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釜石-フランス架け橋に 中学生6人、出発前に結団式 姉妹都市交流・ラグビーW杯観戦にワクワク

フランスでの体験学習事業に参加する釜石市の中学生

フランスでの体験学習事業に参加する釜石市の中学生

  
 釜石市の中学生がフランスを訪問する海外体験学習事業の結団式が15日、市役所であり、4校から参加する1~3年生6人が決意を表明した。24日~10月1日の8日間の日程で、姉妹都市ディーニュ・レ・バン市の学校訪問やホームステイ、同時期に同国で開催される2つのワールドラグビーの試合観戦などを行いながら現地の人たちと交流し、友好を深める。
 
 同事業はオーストラリアを訪問先に行っていたが、ここ数年は新型コロナウイルスの影響で中断していた。本年度は、来年4月にディーニュ市との姉妹都市提携30周年を迎えることから、交流を深めるのが狙い。東日本大震災の復興支援として多くの後押しもあったことから、感謝を伝える機会にもする。
 
 釜石も舞台となった2019年のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会。今、同国で熱戦が繰り広げられているのに加え、初開催のワールドアマチュアラグビーフェスティバルに「いわて釜石チーム」も出場することから、2つの大会の観戦、応援を通して、2019W杯のレガシー(遺産)継承にもつなげる。
 
 一行は、25日にフランス入りし、ディーニュ市のホストファミリー先へ。27日まで滞在して現地の中学校で生徒との交流や市長表敬、施設見学を楽しむ。マノスク市にある化粧品メーカー「ロクシタン社」も訪問。震災で被災した大町の青葉ビル再建に向けた支援などへの感謝を伝える。28日は同フェスティバルの試合を観戦し、ラグビースクールの子どもたちと交流。トゥールーズ市に移動し、W杯の日本とサモアの戦いを見る。29日はリヨンに移動し、帰国の途に就く。
 
結団式で決意や抱負を語る中学生たち

結団式で決意や抱負を語る中学生たち

 
 結団式では参加メンバーが紹介され、それぞれ決意表明。佐々木渚央さん(釜石中3年)、佐藤威伸さん(大平中3年)、津田紗良さん(唐丹中2年)は異文化交流を楽しみに「積極的にコミュニケーションをとる」と意欲を見せ、前川航紳さん(釜石中3年)はフランスの文化や言語を学ぶ貴重な機会を得たと感謝した。
 
 ラグビー好きで経験もある三浦心友姫さん(甲子中3年)は「W杯を見てレガシーやラグビー意欲を高めたい。新しい考え方や視野を広げられたら」と期待。白石恋菜さん(同1年)は「選手たちが最高のパフォーマンスをできるよう精いっぱい応援してくる。たくさん学んで、吸収できるよう頑張る」と意気込んだ。
 
派遣中学生を市や学校の関係者が激励した

派遣中学生を市や学校の関係者が激励した

 
 野田武則市長は、▽復興応援の感謝を伝える▽2つの大会に関わる人や選手たちが持つ情熱に触れる―といった任務を示しながら、「フランス訪問というまたとないチャンス。自分たちの次なる活動につながるよう楽しみながら学んできてほしい」と激励。高橋勝教育長も、心を弾ませている6人に「もっとワクワクして。体験や学びを通していろんなことを考え、気づきを得てきてほしい」と期待した。派遣団フラッグ、同フェスティバルに関連した事業で同国の子どもたちと交流する平田小と鵜住居小の児童がメッセージを書き込んだペナントを渡して送り出した。
 
 6人は7月から事前研修(全9回)に取り組んできた。フランス出身者による語学講座のほか、ディーニュ市との姉妹都市交流のきっかけや経緯、釜石の復興の歩み、W杯釜石開催のレガシーを学習。その学びを生かし、現地の青少年との交流プログラムで感謝の気持ちや釜石の魅力をPRしてくる。
 
 

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震災復興支援に長期尽力「ボブさん、ありがとう」 被災者らが再来日歓迎のジャズコンサート

ボブ・ゲラステッドさんの来釜を歓迎するジャズコンサート=新生釜石教会

ボブ・ゲラステッドさんの来釜を歓迎するジャズコンサート=新生釜石教会

 
 東日本大震災後、釜石市に暮らしながら2019年まで被災者支援に尽力したボブ・ゲラステッドさん(67)=米フロリダ州在住=が10日、同市を訪問。大町の日本キリスト教団新生釜石教会(柳谷雄介牧師)で市民らの歓迎を受けた。仮設住宅入居時に支援を受けて以来、交流を続ける同市野田町の澤田和三さん(69)が、音楽仲間とゲラステッドさんが好きなジャズを演奏。野田武則市長も駆け付け、長きにわたる支援に対し感謝の気持ちを伝えた。
 
 ゲラステッドさんは今回、北海道への用事で来日。約7年半暮らした釜石市にも足を延ばした。同教会の日曜礼拝に出席。礼拝後、ピアノでバンド活動を続けてきた澤田さんが仲間2人と、ジャズのスタンダード「ムーンライト・セレナーデ」「スターダスト」など7曲を演奏。支援への感謝と再会の喜びを伝えた。
 
ピアノ、ベース、ボーカルの3人でジャズを演奏

ピアノ、ベース、ボーカルの3人でジャズを演奏

 
スマホカメラを向けながら演奏を楽しむボブ・ゲラステッドさん(左)

スマホカメラを向けながら演奏を楽しむボブ・ゲラステッドさん(左)

 
 ゲラステッドさんは1978年に初来日。日本語を勉強しながら神奈川県で2年ほど暮らした後、米国に戻り神学校に入った。牧師となり、91年に家族とともに再来日。日本バプテスト宣教団の協力牧師として京都府などで暮らしていた。2011年の東日本大震災発生後、同団が結成したボランティア組織「東北ケア」の一員として被災地で活動。釜石市には同年8月に入り、米国から届く支援物資を被災者に配布したり、仮設住宅で応援イベントを開くなど物心両面で支え続けた。12年3月、共に活動してきた妻グロリアさんと同市に移住。各種支援が減っていく中、生活困窮者に衣類や食料の支援を続け、釜石・大槌の各所でお茶っこの会を開くなど息の長い活動を行った。19年10月まで釜石にいたが、高齢の義母の世話のため母国に戻った。
 
2012年5月に平田第6仮設団地で開かれた東北ケアの支援イベント=写真提供:澤田和三さん

2012年5月に平田第6仮設団地で開かれた東北ケアの支援イベント=写真提供:澤田和三さん

 
支援活動を行うボブさん(左)、グロリアさん(右)夫妻=写真提供:澤田和三さん

支援活動を行うボブさん(左)、グロリアさん(右)夫妻=写真提供:澤田和三さん

 
子どもたちを楽しませる趣向も。仮設団地の広場で行われたレク活動=写真提供:澤田和三さん

子どもたちを楽しませる趣向も。仮設団地の広場で行われたレク活動=写真提供:澤田和三さん

 
 新型コロナウイルス禍でしばらく来日はかなわなかったが、今年4月に再来日。今回はジャズ演奏のサプライズも受け、心に残るひとときを市民らと楽しんだ。「今も毎日、釜石のことを思い祈り続けています」と話すゲラステッドさん。震災から12年を経て、まちの復興が進み、住民が明るさを取り戻してきたことに安堵(あんど)の表情を浮かべる。当時、釜石で耳にした「絆」という言葉―。大変な状況下で力を合わせて頑張っている姿が脳裏に深く刻まれている様子で、「ここで出会った人たちのことは決して忘れることはない。大切な友達。これからも良い将来があるよう祈っています」と願いを込めた。
 
さまざまな支援に感謝する野田武則市長(右)

さまざまな支援に感謝する野田武則市長(右)

 
 野田市長は「少しでも(被災者の)心が和むようにと、いろいろとご支援をいただいた。おかげさまでここまで復興を成し遂げることができた。改めてお礼を申し上げたい。次の世代にもこのことを伝えていかねば」と感謝の気持ちを伝えた。
 
 コンサートを企画した澤田さんは、震災の津波で大槌町の自宅を失った。釜石の友人宅での避難生活を経て、同市平田公園多目的グラウンドに開設された仮設住宅に入居。そこでゲラステッドさんと出会い、物資の提供を受けるなど大変世話になった。趣味の音楽でもつながり、澤田さんがバンド活動を再開すると、ゲラステッドさんはコンサートにも足を運んでくれた。「仮設に入ると支援物資が来なくなり、生活に困る人も出てきた。そんな時、ボブさん夫妻が手を差し伸べてくれた。冬服などもいただき本当にありがたかった」と振り返る。
 
ボブさん(右)に感謝し、ピアノを演奏する澤田和三さん(左)

ボブさん(右)に感謝し、ピアノを演奏する澤田和三さん(左)

 
 この日のコンサートで澤田さんは「ボブさんの気持ちに響けば…」と心を込めて演奏。今もフェイスブックで連絡を取り合う仲で、「無二の親友。これからもずっとつながりを持ち続けたい」と望んだ。コンサートは「ボブさんの功績を多くの人に知ってほしい」との思いもあり、関係者の協力を得て実現させた。

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4年ぶり「釜石よいさ」9/23うのスタで 存続への課題見据え、新たな形を模索

TETTO前広場で行われた釜石よいさの公開練習。お囃子隊、よいさ小町が参加

TETTO前広場で行われた釜石よいさの公開練習。お囃子隊、よいさ小町が参加

 
 新型コロナウイルス感染症の影響で中止が続いていた釜石市の夏祭り「釜石よいさ」(同実行委主催)が4年ぶりに復活する。これまで市中心部の目抜き通りを会場に8月初旬に開催されてきたが、今年は9月23日に鵜住居町の釜石鵜住居復興スタジアムの敷地内で行われる。実施にかかる各種課題の解決を図り、「未来に残せる新たな形」を目指すための試行的な取り組み。本番に向け、お囃子(はやし)隊と祭りの華「よいさ小町」の練習が大詰めを迎える。
 
 お囃子隊25人、よいさ小町14人は8月25日から練習を開始。今月6日は大町の市民ホールTETTOで公開練習を行った。学業や仕事を終えて夕方から集まったメンバー。太鼓や笛の音に合わせ、前囃子・本囃子の踊りを見学者の前で披露した。
 
前囃子を披露する「よいさ小町」。今年もしなやかな踊りで観客を魅了する

前囃子を披露する「よいさ小町」。今年もしなやかな踊りで観客を魅了する

 
お囃子の要「大太鼓」は男性陣が担う。勇壮な振り付けも見どころの一つ

お囃子の要「大太鼓」は男性陣が担う。勇壮な振り付けも見どころの一つ

 
祭り囃子に欠かせない笛を吹くメンバー(手前)

祭り囃子に欠かせない笛を吹くメンバー(手前)

 
小太鼓は中学生から社会人まで女性陣が担当

小太鼓は中学生から社会人まで女性陣が担当

 
 4年ぶりということもあり、お囃子、小町ともに初参加のメンバーが多い。大太鼓に挑戦する佐藤薫さん(35、秋田県出身)は、2020年に地域おこし協力隊として同市に移住後、起業。「地域の中でもっと楽しいことを」と祭り参加を決めた。「郷土芸能団体に所属していなくても参加できる祭りは貴重。よそ者(移住者)にも開かれた釜石ならでは。非常にありがたい」。初めての太鼓に難しさを感じつつも「みんなで盛り上がれるよう、精いっぱい頑張りたい」と意気込む。
 
よいさ小町に姉妹で参加する石山穂乃花さん(中左)、紗也花さん(中右)、友里花さん(右)とお囃子で参加する母秀子さん(左)

よいさ小町に姉妹で参加する石山穂乃花さん(中左)、紗也花さん(中右)、友里花さん(右)とお囃子で参加する母秀子さん(左)

 
 よいさ小町に3姉妹で初参加するのは、地元出身の石山穂乃花さん(24)、紗也花さん(22)、友里花さん(19)。釜石で働く姉2人に大学生の妹。「よいさを踊るのは幼稚園以来」という紗也花さんは「小町の踊りは日常にはない動き。いろいろな筋肉を使う」と笑い、「踊ることは好きなほう。みんなでそろえて、見ている人に驚きと感動を与えたい」と本番を楽しみにする。3姉妹の母秀子さん(52)は小太鼓で協力する。親子4人での祭り参加に「今はそれぞれが忙しい日々を送り、4人そろうこともなかなかない。いい思い出になりそう」。以前から「釜石を盛り上げたい」との思いがあり、「できることで元気を発信する一助になれれば」と期待を込める。
 
「よいさ!」の掛け声も元気に。笑顔で踊る石山友里花さん(中)

「よいさ!」の掛け声も元気に。笑顔で踊る石山友里花さん(中)

 
 32回目となる今回の祭りには15団体560人が参加を予定する。地元ラグビーチーム「釜石シーウェイブスRFC」、団体に所属しない子ども参加の受け皿となる「かまっこよいさ」など3団体が初参加。参加者数はコロナ前の約半分の規模となる見込み。当日は午後1時から午後4時まで同スタジアムのメイングラウンド外周通路で“うのスタよいさ”、午後6時15分から午後7時まで市民ホールTETTO前広場で“アフターよいさ”を開催。スタジアムではフードコーナー、おまつり広場も設ける。
 
今年の釜石よいさ会場となる釜石鵜住居復興スタジアム。グラウンド外周通路(舗装)で踊る

今年の釜石よいさ会場となる釜石鵜住居復興スタジアム。グラウンド外周通路(舗装)で踊る

 
 釜石よいさは1987年、釜石製鉄所の高炉休止で活気を失ったまちに元気を取り戻そうと地域の若者らによって始められた。2011年の東日本大震災でまちが甚大な被害を受け、2年間中断後、13年に復活。19年まで継続したが、コロナ禍で再び中止を余儀なくされた。本年の復活開催にあたり実行委は、コロナ禍前から課題となっていた経費や交通規制、運営人員不足などの問題解決へ抜本的改革が必要と考え、同スタジアムでの試験開催を決めた。実行委の下村達志事務局長(48)は「規模を縮小せざるをえない状況下で、いかに残していくか。コスト削減で行きついたのがうのスタ。一度やってみて、その結果を基に来年以降の形を検討していきたい」と話す。
 
踊りの振りや姿勢を互いにチェックし合う小町

踊りの振りや姿勢を互いにチェックし合う小町

 
公開練習後、当日着る衣装を確認。本番へ気持ちを高める

公開練習後、当日着る衣装を確認。本番へ気持ちを高める

 
 実行委員長(3人体制)の一人、佐久間定樹さん(41)は「いろいろな声はあるが、新しいチャレンジはよいさを未来につなげるため。普段、スタジアムに足を運ぶことがない人もぜひ飛び入りで参加して」と呼び掛ける。

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広報かまいし2023年9月15日号(No.1816)

広報かまいし2023年9月15日号(No.1816)
 

広報かまいし2023年9月15日号(No.1816)

広報かまいし2023年9月15日号(No.1816)

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【P1】
表紙

【P2-3】
第1回ワールドアマチュアラグビーフェスティバル フランス大会への道 Vol.4

【P4-5】
かまいし起業人
地域活性化起業人鈴木清志さん 活動紹介

【P6-7】
新型コロナワクチン接種のお知らせ

【P8-9】
釜石市消防団 団員募集中
動物愛護週間 他

【P10-11】
こどもはぐくみ通信
市民のひろば 他

【P12-13】
まちの話題

【P14】
結婚新生活補助金
釜石市長選挙 他

【P15-17】
まちのお知らせ

【P18-19】
保健案内板
保健だより

【P20】
釜石よいさ

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 広聴広報課 広聴広報係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8419 / Fax 0193-22-2686 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2023091200041/
釜石市

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釜石市公式サイトと連携し、縁とらんすがピックアップした記事を掲載しています。記事の内容に関するお問い合わせは、各記事の担当窓口までお問い合わせください。
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きれいだから守りたい!子どもたちが見つめる「釜石の海」 絵画コンクールでイキイキと

イオンタウン釜石店で開催中の「海の日」絵画コンクール作品展

イオンタウン釜石店で開催中の「海の日」絵画コンクール作品展

  
 青い海と空が続く風景、海の中で暮らす多様な生き物、家族や友達の笑顔があふれる浜辺―。「釜石の海」をテーマに、色鮮やかに生き生きと表現した子どもたちの作品が、釜石市港町のイオンタウン釜石2階イベントスペースに並んでいる。釜石市「海の日」実行委員会(会長・野田武則市長)が募集した絵画コンクールの展示会。応募のあった全作品を18日まで鑑賞できる。9日には表彰式があり、入賞者に賞状や記念品が贈られた。
 
 コンクールは海の恩恵に感謝する「海の日」の普及が目的。市内のこども園や幼稚園、保育園など11施設から計137点が寄せられた。審査で金賞1点、銀賞1点、銅賞2点、特別賞として市長賞2点、釜石海上保安部長賞と釜石港湾振興協議会賞の各1点が選ばれた。
 
表彰状を手に笑顔を見せる入賞者、実行委関係者ら

表彰状を手に笑顔を見せる入賞者、実行委関係者ら

 
 表彰式で、野田市長は「震災直後の絵は真っ黒だったが、年々明るい色が多くなっている。海の中だけでなく、周りの環境にも目を向けた絵も出展されている。これからも素晴らしい海に興味や関心を持ちながら成長してほしい」と期待。釜石海保の虻川浩介部長が「生き物、家族、友達の笑顔いっぱいに楽しさを表現した作品ばかり。きれいな海を未来に残そうという希望を感じた」と講評した。
  
 金賞に輝いた甲東こども園の平野志凰(しおう)さん(6)の作品は「大観音が見守る海」。スマートフォンで写真を撮るのが好きで、「きれいだね~」と感じて写した風景を画用紙に描いた。表彰状を手に「うれしい。海、きれいだから守りたい」とはにかんだ。
 
入賞作品の前で記念にパチリ。うれしさを写真に残した

入賞作品の前で記念にパチリ。うれしさを写真に残した

 
 ほかの入賞者の作品タイトルは、▽およいでいるさかなたち▽ひきぶねまつり▽かぞくみんなでカニとり▽ゆうやけのうみ▽ワンピースかいぞくせん▽うみでおよいでいるよ▽かもつせん―。ここからも個性あふれる視点が感じられる。ほかにも、遠足や釣り、深海などをテーマに色彩豊かな作品が集合。市民や買い物客らに地域の海の良さを発信している。
 
青いキャンバスにイキイキと描かれた「釜石の海」がずらり

青いキャンバスにイキイキと描かれた「釜石の海」がずらり

 
運転手や歩行者に注意を促す交通安全ポスター展も実施中

運転手や歩行者に注意を促す交通安全ポスター展も実施中

 
 展示会場近くでは、釜石市交通安全ポスター展(市交通安全対策協議会主催)も開催中。市内の小中学生が制作した、飲酒運転追放や安全な道路横断、スマホを使いながらの車や自転車の「ながら運転」への警告、自転車に乗る際のヘルメット着用など交通ルールの順守を呼びかける作品約80点を掲示する。16日からは2階中央通路に移動し、最終日の18日まで見ることができる。

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県内外のクラフト作家 釜石・TETTOに大集合 対面販売、製作体験 新たな出会いの場創出

県内外からの出店があった釜石市民ホール主催イベント「きっとてっと」

県内外からの出店があった釜石市民ホール主催イベント「きっとてっと」

 
 釜石市大町の市民ホールTETTO(谷澤栄一館長)で3日、手作り品の販売やトーク、映画などを楽しめるイベント「きっとてっとwith釜石手仕事マルシェ」(同館主催)が開かれた。さまざまな“出会い”“つながり”の場にしてもらおうと企画。釜石青年会議所、かまいしDMC、釜石まちづくり会社が共催した。館内は一日を通して多くの来場者でにぎわい、たくさんの交流の輪が広がった。
 
 県内外から55店が出店した。ハンドメイドのアクセサリーや和洋の雑貨、木製品などの販売のほか、似顔絵、占い、アロマテラピーの提供も。ハーバリウム、点描アートの製作、多肉植物の寄せ植えを体験できるコーナー、各地で人気の軽食メニューの販売もあり、来場者は興味をそそられながら各ブースを回った。
 
美大出身の伊藤和香さん(盛岡市)の似顔絵コーナーに足を止める来場者

美大出身の伊藤和香さん(盛岡市)の似顔絵コーナーに足を止める来場者

 
フルーツピクルスのドリンクなどを販売した「ピクルスの森FUMOTO」(盛岡市)

フルーツピクルスのドリンクなどを販売した「ピクルスの森FUMOTO」(盛岡市)

 
「どれにしようかな?」かわいいアクセサリーに子どもも目がくぎ付け

「どれにしようかな?」かわいいアクセサリーに子どもも目がくぎ付け

 
 「かわいいものばかりで目移りしちゃって。あれもこれも…」。アクセサリーコーナーで声を弾ませた大槌町の越田歩夢さん(24)。「手作りで一点ものなのもいい」と魅了され、「とりあえず一通り回ってから決めようかな」とほほ笑んだ。最近、おしゃれに目覚めたという長女朝比ちゃん(3)は、歩夢さんに買ってもらったイヤリングをさっそく身に着けてにっこり。親子で女子ならではの楽しみを満喫した。
 
 プリザーブドフラワーやドライフラワーをガラス瓶に入れ、専用オイルで満たす人気のインテリア小物「ハーバリウム」の製作体験コーナー。市内の80代女性は「作業は大変だけどきれい」と完成品を手に大喜び。普段は趣味でアクセサリー作りを楽しみ、友人にもプレゼント。「ものづくりはできた時のうれしさが格別。失敗しながら何度も挑戦したりするとなおさら」と魅力を語った。
 
インテリア小物としても人気の「ハーバリウム」の製作体験。出来栄えを想像しながら作業に集中

インテリア小物としても人気の「ハーバリウム」の製作体験。出来栄えを想像しながら作業に集中

 
 ハーバリウム講師の千葉祐衣さん(37)=花と香りの雑貨Nine Horses=は一関市から出店。「開けた空間で人の出入りも多いイベント。長時間滞在し、ゆっくり過ごしている方も多いよう」と好印象。「沿岸にもすてきな作家さんが多い。こういう機会を通じてもっと輪が広がっていけば」と期待した。
 
 手仕事マルシェは昨年、釜石青年会議所が初開催。今年はTETTOのイベントと抱き合わせにすることで、さらなる誘客、交流の促進を狙った。多種多様な出店は、釜石市上中島町で革製品の製作販売を行う佐々木郁子さん(49)=Shifa=の声掛けによるところが大きいという。内陸部のイベントに出店する機会が多い佐々木さん。各地で知り合った作家仲間に参加を呼び掛けると、予想以上の反応があったという。「イベントは商品や顔を知ってもらう絶好の機会。地元釜石でも開催が増えていけば」と願った。
 
釜石市で革製品の製作販売を行う「Shifa」の佐々木郁子さん(中央)。「店に足を向けるきっかけにも」と地元でのイベント開催を喜ぶ

釜石市で革製品の製作販売を行う「Shifa」の佐々木郁子さん(中央)。「店に足を向けるきっかけにも」と地元でのイベント開催を喜ぶ

 
多肉植物の寄せ植え体験。会場内には「やってみたい!」をかなえるブースが複数並んだ

多肉植物の寄せ植え体験。会場内には「やってみたい!」をかなえるブースが複数並んだ

 
奥州市の伊藤えりかさん(flor de Luz)は点描アートを紹介。体験者も興味津々

奥州市の伊藤えりかさん(flor de Luz)は点描アートを紹介。体験者も興味津々

 
 人と人をつなぐ仕掛けは他にも。「自然と共に生きる―ここで暮らしていきたい理由(わけ)」と題したトークセッションでは、震災などを機に釜石、大槌に移り住んだ4人をゲストに迎え、普段の暮らしぶりについて話を聞いた。釜石市甲子町を拠点に林業や木製品の製作販売を行う石塚勇太さん=森結(もりむすび)=は本業のかたわら、自然観察や森林学習の講師、森での遊びイベントの企画を手がける。「森には子どもの創造性、発想性を広げる力がある。地域に開かれた自然の遊び場を作りたい」と、釜石発の“里山復活”への夢を語った。
 
自然との共生をテーマにしたトークセッション。ゲストの石塚勇太さん(中)=森結、兼澤幸男さん(右)=MOMIJI(大槌町)

自然との共生をテーマにしたトークセッション。ゲストの石塚勇太さん(中)=森結、兼澤幸男さん(右)=MOMIJI(大槌町)

 
 障害の有無、国籍、性別、年齢などにかかわらず、互いを認め共生する「インクルーシブ社会」実現への一助にと、バリアフリーを意識した映画上映会も開催。車いす、バギーのまま入場可能な平場のスペース、明るめの照明、控えめの音響…。誰もにやさしい鑑賞環境を整え、来場者を迎えた。
 
 イベントには市内外から1千人以上が足を運び、魅力的な人、物との出会いを楽しんだ。
 
終始、人の流れが続いた「きっとてっと」。来年の開催にも期待!

終始、人の流れが続いた「きっとてっと」。来年の開催にも期待!

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岩手のおいしい野菜、肉を食べて元気に 食の楽しみPR 上中島こども園に県食育キャラバン

「県食育普及啓発キャラバン」上中島こども園に来園=8月29日

「県食育普及啓発キャラバン」上中島こども園に来園=8月29日

 
 釜石市の市立上中島こども園(楢山知美園長、園児50人)に8月29日、岩手県の食育普及啓発キャラバンが来園。園児らは紙芝居やクイズ、ダンスを通して、食べることの大切さ、食品ロス削減について学んだ。キャラバン隊の訪問は県内4カ所目。
 
 県職員や本県の農畜産物を全国にPRしているJA全農いわての「いわて純情むすめ」など8人が訪問。楽しく学べる教材で園児らに食育を行った。純情むすめの髙橋美有さん(24)、村中咲心さん(19)は本県のおいしい食べ物の紙芝居を披露。豊かな自然と畜産農家の愛情で育てられる「いわて牛」と「いわて純情豚」を紹介し、「おいしいお肉はパワーの源。しっかり食べて毎日を元気に過ごそうね」と呼び掛けた。
 
紙芝居を上演する「いわて純情むすめ」の髙橋美有さん(左)と村中咲心さん

紙芝居を上演する「いわて純情むすめ」の髙橋美有さん(左)と村中咲心さん

 
園児らは岩手のおいしいお肉についてお勉強

園児らは岩手のおいしいお肉についてお勉強

 
野菜の名前を当てるクイズは大盛り上がり!にぎやかな声が響いた

野菜の名前を当てるクイズは大盛り上がり!にぎやかな声が響いた

 
 野菜の絵を見せて名前を当てるクイズも実施。絵を見せると園児らはすぐに「ダイコン!」「タマネギ!」「キュウリ!」などと声を上げ、正解すると大喜び。純情むすめの2人は「お腹の調子を良くしてくれる」「血をサラサラにしてくれる」など、それぞれの野菜が体にもたらす効果も教えた。
 
 近年、問題になっている「食品ロス」を知ってもらおうと、消費者庁が作成した絵本「たべものかいじゅうあらわる!?」も読み聞かせた。採りすぎた野菜や果物、作りすぎた料理、食べ残しの山…。まだ食べられるものを捨ててしまうことにならないよう、日ごろから食べ物を大切にすることを教えた。最後は県3R(リデュース、リユース、リサイクル)推進キャラクター「エコロル」ちゃんが登場。みんなで食育ダンスを踊って楽しんだ。
 
食べ物にちなんだ振り付けで踊る食育ダンス。エコロルちゃんと一緒に!

食べ物にちなんだ振り付けで踊る食育ダンス。エコロルちゃんと一緒に!

 
振りをまねて食育ダンスを楽しむ園児

振りをまねて食育ダンスを楽しむ園児

 
 小笠原悠天君(5)は「食べ物のクイズが面白かった。好きな野菜はキュウリ。朝ごはんは毎日食べる。これからもいっぱい食べる」と話した。純情むすめの髙橋さんは「子どもたちのリアクションがすごくいい。食べ物を大事にするとともに食べること自体を楽しんでくれたら」。前日まで必死にダンスを練習していたと笑う村中さんは「子どもたちが笑顔で応えてくれてうれしかった。ピーマンやニンジンは子どもが嫌いなイメージがあったが、好きな野菜に挙げる子もいて驚いた」。2人は「岩手のおいしいものをいっぱい食べてすくすくと育ってほしい」と願った。
 
キャラバン隊から園児らに記念品の贈呈。園児からは感謝の気持ちを込めた手作りペンダントが贈られた(右下)

キャラバン隊から園児らに記念品の贈呈。園児からは感謝の気持ちを込めた手作りペンダントが贈られた(右下)

 
最後はクラスごとに記念撮影。思い出の一枚

最後はクラスごとに記念撮影。思い出の一枚

 
 県内の幼児施設を訪問する同キャラバンは新型コロナウイルス感染症の影響で中止が続いたが、昨年度から再開。今年度は上中島こども園を含め5カ所を訪問する予定。

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中学生7人が自らの体験、考えを堂々発表 「わたしの主張」釜石地区大会 県大会へ代表決定

わたしの主張釜石地区大会の出場者(前列)と主催者ら

わたしの主張釜石地区大会の出場者(前列)と主催者ら

 
 2023年度わたしの主張釜石地区大会(同実行委主催)は8月28日、大槌町文化交流センターおしゃっちで開かれた。釜石市、大槌町の7中学校から代表弁士各1人が出場。学校生活や地域との関わりの中で感じたこと、より良い社会の実現への提言など自身の思い、考えを自分の言葉で発表した。最優秀賞を受賞した釜石中3年の大下桜雅さんが、9月13日に盛岡市で行われる県大会に出場する。
 
 大会は次代を担う中学生の健全育成などを目的に、防犯団体、教育機関などが実行委を組織して毎年開催。本年度は新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い有観客で行われ、出場者の家族や大槌学園8年(中2)の生徒らが耳を傾けた。
 
各弁士の発表に家族や仲間、関係者が耳を傾けた

各弁士の発表に家族や仲間、関係者が耳を傾けた

 
 弁士は1人5分の持ち時間で発表。部活動やボランティア活動、地域の人との出会いから学んだこと、病に苦しむ人を支えられる社会への提言など、それぞれの体験を基に率直な意見が述べられた。4人の審査委員が論旨、表現、態度の項目で採点。総合点で3賞の受賞者が決まった。
 
右:千葉雫さん(大平中)=私を変えてくれたもの 左:小笠原愛光さん(釜石東中)=みんなが前向きに明るく生きるために

右:千葉雫さん(大平中)=私を変えてくれたもの 左:小笠原愛光さん(釜石東中)=みんなが前向きに明るく生きるために

 
右:倉本華さん(吉里吉里中)=「出会い」は世界を変える 左:髙清水琳世さん(大槌学園)=言葉の影響力

右:倉本華さん(吉里吉里中)=「出会い」は世界を変える 左:髙清水琳世さん(大槌学園)=言葉の影響力

 
右:森真心さん(甲子中)=誰かの笑顔のために 左:香川彩夏さん(唐丹中)=負けから学ぶこと

右:森真心さん(甲子中)=誰かの笑顔のために 左:香川彩夏さん(唐丹中)=負けから学ぶこと

 
 最優秀賞を受賞したのは「誰かの笑顔のために」と題して発表した釜石中3年の大下桜雅さん。病気などで髪を失った人のウィッグを作るための「ヘアドネーション」に取り組む大下さんは、小学3年時にテレビ番組で見た髪を伸ばす男子高校生の姿に刺激を受け、「自分も誰かの助けになりたい」と髪を伸ばし始める。「女子みたい」とからかわれたり、手入れの苦労もあったが、「応援してくれる友達がいて頑張れた」という。弁論では、提供される毛髪がまだまだ少ないという実態も紹介。「(ヘアドネの活動は)自分1人の力で成り立つものではない。活動を理解し実行する人が増えることで、困っている多くの人を笑顔にすることができる」と訴えた。
 
最優秀賞を受賞した釜石中3年の大下桜雅さん。ヘアドネーションについて思いの丈を発表

最優秀賞を受賞した釜石中3年の大下桜雅さん。ヘアドネーションについて思いの丈を発表

 
 小学校卒業時に1回目の毛髪の寄付をし、現在2回目を目指し伸ばし続ける大下さん。願うは「男女隔てなく(ヘアドネを)できるような社会」の実現。今回の弁論も「みんなに知ってもらえる機会」と捉え、夏休み開始とともに練習を続けてきた。本番は「ちょっと早口になってしまったかも」と改善点を見いだし、「県大会では釜石地区代表として最優秀賞を狙って頑張りたい」と意気込んだ。
 
 優秀賞は中総体卓球競技での敗戦から学んだことを発表した唐丹中3年の香川彩夏さん、優良賞は老人福祉施設などでの歌のボランティア活動を題材にした森真心さんが受賞した。
 
(右から)優良賞の森真心さん、優秀賞の香川彩夏さん、最優秀賞の大下桜雅さん

(右から)優良賞の森真心さん、優秀賞の香川彩夏さん、最優秀賞の大下桜雅さん

 
実行委の岩渕善吉会長(釜石地区防犯協会連合会会長)から表彰状が手渡された

実行委の岩渕善吉会長(釜石地区防犯協会連合会会長)から表彰状が手渡された

 
 審査委員長を務めた大槌町教委の松橋文明教育長は「自分の体験に照らし合わせながら、さらには他の人にも共感を呼ぶような内容」と出場者をたたえ、各弁論について感想を述べた。出場者には主催者から図書カードや記念の楯が贈られた。

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サンマ船 釜石・白浜漁港(箱崎町)から出漁 北の海へ、見送る家族ら「無事であれ」

白浜漁港から北海道へ向かうサンマ船「第二十八明神丸」

白浜漁港から北海道へ向かうサンマ船「第二十八明神丸」

  
 秋の味覚・サンマを求めて、釜石市箱崎町の白浜漁港からサンマ漁船「第二十八明神丸」(19トン)が2日、拠点となる北海道の釧路港へ向けて出港した。近年、サンマ漁を取り巻く状況は厳しく、不安を抱えての船出に。そうした中でも、見送る地域住民の表情は明るく、浜は活気づいた。
 
 同漁港からの出漁は40年ほど続くが、今ではこの船が唯一。船主の栗澤重之さん(61)を船頭に、息子の仁(まさし)さん(32)が機関長を務め、甲板長の佐々木康裕さん(39)、炊事長の佐々木幸喜さん(59)の4人で漁に出る。
 
 「ここ数年は資源量が少ないうえ、魚形が小型化していることもあり、水揚げは一番いい時から10分の1くらい。廃業になるかも」。重之さんは厳しい状況を語る。公海まで行く燃料代に加え、集魚灯など棒受網漁の設備装着など出漁の経費も掛かるが、「乗組員の生活もあるから。ほかの魚種のかたまりがピンポイントで見込まれ、一獲千金ということもある」と期待を込める。
 
大漁旗を掲げて船出の準備をする乗組員ら

大漁旗を掲げて船出の準備をする乗組員ら

 
乗組員を激励したり「祝い酒」を味わったり

乗組員を激励したり「祝い酒」を味わったり

 
 午前9時、大漁旗をはためかせながら岸壁を離れた第二十八明神丸。「気をつけて行ってこい」。乗組員の家族や漁師仲間、地域住民らが手を振って送り出した。船は漁港内を2周し、汽笛を鳴らして見送りに応えて外海に出た。
 
白浜漁港を離れる船を見送る地域住民ら

白浜漁港を離れる船を見送る地域住民ら

 
岸壁で見守る仲間に、乗組員も手を振って応える

岸壁で見守る仲間に、乗組員も手を振って応える

 
 当初、8月下旬に出る予定だったが、海況の状況が良くなく、数日待っての出漁。この日は土曜日ということもあって、子どもの姿もあった。地元でホタテやワカメなどの養殖を手掛ける浦島富司さん(71)は「遠出は若手に任せる。頑張ってこい。人が集まり、活気が出ていいな」と目を細めた。
 
 「無事であれ」。重之さんの妻イミさん(60)は願う。海に出る漁師の夫の帰りを待ちながら陸の生活を守っていて「一心同体だから」と、近年の不漁は切実な問題だという。大変であっても漁場へ向かう乗組員たちを送ろうと集まった住民らに「祝い酒」や赤飯などを振る舞い、ともに航海の安全、健康を祈った。
 
期待を込め船出した第二十八明神丸の乗組員

期待を込め船出した第二十八明神丸の乗組員

 
岸壁で手を振りながら船を見送る乗組員の家族ら

岸壁で手を振りながら船を見送る乗組員の家族ら

 
 水産庁が7月下旬に発表したサンマ長期漁海況予報(北海道東部~常磐海域)では、8~12月のサンマ来遊量を「低水準(昨年と同水準)」と予測している。明神丸は釧路港で待機し、漁場までの距離などを確認して出漁する予定。例年は10月半ばごろに釜石に戻る。

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防災の学び 伝え合う 釜石市・東海市の児童 まちの歴史から共通点を発見 友情深める

まちの特色や防災の取り組みを伝え合う釜石市と東海市の児童

まちの特色や防災の取り組みを伝え合う釜石市と東海市の児童

  
 姉妹都市提携を結ぶ釜石市と東海市の児童交流会が24日、釜石市の平田小(佐守直人校長、児童157人)であった。東海市の小学校12校から6年生24人が訪れ、平田小6年生(32人)と交流。互いの市の特色や防災学習の取り組みを紹介し、学び合いながら友情を深めた。
   
 平田小児童は「東日本大震災が起こった時、お母さんのおなかにいた人がほとんど」とした上で、津波襲来時の映像を紹介。家族らから話を聞いたり、避難訓練を年6回行っていることを説明した。全児童が水やタオル、カイロなどを入れた避難袋を用意していて、「いつ起こるか分からない災害。とにかく自分の命は自分で守る。津波が来たらとにかく高いところへ。『津波てんでんこ』の考えを大切にしている」と強調した。
  
東日本大震災時の津波の映像に見入る子どもたち

東日本大震災時の津波の映像に見入る子どもたち

 
ラグビーのまちについて紹介する平田小児童(右)

ラグビーのまちについて紹介する平田小児童(右)

   
 東海市の児童は熱心にメモを取ったり、デジタルカメラで写真を撮ったりしながら同年代の話に耳を傾けた。南海トラフ巨大地震を想定した備えについて発表し、ライフジャケットの着用訓練を行っていることを伝えた。
   
 4グループに分かれて、まちの特色や歴史などを発表し合ってより理解を深める時間も。東海市の児童が「震災のことを大人に初めて聞いた時、どんな印象だった?」と質問すると、平田小の児童は「小さい頃であまり分からなかった。学校で学習しながら知識を深めている」と答えた。ほかにも好きな給食のメニューやゲームの話題で会話を弾ませていた。
  
気になることを聞いたり答えたり、会話を弾ませたグループワーク

気になることを聞いたり答えたり、会話を弾ませたグループワーク

 
釜石にまつわるクイズに挑戦する東海市の児童(奥)

釜石にまつわるクイズに挑戦する東海市の児童(奥)

   
 平田小の熊谷凜音(りの)さんは「10年くらい前につらいことがあったけど、頑張ているよとしっかり伝えられた」と胸を張り、久保心輝(こうき)君は「鉄のまちが共通点ということが印象に残った。仲良くなって交流を続けられたら」と期待した。
   
 東海市立横須賀小の女子児童は「避難袋の取り組みが印象的。細かい準備をしていれば、いざという時に安心すると思う。すごい被害のあった震災のことをきちんと理解して、備えられるようにしていると感じた」と刺激を受けた。加木屋南小の男子児童は鉄の歴史に理解を深めた様子。「鉄の発展は大島高任のおかげ。学びや経験を伝えたい」と背筋を伸ばした。
  
東海市にちなんだ献立も入った給食を一緒に味わう

東海市にちなんだ献立も入った給食を一緒に味わう

   
 両市は、1960年代に釜石製鉄所から700人超が家族を伴って東海製鉄所に移ったことをきっかけに交流を開始。2007年に姉妹都市となり、スポーツを通じた交流事業などで絆を深めてきた。東海市は震災後、物資支援、職員の派遣、ラグビーW杯に向けた多額の寄付など支援を続け、中学生の海外体験学習事業(新型コロナウイルスの影響で現在は実施せず)などでも連携。児童の交流は21年度から続けている。

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遊び尽くす!釜石の海 箱崎白浜・隠れ家的ビーチでワンデイキャンプ 「怖い」を「楽しい」に

さまざまな遊びや体験で海に親しむ家族連れら

さまざまな遊びや体験で海に親しむ家族連れら

  
 知る人ぞ知る釜石市のシークレットビーチ、箱崎白浜の通称“小白浜”海岸で19日、親子で海に親しむイベント「海あそびワンデイキャンプ」があった。海に関わる活動を展開する団体や漁師らでつくる「海と子どもの未来プロジェクト実行委員会(通称・さんりくBLUE ADVENTURE)」が主催。東日本大震災後に進んだ“海離れ”を食い止めたい、地元の自然に誇りと愛着を持ってほしい―と続けられ、今回で10回目となった。市内の家族連れを中心に60人超が参加。夏の暑さが残る水辺に歓声を響かせた。
  
 参加者はウエットスーツとライフジャケットを身に着けて海ヘゴー。シーカヤックやスタンドアップパドルボード(SUP)による水上散歩、シュノーケリングでの生き物観察、砂遊びなど思い思いに時間を過ごした。昼食にカレーライスを味わった後は、釜石ライフセービングクラブの安全講習。水辺防災の合言葉「ういてまて」を実践した。
 
カヤックや救助用ボードで海に繰り出す子どもたち

カヤックや救助用ボードで海に繰り出す子どもたち

 
水上バイクの試乗体験でうれしそうに手を振る子どもたち

水上バイクの試乗体験でうれしそうに手を振る子どもたち

 
波に揺られるだけでも楽しい。磯の生き物探しもできちゃう

波に揺られるだけでも楽しい。磯の生き物探しもできちゃう

 
 小川町の久保綺良里(きらり)さん(小佐野小5年)は初参加。救助用水上バイクの試乗や砂浜での“シーグラス”探しなどを楽しんだ。「気持ちよくて楽しい場所。友達が一緒なのもうれしい」とにっこり。父の文之さん(49)は「いろんな遊びがそろっている」と歓迎した。平田の尾崎白浜出身で、実家のなりわいが漁業ということもあり海は身近な存在。だが、震災の津波で漁具を失ったり苦い記憶も。それでも「海を嫌いになることはない」ときっぱり。楽しい思い出が多く、子どもにも良さを伝えたいと思う。「いざという時は逃げろ。そのことを守ればいい」。のびのびと活動するまな娘を優しく見守っていた。
 
 ラグビーイベントに合わせて来釜中の広島市のグループも参加した。碓井大和(やまと)君(深川小6年)は足ひれをつけて海に飛び込み、大はしゃぎ。さまざまな遊びを満喫していた。感想を聞いてみると、「海を嫌いな子も楽しめるんじゃないかな」と予想外の答えが返ってきた。「実はしょっぱい海水が苦手」とのこと。それでも白い砂、透明度の高い海に好印象を持ったようで、「遊び尽くす」と元気だった。
  
釜石の海を満喫中。子どもも大人もみんな笑顔
 

釜石の海を満喫中。子どもも大人もみんな笑顔

  
水上散歩、砂遊び…好きなように時間を過ごす参加者

水上散歩、砂遊び…好きなように時間を過ごす参加者

  
 小白浜は古くから地元住民がレジャーを楽しんでいた隠れ家的な場所。陸路で行くこともできるが、船での移動が便利で、このイベントでは漁師4人が白浜漁港からの送り迎えに協力した。「ホワイトビーチ」と呼ぶこともあると教えてくれたのは地元の佐々木幸喜さん(59)。仲間の佐々木義光さん(53)=片岸町室浜=と一服しながら、「自慢のビーチに人が集まるのはいいことだ。いろんな人と顔見知りになれるし、毎年楽しみにしている」と表情は明るかった。
 
昼食のカレーライスや汁物を届けるのは地元漁師の船

昼食のカレーライスや汁物を届けるのは地元漁師の船

 
漁港からシークレットビーチまでの送迎を担当した漁師たち

漁港からシークレットビーチまでの送迎を担当した漁師たち

 
 こうした景観のいい環境で体験活動を行うことで地域に魅力を感じ、自然を残し守ろうという気持ちになってもらうのが狙いの一つ。安全確保の条件が良いのもポイントで、有事の際にはハイキング路を利用し高台避難も可能だ。団体が連携することで多彩なプログラムを提供でき、それぞれの取り組みを知ってもらうことで次世代に活動をつなぐとの期待感もある。そして欠かせないのが地域の力。運営には住民、高校生や大学生など市内外のボランティアが協力し、実行委と合わせると約40人が関わった。
 
 「海の恵みをもらって暮らしている地域。豊かな経験を通し、いい思い出を作ってほしい。それが生きる力にもなるはず」とさんりくBLUE ADVENTURE共同代表の佐藤奏子さん(44)。震災後、気になっているのが海離れで、「海は怖いもの」と印象をいまだに残す人がいると感じている。「心の距離がある人たちが少しでも海に触れ合える機会になればいい。楽しい記憶を親子で残すことができたら、自然の見方や海への気持ちも変わってくると思う」。そのきっかけづくりになるよう取り組み続ける構えだ。
 
「古里の海の思い出と生きる力を育んでほしい」と佐藤奏子さん

「古里の海の思い出と生きる力を育んでほしい」と佐藤奏子さん

 
 同キャンプは海外からの大きな支えもあって継続する。釜石にゆかりのある元プロトライアスリートのマイケル・トリーズさん(英国出身)が設立した社会貢献団体「Tri 4 Japan(トライ・フォー・ジャパン)」の寄付で運営。新型コロナウイルスの影響で来釜は見送られているが、トリーズさんは心を寄せ続けているという。
 

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スイカ割り、花火…夏の風物詩で世代間交流 釜石小・大町地区子供会 地域とのつながりづくり

スイカ割りで交流を楽しむ釜石小児童とお年寄り

スイカ割りで交流を楽しむ釜石小児童とお年寄り

  
 釜石小学校(釜石市大渡町)の大町地区子供会(千葉法子地区長、児童21人)は17日、地区内にある高齢者施設で世代間交流会を開き、多世代でスイカ割りや花火遊びを楽しんだ。夏休みの親子レクリエーション行事として実施。児童と保護者ら30人がお年寄りと触れ合いながら思い出を作った。
  
 親子レクは新型コロナウイルス禍で行えずにいたが、感染症法上の位置づけが5類に引き下げられたこともあり、「子どもたちに楽しい夏の思い出を」と数年ぶりに計画した。子どもが大人たちと関わることで地域とのつながりができることをしようと考え、市地域包括支援センターに相談。同センターが、認知症対応型共同生活介護や小規模多機能型居宅介護事業を行うコンフォートライフ(松田宇善代表社員)に話を持ちかけた。
   
 会場は、同社が運営する施設「やかた」の駐車スペース。小規模多機能ホーム(定員29人)、グループホーム(同9人)、デイサービス(同3人/日)の入居者や利用者、職員ら30人ほどが子どもたちを待ち構えた。
   
子どもたちがスイカ割りに挑戦。目隠しをして臨んだ

子どもたちがスイカ割りに挑戦。目隠しをして臨んだ

   
 同センターが用意したスイカを前に、幅広のひもで目隠しした児童たち。プラスチック製の野球バットを手に3回、ぐるぐると回って、おぼつかない足取りでスイカに向かって進んだ。頼りは、友達からの「もっと右」「もう少し前」などの声。歩を止め、中腰の姿勢で力いっぱいバットを振りおろし、見事、スイカに命中すると、「おおー」と歓声と拍手が沸き起こった。
   
「そのまま真っすぐ」「はい、ストップ」。友達の声が頼り

「そのまま真っすぐ」「はい、ストップ」。友達の声が頼り

  
スイカ割りのこつは中腰。命中してもしなくても楽しい

スイカ割りのこつは中腰。命中してもしなくても楽しい

  
施設職員は方向を見失った“フリ”で利用者を驚かせたり

施設職員は方向を見失った“フリ”で利用者を驚かせたり

   
 スイカを味わった後は、花火遊びの時間。子どもたちが手持ち花火を楽しむ様子をお年寄りが見守った。5年の羽賀孔成君は、参加したくてうずうずしていた高齢男性に線香花火を手渡し、一緒にパチパチ。「喜んでもらえて良かった。やかたの前を通った時に顔を見たら、『こんにちは』と声をかけたい」と笑った。
   
手持ち花火を楽しむ子どもたち。「煙たいけどキレイだね」

手持ち花火を楽しむ子どもたち。「煙たいけどキレイだね」

  
「わー、きれい」。置き型の噴出花火は少し離れて楽しんだ

「わー、きれい」。置き型の噴出花火は少し離れて楽しんだ

   
 地域密着型の運営を目指す同施設では外部との交流行事や利用者主体で小学生の登下校を見守る「スクールガード」などを行っていたが、コロナの影響で中断。5類移行で行動制限は緩和傾向にあるが、高齢者施設での対応は変わらず続いていて、今回の交流会も悩んだという。ただ、入居者らが喜ぶ姿に、松田代表(52)は「いろいろ刺激になったようだ。この『家』からどんどん外に出て飲んだり買い物したり自由に過ごしてもらうのが理想。地域に開かれている施設として、できる形でつながりを深めていきたい」と見据えた。
   
児童とお年寄りが仲良く花火を楽しむ様子を見守る千葉地区長

児童とお年寄りが仲良く花火を楽しむ様子を見守る千葉地区長

   
 千葉地区長(47)は市臨時職員として高齢者と関わりのある業務に携わっていて、「子どもとの交流を通して高齢者に役割を見いだしてもらえたら」との期待もあった。世代を超えて夏の風物詩を堪能する様子に、ほっとした様子。「普段、地域に見守られている子どもが、今日は元気を分けられたと思う。にぎやかさが広がるような企画を続けたい」と思いを巡らせた。