漢字のでき方に「へぇ~、ほぉ~」 釜石初「漢字成り立ち講座」鵜住居公民館で開催


2024/02/27
釜石新聞NewS #地域

鵜住居公民館で開かれた「漢字成り立ち講座」。講師は漢字教育士の川﨑悠嗣さん(右)

鵜住居公民館で開かれた「漢字成り立ち講座」。講師は漢字教育士の川﨑悠嗣さん(右)

 
 釜石市の鵜住居公民館(松下隆一館長)で22日、漢字の成り立ちを学ぶ講座が開かれた。同館のコミュニティー支援事業・ひまわり会(月2回実施)が、市の生涯学習まちづくり出前講座の新メニューを活用して初開催。参加者は漢字の基となった象形文字などについて学び、造字の面白さを味わった。問題にも答え、脳を活性化させながら楽しい学びの時間を過ごした。
 
 地域住民ら13人が参加した。講師を務めたのは市職員で、漢字教育士(立命館大白川静記念東洋文字文化研究所認定)、漢字教育サポーター(公益財団法人日本漢字能力検定協会)の資格を持つ川﨑悠嗣さん(37)。本年度、同出前講座に登録されてから、自身にとっても初めての講座となった。
 
 川﨑さんは、漢字の起源が約3300年前の中国・殷王朝後期(紀元前1300~同1000年ごろ)の遺跡から出土した甲骨文字(亀甲や獣骨に刻まれた文字)であることを紹介。最古の本格的漢字字典は西暦100年(後漢)に作られた「説文解字」で、字の成り立ちや意味が解説されているという。日本では江戸時代に出土した「漢委奴国王」と刻まれた金印が最古の漢字資料。後に日本語を漢字で表したとみられるものも見つかり、5世紀ごろには漢字で日本語を書き表す習慣ができていたと考えられているという。
 
市の出前講座としても初開催。参加者は熱心に話を聞いた

市の出前講座としても初開催。参加者は熱心に話を聞いた

 
 川﨑さんは漢字の造られ方として、象形文字(物の形をかたどって造られた文字)、形声文字(形=意味や領域、声=発音を表す要素を組み合わせた文字)、仮借(かしゃ=ある物事を表す適当な漢字がない場合、関係のない同音の他字を借りてあてたもの)など6つの方法を説明。金文や篆書(てんしょ)、隷書(れいしょ)など書体の変化についても触れた。
 
 講座では事前に申し込んだ参加者の名前の漢字について、古代の文字と由来を記した資料で解説した。例えば「石」という字は、厂(山の崖の形)と口(神への祈りの文書を入れる箱=サイの形)を組み合わせたもの。大きな石は神が宿るとされ、サイを供えて祈りをささげるという意味があり、会意文字(2つ以上の漢字を組み合わせ、意味を複合して別の意味、発音を持たせた文字)にあたる。口(サイ)は他の漢字でも同様の意味で使われ、「吉」の字は士(神聖なまさかりの刃を下に向けた形)をサイの上に置くことで祈りの効果を守ることを示しているという。
 
象形文字などについて解説。漢字の成り立ちに参加者も興味津々

象形文字などについて解説。漢字の成り立ちに参加者も興味津々 

 
 「母」の象形文字は、ひざをついて座っている女性の姿を表していて、2つの「丶(点)」を取ると「女」という字になる。点は乳房を表すという。「二」「三」は数を数える時に使う算木を2本、3本と重ねた形。「四」も元々は「亖(し)」だったが、仮借(かしゃ)で今の「四」になった。
 
 参加者は、象形文字が表す漢字を選ぶ問題や9つの漢字から三字熟語を作る問題にも挑戦。楽しみながら漢字にまつわる知識を得た。柏崎美佐子さん(85)は「はんこに使われている篆刻(てんこく)や書道の隷書などを見ていて、興味があって参加した。自分の名前の漢字の成り立ちも分かり、ありがたい。面白いので講座をシリーズ化してほしい」と期待した。
 
象形文字が表す漢字を選ぶ問題に挑戦。じっくりと見比べて… 

象形文字が表す漢字を選ぶ問題に挑戦。じっくりと見比べて…

 
「あめかんむり」の漢字を書いてみよう!

「あめかんむり」の漢字を書いてみよう!

 
 講師の川﨑さんは鵜住居町出身。東日本大震災で被災し、移住した遠野市で図書館に通っていた時、たまたま手にとったのが漢字の本。興味をそそられて勉強を始め、検定にも挑戦した。今は準1級の腕前で、最高位の1級取得を目指して奮闘中。初の出前講座に「緊張したが、喜んでもらえたようでうれしかった」と一安心。講座で使ったイラストなどの教材は自身の手作りで、「もっと分かりやすく教えられるように内容を考えたい」と次の機会を見据える。「漢字は奥深い。成り立ちが分かると覚えやすかったり、楽しく学べる。子どもたち向けに学校での出前講座もできれば」と望んだ。
 
手製のイラスト教材で漢字の成り立ちを説明する川﨑さん

手製のイラスト教材で漢字の成り立ちを説明する川﨑さん

 
鵜住居公民館の「ひまわり会」では座学や健康づくりなど多彩な活動で住民交流、孤立防止などに努める

鵜住居公民館の「ひまわり会」では座学や健康づくりなど多彩な活動で住民交流、孤立防止などに努める

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