タグ別アーカイブ: 地域

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県内外のクラフト作家 釜石・TETTOに大集合 対面販売、製作体験 新たな出会いの場創出

県内外からの出店があった釜石市民ホール主催イベント「きっとてっと」

県内外からの出店があった釜石市民ホール主催イベント「きっとてっと」

 
 釜石市大町の市民ホールTETTO(谷澤栄一館長)で3日、手作り品の販売やトーク、映画などを楽しめるイベント「きっとてっとwith釜石手仕事マルシェ」(同館主催)が開かれた。さまざまな“出会い”“つながり”の場にしてもらおうと企画。釜石青年会議所、かまいしDMC、釜石まちづくり会社が共催した。館内は一日を通して多くの来場者でにぎわい、たくさんの交流の輪が広がった。
 
 県内外から55店が出店した。ハンドメイドのアクセサリーや和洋の雑貨、木製品などの販売のほか、似顔絵、占い、アロマテラピーの提供も。ハーバリウム、点描アートの製作、多肉植物の寄せ植えを体験できるコーナー、各地で人気の軽食メニューの販売もあり、来場者は興味をそそられながら各ブースを回った。
 
美大出身の伊藤和香さん(盛岡市)の似顔絵コーナーに足を止める来場者

美大出身の伊藤和香さん(盛岡市)の似顔絵コーナーに足を止める来場者

 
フルーツピクルスのドリンクなどを販売した「ピクルスの森FUMOTO」(盛岡市)

フルーツピクルスのドリンクなどを販売した「ピクルスの森FUMOTO」(盛岡市)

 
「どれにしようかな?」かわいいアクセサリーに子どもも目がくぎ付け

「どれにしようかな?」かわいいアクセサリーに子どもも目がくぎ付け

 
 「かわいいものばかりで目移りしちゃって。あれもこれも…」。アクセサリーコーナーで声を弾ませた大槌町の越田歩夢さん(24)。「手作りで一点ものなのもいい」と魅了され、「とりあえず一通り回ってから決めようかな」とほほ笑んだ。最近、おしゃれに目覚めたという長女朝比ちゃん(3)は、歩夢さんに買ってもらったイヤリングをさっそく身に着けてにっこり。親子で女子ならではの楽しみを満喫した。
 
 プリザーブドフラワーやドライフラワーをガラス瓶に入れ、専用オイルで満たす人気のインテリア小物「ハーバリウム」の製作体験コーナー。市内の80代女性は「作業は大変だけどきれい」と完成品を手に大喜び。普段は趣味でアクセサリー作りを楽しみ、友人にもプレゼント。「ものづくりはできた時のうれしさが格別。失敗しながら何度も挑戦したりするとなおさら」と魅力を語った。
 
インテリア小物としても人気の「ハーバリウム」の製作体験。出来栄えを想像しながら作業に集中

インテリア小物としても人気の「ハーバリウム」の製作体験。出来栄えを想像しながら作業に集中

 
 ハーバリウム講師の千葉祐衣さん(37)=花と香りの雑貨Nine Horses=は一関市から出店。「開けた空間で人の出入りも多いイベント。長時間滞在し、ゆっくり過ごしている方も多いよう」と好印象。「沿岸にもすてきな作家さんが多い。こういう機会を通じてもっと輪が広がっていけば」と期待した。
 
 手仕事マルシェは昨年、釜石青年会議所が初開催。今年はTETTOのイベントと抱き合わせにすることで、さらなる誘客、交流の促進を狙った。多種多様な出店は、釜石市上中島町で革製品の製作販売を行う佐々木郁子さん(49)=Shifa=の声掛けによるところが大きいという。内陸部のイベントに出店する機会が多い佐々木さん。各地で知り合った作家仲間に参加を呼び掛けると、予想以上の反応があったという。「イベントは商品や顔を知ってもらう絶好の機会。地元釜石でも開催が増えていけば」と願った。
 
釜石市で革製品の製作販売を行う「Shifa」の佐々木郁子さん(中央)。「店に足を向けるきっかけにも」と地元でのイベント開催を喜ぶ

釜石市で革製品の製作販売を行う「Shifa」の佐々木郁子さん(中央)。「店に足を向けるきっかけにも」と地元でのイベント開催を喜ぶ

 
多肉植物の寄せ植え体験。会場内には「やってみたい!」をかなえるブースが複数並んだ

多肉植物の寄せ植え体験。会場内には「やってみたい!」をかなえるブースが複数並んだ

 
奥州市の伊藤えりかさん(flor de Luz)は点描アートを紹介。体験者も興味津々

奥州市の伊藤えりかさん(flor de Luz)は点描アートを紹介。体験者も興味津々

 
 人と人をつなぐ仕掛けは他にも。「自然と共に生きる―ここで暮らしていきたい理由(わけ)」と題したトークセッションでは、震災などを機に釜石、大槌に移り住んだ4人をゲストに迎え、普段の暮らしぶりについて話を聞いた。釜石市甲子町を拠点に林業や木製品の製作販売を行う石塚勇太さん=森結(もりむすび)=は本業のかたわら、自然観察や森林学習の講師、森での遊びイベントの企画を手がける。「森には子どもの創造性、発想性を広げる力がある。地域に開かれた自然の遊び場を作りたい」と、釜石発の“里山復活”への夢を語った。
 
自然との共生をテーマにしたトークセッション。ゲストの石塚勇太さん(中)=森結、兼澤幸男さん(右)=MOMIJI(大槌町)

自然との共生をテーマにしたトークセッション。ゲストの石塚勇太さん(中)=森結、兼澤幸男さん(右)=MOMIJI(大槌町)

 
 障害の有無、国籍、性別、年齢などにかかわらず、互いを認め共生する「インクルーシブ社会」実現への一助にと、バリアフリーを意識した映画上映会も開催。車いす、バギーのまま入場可能な平場のスペース、明るめの照明、控えめの音響…。誰もにやさしい鑑賞環境を整え、来場者を迎えた。
 
 イベントには市内外から1千人以上が足を運び、魅力的な人、物との出会いを楽しんだ。
 
終始、人の流れが続いた「きっとてっと」。来年の開催にも期待!

終始、人の流れが続いた「きっとてっと」。来年の開催にも期待!

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岩手のおいしい野菜、肉を食べて元気に 食の楽しみPR 上中島こども園に県食育キャラバン

「県食育普及啓発キャラバン」上中島こども園に来園=8月29日

「県食育普及啓発キャラバン」上中島こども園に来園=8月29日

 
 釜石市の市立上中島こども園(楢山知美園長、園児50人)に8月29日、岩手県の食育普及啓発キャラバンが来園。園児らは紙芝居やクイズ、ダンスを通して、食べることの大切さ、食品ロス削減について学んだ。キャラバン隊の訪問は県内4カ所目。
 
 県職員や本県の農畜産物を全国にPRしているJA全農いわての「いわて純情むすめ」など8人が訪問。楽しく学べる教材で園児らに食育を行った。純情むすめの髙橋美有さん(24)、村中咲心さん(19)は本県のおいしい食べ物の紙芝居を披露。豊かな自然と畜産農家の愛情で育てられる「いわて牛」と「いわて純情豚」を紹介し、「おいしいお肉はパワーの源。しっかり食べて毎日を元気に過ごそうね」と呼び掛けた。
 
紙芝居を上演する「いわて純情むすめ」の髙橋美有さん(左)と村中咲心さん

紙芝居を上演する「いわて純情むすめ」の髙橋美有さん(左)と村中咲心さん

 
園児らは岩手のおいしいお肉についてお勉強

園児らは岩手のおいしいお肉についてお勉強

 
野菜の名前を当てるクイズは大盛り上がり!にぎやかな声が響いた

野菜の名前を当てるクイズは大盛り上がり!にぎやかな声が響いた

 
 野菜の絵を見せて名前を当てるクイズも実施。絵を見せると園児らはすぐに「ダイコン!」「タマネギ!」「キュウリ!」などと声を上げ、正解すると大喜び。純情むすめの2人は「お腹の調子を良くしてくれる」「血をサラサラにしてくれる」など、それぞれの野菜が体にもたらす効果も教えた。
 
 近年、問題になっている「食品ロス」を知ってもらおうと、消費者庁が作成した絵本「たべものかいじゅうあらわる!?」も読み聞かせた。採りすぎた野菜や果物、作りすぎた料理、食べ残しの山…。まだ食べられるものを捨ててしまうことにならないよう、日ごろから食べ物を大切にすることを教えた。最後は県3R(リデュース、リユース、リサイクル)推進キャラクター「エコロル」ちゃんが登場。みんなで食育ダンスを踊って楽しんだ。
 
食べ物にちなんだ振り付けで踊る食育ダンス。エコロルちゃんと一緒に!

食べ物にちなんだ振り付けで踊る食育ダンス。エコロルちゃんと一緒に!

 
振りをまねて食育ダンスを楽しむ園児

振りをまねて食育ダンスを楽しむ園児

 
 小笠原悠天君(5)は「食べ物のクイズが面白かった。好きな野菜はキュウリ。朝ごはんは毎日食べる。これからもいっぱい食べる」と話した。純情むすめの髙橋さんは「子どもたちのリアクションがすごくいい。食べ物を大事にするとともに食べること自体を楽しんでくれたら」。前日まで必死にダンスを練習していたと笑う村中さんは「子どもたちが笑顔で応えてくれてうれしかった。ピーマンやニンジンは子どもが嫌いなイメージがあったが、好きな野菜に挙げる子もいて驚いた」。2人は「岩手のおいしいものをいっぱい食べてすくすくと育ってほしい」と願った。
 
キャラバン隊から園児らに記念品の贈呈。園児からは感謝の気持ちを込めた手作りペンダントが贈られた(右下)

キャラバン隊から園児らに記念品の贈呈。園児からは感謝の気持ちを込めた手作りペンダントが贈られた(右下)

 
最後はクラスごとに記念撮影。思い出の一枚

最後はクラスごとに記念撮影。思い出の一枚

 
 県内の幼児施設を訪問する同キャラバンは新型コロナウイルス感染症の影響で中止が続いたが、昨年度から再開。今年度は上中島こども園を含め5カ所を訪問する予定。

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中学生7人が自らの体験、考えを堂々発表 「わたしの主張」釜石地区大会 県大会へ代表決定

わたしの主張釜石地区大会の出場者(前列)と主催者ら

わたしの主張釜石地区大会の出場者(前列)と主催者ら

 
 2023年度わたしの主張釜石地区大会(同実行委主催)は8月28日、大槌町文化交流センターおしゃっちで開かれた。釜石市、大槌町の7中学校から代表弁士各1人が出場。学校生活や地域との関わりの中で感じたこと、より良い社会の実現への提言など自身の思い、考えを自分の言葉で発表した。最優秀賞を受賞した釜石中3年の大下桜雅さんが、9月13日に盛岡市で行われる県大会に出場する。
 
 大会は次代を担う中学生の健全育成などを目的に、防犯団体、教育機関などが実行委を組織して毎年開催。本年度は新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い有観客で行われ、出場者の家族や大槌学園8年(中2)の生徒らが耳を傾けた。
 
各弁士の発表に家族や仲間、関係者が耳を傾けた

各弁士の発表に家族や仲間、関係者が耳を傾けた

 
 弁士は1人5分の持ち時間で発表。部活動やボランティア活動、地域の人との出会いから学んだこと、病に苦しむ人を支えられる社会への提言など、それぞれの体験を基に率直な意見が述べられた。4人の審査委員が論旨、表現、態度の項目で採点。総合点で3賞の受賞者が決まった。
 
右:千葉雫さん(大平中)=私を変えてくれたもの 左:小笠原愛光さん(釜石東中)=みんなが前向きに明るく生きるために

右:千葉雫さん(大平中)=私を変えてくれたもの 左:小笠原愛光さん(釜石東中)=みんなが前向きに明るく生きるために

 
右:倉本華さん(吉里吉里中)=「出会い」は世界を変える 左:髙清水琳世さん(大槌学園)=言葉の影響力

右:倉本華さん(吉里吉里中)=「出会い」は世界を変える 左:髙清水琳世さん(大槌学園)=言葉の影響力

 
右:森真心さん(甲子中)=誰かの笑顔のために 左:香川彩夏さん(唐丹中)=負けから学ぶこと

右:森真心さん(甲子中)=誰かの笑顔のために 左:香川彩夏さん(唐丹中)=負けから学ぶこと

 
 最優秀賞を受賞したのは「誰かの笑顔のために」と題して発表した釜石中3年の大下桜雅さん。病気などで髪を失った人のウィッグを作るための「ヘアドネーション」に取り組む大下さんは、小学3年時にテレビ番組で見た髪を伸ばす男子高校生の姿に刺激を受け、「自分も誰かの助けになりたい」と髪を伸ばし始める。「女子みたい」とからかわれたり、手入れの苦労もあったが、「応援してくれる友達がいて頑張れた」という。弁論では、提供される毛髪がまだまだ少ないという実態も紹介。「(ヘアドネの活動は)自分1人の力で成り立つものではない。活動を理解し実行する人が増えることで、困っている多くの人を笑顔にすることができる」と訴えた。
 
最優秀賞を受賞した釜石中3年の大下桜雅さん。ヘアドネーションについて思いの丈を発表

最優秀賞を受賞した釜石中3年の大下桜雅さん。ヘアドネーションについて思いの丈を発表

 
 小学校卒業時に1回目の毛髪の寄付をし、現在2回目を目指し伸ばし続ける大下さん。願うは「男女隔てなく(ヘアドネを)できるような社会」の実現。今回の弁論も「みんなに知ってもらえる機会」と捉え、夏休み開始とともに練習を続けてきた。本番は「ちょっと早口になってしまったかも」と改善点を見いだし、「県大会では釜石地区代表として最優秀賞を狙って頑張りたい」と意気込んだ。
 
 優秀賞は中総体卓球競技での敗戦から学んだことを発表した唐丹中3年の香川彩夏さん、優良賞は老人福祉施設などでの歌のボランティア活動を題材にした森真心さんが受賞した。
 
(右から)優良賞の森真心さん、優秀賞の香川彩夏さん、最優秀賞の大下桜雅さん

(右から)優良賞の森真心さん、優秀賞の香川彩夏さん、最優秀賞の大下桜雅さん

 
実行委の岩渕善吉会長(釜石地区防犯協会連合会会長)から表彰状が手渡された

実行委の岩渕善吉会長(釜石地区防犯協会連合会会長)から表彰状が手渡された

 
 審査委員長を務めた大槌町教委の松橋文明教育長は「自分の体験に照らし合わせながら、さらには他の人にも共感を呼ぶような内容」と出場者をたたえ、各弁論について感想を述べた。出場者には主催者から図書カードや記念の楯が贈られた。

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サンマ船 釜石・白浜漁港(箱崎町)から出漁 北の海へ、見送る家族ら「無事であれ」

白浜漁港から北海道へ向かうサンマ船「第二十八明神丸」

白浜漁港から北海道へ向かうサンマ船「第二十八明神丸」

  
 秋の味覚・サンマを求めて、釜石市箱崎町の白浜漁港からサンマ漁船「第二十八明神丸」(19トン)が2日、拠点となる北海道の釧路港へ向けて出港した。近年、サンマ漁を取り巻く状況は厳しく、不安を抱えての船出に。そうした中でも、見送る地域住民の表情は明るく、浜は活気づいた。
 
 同漁港からの出漁は40年ほど続くが、今ではこの船が唯一。船主の栗澤重之さん(61)を船頭に、息子の仁(まさし)さん(32)が機関長を務め、甲板長の佐々木康裕さん(39)、炊事長の佐々木幸喜さん(59)の4人で漁に出る。
 
 「ここ数年は資源量が少ないうえ、魚形が小型化していることもあり、水揚げは一番いい時から10分の1くらい。廃業になるかも」。重之さんは厳しい状況を語る。公海まで行く燃料代に加え、集魚灯など棒受網漁の設備装着など出漁の経費も掛かるが、「乗組員の生活もあるから。ほかの魚種のかたまりがピンポイントで見込まれ、一獲千金ということもある」と期待を込める。
 
大漁旗を掲げて船出の準備をする乗組員ら

大漁旗を掲げて船出の準備をする乗組員ら

 
乗組員を激励したり「祝い酒」を味わったり

乗組員を激励したり「祝い酒」を味わったり

 
 午前9時、大漁旗をはためかせながら岸壁を離れた第二十八明神丸。「気をつけて行ってこい」。乗組員の家族や漁師仲間、地域住民らが手を振って送り出した。船は漁港内を2周し、汽笛を鳴らして見送りに応えて外海に出た。
 
白浜漁港を離れる船を見送る地域住民ら

白浜漁港を離れる船を見送る地域住民ら

 
岸壁で見守る仲間に、乗組員も手を振って応える

岸壁で見守る仲間に、乗組員も手を振って応える

 
 当初、8月下旬に出る予定だったが、海況の状況が良くなく、数日待っての出漁。この日は土曜日ということもあって、子どもの姿もあった。地元でホタテやワカメなどの養殖を手掛ける浦島富司さん(71)は「遠出は若手に任せる。頑張ってこい。人が集まり、活気が出ていいな」と目を細めた。
 
 「無事であれ」。重之さんの妻イミさん(60)は願う。海に出る漁師の夫の帰りを待ちながら陸の生活を守っていて「一心同体だから」と、近年の不漁は切実な問題だという。大変であっても漁場へ向かう乗組員たちを送ろうと集まった住民らに「祝い酒」や赤飯などを振る舞い、ともに航海の安全、健康を祈った。
 
期待を込め船出した第二十八明神丸の乗組員

期待を込め船出した第二十八明神丸の乗組員

 
岸壁で手を振りながら船を見送る乗組員の家族ら

岸壁で手を振りながら船を見送る乗組員の家族ら

 
 水産庁が7月下旬に発表したサンマ長期漁海況予報(北海道東部~常磐海域)では、8~12月のサンマ来遊量を「低水準(昨年と同水準)」と予測している。明神丸は釧路港で待機し、漁場までの距離などを確認して出漁する予定。例年は10月半ばごろに釜石に戻る。

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防災の学び 伝え合う 釜石市・東海市の児童 まちの歴史から共通点を発見 友情深める

まちの特色や防災の取り組みを伝え合う釜石市と東海市の児童

まちの特色や防災の取り組みを伝え合う釜石市と東海市の児童

  
 姉妹都市提携を結ぶ釜石市と東海市の児童交流会が24日、釜石市の平田小(佐守直人校長、児童157人)であった。東海市の小学校12校から6年生24人が訪れ、平田小6年生(32人)と交流。互いの市の特色や防災学習の取り組みを紹介し、学び合いながら友情を深めた。
   
 平田小児童は「東日本大震災が起こった時、お母さんのおなかにいた人がほとんど」とした上で、津波襲来時の映像を紹介。家族らから話を聞いたり、避難訓練を年6回行っていることを説明した。全児童が水やタオル、カイロなどを入れた避難袋を用意していて、「いつ起こるか分からない災害。とにかく自分の命は自分で守る。津波が来たらとにかく高いところへ。『津波てんでんこ』の考えを大切にしている」と強調した。
  
東日本大震災時の津波の映像に見入る子どもたち

東日本大震災時の津波の映像に見入る子どもたち

 
ラグビーのまちについて紹介する平田小児童(右)

ラグビーのまちについて紹介する平田小児童(右)

   
 東海市の児童は熱心にメモを取ったり、デジタルカメラで写真を撮ったりしながら同年代の話に耳を傾けた。南海トラフ巨大地震を想定した備えについて発表し、ライフジャケットの着用訓練を行っていることを伝えた。
   
 4グループに分かれて、まちの特色や歴史などを発表し合ってより理解を深める時間も。東海市の児童が「震災のことを大人に初めて聞いた時、どんな印象だった?」と質問すると、平田小の児童は「小さい頃であまり分からなかった。学校で学習しながら知識を深めている」と答えた。ほかにも好きな給食のメニューやゲームの話題で会話を弾ませていた。
  
気になることを聞いたり答えたり、会話を弾ませたグループワーク

気になることを聞いたり答えたり、会話を弾ませたグループワーク

 
釜石にまつわるクイズに挑戦する東海市の児童(奥)

釜石にまつわるクイズに挑戦する東海市の児童(奥)

   
 平田小の熊谷凜音(りの)さんは「10年くらい前につらいことがあったけど、頑張ているよとしっかり伝えられた」と胸を張り、久保心輝(こうき)君は「鉄のまちが共通点ということが印象に残った。仲良くなって交流を続けられたら」と期待した。
   
 東海市立横須賀小の女子児童は「避難袋の取り組みが印象的。細かい準備をしていれば、いざという時に安心すると思う。すごい被害のあった震災のことをきちんと理解して、備えられるようにしていると感じた」と刺激を受けた。加木屋南小の男子児童は鉄の歴史に理解を深めた様子。「鉄の発展は大島高任のおかげ。学びや経験を伝えたい」と背筋を伸ばした。
  
東海市にちなんだ献立も入った給食を一緒に味わう

東海市にちなんだ献立も入った給食を一緒に味わう

   
 両市は、1960年代に釜石製鉄所から700人超が家族を伴って東海製鉄所に移ったことをきっかけに交流を開始。2007年に姉妹都市となり、スポーツを通じた交流事業などで絆を深めてきた。東海市は震災後、物資支援、職員の派遣、ラグビーW杯に向けた多額の寄付など支援を続け、中学生の海外体験学習事業(新型コロナウイルスの影響で現在は実施せず)などでも連携。児童の交流は21年度から続けている。

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遊び尽くす!釜石の海 箱崎白浜・隠れ家的ビーチでワンデイキャンプ 「怖い」を「楽しい」に

さまざまな遊びや体験で海に親しむ家族連れら

さまざまな遊びや体験で海に親しむ家族連れら

  
 知る人ぞ知る釜石市のシークレットビーチ、箱崎白浜の通称“小白浜”海岸で19日、親子で海に親しむイベント「海あそびワンデイキャンプ」があった。海に関わる活動を展開する団体や漁師らでつくる「海と子どもの未来プロジェクト実行委員会(通称・さんりくBLUE ADVENTURE)」が主催。東日本大震災後に進んだ“海離れ”を食い止めたい、地元の自然に誇りと愛着を持ってほしい―と続けられ、今回で10回目となった。市内の家族連れを中心に60人超が参加。夏の暑さが残る水辺に歓声を響かせた。
  
 参加者はウエットスーツとライフジャケットを身に着けて海ヘゴー。シーカヤックやスタンドアップパドルボード(SUP)による水上散歩、シュノーケリングでの生き物観察、砂遊びなど思い思いに時間を過ごした。昼食にカレーライスを味わった後は、釜石ライフセービングクラブの安全講習。水辺防災の合言葉「ういてまて」を実践した。
 
カヤックや救助用ボードで海に繰り出す子どもたち

カヤックや救助用ボードで海に繰り出す子どもたち

 
水上バイクの試乗体験でうれしそうに手を振る子どもたち

水上バイクの試乗体験でうれしそうに手を振る子どもたち

 
波に揺られるだけでも楽しい。磯の生き物探しもできちゃう

波に揺られるだけでも楽しい。磯の生き物探しもできちゃう

 
 小川町の久保綺良里(きらり)さん(小佐野小5年)は初参加。救助用水上バイクの試乗や砂浜での“シーグラス”探しなどを楽しんだ。「気持ちよくて楽しい場所。友達が一緒なのもうれしい」とにっこり。父の文之さん(49)は「いろんな遊びがそろっている」と歓迎した。平田の尾崎白浜出身で、実家のなりわいが漁業ということもあり海は身近な存在。だが、震災の津波で漁具を失ったり苦い記憶も。それでも「海を嫌いになることはない」ときっぱり。楽しい思い出が多く、子どもにも良さを伝えたいと思う。「いざという時は逃げろ。そのことを守ればいい」。のびのびと活動するまな娘を優しく見守っていた。
 
 ラグビーイベントに合わせて来釜中の広島市のグループも参加した。碓井大和(やまと)君(深川小6年)は足ひれをつけて海に飛び込み、大はしゃぎ。さまざまな遊びを満喫していた。感想を聞いてみると、「海を嫌いな子も楽しめるんじゃないかな」と予想外の答えが返ってきた。「実はしょっぱい海水が苦手」とのこと。それでも白い砂、透明度の高い海に好印象を持ったようで、「遊び尽くす」と元気だった。
  
釜石の海を満喫中。子どもも大人もみんな笑顔
 

釜石の海を満喫中。子どもも大人もみんな笑顔

  
水上散歩、砂遊び…好きなように時間を過ごす参加者

水上散歩、砂遊び…好きなように時間を過ごす参加者

  
 小白浜は古くから地元住民がレジャーを楽しんでいた隠れ家的な場所。陸路で行くこともできるが、船での移動が便利で、このイベントでは漁師4人が白浜漁港からの送り迎えに協力した。「ホワイトビーチ」と呼ぶこともあると教えてくれたのは地元の佐々木幸喜さん(59)。仲間の佐々木義光さん(53)=片岸町室浜=と一服しながら、「自慢のビーチに人が集まるのはいいことだ。いろんな人と顔見知りになれるし、毎年楽しみにしている」と表情は明るかった。
 
昼食のカレーライスや汁物を届けるのは地元漁師の船

昼食のカレーライスや汁物を届けるのは地元漁師の船

 
漁港からシークレットビーチまでの送迎を担当した漁師たち

漁港からシークレットビーチまでの送迎を担当した漁師たち

 
 こうした景観のいい環境で体験活動を行うことで地域に魅力を感じ、自然を残し守ろうという気持ちになってもらうのが狙いの一つ。安全確保の条件が良いのもポイントで、有事の際にはハイキング路を利用し高台避難も可能だ。団体が連携することで多彩なプログラムを提供でき、それぞれの取り組みを知ってもらうことで次世代に活動をつなぐとの期待感もある。そして欠かせないのが地域の力。運営には住民、高校生や大学生など市内外のボランティアが協力し、実行委と合わせると約40人が関わった。
 
 「海の恵みをもらって暮らしている地域。豊かな経験を通し、いい思い出を作ってほしい。それが生きる力にもなるはず」とさんりくBLUE ADVENTURE共同代表の佐藤奏子さん(44)。震災後、気になっているのが海離れで、「海は怖いもの」と印象をいまだに残す人がいると感じている。「心の距離がある人たちが少しでも海に触れ合える機会になればいい。楽しい記憶を親子で残すことができたら、自然の見方や海への気持ちも変わってくると思う」。そのきっかけづくりになるよう取り組み続ける構えだ。
 
「古里の海の思い出と生きる力を育んでほしい」と佐藤奏子さん

「古里の海の思い出と生きる力を育んでほしい」と佐藤奏子さん

 
 同キャンプは海外からの大きな支えもあって継続する。釜石にゆかりのある元プロトライアスリートのマイケル・トリーズさん(英国出身)が設立した社会貢献団体「Tri 4 Japan(トライ・フォー・ジャパン)」の寄付で運営。新型コロナウイルスの影響で来釜は見送られているが、トリーズさんは心を寄せ続けているという。
 

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スイカ割り、花火…夏の風物詩で世代間交流 釜石小・大町地区子供会 地域とのつながりづくり

スイカ割りで交流を楽しむ釜石小児童とお年寄り

スイカ割りで交流を楽しむ釜石小児童とお年寄り

  
 釜石小学校(釜石市大渡町)の大町地区子供会(千葉法子地区長、児童21人)は17日、地区内にある高齢者施設で世代間交流会を開き、多世代でスイカ割りや花火遊びを楽しんだ。夏休みの親子レクリエーション行事として実施。児童と保護者ら30人がお年寄りと触れ合いながら思い出を作った。
  
 親子レクは新型コロナウイルス禍で行えずにいたが、感染症法上の位置づけが5類に引き下げられたこともあり、「子どもたちに楽しい夏の思い出を」と数年ぶりに計画した。子どもが大人たちと関わることで地域とのつながりができることをしようと考え、市地域包括支援センターに相談。同センターが、認知症対応型共同生活介護や小規模多機能型居宅介護事業を行うコンフォートライフ(松田宇善代表社員)に話を持ちかけた。
   
 会場は、同社が運営する施設「やかた」の駐車スペース。小規模多機能ホーム(定員29人)、グループホーム(同9人)、デイサービス(同3人/日)の入居者や利用者、職員ら30人ほどが子どもたちを待ち構えた。
   
子どもたちがスイカ割りに挑戦。目隠しをして臨んだ

子どもたちがスイカ割りに挑戦。目隠しをして臨んだ

   
 同センターが用意したスイカを前に、幅広のひもで目隠しした児童たち。プラスチック製の野球バットを手に3回、ぐるぐると回って、おぼつかない足取りでスイカに向かって進んだ。頼りは、友達からの「もっと右」「もう少し前」などの声。歩を止め、中腰の姿勢で力いっぱいバットを振りおろし、見事、スイカに命中すると、「おおー」と歓声と拍手が沸き起こった。
   
「そのまま真っすぐ」「はい、ストップ」。友達の声が頼り

「そのまま真っすぐ」「はい、ストップ」。友達の声が頼り

  
スイカ割りのこつは中腰。命中してもしなくても楽しい

スイカ割りのこつは中腰。命中してもしなくても楽しい

  
施設職員は方向を見失った“フリ”で利用者を驚かせたり

施設職員は方向を見失った“フリ”で利用者を驚かせたり

   
 スイカを味わった後は、花火遊びの時間。子どもたちが手持ち花火を楽しむ様子をお年寄りが見守った。5年の羽賀孔成君は、参加したくてうずうずしていた高齢男性に線香花火を手渡し、一緒にパチパチ。「喜んでもらえて良かった。やかたの前を通った時に顔を見たら、『こんにちは』と声をかけたい」と笑った。
   
手持ち花火を楽しむ子どもたち。「煙たいけどキレイだね」

手持ち花火を楽しむ子どもたち。「煙たいけどキレイだね」

  
「わー、きれい」。置き型の噴出花火は少し離れて楽しんだ

「わー、きれい」。置き型の噴出花火は少し離れて楽しんだ

   
 地域密着型の運営を目指す同施設では外部との交流行事や利用者主体で小学生の登下校を見守る「スクールガード」などを行っていたが、コロナの影響で中断。5類移行で行動制限は緩和傾向にあるが、高齢者施設での対応は変わらず続いていて、今回の交流会も悩んだという。ただ、入居者らが喜ぶ姿に、松田代表(52)は「いろいろ刺激になったようだ。この『家』からどんどん外に出て飲んだり買い物したり自由に過ごしてもらうのが理想。地域に開かれている施設として、できる形でつながりを深めていきたい」と見据えた。
   
児童とお年寄りが仲良く花火を楽しむ様子を見守る千葉地区長

児童とお年寄りが仲良く花火を楽しむ様子を見守る千葉地区長

   
 千葉地区長(47)は市臨時職員として高齢者と関わりのある業務に携わっていて、「子どもとの交流を通して高齢者に役割を見いだしてもらえたら」との期待もあった。世代を超えて夏の風物詩を堪能する様子に、ほっとした様子。「普段、地域に見守られている子どもが、今日は元気を分けられたと思う。にぎやかさが広がるような企画を続けたい」と思いを巡らせた。

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日本の夏風景戻る コロナ禍経て各地で盆踊り再開 釜石・小佐野町内会もにぎやかに

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4年ぶりに開かれた小佐野町内会の盆踊り=17日、北銀小佐野支店駐車場

 
 釜石市の小佐野町内会(佐々木喜一会長、340世帯)は17日、新型コロナウイルス感染症の影響で中止していた盆踊りを4年ぶりに再開。地域住民らが踊りや出店、抽選会などを楽しみ、久しぶりの町内会行事で交流の輪を広げた。各種制限が緩和されたこともあり人出は予想以上。休止していた町内会活動復活へ弾みをつけた。
 
 同町内会の盆踊り会場は北日本銀行小佐野支店の駐車場。12日にやぐらを設営し、16日の開催を予定していたが、夕方からの悪天候が予想されたため翌17日に延期された。町内会役員らが午前中からちょうちんを取り付けるなどし会場準備。午後6時半に開会した。
 
 小佐野コミュニティ会館を練習拠点とする釜石民謡クラブが協力し、踊りを先導。「炭坑節」「相馬盆唄」といった盆踊りの定番曲のほか、地元の「釜石小唄」で踊りを楽しんだ。大小の太鼓で盛り上げたのは、町内で病院や介護施設を運営する医療法人楽山会、社会福祉法人楽水会の職員ら4人。地域の盆踊りへの協力は長年続く。
 
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市民に親しまれる「釜石小唄」は盆踊りでも踊られる地元の定番

 
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地元の楽山会、楽水会職員は大小の太鼓で協力。子どもたちにもたたき方を教えた(右上)

 
 会場では同会館で活動するエアロビックダンスグループ・キッズDADAの発表も。幼稚園のころから活動する佐野雪乃さん(8)は「いつもと違って人がいっぱいで慣れない感じ。でもうまく踊れた」と満足げ。初めての盆踊り参加を楽しんだ。民謡クラブは三味線伴奏で「ソーラン節」「大漁唄い込み」などの歌も披露。平田いきいきサークルは「サザエさん」の歌などで簡単な振り付けを披露し、来場者と楽しんだ。
 
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元気いっぱい!!エアロビックダンスを披露するキッズDADA

 
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歌や踊りで協力した釜石民謡クラブのメンバーら

 
 辺りが暗くなり始めると来場者はどんどん増え、踊りの輪も大きくなった。子どもたちは見よう見まねで手を動かし夏の思い出づくり。曲のリズムに合わせて太鼓をたたいてみる子もいて、たくさんの笑顔が広がった。
 
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暗くなると、やぐらの周りには老若男女の踊りの輪ができた

 
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子どもたちも久しぶりの盆踊りを楽しんだ

 
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会場には多くの地域住民が訪れ、お盆の風物詩を満喫した

 
 小佐野町の四宮香蓮さん(9)は「盆踊りに来たことはあるけど踊るのは初めて。踊りは覚えれば簡単で楽しかった」と笑顔。「明日から学校が始まる。夏休み最後のいい思い出になった」と喜んだ。母実佳さん(38)は久しぶりの開催に「活気が出ていいですね。やってもらってうれしい。コロナも明けて子どももすごく楽しんでいたよう」と声を弾ませた。
 
 会場には3店の出店が並び、焼き鳥や焼きそば、かき氷などの屋台メニューを販売。地元小佐野在住で、本場中国の味を再現した「月餅」販売が人気を集める高莉莉さん(リリーズ美食工房)も初の盆踊り出店で地域との交流を深めた。地元商店会の協賛による抽選会では、1~3等で米やタオルギフト、菓子詰め合わせ、ラッキー賞25本は商品券が当たるとあって、来場者は期待しながら番号の発表を待った。
 
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夏祭り気分を上げる飲食の出店には家族連れなどが列を作った

 
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「当たるかな?」抽選会の番号発表に期待を高める来場者

 
 古くから釜石製鉄所の社宅エリアだった小佐野町では、社宅自治会単位で盆踊りを開催してきた経緯がある。21年ほど前、小佐野町内会が発足したのを機に、地元商店会との合同盆踊りがスタート。2夜の開催で、町内会員はもとより周辺の小川町、定内町などからも来場者が訪れる一大イベントとなっていた。
 
 佐々木町内会長(82)は「しばらくぶりだったが、思ったより人が集まった。今年は特にも子どもが多い印象。祖父母の家に帰省中の子もいるのかも。これからもみんなで相談しながらより楽しめる盆踊りにしていきたい」と話した。

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水中花火、スターマイン…釜石港に光の大輪 3千発の花火に市民、帰省客ら歓声

名物の水中花火などで楽しませた「釜石納涼花火2023」=11日、釜石港

名物の水中花火などで楽しませた「釜石納涼花火2023」=11日、釜石港

 
 釜石市の夏の夜を彩る納涼花火2023(市、釜石観光物産協会主催)は11日、釜石港で開催された。東日本大震災犠牲者の鎮魂、まちの活性化を願い、約3千発を打ち上げ。港周辺に設けられた4つの観覧場所で市民や帰省客、観光客らが夜空を焦がす光の競演に酔いしれた。主催者によると、4カ所の人出は計約1万3千人。昨年より約3千人増えた。
 
 花火の打ち上げは、震災復興支援で釜石市とつながる秋田県大仙市の大曲の花火協同組合(小松忠信代表理事=小松煙火工業代表取締役)が担当。職人16人が来釜し、午後7時過ぎから約1時間にわたって、43のプログラムで見物客を楽しませた。
 
 震災犠牲者にささげる鎮魂の花火「白菊」からスタート。4~8号玉、スターマインの打ち上げ花火のほか、小型船が移動しながら仕掛ける水中花火が次々に繰り出された。圧巻は海面上に半円形に広がる水中花火。岸壁に陣取った客はその大きさと音の迫力に歓声を上げた。観光物産協会は今年からホームページで、全プログラムと花火のタイトルを公開。発想力豊かなネーミングも目を引いた。
 
さまざまな色彩や形の花火が見物客を魅了した

さまざまな色彩や形の花火が見物客を魅了した

 
日本製鉄の桟橋クレーンと花火の競演は釜石の花火大会おなじみの光景

日本製鉄の桟橋クレーンと花火の競演は釜石の花火大会おなじみの光景

 
海面に映る光も美しい港ならではの花火大会=港町の観覧エリアから撮影

海面に映る光も美しい港ならではの花火大会=港町の観覧エリアから撮影

 
 神奈川県横浜市の矢吹春花さん(27)は釜石にある父親の実家に帰省中。おじ、おばらと魚市場会場で花火見物を楽しんだ。「釜石の花火はコロナ前以来。今年はぜひ見たいと思って」と前日に釜石入り。「水上花火が特に良かった。夏を満喫できた」と喜び、「コロナ禍も明けてみんなで楽しめるようになってうれしい。台風もあるので14日に戻る。新幹線が動きますように」と願った。
 
 釜石市松原町の大久保友結さん(11)は浴衣姿で花火見物。「小さいのも大きいのもあって、色がとてもきれい。また見たいと思った。今日のことは絵日記に書く」と夏の思い出を心に刻んだ。父幸徳さん(41)は「いつもイオン側から見ていたが、初めて魚市場側に足を運んだ。最高でしたね。子どもたちも喜んでくれた」と満面の笑顔。コロナ禍で中止になった2020、21年の2年間は「待ち遠しかった。夏はやっぱり花火がないとね」と、盆前恒例イベントの再開を歓迎した。
 
出店は昨年同様、魚市場と港町の2カ所に設置。夕方から大勢の人でにぎわった

出店は昨年同様、魚市場と港町の2カ所に設置。夕方から大勢の人でにぎわった

 
夏の夜空を色鮮やかに染める花火。見物客は目と耳で堪能

夏の夜空を色鮮やかに染める花火。見物客は目と耳で堪能

 
子どもも大人も花火に夢中。多くの人がスマホカメラ片手に見入った

子どもも大人も花火に夢中。多くの人がスマホカメラ片手に見入った

 
 同市の花火大会は震災後、安全上の観点から観覧場所を指定して行われる。2019年からは市魚市場(魚河岸)、港町岸壁、同グリーンベルト、イオンタウン釜石屋上(港町)の4カ所を指定。コロナ5類移行で各種規制が緩和された今夏は、マスクをはずして花火を楽しむ人たちが多かった。主催者は「事故なく、多くの皆さんに楽しんでいただけた」と協力に感謝。

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子どもだけじゃない!? 大人だって楽しむ 釜石・栗林小PTA 川遊びで見せる本気

友達と川遊びを楽しんで夏休みの思い出をつくる栗林小の子どもたち

友達と川遊びを楽しんで夏休みの思い出をつくる栗林小の子どもたち

  
 釜石市の栗林小PTA(小笠原亮会長)の親子行事「川遊び」は5日、栗林町道々橋付近の鵜住居川河川敷で行われた。夏休みの恒例行事だが、新型コロナウイルス禍で開催できない状況が続いていた。夏空の下、集える喜びに子どもも大人も大はしゃぎ。ただ、近年は夏の暑さに気を配る必要もあり、子どもたちの笑顔を広げようと温かい思いを持つ親たちは熱中症対策にも大忙しだった。
   
 栗林小(八木澤江利子校長、児童32人)の児童とPTA、教職員ら約50人が参加。水着やウエットスーツ、ライフジャケットを身に着けた子どもたちは川で泳いだり水の中の生き物を探したり、びしょぬれになりながら思い思いに遊びを満喫した。
  
道々橋そばの河川敷は子どもたちの遊び場の一つ

道々橋そばの河川敷は子どもたちの遊び場の一つ

 
何がいるかな?小さない水中生物探しを楽しむ姿も

何がいるかな?小さない水中生物探しを楽しむ姿も

   
 この行事に欠かせないものが、父親らの手づくり「いかだ」。以前はタイヤのゴムチューブとすのこ板を組み合わせた形だったが、乗り降りの時にけがの心配もあったことから、今回は発泡スチロールとビニール、ロープを使った改良版を用意。ロープを大人がコントロールし、安全に川下りを楽しめる仕様。いかだに乗った子どもたちは足をばたつかせて水をかけ合ったり、河川敷で見守る母親らに手を振ったりしていた。
  
いかだはお父さんたちの手作り。乗り心地もよさそう

いかだはお父さんたちの手作り。乗り心地もよさそう

 
いかだをコントロールする大人たちの動力は子どもの笑顔

いかだをコントロールする大人たちの動力は子どもの笑顔

   
 5年の栗澤桂人君は「ボートが一番。滑ってきついけど楽しい。水も気持ちいい」と笑顔を弾けさせた。「小学校生活最後の夏だから、みんなと川遊びができて良かった」と頬を緩めたのは6年の佐々木さやかさん。カゲロウなど水中生物をつかまえて年下の子に見せたりしていて、「自然が豊かでいいところ」と地域への愛着を深めた。
   
 この日は岩手県内に熱中症警戒アラートが発令され、教員らが気温や湿度から算出する「暑さ指数」を測定、確認しつつ実施。県教委が部活動などを中止する基準とする31度を超えなかったため、予定時間いっぱい活動を続けることができた。合間には保護者らが買い出しに行き、涼を感じる状態のスポーツドリンクやアイスで水分補給。休憩時間も設けて予防対策には熱を込めた。
  
暑さ指数を確認するなど熱中症対策にも気を配った

暑さ指数を確認するなど熱中症対策にも気を配った

   
 「大人も本気で遊ぶのがこの行事の特徴」と小笠原会長(37)。自身は魚突きもりを手に水中探索に夢中で、「子どもの頃、夏休みの水遊びといえばこの川で、アユ釣りをしたり。自然相手に遊べる機会を残したいから、大人になっても懸命に遊ぶ姿を見せたい」とちゃめっ気たっぷりに笑った。この行事は昼食にバーベキューを味わうのが定番だが、今年は熱中症だけでなく、感染症予防もあって実施を見送った。
 
子どもに負けじと大人たちも笑顔を広げた川遊び

子どもに負けじと大人たちも笑顔を広げた川遊び

  
 八木澤校長は「子どもを思う心が根づく地域。自然に親しませてもらい、ふるさとを大事に思う気持ちが育っている」と感心する。夏は水にまつわる事故を耳にすることが多くなるが、川遊び行事は危険な場所などを知る機会にもなると指摘。大人たちがしっかり準備し見守ることで、「安全を実感できただろう」と目を細めた。
   
 次にPTAの親たちが本気を見せるのは秋に予定されている同校の学習発表会「栗っ子祭り」。自分たちも楽しむことで子どもたちの笑顔を広げようと意気込んでいる。
 
 

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平和への願い 未来につなぐ 艦砲被災から78年 釜石市、戦没者を追悼

「思いを引き継ぐ」。釜石市戦没者追悼・平和祈念式で心に刻む釜石市と青森市の中学生

「思いを引き継ぐ」。釜石市戦没者追悼・平和祈念式で心に刻む釜石市と青森市の中学生

  
 太平洋戦争で釜石市が受けた2度目の艦砲射撃から78年の9日、市戦没者追悼・平和祈念式が大町の市民ホールTETTOで行われた。遺族や関係者ら約120人が参列。過去の戦争で犠牲となった戦没者や戦災殉難者を慰霊するとともに、無残な戦争を繰り返さないよう平和への願いを心に刻んだ。
  
 黙とうをささげた後、式辞に立った野田武則市長は「戦争の悲惨さを決して忘れることなく、恒久平和の確立に向けて努力することが国内で唯一、2度にわたる艦砲射撃の攻撃を受けた歴史を持つ当市に課せられた使命。平和への願いを心に刻み、戦争の記憶を風化させず後世に語り継いでいく」と犠牲者に誓った。
  
 満州に出征した父正雄さん(当時33)、3人のおじを亡くした市遺族連合会の佐々木郁子会長(80)=平田・尾崎白浜=が遺族を代表し追悼のことば。「戦争は罪もない人々の命を絶ち、幸せを取り上げ、憎しみしか残さない。私たちも高齢となったが、後の世代に戦争の史実と命の大切さを伝えていくことが使命であり、生きたくても生きられなかった人々の思いを大切にしてほしいと訴えていく」と思いをかみしめた。
  
遺族を代表して追悼のことばを述べた釜石市遺族連合会の佐々木郁子会長

遺族を代表して追悼のことばを述べた釜石市遺族連合会の佐々木郁子会長

  
 平和・防災学習相互交流事業の一環で青森市と釜石市の中学1年生計19人も参列しており、青森の奥崎莉生さん(油川中)、三上飛真さん(東中)、福士小和さん(同)、釜石の白石恋菜さん(甲子中)が戦争体験者の話や震災伝承施設の見学などの活動、学びについて発表。「新しい仲間と平和や防災ついて語り合える貴重な機会。私たちはこれからもお互いに平和を引き継ぐ思いを大切にし、みんなが安心して平和に暮らせる未来を創造していきたい」と思いを共有した。
  
釜石と青森の中学生は平和への思いを発表した後に献花した

釜石と青森の中学生は平和への思いを発表した後に献花した

  
 市内の合唱グループ「翳(かげ)った太陽を歌う会」が、釜石艦砲の惨禍を伝える女声合唱組曲「翳った太陽」を5年ぶりに献唱。参列者は祭壇に白菊を手向け、戦争犠牲者の冥福を祈った。式典時間に来られなかった人たちのため、会場内の献花台が午後2時まで開放された。
  
戦争の悲惨さ、平和の尊さを訴える「翳った太陽」を献唱する会員

戦争の悲惨さ、平和の尊さを訴える「翳った太陽」を献唱する会員

  
参列者が献花。戦災犠牲者を悼み、平和を願った

参列者が献花。戦災犠牲者を悼み、平和を願った

  
 遺族や参列者が高齢化する中、平和への思いを未来につなぎ、取り組みを次世代に継承するため、本年度から式典の名称に「平和祈念」が加えられた。会場には釜石艦砲や太平洋戦争に関する資料、市戦跡マップを展示。ロシアによるウクライナ侵攻に関連して日本赤十字社による人道支援活動の紹介パネル、救援金の募金箱も設置した。
  
 こうした取り組みについて、野田市長は「若い世代も含め幅広く参加しやすく」と意義を強調。佐々木会長は「これを機に心安らかに暮らせる日々、命の大切さ、平和であることのありがたさを考える日なれば」と願った。
   
 終戦間近の1945年、釜石市は7月14日と8月9日に米英連合軍による艦砲射撃を受け、780人以上が犠牲になった。青森市は7月28日、米軍のB29爆撃機による空襲で、1000人超が犠牲になっている。
 
 

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諦めず夢つかむ 将棋・小山怜央四段 古里釜石で講演 プロ棋士への歩み回想

将棋プロ棋士・小山怜央四段誕生の道のりを紹介する講演会

将棋プロ棋士・小山怜央四段誕生の道のりを紹介する講演会

 
 釜石市出身の将棋・プロ棋士、小山怜央四段(30)の講演が5日、同市大町の釜石PITであった。将棋との出合いやプロになるまでの道のりを紹介。プロ入り後の戦いぶりにも触れ、「対局で活躍し、いいニュースで恩返ししたい」と意気込みを語った。市の主催で、市民や将棋ファンら約70人が聴講。諦めずに夢をつかみ取った姿をじかに感じ、「応援するぞ」との思いを強めていた。
 
プロ棋士になるまでの道のりを語る小山四段

プロ棋士になるまでの道のりを語る小山四段

 
 岩手県初のプロ棋士でもある小山四段は、現行制度で棋士の養成機関である奨励会を経験せずに棋士編入試験を突破し、4月にプロ入りしたばかりだ。将棋との出合いは小学2年生のころ。携帯型ゲームのやりすぎで目まいを起こし、心配した両親に勧められたのが将棋だった。弟、母と一緒にルールを覚え、子ども大会への参加を重ね、「負けた悔しさ」でどんどん熱中。他にも習い事をやっていたというが、「家族で出かけていたのは将棋だけ。小山家にとって特別な存在だった」と回想した。
 
 釜石高2年の時に経験した東日本大震災にも触れた。鵜住居町にあった自宅を津波で失い、避難生活を送る中で、「心の支えは将棋だった。弟や部活の仲間と指している時は忘れられた」と小山四段。避難所には将棋関係者が慰問に来てくれたといい、「助け合える存在の大切さに気づかされた」としみじみと語った。
 
震災後の避難生活を写真で紹介。この時に心の支えになったのが将棋

震災後の避難生活を写真で紹介。この時に心の支えになったのが将棋

 
 プロになれるなら、なりたい―。奨励会に挑むチャンスは過去に2度あった。中学生、大学生の時に受験したが合格できず、気持ちを切り替え社会人に。仕事を中心に頑張る中、通勤時間を使って棋力を磨き続けていると、編入試験への挑戦が見えてきた。奥にしまい込んでいたプロへの気持ちがふつふつと沸き上がり、勤めていた会社を退職。その頃に始めたのがAI(人工知能)を用いた勉強法で、苦手だった序盤の研究に時間を費やした。
 
 昨年9月にようやく編入試験の受験資格を得た。試験は勢いのある新人棋士との5番勝負。プロ入りへあと1勝として臨んだ運命の第4局は「うまくいきすぎなくらい」思い通りの形で進んだ。中盤に形勢が接近した場面もあったが、「冷静になって指したら残せた。いろいろあったが棋士になれた」と振り返った。
 
 プロになってからは「2勝5敗で正直、不本意」と思いを吐露。静かな闘志を胸に秘めている様子で、「いつかは活躍するので応援をよろしくお願いします」とはにかんだ。5月下旬には宮古市で行われた将棋の8大タイトルの一つ叡王戦5番勝負の第4局で大盤解説を担当。中学生選抜大会の審判などもこなしていて、大好きな将棋に関わる日々に充実感をにじませた。郷里岩手からの熱い応援を感じており、「恩返ししたい。対局でいいニュースを届けたい」と力を込めた。
 
小山四段の話に聞き入った釜石市民や将棋ファン。活躍に期待を込め拍手を送る

小山四段の話に聞き入った釜石市民や将棋ファン。活躍に期待を込め拍手を送る

 
 講演では質疑応答の時間も。「勝負飯は?」との問いには「マーボー豆腐ですかね。のどを通りやすいから」と答えて会場を沸かせた。「最も心に残る一戦」として挙げたのは編入試験の第1局。勝率8割超だった徳田拳士四段との対局で、「研究通りにうまくいき、素直にうれしい勝ちだった」と晴れやかな表情を見せた。「言ってなかったんですが、実は…」。この対局の1週間前に体調を崩していたと明かし、体調管理の大事さを再認識した一戦でもあったという。
 
 プロ棋士誕生に大興奮の藤井尚美さん(47)は小山四段と同じ鵜住居町出身。「将棋はよく分からないけど、応援したい。家族のサポート力の強さを感じ、ほっこりした気持ちになった」と目を細めた。同僚の釜石高教諭、湊博之さん(52)は「挫折しながらも最後に夢をつかむ姿に感銘を受けた。諦めず続けたから、チャンスに巡り合うことができたのだろう」と推測。同校将棋部顧問の小澤光悦教諭(60)=北上市=は「今はフリークラスだが、名人への挑戦権を争う順位戦に出られたらいい。棋士として長く頑張ってもらいたい」と期待した。