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標高差400メートル 急峻の難コースに243人挑む 復活!かまいし仙人峠マラソン大会

4年ぶりに開かれた「かまいし仙人峠マラソン大会」=10月29日

4年ぶりに開かれた「かまいし仙人峠マラソン大会」=10月29日

 
 第14回かまいし仙人峠マラソン大会(同実行委主催)は10月29日、釜石市甲子町大橋の旧釜石鉱山事務所を発着点に行われた。新型コロナウイルス感染症の影響で2020年から3年間中止されてきたが、今年待望の復活を遂げた。全国から集まった17~89歳の男女243人が出場。雨が降ったりやんだりのあいにくの空模様となったが、見ごろを迎えた美しい紅葉や沿道の声援に力をもらい、日本屈指の難コースを走り切った。
 
 大会はこれまで、大松で折り返す10キロコース(標高差約160メートル)と仙人トンネルまでを往復する峠コース=17.2キロ(同約400メートル)の2コースで行われてきたが、今回は約10キロに短縮した峠コースに絞って実施。エントリーした281人のうち243人が出場した。
 
 開会式で小泉嘉明実行委会長(市体育協会長)、野田武則市長が参加者を歓迎。ゲストランナーとして招かれたマラソン“川内3兄弟”の三男川内鴻輝さん(出場3回目)、山岳ランニングで国内トップの吉住友里さん(同2回目)が同コースの魅力を話し、「一緒に頑張ろう」と呼び掛けた。
 
参加者の憧れ、ゲストランナーの川内鴻輝さん(右)と吉住友里さん(左)

参加者の憧れ、ゲストランナーの川内鴻輝さん(右)と吉住友里さん(左)

 
 午前10時、小泉会長の号砲で一斉にスタート。陸中大橋駅方面へ約1キロ下った後、国道283号に出て約4キロの上り坂へ。遠野市との境、仙人トンネル手前の折り返し地点までひたすら続く坂道を駆け上がった。復路は一転、下り坂へ―。最後の難関はスタート直後に下った坂道。今度はゴールまで上る形となり、参加者は残る体力と精神力で完走を目指した。ゴール付近では、仲間や家族が声援を送り、完走後は共に喜びを分かち合った。
 
午前10時、旧釜石鉱山事務所前を一斉スタート

午前10時、旧釜石鉱山事務所前を一斉スタート

 
大橋トンネルを抜け、仙人峠頂上を目指す参加者

大橋トンネルを抜け、仙人峠頂上を目指す参加者

 
ゴールまであと少し。熱い声援を受け、最後の力を振り絞るランナー

ゴールまであと少し。熱い声援を受け、最後の力を振り絞るランナー

 
釜石市でダンス教室を開く澤田稔さん、美世子さん夫妻は手を取り合ってゴール!

釜石市でダンス教室を開く澤田稔さん、美世子さん夫妻は手を取り合ってゴール!

 
 全参加者中、トップでゴールしたのは宮古市の宇部雄太さん(25)。タイムは39分57秒で、2位と約2分の差をつけた。レース後、男女年齢別6部門で1~6位を表彰した。
 
後続を引き離し、トップでゴールした宇部雄太さん(左)。復路の2位争いはデッドヒート(右)

後続を引き離し、トップでゴールした宇部雄太さん(左)。復路の2位争いはデッドヒート(右)

 
6部門で1~6位を表彰。入賞者には賞状や記念品が贈られた

6部門で1~6位を表彰。入賞者には賞状や記念品が贈られた

 
 最年少参加者で今大会唯一の高校生、遠野高2年の佐々木寧音さん(17)は「思ったよりきつい。今まで走ったことがない難コース」と驚きの初体験。父譲さん(47)の影響で小学校から長距離走を始め、同大会も父の背中を見て応募した。初の親子参加に「感無量。よくゴールした。一緒に完走できてうれしい」と喜ぶ譲さん。自身は今回で3回目の参加だが、峠コースは初挑戦。「足がやられた。でも完走できたので自分を褒めたい」。一緒にトレーニングに励むこともある寧音さんを「心の友」と表し、「東京マラソンに出てみたい」と目標を掲げる愛娘に温かいまなざしを向けた。
 
最年少、唯一の高校生参加者の佐々木寧音さん(左)は選手宣誓も務めた。父譲さんと完走の喜びを分かち合う(右)

最年少、唯一の高校生参加者の佐々木寧音さん(左)は選手宣誓も務めた。父譲さんと完走の喜びを分かち合う(右)

 
 釜石移住の仲間と初挑戦したのは、同市に移住して1年の会社員三浦万侑さん(25)。写真で見た仙人峠の紅葉に魅せられ「楽しめそう」と申し込んだが、「坂、やばいです。折り返し前、中盤ぐらいが一番きつかった」と苦笑い。長距離走自体経験がなく、普段はたまにスポーツジムで汗を流す程度。大会2~3週間前から3~4キロ走るのを繰り返し、本番に臨んだ。「(成果は)出せたと信じたい。制限時間内にゴールできたので」。雨ながら肉眼で見る紅葉は格別で、「感動です。途中で写真も撮りました」と記憶と記録に残した。
 
釜石移住者仲間で参加したこちらのグループは全員完走。喜びの笑顔を輝かせた

釜石移住者仲間で参加したこちらのグループは全員完走。喜びの笑顔を輝かせた

 
 職場の仲間での参加も同大会おなじみの光景。今回、釜石税務署の職員4人は11月11日から始まる「税を考える週間」をPRしようと、そろいのTシャツ姿で初参加した。背中にはQRコードを大きくプリントしてアピール。伊東亮将さん(26)は「想像以上のしんどさ。上り坂で何回も心が折れかけたが、何とか気合いで乗り切った」。大和田純さん(28)は「税の広報もでき、全員完走。かなりの達成感。明日からまたみんなで仕事を頑張れそう」。応援に駆け付けた石亀博文署長(58)は「若い職員が何かできないかと考え、自ら行動してくれた。Tシャツも大会のために準備したもの。税に目を向けるきっかけ作りに頑張ってくれたことに感謝したい」と奮闘をたたえた。
 
「税を考える週間」をPRするTシャツ姿で走る釜石税務署の職員ら

「税を考える週間」をPRするTシャツ姿で走る釜石税務署の職員ら

 
完走した釜石税務署の大和田純さん(左)、安保充さん(中左)、伊東亮将さん(右)と石亀博文署長(中右)

完走した釜石税務署の大和田純さん(左)、安保充さん(中左)、伊東亮将さん(右)と石亀博文署長(中右)

 
 今大会参加者の最年長は花巻市の仙内直衛さん(89)。同大会には所属する花巻走友会の仲間とほぼ毎回参加している。自身のスタイルを「“ずぼら”走だ。自分を追い込まず、完走できればいいという感じ」と屈託なく笑う。マラソンは50歳から始め、72歳までフルマラソンにも出場。「完走すると気分がいい。若い人たちと一緒に走れるのは楽しい」と心を躍らせる。今回も無理なく走り切った。
 
「最高齢者賞」を贈られた花巻市の仙内直衛さん(左)と松岡マヨ子さん(右)。年齢を感じさせない健脚ぶりに拍手!

「最高齢者賞」を贈られた花巻市の仙内直衛さん(左)と松岡マヨ子さん(右)。年齢を感じさせない健脚ぶりに拍手!

 
 仙内さんは、女子の最年長松岡マヨ子さん(77、花巻市)とともに「最高齢者賞」を受賞。最も遠くからの参加者に贈られる「遠来賞」は鹿児島県南さつま市から参加の中村貴子さん(45)が受賞した。
 
 同大会は2010年にスタート。翌11年に東日本大震災が発生したが、「復興への峠を駆け上がれ」の合言葉のもと、大会は途切れることなく続けられた。12年の第3回大会で参加者数1011人と最多を記録している。今大会は3年間のブランクを経ての開催ということで、運営体制などを考慮し規模を縮小した。参加者からは大松コースの復活を望む声もあり、実行委では来年以降の形態を再度、検討していく。
 
ハロウィーン仕様のカラフル衣装で選手を応援。力をもらったランナーが急勾配の坂を駆け上がる

ハロウィーン仕様のカラフル衣装で選手を応援。力をもらったランナーが急勾配の坂を駆け上がる

 
仮装ランナーは今年も健在。沿道の人たちを楽しませた

仮装ランナーは今年も健在。沿道の人たちを楽しませた

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まちをつなぎ“治す” 「社会的処方」取り入れ地域づくり 釜石では?フォーラムで共有

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釜石市民が地域活動で育てた野菜などを並べた物販コーナー

  
 地域で何らかの課題を抱える人たちに、薬を処方するように必要な“つながり”を提案する「社会的処方」と呼ばれる試みがある。その視点を生かした住民の社会参加と地域活動の進め方を考える「かまいし地域づくりフォーラム」(釜石市主催)が10月28日、大町の市民ホールTETTOで開かれた。講演や事例発表に加え、市内8地区にある各生活応援センターの活動紹介・物販を初めて企画。互いの活動を見聞きし、今後の活動のヒントを探った。
 
 地域で暮らす人が社会的に孤立してしまう前に、抱えた課題を解決する薬(地域の活動やサービスなどの資源)を処方(つながりの支援)することで、コミュニティーの維持や個々の幸福度向上を目指すもの。地域に根差した活動を知ることで、参加しやすく相談しやすい、手を伸ばせる環境をつくる狙いがある。
 
 地域活動の盛り上がりを感じてもらおうと、物販を初企画。各応援センターでは住民活動を支える取り組みとして野菜栽培などを行っており、その産物、大根や白菜、ホウレンソウなどを安価で売り出した。小佐野地区は、東日本大震災直後に仮設住宅で暮らす人を支えようと地区住民らが立ち上げた「小川ふれあい産直」、栗橋地区は「みんなで助け合って共同作業」を合言葉に活動するグループ「結い姫」が品物を陳列。鵜住居地区は、復興住宅の入居者がプランターで育てたジャガイモを無料で配った。
 
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市内各地区の生活応援センターがパネルで活動紹介

 
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栗橋地区の「結い姫」は手作りした菓子などを売り出した

 
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釜石地区の子どもたちは育てたサツマイモをプレゼント

 
 釜石地区は、児童を対象にした放課後子ども教室での活動を紹介した。センターがある青葉ビルの敷地内に設けた農園で子どもたちが育てたサツマイモを来場者にプレゼント。「もらってください」と元気に呼び込みをした根元璃玖君(釜石小4年)は「初めてで緊張したけど、頑張った。おいしく、大きくなればとみんなで育てたものを喜んでもらえた」と笑った。
 
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後藤純特任准教授(写真左上)の講演に耳を傾ける釜石市民ら

 
 東海大建築都市学部特任准教授の後藤純さんが「新時代の地域コミュニティー形成」をテーマに基調講演。まちをつなぎ“治す”5つのポイント(子どもの教育への再投資、交流機会の再生など)を伝えた。
 
 事例発表では平田地区の住民交流の場「つながるカフェ」、小佐野地区の認知症サポーターチーム活動が紹介された。後藤さんは「一方が支えてもらいっぱなしにはしない。単発ではなく、活動がつながっていくように新しく生み出していって」「若い世代につなげていくのが課題。減らさず、増やしていくのが大事。そして女性は元気。今度は男性にどう広げるか考えていくことも必要だ」など助言した。
 
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事例発表では高齢者らの交流を促す活動が紹介された

 
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認知症サポーターの活動で取り組む寸劇も披露された

 
 平田いきいきサークルが活動発表。聴講者を巻き込みながら健康体操を披露した。メンバーの西村敏雄さん(85)は「体を動かすのがいい。みんなに会えるのが楽しみで、自然と笑顔になる」と、住み慣れた地域の良さを伝えられたと満足げだった。
 
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「お互い元気で頑張ろう」。フォーラム参加者全員で健康体操

 
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海藻アカモクをPRする釜石湾漁協白浜浦女性部(左)

 
 平田地区は物販で、釜石湾漁協白浜浦女性部が未利用資源の海藻アカモクなどを販売した。釜石は脳卒中死亡率が極めて高く、塩分の排出効果があるカリウムの含有量が多いというアカモクを使って市民の健康を守ろうと精力的に活動。佐々木淳子部長(68)は「部員の生きがいになっている。細々とした取り組みだが、地域の活性化につながれば」と話す。このフォーラムは他地域の取り組みを知る機会と強調。女性部の活動に生かせるヒントを探りつつ、「健康づくりを広げていきたい」と目標も見いだした。

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釜石に「富来旗チアチームを」カラーガード体験会初開催/SWプレシーズンマッチホーム最終戦結果

釜石で初めて開かれた「カラーガード体験会」=TETTO前広場

釜石で初めて開かれた「カラーガード体験会」=TETTO前広場

 
 色とりどりの旗や木製ライフルなどを用いて音楽に合わせて演技する「カラーガード」の体験会が10月22日、釜石市大町の市民ホールTETTO前広場で開かれた。企画したのは、ラグビーの日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)オフィシャルサポーターを務めるモデル、フリーリポーターの葛巻舞香さん(39)。SWの応援でもおなじみの大漁旗=地元では富来旗(フライキ)ともいう=を使った釜石ならではのチアチームを作ろうと、初めて開催した。今後、体験会を重ねながらチーム発足を目指す。
 
 盛岡市を拠点に活動する本県唯一のカラーガードチーム「arbre(アルブル)」から出戸亨子代表とメンバーの小学、高校生4人が来釜。映画やアニメ作品で使われた3曲に合わせて短い演技を披露し、集まった市民らにカラーガードについて紹介した。
 
 カラーガードは軍隊に由来する団体競技。マーチングでフラッグ(旗)、ライフル(銃)、セイバー(剣)などの手具を用いて演技し視覚的効果を担うほか、大会で技を競う。アルブルはマーチングの東北大会出場、地域イベントへの出演、バスケットボールの岩手ビッグブルズのハーフタイムショーでの演技披露など多彩に活動する。
 
岩手のカラーガードチーム「arbre」が音楽に合わせた演技を披露

岩手のカラーガードチーム「arbre」が音楽に合わせた演技を披露

 
指導にあたったarbreの出戸亨子代表(左)と体験会を企画した葛巻舞香さん(右)

指導にあたったarbreの出戸亨子代表(左)と体験会を企画した葛巻舞香さん(右)

 
最初は旗の持ち方や回し方など基本的動作を練習

最初は旗の持ち方や回し方など基本的動作を練習

 
 本体験会は葛巻さんらが進める「釜石富来旗チアチーム発足プロジェクト」の第一歩として開催。カラーガードを知ってもらうところから始め、参加者が簡単な振り付けに挑戦した。30分ほどの練習で旗を回したり掲げたりする一連の動きができるまでに…。最後はアルブルのメンバーと一緒に演技し、2チームに分かれて客観的に演技を見合う体験もした。
 
 昨年11月から同市の地域おこし協力隊として活動する竹中伸明さん(35)は「音楽に合わせて体を動かしたり、みんなの動きがバシッとそろったりするところが楽しい。扱いやすい旗の持ち方も教わり、重さもあまり感じない」と笑顔で体験。ラグビー関連の活動に力を入れていて、「試合の応援だけでなく、こういう演技がスタジアムに足を運ぶ要素になれば。うのスタに新たな景色が生まれるといい」と期待する。
 
 市内で働く会社員女性(36)は「今、体験したぐらいの運動量なら子どもから年配の方までできそう。大勢でやれたら、きっとすごい迫力。釜石SWのいい力にもなれるのではないか。ぜひ、市民の皆さんと一緒にやってみたい」とチーム発足を願った。
 
体験会の最後は全員で短い演技を披露。カラフルな旗が華やかに舞う

体験会の最後は全員で短い演技を披露。カラフルな旗が華やかに舞う

 
うのスタの釜石SW戦での披露を目指し、富来旗チア発足のためのプロジェクトがスタート!

うのスタの釜石SW戦での披露を目指し、富来旗チア発足のためのプロジェクトがスタート!

 
 自身も初めて体験するという葛巻さんは「旗がはためいたり、きれいに開いたりするとすごく気持ちがいい。これが大漁旗だったら、かっこいいだろうなぁ…」。同市で頑張る人たちとのつながりも期待し、「地元のいろいろな踊りともコラボ可能。釜石をさらに盛り上げていければ」とチーム発足へ思いを強くする。来年3月に釜石鵜住居復興スタジアムで行われる釜石SW戦での披露を目標に掲げる。
 

釜石SWプレシーズン第4戦 トヨタヴェルブリッツと 課題のスクラム改善 プレーの質向上目指す

 
プレシーズンマッチでトヨタヴェルブリッツと対戦した釜石SW(赤ジャージー)

プレシーズンマッチでトヨタヴェルブリッツと対戦した釜石SW(赤ジャージー)

 
 ジャパンラグビーリーグワン2部の日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)は10月21日、釜石鵜住居復興スタジアムで同1部のトヨタヴェルブリッツと対戦した。プレシーズンマッチ4戦目で、ホームでは開幕前最後の試合。21-57の大差で敗れたが、課題のスクラムなどで相手にプレッシャーを与える場面も見られ、着実に力をつけていることをうかがわせた。
 
 釜石は前半、ブレイクダウンでのプレッシャー、速いテンポの攻撃などトヨタの強さに押され、5トライを奪われた。28分にラインアウトモールから認定トライ、36分にもモール攻撃でナンバー8セタ・コロイタマナがトライ(SO落和史ゴール成功)を決め、14-31で折り返した。後半もトヨタ選手の質の高いプレー、堅いディフェンスに阻まれ、苦しい時間が続いた。釜石の得点は14分、後半出場のナンバー8サム・ヘンウッドの中央へのトライ(落ゴール成功)。トヨタにさらに3トライを重ねられた釜石は21-57で敗れた。
 
後半14分、サム・ヘンウッドが相手をかわして走り込み、中央にトライ

後半14分、サム・ヘンウッドが相手をかわして走り込み、中央にトライ

 
後半は一時的に雨と風が強まり、観戦客は屋根のある場所などに避難

後半は一時的に雨と風が強まり、観戦客は屋根のある場所などに避難

 
 試合後、須田康夫ヘッドコーチ(HC)は「負けてしまったが、(強化してきた)スクラムは低さという部分で改善が見られ、今後の自信につながる」。WTB小野航大主将は「セットではある程度ボールを確保できていたが、ラインスピードを上げてプレッシャーをかけたいディフェンスが思うようにできなかった」と反省。自分たちの強み、目指すべきところを明確にする必要性を示した。
 
 プレシーズンマッチは残り2試合が確定。次回は11月11日、NEC我孫子グラウンドでNECグリーンロケッツ東葛と、同18日は夢の島競技場で清水建設江東ブルーシャークスと対戦する。
 
 これまでは昨季、出場機会が少なかった選手、若手選手らを中心に起用し、チームの底上げを図ってきた釜石SW。12月のリーグ開幕に向け、須田HCは「昨季、いいパフォーマンスを見せたメンバーも含め、今後SWとしてのトップチームを作りあげていく予定。コミュニケーション、プレーの質も向上し、一段違うSWが見られるのではないか」と期待。小野主将は「選手にとってはさらに競争意識を高め、トップチームに入っていくことが焦点になる。今年、やろうとしていることをどれだけ表現できるかがポイント。今季の開幕に向け、見通しのたつような試合にしたい」と意気込んだ。
 
 釜石SWの開幕戦は12月10日。釜石鵜住居復興スタジアムで豊田自動織機シャトルズ愛知と対戦する。
 
この日は『黄金の國、いわて。』Presents招待試合として行われ、トヨタチームに県産米などが贈られた

この日は『黄金の國、いわて。』Presents招待試合として行われ、トヨタチームに県産米などが贈られた

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お待たせ!釜石の秋味・甲子柿 生産組合、目揃会 出荷へ気合「まだこれから」

真っ赤に色づいた甲子柿。出荷が始まった

真っ赤に色づいた甲子柿。出荷が始まった

 
 釜石市特産の甲子柿が出荷シーズンを迎え、甲子柿の里生産組合(佐々木裕一組合長、23人5団体)は10月27日、品質を確認する「目揃(めぞろえ)会」を開いた。今年は天候の影響で収穫前に落果したり実の色づきも遅れていたが、出荷量は例年並みとなる見通し。新規就農者が仲間入りという明るい兆しも加わり、組合員らは甘くとろける伝統の味を全国に届けようと意気込む。
 
 甲子町の洞関地区コミュニティ消防センターで開かれ、関係者ら約20人が参加。生産者10人が化粧箱に詰めた柿を持ち寄り、仕上がりを確認した。今年は春先まで霜が降りたり夏場は異常な高温が続いたうえ、収穫を目前にした10月上旬の強風により実が落下。ただ、大きめの実は風に負けず残っていて収量は予想より上向きになる見通しだ。
 
目揃会で出来を確かめる生産者ら

目揃会で出来を確かめる生産者ら

 
 初参加の内舘靖さん(54)は今年、千葉県船橋市からUターンして本格的に甲子柿づくりに取り組む。生産技術者という理系分野からの転身で農業分野の生産は手探りだったというが、「先輩方の足元くらいの出来栄えにはなったかな」とほっと一息。形や色つや、美しさはまだまだと身に染みていて、「追いつけるように」と前を向く。地域を出たことで「当たり前だと思っていた秋の味覚が普通ではない」と認識したのが帰郷のきっかけ。地域の魅力を生かし、「伝統を残したい」と意欲を見せた。
 
新人(右)と先輩生産者が情報交換

新人(右)と先輩生産者が情報交換

 
鮮やかな色とぷるんとした食感が特徴の甲子柿

鮮やかな色とぷるんとした食感が特徴の甲子柿

 
 甲子柿は、小枝柿を「柿室(かきむろ)」と呼ばれる暗室で1週間ほどいぶして渋抜きするのが特徴。完熟トマトのように真っ赤に色づき、“ぷるん”とした食感になる。出荷作業は11月中旬まで続く見込み。佐々木組合長(72)は「厳しい天候が続いたが、おいしく仕上がった。みずみずしい甘さを味わってもらえたら。新規就農もあり、品質の統一を図りながら地域の味を届けていきたい」と力を込めた。
 
 市内の産直や一部スーパーでは昨年より10日ほど遅れて店頭を彩るように。道の駅釜石仙人峠(甲子町)では秋味を待っていた人たちが手に取り、あっという間に「完売」になるという。佐々木雅浩駅長は「まだこれから。地域を発信し、活性化させる味をより多くの方に提供したい」と腕まくり。小型ののぼり旗を用意し、生産者を知ってファンになってもらう取り組みなどで味の伝承を応援する。
 
道の駅釜石仙人峠の店頭に並ぶ甲子柿

道の駅釜石仙人峠の店頭に並ぶ甲子柿

 
 同組合では市外への認知度アップを目指し、▽イオン盛岡店内「もりおかん」販売会(11月4日)▽仙台藤崎百貨店GI産品フェア(10-12日)―への参加を予定する。

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10/31は「ハロウィーン」 平田公民館で子どもらが異文化学ぶ 手形アートや仮装撮影も 

平田公民館でハロウィーンパーティーを楽しむ子どもら=26日

平田公民館でハロウィーンパーティーを楽しむ子どもら=26日

 
 今日10月31日は「ハロウィーン」。米国では祝祭日で、先祖の霊を迎えるとともに悪霊を追い払う日とされる。日本では若者らが仮装して楽しむ姿がクローズアップされがちだが、本来の意味や海外の風習などを知ってもらおうと、釜石市の平田公民館(小笠原達也館長)で26日、講話を交えたイベントが開かれた。
 
 講師に招かれたのは米国出身で、2021年から市の国際交流員として活動するナターシャ・ミリガンさん(26)。同地区の放課後子ども教室を利用する平田小の児童を中心に約30人が集まった。ミリガンさんは母国のハロウィーンの様子を、写真を見せながら紹介。カボチャやカブをくりぬき、目鼻口を施した「ジャック・オー・ランタン」を自宅の周りに飾ったり、魔女やお化けの仮装をした子どもたちが近所の家々を回り、お菓子をもらう風習があることを伝えた。
 
市国際交流員のナターシャ・ミリガンさんが米国のハロウィーンについて説明

市国際交流員のナターシャ・ミリガンさんが米国のハロウィーンについて説明

 
 墓やモンスターを模した飾り、ミイラやお化けに似せた料理など本場のハロウィーンの演出に子どもらは「面白い」「怖すぎる」と声を上げた。「ハロウィーンでキャンディーをもらう時に言う特別な言葉は?」とのミリガンさんの問いには、「トリック・オア・トリート(お菓子をくれないといたずらするぞ)!」と即答。日本でも近年、幼児施設や子ども向けイベントなどでハロウィーンに親しむ機会が増えているだけあって、元気な声が響いた。
 
 ミリガンさんはクイズも出題した。ハロウィーンの起源やランタンを彫るのに昔使っていた野菜、象徴的な4つの色とその意味などを楽しく教えた。答えた子どもには「ハッピーハロウィーン!」と声をかけながらお菓子を手渡した。
 
ハロウィーンに関するクイズに答える子ども

ハロウィーンに関するクイズに答える子ども

 
クイズに正解すると歓声が…。楽しみながら異文化を学んだ

クイズに正解すると歓声が…。楽しみながら異文化を学んだ

 
 講話の後は手形アートの体験。手のひらに絵の具を塗り、2つの手形を紙に押して逆さまにすると、あら不思議、お化けのような形に…。目や口を書いて顔にし、余白に絵を描いたりシールを貼ったりして、自分だけのハロウィーンアートに仕上げた。カチューシャや顔シールでプチ仮装体験も。みんなで記念写真を撮り、楽しい思い出を心に刻んだ。
 
手形アート体験。どんな作品ができるかな?

手形アート体験。どんな作品ができるかな?

 
絵の具を塗った手で手形を押すと…ごらんの表情!

絵の具を塗った手で手形を押すと…ごらんの表情!

 
見本を見てイメージを膨らませる。この後、楽しい作品が続々

見本を見てイメージを膨らませる。この後、楽しい作品が続々

 
 川﨑蒼大君(平田小6年)はミリガンさんの話を聞き、「日本と外国のハロウィーンの文化の違いに驚いた。(家を飾ったりごちそうを食べたり)日本よりすごくお金がかかっていそう」と初めて見る光景に目を丸くした。
 
 「米国人にとってハロウィーンは毎年楽しみな日。釜石の子どもたちにも少しでも教えられたらと思っていたので、今日は交流できて良かった」とミリガンさん。海外に目を向ける機会が増えることを願い、「こういうイベントを通じて米国や英語のことをもっと伝えていきたい。学童(育成クラブ)や学校施設などで活動できれば」と意欲を示した。
 
個性豊かな手形アート作品が完成。“おうちハロウィーン”を盛り上げそう

個性豊かな手形アート作品が完成。“おうちハロウィーン”を盛り上げそう

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鵜住居駅前を花のプランター、ハンギングバスケットで美化 釜石、東海LCが共同で地域奉仕

三陸鉄道鵜住居駅前に花のプランターを設置する釜石、東海ライオンズクラブ会員ら

三陸鉄道鵜住居駅前に花のプランターを設置する釜石、東海ライオンズクラブ会員ら

 
 釜石ライオンズクラブ(LC、大和田助康会長、会員47人)は13日、友好関係にある愛知県東海市の東海ライオンズクラブ(川上邦敏会長、会員94人)と共同で、釜石市鵜住居町、三陸鉄道鵜住居駅前に花のプランターとハンギングバスケット計25個を設置した。釜石LCの58周年を記念した地域貢献事業として実施。東日本大震災から復興したまちの拠点を美しく彩った。
 
 活動には両クラブの会員26人のほか、三陸鉄道、市、地元の鵜住居町内会から5人が参加した。それぞれの代表のあいさつ後、花を準備した岩泉町の業者が花の種類や管理法などを説明。会員らが設置作業に取り組んだ。プランターは駅前の歩道沿いに置き、ハンギングバスケットはホームに向かう通路の手すりに取り付けた。植えられているのはガーデンシクラメン、ビオラ、スミレ、パンジーなど。これから冬を迎えることから、寒さに強い種類を選んだ。
 
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奉仕活動に協力する東海ライオンズクラブの会員(黄色ベスト)

 
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ホームへの通路にはハンギングバスケットを設置した。写真中央奥に見えるのは鵜住居駅の待合室

 
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市職員(右)らも協力し、設置作業を進めた

 
 LCは世界組織の奉仕団体。釜石、東海の両クラブは2011年の東日本大震災後、復興支援活動などを通じてつながり、12年に友好クラブとなった。以降、互いの周年記念式典などに合わせて行き来し、共同で奉仕活動を展開している。釜石での合同事業は20年の片岸公園への桜植樹以来となる。
 
 会長就任後、初めて釜石を訪れた東海LCの川上会長は「今のまちの様子を拝見すると震災があったようには思えないが、話を聞くと苦労してここまでこられたのだと実感する。つながったご縁を大切に、こうした活動を通じて交流を深め、互いのまちづくりに貢献できれば」と願った。
 
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釜石の会員と共に活動する東海ライオンズクラブの川上邦敏会長(中央)

 
 釜石LCの大和田会長は「東海市と釜石市は姉妹都市ということもあり、震災後、いろいろな形で協力いただいている。私たちも東海まつりの際におじゃまさせてもらい、物産販売の手伝いなどを行っている。今後も協力し合い、両市の奉仕活動に務めていきたい」と話した。
 
 今回、設置したプランターやハンギングバスケットの水やりには地元町内会が協力していく。三陸鉄道の石川義晃社長は今回の活動に「三鉄の震災学習列車は宮古駅を出発し、鵜住居駅で降りていただく方が多い。周辺には釜石鵜住居復興スタジアムやうのすまい・トモスがあり、この地に降り立つ皆さんの心も癒やされると思う」と感謝。活動が行われた日は4年前、同スタジアムで予定されていたラグビーワールドカップ日本大会ナミビア―カナダ戦が台風の影響で中止になった日。試合はできなかったが、会場では大漁旗を振って足を運んだ人らに感謝とおもてなしの気持ちを表した。「そういった意味でも今日、この活動が行われるのは意義深い」と石川社長。
 
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晴天の空に大漁旗なびく曳き船 秋来たる!釜石まつり 合同みこし渡御…雨でも活気

隊列を組んで釜石湾内を巡る曳き船

隊列を組んで釜石湾内を巡る曳き船

  
 釜石市の秋を彩る「釜石まつり」。浜町の尾崎神社と桜木町の日本製鉄北日本製鉄所釜石地区山神社の合同祭は13日から3日間にわたって行われた。呼び物の「曳(ひ)き船まつり」は14日に釜石湾内で開かれ、好天の下、大漁旗を掲げた船団がにぎやかに海上パレード。最終日の15日は一変して雨模様となったが、両神社のみこし渡御は担ぎ手、神楽や虎舞など奉納団体の舞い手らが負けずに威勢よく市街地を練り歩いた。
  
「大漁だ!」。威勢のいい掛け声で浜を活気づける 

「大漁だ!」。威勢のいい掛け声で浜を活気づける

   
 曳き船まつりは尾崎神社奥宮のご神体をみこしに迎え、海上を渡御する行事。ご神体を載せた船団は午前11時半ごろに魚河岸の市魚市場前に帰港し、大漁旗をなびかせた14隻が豊漁や海上安全を祈りながら湾内を周回した。各船に乗り込んだ郷土芸能団体が虎舞や神楽を繰り広げ、にぎやかなおはやしや舞で活気づけ。みこしを乗せた御召船が岸壁に近づくと、見物客が手を合わせた。
   
虎舞、神楽、七福神…船上で演舞を繰り広げる

虎舞、神楽、七福神…船上で演舞を繰り広げる

  
海を見守る釜石大観音に船上からごあいさつ

海を見守る釜石大観音に船上からごあいさつ

   
 「人であふれるまちに」「健康で幸せに過ごせるように」「けんかばかりしてないで、平和な世に」。近くで見守った80歳代の女性たちは願いを込めた。「船が綱でつながっていたから曳き船まつりっていうんだ。昔はね」などと教えてくれたのは平田の佐藤増雄さん(77)。若い頃には船上から盛り上げていたといい、「太鼓の音を聞くと、気分が乗ってくる。まちをにぎやかにするのは祭りが一番」と心を躍らせた。
 
海上渡御を終えて浜町の尾崎神社里宮へ向かうみこし  

海上渡御を終えて浜町の尾崎神社里宮へ向かうみこし

  
沿道で出迎えた市民らが手を合わせる

沿道で出迎えた市民らが手を合わせる

   
 夕方には家々の前で舞を披露する「かどぶち」をする団体も見られた。大町の釜石情報交流センターにも笛や太鼓といった“祭りの音”が届き、観光客らが見物。施設内のカフェを利用していた親子は「秋田とは違った祭りの雰囲気」に目を見開いたり、笑顔を見せたりした。
   
市外からの観光客には印象深い「かどぶち」

市外からの観光客には印象深い「かどぶち」

   
 合同のみこし渡御には約10の団体、約1000人が参加。雨粒が大きくなる中、鈴子町の釜石消防署脇駐車場を正午ごろに出発した行列は薬師公園と市役所の御旅所に立ち寄りながら、魚河岸まで市中心部の目抜き通りを進んだ。芸能団体は路上での演舞を控えたが、威勢のいい掛け声やおはやしで後押しした。
  
雨に負けじ。活気づけの合同みこし渡御

雨に負けじ。活気づけの合同みこし渡御

   
尾崎神社の六角大みこしは4年ぶりの出番

尾崎神社の六角大みこしは4年ぶりの出番

   
そうした中でも異彩を放ったのが、尾崎神社の六角大みこし。300年以上の歴史を誇るみこしだが、新型コロナウイルス禍や担ぎ手の確保が難しいことなどから見送られてきた。4年ぶりの出番は雨にぬれたが、より輝きが増したようで、傘を差しながら沿道で出迎えた市民らはさい銭をあげて手を合わせたり、写真を撮ったりしていた。
   
 「重くて大変だが、息が合えば安定する」。同神社のみこし担ぎ手団体「輿衆(よしゅう)会」メンバーの小澤清さん(58)は話す。ずぶぬれでつらいが、大みこしを担げる喜びを実感。20年ほど続けるが、年に1回、このまつりでしか顔を合わせない、名も知らない人が多いという。「また、会ったね」とそんな間柄を楽しむ。「いつまで担げるか…」とこぼしつつ、再会を励みに「頑張りましょう」と表情は明るかった。
   
みこしの担ぎ手には笑顔も見える

みこしの担ぎ手には笑顔も見える

  
日本製鉄山神社のみこし。しし踊りが盛り上げる

日本製鉄山神社のみこし。しし踊りが盛り上げる

   
 魚市場御旅所ではみこし還御式が行われ、6団体が演舞を奉納。奥宮にかえるご神体をおはやしで見送った。甲子町の佐々木梨奈さん(25)らと訪れた大槌町吉里吉里の田中雪乃さん(25)は釜石の祭り見物は初めて。「友達や同級生がみこしを担いだり、虎舞もやっていたり活躍していた。次は晴れた時に見たい」と楽しみを残した。
   
魚市場御旅所で芸能団体が演舞し見送った

魚市場御旅所で芸能団体が演舞し見送った

   
 主催の同まつり実行委員会事務局によると、14、15の2日間で計約6000人の人出があった。
 
 

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プレミアムな夕べを堪能 一流料理、芸能を世界遺産で 「ビストロわんこ」釜石で初開催

世界文化遺産・橋野鉄鉱山で開かれた「ビストロわんこ」=7日

世界文化遺産・橋野鉄鉱山で開かれた「ビストロわんこ」=7日

 
 岩手の食文化、民俗芸能、歴史をまるごと味わう屋外レストラン「ビストロわんこ」が7、8の両日、釜石市橋野町の世界遺産「橋野鉄鉱山」で開かれた。本年1月、ニューヨーク・タイムズ紙の「2023年に行くべき52カ所」に盛岡市が掲載されたのを機に、国の「観光再始動事業」を活用して県が行う観光活性化イベントの一環。釜石市は平泉町、盛岡市に次ぐ3カ所目の開催となった。
 
 橋野鉄鉱山インフォメーションセンター駐車場が会場。2日間の開設に計60人が申し込んだ。イベント限定の特別メニューをプロデュースしたのは、釜石市鈴子町で「和の膳 みや川」を営む宮川徹さん(50)。同市と周辺の厳選食材を使った「プレミアムわんこ膳(9品)」を提供した。
 
 メニューは▽釜石産アイナメ煮おろし▽茸のひっつみ▽釜石産ドンコフライのタルタル仕立て▽釜石産アナゴ天そば▽大船渡産アワビと地元野菜の焚(た)き合わせ▽釜石産タコのカルパッチョ▽大槌産鹿肉と豚のパテ▽南部どりのパロティーヌ▽地場野菜とムール貝のバリグール。さらに芋の子汁、栗ご飯、デザート3種(浜千鳥の酒粕チーズケーキなど)が付いた。料金は6千円(税込み)。
 
地元食材をふんだんに使ったスペシャルメニュー「わんこ膳」9品

地元食材をふんだんに使ったスペシャルメニュー「わんこ膳」9品

 
栗ご飯(左下)も彩り鮮やかに。秋ならではの一品に顔もほころぶ

栗ご飯(左下)も彩り鮮やかに。秋ならではの一品に顔もほころぶ

 
絶品料理を味わいながら郷土芸能も鑑賞。思い出に残る特別な時間

絶品料理を味わいながら郷土芸能も鑑賞。思い出に残る特別な時間

 
 午後4時のオープンとともに会場入りした客は地酒や地ビールなどの飲み物で喉を潤した後、お膳を受け取り、ストーブのあるテント客席で料理を味わった。辺りが暗くなり始めた午後5時からは郷土芸能の披露があり、7日は桜舞太鼓、中村さんさ、鵜住居虎舞、8日は臼澤鹿子踊、大槌虎舞、外山鹿踊が伝統の演舞で楽しませた。高炉場跡では三番高炉とその周辺のライトアップが行われ、普段は見られない幻想的な遺跡空間に来場者が感嘆の声を上げた。
 
大迫力の演奏で来場者を魅了した釜石市唐丹町本郷の「桜舞太鼓」

大迫力の演奏で来場者を魅了した釜石市唐丹町本郷の「桜舞太鼓」

 
釜石市橋野町中村に伝わる「中村さんさ」。1920(大正9)年ごろ、発電所の建設工事に来ていた盛岡の夫婦から習ったのが始まりとされる

釜石市橋野町中村に伝わる「中村さんさ」。1920(大正9)年ごろ、発電所の建設工事に来ていた盛岡の夫婦から習ったのが始まりとされる

 
幻想的な夜のステージで踊りを披露。子どもたちもイベントを盛り上げた

幻想的な夜のステージで踊りを披露。子どもたちもイベントを盛り上げた

 
 仕事仲間3人で訪れた奥州市在住の米国人ベロニカ・ダウさん(28)は「食事はどれもおいしくて、郷土芸能も素晴らしい」と感激。夜は冷え込んだが、「今年は猛暑が続いただけに、いよいよ秋が来たなという感じ」と季節の移ろいも楽しんだ。来日7年目。現在、奥州市役所でILC(国際リニアコライダー)関連の業務に携わる。県内の食文化にもほれ込み、「最も印象に残るのはじゃじゃ麺。お気に入り」と笑った。
 
 釜石市鵜住居町の田村昭さん(55)、明美さん(60)夫妻は「期待以上。料理もおいしいし、にぎやかで楽しい」とイベントを満喫。昭さんの転勤でこれまで東北各地での暮らしを経験してきた。「せっかくなので、いる間はその土地特有のものを楽しもうと思って。橋野鉄鉱山には来たことがあるが、今日はライトアップされるというのでとても楽しみ。来年も(イベントが)あったらまた来たい」と声を弾ませた。
 
三番高炉の炉底部を赤く照らし、当時の操業をイメージさせる演出が施されたライトアップ

三番高炉の炉底部を赤く照らし、当時の操業をイメージさせる演出が施されたライトアップ

 
山神社の鳥居と両側にそびえる大樹、御日払所の石垣を緑や青の光で浮かび上がらせた圧巻の光景

山神社の鳥居と両側にそびえる大樹、御日払所の石垣を緑や青の光で浮かび上がらせた圧巻の光景

 
 メニューを手掛けた宮川さんは以前から、食の原点に関わる地域資源や文化を見直した料理活動を展開。今回も共に活動する県内の仲間らと8人で料理やデザートを提供した。「釜石をはじめ三陸の食材を中心としたメニュー。芋の子汁には北上特産の二子さといもを使い、栗ご飯、釜石の甲子柿のクラフティ(デザート)など秋の味覚にもこだわった」と宮川さん。近代製鉄の礎を築いた「橋野鉄鉱山」をより多くの人に知ってもらい、釜石に足を運んでもらうことも期待し、「私は“食”の部分で(おもてなしや魅力発信に)貢献できれば。それこそが地元で料理人をしている意味」と語った。
 
この日の特別メニューをプロデュースした「和の膳 みや川」の宮川徹さん(左)

この日の特別メニューをプロデュースした「和の膳 みや川」の宮川徹さん(左)

 
 県はニューヨーク・タイムズ紙の反響を追い風に、「2023年に行くべき盛岡・岩手宝探しの旅」と銘打った各種企画を9~10月に開催している。「ビストロわんこ」は県内3世界遺産(平泉、橋野鉄鉱山、御所野遺跡)と盛岡城跡公園の各特設会場で15日までに行われた。盛岡市ではこの他、伝統酒蔵見学ツアー、わんこそば世界大会も実施。21、22日には国重要文化財の歴史的建造物「岩手銀行赤レンガ館」でのジャズカフェが予定されている。
 
郷土芸能出演者との記念撮影の時間も設けられた

郷土芸能出演者との記念撮影の時間も設けられた

 
中村さんさの応援に駆け付けた地元住民。さかんな拍手を送った

中村さんさの応援に駆け付けた地元住民。さかんな拍手を送った

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写真で日常を楽しめ!釜石・フォトライフ 第25回記念展 自由な表現「淡々と」

写真愛好者らの集いの場になる「フォトライフ写真展」

写真愛好者らの集いの場になる「フォトライフ写真展」

 
 合言葉は「楽しく撮影、楽しく展示」―。フォトライフを楽しむ人たちが「見てもらいたい」作品を並べる写真展が9日まで、釜石市大町の市民ホールTETTOで開かれた。25回目の記念展には撮影者が出合い、心動かされた「日常」がずらり。市内外の20人が80点を出品し、身近な四季折々の風景や動植物、旅の思い出、家族のスナップ、商業写真…などで多彩な視点を見せた。
  
 写真を通じて日常を楽しんでもらおうと、フォトライフ写真展実行委員会(多田國雄代表)が主催。独自に撮影を楽しんでいる写真愛好者らが展示を通じ交流を深める場となっている。地元の写真家、故浅野幸悦さんが中心になって1997年からスタート。浅野さんの亡き後、遺志を継いだ多田代表らが回を重ねてきた。新型コロナウイルス感染症の影響で2年間自粛。昨年から再開した。
 
写真は6ツ切サイズが基本形。台紙は手作りとこだわりも

写真は6ツ切サイズが基本形。台紙は手作りとこだわりも

 
 作品は6ツ切サイズに統一しているが、展示は気軽な自由参加が基本。浜町の石田登茂子さん(74)は、和歌山県・南紀白浜を巡る旅の思い出や“あこがれの大スター”パンダの愛らしい姿を写した作品を出品した。近所の散歩コースで捉えた作品「華やぐ春」ではシダレザクラとツバキの競演を狙った。「好きな所に行って、好きなものを撮る。健康でいないとね」といたずらっぽく笑った。
  
来場者に撮影秘話などを伝える石田登茂子さん(右)

来場者に撮影秘話などを伝える石田登茂子さん(右)

  
 甲子町の菊池弘さん(86)は、フィルム写真にこだわりを持って活動している。「自覚はない」が、最高齢の出品者。好みの被写体は自然風景や躍動的な郷土芸能などだが、年齢を重ね、最近はカメラを携えて遠出する機会は減った。今回は数年前に撮った「憧れの山(アルプス)」「聖火が釜石に来た!!」など3点を紹介。「現像した時に思い通りの画が写し出された喜び」や独特の風合いを楽しんでもらった。
  
 特別企画として、「ありがとう!! SL銀河」コーナーを設置。6月に運行を終えた観光列車を10数年追いかけた愛好者ら10人が20点余りを並べた。勾配のある釜石線を力強く走行する場面、疾走感あふれる車輪、機関士との交流など、さまざまな表情が来場者の目を引いた。
  
SL銀河の写真を並べた企画コーナーでは会話が弾む

SL銀河の写真を並べた企画コーナーでは会話が弾む

 
撮りたいもの発見!展示会場でカメラを構える多田代表(右)

撮りたいもの発見!展示会場でカメラを構える多田代表(右)

  
 淡々と四半世紀-。多田代表(80)はつぶやいた。2011年3月の東日本大震災で仕事場(看板業)も自宅も失ったが、同年11月には新たな作業場で同展示会を実行。「負けないぞ」というよりは、「(津波は)いつか来ると思っていたから、たいしたことない…そんな感じだった」。手元に残った携帯電話のカメラで撮影した作品などを仲間と共に並べた。
 
写真を通じて日常を楽しんでいる出品者たち

写真を通じて日常を楽しんでいる出品者たち

 
記念展を彩った創設者・故浅野幸悦さんの作品(左)

記念展を彩った創設者・故浅野幸悦さんの作品(左)

 
 記念展には浅野さんの作品1点、スタート時から使い続ける案内パネルも持ち込んだ。過去に浅野さんの子どもたちが出展したことがあったといい、「親の背中を見ていたのかな。そうやってこの写真展が続いていくのだろうと、印象深い出来事だった」と多田代表。「節目のとなる展示に役割を果たした」と肩の力を抜いた。
 

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広報かまいし2023年10月15日号(No.1818)

広報かまいし2023年10月15日号(No.1818)
 

広報かまいし2023年10月15日号(No.1818)

広報かまいし2023年10月15日号(No.1818)

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【P1】
表紙

【P2-3】
釜石よいさイベントレポート

【P4-5】
いざという時に、正しい避難ができるよう備えましょう

【P6-7】
まちの話題
イベント案内

【P8-9】
まなびぃ釜石

【P10】
新型コロナワクチン接種のお知らせ 他

【P11-13】
まちのお知らせ

【P14-15】
保健案内板
保健だより

【P16】
「いわて釜石RFC・中学生フランス派遣」リポート

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 広聴広報課 広聴広報係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8419 / Fax 0193-22-2686 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2023091200041/
釜石市

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釜石市公式サイトと連携し、縁とらんすがピックアップした記事を掲載しています。記事の内容に関するお問い合わせは、各記事の担当窓口までお問い合わせください。
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秋の味サンマ 厳しさ続くも…漁場、南下? 釜石入港第1船 三陸沖で漁、好転期待

釜石港に今季初のサンマが水揚げされた

釜石港に今季初のサンマが水揚げされた

 
 釜石市の新浜町魚市場に10日、今季初のサンマが水揚げされた。昨年より1カ月以上も遅くなったが、量は若干上向き感のある約5.5トン。漁場の南下もあるといい、今回初水揚げとなったサンマは三陸沖で漁獲したものだ。厳しい状況が続く“秋味”だが、関係者は「あと2カ月…好転を」と期待する。
 
 釜石港に入ったのは千葉県南房総市の「第一安房(あわ)丸」(120トン、鈴木勇人漁労長、16人乗り組み)。大型船漁解禁日の8月20日以降、拠点とする花咲港(北海道根室市)から東に約1300キロの北太平洋公海で操業していたが、最近は漁場が南下。10月8、9日に釜石港から約150キロの三陸沖で漁獲したものを運んだ。
 
「第一安房丸」の入港を釜石の漁業関係者が見守る

「第一安房丸」の入港を釜石の漁業関係者が見守る

 
釜石に初サンマを届けた第一安房丸の乗組員ら

釜石に初サンマを届けた第一安房丸の乗組員ら

 
 大きさは1匹100~110グラムの中小型が中心で、価格は1キロ当たり700~750円で取引された。「量も身の付きも去年よりはいいと思う」と鈴木漁労長(45)。今年はロシア主張排他的経済水域(EEZ)内の操業が2年ぶりに解禁となったが、そこまで行かずとも漁ができているという。「(魚影は)薄い気もするが、近年にない水域で見えたりもする。燃料高騰ということもあるから、近い漁場だといい」と“まずまず”の反応。ただ、漁業を取り巻く環境は厳しさを増しており、「能力なりに、1日でも長く操業ができれば」と望みをかける。
 
次々と水揚げされるサンマ。乗組員にも力が入る

次々と水揚げされるサンマ。乗組員にも力が入る

 
三陸沖で漁獲されたサンマ。漁の好転に期待する

三陸沖で漁獲されたサンマ。漁の好転に期待する

 
 ほぼ全量を買い取った新浜町の水産加工会社「平庄」の平野隆司社長(47)は「全体的に少ない。量がまとまらないと厳しい。これから本当に取れるのか」と不安をのぞかせる。一方、「漁場が近くなって」との話を聞くと、「サンマ漁は11月いっぱい。2カ月あるから、期待はしている」と前向きに捉えた。この日水揚げされた大部分は関東方面に鮮魚出荷された。
  
 釜石港の昨年のサンマ水揚げ量は202トン(取引額約1億1544万円)。過去最低となり、漁業関係者の実感は厳しいものになった。

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橋野鉄鉱山・三番高炉跡周辺で「長屋跡」確認 発掘調査成果を一般公開 遺物展示は12/8まで

国史跡「橋野高炉跡」で行われる発掘調査の一般向け現地説明会

国史跡「橋野高炉跡」で行われる発掘調査の一般向け現地説明会

 
 釜石市が本年度実施した「橋野鉄鉱山」高炉場跡の発掘調査の成果が9月30日、一般に公開された。同調査は市が2018年から進める「橋野高炉跡範囲内容確認調査」の一環。昨年度から着手している三番高炉跡周辺の調査で、高炉西側にあったとされる長屋の建物跡を確認。水路跡などを含む調査遺構からは作業員の生活を物語る陶磁器や飲料瓶、文房具などが見つかった。
 
 調査は7月から10月までの予定で実施。1860年代初頭(江戸時代末期)に描かれた高炉絵巻にある、三番高炉西側(川沿い)の長屋3棟の遺構確認を目的に試掘調査が行われた。想定地4カ所のうち3カ所を試掘したところ、最も南側で長屋建物跡1棟を確認。絵巻に描かれている地点とおおむね一致する。今回の調査では柱穴の並びから約12坪の規模が検出されたが、1892(明治25)、94(同27)年の建物記録では15坪の長屋が記録されていることから、さらに大きい可能性がある。
 
 遺構内からは「鍛冶炉」の下部構造と考えられる粘土塊や炭跡が見つかり、銑鉄を製品化する延べ鉄を作っていた可能性がある。周辺からは鍛冶用フイゴの羽口とみられる破片も見つかった。今後、土間などの間取り構造を調べていく予定。長屋跡の試掘ではこの他、斜面部に土留め用と推定される石垣も確認されており、付近に建物遺構が埋蔵されている可能性があるという。
 
長屋建物跡が確認された発掘現場。遺構内から鍛冶炉の痕跡(写真黄丸)が見つかった

長屋建物跡が確認された発掘現場。遺構内から鍛冶炉の痕跡(写真黄丸)が見つかった

 
長屋想定地の斜面部で見つかった石垣。土留め用に石を積んだものか?

長屋想定地の斜面部で見つかった石垣。土留め用に石を積んだものか?

 
 今回は補足調査として、一番高炉(南)から三番高炉(北)に続く水路跡、高炉場の入り口・大門跡などについても調査が行われた。地中に埋まっている水路の両側の石垣には、人が横断するために長い石が架けられているのが確認された。暗渠(あんきょ、カルバート)と呼ばれる構造で、渡された石の下を水が流れていたと推定される。水路内部では鉄鉱石や鉄さびで変色した土、石が見られたほか、鉄銭を作る際に溶かした鉄を鋳型に流すための鉄製しゃもじの一部も出土した。
 
写真下(南)~上(北)に石垣が連なる水路跡。高炉に風を送るフイゴを水車の力で動かすため、3基の高炉沿いに水を流していた

写真下(南)~上(北)に石垣が連なる水路跡。高炉に風を送るフイゴを水車の力で動かすため、3基の高炉沿いに水を流していた

 
写真左:水路幅は約1.2メートル(場所により増)。同右:発掘した水路内部。鉄分でさびた石などが見える

写真左:水路幅は約1.2メートル(場所により増)。同右:発掘した水路内部。鉄分でさびた石などが見える

 
暗渠構造の水路部分。横に渡した石の下を水が流れる(写真黄丸)

暗渠構造の水路部分。横に渡した石の下を水が流れる(写真黄丸)

 
 出土遺物は橋野鉄鉱山インフォメーションセンターで12月8日まで公開されている。鉄銭やヤスリ、フイゴの羽口片など製鉄に関する出土品のほか、作業員の暮らしに関わるものが見られる。墨つぼに筆を入れる筒がついた携帯用の文房具「矢立て」、硯(すずり)の破片は初出土。他に、今のノート代わりとなる石盤、きせる、紅皿、陶磁器の破片、ランプのかさ、ビール瓶など、江戸末期から昭和初期の生活用品が多数、出土している。
 
今回の発掘調査で見つかった出土遺物。左下は鉄製しゃもじの一部。右上はフイゴの羽口片

今回の発掘調査で見つかった出土遺物。左下は鉄製しゃもじの一部。右上はフイゴの羽口片

 
遺物は橋野鉄鉱山インフォメーションセンターで12月8日まで展示

遺物は橋野鉄鉱山インフォメーションセンターで12月8日まで展示

 
 現地説明会で調査成果を報告した市世界遺産課の髙橋岳主査は「絵巻とほぼ同じ位置に長屋建物があったことが確認できた。来年度以降の本格的な調査で建物内部の間取り、鍛冶炉の作業状況が分かるかもしれない」と期待する。
 
 説明会に参加した野田町の男性(75)は「毎回、新しく分かることがあって面白い。今回は高炉で作った鉄でお金も作っていたことを初めて知った。話を聞いたり遺物を見たりすると、当時の操業の様子に想像が膨らむ」と話した。