タグ別アーカイブ: 地域

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活気あふれる「釜石よいさ」 幅広い年代集う 跳ねて踊って「よいやっさ~」

釜石鵜住居復興スタジアムで開かれた釜石よいさ

釜石鵜住居復興スタジアムで開かれた釜石よいさ

 
 さ~さ、よいやっさ~!威勢のいい掛け声とともに市民が群舞を繰り広げる祭り「釜石よいさ」(実行委主催)が15日、釜石市鵜住居町の釜石鵜住居復興スタジアムで開かれた。33回目の今回は18団体、約700人が集結。幅広い年代の市民らが息を合わせて踊り、笑顔の輪を広げた。
 
 おはやし隊の笛や太鼓に合わせ活気あふれる掛け声が響き、「よいさ小町」があでやかに舞った。色鮮やかな浴衣、そろいのはんてんをまとった踊り手が輪踊りのようにパレード。楽しげな様子に誘われた観客が飛び入りで輪に加わる姿も見られ、会場は熱気に包まれた。
 
明るい笑顔でパレードを先導する「よいさ小町」

明るい笑顔でパレードを先導する「よいさ小町」

 
大漁旗をモチーフにしたはんてん姿で踊る子どもたち

大漁旗をモチーフにしたはんてん姿で踊る子どもたち

 
「よいさ!」。子どもたちは掛け声も元気いっぱい

「よいさ!」。子どもたちは掛け声も元気いっぱい

 
大人の踊り手たちも負けず躍動。「さ~さ、よいやっさ~!」

大人の踊り手たちも負けず躍動。「さ~さ、よいやっさ~!」

 
 コロナ禍前からの復活として、久しぶりに参加したのは「釜石小学校PTA」。全学年から有志を募り、保護者や教員を含め総勢約40人で練り歩いた。事前練習をして臨み、藤元美和さん(6年)は「難しかった。でも、みんなと踊って、いい思い出になる」とはにかんだ。PTA会長の元持彰範さん(48)は「学年を超え仲がいいが、さらに仲良しになってくれれば」と期待。五安城正敏校長は「参加することで、地域を盛り上げられたら。楽しさを残せば、続くはず」と子どもたちを見守った。
 
お久しぶりのよいさ参加となった「釜石小学校PTA」

お久しぶりのよいさ参加となった「釜石小学校PTA」

 
 涼やかな浴衣姿で踊りを披露したモッモッアウンさん(22)とエイタンダートゥンさん(22)は、ミャンマーからやって来た技能実習生。市内の水産加工会社で働く仲間(ベトナム、インドネシア)とつくった「井戸商店・近藤商店 技能実習生チーム」(約20人)で輪に加わり、日本の祭りを満喫した。
 
釜石市内で働く技能実習生らも楽しく踊る「ヨイサッ」

釜石市内で働く技能実習生らも楽しく踊る「ヨイサッ」

 
 2人は浴衣姿に満足げで、終始にこにこ顔。3回(各25分間)ある踊りの時間も「楽しいー。疲れない」と満喫した。「キラキラ」と手を振る部分がお気に入りというアウンさんは「みんなで踊るのが面白い。釜石でいろんなものに触れている」と充実感をにじませた。
 
 長く夏の風物詩として親しまれてきた祭りは、東日本大震災やコロナ禍でたびたび中止を余儀なくされたが、昨年、4年ぶりに復活した。会場を市中心部から同スタジアムに移し、猛暑を避けるため時期も変更。リニューアルした形では2回目の開催となった。
 
2年目のうのスタ開催。おはやし隊も笑顔で盛り上げる

2年目のうのスタ開催。おはやし隊も笑顔で盛り上げる

 
ラグビーで盛り上げ!日本製鉄釜石シーウェイブスのパレードにはジュニアチームも加わった

ラグビーで盛り上げ!日本製鉄釜石シーウェイブスのパレードにはジュニアチームも加わった

 
 祭り好きな80代女性は「音が聞こえてくると、じっとしていられない。気持ちがウキウキする」と、会場そばから駆け付けた。震災後、地域も祭りも縮小し寂しさを感じていたようで、「鵜住居でやってもらえてうれしいし、楽しみにしていた。続けてほしい」と歓迎した。
 
飛び入り参加の受け皿となった「かまっこよいさ!」チーム

飛び入り参加の受け皿となった「かまっこよいさ!」チーム

 
跳びはねながら元気に愛らしく踊る子どもたち

跳びはねながら元気に愛らしく踊る子どもたち

 
青色系がハヤリ?そろいの法被で踊りの輪をつくる大人たち

青色系がハヤリ?そろいの法被で踊りの輪をつくる大人たち

 
よいさを盛り上げた司会の佐野よりこさん(左の写真)。飲食や縁日コーナーもあり、にぎわった

よいさを盛り上げた司会の佐野よりこさん(左の写真)。飲食や縁日コーナーもあり、にぎわった

 
 以前、会場だった市中心部・大町周辺での再開を望む声もある。よいさと連動したにぎわい創出策として昨年実施した「アフターよいさ」を、今年は趣向を変え“前夜祭”に。14日夜、市民らがTETTO(テット)前広場で踊りの輪をつくって祭り気分を楽しんだり、立ち飲みスペースでほろ酔い気分を味わったりした。
 
市中心部のにぎわいにつなげようと行われた「よいさ前夜祭」

市中心部のにぎわいにつなげようと行われた「よいさ前夜祭」

 
「乾杯!」。立ち飲みスペースで祭り気分を味わう市民ら

「乾杯!」。立ち飲みスペースで祭り気分を味わう市民ら

 
 近くにある復興住宅で暮らす佐々木敬子さん(82)も祭り好きで、うれしそうに輪踊りを見つめていた。地元出身のフリーアナウンサー・民謡歌手佐野よりこさん(よいさ本番では司会も担当)の歌声を楽しみ、「年齢もあって踊るのは難しくなったけど、雰囲気を味わうだけでも楽しい。こういう催しで地域がにぎわってほしい」と願った。
 
 実行委によると、よいさ本番と前夜祭を合わせた来場者は約4000人。実行委員長の一人、大和田崇士さん(47)は子どもの頃に参加し、「大勢で踊る楽しさ」を記憶する。そうした思い出は実行委メンバーの多くに共通。「踊って、食べて、遊んで!全力で楽しんでほしい」。祭りの継承へ思いをより強くしている。
 
来年も「釜石よいさ」で会いましょう!

来年も「釜石よいさ」で会いましょう!

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震災復興・野球少年を応援! 天童よしみさん「夢と希望、捨てないで」 釜石市、感謝状贈る

応援を続ける天童よしみさんと交流した三陸地域の野球少年ら

応援を続ける天童よしみさんと交流した三陸地域の野球少年ら

 
 東日本大震災以降、釜石市などを会場に続けられている「天童よしみ絆旗学童野球大会」。冠する名の通り、演歌歌手の天童よしみさんが優勝旗など用品を贈って支援する。13年前、津波の爪痕が残る釜石を訪れていた天童さん。歌声で元気を届けると、笑顔のお返しがあり「逆に力をもらった」という。「夢や希望を捨てないで」。そんな被災地に寄せる心が、野球少年の応援活動につながった。自身も「新しいホールができたら、釜石でコンサートを」と思い続け、このほど実現させた。「夢や希望は持ち続ければかなう」。思いを体現する天童さんに、市民や子どもたちが感謝を伝えた。
 
 この大会は三陸の早期復興と岩手県内の野球少年の交流を図ろうと、2012年に始まった。当初は県の内陸部で実施し、被災した沿岸部の復旧が進んで開催場所が確保できるようになった15年の第4回大会から釜石を主会場に続けられている。
 
 その舞台となる平田公園野球場に9日、昨年の優勝チーム、綾里はまっこスポーツ少年団(大船渡市)、地元の釜石ファイターズと釜石野球団ジュニアのメンバーらが集合。優勝旗「絆旗」、大会旗を手に天童さんを囲んで記念写真を撮ったりして触れ合った。市と市体育協会は復興支援に貢献したとして天童さんに感謝状を贈呈。小野共市長は「その行動力に市民が元気づけられた」と述べた。
 
優勝旗と大会旗、天童さんを囲んで写真に納まる少年野球チームのメンバーら

優勝旗と大会旗、天童さんを囲んで写真に納まる少年野球チームのメンバーら

 
子どもたちや関係者が見守る中で天童さんに感謝状が贈られた

子どもたちや関係者が見守る中で天童さんに感謝状が贈られた

 
「大変なことがあっても目標、夢、希望を失わないよう…何か一つ絆を贈りたかった」と思いを話す天童さん

「大変なことがあっても目標、夢、希望を失わないよう…何か一つ絆を贈りたかった」と思いを話す天童さん

 
 天童さんは「学童のみんなも、私も毎回、この大会を楽しみにしていた。力いっぱい野球をしてほしい。元気でスポーツを、そして健康な心と体力を持ち続けてほしい」と熱を込めた。
 
 釜石野球団ジュニア所属の小笠原明香里さん(小学6年)は「着物を着て歌っているイメージだったけど、(洋服を着ても)かっこいい。スポーツを続けられる環境をつくってくれてうれしい」とはにかんだ。
 
 佐久間優希さん(中学3年)は、小学生時代に釜石ファイターズのメンバーとして臨んだ第10回大会で優勝した経験を思い浮かべ、「6年生は夏で野球が終わってしまうが、この大会があるから秋も野球を続けられたし、ステップアップできた」とうなずく。優しそうな天童さんの雰囲気に感激した様子で、現メンバーとして競技に励む妹優愛さん(小学2年)と笑顔を重ねた。
 
「野球、楽しんでる?」。子どもに優しく声をかける天童さん

「野球、楽しんでる?」。子どもに優しく声をかける天童さん

 
 天童さんの釜石応援は、同大会発起人で唐丹町出身の下村五五男(いさお)さん(69)=矢巾町=が震災直後に手紙を出したことがきっかけ。被災地への来演を望む思いに応え、11年5月に市内にあった避難所を訪ね、被災者を激励した。少年期から選手、指導者として野球にかかわる下村さんが大会の構想を伝えると、天童さんが賛同。絆旗や用品を贈るなど運営を支え、地域に根づく大会となった。
 
 今回、天童さんはコンサートのため、13年ぶりに来釜。9日は鵜住居町、唐丹町を回った。「当時、13年前は…声が出ないほどの壊滅的な場面が頭に焼き付いて、ずっと引っかかっていた。復興をこんな早く進めて、すばらしい街並みになった。海がちゃんと見える場所もあって…よかった」とうなずいた。
 
 13年前に拍手で出迎えてくれ住民らとも再会。天童さんは「皆さんの元気な笑顔を見ることもできて、うれしい」と表情をやわらげた。当時は、被災地に入ることに緊張や迷い、「どんな風に元気づけたらいいか」と不安もあったが、下村さんの手紙には「今こそ、勇気づけてほしい」とつづられ、添えられたある写真に「気持ちが動いた」という。50年以上前、釜石に来演した天童さんと一緒に納まった写真―。その頃からファンだった下村さんの熱意に反応した。
 
 それからつながる野球少年の応援に込めるのは「目標、夢、希望を捨てないで」との願い。幼少期から50年以上歌い続ける自身の経験もあるようで、「長く、長くやっているからこそ、夢と希望は持ち続けないと。必ずかなうから」と言葉に力を込めた。
 
天童さんの隣に座って言葉を交わす下村五五男さん

天童さんの隣に座って言葉を交わす下村五五男さん

 
贈呈式の様子をうれしそうに見守った下村さん(手前)と大会実行委員会関係者ら

贈呈式の様子をうれしそうに見守った下村さん(手前)と大会実行委員会関係者ら

 
 感謝状贈呈の場には下村さんや大会実行委員会のメンバーらの姿もあり、感慨深げに見つめていた。「晴れやかな涙が出た」と顔をほころばせた下村さん。野球人口が減り、複数の学校が組んで大会に出場する「連合チーム」が増えている現状を残念がるが、「楽しむ熱意のある子たちを応援し続けたい」と思いは変わらない。
 
 「もう1回、釜石にホールができたらコンサートに来たいと言っていた」と振り返った天童さん。10日、震災後に整備された大町の市民ホールTETTOで有言実行。「いろんなことが起きているが、乗り越えた皆さんは強い。これからに向かって、その元気パワーでさらに盛り上げてもらえるように」。熱い応援を歌声にのせ届けた。

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ここって釜石?! 隠れ家ビーチで海の魅力再発見 泳いで潜って乗って… 安全も学ぶ1DAYキャンプ 

11年目を迎えた「海あそびワンデイキャンプ」=8日、箱崎町白浜

11年目を迎えた「海あそびワンデイキャンプ」=8日、箱崎町白浜

 
 リアス海岸の地形が生んだ絶景ビーチでさまざまな遊びを楽しめる日帰りキャンプが8日、釜石市箱崎町白浜地区で行われた。地元の海に関わる団体や漁師らでつくる、海と子どもの未来プロジェクト実行委「さんりくBLUE ADVENTURE(ブルー・アドベンチャー)」が主催。漁船で上陸した箱崎半島の白砂の海岸で、親子連れら約50人が各種マリンレジャーを楽しんだ。
 
 キャンプ地は白浜漁港から船で2キロほどの場所にある、通称「小白浜」と呼ばれる入り江の海岸。背後は山林で、高台には三陸ジオパークのジオサイトの一つ、花こう岩の景勝地「千畳敷」へのハイキング路が連なる。漁港でウエットスーツとライフジャケットを着用した参加者は地元漁師の船で浜に上陸。さまざまな海遊びに興じた。
 
白浜漁港から地元漁師の船で“小白浜”に向かう

白浜漁港から地元漁師の船で“小白浜”に向かう

 
 シーカヤック、スタンドアップパドルボード(SUP=サップ)を操り、海上からの眺めを楽しむ人。シュノーケリングで海中の生き物を探す子ども。波打ち際で砂遊びに夢中になる親子。それぞれに好きなことをして、海の面白さを体感した。
 
 鵜住居町の佐々木結萌さん(10)は「楽しそうだったから」と初めて参加。小学校の友人と泳いだり潜ったりと、時間を惜しんで満喫した。夏休みには海水浴にも行ったが、「ここは海の色がすごくきれい。水に浮かぶのが一番楽しかった。帰ったら家族に報告したい」と今夏の思い出を増やした。
 
「海だー!」砂浜から駆け出す子どもたち

「海だー!」砂浜から駆け出す子どもたち

 
思い思いに海遊びを楽しむ。みんな笑顔満開!

思い思いに海遊びを楽しむ。みんな笑顔満開!

 
近年人気のスタンドアップパドルボード(SUP)。海上をゆっくり散歩

近年人気のスタンドアップパドルボード(SUP)。海上をゆっくり散歩

 
シーカヤックは初心者でも操縦可能。海面を滑るように進む

シーカヤックは初心者でも操縦可能。海面を滑るように進む

 
 人気を集めたのは海上パトロールや救助にも使われる水上オートバイの乗船体験。全国組織のシーバードジャパンが協力し、4艇を使って約30分の長距離走行を実現した。釜石、気仙沼(宮城県)、さがえ(山形県)の東北3拠点のほか、千葉県からも隊員が応援に駆け付け、代わる代わる参加者を乗せて大槌湾に繰り出した。ライフセーバーの資格を持つ13人の隊員は、浜辺や海上から参加者の安全にも目を配った。
 
シーバード隊員が操縦する水上オートバイに乗っていざ大海原へ

シーバード隊員が操縦する水上オートバイに乗っていざ大海原へ

 
写真上:水上オートバイから見るリアス海岸は絶景 同下:沖から見た“小白浜”

写真上:水上オートバイから見るリアス海岸は絶景 同下:沖から見た“小白浜”

 
 片岸町の小笠原泰樹さん(41)家族は同キャンプ初参加で、水上オートバイにも初めて乗った。長男皐太さん(9)は「水を跳ねて海を走っていく感じが最高。景色も陸から見るのとは違った。(岩肌には)小さい神社の鳥居も見えた」、母恵子さん(40)は「御箱崎灯台が見えるところまで行った。天気が良くて海がキラキラ輝いていた。魚の群れも見えた」と大興奮。泰樹さんは「三陸ジオパークとしてPRしているのは知っていたが、じかに見たことはなかった。釜石にもこんな素晴らしい観光資源があったとは。特別感がある体験」と感激。「もっとみんなに知ってほしいし、ぜひ見てもらいたい」と夫婦で口をそろえた。
 
 シーバード富津(千葉県)の古賀健一郎代表(57)も「仲間に誘われ、ずっと来てみたかった場所。エメラルドグリーンというか、海の色が全然違う」と驚きの表情。大津波が襲った震災後、海離れが進んだ話も聞いていたが、子どもたちがはしゃぐ姿を目にし、「海に携わる人間としては本当にうれしいこと。せっかくの大自然。ぜひ、多くの人に触れてほしい。子どものころの体験は親になった時に自分の子どもを連れてくることにもつながる」とほほ笑んだ。
 
海中の白砂が見えるぐらい透明度抜群のビーチ

海中の白砂が見えるぐらい透明度抜群のビーチ

 
海の楽しさを満喫する参加者

海の楽しさを満喫する参加者

 
 震災後の「海離れ」を食い止めたい、地元の豊かな自然に誇りと愛着を持ってほしい―と始められたキャンプは、今年で11年目に突入。釜石ライフセービングクラブ(菊池健一会長、10人)など海の安全に関わる団体、箱崎白浜の漁師、市内外のボランティアなど多くの支援者の協力で継続されている。海の専門家による安全管理体制が整っていることで保護者の信頼も厚く、リピーターも多数。キャンプでは、海への転落や溺れてしまった時に自分の身を守る「浮いて待て(浮き身)」の方法を教える講習も欠かさない。開始前には地震、津波時に逃げられる高台への避難ルートの確認、仮設トイレで使う非常用便器の使用法の説明など、防災に関わる知識、意識の普及にも努める。こうした地道な活動を通して“海のまち”で生きる力を育む。
 
スタッフが紹介され、海での注意点などが伝えられた開会行事

スタッフが紹介され、海での注意点などが伝えられた開会行事

 
災害時に役立つ簡易トイレの使い方を説明

災害時に役立つ簡易トイレの使い方を説明

 
 同実行委共同代表の佐藤奏子さん(45)は「防災や野外活動など各種分野の専門家の協力を得て、有意義な活動ができている。この11年で自分たちの経験値も上がり、仲間も少しずつ増えてきた。地域の活力にもつながっていると感じる。毎年参加してくれる子どもたちもいて、成長を見られるのもうれしいこと」と話す。今年は運営スタッフとして、市内外から30人余りが協力した。
 
漁船からも参加者を見守る。ライフセーバーは海上を巡回して安全を確認

漁船からも参加者を見守る。ライフセーバーは海上を巡回して安全を確認

 
シュノーケリングで海中の生き物探し。普段見られない世界に子どもも大人も夢中

シュノーケリングで海中の生き物探し。普段見られない世界に子どもも大人も夢中

 
ヒトデや貝、アメフラシなどさまざまな生き物が見つかった

ヒトデや貝、アメフラシなどさまざまな生き物が見つかった

 
 この活動には、釜石はまゆりトライアスロン国際大会に参加していたマイケル・トリーズさんが立ち上げた被災地支援組織「Tri 4 Japan(トライ・フォー・ジャパン)」が初回から協力。ウエットスーツや活動資金を提供している。
 
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1、2年生チーム 力試しの新人戦 釜石大槌地区中学校 7競技で熱戦 保護者の声援受け懸命プレー

各競技で熱戦を繰り広げた釜石大槌地区中学校新人大会=7日

各競技で熱戦を繰り広げた釜石大槌地区中学校新人大会=7日

 
 2024年度釜石大槌地区中学校新人大会(同地区中学校体育連盟主催)は7日、釜石、大槌両市町の学校体育館、公共スポーツ施設で7競技が行われた。3年生の部活動引退後、1、2年生による新チームを結成しての初の公式戦。本来であれば9競技が行われるが、2競技で対戦のための人数がそろわず、試合を断念した。上位チーム、選手が出場する県大会は10月(前期)と11月(後期)の2つの日程で行われる。
 
 少子化による生徒数の減少などで、単独校での大会出場が難しくなっている団体競技。3年生引退後の新人戦はさらに人数が減り、対戦カードを組めない競技も複数出ている。今大会、軟式野球は地区予選がかなわず、釜石、大平、甲子、大槌の4校合同チームが地区代表で県大会に出場する。バスケットボール女子も釜石、大平、大槌の3校合同チームで県大会へ。柔道は団体、個人とも地区予選ができず、各階級の男女選手が県大会個人戦に出場する。剣道は男子のみの参加で、団体戦は大槌が地区予選なしで県大会に進む。
 
 釜石中体育館で男子個人戦のみ行われた剣道競技には3校から9人が参加。予選リーグの後、6人による決勝トーナメントが行われた。会場では保護者らが試合を見守り、技が決まると拍手で選手をたたえた。個人戦は上位3人が県大会に進む。
 
釜石中体育館で行われた剣道競技の男子個人戦

釜石中体育館で行われた剣道競技の男子個人戦

 
保護者や釜石、大槌の剣道協会員らが見守る中、試合が行われた

保護者や釜石、大槌の剣道協会員らが見守る中、試合が行われた

 
 3位決定戦で勝利し、県大会出場権を獲得した高木壮嘉選手(釜石中1年)は小学4年から剣道に励む。同じく小学校からやっている2選手に「今日は勝ちたかったが、気持ちで負けてしまった部分がある」と反省。県大会に向け、メンタル強化を課題に挙げた。6月の中総体では団体戦ができたが、3年生の引退で今回は人数が足りず、対戦できなかった。「できなかったのはちょっと悲しい。来年の新1年生の入部に期待したい」と仲間が増えることを願った。
 
県大会出場を目指し試合に挑む釜石、大槌の選手

県大会出場を目指し試合に挑む釜石、大槌の選手

 
 甲子中体育館が会場となったバレーボール競技。男子は吉里吉里と釜石・甲子合同チームが対戦した。女子は大平と吉里吉里が合同チームを結成。釜石東、甲子、釜石とともに4校のトーナメント戦が行われた。2階ギャラリーでは保護者が熱い声援を送り、
選手のプレーを後押しした。
 
甲子中体育館で行われたバレーボール競技。女子1回戦 甲子-釜石

甲子中体育館で行われたバレーボール競技。女子1回戦 甲子-釜石

 
選手に声援を送る両チームの保護者ら

選手に声援を送る両チームの保護者ら

 
 甲子中女子の上小路琉月主将(2年)は1回戦で釜石中に勝利後、「声とかつなぎとか練習の成果は出せた。2セット目は最初、相手に取られてあせりもあったが、全員で抑え切れたと思う」と手応えを実感。一方で、「相手の波にのまれると負けてしまうので、自分たちのペースに持ち込めるように頑張りたい」と次戦への意欲を高めた。決勝では釜石東を破り、県大会出場を決めた。
 
甲子の攻撃を止めようと食らいつく釜石の選手(白ユニホーム)

甲子の攻撃を止めようと食らいつく釜石の選手(白ユニホーム)

 
同試合は甲子のリードで進み、2-0で勝利した

同試合は甲子のリードで進み、2-0で勝利した

 
 同地区では本年度の中総体から、サッカー競技に大槌サッカークラブ、バドミントン競技にKBFの2地域クラブが参戦。本大会にも出場し、大槌サッカークラブは釜石東を破り初優勝。KBFは女子団体戦で中総体に続く連覇を果たした。
 
 釜石大槌地区の代表が出場する競技の県大会は前期が10月19、20日(バスケットボール、サッカー、軟式野球、ソフトテニス)、後期が11月16、17日(バレーボール、卓球、バドミントン、柔道、剣道)に県内各会場で開催予定。同地区大会の結果は大会成績一覧表の通り。
 
2024年度釜石大槌地区中学校新人大会成績一覧表(PDF:164KB)

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覚えて!命守る応急手当 釜石で「救急の日」イベント 一日隊長の小学生が伝えるAED蘇生法

心肺蘇生法やAEDの使い方を学んで体験できる「救急ひろば」

心肺蘇生法やAEDの使い方を学んで体験できる「救急ひろば」

 
 9月9日の「救急の日」と「救急医療週間」(2024年度は9月8~14日)にちなみ釜石消防署は8日、釜石市港町のイオンタウン釜石で救命法の体験イベント「救急ひろば」を開いた。「一日救急隊長」に任命された佐々木智桜さん(鵜住居小5年)が救急時の対処法を実演。「大切な人を守るために覚えてほしい」と、家族連れなどに自動体外式除細動器(AED)の使い方も伝えた。
 
 イベントは市民に救急業務に対する理解を深めてもらうとともに、応急手当てなどの必要性を認識してもらうのが目的。救命率向上には素早い処置が欠かせず、一般の人がAEDを使用できることから、同署では「子どものうちからスキルとして身に付けてほしい」と考え、「共感してもらえる」と佐々木さんに白羽の矢を立てた。
 
 佐々木さんは市内最年少の「大震災かまいしの伝承者」として防災に関する活動に取り組む。資格取得を目指す防災士に必要なことから、昨年12月に同署で普通救命講座(3時間)を受講。心肺蘇生やAEDの扱い方を学び、救命技能認定証を有する。
 
「一日救急隊長」としてイベントに参加した佐々木智桜さん

「一日救急隊長」としてイベントに参加した佐々木智桜さん

 
 この日、佐々木さんは救急活動をモチーフにした寸劇を披露した。下校し自宅に帰ると、父親が倒れており、駆け寄った家族らに「119番に電話して」「AEDを持ってきて」と依頼。周囲の安全を確認した後、胸骨圧迫を行ったり、AEDを使って助けた。
 
 消防署員の質問に答える形で、佐々木さんが胸骨圧迫のポイントを紹介した。胸のほぼ真ん中にある心臓を重ねた両手で繰り返し押すが、「リズムは1秒間に2回で、深さ(強さ)は5センチ。心臓が止まってから、3~4分間のうちに行うこと」と素早い処置の必要性を強調。「大切な人を助けたり、守るためにやり方を覚えてください」と、見守った買い物客らに呼びかけた。
 
AEDを使った救急活動を寸劇で披露する佐々木さんと消防署員

AEDを使った救急活動を寸劇で披露する佐々木さんと消防署員

 
 会場では人形を使った胸骨圧迫やAED操作体験、救急時に傷病者を運ぶ「ストレッチャー」の乗降体験、クイズなどが用意され、参加者は見聞きしながら救急に対する意識を高めていた。佐々木さんに教わりながら、救命活動に挑戦した小学生、澤本芽依さんは「心臓を押すのは大変だったけど、やり方が分かった。いざという時に助けられる人になりたいから、もっと勉強したい」と刺激を受けた様子。母さやかさんは「触れてみる、いい機会になった。万一ということがあるということを考える機会にもなったのでは」と見守った。
 
消防署員のアドバイスを受けながら胸骨圧迫する参加者

消防署員のアドバイスを受けながら胸骨圧迫する参加者

 
覚えた救命法を参加者に伝える佐々木さんと消防署員

覚えた救命法を参加者に伝える佐々木さんと消防署員

 
 同署によると、管内の救急に関する出動要請件数は年間約1600件で、そのうち救急搬送人員は約1500人となっている。応急手当などが必要なケースもあるが、助けるという行為は消防や救急隊、医師がやるというイメージを持つ人が多いのが現状。AEDは身近な存在になったが、いざ使用するとなると勇気がいる。
 
「みんなで救命活動を」と願いが込もった「救急の日」イベント

「みんなで救命活動を」と願いが込もった「救急の日」イベント

 
 救急係の木村一生係長は「3~4分、早いうちの対処があれば助かる命がある。それができるのは居合わせた人、家族」と話し、救命率を向上させるためにも「心肺蘇生やAEDの扱いを子どものうちから大切なスキルとして持ってほしい。智桜さんを通して『誰でもできる』ことを伝えられたら」と期待を込める。

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今年もうのスタで 「釜石よいさ」15日開催 TETTOで前夜祭も まちの活力復活へ2年目の挑戦

釜石よいさ本番に向け練習に励むよいさ小町(写真上)とお囃子隊(同下)

釜石よいさ本番に向け練習に励むよいさ小町(写真上)とお囃子隊(同下)

 
 釜石市の夏祭り、第33回釜石よいさ(実行委主催)は15日、鵜住居町の釜石鵜住居復興スタジアム(うのスタ)で行われる。コロナ禍による休止後、課題となっていた経費、運営体制を見直し、持続可能な形を模索する同実行委。復活開催2年目の今年も、うのスタを会場に日中に行うことで、交通規制や夜間照明にかかる経費削減、運営人員規模の縮小を図る。以前、会場だった市中心部、大町周辺のにぎわい創出策として、14日夕方には市民ホールTETTO前広場で前夜祭も開催。市内外からの誘客につなげる。
 
 踊りには17団体約600~700人が参加予定。幼児対象のこどもよいさには市内の4こども園が参加。初参加の「井戸商店・近藤商店 技能実習生チーム」は水産加工業に従事する外国人のほか、市内の他工場で働く外国人の参加も受け入れ、祭り文化の体験、国際交流の機会とする。団体に所属しない子どもたちが参加しやすいように、今年も「かまっこよいさ!」チームが受け皿となり、当日の飛び入り参加を促す。コロナ禍前からの復活は「釜石小学校PTA」チーム。親子で久しぶりのよいさを楽しむ。ラグビーの「日本製鉄釜石シーウェイブス」はホームグラウンドでの祭りを踊りで盛り上げる。
 
釜石鵜住居復興スタジアムで行われた第32回釜石よいさ=昨年9月23日

釜石鵜住居復興スタジアムで行われた第32回釜石よいさ=昨年9月23日

 
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観客を笑顔にする“こどもよいさ”。うのスタから元気を発信(昨年)

 
 祭りを先導する、よいさ小町、お囃子(はやし)隊の練習も大詰めを迎える。今年の「よいさ小町」は高校生4人を含む女性13人で結成。8人が初めての“小町”での参加だ。4回目の練習日となった6日は、学業や仕事を終えて集まった11人が前囃子と本囃子の踊りの練習に励んだ。
 
前囃子の踊りを練習する「よいさ小町」=6日、釜石PIT

前囃子の踊りを練習する「よいさ小町」=6日、釜石PIT

 
 高校1年の小笠原皐さん(16)は幼稚園から小学校まで踊りで参加していた地元出身者。高校生以上が対象の「よいさ小町」に初めて応募し、これまでとは違う立場での参加を楽しみにする。女性ならではのしなやかな動きの前囃子の踊りに「ヒップホップダンスを習っていたので、その癖が抜けない」と笑いつつ、「先輩方に教わりながら形になってきた。浴衣で踊るので、足さばきの所作も勉強しないと」と本番への意欲を高める。「未来の釜石がもっと明るくなるように…」と願い、祭りを華やかに彩る。
 
 神奈川県出身の平澤果鈴さん(24)は今年4月、市内の企業にIターン就職。「釜石に溶け込みたい」と、よいさ小町への挑戦を決めた。「踊りは難しいけど、振り付けに釜石の虎舞の動きとかが入っていて面白い」と楽しむ余裕も。観光関連の仕事で地域創生に携わっており、「地域理解も深めたい」と意気込む。同祭り自体を見るのも初めての経験。「雰囲気を存分に味わいたい。笑顔で楽しく踊れれば」と当日を心待ちにする。
 
虎舞がモチーフの躍動感あふれる本囃子の踊り

虎舞がモチーフの躍動感あふれる本囃子の踊り

 
当日は飛び入り参加OK。よいさ小町をお手本にどんどん踊ろう!

当日は飛び入り参加OK。よいさ小町をお手本にどんどん踊ろう!

 
 大小の太鼓、笛などで編成するお囃子隊は、小学生から50代までの男女35人。初参加、経験者、復活組とさまざまな面々が集う。TETTOホールAを練習会場に、夕方から約1時間半の練習を重ねてきた。当日は25分ずつ3回の踊りの時間を、太鼓や笛の音、掛け声で支える。
 
幅広い年代が集まるお囃子隊。本番に向け練習にも一層力が入る=8日、TETTO

幅広い年代が集まるお囃子隊。本番に向け練習にも一層力が入る=8日、TETTO

 
ベテランから大太鼓のばちさばきを習う参加者

ベテランから大太鼓のばちさばきを習う参加者

 
 千代川瑛大さん(中3)は父智紀さん(47)と小太鼓で親子参加。幼稚園以来の参加という瑛大さんは「周りとリズムを合わせられるようになると達成感と喜びがある」と、お囃子の醍醐味(だいごみ)を実感する。コロナ禍でかなわなかった「人と会って楽しむ時間」を復活させてほしいと願い、「みんなが楽しめるように頑張りたい」と話す。震災後、長女と参加していた智紀さんは「昨年から会場が変わったが、また違った雰囲気でにぎやかさもあった。涼しいのもいい。今年はお囃子初参加の息子と盛り上げに貢献できれば」と思いを込める。
 
 お囃子での参加は25年ぶりという男性(51)は久しぶりの大太鼓に「意外と覚えているものですね。年齢を重ねた分、体力は使いますけど」と苦笑い。“引退”後は職場で踊りでの参加を続けてきたが、会場変更に伴う移動の困難さなどで職場の参加は取りやめに。今回は初の兄弟参加で、「できる限り力を尽くしたい」と誓った。
 
心地良いリズムの笛の音も釜石よいさのお囃子には欠かせない

心地良いリズムの笛の音も釜石よいさのお囃子には欠かせない

 
小太鼓を締める作業も自分たちで。良い音を響かせるために…

小太鼓を締める作業も自分たちで。良い音を響かせるために…

 
 運営に関わる諸課題解決のため、試行的に実施された昨年の“うのスタ”よいさ。実行委員長の一人、佐久間定樹さん(42)は「観客数は予想以上で、市外から訪れる人も多かった印象。初めてスタジアムに足を運んだという市民もいた。開催時期を8月から9月にしたことで、猛暑による熱中症回避にもつながったものとみられる」と一定の成果を実感。一方で、交通アクセスや周辺への経済波及効果の面で市街地開催を望む声もあり、双方のメリット、デメリットを勘案した未来につなぐための取り組みは続く。
 
 コロナ禍前に比べ、半減する参加団体数については「3年間の休止で、転勤のある企業などはよいさを知らない人たちだけになり、長年参加してきた企業も不参加のケースが増えている」と佐久間さん。企業参加を増やすための方策も今後の課題に据えた。
 
 第33回釜石よいさは15日午後1時から釜石鵜住居復興スタジアムで、前夜祭は14日午後5時半から市民ホールTETTO前広場で行われる。詳しいタイムテーブルは釜石よいさ公式サイト、8月15日号の広報かまいしなどで見ることができる。

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岩手と秋田つなぐ盤上の熱戦 釜石で腕競う「国道107号沿線支部交流将棋大会」

釜石を舞台に熱戦を繰り広げた岩手と秋田の将棋愛好家ら

釜石を舞台に熱戦を繰り広げた岩手と秋田の将棋愛好家ら

 
 岩手県と秋田県の将棋愛好者が集う「国道107号沿線支部交流将棋大会」は1日、釜石市鵜住居町の鵜住居公民館で開かれ、参加者が盤上で熱戦を繰り広げた。1994年に始まった大会は26回目。日本将棋連盟釜石支部が主催。東日本大震災やコロナ禍などの影響で中止もあったが、顔を合わせる機会を楽しみに続けており、関係者は「それぞれの県でやり方が違う。学び、競い、腕を磨き合いたい」と語り口も熱い。
 
 国道107号は、岩手・大船渡市を起点とし、秋田・由利本荘市までを結ぶ。「横のつながり」を深めようと、両県で交互に、参加支部の持ち回りで継続。この国道に接続する釜石も仲間に加わり、2003年には戦いの場にもなった。開催地として順番が回ってきても震災の影響で受け入れが難しかったが、21年ぶりに集いの場に手を挙げた。
 
「国道107号沿線支部交流将棋大会」が釜石で開かれるのは21年ぶり

「国道107号沿線支部交流将棋大会」が釜石で開かれるのは21年ぶり

 
 5人1組の団体戦に、両県から11支部14チームが出場。2ブロックに分かれて1人5局ずつ対戦し、点数制で順位を競った。将棋盤を挟んで向かい合うのは、小学3年生~80代までと幅広い年代。対局が終わると、駒を動かしながら感想を伝え合ったり、白熱する戦いを囲んで見守る光景があちらこちらで見られた。
 
優勝旗を狙って集う愛好者。静かなる戦いが展開した

優勝旗を狙って集う愛好者。静かなる戦いが展開した

 
幅広い年代が盤面に向かい合う。注目の対局を見つめる姿も

幅広い年代が盤面に向かい合う。注目の対局を見つめる姿も

 
対局後に振り返りながら親睦を深める光景もあった

対局後に振り返りながら親睦を深める光景もあった

 
 一関ごきげん支部(岩手)の大将として臨んだ高橋桜子さんは、宮城県登米市の中学1年生。家に将棋盤があったことから始め、「いろんな手を探すのが面白い」とハマって4年ほどになる。同支部に所属し、大人に混じって大会に出場しながら鍛錬中。この日の対局も「序盤からリード。優勢に進められている」と手応えを口にした。結果、同支部は3位に入賞。冷静さをのぞかせつつも「勝つと景品がもらえるのがうれしい」と中学生らしい一面も見せた。
 
3位に入賞した一関ごきげん支部。高橋桜子さんも活躍

3位に入賞した一関ごきげん支部。高橋桜子さんも活躍

 
 大会長を務めた北上支部(岩手)の軽石初彦支部長(82)は「対局を通じ、学びを深める機会。将棋の楽しみを感じてほしい」と意義を強調する。昨年、岩手初のプロ棋士が誕生したことに触れ、「小山怜央四段の活躍は岩手の誇り。将棋熱が高まる釜石は将棋のまちだ」と力説。意欲あふれる同支部から3チームが出場し、Aチームが5戦全勝で優勝旗を手にした。
 
熱い戦いを制し優勝旗を手にした北上Aチーム(左側)

熱い戦いを制し優勝旗を手にした北上Aチーム(左側)

 
終局すると感想戦がスタート。遠野支部(右)は準優勝

終局すると感想戦がスタート。遠野支部(右)は準優勝

 
 小山四段は7月にフリークラスからC級2組への昇級を決め、来年度から順位戦に臨む。それを祝って釜石支部がつくった巾着袋が参加賞として贈られた。震災後の支えや今大会の協力に加え、「過去に出場経験がある小山四段を育ててもらった」と感謝を込めたもので、土橋吉孝支部長(68)は「前回、釜石大会の景品は秋の旬サンマだったが、今の旬は小山怜央」とニヤリと笑った。同支部は4勝1敗の成績だったものの、個人勝ち数の差などで5位だった。
 
地元釜石チームも対局に集中。右上写真は参加賞の「小山怜央四段巾着袋」

地元釜石チームも対局に集中。右上写真は参加賞の「小山怜央四段巾着袋」

 
 「強い若手の勝負は面白い」。本庄支部(秋田)の真坂政悦支部長(71)は仲間の戦いぶりをじっと見つめた。“西の端”から釜石に乗り込んできたが、台風の影響が残った道中は2カ所の通行止めがあって一苦労。それでも「地震、コロナ、雨にも風にも負けず続けてくれたことに感謝」と県をまたいだ交流を楽しみにする。
 
 ただ、団体戦のため人数の確保が難しくなっていたり、移動距離にためらう支部があってか、参加数が「以前より少ない」と残念がる。「参加数が増えたら」と望む声は他にも聞こえてきて、主催者側は今回107号につながる岩手県内の沿岸支部にも声がけしていて、宮古市からの参加もあった。
 
秋田vs秋田、強い若手の対局は注目を集めた。左手が本庄支部

秋田vs秋田、強い若手の対局は注目を集めた。左手が本庄支部

 
 若手もベテランも互いに高め合う大会―。来年は由利本荘市で開催する予定。真坂支部長は今回の運営の様子にも目を光らせていて、「参考にしつつ、準備を進めたい」と前を向いていた。
 
 結果は次の通り。
◇団体戦順位①北上支部A(畠山和人さん、高橋英聖さん、菅原大典さん、盾石拓さん、藤原隆幸さん)②遠野支部(中村道典さん、昆隆志さん、米澤祐太さん、小島常明さん、新沼光幸さん)③一関ごきげん支部(高橋桜子さん、千葉大胤さん、小林秀雄さん、横田努さん、吉田拓生さん)
◇個人全勝者/岩泉毅さん(宮古)、畠山和人さん(北上A)、昆隆志さん、米澤祐太さん(遠野)、梅村琴和さん(東和まほろば)、土橋吉孝さん(釜石)、藤原隆幸(北上A)

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姉妹都市ディーニュ市訪問団を「すずこまジェラート」で迎えよう! 栽培の栗林小が活動報告

小野市長(左から2人目)にジェラート用すずこま(トマト)栽培について報告した栗林小児童ら

小野市長(左から2人目)にジェラート用すずこま(トマト)栽培について報告した栗林小児童ら

 
 姉妹都市提携30周年を記念し、21日から釜石市を訪れるフランス、ディーニュ・レ・バン市代表団。初日の歓迎レセプションでは、釜石市民らがさまざまな形で歓迎の気持ちを表す。その一つが地元特産のクッキングトマト「すずこま」を使ったウェルカムジェラートの提供。原料となる同トマトは栗林小(八木澤江利子校長、児童30人)の3、4年児童9人が栽培した。4日、代表児童らが市役所を訪れ、これまでの取り組みを小野共市長に報告した。
 
 市長室で行われた報告会には関係者13人が出席。同校から八木澤校長、佐々木貫汰さん(4年)、藤原柚夏さん(同)、三浦莉南さん(3年)が訪れ、栽培を指導した同市地域おこし協力隊の三科宏輔さん、ジェラート製造を担当するかまいしDMC経営企画管理部の臼沢恵美さんが同席した。八木澤校長が写真を見せながら、児童らの取り組みを説明した。
 
報告会では八木澤校長(写真上段左)がこれまでの活動経過を説明した

報告会では八木澤校長(写真上段左)がこれまでの活動経過を説明した

 
すずこまの苗を植えた栗林小の3、4年生(写真提供:栗林小)

すずこまの苗を植えた栗林小の3、4年生(写真提供:栗林小)

 
 5月末、市水産農林課職員から今回のプロジェクトについて説明を受けた児童らは、橋野町ですずこまを栽培する三科さんから教わりながら、すずこまの苗を植え付けた。その後、水やりや支柱立てなど世話を続けると、1カ月ほどで青い実がつき始めた。7月に入ると大きくなった実が赤く色づき、収穫の時を迎えた。7月下旬には自分たちでトマトジェラートづくりに挑戦。収穫したすずこまと一般的なトマトの2種で作り、食べ比べをして味の違いを確かめた。8月末にはすずこまジェラートを製造販売するかまいしDMCから提供されたジェラートを全校児童で試食。プロの味も堪能した。
 
市職員から姉妹都市ディーニュ市のことを聞き、菜園ポットに苗を植えた(写真提供:栗林小)

市職員から姉妹都市ディーニュ市のことを聞き、菜園ポットに苗を植えた(写真提供:栗林小)

 
約1カ月後には実がつき始めた。虫眼鏡も使って熱心に観察(同)

約1カ月後には実がつき始めた。虫眼鏡も使って熱心に観察(同)

 
真っ赤に実ったトマトに感激。自分たちでジェラート作りにも挑戦した(同)

真っ赤に実ったトマトに感激。自分たちでジェラート作りにも挑戦した(同)

 
 水を与えすぎると良くないということで、雨の日には苗を校舎内に移動させるなど気を使って育ててきた児童ら。佐々木さんは「始めはちゃんと育つかなと思ったけど、いっぱい収穫できた」、三浦さんは「見るたびに背が伸びたり実が赤くなったり、大きく成長していてうれしかった。実は甘くて、ジェラートにすると、とてもトマトの味がしておいしかった」、藤原さんは「(今回の取り組みを通して)いろいろな人にすずこまのことを知ってもらいたいと思った。ディーニュ市の人たちにもその味を感じながらジェラートを楽しんでほしい」と望んだ。
 
児童がそれぞれ感想を発表。かけがえのない経験になったよう

児童がそれぞれ感想を発表。かけがえのない経験になったよう

 
 「子どもたちは作物を育てる大変さや楽しさ、自分たちが手をかけたからこそおいしさが倍増する喜びを味わうことができた。保護者や地域の方からは苗の入手先の問い合わせもあり、すずこまへの関心が高まっているよう」と八木澤校長。同校の“すずこまチャレンジ”の様子は、栗橋地区生活応援センター の広報紙「みどり通信」でシリーズ紹介されている。
 
 プロジェクトに協力した三科さんは単に農作物を育てるだけではなく、「みんなで作ってみんなで食べる」過程で得られる、さまざまな学びを大事にする。「他の学校のトマト栽培にもすずこまを採用してもらい、地域の魅力向上、自然教育の機会増につなげていけたら」と今後に期待を寄せる。
 
児童らのチャレンジについて語る地域おこし協力隊の三科宏輔さん(中央)

児童らのチャレンジについて語る地域おこし協力隊の三科宏輔さん(中央)

 
 市が新たな特産品として生産拡大を進める“すずこま”は抗酸化作用のあるリコピンが多く含まれ、加熱調理でうまみが引き出される。かまいしDMCは同市甲子、橋野地区の生産者から提供されるすずこまを使ったジェラートを昨年から販売(夏季限定)。酸味と甘味が絶妙なさわやかな味わいが人気を博している。臼沢さんによると「皮や芯を手作業で取り除き、電子レンジで加熱することで、トマトの青くささを取ることができ、凝縮されたすずこまのうまみがでる」という。栗林小栽培のすずこまは約1キロの収穫があり、これを使ってウェルカムジェラートを作る。
 
 児童らの報告を聞いた小野市長は「ディーニュ市から来るお客様は、(栗林小の)皆さんがトマトを育ててくれたことをとても喜ぶと思う。今回の体験は皆さんにとっても大きな財産になる。古里の良さを感じたり、将来何かを目指すきっかけになるかもしれない」と話し、協力への感謝の気持ちを伝えた。
 
この日はかまいしDMCのすずこまジェラートの試食も。「トマトの味、食感がいいですね」と小野市長

この日はかまいしDMCのすずこまジェラートの試食も。「トマトの味、食感がいいですね」と小野市長

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歌い紡いで10回目 女声合唱「アンサンブル・ル・シエル」コンサート 家族の支えにも感謝

10回目を迎えた「アンサンブル・ル・シエル」のコンサート=1日、TETTO

10回目を迎えた「アンサンブル・ル・シエル」のコンサート=1日、TETTO

 
 釜石市の女声合唱団、アンサンブル・ル・シエル(中村玲代表、12人)の10回目のコンサートが1日、大町の市民ホールTETTOで開かれた。2013年1月に結成した同団は、働く女性たちが中心メンバー。結婚、出産、子育てとライフスタイルの変化にも柔軟に対応しながら、大好きな合唱を続けている。今回はこれまで歌ってきた思い出の曲を中心にプログラムを組んだ。メンバーらは仲間と歌声を重ねる喜び、支えてくれる家族への感謝の気持ちをかみしめながら、美しいハーモニーを響かせた。
 
 コンサートはゲスト出演のバイオリン演奏を含む4部構成。指導にあたる木下佳子さんの指揮で歌声を届けた。1部はメンバーの思い入れのある5曲を披露。14年3月の初めてのコンサートで歌った「ぜんぶ」、東日本大震災後、歌で日本をつなげようと企画された「歌おうNIPPON」プロジェクトのために書き下ろされた「ほらね、」など心に残る曲を歌った。
 
会場はホールBをロビーとつなげ、誰でも立ち寄れる空間にした

会場はホールBをロビーとつなげ、誰でも立ち寄れる空間にした

 
1部では歌う前にメンバーが曲紹介(写真左)。木下佳子さん(同右)の指揮で息の合ったハーモニーを響かせた

1部では歌う前にメンバーが曲紹介(写真左)。木下佳子さん(同右)の指揮で息の合ったハーモニーを響かせた

 
10年の思い出を胸に心を込めて歌うメンバーら

10年の思い出を胸に心を込めて歌うメンバーら

 
 2部は「NHK連続テレビ小説主題歌 この10年」と題し、“朝ドラ”でなじみの楽曲を聞かせた。「にじいろ」=花子とアン(2014年)から、現在放送中の「虎に翼」の主題歌「さよーならまたいつか!」まで、有名アーティストが歌う5曲を選曲。独唱を交えたステージで楽しませた。最後は、活動開始後に生まれたメンバーの子どもたちがダンスで共演。それぞれの10年が曲とともによみがえった。
 
独唱も交えた2部のステージ。耳なじみの曲で楽しませた

独唱も交えた2部のステージ。耳なじみの曲で楽しませた

 
メンバーの子どもらが出演。元気いっぱいのダンスで花を添えた

メンバーの子どもらが出演。元気いっぱいのダンスで花を添えた

 
 休憩をはさんだ3部は、遠野市でバイオリン教室を主宰し、演奏家としても活躍する伊禮しおりさんのステージ。「タイスの瞑想曲」「情熱大陸」など4曲をプロならではの高度な技術と表現力で聞かせ、観客を魅了した。伊禮さんは震災後、被災した釜石・大槌地区の子どもたちにもバイオリンを教え、犠牲者の慰霊の場でも演奏が披露されている。4部は覚和歌子さん(詩)、横山潤子さん(曲)のコンビによる混声合唱曲集から3曲を披露。「その木々は緑」は伊禮さんがバイオリンでコラボした。
 
ゲストの伊禮しおりさんはバイオリンの独奏のほか合唱曲でも共演(写真上)。ピアノ伴奏は佐々木洋子さん、パーカッションは村井大司さん(同左下)。佐藤裕さんは詩を朗読(同右下)

ゲストの伊禮しおりさんはバイオリンの独奏のほか合唱曲でも共演(写真上)。ピアノ伴奏は佐々木洋子さん、パーカッションは村井大司さん(同左下)。佐藤裕さんは詩を朗読(同右下)

 
4部はメンバー手作りのコサージュを身に着けた

4部はメンバー手作りのコサージュを身に着けた

 
 会場では約80人の観客が聞き入った。2回目の鑑賞という唐丹町の武藤秀郷さん(49)は「すごく溶け合った美しいハーモニーに癒やされた。心が軽くなったよう。子どもたちのダンスもあり、すてきな演奏会だった」と感激。10回目という一つの節目に「大変なこともいっぱいあったと思うが、ここまで続けてこられたのは本当に素晴らしい。ぜひ、これからも回を重ねていってほしい」と願った。
 
 今回のコンサートには、新メンバー3人も出演した。アルトの平松和佳奈さん(21)は釜石高音楽部出身で昨夏入会。「高校の時よりも難しい曲が多くて不安もあったが、先輩方に導かれ、自分も頑張って歌えた。メンバーの皆さんの音楽や歌うことが大好きという気持ちがすごく伝わってきて、それがハーモニーにも表れている」と話す。「これからも地域に根付いた活動で、音楽を通して何か伝えられるような合唱をしていけたら」と平松さん。
 
 現メンバーは半数が市外在住者。結婚や転勤などで釜石を離れても同団で歌いたいと、遠くは花巻市や八幡平市から駆け付ける。練習に参加しやすいように、月に月曜2回、日曜2回と曜日をずらした練習日を設けている。子育てや仕事の関係で、全員そろっての練習はなかなかできないというが、「今回は特にも10回目ということで、本番に向かう集中力が遺憾なく発揮された」と中村代表(41)。
 
素晴らしい歌声に盛んな拍手を送る観客

素晴らしい歌声に盛んな拍手を送る観客

 
今回のコンサートの出演者。子どもたちも頑張りました!

今回のコンサートの出演者。子どもたちも頑張りました!

 
 同団メンバーにはこの10年で計9人の子どもが生まれた。活動開始後に結婚、男児の母になった中村代表は「好きな合唱を続けられるのは家族の支えがあってこそ。ありがたみを感じている」と感謝の思いを口にする。最近、同団のインスタグラムも開設した。「若い世代にもぜひ聞きにきてほしい。コンサート情報の発信と合わせ、子どもがいても活動できるということをアピールしていきたい」と話した。
 
 同団は21日、姉妹都市提携30周年を記念して訪問するフランス、ディーニュ・レ・バン市代表団の歓迎レセプションでフランス国歌を歌う予定。

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釜石産食材でフランス家庭料理を! そば粉ガレット…包む“おいしい交流” 姉妹都市30周年で企画

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釜石産のそば粉を使ったガレット作りに取り組む参加者

 
 釜石産食材を使ってフランスの家庭料理を作る体験教室が8月24日、釜石市大町の青葉ビルで開かれた。釜石と同国ディーニュ・レ・バン市の姉妹都市提携30周年を記念した2回シリーズの企画で、最終回となった今回のメニューはそば粉を使った「ガレット」。海外の文化や調理に関心のある市民8人が参加し、香ばしいガレットを味わいながら姉妹都市交流について理解を深めた。
 
 講師は同国・ナンジ出身の佐々木イザベルさん(大船渡市在住)。7月開催の1回目に作った「クレープ」に触れながらガレットを紹介。どちらも薄くのばした生地で具を包む料理だが、小麦粉を使うクレープは“おやつ”という感覚で家庭でもよく作られていて、「クレープの日(2月2日)」もあるとか。ガレットは生地にそば粉を使うが、手に入れるのは難しく、レストランなどで味わう外食メニューだという。甘い具材を包むこともなく「同じようでも、ガレットは食事」と伝えた。
 
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佐々木イザベルさん(左)の実演に見入る参加者

 
 調理は生地作りから開始。参加者は、溶き卵に釜石・橋野町和山高原産のそば粉、釜石鉱山が製造するナチュラルミネラルウォーター「仙人秘水」、塩を加えてペースト状になるまでかき混ぜた。佐々木さんは「少しずつ水を加えた方がやりやすい」「そば粉はかき混ぜると泡が出るが、少なめに」「本場では生地を1時間は寝かす。そうするとおいしくなる」などとポイントを説明した。
 
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そば粉に水を少しずつ加えながら生地作りに取り組む

 
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佐々木さんのアドバイスを受けながら調理に挑む

 
 いよいよ仕上げの“焼き”に挑戦。生地をフライパンに薄く延ばし、ベーコン、チーズ、目玉焼きをのせて包むとガレットが完成した。参加者から「(生地を)たたんで、こっちも(たたんで)…おー、いいじゃん」「おしゃれ~」とうれしそうな声が聞こえてきた。
 
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焼き色がついた生地で具材を包んでガレットを仕上げる

 
 佐々木さんはフランス語も紹介。「ボナペティ(召し上がれ)」と促し、参加者は「セボン(おいしい)」と言葉を返しながら味わった。試食の間には、主催する市国際交流課の東洋平主査が姉妹都市提携の経緯やこれまでの交流を説明。9月にディーニュ市から訪問団がやってくることも伝え、「見かけたら、ボンジュール(おはよう、こんにちは)と声をかけてほしい」と呼びかけた。
 
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ガレットを味わいながらディーニュ市の紹介に耳を傾けた

 
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食を通して交流を楽しんだ佐々木さん(前列中央)と釜石市民

 
 職場仲間だったという60代と70代の女性は「日本の料理はバタバタとやらなければならないことがあってお母さんたちは大変だけど、外国の料理はゆったりとした時間が流れている感じ。生地の焼き上がりを待つ間にお話しができて調理が楽しい」とにっこり。姉妹都市交流について初めて知った様子で、「食べ物を通した体験で興味が湧いた。外国を身近に感じられる」と新たな情報との出合いも楽しんだ。
 
 記念事業は、まだ続く。記念パネル展(9月15~18日・市民ホールTETTO)やディーニュ市訪問団の来釜(同21日~23日予定)に合わせた交流会、ハーバリウムづくり体験なども計画。他にも、市中心地で環境美化活動の実施も予定されており、迎える準備を進める。

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副業型の地域活性化起業人 釜石市、初登用 都市圏のデジタル人材に期待「地方に刺激を」

小野共市長(左)から委嘱状を受け取った野辺地葵さん

小野共市長(左)から委嘱状を受け取った野辺地葵さん

 
 釜石市は23日、「地域活性化起業人」として、IT(情報技術)を活用したものづくりや中小企業のコンサルタント業務などを手掛ける「Crossover Group」(東京)の最高経営責任者(CEO)、野辺地葵さん(27)に委嘱状を交付した。三大都市圏の民間力を地域活性に生かす総務省の制度を活用するが、これまでの企業派遣型とは異なり、「副業型」での受け入れ。野辺地さんは従来通り同社で働きながら、市が依頼する業務に取り組む。
 
 地域活性化起業人制度は、地域の課題解決に民間企業のノウハウや知見を活用しようと総務省が2014年度に創設した。地方自治体と協定を結んだ民間企業が社員を一定期間派遣し、即戦力として業務に取り組んでもらうもので、国は特別交付税措置で財源を支援する。
 
 この企業派遣型に加え、24年度からは企業に所属する社員個人と自治体が協定を結ぶ形の副業型制度がスタート。企業派遣型は月の半分以上は受け入れ自治体に滞在して働く必要があるが、副業型は月に4日以上、計20時間以上を自治体業務に充て、受け入れ自治体での滞在日数は最低月1日とする。居住の必要をなくし参加のハードルを下げた形だ。国は副業期間中の経費や交通費(上限合計200万円)を補助。自治体のホームページ運営など主にリモート対応が可能な分野で、都市部のデジタル人材らに働いてもらうことを想定する。
 
釜石初の副業型地域活性化起業人として活動を始める野辺地さん

釜石初の副業型地域活性化起業人として活動を始める野辺地さん

 
 野辺地さんは岩手県九戸村出身。3年ほど前に同社を立ち上げ、中小企業が抱える課題についてITデータなどを使って解決策を練ったり、ネット通販サイトやアプリ制作などの事業を展開する。釜石には母方の実家があり、年に数回訪れる「故郷のような街」だったことから、「活気ある街づくりの一助になりたい」と参加を決めた。
 
 任期は来年3月末まで(最長3年)。「地方創生・政策推進研究員」として、市の人口統計データや市内企業に関するデータなどを分析し現状と課題を整理、それに対応する施策の立案・展開に向けた助言といった活動に取り組む。
 
「釜石の熱意から生まれる活動を全力で手伝う」と話す野辺地さん

「釜石の熱意から生まれる活動を全力で手伝う」と話す野辺地さん

 
 市役所であった交付式で小野共市長から委嘱状を受け取った野辺地さんは「故郷が抱える課題に向き合い、解決の後押しができる取り組みだと感じ、一念発起。一朝一夕にはいかないだろうが、市の職員や企業関係者、市民の活動を全力で手伝いたい」と気合十分。もともと同起業人に関心があり、副業型の開始を耳にしていたことから、いち早く市の募集に手を上げた。拠点を移さず地方創生に携わったり、自身のキャリアを生かせることに魅力を感じていて、「関わる人と互いに刺激し合い、活動や施策を磨き上げたい」と力を込める。
 
委嘱後の懇談では公共交通のあり方などで意見を交わした

委嘱後の懇談では公共交通のあり方などで意見を交わした

 
 市はこれまでに企業派遣型で4人を受け入れ(全員任期終了)たが、副業型での受け入れは今回が初めて。小野市長は「目に見える課題だけでなく、裏に隠されている事実に対応した施策や事業を作り、精度を上げることが重要。民間の刺激、面白い指摘を期待している」と述べた。

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釜石産!良質な鶏肉を子どもたちに 生産加工のオヤマ 学校給食に提供 児童ら「うまっ!」

釜石産鶏肉を使った給食を味わう鵜住居小の児童ら

釜石産鶏肉を使った給食を味わう鵜住居小の児童ら

 
 釜石で鶏肉を作っていることを知ってほしい―。釜石市栗林町に養鶏場がある鶏肉生産加工販売業オヤマ(本社・一関市、小山征男代表取締役)は、学校給食用食材として釜石産のいわいどりを市に提供した。さっそく22日に給食のメニューに登場。これに合わせて、同社の小山達也常務取締役(48)らが鵜住居小(佐藤一成校長、児童143人)を訪れ、「おいしいー」と頬張る子どもたちの様子をうれしそうに見つめた。
 
 栗林の養鶏場は4月から本格的に生産、出荷を始めた。今回提供したのは鶏もも肉で、小学校用が1205個(1個40グラム)、中学校用は720個(同60グラム)。特別支援学校を含む市内13校で振る舞われた。
 
お楽しみの給食の時間。トレーを持つワクワク顔の列が続く

お楽しみの給食の時間。トレーを持つワクワク顔の列が続く

 
料理を盛りつけたり配膳したり役割分担しながら食事の準備

料理を盛りつけたり配膳したり役割分担しながら食事の準備

 
 この日の献立は「いわいどりのマーマレード焼き」で、市学校給食センター(山根美保子所長)が調理。同校1年生(23人)の教室では、小山常務が「鶏肉は良質な筋肉、体をつくるもの。すてきな味付けがされた鶏肉をたくさん食べて大きくなってほしい」と自慢の食材をアピールした。
 
 児童は大きく口を開いて鶏肉を頬張ると、「うまい」とひと言。中には、パンに挟んで味わったりする子もいて、思い思いの食べ方で地元産食材のよさをかみしめた。菊池咲希さんは「優しい味がする」とにっこり。鈴木綾誠さんは「食感が柔らかい。めっちゃ、おいしい。もっと食べたい」と喜んだ。
 
いわいどりのマーマレード焼きにかぶりつく児童

いわいどりのマーマレード焼きにかぶりつく児童

 
パクっと頬張ったり、パンで挟んだり、食べ方はいろいろ

パクっと頬張ったり、パンで挟んだり、食べ方はいろいろ

 
 小山常務は「みんなの笑顔を持ち帰り、生産している大人たちに伝える。その循環関係を大切にしながら、いい鶏を提供し続けるパワーにしたい。地元で良質な鶏肉を作っていることを知ってもらい、いわいどりをソウルフードしてもらえたら。将来、一緒に生産してもらえたら幸せ」と期待を込めた。
 
小山達也常務らが「おいしい鶏肉をもりもり食べて」とPR

小山達也常務らが「おいしい鶏肉をもりもり食べて」とPR

 
「おいしー。ありがとう」。児童は笑顔を添えて感謝も伝えた

「おいしー。ありがとう」。児童は笑顔を添えて感謝も伝えた

 
 この日のメニューは他にも釜石産がお目見え。三陸産ワカメを使ったサラダに加わったキュウリ、スープには特産品化を目指すトマト「すずこま」やタマネギが使われた。