助け合いの心のせ 釜石野球団、募金活動 能登半島地震の被災地へ「生きる力に」
募金活動を行う釜石野球団のメンバーら
釜石市の社会人野球チーム「釜石野球団」(佐藤貴之監督、約30人)とその弟分・小学生を中心とした少年野球チーム「釜石野球団Jr.(ジュニア)」(大瀬優輝監督、23人)は10日、能登半島地震の被災地を支援しようと、大町の商業施設イオンタウン釜石で募金活動を行った。ジュニアメンバーは東日本大震災後に生まれたが、家族ら身近な人の話や学校生活の中で学び、記憶をつなぐ世代。「助けてもらったから、今度は…」。能登の状況を古里の記録に重ね、買い物客に元気いっぱい協力を呼びかけた。
募金は、いち早く応援の取り組みをスタートさせた釜石市赤十字奉仕団(中川カヨ子団長、15人)の主催。野球団は大人、ジュニア合わせて約30人が集まり、奉仕団メンバーら約10人とともに活動した。呼びかけには市社会福祉協議会も協力した。
能登半島地震の被災地を思って寄付を呼びかけ
「協力を」。奉仕団とともに活動する野球少年ら
参加者は施設入り口3カ所に並び、買い物客に「能登応援の活動をしています」「よろしくお願いします」などと約2時間アピール。ジュニアチーム主将の小林大空(かなた)君(11)は「震災の時は生まれていなかったけど、たくさん助けてもらった(と聞く)。この募金が被災した人たちの生きる力になればうれしい」と思いを寄せた。
子どもらの呼びかけに応え、買い物客らが善意を寄せた
ジュニアは2022年春に発足し、保育園年長から小学生までの男女が野球などの運動に親しむ。能登地震を受け、子どもたちから「何かやらないの?」と声が上がり、応援活動を思案。野球道具の支援や子どもの遊び場確保に役立つことを―とも考えたが、大人たちの経験から「生活再建が最優先」と義援金を送る取り組みに決めた。チーム立ち上げ時に地元企業から運営費の協賛が寄せられたこともあり、地域貢献として施設周辺の美化活動も展開。ごみ袋を手に菓子の空き袋やたばこの吸い殻などを拾い集めた。
ごみ拾いで地域の美化活動に協力する子どもたち
佐藤監督(54)は「震災で助けられた経験を伝え聞いている子どもたちは『今度は自分たちが』という意識がある」と見守る。「やるか!」と実行した今回の活動で、「震災の記憶をつなぎ、助け合いの心を養ってもらえたら」と望むのは大瀬監督(34)。野球は助け合いのスポーツでもあり、「プレーに生きてくる」と信じる。
この日、奉仕団は5時間にわたって呼びかけを展開した。託された義援金は28万9353円。他の活動で集まった思いと合わせて日本赤十字社に送り、被災地の人たちの生活支援に役立ててもらう。中川団長(76)は「息の長い活動になる」と、これからも「恩返し」の支援を続ける構えだ。
釜石新聞NewS
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