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出遅れ感 希少性で知名度アップなるか!? 釜石はまゆりサクラマス 地元飲食店、加工業者ら活用法模索

釜石はまゆりサクラマスの活用を探るワークショップ

釜石はまゆりサクラマスの活用を探るワークショップ

 
 釜石湾で養殖する「釜石はまゆりサクラマス」の事業化に伴い、釜石市はプロモーション活動に力を入れる。18日、地元の味として定着させようと、飲食店や水産加工業者対象のワークショップを「魚河岸テラス」で開催。料理人ら約10人が刺し身、焼き物などで味わいを確かめ、新メニュー開発にアイデアを出した。
 
 岩手県内の沿岸部では、サケやサンマの記録的な不漁を背景にサーモン類の養殖が各地で展開されるが、サクラマス生産に取り組むのは釜石だけ。その希少性を強みとして「ご当地グルメ」に育てていくのが狙いで、6月に実施した先行事例を学ぶセミナーに続く取り組みだ。
 
 アイデア出しの前に、釜石地域の地魚の良さを発信する魚食普及コーディネーターの清原拓磨さん(25)=市地域おこし協力隊員=が、サクラマスの味の特徴を紹介。生食に注目されがちな養殖魚だが、釜石産は脂がのっているのにさっぱりとしていて、塩焼きがおすすめだといい、生食以外の活用を提案。魚を数日間寝かせ、本来の味に加えうまみや食感を向上させる「熟成」についても解説し、「釜石を誇れる魚の一つ。海の環境に配慮した給餌方法など努力していて、味も秀でている。貴重な食材としてアピールできるので、いろんな食べ方で喜ばせてほしい」と期待を込めた。
 
味の特徴など清原さん(右)の話に耳を傾ける参加者

味の特徴など清原さん(右)の話に耳を傾ける参加者

 
 この日、水揚げされたサクラマスを刺し身、塩焼きやあぶり、ソテーなど焼き方を工夫しながら調理した後、試食。「ただ火を通すより、油でソテーする方がいい」「とれたては焼くと油分が出てこず食感がパサパサ。さっと焼き上げるのがいい」「養殖独特のにおいがする」などと声が上がった。
 
焼き方などを工夫しながら手分けして調理する参加者

焼き方などを工夫しながら手分けして調理する参加者

 
参加者は試食しながら味や調理法など情報交換した

参加者は試食しながら味や調理法など情報交換した

 
 市では秋ごろに市内飲食店でのサクラマスフェアの開催を計画中で、「自分の店だったらどんな料理、加工品を提供したいか」と案を求めた。参加者はマリネや天ぷら、ムニエル、カルパッチョなどを提案。「サクラマスをメインにするのは意外に難しい。癖が少なく、どう宣伝していくか…」と思考する声もあった。市内への流通量の確保や保存の在り方など先行きが不透明なことも多く、思い悩む人も。「他のサーモンに比べると、認知されておらず売り出しづらい」「食の多様性から養殖に取り組むのはいいが、釜石は出遅れた」と厳しい意見も聞かれた。
 
 市内ですし店を営む男性も「サクラマスは後発組」と辛口だが、活用のアイデアはあり、今後の動きを注目していくという。魚河岸テラス内で営業する「ヒカリ食堂」では漬け丼など2種のメニューを提供中で、料理長の阿部香さん(45)は「今後も使うことになると思うので、新たな献立を考えていかなければ」と思案。ワークショップで、ほかの事業者から「燻製(くんせい)がいい」と新発想を得て、「調理法を組み合わせれば面白そう」と腕をまくった。
 
フェア開催に向け売り出し方などについて意見を出し合う

フェア開催に向け売り出し方などについて意見を出し合う

 
 市では今回出た事業者らの声を踏まえ、フェアに向け統一ルールなどを設定する考え。新メニュー開発も進めるほか、イベント開催を通じて、ご当地グルメとしての知名度向上を図る。

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「かまいしの第九」ファイナルへ― メンバー高齢化などで実行委苦渋の決断 45年の歴史に幕

2023「かまいし第九の会」発会式=22日

2023「かまいし第九の会」発会式=22日

 
 釜石の音楽文化の象徴、師走のベートーベン第九演奏会が本年の公演をもって終了する。1978(昭和53)年の初演から45年―。東日本大震災、新型コロナウイルス禍などさまざまな困難に直面しながらも歴史を重ねてきた同演奏会だが、主催する「かまいし第九」実行委員会(川向修一会長)はメンバーの高齢化などで事業継続が困難と判断。今年の演奏会で幕を閉じることを決めた。12月17日の最終公演に向け、7月22日、合唱メンバーの練習が始まった。
 
 中妻公民館で行われた今年の発会式には市内外から33人が集まった。川向会長(71)は「主力としてやってきたメンバーが減っていく中、この大きな事業を支えるだけの“体力”を維持できなくなった。今後10年、20年と続けていける展望が開けず、実行委としては今回で一旦区切りをつけるという判断に至った。最後の演奏会をいい形で締めくくりたい」と理解を求めた。
 
集まった合唱参加者を前に実行委の川向修一会長(右下)が公演の終了について説明した

集まった合唱参加者を前に実行委の川向修一会長(右下)が公演の終了について説明した

 
 この日は長年、継続参加するメンバーのほか、数年ぶりに参加を決めたメンバーも顔をそろえた。自己紹介後、合唱練習を開始。親と子の合唱団ノイホフ・クワィアーの指揮者などを務める小澤一郎さん(46)の指導で、ベートーベン交響曲第9番の13コーラスの前半部と、第1部で歌う「明日を」の練習に取り組んだ。
 
7カ月ぶりに歌声を響かせるソプラノメンバー

7カ月ぶりに歌声を響かせるソプラノメンバー

 
合唱指導者から注意点を教わりながら練習に励む

合唱指導者から注意点を教わりながら練習に励む

 
 平田の猪又春香さん(26)は高校2年時以来10年ぶり2回目の参加。昨年の演奏会を聞き、「もう一度自分も」と望んでいた矢先の“最後”の知らせ。 残念さをにじませつつも「記念の年になると思うので、できるだけ練習に参加し、最後にふさわしい盛大な舞台になるよう精いっぱい頑張りたい」と意欲を見せた。
 
 大槌町の菊池征毅さん(81)は釜石の第九演奏会を立ち上げた発足メンバー6人のひとり。釜石の“合唱の父”渡邊顕麿さん(故人)の提案、指導で始まった第九演奏に深い思い入れを持つ。当時、渡邊さんは「20年、30年後の子どもたちに伝わるような活動をしなければ」と話していたという。その言葉を胸に継続へ力を尽くしてきた菊池さん。「40年を越すことができた。今の状況を見れば(渡邊)先生も許してくれるだろう…」。第九は自身のライフワークだった。最後の公演に向け、「自分にとっても総まとめという気持ちで臨みたい」と気を引き締める。
 
自己紹介で釜石の第九演奏会への思いを述べる発足メンバーの菊池征毅さん

自己紹介で釜石の第九演奏会への思いを述べる発足メンバーの菊池征毅さん

 
小澤一郎さん(左)の熱心な指導で約2時間の練習が行われた

小澤一郎さん(左)の熱心な指導で約2時間の練習が行われた

 
 指導にあたる小澤さんは練習初日の歌声に、「みんな歌い込んでいるだけあってパワーが伝わってきた。最後の公演へ気合いが感じられる」。昨年はコロナ感染拡大防止を考慮し、合唱出演者は県内在住者に制限したが、今年は県外からの参加も広く呼び掛ける。「昨年よりも多くの参加を得て、より感動的な演奏会にできれば。ぜひ大勢の方々に聞いてほしい」と期待を込める。
 
 演奏会は2部構成。1部では、震災関連ソング「明日を」、「群青」の2曲を合唱。2部でベートーベン交響曲第9番(1~4楽章)を演奏する。指揮は釜石出身で、東京で音楽活動を続ける瓦田尚さん(40)=ムジカ・プロムナード主宰=が、昨年に続き務める。釜石市民ホールTETTOで、午後1時半の開演を予定する。
 
コロナ禍を経て3年ぶりに開かれた昨年の演奏会

コロナ禍を経て3年ぶりに開かれた昨年の演奏会

 
12月17日の本番に向けて今年も合唱練習が続く

12月17日の本番に向けて今年も合唱練習が続く

 
 実行委では8月26日まで合唱メンバーを募集する。対象は第九を歌った経験があり、練習(毎週土曜日午後3時半~午後5時半)に参加できる人。問い合わせ、申し込みは実行委(電話090・6780・0434、FAX0193・23・8344、E-mail:kamaishinodaiku@yahoo.co.jp)へ。

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「かまいし軽トラ市」4年目のスタート 地域の農林水産物、菓子、花苗など多彩に販売

買い物客でにぎわう2023年度第1回かまいし軽トラ市=16日

買い物客でにぎわう2023年度第1回かまいし軽トラ市=16日

 
 地元の農林水産物や菓子、手工芸品などを生産者が直売する「かまいし軽トラ市」が16日、本年度の開催初日を迎えた。初出店の2業者を含む12店が出店。楽しみにしていた市民らが買い物を楽しんだ。4年目となる今季は11月まで月1回の開催を予定する。
 
 釜石市水産農林課が主催する同イベントは、地元生産者の販路拡大や農林水産業の担い手育成などを目指し2020年度にスタート。農作物の収穫時期に合わせ初夏から晩秋にかけて、市街地を中心に開催される。本年度は周辺飲食店などへの誘客にもつなげようと、開催時間を1時間延長し正午までにした。
 
 初回の市は大町の市民ホールTETTO前広場が会場。市内の産直や農園、水産加工業者などが自慢の品を持ち寄り販売した。収穫期を迎えたジャガイモやトマト、キュウリなど夏野菜、漬物、花苗、菓子、ワイン…。多彩な商品が並んだ。釜石・大槌地域農業振興協議会は“100円でピーマン詰め放題”の大盤振る舞い。 来場者は生産者との交流も楽しみながら、商品を買い求めた。
 
ピーマンの詰め放題は大人気! 100円で400円相当をゲット

ピーマンの詰め放題は大人気! 100円で400円相当をゲット

 
ラベンダーファームおざわ(唐丹町)は切り花や花苗を販売

ラベンダーファームおざわ(唐丹町)は切り花や花苗を販売

 
 中華菓子の代表格「月餅」を販売したのは、甲子町に「リリーズ美食工房」を構える中国出身の高莉莉さん(41)。コロナ禍で本国への帰省ができなかった時期に古里の味を求めて自作した月餅が周囲の反響を呼び、昨春から商品化。小豆から作る甘さ控えめのあんこなど4種の味を提供している。普段はSNSなどでの注文販売や小佐野町の自宅前での無人販売を行っており、軽トラ市への出店は今回が初めて。「興味を持ってくれる人が多く、反応も上々。お客さんとのやりとりも楽しい」と莉莉さん。将来、常設の販売店舗を持つのが夢だという。
 
無添加、手作りの月餅を販売したリリーズ美食工房の高莉莉さん(中央)

無添加、手作りの月餅を販売したリリーズ美食工房の高莉莉さん(中央)

 
 木工製品を並べた甲子町(中小川)の外川直樹さん(50)も初出店。自営の製材所で余った端材を生かし製作した縁台などのほか、さまざまな用途に使える角材や板材を販売した。ヒノキ、ケヤキの木材は釜石をはじめとする県内産。これまで木工品は知人に頼まれて製作する程度だったが、「需要があれば」と今回初めて公の場で製品を紹介。立ち寄った客からは「まな板はできる?」など、製作可能なものについて質問が寄せられた。「注文があれば、できるだけこなしたい」と受注生産に意欲を見せる外川さん。次回以降の軽トラ市にも出店予定で、地場産木材の良さも広めたい考え。
 
 「Sal(外川製材所の英語表記の頭文字)」の出店名で木工品を並べた外川直樹さん(左)。角材、板材も安く提供

「Sal(外川製材所の英語表記の頭文字)」の出店名で木工品を並べた外川直樹さん(左)。角材、板材も安く提供

 
「スタンプラリーもどうぞ」来場者にプレゼント企画を紹介

「スタンプラリーもどうぞ」来場者にプレゼント企画を紹介

 
 会場では、3店舗で買い物をすると地元産野菜がもらえる恒例のスタンプラリーも実施。今回は先着150人に釜石産菌床シイタケがプレゼントされた。綿あめの無料配布もあり、子どもたちを喜ばせた。
 
 毎回足を運ぶという甲子町(上小川)の男性(71)は「物価高もあり、野菜などを安く買えるのが一番の魅力。月2回とか回数を増やしてほしい。会場内でスイーツや飲み物を試食できる場があれば、売り上げ増にもつながるのではないか。出店者を増やし、他地域にも情報発信すればもっと客が集まると思う」と話した。
 
 昨年度の軽トラ市は5回の開催に1969人が来場(平均393人)。1回の出店者数は平均11団体だった。次回は8月20日午前9時から正午まで、鵜住居町・うのすまいトモスの広場(三陸鉄道鵜住居駅前)で開かれる(トモスdeマルシェと同時開催)。

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「楽しい!冷たーい」砂浜に響く歓声 釜石・根浜海岸 海水浴場、開設中

海開きした根浜海岸海水浴場。多くの人でにぎわう=17日

海開きした根浜海岸海水浴場。多くの人でにぎわう=17日

 
 「海の日」の17日、釜石市内は最高気温が30度を超え、海開きしたばかりの根浜海岸海水浴場(鵜住居町)は多くの家族連れや若者らでにぎわった。「しょっぱーい」「冷たくても気持ちいいー」。新型コロナウイルスが5類に移行し、行動制限がなくなった浜辺に笑い声が響いた。
  
 3連休初日の15日に海開き。初日は朝から雨が降り続け、海遊びイベントが催されたものの、人影はまばらだった。中日の16日も雨がぱらつく空模様だったが、地引き網体験があり、参加した子どもたちは多様な生物に歓声。地元団体らによるシュノーケリングやSUP(サップ=スタンドアップパドルボード)、水上バイク乗車体験といった遊びのプログラムも行われた。
 
地引き網体験でエイ、ゲット。「イエーイ」=16日

地引き網体験でエイ、ゲット。「イエーイ」=16日

 
 地引き網体験では力を合わせてロープを引き寄せると、アジやイワシ、サバ、エイ、カニ、ヤドカリなどがかかり、子どもたちは大はしゃぎ。生き物が大好きな松本航汰君(白山小1年)は「いろんな魚が見れて楽しい」とじっくり観察したりした。
 
 障害のある子どもや家族に、気軽に自然との触れ合いを楽しんでもらおうと、「バリアフリーお茶っこスペース」もお目見えした。本年度発足したばかりの市民団体「バリアフリーでつくる釜石自然遊びの会」(佐々木江利代表)が初企画し、16日のみ開設。家族連れらがお茶を飲みながらゆったりと過ごしたり、水遊びスポットなどを楽しんだ。
 
イベント会場に設けられた「バリアフリーお茶っこスペース」=16日

イベント会場に設けられた「バリアフリーお茶っこスペース」=16日

  
 3連休最終日の17日は青空が雲の間から顔を出し、海水浴日和に。砂浜は日よけのテントやパラソルが並び、カラフルに色づいた。子どもたちは浮輪や水中メガネなどを持って海に駆け出し、水しぶきを上げて歓声。泳いだり水をかけ合ったり、砂浜に穴を掘って遊んだ。
 
泳いだり、浮いたり。水遊びを楽しむ子どもたち=17日

泳いだり、浮いたり。水遊びを楽しむ子どもたち=17日

 
砂を盛ったり、穴を掘ったり。砂まみれで何つくる?=17日

砂を盛ったり、穴を掘ったり。砂まみれで何つくる?=17日

 
 家族で訪れた甲子町の髙橋果穂ちゃん(4)は「(浮輪で)ぷかぷかするのが楽しかった。もっと海に入りたい」と目を輝かせた。妹の真菜ちゃん(2)も「うみってたのしい!」と満喫。父成明さん、母亜衣さん(ともに32)は「海水は冷たかったけど、近場に海があるのはいい。また来ようね」と子どもたちを優しいまなざしで見つめた。
  
浮輪でぷかぷかする子も、砂遊びする子も共通なのは笑顔=17日

浮輪でぷかぷかする子も、砂遊びする子も共通なのは笑顔=17日

 
 海水浴場は8月13日までの期間、午前10時~午後4時に利用できる。期間中は監視員やライフセーバーが常駐。釜石ライフセービングクラブの金野有紗さん(38)は「遊泳エリア内で泳いでください。保護者は子どもから目を離さないようお願いします。監視員の指示に従い、ルールを守って楽しく遊んでほしい」と呼びかける。

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さわやかな香り、かれんな花に市民ら感激! 釜石橋野・満開のラベンダー畑で観賞イベント

満開の花が来場者を迎えた「橋野鉄鉱山フラワーガーデン」内のラベンダー畑=17日

満開の花が来場者を迎えた「橋野鉄鉱山フラワーガーデン」内のラベンダー畑=17日

 
 釜石市橋野町青ノ木の「橋野鉄鉱山フラワーガーデン」内のラベンダー畑で15日から3日間、花の観賞と刈り取りを楽しむ会が開かれた。最終日の17日はラベンダースティックやリースの製作体験も行われ、訪れた人たちがさわやかな香りに包まれながら心地よい時間を過ごした。
 
 橋野町振興協議会(菊池郁夫会長)が整備、管理する同畑には、約500株のグロッソラベンダーが育つ。7月に入って咲き始めた花はイベント期間中に満開を迎えた。15、16日はあいにくの雨模様となったが、17日は天候が回復。午前中から家族連れや友人グループなどが次々に訪れた。来場者は一束300円の刈り取り体験を楽しみ、持ち帰った。期間中はラベンダー苗の販売もあり、育て方もレクチャーした。
 
スーッとするいい香りに包まれながら花の刈り取りを楽しむ

スーッとするいい香りに包まれながら花の刈り取りを楽しむ

 
株分けして育てた苗も販売。橋野町振興協議会のスタッフ(右)が育て方をアドバイス

株分けして育てた苗も販売。橋野町振興協議会のスタッフ(右)が育て方をアドバイス

 
 17日午前には、栗橋公民館(二本松由美子館長)が主催するラベンダーを使った小物作りも行われた。地元橋野町の菊池まり子さん、菊池美江子さんが講師。2人は、ラベンダーの香りを長く楽しむための装飾グッズを作り、地元の産直・橋野どんぐり広場でも販売している。参加者はリボンと編み込む「ラベンダースティック」、同じドライフラワー素材として人気のアナベル(アメリカ原産アジサイ)やニゲラの実などと組み合わせたリース作りを楽しんだ。
 
 友人に誘われ、初めて足を運んだ唐丹町の山田美智子さん(68)は「きれいですね。いい匂いに癒やされる」と心身ともにリラックス。リース作りも楽しみ、「出来栄えにも大満足」と笑みを広げた。刈った花はドライフラワーにして楽しむという。
 
ラベンダーとさまざまな植物を組み合わせてオリジナルのリース作り

ラベンダーとさまざまな植物を組み合わせてオリジナルのリース作り

 
 講師の菊池まり子さんは「多くの方に来ていただきうれしい。体験コーナーも好評で、皆さん、喜んでくれた」と感謝。橋野鉄鉱山は世界遺産登録から8年―。周辺は春から夏にかけてサクラやフジ、ツツジ、ラベンダーと季節の花々を楽しめるスポットにもなっている。「史跡見学とともに橋野の自然、おいしい空気を満喫して帰ってもらえたら」と菊池さん。
 
 同振興協はラベンダーの香りを生かした加工品販売などを目的に2003年から栽培を開始。畑は当初、現橋野鉄鉱山インフォメーションセンター駐車場の場所にあったが、世界遺産登録に伴う周辺整備のため一時撤去。15年、一般財団法人セブン―イレブン記念財団(東京都)の助成を受け、現在地に再整備した。20年には市の補助金を活用し、ラベンダー畑を含む一帯約2300平方メートルをフラワーガーデンとして整備している。
 
 ラベンダーは今年、株分けなどで増やした苗と新たに購入した苗約100本を新たに植栽する予定。来年は面積を拡大した畑が見られそうだ。
 
ラベンダー畑には今後、新たに苗を植える予定。来年以降、さらに多くの花が見られそう

ラベンダー畑には今後、新たに苗を植える予定。来年以降、さらに多くの花が見られそう

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広報かまいし2023年7月15日号(No.1812)

広報かまいし2023年7月15日号(No.1812)
 

広報かまいし2023年7月15日号(No.1812)

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【P1】
表紙

【P2】
イベント案内

【P3-7】
特集 未来への羅針盤

【P8-9】
就職合同説明会 釜石U-30仕事発見LIVE
電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援給付金 他

【P10-11】
国民健康保険制度の改正
健康診査・肺がん検診のお知らせ

【P12-13】
まちの話題

【P14-15】
市民のひろば
釜石市職員採用試験 他

【P16-17】
まちのお知らせ

【P18-19】
保健案内板
保健だより

【P20】
イベント案内

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 広聴広報課 広聴広報係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8419 / Fax 0193-22-2686 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2023071400065/
釜石市

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釜石市公式サイトと連携し、縁とらんすがピックアップした記事を掲載しています。記事の内容に関するお問い合わせは、各記事の担当窓口までお問い合わせください。
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釜石・鵜住居アスレチック公園に時計塔 施工のカネナカが寄贈「一緒に時を刻もう」

鵜住居アスレチック公園に設置されたボール型のソーラー時計

鵜住居アスレチック公園に設置されたボール型のソーラー時計

  
 釜石市鵜住居町の鵜住居アスレチック公園に6日、時計塔が設置された。甲子町の建設業カネナカ(郷内裕社長)の創立50周年を記念した事業の一環で、市に寄贈した。設置工事はすでに終えており、地域住民らへのお披露目を兼ねた贈呈式が現地で開かれた。遊具や築山などが整備された公園は地区の子どものほか、休日には市外からも親子連れらが訪れる、にぎわいスポット。時計の設置を望む声が寄せられていたといい、遊んでいた子たちは「時間が分かっていい」と歓迎した。
  
高さのある時計で少し離れた場所からも時刻を確認できる

高さのある時計で少し離れた場所からも時刻を確認できる

   
 離れた場所からも見やすいようポール型の時計を採用した。直径70センチのソーラー式電波時計で、高さは約5メートル。潮風の影響を受けるため、腐食に強いステンレス製にしたという。
   
 市民体育館やスタジアムなどがそばにある同公園は、市が東日本大震災の被災地区で進めた土地区画整理事業で整備。鵜住居川沿いの約1.3ヘクタールの土地を活用し、アスレチック要素の高い遊びを組み合わせた木製の複合遊具、あずまや、トイレ棟、駐車場などが設けられた。2021年4月に供用を開始。市内外から多くの人が訪れる公園となり、利用者から時計設置の要望が上がっていたという。
   
 この公園の整備を担った同社は22年2月に50周年を迎え、記念となる事業を思案。「まちに貢献できることを」と市に伝えたところ、要望について話があり、「地域コミュニティーの中核である公園に役立つことなら」と時計の寄贈を決めた。
  
時計の贈呈式に出席したカネナカ、市の関係者ら

時計の贈呈式に出席したカネナカ、市の関係者ら

   
 贈呈式には同社や市関係者、地域住民ら約20人が出席。野田武則市長が「震災から12年が経過し、鵜住居地区も大きく変貌した。子育て世代でにぎわい、地域の皆さんが見守っている公園をより多くの方に利用してもらいたい」と述べ、郷内社長に感謝状を贈った。
  
 郷内社長は「1972年の創業以来、多くの支えをいただきながら市の発展や震災復興に携わってきた。これからも地域に根付いた活動を行い、施工したこの公園と一緒に時を刻んでいきたい」と気持ちを新たにした。
   
木製遊具や築山があり、伸び伸びと遊びを楽しめる

木製遊具や築山があり、伸び伸びと遊びを楽しめる

  
滑り台、うんていなどが一体となった複合型の遊具が人気

滑り台、うんていなどが一体となった複合型の遊具が人気

   
 式を終えた公園に駆け込んできたのは宮古市の伊藤翠桜(みお)ちゃん(5)、愛桜(まお)ちゃん(2)姉妹。初めて訪れたといい、滑り台や滑車のついたロープにつかまって遊ぶ「ターザンロープ」などに大はしゃぎだった。母清香(さやか)さん(36)は時計の設置を知り、「いいですね」と目を細めた。
   
 放課後の児童もやって来て、あずまやで休んだり、築山で虫探ししたり。時計があることで、「まだ遊べる」「もう帰らないと」などと時間を確認しながら、思い思いに過ごしていた。
   
「あ、バッタ」。手入れされた築山で虫探しを楽しむ子の姿も

「あ、バッタ」。手入れされた築山で虫探しを楽しむ子の姿も

   
 鵜住居地域会議の古川幹敏議長は「この公園がオープンした時、震災で遊び場を失った子どもや親たちの喜ぶ顔を再び見ることができた。設置された時計はどこからも目に付く。大事に使いたい」と感謝。同公園を含め、市内の公園は愛護会など関係者や委託を受けた業者が定期的に草刈りなど整備を行っていて、引き続き、協力しながら楽しく遊べる環境を守っていく考えだ。
 

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「戦争は絶対ダメ」釜石艦砲体験者の言葉重く 惨禍を歌い継ぐメンバー 思い受け止め献唱へ

艦砲射撃の体験を語った佐々木郁子さん(左下)と「翳った太陽」を歌う会のメンバー

艦砲射撃の体験を語った佐々木郁子さん(左下)と「翳った太陽」を歌う会のメンバー

 
 今日7月14日は、太平洋戦争末期の1945年、釜石市が米艦隊による本州初の艦砲射撃を受けた日。同年8月9日には米英両艦隊による砲撃も受け、2度の攻撃で多くの尊い命が失われた-。この惨禍を伝える女声合唱組曲「翳(かげ)った太陽」を歌う会(種市誓子会長、11人)は今月8日、艦砲体験者の話を聞く場を設けた。戦争の恐ろしさ、平和への願いを再認識したメンバーは、8月9日に行われる市戦没者追悼式で同曲の献唱を予定する。
 
 艦砲射撃の実体験を語ったのは甲子町在住の元看護師、佐々木郁子さん(93)。佐々木さんは看護師見習として15歳で入った釜石製鉄所病院で戦禍に見舞われた。1回目の7月14日は午前5時ごろから警戒警報が発令されていた。当時、鈴子にあった病院に出勤した佐々木さんは入院患者を敷地内の防空壕(ごう)に避難させ、外来患者の診療にあたっていた。
 
 正午間近、敵機襲来の一報で防空壕に駆け込んだ。「ビューン!ガーン!ドーン!」。正午過ぎに始まった海上からの砲撃は約2時間も続いた。佐々木さんは恐怖に震えながら友と励まし合い、じっと耐えた。壕を出ると、鈴子一帯は無残な廃墟と化していた。散乱する死体も目にした。「皆さん、想像できますか―?」。問いかける佐々木さん。
 
釜石製鉄所病院勤務時に受けた2度の艦砲射撃について語る佐々木郁子さん。当時15歳

釜石製鉄所病院勤務時に受けた2度の艦砲射撃について語る佐々木郁子さん。当時15歳

 
 その後、現在の八雲町・大天場運動広場(旧釜石第二中跡地)の場所にあった高等女学校に病院機能が移され、砲弾の破片で負傷した多くの人が運び込まれた。佐々木さんは夜の巡回で、暗闇の中「苦しい」「助けて」と泣き叫ぶ負傷者にどうすることもできなかったつらさ、悔しさを吐露。当時の光景は、今も鮮明に目に浮かぶという。
 
 7月14日、8月9日の2回の砲撃で市内に打ち込まれた砲弾は5300発以上。1回目は製鉄所を中心に鈴子、只越、松原、嬉石地区、2回目は社宅のあった中妻、小佐野、小川地区にまで被害が及んだ。犠牲者は合わせて782人(2023年度釜石市調べ)に上る。
 
合唱メンバーや関係家族など18人が佐々木さんの話に聞き入った

合唱メンバーや関係家族など18人が佐々木さんの話に聞き入った

 
艦砲射撃の実態をメモを取りながら学ぶメンバー

艦砲射撃の実態をメモを取りながら学ぶメンバー

 
 「戦争の記憶は決して消えることはない。今でも思い出すと胸が苦しくなる」と佐々木さん。「戦争は人災。皆さんの力によって防ぐことができる。日本が永遠の平和国家であることを切に願う―」。猛勉強を重ね終戦後、18歳で看護師資格を取得。23歳で助産師の資格も得た。約40年、医療現場に身を置いた佐々木さんは命の大切さを一層強く感じ、ロシアによるウクライナ侵攻で多くの命が奪われる理不尽な現状に心を痛めている。
 
講話後、最知節子さん(左)の指揮で「翳った太陽」を合唱

講話後、最知節子さん(左)の指揮で「翳った太陽」を合唱

 
 佐々木さんの話を聞いた後、会のメンバーは練習を重ねる「翳った太陽」を歌った。同曲は、艦砲射撃で教え子を亡くした元小学校教師の石橋巌さん(2006年他界)が記した絵手紙などを基に作られた。全6曲17分の組曲で、市内のピアノ講師最知節子さんが作曲した。最知さんの指導で05年から曲を歌い継ぐ会は、戦没者追悼式での献唱のほか、学校訪問コンサートなどで艦砲戦災を伝える活動を続けてきた。現在、合唱メンバーは9~87歳の11人。
 
佐々木さんの話を聞き、情景を頭に描きながら歌うメンバー

佐々木さんの話を聞き、情景を頭に描きながら歌うメンバー

 
次世代の継承を担う小中学生も歌に思いを込める

次世代の継承を担う小中学生も歌に思いを込める

 
 小学5年から活動に参加する髙橋杏奈さん(釜石中1年)は、今回初めて艦砲体験者の話をじかに聞いた。「教わった戦争の恐ろしさ、平和の大切さをもっと伝えられるように心を込めて歌っていきたい」。ニュースで見聞きするウクライナの惨状も心配し、「艦砲射撃みたいなことが現実に起こっている。何とか早く収まってほしい」と願った。
 
 杏奈さんの母登紀子さん(49)は昨年9月から会に参加。「歌詞の内容と今日聞いた話がすごく重なる部分が多い」と話し、歌で伝える使命の重みを実感する。戦争のない世界の実現も強く願い、「とにかく一人一人があきらめずに(反戦の)声を上げることが必要だと思う」。初めて歌う追悼式では「今ある平和への感謝も込めて歌いたい。この曲が少しでも反戦の気運を高めることにもつながれば」と話した。
 
体験を話してくれた佐々木さんに感謝の気持ちを伝える小中学生

体験を話してくれた佐々木さんに感謝の気持ちを伝える小中学生

 
佐々木さんは子どもたちに平和への願いを託した

佐々木さんは子どもたちに平和への願いを託した

 
 会のメンバーはほとんどが戦争を体験していない世代。体験者の話を聞くことで曲への理解を深めようと、同様の機会をこれまでにも6回設けてきた。戦後78年―。体験者は今後も減少していく。会の活動は来年で20年目を迎える。種市会長は「メンバーの高齢化が進む。ぜひ、若い世代にも入ってもらい、この曲を長く歌い継いでいきたい」と思いを込めた。

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釜石・鵜住居川でアユ釣り解禁 市内外の愛好家 1年ぶりの感触楽しむ

アユ釣りが解禁された鵜住居川で今季初釣りを楽しむ客=鵜住居町田郷

アユ釣りが解禁された鵜住居川で今季初釣りを楽しむ客=鵜住居町田郷

 
 7月に入り、県内の各河川では順次、アユ釣りが解禁されている。釜石市の鵜住居川は9日、解禁日を迎え、市内外から訪れた多くの釣り人らでにぎわった。解禁日としては大きめの体長20~23センチほどの“型のいい”アユが釣れるなど、まずまずの出だし。午前10時ごろには15~20匹を釣り上げた人も複数見られた。
 
 鵜住居川漁業協同組合(川崎公夫代表理事組合長、組合員150人)の組合員や遊漁券を購入して足を運んだ一般客らが、解禁時刻の午前5時前から各ポイントで待機。時間が来ると一斉に竿(さお)を繰り出した。ほとんどがアユの縄張り特性を利用した「友釣り」で、狙った場所でおとりアユを泳がせ、野アユが掛かるのを待った。
 
鵜住居川で釣りをする際は遊漁券か組合員証を見える所に携帯(写真左)

鵜住居川で釣りをする際は遊漁券か組合員証を見える所に携帯(写真左)

 
アユ釣り解禁日の鵜住居川=9日午前6時過ぎ、砂子畑橋上流

アユ釣り解禁日の鵜住居川=9日午前6時過ぎ、砂子畑橋上流

 
朝方は曇り空。天候回復に期待しながらあたりを待つ=板割バス停付近

朝方は曇り空。天候回復に期待しながらあたりを待つ=板割バス停付近

 
 同河川には5月7日に、組合によってアユの稚魚約400キロが放流されている。放流費用は加入者の組合費、一般釣り客の遊漁料、地域会議などの協賛金で賄われている。今年も鵜住居町の日ノ神橋下流から橋野町の産直・どんぐり広場付近までの各ポイントで放流した。組合では解禁日前には釣り人が入る場所の草刈りも行い、環境整備にも努めた。
 
 花巻市の阿部晃一さん(65)は仲間4人と前日から泊まり込み、解禁に備えた。砂子畑橋上流で竿を構え、開始から約1時間半―。「例年だと30匹前後は掛かるが、まだ全然。水温は15.5度。ちょっと低めだが、掛からない水温でもない」と首をかしげ、「これから気温、水温が上がってどうなるかだけど…。だめなら場所移動も」と様子見の構え。
 
 釜石市源太沢町の千葉剛史さん(24)は、今年初めてアユ釣りに挑戦。同釣り歴40年の父親の手ほどきを受けながら、道々橋上流で釣り糸を垂れた。最初は苦戦していたが、午前9時前までに4匹を釣り上げた。「難しいが、釣れた時の感触が何とも言えず面白い。海釣りとは全く違う」と魅了された様子。この日は、いとこや父の釣り仲間らと7人で訪れた。組合にも加入したといい、「長く続けてみたい」と期待を膨らませた。
 
アユ釣り初挑戦の千葉さん(右下)。ベテランの父(左)から教わりながら腕を磨く

アユ釣り初挑戦の千葉さん(右下)。ベテランの父(左)から教わりながら腕を磨く

 
 「始めてすぐにパッと掛かった」。23センチほどの大物を見せてくれたのは同市甲子町の男性(71)。養護老人ホーム「五葉寮」上流域での釣果だが、「後がなかなか続かない」と苦笑い。それでも午前7時ごろまでに7匹をゲットした。釣ったアユは専ら孫の口に…。男性が釣る市内3河川のアユを食べ比べ、味の違いも分かるという孫。「アユを食べさせるとご飯もいっぱい食べる」と、喜ぶ姿を目に浮かべた。
 
解禁日としては大物のアユに満面の笑顔!

解禁日としては大物のアユに満面の笑顔!

 
 同市甲子町の植田陽子さん(43)は、シーズン初日を鵜住居川で迎えるのが長年の恒例。「先週は水量もいい感じだったが、今日は少なめ。朝6時前に1匹掛かったが、それっきり」と午前9時過ぎ、家族と小休憩。父親の影響で高校生の頃からアユ釣りの面白さにはまり、同河川には毎年4~5回は足を運ぶ。「いい時は1日で20匹ぐらい釣る」。アユ釣りは家族の絆を深める大切な時間にも。この日は母と夫、仙台市から駆け付けた兄とともに、思い出話に花を咲かせながら楽しんだ。
 
この日最初のヒットを喜ぶ植田さん=9日午前5時53分ごろ

この日最初のヒットを喜ぶ植田さん=9日午前5時53分ごろ

 
 この日の鵜住居川は日の出から3時間ほどは曇り空が続いたが、その後、夏の日差しが照りつけ気温がぐんぐん上昇。水温も上がり始めるとアユの動きも活発になったようで、組合の巡回監視員は「午前10時過ぎには1人で30匹ぐらい釣り上げている人もいた。全般的に型の良いアユがそろっているようだ」と話した。
 
 鵜住居川漁協の藤原信孝事務局長は「高速道路ができて以降、県内陸部からの釣り客が増えている。稚魚の放流など組合事業の存続には、一般釣り客の遊漁料収入も大きな要素。来ていただくのは大歓迎。お互いにルールとマナーを守って、楽しい釣りを」と呼び掛ける。遊漁券や種アユは釣具店のほか、流域の赤いのぼり旗を掲げた販売所で購入できる。
 
解禁日朝に各所を回り、情報収集する藤原事務局長(右)

解禁日朝に各所を回り、情報収集する藤原事務局長(右)

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まもなく夏 視覚で楽しむ・涼 釜石で探してみたら…キーワードは「青」!?

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「青い本」がずらりと並んで涼しげな釜石市立図書館

  
 暦の上では夏だが、釜石市はまだ梅雨の時期。日差しはあるものの曇り空の日が多く、雨は少ないが、じめ~とした暑さを感じる日が続いている。そんな中、市立図書館(小佐野町)で開催中の図書展「青い本」は、装丁が青色の本がずらりと並んで視覚的に爽やかな印象。近くの小佐野コミュニティ会館でも風に揺れる色鮮やかな七夕飾りが涼しげだ。鵜住居公民館(鵜住居町)では流しそうめんを楽しみながら暑気払い。夏本番を前に、市内各地で「涼」を感じる風景を探してみた。
  
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「青い本、こんなにあったのか」と図書館職員も驚く600冊

   
 「青だらけ!よくぞ集めた」と圧倒される風景が広がっているのが、市立図書館の1階展示ホール。装丁や背表紙が青い本600冊を濃紺、青、水色などグラデーションの美しさも楽しめるように展示している。絵本や小説、図鑑、写真集、専門書などジャンルはさまざま。海や空など「あお」をすぐに連想できる内容のものもあれば、税金やスイーツなど他の色が思い浮かぶような冊子も。おばけ、怪談といった、それだけで薄ら寒さを感じさせる本も並んでいる。
   
 来館者に涼しげな雰囲気を感じてもらい、読書に集中してもらおうと職員が発案。川畑広恵館長は「図書館の海を泳ぎながら、新たな本との出合い、発見を楽しんでほしい」と期待する。16日まで。
  
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小佐野コミュニティ会館を彩る七夕飾りと笹飾り

   
 小佐野コミュニティ会館の入り口前を彩るのは市民が手作りした約20本の七夕飾り。笹飾り2本も設置され、短冊には「バスケの選手になれますように」「世界中の人が幸せになりますように」など夢や希望がつづられている。三浦慎輔所長は「バタバタと慌ただしい毎日だが、ふと立ち止まって季節を感じてもらえたら。クスッとするような子どもたちの願いにも癒やされますよ」とにっこり。来訪者が願い事を書き込めるよう短冊を用意しており、8月のお盆明けまで楽しむことができる。
   
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鵜住居公民館・男の手料理教室は流しそうめんで暑気払い

   
 流しそうめんを楽しんだのは、鵜住居公民館で月に1回開かれる「男の手料理教室」の参加者6人と同館の職員たち。市内から切り出した、青々とした竹の樋(とい)を流れる麺に箸を伸ばし、ひんやりとした味わいを堪能した。竹を提供した地元の八幡一義さん(80)は「道具も麺も自分たちで作って、みんなで一緒に味わう…いいもんだ。ワイワイ騒いで楽しい」と目尻を下げた。
  
 本格的な夏が来る前に「涼」を感じて、暑さを乗り切ろうとの心がけ。涼しげな雰囲気だったが時々、つかみにくいミニトマトやゼリーが流れてくると、「逃すまい」と奮闘する参加者の熱気に包まれたりもした。
  
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流れてくるミニトマトをキャッチ!笑顔が広がった

  
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釜石市内では涼しげな青色のアジサイがあちこちで咲き誇る

  
 涼を探して出歩くと、気付かなかった風景に出合う。「青」に着目すると、目についたのはアジサイ。青や薄紫、白など大輪が市内のあちこちで涼しげに咲いている。甲子川の堤防沿い、住宅の庭先…目線を変えて出合った清涼感にクールダウン。そんな景色を求める日々はまだ続きそうだ。

 

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4年ぶりにぎやかに「ほたるの里まつり」 釜石・中小川で地元住民ら芸能楽しむ

第8回ほたるの里まつり=中小川、2日

第8回ほたるの里まつり=中小川、2日

 
 釜石市内有数のゲンジボタルの生息地・小川川で今年もホタルの発光が見られている。同所の豊かな自然環境を次世代につないでいこうと開かれている「ほたるの里まつり」が2日、コロナ禍を経て4年ぶりに開催された。地元の芸能団体などが出演し、にぎやかに住民交流を繰り広げ、古里の宝を守り育てることへ気持ちを新たにした。
 
 同まつりは小佐野地域会議(黒田至議長)のほたるの里推進事業として、流域の4町内会などで組織する実行委が続けてきた。これまで「ほたる娘コンテスト」や地元小学生の「ホタルに関する作文コンクール」の入賞者表彰・朗読などを企画。芸能披露とともに住民らを楽しませてきた。
 
 新型コロナウイルス感染症の影響でここ3年は中止。今回は2019年以来、通算8回目の開催となった。中小川集会所前の空き地に組んだステージには、同地域会議が昨年作った「ほたるの里」のPR用大型幕を設置。住民への初お披露目となった。黒田議長は「ホタルはきれいな水辺でないと生きていけない。この清流をみんなで守っていってほしい」とあいさつ。地元舞踊団体・佐々木社中の5人と市内在住の歌手・尾崎都さんが歌と踊りのステージで盛り上げた。
 
歌で楽しませた尾崎都さん(左)と踊りで魅了した佐々木社中の尚玉泉さん(右)

歌で楽しませた尾崎都さん(左)と踊りで魅了した佐々木社中の尚玉泉さん(右)

 
歌や踊りのステージに拍手を送る観客。

歌や踊りのステージに拍手を送る観客。

 
 甲子郷小川しし踊り保存会(佐々木義一会長、50人)は伝統の舞を披露。子どもから大人まで約40人のメンバーが久しぶりの地元イベントで躍動した。佐々木会長(59)は「勇壮な踊りを見たいという地域住民の声にも応えられた。地元での踊り披露は会にとってもうれしいこと」と笑顔。少子化で次世代への継承が課題となっているが、「小佐野小でも伝承活動に取り組んでいる。興味を持った子が一人でも多く保存会に入ってくれれば」と願った。
 
「甲子郷小川しし踊り保存会」の演舞。子どもたちも一生懸命踊った

「甲子郷小川しし踊り保存会」の演舞。子どもたちも一生懸命踊った

 
小川しし踊りは明治15年ごろ、遠野・上郷に踊りの習得に行った地域の若者が持ち帰り、住民一丸の練習で郷土芸能として発展してきた

小川しし踊りは明治15年ごろ、遠野・上郷に踊りの習得に行った地域の若者が持ち帰り、住民一丸の練習で郷土芸能として発展してきた

 
小踊りの女性陣も軽やかに舞う

小踊りの女性陣も軽やかに舞う

 
 最後は恒例の餅まき。集まった観客約100人が手を伸ばし、コロナ前のまつり風景が広がった。岩間奈月さん(34)は震災後、同所に建てられた仮設住宅に暮らし、今は地区内に再建した自宅に家族と暮らす。「ここに足を運ぶのはしばらくぶり。以前、めいがほたる娘に参加していたので思い出深い。今回も知り合いがしし踊りに出ている」と楽しい時間を満喫。「子どもも大きくなってきたので、まだ見たことがないホタルも見てみたい」と声を弾ませた。
 
まつりの締めは餅まき!祝いムードも4年ぶり

まつりの締めは餅まき!祝いムードも4年ぶり

 
 中小川町内会の佐々木正雪会長(73)は「多くの方に来ていただき、ありがたい。今年は町内会の総会後、お花見会もやった。各種行事も徐々にコロナ前の形に戻していきたい」と話す。今月15、16日には地元の千晩神社の例大祭も予定される。
 
 佐々木会長によると、小川川では6月中旬ごろからホタルの発光が見られており、間もなく終盤を迎える。同町内会では震災後の環境変化で減ってしまったゲンジボタルを増やそうと、昨年から幼虫の餌となるカワニナの放流も開始。今年は800匹を放流している。

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津波に襲われた海辺で植物観察 釜石・唐丹町片岸 市民ら震災後の環境変化を学ぶ

唐丹町片岸の海岸で行われた植物観察会=1日

唐丹町片岸の海岸で行われた植物観察会=1日

 
 東日本大震災の津波被害を受けた釜石市唐丹町片岸の海岸で1日、砂浜や周辺に生える植物の状況を調べる観察会が開かれた。震災後の復興工事で高さ14.5メートルの防潮堤が整備された一帯。砂浜では震災後に発芽したアカマツの幼木や震災前から自生するハマヒルガオなどが見られた一方、土壌環境の変化で繁殖が進んだとみられる外来種の植物が複数見つかった。
 
 観察会は長年、地元の植物の観察・研究を続ける釜石植物の会会長の鈴木弘文さん(78)が開き、市内外から7人が参加した。鈴木さんの案内で、津波による流出を免れた砂浜と、防潮堤工事で重機が入った堤体付近の草地を回り、震災から12年が経過した現在の植物の生育状況を確認した。
 
 砂浜では海浜植物の代表格、ハマヒルガオが見られた。震災前ほどの群生には至っていないものの、薄桃色のラッパ形状の花が咲いているのが確認され、花が終わって結実した種入りの実も見つかった。同様に海岸の砂地に生え、横に長く根を伸ばすコウボウシバも。三陸の海岸部に多いアカマツは、震災後に落ちた種から発芽したとみられる低木が点在していた。
 
右:花を咲かせたハマヒルガオ、左上段:ハマヒルガオの実、同下段:実の中の種

右:花を咲かせたハマヒルガオ、左上段:ハマヒルガオの実、同下段:実の中の種

 
左:アカマツの幼木、右:コウボウシバ

左:アカマツの幼木、右:コウボウシバ

 
 女性たちが歓声を上げたのは花をつけた植物。小さな花が螺旋(らせん)状に並んで咲くネジバナ(別名モジズリ)はラン科の多年草。海岸で見られるのは珍しいといい、「かわいいね」「きれいだね」と注目を集めた。また、愛らしい花をつける一方で茎に鋭いとげがあるママコノシリヌグイ(タデ科)は、名前の由来が参加者を驚かせた。このほか、イヌシデ(カバノキ科)やエニシダ(マメ科)などの樹木も確認された。
 
左:マメグンバイナズナ、右:らせん状に花が並ぶネジバナ(モジズリ)

左:マメグンバイナズナ、右:らせん状に花が並ぶネジバナ(モジズリ)

 
サヤエンドウのような実(左下)をつけたマメ科の植物に興味津々

サヤエンドウのような実(左下)をつけたマメ科の植物に興味津々

 
 同所の環境について、鈴木さんが指摘したのは外来種の増加。産毛のような葉が特徴のビロードモウズイカ(ゴマノハグサ科)、黄色の細かい花が円すい状に広がるセイタカアワダチソウ(キク科)、花粉症の原因としても知られるオオブタクサ(キク科)は繁殖力が強く、「樹木がなかなか入ってこられない」と鈴木さん。工事で土が掘り起こされた堤体近くの草地ほど増加傾向が顕著だという。
 
外来種のビロードモウズイカ(左)は繁殖力が強い

外来種のビロードモウズイカ(左)は繁殖力が強い

 
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水門と一体的に整備された防潮堤の前に広がる海岸が観察場所

 
 同海岸一帯で鈴木さんが確認している植物は約120種。「未確認のものを含めると200種ぐらいはあるのでは」と鈴木さん。この日は、鈴木さんが今年4月に同所で初めて見つけたムシクサ(在来種)も紹介した。
 
 雫石町から足を運んだ60代女性は「内陸では目にしない植物もあり興味深い。津波で大きな被害を受けた場所でもこうして再生している。植物の生命力はすごい」と驚いた様子だった。鈴木さんは「植物を調べることは環境の証明になる。人間は自然を理解し、未来のことも考えて共生していくべき」と話した。
 
 さまざまな植物の名前や特徴を学ぶ参加者。普段見過ごしている植物も名前を知るといとおしい

さまざまな植物の名前や特徴を学ぶ参加者。普段見過ごしている植物も名前を知るといとおしい