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4年ぶりにぎやかに「ほたるの里まつり」 釜石・中小川で地元住民ら芸能楽しむ

第8回ほたるの里まつり=中小川、2日

第8回ほたるの里まつり=中小川、2日

 
 釜石市内有数のゲンジボタルの生息地・小川川で今年もホタルの発光が見られている。同所の豊かな自然環境を次世代につないでいこうと開かれている「ほたるの里まつり」が2日、コロナ禍を経て4年ぶりに開催された。地元の芸能団体などが出演し、にぎやかに住民交流を繰り広げ、古里の宝を守り育てることへ気持ちを新たにした。
 
 同まつりは小佐野地域会議(黒田至議長)のほたるの里推進事業として、流域の4町内会などで組織する実行委が続けてきた。これまで「ほたる娘コンテスト」や地元小学生の「ホタルに関する作文コンクール」の入賞者表彰・朗読などを企画。芸能披露とともに住民らを楽しませてきた。
 
 新型コロナウイルス感染症の影響でここ3年は中止。今回は2019年以来、通算8回目の開催となった。中小川集会所前の空き地に組んだステージには、同地域会議が昨年作った「ほたるの里」のPR用大型幕を設置。住民への初お披露目となった。黒田議長は「ホタルはきれいな水辺でないと生きていけない。この清流をみんなで守っていってほしい」とあいさつ。地元舞踊団体・佐々木社中の5人と市内在住の歌手・尾崎都さんが歌と踊りのステージで盛り上げた。
 
歌で楽しませた尾崎都さん(左)と踊りで魅了した佐々木社中の尚玉泉さん(右)

歌で楽しませた尾崎都さん(左)と踊りで魅了した佐々木社中の尚玉泉さん(右)

 
歌や踊りのステージに拍手を送る観客。

歌や踊りのステージに拍手を送る観客。

 
 甲子郷小川しし踊り保存会(佐々木義一会長、50人)は伝統の舞を披露。子どもから大人まで約40人のメンバーが久しぶりの地元イベントで躍動した。佐々木会長(59)は「勇壮な踊りを見たいという地域住民の声にも応えられた。地元での踊り披露は会にとってもうれしいこと」と笑顔。少子化で次世代への継承が課題となっているが、「小佐野小でも伝承活動に取り組んでいる。興味を持った子が一人でも多く保存会に入ってくれれば」と願った。
 
「甲子郷小川しし踊り保存会」の演舞。子どもたちも一生懸命踊った

「甲子郷小川しし踊り保存会」の演舞。子どもたちも一生懸命踊った

 
小川しし踊りは明治15年ごろ、遠野・上郷に踊りの習得に行った地域の若者が持ち帰り、住民一丸の練習で郷土芸能として発展してきた

小川しし踊りは明治15年ごろ、遠野・上郷に踊りの習得に行った地域の若者が持ち帰り、住民一丸の練習で郷土芸能として発展してきた

 
小踊りの女性陣も軽やかに舞う

小踊りの女性陣も軽やかに舞う

 
 最後は恒例の餅まき。集まった観客約100人が手を伸ばし、コロナ前のまつり風景が広がった。岩間奈月さん(34)は震災後、同所に建てられた仮設住宅に暮らし、今は地区内に再建した自宅に家族と暮らす。「ここに足を運ぶのはしばらくぶり。以前、めいがほたる娘に参加していたので思い出深い。今回も知り合いがしし踊りに出ている」と楽しい時間を満喫。「子どもも大きくなってきたので、まだ見たことがないホタルも見てみたい」と声を弾ませた。
 
まつりの締めは餅まき!祝いムードも4年ぶり

まつりの締めは餅まき!祝いムードも4年ぶり

 
 中小川町内会の佐々木正雪会長(73)は「多くの方に来ていただき、ありがたい。今年は町内会の総会後、お花見会もやった。各種行事も徐々にコロナ前の形に戻していきたい」と話す。今月15、16日には地元の千晩神社の例大祭も予定される。
 
 佐々木会長によると、小川川では6月中旬ごろからホタルの発光が見られており、間もなく終盤を迎える。同町内会では震災後の環境変化で減ってしまったゲンジボタルを増やそうと、昨年から幼虫の餌となるカワニナの放流も開始。今年は800匹を放流している。

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津波に襲われた海辺で植物観察 釜石・唐丹町片岸 市民ら震災後の環境変化を学ぶ

唐丹町片岸の海岸で行われた植物観察会=1日

唐丹町片岸の海岸で行われた植物観察会=1日

 
 東日本大震災の津波被害を受けた釜石市唐丹町片岸の海岸で1日、砂浜や周辺に生える植物の状況を調べる観察会が開かれた。震災後の復興工事で高さ14.5メートルの防潮堤が整備された一帯。砂浜では震災後に発芽したアカマツの幼木や震災前から自生するハマヒルガオなどが見られた一方、土壌環境の変化で繁殖が進んだとみられる外来種の植物が複数見つかった。
 
 観察会は長年、地元の植物の観察・研究を続ける釜石植物の会会長の鈴木弘文さん(78)が開き、市内外から7人が参加した。鈴木さんの案内で、津波による流出を免れた砂浜と、防潮堤工事で重機が入った堤体付近の草地を回り、震災から12年が経過した現在の植物の生育状況を確認した。
 
 砂浜では海浜植物の代表格、ハマヒルガオが見られた。震災前ほどの群生には至っていないものの、薄桃色のラッパ形状の花が咲いているのが確認され、花が終わって結実した種入りの実も見つかった。同様に海岸の砂地に生え、横に長く根を伸ばすコウボウシバも。三陸の海岸部に多いアカマツは、震災後に落ちた種から発芽したとみられる低木が点在していた。
 
右:花を咲かせたハマヒルガオ、左上段:ハマヒルガオの実、同下段:実の中の種

右:花を咲かせたハマヒルガオ、左上段:ハマヒルガオの実、同下段:実の中の種

 
左:アカマツの幼木、右:コウボウシバ

左:アカマツの幼木、右:コウボウシバ

 
 女性たちが歓声を上げたのは花をつけた植物。小さな花が螺旋(らせん)状に並んで咲くネジバナ(別名モジズリ)はラン科の多年草。海岸で見られるのは珍しいといい、「かわいいね」「きれいだね」と注目を集めた。また、愛らしい花をつける一方で茎に鋭いとげがあるママコノシリヌグイ(タデ科)は、名前の由来が参加者を驚かせた。このほか、イヌシデ(カバノキ科)やエニシダ(マメ科)などの樹木も確認された。
 
左:マメグンバイナズナ、右:らせん状に花が並ぶネジバナ(モジズリ)

左:マメグンバイナズナ、右:らせん状に花が並ぶネジバナ(モジズリ)

 
サヤエンドウのような実(左下)をつけたマメ科の植物に興味津々

サヤエンドウのような実(左下)をつけたマメ科の植物に興味津々

 
 同所の環境について、鈴木さんが指摘したのは外来種の増加。産毛のような葉が特徴のビロードモウズイカ(ゴマノハグサ科)、黄色の細かい花が円すい状に広がるセイタカアワダチソウ(キク科)、花粉症の原因としても知られるオオブタクサ(キク科)は繁殖力が強く、「樹木がなかなか入ってこられない」と鈴木さん。工事で土が掘り起こされた堤体近くの草地ほど増加傾向が顕著だという。
 
外来種のビロードモウズイカ(左)は繁殖力が強い

外来種のビロードモウズイカ(左)は繁殖力が強い

 
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水門と一体的に整備された防潮堤の前に広がる海岸が観察場所

 
 同海岸一帯で鈴木さんが確認している植物は約120種。「未確認のものを含めると200種ぐらいはあるのでは」と鈴木さん。この日は、鈴木さんが今年4月に同所で初めて見つけたムシクサ(在来種)も紹介した。
 
 雫石町から足を運んだ60代女性は「内陸では目にしない植物もあり興味深い。津波で大きな被害を受けた場所でもこうして再生している。植物の生命力はすごい」と驚いた様子だった。鈴木さんは「植物を調べることは環境の証明になる。人間は自然を理解し、未来のことも考えて共生していくべき」と話した。
 
 さまざまな植物の名前や特徴を学ぶ参加者。普段見過ごしている植物も名前を知るといとおしい

さまざまな植物の名前や特徴を学ぶ参加者。普段見過ごしている植物も名前を知るといとおしい

広報かまいし2023年7月1日号(No.1811)

広報かまいし2023年7月1日号(No.1811)

広報かまいし2023年7月1日号(No.1811)
 

広報かまいし2023年7月1日号(No.1811)

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【P1】
根浜海岸海開き 他

【P2-3】
かまいしエール券販売
イベント案内 他

【P4】
新型コロナワクチン接種のお知らせ 他

【P5-7】
まちのお知らせ

【P8】
イベント案内

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 広聴広報課 広聴広報係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8419 / Fax 0193-22-2686 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2023063000037/
釜石市

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釜石市公式サイトと連携し、縁とらんすがピックアップした記事を掲載しています。記事の内容に関するお問い合わせは、各記事の担当窓口までお問い合わせください。
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自然体で満100歳 釜石の高橋廣志さん 高齢者施設に夫婦で入居「一緒に長生きしよ」

桃色のちゃんちゃんこと帽子を身に着けた100歳の高橋廣志さん(左)と妻の嘉子さん

桃色のちゃんちゃんこと帽子を身に着けた100歳の高橋廣志さん(左)と妻の嘉子さん

  
 釜石市甲子町(中小川)の住宅型有料老人ホーム「カサ・デ・ファミリア」で生活する高橋廣志さんが26日、満100歳となった。ともに入居する妻嘉子さん(96)や、県内外で暮らす家族が駆け付けて長寿を祝福。バースデーケーキをパクパクと食し、シャンパンもグイグイ飲み干す廣志さんは「自然と100歳になっちゃった」と、すこぶる元気だ。
  
 廣志さんは1923(大正12)年、鈴子町に生まれた。18歳ごろから定年退職まで約40年製鉄所で働いた。看護師だった嘉子さんと結婚し、1男2女を育て、孫3人、ひ孫1人に恵まれた。多趣味で、特に登山やスキー、釣り、ソフトボールなど体を動かすことが大好き。小佐野町に居を構えると、町内会活動にも積極的に参加した。
  
 体調を崩した嘉子さんの入院を機に、昨年10月から2人一緒に同ホームで暮らす。「かかりつけ医なし」という廣志さんは耳が遠くなってきているが、つえなどの補助なしで歩行ができるほど健康。「好きで一緒になったから大事にしなきゃ。妻を残していけない、長生きしないと」と、週2回通うデイサービスでは筋トレをしたり、今なおアクティブに過ごす。
  
鈴木部長から祝い金などを受け取った廣志さん(中)

鈴木部長から祝い金などを受け取った廣志さん(中)

  
 廣志さんの誕生日に合わせ、釜石市は特別敬老祝い金5万円と記念品の羽毛肌掛け布団、野田武則市長が筆をとった「寿」の額入り祝い状を贈った。届けた市保健福祉部の鈴木伸二部長が「戦争や災害など激動の時代を生き抜いてきた。ご夫婦で長生きしてください」と声をかけると、「わざわざすいません。まさか、こんな風に祝ってもらえるとは夢みたい。何も考えていなかったけど、自然と(100歳まで)いっちゃう感じ。動きは重くなってきたが、これからも体を動かしていきたい」などと応じた。
  
 そんなやりとりを長女小野節子さん(74)=愛知県大府市、次女佐々木惠子さん(70)と夫幸弘さん(68)=盛岡市=が見守った。「穏やかで、責任感があり、家族思いの父。とにかくファミリーが大事で、旅行の思い出もたくさん。あたたかい笑顔は変わらない」と小野さん。自宅のような環境でゆったり過ごす日々が続くことを願っていた。長男一行さん(66)も翌日、愛知・豊橋市から祝いに駆け付けた。
  
「おめでとう」。廣志さん(左から2人目)の長寿を喜ぶ家族ら

「おめでとう」。廣志さん(左から2人目)の長寿を喜ぶ家族ら

  
 釜石市の高齢化率(65歳以上)は5月末現在で40.3%。100歳以上は廣志さんを含め28人(男性1人、女性27人)おり、最高齢は105歳の女性。

「第1回 かまいし五百円市」「第4回 かまいし百円市」の出店者を募集します

「第1回 かまいし五百円市」「第4回 かまいし百円市」の出店者を募集します

 

釜石まちづくり(株)では、「2023年7月29日(土)「第1回かまいし五百円市」 (以下、五百円市)」、「2023年9月2日(土)「第4回かまいし百円市」 (以下、百円市)」を開催します。販売商品を全て500円(五百円市)、100円(百円市)とするフリーマーケットやバザーのような形態で、“500円均一フリマ”、“100円均一フリマ”と言ったイメージです。

 

例えばこのような商品の出品を想定しています・・・
リユース可能な子供用品、持て余してしまったお歳暮や引き出物の中身、まだまだ使えるおもちゃ、ダブったガチャガチャ、ちょっとしたコレクションアイテム、端数が残ってしまったパック商品、かつての趣味の名残、ハンドメイド商品、お菓子などの食品・・・・などなど、価格を500円・100円として頂ければ、一部の取扱い禁止商品以外は何でもOKです。

 

均一価格のため販売益は限定されるかもしれませんが、五百円市・百円市ともに以下のような点に意義を見出して下さる皆様のご出店を募集いたします。
・リユースの促進による社会活動的意義
・みんなで出店する楽しさ
・街の賑わいの場づくり
・ハンドメイド作品などの販売機会
など

 

各種サークル活動などのグループをはじめ、社会福祉法人やNPO等の社会活動団体、町内会やクラブ・少年団活動等の地域活動の一環として、学校や幼稚園・PTAや保護者会の催しとしてなど、皆様のご出店をお待ちしています(個人での出店も可能です)。ハンドメイド作家さんのご出店も歓迎いたします!

 

開催概要

日時:
【五百円市】 2023年7月29日(土)10:00~14:00
【百円市】 2023年9月2日(土)10:00~14:00
場所:釜石市民ホールTETTO・ホール前広場 (両日とも)
主催:釜石まちづくり(株)
 
◇9/2(土)の百円市では、同会場・同時間帯にて「第30回釜石市ふれあい福祉まつり」も開催されます。詳細については「縁とらんす」イベントページ等での情報更新をお待ちください。

 

出店の基本情報

◎全ての商品を以下の価格で販売すること
【五百円市】500円(税込)
【百円市】100円(税込)
◎下記の品数をご用意頂けること(多い分には大歓迎!)
【五百円市】30個以上
【百円市】50個以上
◎「出店について」の要件を遵守頂けること
・参加可能枠を超えるご応募があった際は抽選とさせて頂きます
・チャリティ活動(売上は○○へ寄付、○○を支援、教育や社会福祉活動資金に充当)が伴う場合は、条件により別枠での出店が可能ですのでご相談下さい

 

出店について

◆物品の販売以外のサービスを商品として提供することはできません
(マッサージ、ヘアカット、診断、占いなど ※縁日等に類するものや主催者が要請したものは除く)
◆出店料は以下となります
【五百円市】2,000円
【百円市】 500円
◆出店スペースの広さは、幅2~2.5m×奥行1.5~2mを目安に調整させて頂きます
また、販売台、シート、釣銭等は各自でご準備下さい(主催者による両替には限りがあります)
◆会場は屋外となりますので、各自で出店時の気候対策等をお願いします
◆出店者には、釜石大町駐車場の24時間駐車券(通常800円)を500円にて斡旋いたします(団体の場合は駐車台数分の購入OK)
◆ペット等を同伴しての出店は禁止です(介助犬等を除く)
◆火器の使用や発電機の持込みは禁止です

 

取扱い禁止商品

以下の商品の取扱い及び取引は禁止といたします
 
生鮮食品など衛生管理上好ましくない物、その場で調理提供する飲食品(キッチンカーを除く)、ペット等の生き物、偽造品や盗品など法律に抵触する商品、受発注や目録を介しての後日取引を前提とした商品、取扱い資格の必要な危険物や薬品(有資格者でも不可)、公序良俗に反する物、大量の火薬類、再販売やオークション等への出品を前提とした取引
 
※大量の酒類を取り扱う場合は事前にご相談ください
※この他、主催者が不適切と判断した商品については取扱いを中止頂く場合があります

 

出店の申し込み方法

出店に関しての各種事項(開催概要、基本条件、出店について、取扱い禁止商品)を必ずご確認・ご理解のうえ、下記の出店申込書を記入して釜石まちづくり(株)までお申込み下さい。
 
・釜石まちづくり(株)の社員によるご紹介やご案内による場合は直接担当社員まで
・それ以外の場合は、釜石まちづくり(株)FAX <0193-27-8331>

 

《申込み締切》
【五百円市】7月18日(火)
【百円市】8月22日(火)

 

問合せ等については、同様に担当社員にご連絡いただくか、釜石まちづくり(株)TEL <0193-22-3607> までお願いします。

出店概要&申込書

「第1回 かまいし五百円市」の出店概要&申込書
PDF版(829KB) / Word版(32KB)

 

「第4回 かまいし百円市」の出店概要&申込書
PDF版(835KB) / Word版(31KB)

フェリアス釜石

釜石まちづくり株式会社

釜石まちづくり株式会社(愛称 フェリアス釜石)による投稿記事です。

問い合わせ:0193-22-3607
〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-10 釜石情報交流センター内 公式サイト

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釜石・建設関連の職人が高齢者支援 全建総連「住宅デー」で住まいをボランティア修繕

釜石建設組合「第46回住宅デー」地域奉仕活動

釜石建設組合「第46回住宅デー」地域奉仕活動

 
 釜石建設組合(佐々木正雪組合長、235人)は18日、市内の高齢者世帯を対象に住宅の不具合を改善するボランティア活動を行った。全国建設労働組合総連合(全建総連)が6月に推進する「住宅デー」の活動の一環。申し込みのあった7軒で組合員7人が要望箇所の修繕や必要とする設備の取り付けなどを行い、依頼者に喜ばれた。
 
 46回目となる住宅デーは、地域に奉仕することで組合員の存在感を高めるとともに組織拡大につなげようと展開。釜石では前身の「大工組合」の時代から奉仕活動を続けており、近年は高齢者の安全安心な住環境を支援しようと、軽微な住宅修繕を行っている。
 
 市広報で依頼者(先着10人)を募集。今年は15人の応募があり、下見の結果、同活動で対応可能な7軒を訪問した。階段の手すり設置、雨戸・網戸のと車調整、壁や軒下の一部補修、室外機の小屋根設置―などを実施。工賃は無料で、依頼者は材料費だけ実費負担した。
 
平田の住宅で門の外壁タイルの補修を行う鈴木利治さん(鈴木左官)

平田の住宅で門の外壁タイルの補修を行う鈴木利治さん(鈴木左官)

 
 平田の橘内道子さん宅では敷地門の剝がれたタイルの補修を依頼。鈴木左官(唐丹町)の鈴木利治代表(49)が作業にあたった。「家の入り口なので気になっていたが、どこに頼めばいいか分からなくて。ちょうど広報で募集を見つけ、ダメ元で電話をかけた。地元の職人さんがやってくれるのは安心につながる」と橘内さん。専門業者の確かな技術を喜び、感謝した。
 
作業を視察する佐々木正雪組合長(右)と依頼した橘内道子さん(同隣)

作業を視察する佐々木正雪組合長(右)と依頼した橘内道子さん(同隣)

 
 同組合は大工のほか内装、板金、電気、配管、土木など、住まいに関わるあらゆる業種の職人で組織する。佐々木組合長(73)=佐々正建設(甲子町)=によると、組合員数は年々減少。高齢による退職、少子化などでの職人のなり手不足が顕著になってきている。佐々木組合長は「地元での仕事の受注増、若手の育成が課題。こうした奉仕活動を通じて地元職人の存在を知ってもらい、住民に頼ってもらえるようにしていきたい」と話した。同組合事務所は上中島町4丁目に置く。
 
佐々木組合長は組合員の近況なども聞き取った

佐々木組合長は組合員の近況なども聞き取った

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釜石産ブドウのワイン堪能 ソーシャルファーム&ワイナリー、新酒お披露目会

釜石ワインの新酒を待ちわびた市民ら

釜石ワインの新酒を待ちわびた市民ら

  
 釜石産ブドウを100%使ったワイン造りに取り組む「ソーシャルファーム&ワイナリー」は16日、2022年産新酒のお披露目会を釜石市港町のイオンタウン釜石で開いた。今季の「釜石ワイン」は混醸(こんじょう)の白2種に仕上げ、計約100本限定で販売。軽食とともに試飲した市民らは「心のこもった深い味わい」に酔い、次々と“お買い上げ”した。
   
 ソーシャルファームは、遠野市のNPO法人遠野まごころネット(小松正真理事長)が東日本大震災の被災地の活性化、被災者や障害者らの雇用創出などを目的に創設した事業の一環。釜石・甲子町で運営する障害者自立支援施設「まごころ就労支援センター」(山本智裕施設長)の農福連携事業として、14年からブドウを育て、ワイン造りに取り組んでいる。
   
 昨秋は約20アールの畑から約130キロを収穫した。シャルドネやリースリングなど6種の白ブドウを混醸させた「釜石ブラン」はすっきりした飲み口が特徴で、食前酒におすすめ。白、赤ブドウを同じタンクで「マロラクティック発酵」(乳酸菌がワインに含まれるリンゴ酸を乳酸と炭酸ガスに分解する発酵)させた白「釜石アッサンブラージュ」はまろやかだが、キリッとした酸味が感じられる一品。いずれも、750ミリリットル入りで価格は2500円。
   
「乾杯!」。お披露目会で新酒を楽しむ参加者

「乾杯!」。お披露目会で新酒を楽しむ参加者

   
 お披露目会には新酒を楽しみにしていた市民や関係者ら約50人が集った。小松理事長(44)は「この地でブドウ栽培、ワイン造りに挑戦し、間もなく10年になる。心の込もった味わいを楽しんでほしい。これからも、地域発展の力になるよう取り組んでいく」とあいさつ。釜石ワインのほか、遠野産の3種類も紹介され、参加者が飲み比べを楽しんだ。
  
 毎年味わっているという鵜住居町の佐々木博幸さん(67)は「年数がたって、いい味になってきた。品種をミックスして、あっさりしながら深みもある味わい。乳酸菌発酵という新たな試みで、いろんな味を楽しめるようになっている」と堪能した。
  
「新酒をどうぞ」。関係者がおもてなしした

「新酒をどうぞ」。関係者がおもてなしした

  
 ファームでは、同センターを利用する10~50代の30人ほどがブドウ栽培に携わる。畑の草刈りやせん定、収穫などの作業に一丸となって取り組んでいて、施設利用者の佐藤弘一朗さん(28)は「大変なこともあるけど、ブドウたちの成長を見ながらできるから楽しい。みんなの協力があってこそのおいしいワインができたので、たくさんの人に味わってほしい」と願った。ラベルやチラシのデザインも利用者が担当。「釜石と言えば」をテーマにしたラベルでは、海やウミネコなどがモチーフになった。
  
釜石ワインの新酒に目を細める関係者や市民ら

釜石ワインの新酒に目を細める関係者や市民ら

  
会場で販売された釜石産、遠野産ワイン

会場で販売された釜石産、遠野産ワイン

   
 醸造を担当した同センターの職業指導員荒川哲也さん(35)は「おいしい」との声を聞き、「受け入れられて、ほっとした。今季のワインはアルコール度数が9%程度だが、醸造の技術を磨いて度数を上げたり、スパークリングにも挑戦してみたい」と意欲を高めていた。
   
 今季の釜石産はお披露目会で多くの人が手に取っており、品薄になっているとのこと。購入などの問い合わせは、まごころ就労支援センター(電話0193・55・5100)へ。
 
 

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SL銀河 最後の勇姿 沿線各所で万感の見送り ライトアップの宮守「めがね橋」では感動の別れ

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11日夜、大勢の人たちに見送られ、10年にわたる運行を終えた「SL銀河」=宮守・めがね橋

 
 震災復興を後押しし、被災地に夢と希望を届け続けた「SL銀河」。10年にわたり人々を魅了してきた釜石線のシンボルは、ラストランでも「いかに愛された列車であるか」を強く印象付けた。3、4日の最終定期運行、10、11日の団体ツアー列車による引退運行では、沿線各地で地元住民や全国から駆け付けた鉄道ファンが別れを惜しんだ。11日夜、遠野市の宮守川橋りょう、通称「めがね橋」では大勢の人たちが最後の勇姿を目に焼き付け、感謝の言葉、拍手で列車を見送った。
 
 晴天に恵まれた最終定期運行の3、4日。残り少ない機会を映像や写真に収めようと、各駅や沿線の人気撮影スポットには多くの鉄道ファンが集った。新緑に包まれたカーブ路線の走行が見られる釜石市甲子町大松、釜石鉱山メガソーラー発電所付近では、県外から訪れた人や地元住民らがカメラを構えた。
 
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最終定期運行では最後尾の客車に「ありがとう」と記されたヘッドマークが取り付けられた=3日下り、釜石鉱山メガソーラー発電所付近

 
 つい最近までJRの線路工事の請負業務に従事していた大松在住の男性(80)は、震災後の釜石を復興まで支え続けてくれたSL銀河に感謝。これまで各地で撮りためた写真を見せながら、「震災復興の大きな力になった。できれば、まだ続けてもらえればいいんだが。諸事情を考えるとJRとしては限界なのかな…」。51年にわたった自身の仕事人生の終止符にSLの運行終了を重ね、特別な思いで列車を見つめた。
 
 茨城県日立市の布施勝一さん(67)、由美子さん(63)夫妻は、2016年ごろから月1回ペースで撮影に足を運び続けた。「煙の多さが魅力的。次はこう撮りたいと回を重ねてきた」と勝一さん。宮沢賢治の童話「銀河鉄道の夜」をモチーフにした客車に引かれる由美子さんは「初めて見た時は感動した。デザイン、ブルーのグラデーション…。他にはないもの」。胸に刻まれた思い出は数知れず。「このSLがなければ釜石に来ることはなかったかもしれない」と口をそろえ、見納めとなる姿を記憶と記録に残した。
 
 団体ツアー客を乗せた10、11日の運行。10日は花巻発釜石行きの下り運転。釜石市の玄関口、陸中大橋駅には到着時刻の午後2時35分を前に、列車を出迎えようとする人たちが次々に車で乗り入れた。手作りのメッセージボード、うちわ、JR特製手旗を携え到着を待ちわびる人たち。列車が到着すると、これまで撮りためたSL写真を乗務員にプレゼントするファンも。ホームは大勢の人たちでごった返した。
 
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10日、陸中大橋駅でSL銀河の到着を待つ親子連れや子ども

 
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手旗を振って最後の下り運転の列車を出迎えた

 
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宮城県から駆け付けた家族は列車を追い、洞泉駅でも通過車両に手を振った

 
 文字通りの“ラストラン”となった上り運転の11日―。この日は夜にかけての運行となり、釜石駅出発は午後2時40分。別れの涙を象徴するかのような雨模様の市内には午後、SL銀河の見送りを呼び掛ける防災無線が響いた。沿線には通過時刻に合わせ市民らが駆け付け、10年の感謝を込め列車に手を振った。沿線各地区の生活応援センターでは見送り用の手旗を希望者に事前配布。当日、小佐野駅には約80人が集まり、釜石に元気をくれたSLとの別れを惜しんだ。高齢女性は「寂しいね…。涙が出るね」と目を潤ませた。
 
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11日、小佐野駅を通過する列車に手を振る地域住民ら(写真提供:小佐野地区生活応援センター)

 
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降りしきる雨の中、力強く進むSL銀河(写真上:枯松沢橋りょう、同下:同橋りょう手前)

 
 ラストランを一層盛り上げたのは遠野-花巻間の夜間運行。最大の見せ場、宮守の「めがね橋」は、辺りが暗くなるとライトアップされ、到着を待つ人たちの期待感を高めた。午後7時8分に遠野駅を出発した列車は午後8時すぎ、同橋に姿を現し、蒸気や煙を吐きながらゆっくりと走行。列車を見上げる人たちはサイリウムライトやスマホをかざし、盛んに手を振った。
 
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ライトアップされためがね橋で最後の勇姿を見せるSL銀河

 
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横断幕やサイリウムライトで感謝の気持ちを表す遠野市民ら

 
 花火も上がる中、列車は橋の上で約3分間停車。どこからともなく「今までありがとうー」「おつかれさまでしたー」などと声が上がった。機関車は何度も長い汽笛を鳴らし見物客に応えた。機関車に乗り込んだJR社員も車内から明かりを照らし、「ありがとうございました」とお礼の言葉が発せられると一帯は大きな感動に包まれた。走り去る際には「また、走ってくれよー」「待ってるよ。またねー」などの声が響き、自然と大きな拍手が湧き起こった。
 
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機関車からも明かりが…。互いに感謝の気持ちを伝え合った(写真上)。乗客も心温まる光景を脳裏に刻んだ(同下)。写真提供=多田國雄さん

 
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宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」をほうふつとさせる光景が広がった(写真提供=多田國雄さん)

 
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「また、いつか…」。復活への希望も込め、列車に別れを告げる

 
 紫波町から家族5人で訪れた佐々木琉君(7)は「小さいころからずっと見てきた。今日はすごく感動した」。自宅そばに釜石線の踏切があり、運行シーズン中は毎週土日が楽しみで仕方なかったという。「こんなに緊張して動画を撮ったのは初めて。涙があふれそうだったが、ぐっとこらえた」と母絵美さん(39)。SL銀河の運行開始後、琉君ら2人の子どもに恵まれた。「子どもたちの成長はSL銀河と共にあった。乗務員さんが一生懸命手を振って、汽笛を鳴らしてくれたことは忘れられない」と声を詰まらせた。
 
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大人も子どもも盛んにライトを振ってお見送り

 
 釜石市小川町の八幡三郎さん(78)、良子さん(75)夫妻は写真が趣味。「私たち世代は修学旅行も集団就職も東京までSLだった。どうしても引かれるものがある」と、追っかけてきた。ラストランはめがね橋でカメラを構え、「多くの人が見送る光景に胸がいっぱいになった。本当に終わりなんだなぁ」。寂しさをにじませつつ、「今までで一番のSLだった」と三郎さん。この10年を振り返り、「釜石にみんなが来てくれるきっかけになり、人と人との出会いも生んだ。子どもたちにも夢を与えてくれた」と実感。運行終了が同市の今後に及ぼす影響も懸念し、「釜石は次、何があるのか?人口減少も進む。定期でなくてもいい。単発でも走ってくれれば」と復活ランを願った。
 
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八幡三郎さん撮影の一枚。川面に反射する青い光が美しい(写真提供:八幡さん)

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SL銀河、ラストラン 活気・元気・楽しみ…「ありがとう」 沿線には大漁旗の花道 岩手・JR釜石線

釜石駅を発つSL銀河の最終列車。線路脇ではファンらが手を振り、大漁旗が揺らめいた=11日

釜石駅を発つSL銀河の最終列車。線路脇ではファンらが手を振り、大漁旗が揺らめいた=11日

 
 観光列車「SL銀河」がJR釜石線(花巻―釜石駅間)を駆け抜けた―。東日本大震災後の沿岸被災地を活気づけようと、10年間走行。4日に定期運行を終え、11日の団体客向け臨時列車としての運行を最後に引退した。ラストシーズン、4両編成の客車176席は、毎便ほぼ満席。始発の釜石駅や沿線では雄姿を目に焼き付けようと大勢の住民や鉄道ファンらでにぎわった。そこで聞こえたのは、「ありがとう」「さみしい」「また…いつか」と別れを惜しみ、再会を望む声。さまざまな思いを胸に、ラストランを見つめていた。
 
 SL銀河は、2014年4月から土日を中心に運行。蒸気機関車「C58形239号機」と宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」をイメージした客車が人気を呼び、約7万4000人が乗車した。被災地の観光客増に一役買っていたが、客車の老朽化などから引退することに。ラストとなる今シーズンの定期運行は6月4日まで上下計24本で、すべての切符が即日完売した。
 
釜石行きの定期列車の最終便を出迎える大漁旗=3日

釜石行きの定期列車の最終便を出迎える大漁旗=3日

 
乗客や見物客らでごった返す釜石駅ホーム=3日

乗客や見物客らでごった返す釜石駅ホーム=3日

  
 3日は、花巻発釜石行きの定期列車の最終便。にこにこ顔でホームに降り立ったのは埼玉県羽生市の南柊羽(しゅう)さん(井泉小3年)と杜和君(5)兄弟。「客車の内装がすごい。煙もいい匂い。かっこよかった。乗れて、めっちゃうれしい」と大興奮だった。父博宣さん(43)によると、諦めかけていたところでやっと手にした乗車の機会。「(杜和君の)誕生日プレゼントにもなった」と破顔した。
 
「やっと!」。大好きなSLに乗れて大喜びの南さん一家=3日

「やっと!」。大好きなSLに乗れて大喜びの南さん一家=3日

 
記念品配布や手旗、虎舞、横断幕などラストシーズンのおもてなし

記念品配布や手旗、虎舞、横断幕などラストシーズンのおもてなし

 
 最終シーズンは沿線でのもてなしにも力が入った。釜石駅ホームでは市内の虎舞伝承団体が交代制で演舞を披露し、10日は「只越虎舞」の出番。副会長の榊原航さん、佐藤隆汰さん(いずれも28)は「釜石ならではのお出迎えを」と威勢よく、にぎやかな踊りを見せた。郷土芸能を発信する機会になっていたことから運行終了は「残念」と感じているが、「虎舞はまちを活気づけ、人をつなぐ」と確信していて、活動を継承し地域を盛り上げる思いを強めていた。
 
釜石駅近くの甲子川橋梁を走るSL銀河=10日

釜石駅近くの甲子川橋梁を走るSL銀河=10日

 
 これが本当のラストラン―。11日の最終便は釜石発花巻行きの臨時列車。多くの人でごった返すホームで、「今までありがとう」と手書きのメッセージを掲げたのは、釜石駅がある鈴子町の町内会員たち。町内会長の松本眞弓さん(72)、高橋光子さん(75)夕向有子さん(77)は線路脇にも立ってSLに手を振り続けてきた。観光客や「撮り鉄」との触れ合いが思い出深く、日課が無くなるような「さみしさ」もありながら、「いろんな楽しみ、元気をもらった」と感謝した。
 
「思い出の中で走り続ける」と感謝を伝える鈴子町内会員=11日

「思い出の中で走り続ける」と感謝を伝える鈴子町内会員=11日

 
最終列車の出発の合図をする(左から)達増拓也岩手県知事、野田武則釜石市長、高橋恒平釜石駅長=11日

最終列車の出発の合図をする(左から)達増拓也岩手県知事、野田武則釜石市長、高橋恒平釜石駅長=11日

 
見送りに応える機関士。「また会いましょう」と釜石駅構内にメッセージを残す=11日

見送りに応える機関士。「また会いましょう」と釜石駅構内にメッセージを残す=11日

 
「ありがとう」。多くの人が見守る中、高らかに汽笛を鳴らし、煙を上げて走るSL銀河=11日

「ありがとう」。多くの人が見守る中、高らかに汽笛を鳴らし、煙を上げて走るSL銀河=11日

 
 釜石駅近くの甲子川橋梁は人気の撮影スポットだが、東京都立川市の大嶋朋子さん(47)は「撮り鉄」「乗り鉄」を控えて見送りに徹した。「SL銀河お見送り大作戦」と銘打ち、呼びかけに応えた20人ほどの仲間と河川敷から大漁旗を振り、最終便の花道を鮮やかに染めた。「甲子川は復興の象徴。震災を忘れさせる場所であり、思い出させる場所だ」。ここで最終便を見届けることにしたのは、ある機関士が話したそんな言葉が心に残ったから。汽笛が山にこだまし、きれいに響くことも理由の一つ。「また帰って来いよ」と聞こえてくるのだとか。SLをきっかけに岩手県内で多彩な縁ができたといい、再訪を望んだ。
 
甲子川橋梁付近の河川敷で最終列車を待ち構える「SL銀河お見送り大作戦」

甲子川橋梁付近の河川敷で最終列車を待ち構える「SL銀河お見送り大作戦」

 
 この活動には、SLに69回も乗った盛岡市の川村瑠成さん(上田中3年)の姿も。「夢は機関士。いつか、また釜石線を走ってほしい。その時に運転したい」とうなずき、前を向いた。
 

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広報かまいし2023年6月15日号(No.1810)

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広報かまいし2023年6月15日号(No.1810)

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【P1】
表紙

【P2-5】
Meetup Kamaishi 2023

【P6-7】
受けよう、がん検診

【P8-9】
土砂災害に備えましょう

【P10-11】
こどもはぐくみ通信
市民のひろば

【P12-13】
春の叙勲、厚生労働大臣特別表彰
まちの話題

【P14-17】
まなびぃ釜石
まちのお知らせ

【P18-19】
保健案内板
保健だより

【P20】
イベント案内

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 広聴広報課 広聴広報係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8419 / Fax 0193-22-2686 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2023061400020/
釜石市

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釜石市公式サイトと連携し、縁とらんすがピックアップした記事を掲載しています。記事の内容に関するお問い合わせは、各記事の担当窓口までお問い合わせください。
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釜石・橋野で「農業入門塾」開講 野菜栽培の基礎知識習得へ 10月まで10品目に挑戦

農業入門塾で野菜苗の植え方を教わる受講生ら

農業入門塾で野菜苗の植え方を教わる受講生ら

 
 県沿岸広域振興局農林部主催の「農業入門塾」が5月31日、釜石市橋野町で開講した。野菜栽培の基礎知識を座学と実践で学ぶ講座で3年目の実施。新規就農、定年帰農、産直向け栽培など多様な形態での就農促進、遊休農地の有効活用を図り、地域農業を活性化させる狙いがある。本年度は釜石大槌地域から8人が受講している。
 
 過去2年は大槌町が会場だったが、今年は釜石市で開催。開講式は栗橋ふるさと伝承館で行われた。受講生と指導者ら16人が参加。眞島芳明農林部長は「野菜栽培を楽しみながら農業への理解を深め、興味を持ってもらえれば」とあいさつした。講師3人が紹介され、受講生が自己紹介した。
 
座学は産直・橋野どんぐり広場隣の「栗橋ふるさと伝承館」が会場

座学は産直・橋野どんぐり広場隣の「栗橋ふるさと伝承館」が会場

 
 県大船渡農業改良普及センター上席農業普及員の菊地淑子さんが座学の講師。作付け計画の立て方、土壌改良、肥料の与え方、苗の植え方などを説明した。この後、実践用の畑に移動。くわを使って土を耕し畝を作る方法、雑草抑制や地温上昇、土壌水分保持に効果的なシート「黒マルチ」の張り方、殺菌・殺虫剤の使い方など一連の手順を参加者が学び、各自の区画で作業に挑戦した。この日はピーマン、ナス、スイカの苗を植えた。
 
講師が畝の作り方を指導。くわの扱い方も伝授

講師が畝の作り方を指導。くわの扱い方も伝授

 
畝に黒マルチを張る。マルチは早く収穫したい場合に効果的

畝に黒マルチを張る。マルチは早く収穫したい場合に効果的

 
 同市鵜住居町の女性(58)は昨年から家庭菜園を開始。数種類植えてみたが、うまく実らない野菜もあり、「ちゃんと勉強したい」と同塾を初受講。「植え方の順序や殺虫剤の分量など知らなかったことを学べて今後に役立ちそう。自分で野菜を作って食べるのは格別。収穫が楽しみ」と目を輝かせた。
 
 大槌町の小林正造さん(75)は東日本大震災を経験し、農作物の自給自足は災害時にも役立つことを実感。初めてのことをやってみたいという思いもあり、昨年から受講を開始した。「きちんと系統立てて教えてもらえるのでありがたい。昨年は食べきれないくらい、いっぱいとれた」と基礎を習う大切さを感じた様子。親から引き継いだが手付かずになっている畑があり、「そちらでも少し栽培してみようと思う」と意欲を示した。
 
収穫を楽しみに苗の植え付け。参加者同士、作業を協力し合う姿も

収穫を楽しみに苗の植え付け。参加者同士、作業を協力し合う姿も

 
苗の根元に支柱を立て生育を補助。畑の周りには電気柵を巡らし野生動物の侵入を防ぐ

苗の根元に支柱を立て生育を補助。畑の周りには電気柵を巡らし野生動物の侵入を防ぐ

 
 講座は10月まで全10回の予定で、今後は病害虫防除の方法や育苗、農作業の安全なども学ぶ。受講生に割り当てられている区画は一人約0.7アール。2回目以降はエダマメ、サツマイモ、キャベツ、ハクサイ、ニンジン、ダイコンのほか、釜石大槌地域ではまだ栽培の少ないブロッコリーも植える。種から育てるものもある。
 
 同振興局農林部地域農業活性化グループの山口貴之さん(農学博士)は「過去の受講生の中には塾終了後、農業を始めた方もいる。専業だけでなく、副業や産直向け栽培などいろいろな形で次につなげてもらえれば」と期待を寄せる。

親子で協力しながら丁寧に苗を植え付けた

釜石発・ラベンダー畑、ただいま整備中! 市民ら植栽 香り、彩り豊かな景色を思い描き

花が香る風景を想像しながら植栽する釜石市民ら

花が香る風景を想像しながら植栽する釜石市民ら

 

 釜石市が整備を進める甲子町の観光農園で10日、ラベンダーの植栽イベントが催された。市、取り組みを後押しするフランスの自然派化粧品メーカーの日本法人「ロクシタンジャポン」(東京都千代田区、木島潤子社長)の共催で、市民ら約150人が参加。地元農家が育てた野菜の販売や木工教室、餅まきなどもあり、豊かな自然の中で交流を楽しんだ。

 

 ラベンダー畑の整備は、釜石の姉妹都市、南仏ディーニュ・レ・バン市でラベンダー栽培が盛んなことがきっかけ。市民が自然に触れる場をつくろうと2021年度に始動し、道の駅釜石仙人峠そばの遊休農地(1.2ヘクタール)で、土づくりと植栽を重ねている。

 

 この取り組みを同社が応援。ディーニュ市が創業者の出身地だったことを縁に東日本大震災の復興支援を継続し、昨年5月には市と観光農園の整備支援を柱とする連携協定を結んでいる。

 

「ミミズ、見っけ」。苗の植え付けも水やりも楽しんで作業

「ミミズ、見っけ」。苗の植え付けも水やりも楽しんで作業

 

 この日は、みんなで協力し、畑にラベンダー苗約170株を植え付けした。苗は、ディーニュ市から届いた種を地元農家が育成したもの。順調に成育すれば、紫と白の2色のかれんな花を楽しめる。

 

 農園近くに暮らす佐藤節子さん(75)は夫恵寿さん(73)と参加。「ラベンダーはいい香りだし、植えるのも楽しい。元気に育ってほしい」と願った。隣接する市民農園で野菜づくりに挑戦中で、週の半分は通っているといい、「いろいろな人と話したり、情報交換できる場所。花が咲けば、もっといい環境になる。ひとつ楽しみが増えた感じ」と目を細めた。

 

親子で協力しながら丁寧に苗を植え付けた

親子で協力しながら丁寧に苗を植え付けた

 

 かまいしこども園(藤原けいと園長)の年中・年長児約30人がお手伝い。景気づけに、かわいらしい虎舞も披露した。桝澤天真ちゃん(5)と有井洸里ちゃん(6)は「きれいに咲いて、みんな喜ぶように。元気に育ってね」と期待していた。

 

かわいい虎舞でイベントを盛り上げたかまいしこども園の園児たち

かわいい虎舞でイベントを盛り上げたかまいしこども園の園児たち

 

 参加者は作業後、釜石地方森林組合による木工教室や同社の空き容器を使ったインテリア小物づくりなども楽しみながら、交流。餅まき、シイタケやブロッコリーなど地場産の野菜まきは盛り上がり、高く手を伸ばした子どもも大人も「とれた」「うれしい」と笑顔だった。

 

「こっちも」。豪快にまかれた餅や野菜に手を伸ばす参加者ら

「こっちも」。豪快にまかれた餅や野菜に手を伸ばす参加者ら

 

ものづくりを楽しむ参加者。ディーニュ市の紹介ブースもあった

ものづくりを楽しむ参加者。ディーニュ市の紹介ブースもあった

 

 市はラベンダー畑を段階的に広げ、2年後のフルオープンを目指している。野田武則市長は「まだまだこれから。ディーニュ市やロクシタンの支援に感謝し、立派な農園にしたい。交流の歴史を市民が理解し、深化させたい」と強調。木島社長は「まるでプロバンス…そんな景色が数年後、釜石に広がるのを夢見ている。景色を楽しむ人の流れを生み出せたら、うれしい」と未来を思い描いた。