4年ぶりに分列行進を行った釜石市消防団消防演習=5月28日
釜石市消防団(坂本晃団長、団員533人)は5月28日、2023年度の消防演習を市内3会場で行った。新型コロナウイルス感染症の影響で20年度以降、中止や規模を縮小しての開催となっていたが、本年度は分列行進や放水訓練を再開。団員らが士気を高めるとともに、市民への防火思想の普及を図った。
鈴子町の消防庁舎駐車場で行われた開会行事には団員310人と来賓、関係者55人が参加した。東日本大震災の犠牲者に黙とうをささげた後、統監の野田武則市長が訓示。地震や集中豪雨など大規模自然災害への対応、火災予防や早期鎮圧という消防任務の重要性を改めて示し、「有事の際、何よりも頼れるのは地域の消防団。より一層、火災予防啓発活動や日ごろの訓練に精励されるよう願う」と述べた。
統監の野田武則市長の訓示(左下写真)を受け、気を引き締める団員ら
姿勢を正し敬礼。真剣なまなざしで演習に臨む
災害現場や火災予防で優秀な活動をした団員や部をたたえる「釜石市長表彰」では、14人の団員に功績章、5つの部に竿頭綬(かんとうじゅ)が贈られた。在職3年以上で職務精励、消防技能に優れた団員8人には「市消防団長表彰」として精勤章が授与された。
本年度の新入団員は5人。代表の第5分団第2部の佐々俊樹さん(26)が坂本団長から辞令を受け、「良心に従って誠実に消防の義務を遂行する」と宣誓した。最後に、統監らによる観閲が行われ、整列した団員の服装などを見て回った。
竿頭綬を受ける各部の代表ら/左下写真は功績章(右)、精勤章の授与
新入団員を代表し辞令を受けた第5分団第2部の佐々俊樹さん(手前)
統監を先頭に行われた観閲
分列行進は大町の目抜き通りで行われた。4年ぶりのパレードを見ようと沿道に集まった市民らを前に、参加した全団員と消防車両38台が整然と行進。坂本団長以下団本部、各分団が訓練で培った規律ある行動を見せ、団の心意気を示した。市内9小学校、1中学校が加入する市少年消防クラブから児童生徒12人も行進に加わった。
坂本晃団長(左)のもと分列行進を行う団員/市少年消防クラブの児童生徒も行進し、防火思想の普及に協力(右下写真)
久しぶりの分列行進で士気を高める団員ら
初めて分列行進を見学した平田の菊池さやかさん(38)は団員や消防車両の数に驚き、「これだけ多くの方が市の消防のために働いてくれていることを知り、とても安心したし、頼もしいと感じた。震災で被災した時は消防団の方々に大変お世話になった。若い世代の団員がもっと増えて活躍してくれたらいいですね」と期待。消防車が大好きという長男創太ちゃん(2)はたくさんの車両に大興奮。「かっこよかった」と目を輝かせた。
消防車はライトを点滅させながらゆっくりと進む
圧巻の車列に沿道の子どもたちは大喜び。盛んに手を振って応援
演習の最後は放水訓練。千鳥町の甲子川河川敷に8つの分団の車両が一列に並び、川に向かって一斉に放水した。団員らは訓練で身に付けた技能を発揮。火災発生時の消火活動を迅速、確実に行うことへさらなる意識を高めた。
放水訓練も4年ぶりの実施。高々と水柱が上がる(写真提供:釜石市消防課)
釜石市内では今年に入り6件の火災が発生。3月の建物火災で1人が亡くなっている。発生件数は昨年1年間の5件を既に上回っており、団や消防本部ではさらなる予防、警戒活動へ気を引き締める。