風。最高の祭り日和。若いころは自分も船に乗った。その時のことが懐かしく思い出される」と息子夫婦と心を躍らせた。
 
 第18宝生丸の乗組員大向孝哉さん(60)は久しぶりの高揚感を味わい、「毎年のことだから、やっぱりこれがないとね。コロナを吹き飛ばすような活気」と復活を歓迎。サケ、サンマ、イカと不漁続きで漁業は厳しい状況に置かれるが、「とにかく魚がとれることを願うばかり。尾崎の神様に海の環境回復を祈る」と思いを込めた。
 
海上渡御を終えたみこしは浜町の尾崎神社里宮へ

海上渡御を終えたみこしは浜町の尾崎神社里宮へ

 
 両神社の合同みこし渡御には郷土芸能9団体を含む約800人が参加。鈴子町の釜石消防署脇駐車場で合同祭の神事を行った後、午後0時半ごろ行列が出発。大渡町から魚河岸まで市中心部の目抜き通りを2基のみこしが練り歩いた。先導した郷土芸能団体は大町から只越町間の路上で演舞を披露。沿道に詰めかけた大勢の観客の前で魂のこもった舞を見せた。
 
大渡町を練り歩くみこし渡御行列(右下拡大:平田神楽)=16日

大渡町を練り歩くみこし渡御行列(右下拡大:平田神楽)=16日

 
東前太神楽も頭をつけて舞いながら進む

東前太神楽も頭をつけて舞いながら進む

 
親子虎共演!幼児の舞い手も活躍した尾崎町虎舞

親子虎共演!幼児の舞い手も活躍した尾崎町虎舞

 
 薬師公園御旅所で神事を行った両神社のみこしは、並んで通りをゆっくりと進んだ。出迎えた観客はさい銭をあげてみこしに手を合わせ、地域の守り神に感謝。家内安全、商売繁盛、コロナ禍で落ち込んだ景気回復などそれぞれの願いを胸に、異彩を放つみこしを見つめた。
 
尾崎神社(右)と日本製鉄山神社のみこし。3年ぶりの合同渡御が実現

尾崎神社(右)と日本製鉄山神社のみこし。3年ぶりの合同渡御が実現

 
沿道では大勢の市民らが行列を見守った=大町

沿道では大勢の市民らが行列を見守った=大町

 
 小佐野町の佐々木興子さん(78)は「例年より人出も多いよう。お祭り女だからわくわくする」と笑顔満開。いつもは釜石芸能連合会の手踊りで参加するが、今年は同会の参加見送りで観客側に。「人口減少、高齢化も進むが、祭りで釜石が元気になってほしい。次回、参加できるように自分も元気でいたい」と願った。
 
 8月に北九州市から転勤してきたテツゲンの早田大輔さん(36)は初めて同山神社のみこし担ぎに参加。震災やコロナの苦境から立ち上がってきた釜石人の底力に感動し、「皆さんの笑顔が印象的。よそから来た人間も温かく迎えてくれる市民性がありがたい。釜石にいる間はぜひ参加したい」と声を弾ませた。
 
虎舞、神楽の参加団体は山車を引きながら移動

虎舞、神楽の参加団体は山車を引きながら移動

 
 行列は市役所御旅所を経て午後2時半ごろ、魚市場御旅所に到着。神楽、虎舞の6団体が最後の踊りを奉納し、祭りはクライマックスを迎えた。例年行う「大盃の儀」はコロナ感染予防のため取りやめ、代わりに参加者の3本締めで締めくくった。尾崎神社のみこしはご神体を奥宮にかえすため船に乗せられ、神楽、虎舞団体がはやし立てる中、岸壁を離れた。見送りは船が見えなくなるまで続いた。
 
 2歳から祭りに参加する錦町虎舞の阿部龍雅君(16)は「みんなで盛り上がれる祭りはめっちゃ最高。今年はいつも以上」と祭り復活の喜びをかみしめた。踊りの練習は厳しいが、「どんどん頑張ってうまくなりたい。大人になったら踊りを教えられるような、みんなを引っ張っていけるような人になりたい」と夢を描いた。
 
魚市場御旅所ではみこし還御式が行われ、年行司太神楽など6団体が演舞

魚市場御旅所ではみこし還御式が行われ、年行司太神楽など6団体が演舞

 
「白虎」で躍動する只越虎舞

「白虎」で躍動する只越虎舞

 
奥宮にかえるご神体を神楽、虎舞の団体がおはやしで見送った

奥宮にかえるご神体を神楽、虎舞の団体がおはやしで見送った

 
 尾崎神社の佐々木裕基宮司は「沿道でみこしに手を合わせ、ずっと頭を下げられている方もいて胸が熱くなった。震災の年に涙を流して拝んでくださった姿と重なる。祭りを待ち望んだ皆さんの喜びがあふれていた」と目を潤ませた。同神社は300年以上の歴史を誇る六角大みこしを70年ぶりに修復、19年の渡御で初披露した。今回はコロナ禍で担ぎ手の確保が難しいことや、大人数による密回避を考慮し、大みこしの渡御は見送った。「来年こそはコロナが終息し、大みこしが練り歩ければ」と佐々木宮司。
 
 同まつり委はコロナ感染状況や市内経済などへの影響を総合的に判断し、規模縮小、各種感染防止策を講じた上での開催を決めた。事務局によると曳き船まつりは約3千人、みこし渡御は約1万2千人の人出があった。両日とも混乱や事故もなく無事終了した。

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盛り上げたい!釜石大観音仲見世通り 釜石商工高生、チャレンジショップ 「バイクねこ」をアイテムに

チャレンジショップを通じ交流を楽しんだ釜石商工生ら

チャレンジショップを通じ交流を楽しんだ釜石商工生ら

 
 釜石市大平町の県立釜石商工高(伊東道夫校長)総合情報科の3年生5人は9日、学校近くの釜石大観音仲見世通りで開かれた「えんむすびプチマルシェ」に参加。同通りの暮らしにちなんで手作りした土産品や市内事業者の商品を並べ、元気な笑顔で販売に臨んだ。同通りのにぎわい再生と交流の場創出を目指し活動する釜石大観音仲見世リノベーションプロジェクト(宮崎達也代表)が取り組みをバックアップ。人のつながりや縁を広げる機会を通じ、生徒たちは将来への意欲を高めた。
 
 マルシェへの参加は、課題研究の一環。「仲見世を盛り上げたい」と集まった5人は、同通りの印象や特徴などを住民や生徒、教職員らから聞き取り、「猫をよく見かける」「バイク利用者が多い」との情報を入手。バイクにまたがった猫をモチーフにしたイラストを作成し、観光客らをターゲットにした土産物として交通安全祈願のお守り、ステッカーを作ることにした。販売については同プロジェクトに話を持ち掛け協議を重ね、当日を迎えた。
 
仲見世通りに多い猫(写真右下)をモチーフに作製したオリジナル土産品

仲見世通りに多い猫(写真右下)をモチーフに作製したオリジナル土産品

 
 この日、5人は宮崎代表(50)が運営するシェアオフィス1階にあるギャラリースペースの一角に手作り品を並べ、販売を体験した。木製のお守りに施された「バイクねこ」のイラストは全て生徒の手描き。ストラップ部分となるミサンガも13色の糸を使って手作りし、生徒たちは各色に込めた願い(赤は情熱、青は勉強、黄緑は友情など)などを紹介しながら接客した。ステッカーは5枚一組で販売。バイクねこのほか、「しいたけネコ」「まんじゅうネコ」などがデザインされた。
 
 地元の菓子製造販売・卸業小島製菓(上中島町)の協力を得て、同社が製造するパンや団子も並べて販売。売り手として商品を宣伝し、多くの客を呼び込んだ。
 
地元事業者が手掛けた商品の売り手としても活躍した

地元事業者が手掛けた商品の売り手としても活躍した

 
高校生が考案した「バイクねこ」が仲見世通りを盛り上げる⁉

高校生が考案した「バイクねこ」が仲見世通りを盛り上げる⁉

  
 グループリーダーの尾形麗(うらら)さんは「明るく元気に笑顔で接することを意識した。多くの人に足を止めてもらい、うれしい。盛り上げにつながったかな」と充実した表情を見せた。これまでの取り組みを振り返り、「自分の考えに、ほかの人の意見を加えて改良し、希望に合ったものづくりが大切」と実感。教員という夢に向かい進学する予定で、「誰かのためにということを常に心がけて、人の役に立てることをしたい」と胸を張った。
 
釜石大観音仲見世通りで開かれた「えんむすびプチマルシェ」

釜石大観音仲見世通りで開かれた「えんむすびプチマルシェ」

 
 同校が参加したマルシェでは、釜石ゆかりの作家や菓子店などが手作りした雑貨、スイーツを販売したほか、フリーマーケットも行われた。主催の同プロジェクトは「釜石○○(まるまる)会議」から生まれた市民グループで、空き店舗が目立つ同通りを再生させようと、同様のマルシェ開催など人の流れを生み出す取り組みを行ってきた。新型コロナウイルス禍でイベントの実施は控えていたが、同校からの提案を受け、コラボレーション企画として3年ぶりの開催を決めた。
 
 宮崎代表は「人との触れ合いは楽しい。イベントを行うと活気が生まれる。商店を増やすとの目標に向け、店も来訪者にもすてきな縁が生まれるような場をつくっていきたい」と意欲を見せた。

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釜石・和山高原 かつての絶景を再び 地元橋野町振興協がレンゲツツジ200本植樹

植樹作業にあたった橋野町振興協議会、栗橋地域振興社の会員ら

植樹作業にあたった橋野町振興協議会、栗橋地域振興社の会員ら

 
 釜石市の橋野町振興協議会(和田松男会長)は2日、地元の観光資源である和山高原長鼻地区にレンゲツツジ200本を植樹した。牧場用地を所有する一般社団法人栗橋地域振興社(旧・栗橋牧野農業協同組合、栗澤稔代表理事会長)の協力を得て実施。同地区には2013年以降、八重桜の植樹も行われており、今後、世界遺産「橋野鉄鉱山」と連動した地域の観光振興に期待が寄せられる。
 
 植樹が行われたのは、市指定文化財(天然記念物、1969年指定)の巨木「和山のシナの木」の東側に広がる平地。両団体から27人が作業にあたり、すでに植えられている八重桜とのバランスを考えながら、レンゲツツジの苗木を植えた。事業には県企業局と、健康食品の製造販売を行う毎日元気(本社札幌市、瀧澤潤賜社長)から計80万円の助成を受けた。
 
和山高原長鼻地区にレンゲツツジの苗木を植樹

和山高原長鼻地区にレンゲツツジの苗木を植樹

 
苗木の根元には元から自生する草を戻した

苗木の根元には元から自生する草を戻した

 
 和山高原は同市北西部に位置する標高約800メートル、広さ約1500ヘクタールの高原地帯。過去には、釜石製鉄所の合理化で落ち込む地域経済の活性化策として、1986年から6年間、和山フェスティバル(釜石青年会議所など主催)が開かれた経緯がある。その後は目立った観光振興策は行われずにきたが、2015年の「橋野鉄鉱山」世界遺産登録を契機に、市指定文化財のシナの木周辺を同振興社が整備。車両通行が可能な道路と駐車スペースを確保した。一帯にはこれまでに約300本の八重桜が植樹されており、大きいものでは高さ3メートルほどに育った木が花を咲かせ始めている。
 
レンゲツツジ(手前)と八重桜(後方)。色鮮やかな花が咲く春が楽しみ!

レンゲツツジ(手前)と八重桜(後方)。色鮮やかな花が咲く春が楽しみ!

 
苗木が元気に育つことを願って作業に汗を流す

苗木が元気に育つことを願って作業に汗を流す

 
 同振興協の和田会長は「元々ここはレンゲツツジが豊富な場所。30年以上前の景観を取り戻し、再び市民の憩いの場にできれば」と期待。山と海の環境の関連性にも着目し、「山で蓄えられた栄養が川から海に流れ込むことによって豊かな海産物が育つ。山が持つ本来の力をよみがえらせることで自然の好循環が生まれていけば」と、環境保全活動に意を強くする。
 
和山高原は「風車」のある景観も見どころの一つ

和山高原は「風車」のある景観も見どころの一つ
 
サクラとツツジが植えられた平原から望む風力発電用の風車

サクラとツツジが植えられた平原から望む風力発電用の風車

 
 和山高原を中心とした釜石、遠野、大槌3市町にまたがる丘陵地帯では、2004年から風力発電事業(ユーラス釜石広域ウインドファーム)が行われている。現在43基の風車が稼働するが、今後、既存設備を撤去し、新たな設備に建て替える事業が計画される。同振興協では「更新工事が完了する28年を見据え、長鼻地区の環境整備を続けていきたい。以前、可能だった太平洋を見下ろせる景観の復活も模索していければ」としている。
 
和山高原はススキが風に揺れ秋の装い。天然記念物のシナの木(左下写真)の紅葉も今後進む

和山高原はススキが風に揺れ秋の装い。天然記念物のシナの木(左下写真)の紅葉も今後進む

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赤い羽根募金に協力を 釜石市内でも街頭活動 ラグビー選手や高校生らが呼びかけ

イオンタウン釜石前で行われた共同募金の街頭活動では高校生らも呼びかけに協力した

イオンタウン釜石前で行われた共同募金の街頭活動では高校生らも呼びかけに協力した

 
 「じぶんの町を良くするしくみ」で知られる赤い羽根をシンボルとした共同募金運動が1日から全国で一斉にスタート。釜石市では行政連絡員、民生児童委員ら約50人が市内5カ所で街頭募金を行い、市民に協力を呼びかけた。運動は12月31日まで実施。本年度の目標額を447万円とする。
 
 港町のイオンタウン釜石前では野田武則市長、地元ラグビーチーム・釜石シーウェイブス(SW)RFCの村田オスカロイド選手、ダリエス・トマス選手、セルジオ・モレイラ選手も協力を呼びかけ。募金箱を首から下げ、善意を投じた買い物客らに赤い羽根を差し出し感謝を表した。
 
野田市長(中央)とともに街頭に立った人たちも互いに募金し合った

野田市長(中央)とともに街頭に立った人たちも互いに募金し合った

 
釜石SW選手の呼びかけに応じて募金する子ども

釜石SW選手の呼びかけに応じて募金する子ども

 
 釜石商工高ボランティア委員会の鈴木葵さん、田鎖夢生(めい)さん(ともに総合情報科2年)も街頭に立ち、「赤い羽根共同募金です。ご協力をお願いします」と声を上げた。「入れてくれた人の思いがまちのためになると思うとうれしい」。市内のどこかにいる誰かのために役立つ活動に携わり、やりがいを感じた2人は「高校生もできることがあるはず。いろんなことに積極的に挑戦、活動していきたい」とすがすがしい表情を見せた。
 
 共同募金は戦後間もない1947(昭和22)年に市民主体の民間運動として始まった。現在は誰もが住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう、さまざまな地域福祉の課題解決に取り組む民間団体を応援する仕組みとなっている。
 
子どもから大人まで多くの市民らが善意を寄せた

子どもから大人まで多くの市民らが善意を寄せた

 
 釜石の活動は市共同募金委員会(会長・野田市長)と市社会福祉協議会(丸木久忠会長)が戸別、街頭、法人、学校、職場などで展開する。例年、寄せられた善意は福祉施設などの運営資金として活用。東日本震災後は、ボランティア活動の支援や地域コミュニティーの活性化事業などにも役立てられている。
 
 今年も昨年に続き新型コロナウイルスの感染を防ぐため、街頭で呼びかける人員を絞り、時間を短縮して実施した。各種イベントの中止などで募金を呼びかける機会が減り、目標額に達するのは厳しい状況だが、丸木会長は「社会や防災関係などに役立つ貴重な募金。震災後に増えた独居高齢者や困っている方の助けにもなる」と協力を求めている。