お待たせ!釜石の秋味・甲子柿 生産組合、目揃会 出荷へ気合「まだこれから」
真っ赤に色づいた甲子柿。出荷が始まった
釜石市特産の甲子柿が出荷シーズンを迎え、甲子柿の里生産組合(佐々木裕一組合長、23人5団体)は10月27日、品質を確認する「目揃(めぞろえ)会」を開いた。今年は天候の影響で収穫前に落果したり実の色づきも遅れていたが、出荷量は例年並みとなる見通し。新規就農者が仲間入りという明るい兆しも加わり、組合員らは甘くとろける伝統の味を全国に届けようと意気込む。
甲子町の洞関地区コミュニティ消防センターで開かれ、関係者ら約20人が参加。生産者10人が化粧箱に詰めた柿を持ち寄り、仕上がりを確認した。今年は春先まで霜が降りたり夏場は異常な高温が続いたうえ、収穫を目前にした10月上旬の強風により実が落下。ただ、大きめの実は風に負けず残っていて収量は予想より上向きになる見通しだ。
目揃会で出来を確かめる生産者ら
初参加の内舘靖さん(54)は今年、千葉県船橋市からUターンして本格的に甲子柿づくりに取り組む。生産技術者という理系分野からの転身で農業分野の生産は手探りだったというが、「先輩方の足元くらいの出来栄えにはなったかな」とほっと一息。形や色つや、美しさはまだまだと身に染みていて、「追いつけるように」と前を向く。地域を出たことで「当たり前だと思っていた秋の味覚が普通ではない」と認識したのが帰郷のきっかけ。地域の魅力を生かし、「伝統を残したい」と意欲を見せた。
新人(右)と先輩生産者が情報交換
鮮やかな色とぷるんとした食感が特徴の甲子柿
甲子柿は、小枝柿を「柿室(かきむろ)」と呼ばれる暗室で1週間ほどいぶして渋抜きするのが特徴。完熟トマトのように真っ赤に色づき、“ぷるん”とした食感になる。出荷作業は11月中旬まで続く見込み。佐々木組合長(72)は「厳しい天候が続いたが、おいしく仕上がった。みずみずしい甘さを味わってもらえたら。新規就農もあり、品質の統一を図りながら地域の味を届けていきたい」と力を込めた。
市内の産直や一部スーパーでは昨年より10日ほど遅れて店頭を彩るように。道の駅釜石仙人峠(甲子町)では秋味を待っていた人たちが手に取り、あっという間に「完売」になるという。佐々木雅浩駅長は「まだこれから。地域を発信し、活性化させる味をより多くの方に提供したい」と腕まくり。小型ののぼり旗を用意し、生産者を知ってファンになってもらう取り組みなどで味の伝承を応援する。
道の駅釜石仙人峠の店頭に並ぶ甲子柿
同組合では市外への認知度アップを目指し、▽イオン盛岡店内「もりおかん」販売会(11月4日)▽仙台藤崎百貨店GI産品フェア(10-12日)―への参加を予定する。
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