タグ別アーカイブ: 地域

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160種のバラが彩るオアシス空間にうっとり… 釜石甲子「陽子の庭」10日まで一般公開

バラの開花に合わせ一般公開されている「陽子の庭」=甲子町洞泉

バラの開花に合わせ一般公開されている「陽子の庭」=甲子町洞泉

 
 釜石市甲子町洞泉の高台傾斜地に広がる私設ガーデン「陽子の庭」の一般公開が1日から始まり、市内外から訪れる人たちを魅了している。公開は今年で9年目。菊池秀明さん(76)、陽子さん(77)夫妻が自宅敷地に手作りした庭園には160種のバラが植えられていて、目にも鮮やかな花風景に驚きと感動の声が上がっている。一般公開は10日まで。週末の8、9両日には市内のバンドによる演奏も予定される。
 
 広さ約700坪の庭園は、菊池さん夫妻が16年ほど前から少しずつ造り上げてきたもの。自宅周辺の山の斜面を造成し、自然石のほか東日本大震災の被災者から託された庭石などを用いて、エリアごとに和洋の異なる趣を醸す空間を実現した。日本庭園、イングリッシュガーデン、ロックガーデン…。多種多様な草木が植えられた園内は、季節ごとにさまざまな花が咲き誇る。4年前にはバラ専用エリアも設けられた。
 
山の斜面を使って造成された庭園。さまざまな植物が植えられている

山の斜面を使って造成された庭園。さまざまな植物が植えられている

 
被災者から提供された庭石を組んだ「ロックガーデン」。雨に濡れた石が味わい深い光景を見せる

被災者から提供された庭石を組んだ「ロックガーデン」。雨に濡れた石が味わい深い光景を見せる

 
4年前に新設された“バラ専用”のスペース。色や形、香りもさまざまな品種が並ぶ

4年前に新設された“バラ専用”のスペース。色や形、香りもさまざまな品種が並ぶ

 
 5~6月は多くのバラが開花する時期。陽子さんが植え始め、年々規模を拡大してきたバラは、夫妻の丹精込めた世話で株も大きく成長。ボリューム感を増している。秀明さんによると、毎年1月中旬から2月にかけての約1カ月間はせん定作業に追われる。中でも60本あるという“つるバラ”は「塔や棚にきれいに巻いてやらないと、つるが密集しすぎたり全体のバランスが崩れてしまう。時には全部ほどいてやり直すことも」。その後も、根や葉を食べる虫を寄せ付けないよう対策したり、年間を通した管理によって美しい花姿が保たれている。
 
(左上から時計回りに)ウルメールムンスター、ゴールデンボーダー、チャイコスキー、朝雲

(左上から時計回りに)ウルメールムンスター、ゴールデンボーダー、チャイコスキー、朝雲

 
つるバラの「春風」。花がきれいに見えるよう這わせるのが難しい。はみ出た茎はせん定

つるバラの「春風」。花がきれいに見えるよう這わせるのが難しい。はみ出た茎はせん定

 
 近年は地球温暖化の影響も顕著。早咲き種は開花がこれまでより早まり、今年は1週間ほど早い5月15日ごろに咲き始めた。1~2月が暖かったため、花芽が出るのも早かった。「3月にはかなり芽が出始め、膨らみも見られた」という。一方で遅咲き種は例年並みの開花で、「花の見られる時期が広がっている印象」と秀明さん。2日現在でまだつぼみが残っている種もあり、天気が回復する公開期間後半はさらに開花が進みそう。
 
 公開初日から3日間は雨に見舞われたが、1、2の両日はイベントもあり、多くの人が訪れた。同市の佐々木保之さん(52)は、めいの佐々木碧依さん(7)を連れて観賞。約3年ぶりに訪れた保之さんは「毎回思うけど(行き届いた管理)すごいよね。おかげで楽しませてもらっている」と感謝。初めて訪れた碧依さんは「きれいなバラがいっぱいでうれしい。写真も撮った。お母さんとおばあちゃんに見せてあげる」とにっこり。保之さんは“入場無料、ご自由にどうぞ”という心遣いにも感激し、「まだ知る人ぞ知るみたいなところもあるので、ぜひ多くの人に訪れてほしい」と薦めた。
 
2日はあいにくの雨模様。しっとりと濡れた花を傘を差して見学

2日はあいにくの雨模様。しっとりと濡れた花を傘を差して見学

 
ファジョン合唱と甲子歌う会のコラボ。子守歌の「HELLO MY SHINE」という曲で歌声を重ねた

ファジョン合唱と甲子歌う会のコラボ。子守歌の「HELLO MY SHINE」という曲で歌声を重ねた

 
 公開初日のイベントは合唱。昨年5月に同所で母の日ミニコンサートを開いた東京のファジョン合唱(飯田夏代主宰)が、地元の甲子歌う会(坂本慶子会長)とコラボ。2021年から釜石を訪れるメンバーが同園での出会いを機に、新たな交流の輪を広げた。会員約30人で共演した同会の坂本会長は「庭を見に来ていて、いつかここで歌いたいと思っていた。実現してうれしい。来年は公開10年目になるので、ぜひ私たちも歌で盛り上げたい」と望んだ。
 
東京から駆け付けたファジョン合唱のメンバーの歌を来園者が楽しんだ

東京から駆け付けたファジョン合唱のメンバーの歌を来園者が楽しんだ

 
甲子歌う会は花にちなんだ2曲も歌った

甲子歌う会は花にちなんだ2曲も歌った

 
 菊池さん夫妻の愛情あふれる庭園は観賞の楽しみとともに、そこに集う人たちの新たなつながり、交流を生み、心温まる空間を広げている。陽子さんは「花がきれいに咲いてくれるとそれまでの苦労が報われ、気持ちも晴れる。また、毎年見にきてくれる方、ボランティアで演奏してくれる方など多くの人たちとの触れ合いも励みになっている」と継続の原動力を明かす。来年迎える10年という節目に「後は体力の問題だけだね。来年まではやりたいが、それ以降持つかどうか…」と秀明さん。せん定講習なども考えながら、その後の方向性を模索する。
 
毎年庭を公開している菊池秀明さん(右)、陽子さん夫妻。2人の愛情を受けて育つ花々が来園者を出迎える

毎年庭を公開している菊池秀明さん(右)、陽子さん夫妻。2人の愛情を受けて育つ花々が来園者を出迎える

 
 「陽子の庭」の一般公開は10日まで(午前9時~午後4時)。8日は午前11時からと午後1時からの2回、エレキバンド「釜石ベンチャーズ」の演奏、9日は午前11時から「MiA&リアスバンド」によるシャンソン、ジャズ演奏が予定される。場所は、市街地から向かう場合は国道283号を釜石鉱山方面に西進。内陸からは釜石自動車道を釜石仙人峠インターチェンジで降り、同方向へ。道の駅釜石仙人峠を過ぎて少し行くと右手に誘導看板が見える。

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釜石・観光農園でラベンダー植栽 児童が手伝い 花香る風景待つ 姉妹都市・仏ディーニュ市との友好30年迎え

ラベンダー苗を丁寧に植える甲子小の児童や保護者ら

ラベンダー苗を丁寧に植える甲子小の児童や保護者ら

 
 釜石市が整備を進める同市甲子町の観光農園で5月28日、ラベンダーの植栽があった。甲子小(細田多聞校長、児童225人)の3、4年生約70人が作業を手伝い、「いい香りに包まれた美しい畑になりますように」と願いを込めた。
 
 ラベンダー畑の整備は、釜石の姉妹都市、南仏ディーニュ・レ・バン市でラベンダー栽培が盛んなことがきっかけ。国際交流をさらに進め、市民が自然に触れる場をつくろうと2021年度に取り組みが始まった。道の駅釜石仙人峠そばの遊休農地(1.2ヘクタール)を活用し、植栽を継続。25年度中のフルオープンを目指している。
 
 この日は、児童と保護者のほか、小野共市長や市水産農林課の職員、農園の整備を後押しするフランスの自然派化粧品メーカーの日本法人「ロクシタンジャポン」(東京、木島潤子社長)の社員らも加わり、協力して苗約220本を植えた。
 
元気に育ってほしいから…真剣な表情で苗選び

元気に育ってほしいから…真剣な表情で苗選び

 
シャベルで穴を掘って植える準備。「力がいるね」

シャベルで穴を掘って植える準備。「力がいるね」

 
花が香る風景を思い描きながら親子で力を合わせる

花が香る風景を思い描きながら親子で力を合わせる

 
 4年の佐野朱里(あかり)さんは「土が硬くて掘るのが大変だったけど、楽しかった。みんなで植えたから、きれいに咲くと思う。花を見て、うれしい気持ちになる農園になってほしい」とはにかんだ。
 
 そばで見守った木島社長は「子どもたちと一緒に成長して花咲く未来が楽しみ」と目を細める。同社は農園整備の応援として今年もチャリティーキットの販売やクラウドファンディングなどを計画しているといい、収益を市に寄付する。
 
自然体験に笑顔を見せる木島潤子社長(右)と小野共市長(左)

自然体験に笑顔を見せる木島潤子社長(右)と小野共市長(左)

 
 今年は姉妹都市提携30周年の記念の年。植樹は毎年続けているが、機運醸成にと農園のほか、市内の小中学校などでも苗植えを行っている。「ラベンダーの美しい紫色と香りが広がる景色が釜石のなじみの風景となり、癒やしの空間になるように」と取り組む。小野市長は「緑豊かな農園が多くの人をつなぎ、ディーニュ市との友好な関係も続けていきたい」と望んだ。
 
 「イエーイ!」。子どもたちは雨にも負けず作業に励んだ

「イエーイ!」。子どもたちは雨にも負けず作業に励んだ

 
頑張った参加者たちにはご褒美ジェラートが振る舞われた

頑張った参加者たちにはご褒美ジェラートが振る舞われた

 
 手伝った子どもらには、両市の友好の証しとするラベンダーをモチーフにした薄紫色のオリジナルジェラートが提供された。交流のきっかけとなった「アンモナイトの壁」からヒントを得た発掘系冷菓。ミルクキャラメル味のジェラートの中にアンモナイト型のチョコレートが隠れているという。紫や緑色のフランス産チョコを削って添えて彩りを加える。かまいしDMC魚河岸ジェラート部が開発。今年限定で、イベントなどでの提供を考えている。

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「餅鉄で鉄瓶を作ろう」 釜石でプロジェクトスタート 原料はどこに? 今も眠るお宝を探せ!

橋野町の沢桧川で餅鉄を探す子どもたち=25日

橋野町の沢桧川で餅鉄を探す子どもたち=25日

 
 釜石市橋野町の世界遺産「橋野鉄鉱山」の高炉稼働時、製鉄原料の一部となった“餅鉄(もちてつ、べいてつ)”。鉄の含有率が高い丸みを帯びた石は、当時の栗林、橋野両村民によって同所に持ち込まれ、買い取られていたという。今も同地域で見られる餅鉄から鉄を取り出し、鉄瓶を作ってみようという市民参加型のプロジェクトが始動した。25日、同町で原料の餅鉄を探す活動があり、市内外から21人が参加した。
 
 橋野鉄鉱山インフォメーションセンターに集まった参加者は始めに、同町出身の製鉄史研究家三浦勉さん(72)から餅鉄について学んだ。三浦さんの地元橋野では、餅鉄は「べんてつ」「べんこてつ」などと呼ばれるほか、その形状から「馬糞(ばふん)鉄」とも表される。同町には国内最大級とみられる幅83センチ、高さ42センチ、推定重量約300キロの餅鉄が個人宅にある。片羽山雄岳の麓、同町大平の畑で見つかったものだという。
 
餅鉄について学んだ講座=橋野鉄鉱山インフォメーションセンター

餅鉄について学んだ講座=橋野鉄鉱山インフォメーションセンター

 
 餅鉄は多くが川で見つかり、丸みを帯びて表面が滑らかなことから、文献などでは「磁鉄鉱が川の流れで転がり円礫(れき)になったものと考えられる」とされる。これに対し三浦さんは「釜石では川のない山中でも見つかっている。重量感からしても洪水などで長い距離を転がることは無理があるのではないか」と推測。釜石地域の磁鉄鉱は白亜紀(約1億2千万年前)のマグマの貫入で、石灰岩などが熱変成して生まれたものとされており、「餅鉄は川の流れで丸くなったのではなく、火山噴火で大気中に飛んだものではないか」と独自の推論を示した。
 
製鉄史研究家・三浦勉さん(写真上段右)が餅鉄の産地などについて解説

製鉄史研究家・三浦勉さん(写真上段右)が餅鉄の産地などについて解説

 
 火山噴火の可能性を考える根拠としては▽餅鉄がある川で硫黄臭がする白く軽い石(地元ではへったれ石、へっぴり石と呼ばれる)が見られた▽片羽山麓の岩盤で火山岩に見られる結晶「クリストバライト」が確認されている▽最大級の餅鉄が見つかった場所は山麓直下で川の流れによる円礫化は考えにくい―ことなどを挙げた。
 
 この後、参加者は今も餅鉄が多く見られる片羽山麓の沢桧川に向かった。同下流域には市指定文化財の「釜石鉱山田中製鉄所栗橋分工場跡」がある。明治から大正にかけて高炉1基が稼働し、山神社の鳥居や祠(ほこら)が残る。餅鉄の採集は同工場跡近くで行われた。参加者は三浦さんに見つかりやすい場所などを教わりながら探した。
 
沢桧川の餅鉄採集ポイントに向かう参加者

沢桧川の餅鉄採集ポイントに向かう参加者

 
途中には市指定文化財「釜石鉱山田中製鉄所栗橋分工場跡」があり、石垣などの遺構が残る

途中には市指定文化財「釜石鉱山田中製鉄所栗橋分工場跡」があり、石垣などの遺構が残る

 
三浦勉さん(中央)から教わりながら餅鉄を探す

三浦勉さん(中央)から教わりながら餅鉄を探す

 
 判別のポイントは石の色と重さ。他のものに比べ黒っぽく、同じような大きさでも餅鉄は重いのが特徴。鉄成分を含んでいるので磁石がくっつく。参加者は川底に目を凝らし、磁石を近づけてみたりしながら探した。約1時間で10キロ以上の餅鉄が採集された。
 
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磁石にくっつく石が多数。右上と左下は表面が滑らかで丸みを帯び、餅鉄の特徴が見られる

 
 同市の小学生金野龍真君(11)は市が実施する「鉄の検定」で1級を取得。検定の勉強で餅鉄のことは知っていたが、実際に探すのは初めて。「すぐには見つからなくて、探すのは大変だった。これで鉄を作ろうと最初に考えた人の発想がすごい。鉄づくりも楽しみ」と期待感をにじませた。甲子町の50代女性は旧釜石鉱山事務所(愛称:Teson)のイベントで、餅鉄が展示されているのを目にした。今回の採集で「本当にあるんだ」と再確認。「山奥にあると思っていたので、意外にも身近な場所にあってびっくり。最後まで参加して鉄瓶ができるのを見届けたい」と声を弾ませた。
 
餅鉄の多くは流れが緩やかな岸辺側で見つかった

餅鉄の多くは流れが緩やかな岸辺側で見つかった

 
お目当ての「餅鉄」をゲット! 笑顔を見せる子どもたち

お目当ての「餅鉄」をゲット! 笑顔を見せる子どもたち

 
 橋野鉄鉱山稼働時、高炉場にあった御日払所では、村民が持ち込んでくる餅鉄を買っていた。その記録として「餅鉄通」という文書が残っている。釜石の餅鉄は鉄含有率が約70%(磁鉄鉱は約60%)と高く、質の良さも特徴。磁鉄鉱に交ぜて使われたとみられている。
 
 プロジェクトを主催する市世界遺産室の森一欽室長は「鉄原料から製品になるまでを見られる初のイベント。有意義な機会になると思う。釜石には今も身近な所に資源が眠っていることも知ってもらえれば」と話した。
 
参加者は夢中になって“お宝”を探した

参加者は夢中になって“お宝”を探した

 
最後はみんなで採集した餅鉄の重さを計測した

最後はみんなで採集した餅鉄の重さを計測した

 
 餅鉄から鉄を取り出す製鉄体験は9月に甲子町大橋で実施予定。できた鉄は県工業技術センター(盛岡市)で炭素量など成分を調整してもらい、滝沢市の南部鉄器職人田山和康さん(73)に鉄瓶にしてもらう。11~12月ごろに盛岡市で鉄瓶ワークショップを開催する。

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にぎわい創出!釜石大観音仲見世通り 出店促す〝縁結び〟 5回目マルシェ盛況

釜石大観音仲見世通りで開かれた「えんむすびマルシェ」

釜石大観音仲見世通りで開かれた「えんむすびマルシェ」

 
 釜石市大平町の釜石大観音仲見世通りで25日、地域活性化イベント「えんむすびマルシェ」が開かれた。さまざまな出会いの場を提供しようと、釜石大観音仲見世リノベーションプロジェクト(宮崎達也代表)が主催し、5回目。飲食や手作り雑貨などの出店のほかステージイベントもあり、親子連れら多くの来場者でにぎわった。
 
 市内外から28の団体・個人が出店した。パンやスイーツ、手作りアクセサリー、木工製品などバラエティーに富んだ品ぞろえ。訪れた人たちは店主らと会話を弾ませながら品定めを楽しんだ。クレープやコーヒーなどを提供するキッチンカーも並んだ。
 
飲食や買い物、店主との交流を楽しむ来場者

飲食や買い物、店主との交流を楽しむ来場者

 
多彩な露店が並ぶ中で駄菓子屋は子どもたちに人気

多彩な露店が並ぶ中で駄菓子屋は子どもたちに人気

 
「すてきだね」。和柄のバッグなど手作り品に興味津々

「すてきだね」。和柄のバッグなど手作り品に興味津々

 
 地元釜石の漁師久保宣利さん(51)、翼さん(20)親子はホタテやカキなどが盛りだくさんの海鮮焼き、串焼きを販売。「お客さんとじかに顔を合わせ、反応を見ることができて楽しい」と腕を振るった。「両石港 隆丸」と旗印を掲げ、週末にはイベント出店。自分たちが養殖したり、仲間から買い付けた魚介や海藻を使って地域の海の魅力を発信する。「魚を通して、人とつながれる」。そう実感する親子は、漁業と出店、どちらも本業の“二刀流”でゆく。
 
店先で作って提供…かつての風景が通りに戻ったよう

店先で作って提供…かつての風景が通りに戻ったよう

 
浜の魅力を発信する久保宣利さん、翼さん親子ら

浜の魅力を発信する久保宣利さん、翼さん親子ら

 
 大漁旗柄のフラッグを用いた元気なパフォーマンスで会場を盛り上げたのは、釜石を応援するカラーガードチーム「ちあ釜」。4月に立ち上がったばかりで、地元メンバー4人はこの日が初舞台となった。
 
 小学校教諭の兼澤桃花さん(27)は「青空の下、気持ちよく踊れた」と晴れやかに笑った。佐久間桜音さん(11)、森美惠さん(17)は「緊張したけど楽しかった。かっこよく踊れるよう、もっと練習する」と意欲がアップ。60代のメンバーは「私でもできるので!」と仲間が増えることを期待した。代表の葛巻舞香さん(39)=ラグビー・日本製鉄釜石シーウェイブスオフィシャルサポーター、モデル、フリーアナウンサー=は「笑顔をつないで、みんなでまちをポジティブにしていきたい」と展望した。
 
大漁旗柄のフラッグを振り演舞する「ちあ釜」

大漁旗柄のフラッグを振り演舞する「ちあ釜」

 
地元釜石などから参加するメンバーと葛巻舞香さん(左)

地元釜石などから参加するメンバーと葛巻舞香さん(左)

 
 家族で訪れた同市平田の大和田崇士さん(47)は「正月に初詣で訪れた時より、にぎわっている。このイベントには初めて来たが、市外の人やものと触れ合えていい。続けてもらえれば、客として出店者たちの活動を応援したい」とうなずいた。
 
 同プロジェクトは、「釜石○○(まるまる)会議」から生まれた市民グループで、空き店舗が目立つ同通りを再生させ、にぎわいや交流の場を創出する活動を行う。大観音は「恋人の聖地」にも選定されていて、人のつながりや縁を広げる機会になればと2018年からマルシェを実施。新型コロナウイルス禍で数年見送ったが、23年に再開した。
 
幅広い年代、業種の人たちの縁を生み出す活動は続く
幅広い年代、業種の人たちの縁を生み出す活動は続く幅広い年代、業種の人たちの縁を生み出す活動は続く

 
 空き家となった遊休不動産の利活用を中心に、地元高校生と連携した催しや岩手県内・三陸沿岸地域で活動するアーティストらの展示などの企画にも力を入れる宮崎代表(52)。多様な取り組みを打ち出すことで、「出店したくなるようなまちづくり」を進めていく。

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田んぼは学びがいっぱい! 白山小 伝統の米作り体験スタート 泥まみれの田植えに歓声

田植え作業に汗を流した白山小の児童=24日、上小川

田植え作業に汗を流した白山小の児童=24日、上小川

 
 釜石市の白山小(鈴木慎校長、児童31人)伝統の稲作学習が今年も始まった。24日、3~6年生22人が田植えに挑戦。泥まみれになりながら、昔ながらの手植えで稲苗を植えた。今後、稲の生長観察、稲刈りなどを行い、秋以降、農作物の恵みに感謝する収穫祭も予定する。
 
 同校の同学習は今年で44年目。長年、学校敷地内に設けた“白山水田”で一連の作業を体験してきたが、昨年から、苗の提供を続けてきた甲子町上小川の農業藤井茂さん(84)の水田に場所を移し、学習を継続している。
 
 バスで現地を訪れた児童らは、藤井さんと学習をサポートしてくれる大船渡農業改良普及センターの菊池浩之主任農業普及員、八重樫聡太技師にあいさつ。苗の植え方を教わった後、泥田に足を踏み入れた。約4アールの田んぼに植えるのはもち米種「ヒメノモチ」の苗。藤井さんが付けてくれたます目の線に沿って、両端から植え付けていった。
 
恐る恐る田んぼに足を踏み入れる。何とも言えない泥の感触にこの表情

恐る恐る田んぼに足を踏み入れる。何とも言えない泥の感触にこの表情

 
田んぼの所有者藤井茂さん(右)から植え方を教わる

田んぼの所有者藤井茂さん(右)から植え方を教わる

 
苗がしっかり立つように植える。腰をかがめての作業はけっこうな重労働

苗がしっかり立つように植える。腰をかがめての作業はけっこうな重労働

 
 泥に足を取られたり、中腰の姿勢に苦戦したりしながらも懸命に作業。苗が倒れないようにしっかり植えた。田んぼの中にはカエルやイモリの姿も。周辺にはトンボも飛んでいて、水辺の生き物との出会いも楽しんだ。藤井さんの田んぼは日向ダムの下流域にあり、周りには樹木が生い茂る。児童らは緑豊かな自然空間の中で、さまざまな学びや気付きを得た。
 
写真左:「うっ!足が抜けない」 同右:「泥まみれも楽しー!」

写真左:「うっ!足が抜けない」 同右:「泥まみれも楽しー!」

 
田んぼではイモリやトンボなど水辺に集う生き物の姿も見られた

田んぼではイモリやトンボなど水辺に集う生き物の姿も見られた

 
写真左:奥に日向ダムの堤体も見える 同右:2方向から苗植え。慣れてくるとスピードもアップ

写真左:奥に日向ダムの堤体も見える 同右:2方向から苗植え。慣れてくるとスピードもアップ

 
 初めて田植えを体験した金野瑛飛君(3年)は「カエルや虫もいっぱいいた。苗をちぎって植えるのが楽しい」と笑顔。2年目の川﨑仁遥君(4年)は「なかなか経験できないことが毎年できてうれしい」と喜び、「農家さんは大変な仕事だけど、(みんなに食べてもらい)幸せに暮らせているんだと分かった。ご飯を食べる時は感謝しながらおいしく食べたい」と話した。
 
 児童会長の岡本羚依さん(6年)は「みんなで協力しながらやれている。一連の作業の中でも田植えは大事。まずは最初のところをしっかりやりたい」と意気込む。この学習を通して農業にも関心が高まった様子。「農家さんが減ると(私たちが)食べるものも減ってしまう。農業をやる人が減っていると聞くので、将来、何らかの形で力になれたらいいな」と思いを巡らせた。
 
山の新緑に青空…目にも鮮やかな景色も思い出に

山の新緑に青空…目にも鮮やかな景色も思い出に

 
 「苗、行くよーっ」。あぜ道などから追加の苗を放ってもらう児童。一発キャッチは難しい!?

「苗、行くよーっ」。あぜ道などから追加の苗を放ってもらう児童。一発キャッチは難しい!?

 
たくさんの笑顔が広がった田植え。収穫の秋を楽しみに…

たくさんの笑顔が広がった田植え。収穫の秋を楽しみに…

 
 児童に声を掛けながら作業の様子を見守った鈴木校長は「普段食べている米やお手伝いしてくれる地域の方々への感謝の気持ちが生まれれば。泥の温かさを肌で直接感じたり、生き物に触れ合ったりするのも貴重な経験。心の豊かさを育む活動になれば」と期待。同校と40年来の付き合いとなる藤井さんは、子どもたちが生き生きと作業する姿に「こっちも若返るよう。この中から農業を継ぐ人が一人でも多く出てくれれば」と願った。
 
 同学習では収穫したもち米で餅つきをしてきたが、今年は藤井さんが育てたうるち米の提供を受け、米の炊き方などを学ぶ調理実習と試食を計画する。

岩手県立釜石高等学校 同窓会総会開催のお知らせ

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7月4日(土)に岩手県立釜石高等学校同窓会総会および懇親会を開催します。創立110周年の節目の年の総会です。旧友の方などお誘いあわせの上ふるってご参加くださいますようお願いします。
なお、懇親会に参加される方は事前の申し込みが必要になりますので同窓会事務局までご連絡ください。

日時

令和6年7月6日(土) 総会 17:00
懇親会 総会終了後

会場

ホテルクラウンヒルズ釜石

懇親会費

5,000円

懇親会申込先

岩手県立釜石高等学校同窓会事務局
TEL 0193-23-5317

申込締切

令和6年6月28日(金)

岩手県立釜石高等学校同窓会事務局

岩手県立釜石高等学校同窓会事務局

住所:〒026-0055 岩手県釜石市甲子町10−614−1 / TEL 0193-23-5317 / FAX 0193-23-8611 / Webサイト

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震災後の街並みに彩り 釜石駅前、大町青葉通りに市民ら花植え 奉仕の心次世代にも

釜石駅前広場に花を植えた市民ら=18日

釜石駅前広場に花を植えた市民ら=18日

 
 釜石市鈴子町の釜石駅前広場と大町の青葉通り緑地に、今年も市民らの手によって花が植えられた。東日本大震災後の復興支援活動から市民中心の活動に移行し、今年で4年目。高校生ボランティアの参加も増え、まちの美化活動への意識の高まりを感じさせている。今年は両所にマリーゴールドやサルビアなど約500株が植えられ、秋にかけて市民や同市を訪れる観光客の目を楽しませる。
 
 釜石駅前広場では18日に作業。釜石市赤十字奉仕団(中川カヨ子団長)、釜石、釜石商工両高校、明治安田釜石営業所(山内郁尚所長)、市都市計画課から総勢約50人が参加した。国道283号沿いの花壇にマリーゴールド、サルビア、キンギョソウ、チェリーセージの4種約500株を手分けして植えた。
 
植栽作業には釜石商工高、釜石高の生徒らも尽力

植栽作業には釜石商工高、釜石高の生徒らも尽力

 
普段、交わる機会のない市民同士の交流の場にも

普段、交わる機会のない市民同士の交流の場にも

 
幅広い年代が協力し、釜石の玄関口を花で彩る

幅広い年代が協力し、釜石の玄関口を花で彩る

 
 釜石商工高1年の小林桜子さんは同校ボランティア委員会の仲間と参加。同所の花壇はバス通学の通り道で、「こうして植えられているのを初めて知った。大人の人たちが植え方を丁寧に教えてくれるのでやりやすい」と作業に励んだ。「花は好きなほう。気になったものは花言葉を調べたり、誕生花もチェックしたりする」と観賞だけではない楽しみも明かし、「また参加します」と声を弾ませた。
 
 友人に誘われ初めて参加した釜石高3年の井ケ田優妃さんは「作業は意外と大変。いろいろな人の手間がかかってできている花壇」と実感。まちを彩る花風景に「いろいろな色があって、見るだけで気持ちが明るくなる。駅前はさまざまな人が行き交う。多くの人の目に留まって、また来たいと思ってもらえる場所になれば」と期待を寄せる。長く維持するために「若い世代が引き継いでいかなければ」と活動の広がりも願った。
 
釜石高からは希望者10人余りが参加し、まちの美化に貢献

釜石高からは希望者10人余りが参加し、まちの美化に貢献

 
 明治安田釜石営業所は3年目の参加。ペットボトルキャップの回収で赤十字奉仕団に協力していた縁でこの活動を知り、継続参加している。今年は7人が作業に協力した。同社の佐々木砂智子さん(50)は「ほとんどが普段、土を触る機会がない人たち。皆さんと会話しながらの屋外作業は気持ちがいい」と笑顔。同社は2022年1月に同市と包括連携協定も締結。市民の健康づくりなど各種活動を市内で展開しており、「協力できる活動が一つでも増えていくのはうれしいこと」と佐々木さん。
 
 駅前広場などへ花を植える活動は震災後の2012年、拓殖大(東京都文京区)の学生による復興支援活動として始まった。新型コロナウイルス感染症の影響で学生の来訪が難しくなってからは、当初から同活動に協力していた同市赤十字奉仕団が中心となって市とともに継続。団は植栽だけでなく、水やりや草取りなど年間を通した管理にも尽力している。中川団長は「高校生の参加も増えていてうれしい限り。いろいろな人が集まれば大きな力となる。この活動が根付いて若い人たちが継承していってくれれば」と思いを込める。
 
花壇の維持管理には釜石市赤十字奉仕団が力を発揮。長期にわたり道行く人たちの目を楽しませる

花壇の維持管理には釜石市赤十字奉仕団が力を発揮。長期にわたり道行く人たちの目を楽しませる

 
植えられた色とりどりの花の苗。成長するとさらに美しい景観に

植えられた色とりどりの花の苗。成長するとさらに美しい景観に

 
 青葉通り緑地への植栽は22日に行われた。地元の大町町内会、近隣の復興住宅、通り沿いに事務所がある一般財団法人岩手県建築住宅センター沿岸支所、市都市計画課から20人余りが参加。同通り南側の花壇にマリーゴールド、ブルーサルビア、ケイトウの3種約500株を植えた。
 
青葉通り緑地(南側)の花壇への花植え作業=22日

青葉通り緑地(南側)の花壇への花植え作業=22日

 
近隣住民や近くの職場で働く人たちが作業に協力

近隣住民や近くの職場で働く人たちが作業に協力

 
 市営、県営住宅の管理業務を担う県建築住宅センター同支所は、地域貢献活動の一環で昨年から協力。今年は5人が参加した。佐々木勝次長は「やり始めると夢中になる。参加者は近くの復興住宅の方が多いので、雑談しながら楽しく作業させてもらっている」と喜ぶ。職場はすぐ近く。「日中は通りのベンチに座ってくつろぐ人の姿も見られる。花があるとさらに心が和むと思う」と作業に勤しんだ。
 
 大町復興住宅5号棟の伊藤清自治会長(77)は「ここは周辺の復興住宅住民が集まる場所。花があるのとないのとでは気分が違う。周りの住民はもちろん、通りがかりの人も喜んでくれる」と、花がある街並みを歓迎した。
 
周辺にはホテルや復興住宅が立ち並ぶ青葉通り。花を植えて街なかのオアシスに

周辺にはホテルや復興住宅が立ち並ぶ青葉通り。花を植えて街なかのオアシスに

 
花の苗は防草シートに開けた穴から植えた

花の苗は防草シートに開けた穴から植えた

 
 同所の花壇は市が管理する。今年から雑草対策として、試験的に土の上に「防草シート」を張った。5年ぐらいの耐久性があり、整備、維持管理に係る職員の負担軽減につなげる。

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鵜住居川漁協 アユの稚魚放流 価格上昇も例年並みの量を維持 解禁日は7月7日

鵜住居川漁協によるアユの稚魚の放流=12日

鵜住居川漁協によるアユの稚魚の放流=12日

 
 釜石市の鵜住居川漁業協同組合(川崎公夫代表理事組合長、組合員154人)は12日、同河川にアユの稚魚400キロ(約4万4700匹)を放流した。中間育成にかかる電気、餌代などの高騰で稚魚の価格が上昇する中、組合では何とか例年並みの放流量を維持。組合員費、一般遊漁料(年券)を値上げすることで、資源確保、組合運営の安定化に努める。解禁日は7月7日。稚魚の成育保護のため、6月1日から解禁日前日まで全魚種が禁漁となる。
 
 稚魚の放流には組合員約20人が参加した。購入先の盛川漁協(大船渡市)から稚魚を積んだトラック2台が集合場所(鵜住居町神ノ沢)に到着後、2班に分かれて放流に向かった。放流箇所は同町日ノ神橋下流から橋野町の産直どんぐり広場手前までの約20カ所。バケツリレーや水槽からホースを延ばす形で作業にあたった。
 
 盛川漁協で中間育成された稚魚は体長約8~9センチ、重さは平均9グラム。バケツの中で元気に飛び跳ね、川に放つと勢いよく泳ぎ出した。天候や水温が順調に推移すれば、解禁日には20センチ前後に成長した姿が見られそうだ。
 
トラックの水槽から稚魚をバケツに移し放流=日ノ神橋下流

トラックの水槽から稚魚をバケツに移し放流=日ノ神橋下流

 
組合員が協力しバケツリレー(写真左)。一部箇所はホースを延ばし、水槽から直接放流(同右)

組合員が協力しバケツリレー(写真左)。一部箇所はホースを延ばし、水槽から直接放流(同右)

 
アユの順調な生育を願い、作業にあたる鵜住居川漁協の組合員ら

アユの順調な生育を願い、作業にあたる鵜住居川漁協の組合員ら

 
 「昨年は最高のシーズンだった」と川崎組合長(74)。解禁日から大きい個体が多く、天然ものの遡上も増えた。台風など大雨の影響がなく、水量も安定していたことが要因とみられる。新型コロナウイルス感染症の5類移行もあり、県内外からの釣り客が増加。遊漁料の売り上げは過去最高の実績となったという。「釣り人同士のトラブルも無く、10~20人の団体で来てもごみを残さず帰ってくれた」とマナー向上も喜ぶ。
 
 一方で、近年の社会、経済情勢の変化により、稚魚の中間育成にかかる費用(電気、餌、輸送費など)は大幅に増大。これに伴い、稚魚の価格も上昇が見込まれる。鵜住居川漁協の稚魚放流は組合員費と一般釣り客の遊漁料のほか、河川工事業者や地元地域会議からの協賛金で実施。組合は例年通りの放流量を維持するため、本年度の組合員費、一般遊漁料(年券)の値上げを決めた。組合員は年間4000円から5000円に、一般遊漁料(年券)は5500円から7000円に引き上げる。一般の日券は1500円のまま据え置く。組合は「稚魚の高騰で苦しい状況。何卒ご理解を」と呼び掛ける。
 
雲南橋ではロープにくくったバケツを下ろして放流(写真右、左上)

雲南橋ではロープにくくったバケツを下ろして放流(写真右、左上)

 
複数ある橋の下など例年通りのポイントに放流

複数ある橋の下など例年通りのポイントに放流

 
 「元気に育て!」川に飛び込む稚魚を送り出す組合員

「元気に育て!」川に飛び込む稚魚を送り出す組合員

 
 遊漁券は市内の釣具店や流域の赤いのぼり旗を掲げた販売所で購入できるほか、スマホアプリ「フィッシュパス」で24時間いつでも購入可能。釣具店の店頭にも読み込み用QRコードが掲示される。電子遊漁券購入者は釣り場でのスマホ操作で券を有効にすることで、保有を証明できる。GPS機能で居場所が分かるため、漁協の監視業務効率化にもつながっているという。

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広報かまいし2024年5月15日号(No.1832)

広報かまいし2024年5月15日号(No.1832)
 

広報かまいし2024年5月15日号(No.1832)

広報かまいし2024年5月15日号(No.1832)

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【P1】
表紙

【P2-3】
ツキノワグマの被害に遭わないために

【P4-5】
みちのく潮風トレイル5周年を迎えます!
イベント案内 

【P6-7】
民生委員・児童委員の日活動強化週間

【P8-9】
まなびい釜石
こどもはぐくみ通信

【P10-11】
まちの話題

【P12-15】
保険案内板
まちのお知らせ

【P16】
市民百景

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 広聴広報課 広聴広報係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8419 / Fax 0193-22-2686 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2024050900033/
釜石市

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釜石市公式サイトと連携し、縁とらんすがピックアップした記事を掲載しています。記事の内容に関するお問い合わせは、各記事の担当窓口までお問い合わせください。
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橋野・菜の花畑でごゆるりと… 花、山、空 五感で楽しむ自然空間で心身ともにリフレッシュ

1日限定で一般開放された菜の花畑=11日、橋野町太田林

1日限定で一般開放された菜の花畑=11日、橋野町太田林

 
 釜石市橋野町の一般社団法人ユナイテッドグリーン(山田周生代表理事)が開設する菜の花畑が11日、一般開放された。園内では自然農法や植物性素材にこだわった菓子や弁当の販売、指圧マッサージ、ピエロの絵本の読み聞かせなども実施。訪れた人たちは山あいの景色に癒やされながら、ゆったりとした時間を堪能した。
 
 菜種油の生産を手がける同法人は、花が咲く毎年5月に畑を一般開放している。今季は約50アールに作付けしたが、シカの侵入で全体の4分の1ほどが食害にあってしまったことや春先の高温で開花が早まったことで、開放日当日は例年より花が少ない状態に。それでも鮮やかな黄色の花と周辺の新緑の山々、澄み渡る青空がこの時期ならではの色彩の競演を見せ、来園者を魅了した。
 
 子どもたちを喜ばせたのは、くらうん・しゅがー(ピエロ)の絵本ライブ。マジックを交えた楽しいパフォーマンスを繰り広げ、菜の花畑の中に夢空間を広げた。指圧マッサージや野だてのコーナーも。花に囲まれながら癒やしのひとときを提供した。
 
くらうん・しゅがーの絵本ライブ。バルーンアートのプレゼント

くらうん・しゅがーの絵本ライブ。バルーンアートのプレゼントも

 
写真左:野だて席(宙右庵)や指圧マッサージ(めぐり堂)のコーナーも。同右:菜の花畑でシャボン玉も楽しいよ!

写真左:野だて席(宙右庵)や指圧マッサージ(めぐり堂)のコーナーも。同右:菜の花畑でシャボン玉も楽しいよ!

 
 開放当初から協力する、おやさい食堂カラコマ(盛岡市)は大豆唐揚げ、豆乳アイスなどを販売。やえはた自然農園(花巻市)は農薬や肥料を使わずに栽培した小麦や玄米、同畑の菜種油を使った手作り菓子を販売した。太陽光発電で生み出した電力で豆をひき、コーヒーを提供したのは盛岡市の日野雄策さん(66)。有機農業や環境、音楽など多彩な分野で活躍する日野さんは、釜石市の根浜海岸で昨年開かれたオーガニックフェスタが縁で初出店。一芸を披露するとコーヒーが無料になるというユニークな企画で来園者を楽しませた。「お客さんとの会話も弾む。客として来るより出店するほうが楽しいかも。いろいろな人とつながり、交流できる場は貴重」と喜んだ。
 
やえはた自然農園は自家栽培の玄米粉などを使った菓子を販売

やえはた自然農園は自家栽培の玄米粉などを使った菓子を販売

 
歌ったり演奏したり…「一芸」披露でコーヒー1杯をサービス!

歌ったり演奏したり…「一芸」披露でコーヒー1杯をサービス!

 
 盛岡市の50代男性は「山が好き。橋野鉄鉱山にも来てみたかった」と笛吹峠を通って初めて来園。「花だけでなく山の緑や風もいいし、全体の空気感が素晴らしい場所。気持ちがゆるやかになりリフレッシュできる」と心地良い空間を満喫。栗林町の鈴木勇さん(37)は家族4人で2年ぶりに訪れ、「いいロケーション。家族みんな花が好き。子どもたちも楽しそう」と笑顔。大型連休には関東から親戚が来て県内を案内。「岩手の豊かな自然は喜ばれる」とその価値を実感した。
 
子どもたちは背丈以上の菜の花に囲まれて記念の一枚

子どもたちは背丈以上の菜の花に囲まれて記念の一枚

 
来園者は菜の花畑で思い思いの休日を楽しんだ

来園者は菜の花畑で思い思いの休日を楽しんだ

 
 同法人の山田代表は東日本大震災の復興支援活動の一環で、沿岸各地の津波被災農地や耕作放棄地に菜の花を植えるプロジェクトを展開。塩分吸収率の高い菜の花で土壌を浄化、被災者雇用で菜種油の販売を行ってきた。拠点とする橋野の畑では、2013年から開花時期1日限定の「菜の花青空レストラン」を開設。コロナ禍の3年間は「菜の花パーク」として、期間を設けて園内を開放してきた。
 
花が散った後は種を取り、搾油して商品(左上写真)として販売する

花が散った後は種を取り、搾油して商品(左上写真)として販売する

 
 近年はシカの食害が課題。22年に畑の全周に鉄柵を施し一時改善されたものの、今年はつなぎ目の針金の劣化により柵を壊して侵入するケースがあり、「柵設置後もメンテナンスが必要」と実感。同所は環境教育や企業研修の場としても利用され、山田代表の講演と現場作業で、環境への理解を深める活動も行われている。今回の公開日の前には、北上市の工場の新入社員研修で約100人が訪れ、柵のペンキ塗り、周辺の草刈り作業などを行った。
 
 山田代表は「連作を避けるため、来年は別のエリアに植える。畑をいい状態に保ちながら長く栽培を続けたい。来園者も出店者もゆったりと過ごせる時間をこれからも提供していければ」と話した。

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根浜の“原風景”復活に期待! 新設「ビオトープ」で市民らが生き物のすみかづくり 

根浜ビオトープに生き物のすみかを作り、今後に期待する参加者=6日

根浜ビオトープに生き物のすみかを作り、今後に期待する参加者=6日

 
 4月下旬に整備が完了した釜石市鵜住居町の根浜シーサイド内のビオトープ(生物生息空間)。大型連休最終日の6日、同所のお披露目を兼ね、市民らが生き物のすみかを作る体験イベントが開かれた。参加者は池にすみ始めたオタマジャクシやイモリに大興奮。環境省の準絶滅危惧種「トウホクサンショウウオ」の卵から幼生がふ化する様子も見られ、驚きの声が上がった。
 
 ビオトープは東日本大震災の津波で失われた生態系を取り戻そうと、根浜シーサイドの市指定管理者かまいしDMC(河東英宜代表取締役)が、市民団体かまいし環境ネットワーク(加藤直子代表)との協働により整備した。市の土地を借用し、釜石東ロータリークラブ(佐藤猛夫会長)から資金提供を受け実現させた。
 
 背後に山林が広がるこの場所には震災前、山から流れ出る沢水を引き込んだ田んぼがあり、カエルやドジョウ、ホタルなど水辺に集う生き物が数多く見られた。しかし、震災の津波で環境は一変。広い水辺が失われたことで、生き物の数も激減していた。同所で観察を続けてきた加藤代表は「もう一度、たくさんの生き物がすめる環境を」と、ビオトープの整備を発案。同様の考えがあった同DMCとの協働事業に至った。
 
根浜シーサイド内に整備されたビオトープ。水辺にすむ生き物が集まる場所に…

根浜シーサイド内に整備されたビオトープ。水辺にすむ生き物が集まる場所に…

 
池の中の生き物を探す子どもら(写真上:かまいしDMC提供)。イベントには幅広い年代が参加(写真下:かまいし環境ネットワーク提供)

池の中の生き物を探す子どもら(写真上:かまいしDMC提供)。イベントには幅広い年代が参加(写真下:かまいし環境ネットワーク提供)

 
 6日のイベントには市民ら約40人が参加。山側の池の縁の一部に木の枝や笹を差し込み、生き物のすみかを作った。作業の前には生き物の観察も。池の工事から間もないながら、水中にはオタマジャクシやアカハライモリ、水面にはアメンボの姿が見られ、子どもたちが歓声を上げた。参加者の目をくぎ付けにしたのはトウホクサンショウウオの卵。池への沢水の流入口で見つかり、卵のうの中にふ化した幼生の姿が確認できた。観察中に卵のうから飛び出す個体も。
 
池の縁の一部に木の枝や笹を差し、生き物が隠れられる場所を作った

池の縁の一部に木の枝や笹を差し、生き物が隠れられる場所を作った

 
池の中にはオタマジャクシやアメンボの姿が…

池の中にはオタマジャクシやアメンボの姿が…

 
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写真右上:トウホクサンショウウオの卵。白丸はふ化した幼生。同右下:アカハライモリ(かまいしDMC提供)

 
 同市の佐藤灯君(7)は「いろいろな生き物が見られて楽しかった。イモリは初めて見た。ここを、きれいで生き物たちにとっていい暮らしができる池にしたい」。父広明さん(37)は「自分が子どものころは自然で遊ぶ機会がいっぱいあったが、今はそういう場所も少なくなっている。こういう体験が将来にいい影響を与えれば」と話した。
 
 「最近は(身近で)カエルの鳴き声を聞くこともなくなった」と話す根浜親交会の佐々木雄治事務局長。今回のビオトープ整備で根浜の原風景が戻ることを期待し、「鳴き声で自然を感じられるという側面もあると思う。多くの親子に来てもらい、昔ながらの根浜の生き物に触れて自然を体感してもらえたら」と願う。
 
さまざまな生き物に興味津々の子ども(写真:かまいしDMC提供)

さまざまな生き物に興味津々の子ども(写真:かまいしDMC提供)

 
 この日は、NPO法人日本ビオトープ協会主席アドバイザーで相談役の野澤日出夫さんも駆け付け、「命を育み、生き物が心地良く生きられる場所がビオトープ。自然の豊かさをどう守るかが大事」と参加者に説明。津波で失われた自然を復元しようという取り組みに「自然に元の状態に戻すことが一番だが、これからは子どもたちの環境教育の場としての利用も大切な要素。人が入らないエリアと観察エリアに分け、より元の自然に近い形にしていければいいのでは」とアドバイスした。
 
 発案者の加藤代表は「第一歩を始めることができ、安心とうれしさでいっぱい。生き物の種類、数がさらに増えていくといい」。大好きなシュレーゲルアオガエルの鳴き声も耳にしながら、数年後の風景を楽しみにした。
 
入り口にある立て看板。注意事項を守り、安全に観察を!

入り口にある立て看板。注意事項を守り、安全に観察を!

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いいよ!釜石の海 ウニむき、漁船クルーズで“みりょく”体感 GW限定企画に満足

ゴールデンウイークを彩った釜石の海の魅力を発信する催し

ゴールデンウイークを彩った釜石の海の魅力を発信する催し

 
 ウニむき体験に、漁船クルーズ-。海の魅力を体感してもらう催しがゴールデンウイーク(GW)期間中の3日間、釜石市魚河岸の魚河岸テラスを拠点に展開された。施設を管理運営する観光地域づくり法人かまいしDMC(河東英宜代表取締役)が企画。この時期ならではの食や景色を味わい、もてなす漁師らとの触れ合いを楽しんだ人たちは釜石が発信する“みりょく”に満足げだった。
 
 ウニむき体験は3、4日に実施。畜養事業に取り組む唐丹町漁協の協力を得て、キタムラサキウニ約150キロを用意した。挑戦者たちはキッチンバサミやピンセットを使って「口開け」。殻を割って海藻などを丁寧に取り除き、スプーンで身をすくって味わった。「甘い」「濃厚」「うまい」「いつも食べているのと違う」と感想はさまざま。神奈川県大和市の小学生松村海里君(11)は「触ったのも、むきたてを食べるのも初めて。おいしいし、米が欲しくなる」と頬を緩めた。
 
魚河岸テラスで開かれたウニむき体験を楽しむ家族連れ=3日

魚河岸テラスで開かれたウニむき体験を楽しむ家族連れ=3日

 
黙々と。子どもも大人も真剣な表情で作業に集中した

黙々と。子どもも大人も真剣な表情で作業に集中した

 
 提供された畜養ウニは、海藻が少なくなる「磯やけ」やエサの減少によるやせたウニの増加といった漁業が直面する厳しさを改善させる手段として漁業者が育てた。その取り組みを岩手大学釜石キャンパス特任専門職員の齋藤孝信さん(62)が解説。エサとして漁協の加工場で出る塩蔵ワカメの端材などを与えていて、「価値のないものや捨てるもの、そんなマイナスを組み合わせてプラスに持っていきたいという漁業者の思いが込もっている」と伝えた。
 
齋藤孝信さんの手ほどきを受け、ウニむき体験を楽しむ親子

齋藤孝信さんの手ほどきを受け、ウニむき体験を楽しむ親子

 
「口、とった」「うまーい」。いい表情を見せる子どもたち

「口、とった」「うまーい」。いい表情を見せる子どもたち

 
 愛知県名古屋市の井上峰行さん(41)、由里恵さん(43)夫妻は、東日本大震災のことを考える“三陸めぐり旅”の途中で立ち寄った。「海と断絶された高い壁のような防潮堤」が印象的だったというが、海という資源に対する地域の思いやSDGsという視点に触れる機会にもなった。ウニむき作業は浜の人たちの手にかかると3分ほどというが、2人が要した時間は約20分。細やかで手間のかかる作業を日々繰り返している漁業者の仕事ぶりに思いを巡らせながら、そのひとすくいの「味力(みりょく)」をかみしめた。
 
絶好のクルーズ日和。水面や景色の近さを楽しむのは漁船ならでは=5日

絶好のクルーズ日和。水面や景色の近さを楽しむのは漁船ならでは=5日

 
 釜石湾内の漁船クルーズは5日限定で「定期便」を運航した。魚河岸テラス前を発着に、波が比較的穏やかな湾口防波堤の内側を巡る約1時間の船旅。通常は事前予約(乗船希望日の2日前まで)が必要だが、この日は出港時間を決めて6便航行した。
 
 乗客は涼しげな潮風を受けながら、釜石港周辺の産業中心地や尾崎半島にかけての大自然を堪能。海上から見上げるガントリークレーンの迫力、正面から望む釜石大観音など、普段見られない視点からの光景に「観力(みりょく)」を感じた様子だった。
 
産業中心地の風景を間近で眺め、普段とは違った角度に面白さを感じたり

産業中心地の風景を間近で眺め、普段とは違った角度に面白さを感じたり

 
 このクルーズの魅力は、漁師の船長がガイドを務めていること。第1便は釜石湾漁協に所属する平田の佐々木剛さん(71)が乗客をもてなした。漁船内の魚槽や魚群を探知する機器などを見せながら、「今、この辺にはサバの群れがいるってことです」などと解説。カキやサクラマスなど湾内で行われている養殖、2011年の東日本大震災や2017年の林野火災の被害と再生の取り組みにも触れた。
 
ガイドとして乗客をもてなす漁師の佐々木剛さん(写真中央)

ガイドとして乗客をもてなす漁師の佐々木剛さん(写真中央)

 
釜石湾内で行われているサーモン養殖のいけすに興味津々

釜石湾内で行われているサーモン養殖のいけすに興味津々

 
 福島県須賀川市から訪れた阿部仁一さん(47)、志帆さん(46)夫妻は「水面が近く、風も感じられてリフレッシュした。台本通りではないガイドが素朴で味があったし、いけすを見られたのもよかった」と笑顔を重ねた。鵜住居町の根浜海岸ではオートキャンプを満喫。宿泊サイトは満杯だったものの静かで快適な時間を過ごしたといい、釜石の海レジャーに好感触を残した。
 
 GW後半は天候に恵まれ、釜石港の岸壁では釣り客も多かった。水中に糸をたらし、寄ってきた小魚を網ですくい取る子ども、サバなどをバケツいっぱいに釣り上げた人もいた。「釣りをやってみたい」という子どもらの希望を受けてやってきた盛岡市の40代男性は「道路がつながって三陸が近くなった。年に数回、平田で釣りをしていて、釜石の海にいいイメージを持っている。子どもたちも楽しんでいる」と目を細めた。
 
魚市場近くの岸壁では釣りを楽しむ人の姿も多く見られた=5日

魚市場近くの岸壁では釣りを楽しむ人の姿も多く見られた=5日

 
「とったー」。魚を釣り上げてピースサインをつくる子ども

「とったー」。魚を釣り上げてピースサインをつくる子ども

 
 ウニむき体験は、畜養しても活用方法や販路の確保を模索していた漁協を後押ししようと、昨年のGWに続いて2回目の実施。漁船クルーズは海を生かした持続可能な観光振興を目指し取り組む。どちらも反響は上々で、イベントを担当するかまいしDMCの佐々木和江さん(46)は「魚食、遊び、人との関わりなど多様な要素を取り入れた企画で、臨海部ならではの魅力を発信していきたい」と先を見据えた。