抹茶の苦さも思い出に 釜石・正福寺幼稚園 年長児、小学校入学前の特別な茶席体験
「苦いけど、おいしい」。お茶会を楽しむ子どもたち
釜石市甲子町の正福寺幼稚園(松岡公浩園長、園児28人)の年長児を招いたお茶会が2月28日、隣接する正福寺(須藤寛人住職)で開かれた。日本の伝統文化に触れてもらおうと企画。参加した園児14人のほとんどが抹茶をいただくのは初めてで、「ちょっぴり苦いね。けど、がんばったよ」と得意げな表情を広げた。
同園を運営する学校法人釜石学園理事長でもある須藤住職がお点前を披露。園児たちはその様子を間近で見ながら、お菓子をいただき、抹茶を飲んだ。「いいにおい、たまらない」と笑う子もいれば、「葉っぱのにおいだ。にがーい」と動きが止まる子もいた。「チョコの追加、お願いします」との希望者も多数。それでも、最後はみんなで「がんばって飲んだよ」と声を合わせた。
園児を前にお点前を披露する須藤寛人住職(右)
お菓子もお点前も真剣な表情で「ちょうだいいたします」
抹茶を一口…。表情豊かに味わいを表現する子どもたち
茶の湯の研さんを積む須藤住職の妻由布子さん、近所に住む佐野宗智さんが作法を紹介した。「一座建立(いちざこんりゅう)」とのキーワードを示し、「お茶を出す人、いただく人が心を通わせて心地よい空間をつくり出すという言葉です。まずは、お互いに心の込もったあいさつをしましょう。そうすれば、平和であたたかい空間になるから」と説明。茶を飲むときは器の正面をずらすために少し回すなど、園児たちは約束を守りながら取り組んだ。
お点前の体験もあり、福士千晴君(6)は「混ぜるとこ、楽しかった。苦かったけど、飲めてうれしかった」と笑顔を見せた。
教わったことをしっかり受け止めて「ちょうだいします」
お点前に挑戦。「シャカ、シャカ、シャカ…」。集中力、抜群!
もてなし、もてなされ、笑顔あふれる正福寺幼稚園のお茶会
小学校入学を控える年長児に「思い出になる園行事を」と須藤住職が提案。園とは違った生活になることを「抹茶の苦さ」や、作法という「決まり事」で感じてほしいという期待もある。「今日やったことを忘れずに頑張ってください」。エールを送った。

釜石新聞NewS
復興釜石新聞を前身とするWeb版釜石新聞です。専属記者2名が地域の出来事や暮らしに関する様々なNEWSをお届けします。取材に関する情報提供など: 担当直通電話 090-5233-1373/FAX 0193-27-8331/問い合わせフォーム