フランスでの体験学習事業に参加する釜石市の中学生
釜石市の中学生がフランスを訪問する海外体験学習事業の結団式が15日、市役所であり、4校から参加する1~3年生6人が決意を表明した。24日~10月1日の8日間の日程で、姉妹都市ディーニュ・レ・バン市の学校訪問やホームステイ、同時期に同国で開催される2つのワールドラグビーの試合観戦などを行いながら現地の人たちと交流し、友好を深める。
同事業はオーストラリアを訪問先に行っていたが、ここ数年は新型コロナウイルスの影響で中断していた。本年度は、来年4月にディーニュ市との姉妹都市提携30周年を迎えることから、交流を深めるのが狙い。東日本大震災の復興支援として多くの後押しもあったことから、感謝を伝える機会にもする。
釜石も舞台となった2019年のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会。今、同国で熱戦が繰り広げられているのに加え、初開催のワールドアマチュアラグビーフェスティバルに「いわて釜石チーム」も出場することから、2つの大会の観戦、応援を通して、2019W杯のレガシー(遺産)継承にもつなげる。
一行は、25日にフランス入りし、ディーニュ市のホストファミリー先へ。27日まで滞在して現地の中学校で生徒との交流や市長表敬、施設見学を楽しむ。マノスク市にある化粧品メーカー「ロクシタン社」も訪問。震災で被災した大町の青葉ビル再建に向けた支援などへの感謝を伝える。28日は同フェスティバルの試合を観戦し、ラグビースクールの子どもたちと交流。トゥールーズ市に移動し、W杯の日本とサモアの戦いを見る。29日はリヨンに移動し、帰国の途に就く。
結団式で決意や抱負を語る中学生たち
結団式では参加メンバーが紹介され、それぞれ決意表明。佐々木渚央さん(釜石中3年)、佐藤威伸さん(大平中3年)、津田紗良さん(唐丹中2年)は異文化交流を楽しみに「積極的にコミュニケーションをとる」と意欲を見せ、前川航紳さん(釜石中3年)はフランスの文化や言語を学ぶ貴重な機会を得たと感謝した。
ラグビー好きで経験もある三浦心友姫さん(甲子中3年)は「W杯を見てレガシーやラグビー意欲を高めたい。新しい考え方や視野を広げられたら」と期待。白石恋菜さん(同1年)は「選手たちが最高のパフォーマンスをできるよう精いっぱい応援してくる。たくさん学んで、吸収できるよう頑張る」と意気込んだ。
派遣中学生を市や学校の関係者が激励した
野田武則市長は、▽復興応援の感謝を伝える▽2つの大会に関わる人や選手たちが持つ情熱に触れる―といった任務を示しながら、「フランス訪問というまたとないチャンス。自分たちの次なる活動につながるよう楽しみながら学んできてほしい」と激励。高橋勝教育長も、心を弾ませている6人に「もっとワクワクして。体験や学びを通していろんなことを考え、気づきを得てきてほしい」と期待した。派遣団フラッグ、同フェスティバルに関連した事業で同国の子どもたちと交流する平田小と鵜住居小の児童がメッセージを書き込んだペナントを渡して送り出した。
6人は7月から事前研修(全9回)に取り組んできた。フランス出身者による語学講座のほか、ディーニュ市との姉妹都市交流のきっかけや経緯、釜石の復興の歩み、W杯釜石開催のレガシーを学習。その学びを生かし、現地の青少年との交流プログラムで感謝の気持ちや釜石の魅力をPRしてくる。