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広報かまいし2023年7月1日号(No.1811)

広報かまいし2023年7月1日号(No.1811)

広報かまいし2023年7月1日号(No.1811)
 

広報かまいし2023年7月1日号(No.1811)

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【P1】
根浜海岸海開き 他

【P2-3】
かまいしエール券販売
イベント案内 他

【P4】
新型コロナワクチン接種のお知らせ 他

【P5-7】
まちのお知らせ

【P8】
イベント案内

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 広聴広報課 広聴広報係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8419 / Fax 0193-22-2686 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2023063000037/
釜石市

釜石市

釜石市公式サイトと連携し、縁とらんすがピックアップした記事を掲載しています。記事の内容に関するお問い合わせは、各記事の担当窓口までお問い合わせください。
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自然体で満100歳 釜石の高橋廣志さん 高齢者施設に夫婦で入居「一緒に長生きしよ」

桃色のちゃんちゃんこと帽子を身に着けた100歳の高橋廣志さん(左)と妻の嘉子さん

桃色のちゃんちゃんこと帽子を身に着けた100歳の高橋廣志さん(左)と妻の嘉子さん

  
 釜石市甲子町(中小川)の住宅型有料老人ホーム「カサ・デ・ファミリア」で生活する高橋廣志さんが26日、満100歳となった。ともに入居する妻嘉子さん(96)や、県内外で暮らす家族が駆け付けて長寿を祝福。バースデーケーキをパクパクと食し、シャンパンもグイグイ飲み干す廣志さんは「自然と100歳になっちゃった」と、すこぶる元気だ。
  
 廣志さんは1923(大正12)年、鈴子町に生まれた。18歳ごろから定年退職まで約40年製鉄所で働いた。看護師だった嘉子さんと結婚し、1男2女を育て、孫3人、ひ孫1人に恵まれた。多趣味で、特に登山やスキー、釣り、ソフトボールなど体を動かすことが大好き。小佐野町に居を構えると、町内会活動にも積極的に参加した。
  
 体調を崩した嘉子さんの入院を機に、昨年10月から2人一緒に同ホームで暮らす。「かかりつけ医なし」という廣志さんは耳が遠くなってきているが、つえなどの補助なしで歩行ができるほど健康。「好きで一緒になったから大事にしなきゃ。妻を残していけない、長生きしないと」と、週2回通うデイサービスでは筋トレをしたり、今なおアクティブに過ごす。
  
鈴木部長から祝い金などを受け取った廣志さん(中)

鈴木部長から祝い金などを受け取った廣志さん(中)

  
 廣志さんの誕生日に合わせ、釜石市は特別敬老祝い金5万円と記念品の羽毛肌掛け布団、野田武則市長が筆をとった「寿」の額入り祝い状を贈った。届けた市保健福祉部の鈴木伸二部長が「戦争や災害など激動の時代を生き抜いてきた。ご夫婦で長生きしてください」と声をかけると、「わざわざすいません。まさか、こんな風に祝ってもらえるとは夢みたい。何も考えていなかったけど、自然と(100歳まで)いっちゃう感じ。動きは重くなってきたが、これからも体を動かしていきたい」などと応じた。
  
 そんなやりとりを長女小野節子さん(74)=愛知県大府市、次女佐々木惠子さん(70)と夫幸弘さん(68)=盛岡市=が見守った。「穏やかで、責任感があり、家族思いの父。とにかくファミリーが大事で、旅行の思い出もたくさん。あたたかい笑顔は変わらない」と小野さん。自宅のような環境でゆったり過ごす日々が続くことを願っていた。長男一行さん(66)も翌日、愛知・豊橋市から祝いに駆け付けた。
  
「おめでとう」。廣志さん(左から2人目)の長寿を喜ぶ家族ら

「おめでとう」。廣志さん(左から2人目)の長寿を喜ぶ家族ら

  
 釜石市の高齢化率(65歳以上)は5月末現在で40.3%。100歳以上は廣志さんを含め28人(男性1人、女性27人)おり、最高齢は105歳の女性。

「第1回 かまいし五百円市」「第4回 かまいし百円市」の出店者を募集します

「第1回 かまいし五百円市」「第4回 かまいし百円市」の出店者を募集します

 

釜石まちづくり(株)では、「2023年7月29日(土)「第1回かまいし五百円市」 (以下、五百円市)」、「2023年9月2日(土)「第4回かまいし百円市」 (以下、百円市)」を開催します。販売商品を全て500円(五百円市)、100円(百円市)とするフリーマーケットやバザーのような形態で、“500円均一フリマ”、“100円均一フリマ”と言ったイメージです。

 

例えばこのような商品の出品を想定しています・・・
リユース可能な子供用品、持て余してしまったお歳暮や引き出物の中身、まだまだ使えるおもちゃ、ダブったガチャガチャ、ちょっとしたコレクションアイテム、端数が残ってしまったパック商品、かつての趣味の名残、ハンドメイド商品、お菓子などの食品・・・・などなど、価格を500円・100円として頂ければ、一部の取扱い禁止商品以外は何でもOKです。

 

均一価格のため販売益は限定されるかもしれませんが、五百円市・百円市ともに以下のような点に意義を見出して下さる皆様のご出店を募集いたします。
・リユースの促進による社会活動的意義
・みんなで出店する楽しさ
・街の賑わいの場づくり
・ハンドメイド作品などの販売機会
など

 

各種サークル活動などのグループをはじめ、社会福祉法人やNPO等の社会活動団体、町内会やクラブ・少年団活動等の地域活動の一環として、学校や幼稚園・PTAや保護者会の催しとしてなど、皆様のご出店をお待ちしています(個人での出店も可能です)。ハンドメイド作家さんのご出店も歓迎いたします!

 

開催概要

日時:
【五百円市】 2023年7月29日(土)10:00~14:00
【百円市】 2023年9月2日(土)10:00~14:00
場所:釜石市民ホールTETTO・ホール前広場 (両日とも)
主催:釜石まちづくり(株)
 
◇9/2(土)の百円市では、同会場・同時間帯にて「第30回釜石市ふれあい福祉まつり」も開催されます。詳細については「縁とらんす」イベントページ等での情報更新をお待ちください。

 

出店の基本情報

◎全ての商品を以下の価格で販売すること
【五百円市】500円(税込)
【百円市】100円(税込)
◎下記の品数をご用意頂けること(多い分には大歓迎!)
【五百円市】30個以上
【百円市】50個以上
◎「出店について」の要件を遵守頂けること
・参加可能枠を超えるご応募があった際は抽選とさせて頂きます
・チャリティ活動(売上は○○へ寄付、○○を支援、教育や社会福祉活動資金に充当)が伴う場合は、条件により別枠での出店が可能ですのでご相談下さい

 

出店について

◆物品の販売以外のサービスを商品として提供することはできません
(マッサージ、ヘアカット、診断、占いなど ※縁日等に類するものや主催者が要請したものは除く)
◆出店料は以下となります
【五百円市】2,000円
【百円市】 500円
◆出店スペースの広さは、幅2~2.5m×奥行1.5~2mを目安に調整させて頂きます
また、販売台、シート、釣銭等は各自でご準備下さい(主催者による両替には限りがあります)
◆会場は屋外となりますので、各自で出店時の気候対策等をお願いします
◆出店者には、釜石大町駐車場の24時間駐車券(通常800円)を500円にて斡旋いたします(団体の場合は駐車台数分の購入OK)
◆ペット等を同伴しての出店は禁止です(介助犬等を除く)
◆火器の使用や発電機の持込みは禁止です

 

取扱い禁止商品

以下の商品の取扱い及び取引は禁止といたします
 
生鮮食品など衛生管理上好ましくない物、その場で調理提供する飲食品(キッチンカーを除く)、ペット等の生き物、偽造品や盗品など法律に抵触する商品、受発注や目録を介しての後日取引を前提とした商品、取扱い資格の必要な危険物や薬品(有資格者でも不可)、公序良俗に反する物、大量の火薬類、再販売やオークション等への出品を前提とした取引
 
※大量の酒類を取り扱う場合は事前にご相談ください
※この他、主催者が不適切と判断した商品については取扱いを中止頂く場合があります

 

出店の申し込み方法

出店に関しての各種事項(開催概要、基本条件、出店について、取扱い禁止商品)を必ずご確認・ご理解のうえ、下記の出店申込書を記入して釜石まちづくり(株)までお申込み下さい。
 
・釜石まちづくり(株)の社員によるご紹介やご案内による場合は直接担当社員まで
・それ以外の場合は、釜石まちづくり(株)FAX <0193-27-8331>

 

《申込み締切》
【五百円市】7月18日(火)
【百円市】8月22日(火)

 

問合せ等については、同様に担当社員にご連絡いただくか、釜石まちづくり(株)TEL <0193-22-3607> までお願いします。

出店概要&申込書

「第1回 かまいし五百円市」の出店概要&申込書
PDF版(829KB) / Word版(32KB)

 

「第4回 かまいし百円市」の出店概要&申込書
PDF版(835KB) / Word版(31KB)

フェリアス釜石

釜石まちづくり株式会社

釜石まちづくり株式会社(愛称 フェリアス釜石)による投稿記事です。

問い合わせ:0193-22-3607
〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-10 釜石情報交流センター内 公式サイト

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釜石・建設関連の職人が高齢者支援 全建総連「住宅デー」で住まいをボランティア修繕

釜石建設組合「第46回住宅デー」地域奉仕活動

釜石建設組合「第46回住宅デー」地域奉仕活動

 
 釜石建設組合(佐々木正雪組合長、235人)は18日、市内の高齢者世帯を対象に住宅の不具合を改善するボランティア活動を行った。全国建設労働組合総連合(全建総連)が6月に推進する「住宅デー」の活動の一環。申し込みのあった7軒で組合員7人が要望箇所の修繕や必要とする設備の取り付けなどを行い、依頼者に喜ばれた。
 
 46回目となる住宅デーは、地域に奉仕することで組合員の存在感を高めるとともに組織拡大につなげようと展開。釜石では前身の「大工組合」の時代から奉仕活動を続けており、近年は高齢者の安全安心な住環境を支援しようと、軽微な住宅修繕を行っている。
 
 市広報で依頼者(先着10人)を募集。今年は15人の応募があり、下見の結果、同活動で対応可能な7軒を訪問した。階段の手すり設置、雨戸・網戸のと車調整、壁や軒下の一部補修、室外機の小屋根設置―などを実施。工賃は無料で、依頼者は材料費だけ実費負担した。
 
平田の住宅で門の外壁タイルの補修を行う鈴木利治さん(鈴木左官)

平田の住宅で門の外壁タイルの補修を行う鈴木利治さん(鈴木左官)

 
 平田の橘内道子さん宅では敷地門の剝がれたタイルの補修を依頼。鈴木左官(唐丹町)の鈴木利治代表(49)が作業にあたった。「家の入り口なので気になっていたが、どこに頼めばいいか分からなくて。ちょうど広報で募集を見つけ、ダメ元で電話をかけた。地元の職人さんがやってくれるのは安心につながる」と橘内さん。専門業者の確かな技術を喜び、感謝した。
 
作業を視察する佐々木正雪組合長(右)と依頼した橘内道子さん(同隣)

作業を視察する佐々木正雪組合長(右)と依頼した橘内道子さん(同隣)

 
 同組合は大工のほか内装、板金、電気、配管、土木など、住まいに関わるあらゆる業種の職人で組織する。佐々木組合長(73)=佐々正建設(甲子町)=によると、組合員数は年々減少。高齢による退職、少子化などでの職人のなり手不足が顕著になってきている。佐々木組合長は「地元での仕事の受注増、若手の育成が課題。こうした奉仕活動を通じて地元職人の存在を知ってもらい、住民に頼ってもらえるようにしていきたい」と話した。同組合事務所は上中島町4丁目に置く。
 
佐々木組合長は組合員の近況なども聞き取った

佐々木組合長は組合員の近況なども聞き取った

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釜石産ブドウのワイン堪能 ソーシャルファーム&ワイナリー、新酒お披露目会

釜石ワインの新酒を待ちわびた市民ら

釜石ワインの新酒を待ちわびた市民ら

  
 釜石産ブドウを100%使ったワイン造りに取り組む「ソーシャルファーム&ワイナリー」は16日、2022年産新酒のお披露目会を釜石市港町のイオンタウン釜石で開いた。今季の「釜石ワイン」は混醸(こんじょう)の白2種に仕上げ、計約100本限定で販売。軽食とともに試飲した市民らは「心のこもった深い味わい」に酔い、次々と“お買い上げ”した。
   
 ソーシャルファームは、遠野市のNPO法人遠野まごころネット(小松正真理事長)が東日本大震災の被災地の活性化、被災者や障害者らの雇用創出などを目的に創設した事業の一環。釜石・甲子町で運営する障害者自立支援施設「まごころ就労支援センター」(山本智裕施設長)の農福連携事業として、14年からブドウを育て、ワイン造りに取り組んでいる。
   
 昨秋は約20アールの畑から約130キロを収穫した。シャルドネやリースリングなど6種の白ブドウを混醸させた「釜石ブラン」はすっきりした飲み口が特徴で、食前酒におすすめ。白、赤ブドウを同じタンクで「マロラクティック発酵」(乳酸菌がワインに含まれるリンゴ酸を乳酸と炭酸ガスに分解する発酵)させた白「釜石アッサンブラージュ」はまろやかだが、キリッとした酸味が感じられる一品。いずれも、750ミリリットル入りで価格は2500円。
   
「乾杯!」。お披露目会で新酒を楽しむ参加者

「乾杯!」。お披露目会で新酒を楽しむ参加者

   
 お披露目会には新酒を楽しみにしていた市民や関係者ら約50人が集った。小松理事長(44)は「この地でブドウ栽培、ワイン造りに挑戦し、間もなく10年になる。心の込もった味わいを楽しんでほしい。これからも、地域発展の力になるよう取り組んでいく」とあいさつ。釜石ワインのほか、遠野産の3種類も紹介され、参加者が飲み比べを楽しんだ。
  
 毎年味わっているという鵜住居町の佐々木博幸さん(67)は「年数がたって、いい味になってきた。品種をミックスして、あっさりしながら深みもある味わい。乳酸菌発酵という新たな試みで、いろんな味を楽しめるようになっている」と堪能した。
  
「新酒をどうぞ」。関係者がおもてなしした

「新酒をどうぞ」。関係者がおもてなしした

  
 ファームでは、同センターを利用する10~50代の30人ほどがブドウ栽培に携わる。畑の草刈りやせん定、収穫などの作業に一丸となって取り組んでいて、施設利用者の佐藤弘一朗さん(28)は「大変なこともあるけど、ブドウたちの成長を見ながらできるから楽しい。みんなの協力があってこそのおいしいワインができたので、たくさんの人に味わってほしい」と願った。ラベルやチラシのデザインも利用者が担当。「釜石と言えば」をテーマにしたラベルでは、海やウミネコなどがモチーフになった。
  
釜石ワインの新酒に目を細める関係者や市民ら

釜石ワインの新酒に目を細める関係者や市民ら

  
会場で販売された釜石産、遠野産ワイン

会場で販売された釜石産、遠野産ワイン

   
 醸造を担当した同センターの職業指導員荒川哲也さん(35)は「おいしい」との声を聞き、「受け入れられて、ほっとした。今季のワインはアルコール度数が9%程度だが、醸造の技術を磨いて度数を上げたり、スパークリングにも挑戦してみたい」と意欲を高めていた。
   
 今季の釜石産はお披露目会で多くの人が手に取っており、品薄になっているとのこと。購入などの問い合わせは、まごころ就労支援センター(電話0193・55・5100)へ。
 
 

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SL銀河 最後の勇姿 沿線各所で万感の見送り ライトアップの宮守「めがね橋」では感動の別れ

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11日夜、大勢の人たちに見送られ、10年にわたる運行を終えた「SL銀河」=宮守・めがね橋

 
 震災復興を後押しし、被災地に夢と希望を届け続けた「SL銀河」。10年にわたり人々を魅了してきた釜石線のシンボルは、ラストランでも「いかに愛された列車であるか」を強く印象付けた。3、4日の最終定期運行、10、11日の団体ツアー列車による引退運行では、沿線各地で地元住民や全国から駆け付けた鉄道ファンが別れを惜しんだ。11日夜、遠野市の宮守川橋りょう、通称「めがね橋」では大勢の人たちが最後の勇姿を目に焼き付け、感謝の言葉、拍手で列車を見送った。
 
 晴天に恵まれた最終定期運行の3、4日。残り少ない機会を映像や写真に収めようと、各駅や沿線の人気撮影スポットには多くの鉄道ファンが集った。新緑に包まれたカーブ路線の走行が見られる釜石市甲子町大松、釜石鉱山メガソーラー発電所付近では、県外から訪れた人や地元住民らがカメラを構えた。
 
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最終定期運行では最後尾の客車に「ありがとう」と記されたヘッドマークが取り付けられた=3日下り、釜石鉱山メガソーラー発電所付近

 
 つい最近までJRの線路工事の請負業務に従事していた大松在住の男性(80)は、震災後の釜石を復興まで支え続けてくれたSL銀河に感謝。これまで各地で撮りためた写真を見せながら、「震災復興の大きな力になった。できれば、まだ続けてもらえればいいんだが。諸事情を考えるとJRとしては限界なのかな…」。51年にわたった自身の仕事人生の終止符にSLの運行終了を重ね、特別な思いで列車を見つめた。
 
 茨城県日立市の布施勝一さん(67)、由美子さん(63)夫妻は、2016年ごろから月1回ペースで撮影に足を運び続けた。「煙の多さが魅力的。次はこう撮りたいと回を重ねてきた」と勝一さん。宮沢賢治の童話「銀河鉄道の夜」をモチーフにした客車に引かれる由美子さんは「初めて見た時は感動した。デザイン、ブルーのグラデーション…。他にはないもの」。胸に刻まれた思い出は数知れず。「このSLがなければ釜石に来ることはなかったかもしれない」と口をそろえ、見納めとなる姿を記憶と記録に残した。
 
 団体ツアー客を乗せた10、11日の運行。10日は花巻発釜石行きの下り運転。釜石市の玄関口、陸中大橋駅には到着時刻の午後2時35分を前に、列車を出迎えようとする人たちが次々に車で乗り入れた。手作りのメッセージボード、うちわ、JR特製手旗を携え到着を待ちわびる人たち。列車が到着すると、これまで撮りためたSL写真を乗務員にプレゼントするファンも。ホームは大勢の人たちでごった返した。
 
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10日、陸中大橋駅でSL銀河の到着を待つ親子連れや子ども

 
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手旗を振って最後の下り運転の列車を出迎えた

 
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宮城県から駆け付けた家族は列車を追い、洞泉駅でも通過車両に手を振った

 
 文字通りの“ラストラン”となった上り運転の11日―。この日は夜にかけての運行となり、釜石駅出発は午後2時40分。別れの涙を象徴するかのような雨模様の市内には午後、SL銀河の見送りを呼び掛ける防災無線が響いた。沿線には通過時刻に合わせ市民らが駆け付け、10年の感謝を込め列車に手を振った。沿線各地区の生活応援センターでは見送り用の手旗を希望者に事前配布。当日、小佐野駅には約80人が集まり、釜石に元気をくれたSLとの別れを惜しんだ。高齢女性は「寂しいね…。涙が出るね」と目を潤ませた。
 
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11日、小佐野駅を通過する列車に手を振る地域住民ら(写真提供:小佐野地区生活応援センター)

 
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降りしきる雨の中、力強く進むSL銀河(写真上:枯松沢橋りょう、同下:同橋りょう手前)

 
 ラストランを一層盛り上げたのは遠野-花巻間の夜間運行。最大の見せ場、宮守の「めがね橋」は、辺りが暗くなるとライトアップされ、到着を待つ人たちの期待感を高めた。午後7時8分に遠野駅を出発した列車は午後8時すぎ、同橋に姿を現し、蒸気や煙を吐きながらゆっくりと走行。列車を見上げる人たちはサイリウムライトやスマホをかざし、盛んに手を振った。
 
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ライトアップされためがね橋で最後の勇姿を見せるSL銀河

 
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横断幕やサイリウムライトで感謝の気持ちを表す遠野市民ら

 
 花火も上がる中、列車は橋の上で約3分間停車。どこからともなく「今までありがとうー」「おつかれさまでしたー」などと声が上がった。機関車は何度も長い汽笛を鳴らし見物客に応えた。機関車に乗り込んだJR社員も車内から明かりを照らし、「ありがとうございました」とお礼の言葉が発せられると一帯は大きな感動に包まれた。走り去る際には「また、走ってくれよー」「待ってるよ。またねー」などの声が響き、自然と大きな拍手が湧き起こった。
 
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機関車からも明かりが…。互いに感謝の気持ちを伝え合った(写真上)。乗客も心温まる光景を脳裏に刻んだ(同下)。写真提供=多田國雄さん

 
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宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」をほうふつとさせる光景が広がった(写真提供=多田國雄さん)

 
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「また、いつか…」。復活への希望も込め、列車に別れを告げる

 
 紫波町から家族5人で訪れた佐々木琉君(7)は「小さいころからずっと見てきた。今日はすごく感動した」。自宅そばに釜石線の踏切があり、運行シーズン中は毎週土日が楽しみで仕方なかったという。「こんなに緊張して動画を撮ったのは初めて。涙があふれそうだったが、ぐっとこらえた」と母絵美さん(39)。SL銀河の運行開始後、琉君ら2人の子どもに恵まれた。「子どもたちの成長はSL銀河と共にあった。乗務員さんが一生懸命手を振って、汽笛を鳴らしてくれたことは忘れられない」と声を詰まらせた。
 
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大人も子どもも盛んにライトを振ってお見送り

 
 釜石市小川町の八幡三郎さん(78)、良子さん(75)夫妻は写真が趣味。「私たち世代は修学旅行も集団就職も東京までSLだった。どうしても引かれるものがある」と、追っかけてきた。ラストランはめがね橋でカメラを構え、「多くの人が見送る光景に胸がいっぱいになった。本当に終わりなんだなぁ」。寂しさをにじませつつ、「今までで一番のSLだった」と三郎さん。この10年を振り返り、「釜石にみんなが来てくれるきっかけになり、人と人との出会いも生んだ。子どもたちにも夢を与えてくれた」と実感。運行終了が同市の今後に及ぼす影響も懸念し、「釜石は次、何があるのか?人口減少も進む。定期でなくてもいい。単発でも走ってくれれば」と復活ランを願った。
 
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八幡三郎さん撮影の一枚。川面に反射する青い光が美しい(写真提供:八幡さん)

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SL銀河、ラストラン 活気・元気・楽しみ…「ありがとう」 沿線には大漁旗の花道 岩手・JR釜石線

釜石駅を発つSL銀河の最終列車。線路脇ではファンらが手を振り、大漁旗が揺らめいた=11日

釜石駅を発つSL銀河の最終列車。線路脇ではファンらが手を振り、大漁旗が揺らめいた=11日

 
 観光列車「SL銀河」がJR釜石線(花巻―釜石駅間)を駆け抜けた―。東日本大震災後の沿岸被災地を活気づけようと、10年間走行。4日に定期運行を終え、11日の団体客向け臨時列車としての運行を最後に引退した。ラストシーズン、4両編成の客車176席は、毎便ほぼ満席。始発の釜石駅や沿線では雄姿を目に焼き付けようと大勢の住民や鉄道ファンらでにぎわった。そこで聞こえたのは、「ありがとう」「さみしい」「また…いつか」と別れを惜しみ、再会を望む声。さまざまな思いを胸に、ラストランを見つめていた。
 
 SL銀河は、2014年4月から土日を中心に運行。蒸気機関車「C58形239号機」と宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」をイメージした客車が人気を呼び、約7万4000人が乗車した。被災地の観光客増に一役買っていたが、客車の老朽化などから引退することに。ラストとなる今シーズンの定期運行は6月4日まで上下計24本で、すべての切符が即日完売した。
 
釜石行きの定期列車の最終便を出迎える大漁旗=3日

釜石行きの定期列車の最終便を出迎える大漁旗=3日

 
乗客や見物客らでごった返す釜石駅ホーム=3日

乗客や見物客らでごった返す釜石駅ホーム=3日

  
 3日は、花巻発釜石行きの定期列車の最終便。にこにこ顔でホームに降り立ったのは埼玉県羽生市の南柊羽(しゅう)さん(井泉小3年)と杜和君(5)兄弟。「客車の内装がすごい。煙もいい匂い。かっこよかった。乗れて、めっちゃうれしい」と大興奮だった。父博宣さん(43)によると、諦めかけていたところでやっと手にした乗車の機会。「(杜和君の)誕生日プレゼントにもなった」と破顔した。
 
「やっと!」。大好きなSLに乗れて大喜びの南さん一家=3日

「やっと!」。大好きなSLに乗れて大喜びの南さん一家=3日

 
記念品配布や手旗、虎舞、横断幕などラストシーズンのおもてなし

記念品配布や手旗、虎舞、横断幕などラストシーズンのおもてなし

 
 最終シーズンは沿線でのもてなしにも力が入った。釜石駅ホームでは市内の虎舞伝承団体が交代制で演舞を披露し、10日は「只越虎舞」の出番。副会長の榊原航さん、佐藤隆汰さん(いずれも28)は「釜石ならではのお出迎えを」と威勢よく、にぎやかな踊りを見せた。郷土芸能を発信する機会になっていたことから運行終了は「残念」と感じているが、「虎舞はまちを活気づけ、人をつなぐ」と確信していて、活動を継承し地域を盛り上げる思いを強めていた。
 
釜石駅近くの甲子川橋梁を走るSL銀河=10日

釜石駅近くの甲子川橋梁を走るSL銀河=10日

 
 これが本当のラストラン―。11日の最終便は釜石発花巻行きの臨時列車。多くの人でごった返すホームで、「今までありがとう」と手書きのメッセージを掲げたのは、釜石駅がある鈴子町の町内会員たち。町内会長の松本眞弓さん(72)、高橋光子さん(75)夕向有子さん(77)は線路脇にも立ってSLに手を振り続けてきた。観光客や「撮り鉄」との触れ合いが思い出深く、日課が無くなるような「さみしさ」もありながら、「いろんな楽しみ、元気をもらった」と感謝した。
 
「思い出の中で走り続ける」と感謝を伝える鈴子町内会員=11日

「思い出の中で走り続ける」と感謝を伝える鈴子町内会員=11日

 
最終列車の出発の合図をする(左から)達増拓也岩手県知事、野田武則釜石市長、高橋恒平釜石駅長=11日

最終列車の出発の合図をする(左から)達増拓也岩手県知事、野田武則釜石市長、高橋恒平釜石駅長=11日

 
見送りに応える機関士。「また会いましょう」と釜石駅構内にメッセージを残す=11日

見送りに応える機関士。「また会いましょう」と釜石駅構内にメッセージを残す=11日

 
「ありがとう」。多くの人が見守る中、高らかに汽笛を鳴らし、煙を上げて走るSL銀河=11日

「ありがとう」。多くの人が見守る中、高らかに汽笛を鳴らし、煙を上げて走るSL銀河=11日

 
 釜石駅近くの甲子川橋梁は人気の撮影スポットだが、東京都立川市の大嶋朋子さん(47)は「撮り鉄」「乗り鉄」を控えて見送りに徹した。「SL銀河お見送り大作戦」と銘打ち、呼びかけに応えた20人ほどの仲間と河川敷から大漁旗を振り、最終便の花道を鮮やかに染めた。「甲子川は復興の象徴。震災を忘れさせる場所であり、思い出させる場所だ」。ここで最終便を見届けることにしたのは、ある機関士が話したそんな言葉が心に残ったから。汽笛が山にこだまし、きれいに響くことも理由の一つ。「また帰って来いよ」と聞こえてくるのだとか。SLをきっかけに岩手県内で多彩な縁ができたといい、再訪を望んだ。
 
甲子川橋梁付近の河川敷で最終列車を待ち構える「SL銀河お見送り大作戦」

甲子川橋梁付近の河川敷で最終列車を待ち構える「SL銀河お見送り大作戦」

 
 この活動には、SLに69回も乗った盛岡市の川村瑠成さん(上田中3年)の姿も。「夢は機関士。いつか、また釜石線を走ってほしい。その時に運転したい」とうなずき、前を向いた。
 

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広報かまいし2023年6月15日号(No.1810)

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広報かまいし2023年6月15日号(No.1810)

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【P1】
表紙

【P2-5】
Meetup Kamaishi 2023

【P6-7】
受けよう、がん検診

【P8-9】
土砂災害に備えましょう

【P10-11】
こどもはぐくみ通信
市民のひろば

【P12-13】
春の叙勲、厚生労働大臣特別表彰
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釜石・橋野で「農業入門塾」開講 野菜栽培の基礎知識習得へ 10月まで10品目に挑戦

農業入門塾で野菜苗の植え方を教わる受講生ら

農業入門塾で野菜苗の植え方を教わる受講生ら

 
 県沿岸広域振興局農林部主催の「農業入門塾」が5月31日、釜石市橋野町で開講した。野菜栽培の基礎知識を座学と実践で学ぶ講座で3年目の実施。新規就農、定年帰農、産直向け栽培など多様な形態での就農促進、遊休農地の有効活用を図り、地域農業を活性化させる狙いがある。本年度は釜石大槌地域から8人が受講している。
 
 過去2年は大槌町が会場だったが、今年は釜石市で開催。開講式は栗橋ふるさと伝承館で行われた。受講生と指導者ら16人が参加。眞島芳明農林部長は「野菜栽培を楽しみながら農業への理解を深め、興味を持ってもらえれば」とあいさつした。講師3人が紹介され、受講生が自己紹介した。
 
座学は産直・橋野どんぐり広場隣の「栗橋ふるさと伝承館」が会場

座学は産直・橋野どんぐり広場隣の「栗橋ふるさと伝承館」が会場

 
 県大船渡農業改良普及センター上席農業普及員の菊地淑子さんが座学の講師。作付け計画の立て方、土壌改良、肥料の与え方、苗の植え方などを説明した。この後、実践用の畑に移動。くわを使って土を耕し畝を作る方法、雑草抑制や地温上昇、土壌水分保持に効果的なシート「黒マルチ」の張り方、殺菌・殺虫剤の使い方など一連の手順を参加者が学び、各自の区画で作業に挑戦した。この日はピーマン、ナス、スイカの苗を植えた。
 
講師が畝の作り方を指導。くわの扱い方も伝授

講師が畝の作り方を指導。くわの扱い方も伝授

 
畝に黒マルチを張る。マルチは早く収穫したい場合に効果的

畝に黒マルチを張る。マルチは早く収穫したい場合に効果的

 
 同市鵜住居町の女性(58)は昨年から家庭菜園を開始。数種類植えてみたが、うまく実らない野菜もあり、「ちゃんと勉強したい」と同塾を初受講。「植え方の順序や殺虫剤の分量など知らなかったことを学べて今後に役立ちそう。自分で野菜を作って食べるのは格別。収穫が楽しみ」と目を輝かせた。
 
 大槌町の小林正造さん(75)は東日本大震災を経験し、農作物の自給自足は災害時にも役立つことを実感。初めてのことをやってみたいという思いもあり、昨年から受講を開始した。「きちんと系統立てて教えてもらえるのでありがたい。昨年は食べきれないくらい、いっぱいとれた」と基礎を習う大切さを感じた様子。親から引き継いだが手付かずになっている畑があり、「そちらでも少し栽培してみようと思う」と意欲を示した。
 
収穫を楽しみに苗の植え付け。参加者同士、作業を協力し合う姿も

収穫を楽しみに苗の植え付け。参加者同士、作業を協力し合う姿も

 
苗の根元に支柱を立て生育を補助。畑の周りには電気柵を巡らし野生動物の侵入を防ぐ

苗の根元に支柱を立て生育を補助。畑の周りには電気柵を巡らし野生動物の侵入を防ぐ

 
 講座は10月まで全10回の予定で、今後は病害虫防除の方法や育苗、農作業の安全なども学ぶ。受講生に割り当てられている区画は一人約0.7アール。2回目以降はエダマメ、サツマイモ、キャベツ、ハクサイ、ニンジン、ダイコンのほか、釜石大槌地域ではまだ栽培の少ないブロッコリーも植える。種から育てるものもある。
 
 同振興局農林部地域農業活性化グループの山口貴之さん(農学博士)は「過去の受講生の中には塾終了後、農業を始めた方もいる。専業だけでなく、副業や産直向け栽培などいろいろな形で次につなげてもらえれば」と期待を寄せる。

親子で協力しながら丁寧に苗を植え付けた

釜石発・ラベンダー畑、ただいま整備中! 市民ら植栽 香り、彩り豊かな景色を思い描き

花が香る風景を想像しながら植栽する釜石市民ら

花が香る風景を想像しながら植栽する釜石市民ら

 

 釜石市が整備を進める甲子町の観光農園で10日、ラベンダーの植栽イベントが催された。市、取り組みを後押しするフランスの自然派化粧品メーカーの日本法人「ロクシタンジャポン」(東京都千代田区、木島潤子社長)の共催で、市民ら約150人が参加。地元農家が育てた野菜の販売や木工教室、餅まきなどもあり、豊かな自然の中で交流を楽しんだ。

 

 ラベンダー畑の整備は、釜石の姉妹都市、南仏ディーニュ・レ・バン市でラベンダー栽培が盛んなことがきっかけ。市民が自然に触れる場をつくろうと2021年度に始動し、道の駅釜石仙人峠そばの遊休農地(1.2ヘクタール)で、土づくりと植栽を重ねている。

 

 この取り組みを同社が応援。ディーニュ市が創業者の出身地だったことを縁に東日本大震災の復興支援を継続し、昨年5月には市と観光農園の整備支援を柱とする連携協定を結んでいる。

 

「ミミズ、見っけ」。苗の植え付けも水やりも楽しんで作業

「ミミズ、見っけ」。苗の植え付けも水やりも楽しんで作業

 

 この日は、みんなで協力し、畑にラベンダー苗約170株を植え付けした。苗は、ディーニュ市から届いた種を地元農家が育成したもの。順調に成育すれば、紫と白の2色のかれんな花を楽しめる。

 

 農園近くに暮らす佐藤節子さん(75)は夫恵寿さん(73)と参加。「ラベンダーはいい香りだし、植えるのも楽しい。元気に育ってほしい」と願った。隣接する市民農園で野菜づくりに挑戦中で、週の半分は通っているといい、「いろいろな人と話したり、情報交換できる場所。花が咲けば、もっといい環境になる。ひとつ楽しみが増えた感じ」と目を細めた。

 

親子で協力しながら丁寧に苗を植え付けた

親子で協力しながら丁寧に苗を植え付けた

 

 かまいしこども園(藤原けいと園長)の年中・年長児約30人がお手伝い。景気づけに、かわいらしい虎舞も披露した。桝澤天真ちゃん(5)と有井洸里ちゃん(6)は「きれいに咲いて、みんな喜ぶように。元気に育ってね」と期待していた。

 

かわいい虎舞でイベントを盛り上げたかまいしこども園の園児たち

かわいい虎舞でイベントを盛り上げたかまいしこども園の園児たち

 

 参加者は作業後、釜石地方森林組合による木工教室や同社の空き容器を使ったインテリア小物づくりなども楽しみながら、交流。餅まき、シイタケやブロッコリーなど地場産の野菜まきは盛り上がり、高く手を伸ばした子どもも大人も「とれた」「うれしい」と笑顔だった。

 

「こっちも」。豪快にまかれた餅や野菜に手を伸ばす参加者ら

「こっちも」。豪快にまかれた餅や野菜に手を伸ばす参加者ら

 

ものづくりを楽しむ参加者。ディーニュ市の紹介ブースもあった

ものづくりを楽しむ参加者。ディーニュ市の紹介ブースもあった

 

 市はラベンダー畑を段階的に広げ、2年後のフルオープンを目指している。野田武則市長は「まだまだこれから。ディーニュ市やロクシタンの支援に感謝し、立派な農園にしたい。交流の歴史を市民が理解し、深化させたい」と強調。木島社長は「まるでプロバンス…そんな景色が数年後、釜石に広がるのを夢見ている。景色を楽しむ人の流れを生み出せたら、うれしい」と未来を思い描いた。

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分列行進、放水訓練4年ぶりに 釜石市消防団消防演習 団員ら防火、防災へ志高く

4年ぶりに分列行進を行った釜石市消防団消防演習=5月28日

4年ぶりに分列行進を行った釜石市消防団消防演習=5月28日

 
 釜石市消防団(坂本晃団長、団員533人)は5月28日、2023年度の消防演習を市内3会場で行った。新型コロナウイルス感染症の影響で20年度以降、中止や規模を縮小しての開催となっていたが、本年度は分列行進や放水訓練を再開。団員らが士気を高めるとともに、市民への防火思想の普及を図った。
 
 鈴子町の消防庁舎駐車場で行われた開会行事には団員310人と来賓、関係者55人が参加した。東日本大震災の犠牲者に黙とうをささげた後、統監の野田武則市長が訓示。地震や集中豪雨など大規模自然災害への対応、火災予防や早期鎮圧という消防任務の重要性を改めて示し、「有事の際、何よりも頼れるのは地域の消防団。より一層、火災予防啓発活動や日ごろの訓練に精励されるよう願う」と述べた。
 
統監の野田武則市長の訓示(左下写真)を受け、気を引き締める団員ら

統監の野田武則市長の訓示(左下写真)を受け、気を引き締める団員ら

 
姿勢を正し敬礼。真剣なまなざしで演習に臨む

姿勢を正し敬礼。真剣なまなざしで演習に臨む

 
 災害現場や火災予防で優秀な活動をした団員や部をたたえる「釜石市長表彰」では、14人の団員に功績章、5つの部に竿頭綬(かんとうじゅ)が贈られた。在職3年以上で職務精励、消防技能に優れた団員8人には「市消防団長表彰」として精勤章が授与された。
 
 本年度の新入団員は5人。代表の第5分団第2部の佐々俊樹さん(26)が坂本団長から辞令を受け、「良心に従って誠実に消防の義務を遂行する」と宣誓した。最後に、統監らによる観閲が行われ、整列した団員の服装などを見て回った。
 
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竿頭綬を受ける各部の代表ら/左下写真は功績章(右)、精勤章の授与

 
新入団員を代表し辞令を受けた第5分団第2部の佐々俊樹さん(手前)

新入団員を代表し辞令を受けた第5分団第2部の佐々俊樹さん(手前)

 
統監を先頭に行われた観閲

統監を先頭に行われた観閲

 
 分列行進は大町の目抜き通りで行われた。4年ぶりのパレードを見ようと沿道に集まった市民らを前に、参加した全団員と消防車両38台が整然と行進。坂本団長以下団本部、各分団が訓練で培った規律ある行動を見せ、団の心意気を示した。市内9小学校、1中学校が加入する市少年消防クラブから児童生徒12人も行進に加わった。
 
坂本晃団長(左)のもと分列行進を行う団員/市少年消防クラブの児童生徒も行進し、防火思想の普及に協力(右下写真)

坂本晃団長(左)のもと分列行進を行う団員/市少年消防クラブの児童生徒も行進し、防火思想の普及に協力(右下写真)

 
久しぶりの分列行進で士気を高める団員ら

久しぶりの分列行進で士気を高める団員ら

 
 初めて分列行進を見学した平田の菊池さやかさん(38)は団員や消防車両の数に驚き、「これだけ多くの方が市の消防のために働いてくれていることを知り、とても安心したし、頼もしいと感じた。震災で被災した時は消防団の方々に大変お世話になった。若い世代の団員がもっと増えて活躍してくれたらいいですね」と期待。消防車が大好きという長男創太ちゃん(2)はたくさんの車両に大興奮。「かっこよかった」と目を輝かせた。
 
消防車はライトを点滅させながらゆっくりと進む

消防車はライトを点滅させながらゆっくりと進む

 
圧巻の車列に沿道の子どもたちは大喜び。盛んに手を振って応援

圧巻の車列に沿道の子どもたちは大喜び。盛んに手を振って応援

 
 演習の最後は放水訓練。千鳥町の甲子川河川敷に8つの分団の車両が一列に並び、川に向かって一斉に放水した。団員らは訓練で身に付けた技能を発揮。火災発生時の消火活動を迅速、確実に行うことへさらなる意識を高めた。
 
放水訓練も4年ぶりの実施。高々と水柱が上がる(写真提供:釜石市消防課)

放水訓練も4年ぶりの実施。高々と水柱が上がる(写真提供:釜石市消防課)

 
 釜石市内では今年に入り6件の火災が発生。3月の建物火災で1人が亡くなっている。発生件数は昨年1年間の5件を既に上回っており、団や消防本部ではさらなる予防、警戒活動へ気を引き締める。

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「出発合図はエール」藤井叡王、小山四段(釜石出身) 三鉄・宮古駅に登場【釜石新聞NewS記者レポート】

笑顔で敬礼!藤井聡太叡王(中)と小山怜央四段(右)

笑顔で敬礼!藤井聡太叡王(中)と小山怜央四段(右)

  
 5月下旬、将棋の8大タイトルの一つ叡王戦5番勝負の第4局が岩手県宮古市で開かれた。6冠を保持する藤井聡太叡王(20=竜王、王位、棋王、王将、棋聖)が来県するとあって現地は大盛り上がり。そして、大盤解説を担当するのが、釜石市出身で棋士編入試験を突破してプロになったばかりの小山怜央四段(29)となれば、同じ沿岸・三陸地域からも熱視線があったはずだ。記者も気になってはいたが、取材範囲外の地域での話題と一歩引いていた…。そこへ届いた「叡王戦対局者の訪問」という三陸鉄道(本社・宮古市)からの情報。2人が一日駅長を務めるとあって「これ、チャンス」とミーハー心全開で行ってきた。
   
 三鉄訪問は、第4局から一夜明けた5月29日。午前9時20分過ぎ、三鉄の制服に身を包んだ2人が宮古駅近くの車両基地に姿を見せた。2度にわたる「千日手」指し直しで長丁場となった熱戦を制し、3連覇を達成した藤井叡王に疲れた様子は見えなかった。むしろ、にこやかな表情。鉄道好きとして知られており、実際の車両に乗り込んで運転体験したり、車輪などをのぞき込んだり、ウキウキ感たっぷりな姿がほほ笑ましかった。
   
三陸鉄道職員の案内で車両基地を見学。運転も体験したり

三陸鉄道職員の案内で車両基地を見学。運転も体験したり

  
敬礼!三鉄の車両前でびしっとポーズを決めた

敬礼!三鉄の車両前でびしっとポーズを決めた

   
 近くの宮古駅に移動し、ホーム上で三鉄の石川義晃社長から一日駅長のたすきを託された藤井叡王。あいさつを求められると、「ん~…」。映像などでよく目にする、少し間をとって考えを巡らせているようなしぐさを生で拝見。そして続く言葉。「三鉄さんは震災後いち早く運転を再開させ、三陸地域の復興の象徴だと思う。(一日駅長を)しっかり務めたい」。この受け答えに記者は、情報を整理して言葉を選び出したのだろうと、一人感心した。
  
進行!三鉄宮古駅の一日駅長として出発の合図 

進行!三鉄宮古駅の一日駅長として出発の合図

   
 午前10時30分、釜石方面行きの発車ベルが鳴ると、小山四段とともに右手を高く上げて出発合図をし車両を見送った。記念撮影に応じたり終始にこやかな藤井叡王。「制服もズボンまで一式用意していただいて、ここまで本格的とは思っていなかった」とうれしそう。声が小さいとの印象があったが、楽しい気持ちが乗った時の声はよく聞こえた。車両基地前構内での運転体験のこと。「まさか…本当に実際の車両でやると思っていなかった。運転免許を持っていないのでいいのかなと…。緊張したが、すごく素晴らしい経験ができた」。ちゃめっ気たっぷりに話し、周囲の笑いを誘った。
   
 「本当に大変な将棋で、苦しい場面も少なからずあったが、その中でなんとか勝ち、防衛できてとてもうれしい」と前日の戦いを振り返っていた藤井叡王。三陸の食も楽しみながら、つかの間の休息を楽しんだ様子。一日駅長の役目を終えると、市庁舎などが入る複合施設イーストピアみやこ前から次なる勝負の場へ向かった。
   
イーストピアみやこに集まった大勢の市民らが藤井叡王を見送った

イーストピアみやこに集まった大勢の市民らが藤井叡王を見送った

   
 そして、釜石市民が注目するのが、4月に本県初の将棋のプロ棋士となった小山四段。デビュー戦は5月23日。ヒューリック杯第95期棋聖戦の1次予選トーナメント1回戦で室岡克彦八段(64)と対戦し、見事勝利。初陣を白星で飾った。
   
 その後に臨んだのが今回の大盤解説。「2回の千日手という大熱戦。最後まで仕事をやり遂げたことにほっとしている」と胸の内を明かした。対局場に足を踏み入れる機会があったといい、「素晴らしく緊張感のある場で、いつか私もその場に立ちたいという気持ちが新たに芽生えた」と刺激を受けた様子。宮古での将棋タイトル戦は10年ぶりだったが、「次は対局者として来れたら最高」と目の奥に熱い闘志を感じた。
   
三鉄の名札を手に「貴重な体験だった」と話す小山四段

三鉄の名札を手に「貴重な体験だった」と話す小山四段

   
 三鉄訪問では「藤井叡王に便乗して体験できたことだが…」と控えめな小山四段。人の話に耳を傾けて言葉を選んで丁寧に受け答えする姿や、冷静な中にも熱いものを持つ雰囲気など、「藤井叡王と似ているのでは」と感じることもあった。勝負の世界は険しいと思うが、地元出身の身近な存在として小山四段を応援し続けたい。そう思った。
   
一日駅長を務めた2人に感謝する石川義晃社長(右)

一日駅長を務めた2人に感謝する石川義晃社長(右)

   
 「2人の出発合図は震災を経験し、今もなお三陸地域の復興に取り組む全ての人たちのエールにもなる」と石川社長。一目見ようと多くの人が集まった宮古駅周辺。勝負の世界で活躍する人、夢を諦めず実現する人、頑張る若者―そうした存在が地域に活力をもたらすことを実感した一日だった。