釜石東中 失われた記録つなぐ 卒業生と共につくる50周年記念誌 協賛呼びかけ


2025/03/18
釜石新聞NewS #地域

記念誌づくりを進める釜石東中創立50周年記念事業実行委のメンバー

記念誌づくりを進める釜石東中創立50周年記念事業実行委のメンバー

 
 釜石市立釜石東中学校(釜石市鵜住居町)が今年度、創立50周年を迎えた。鵜住居地区の3つの中学校の統合により、1974(昭和49)年に開校、地域とともに歩んで半世紀。これまでの歴史を残そうと、記念誌の作成が進められている。東日本大震災で被災し多くの資料が失われ、情報不足が心配されたが、卒業生らの協力もあって方向性はまとまった。被災の記録と復興への取り組みも加え、後世に伝えるものにするつもりだ。
 
 同校は鵜住居中、箱崎中、栗林中が統合し開校。当時は海に近い場所にあった。さらに橋野中も加わり、その約4年後の2011(平成23)年3月、震災の津波で校舎が全壊。他地域の中学校を間借りして授業を続けた。鵜住居町の内陸部に仮設校舎が設けられると、地区に戻り、同じように被災した鵜住居小児童と一緒に本設校舎の完成を待ちながら約5年間を過ごした。17(同29)年4月から、同町中心部の高台に整備された新校舎(小中併設)で生活を始めた。
 
 もともと防災教育に熱心に取り組んでおり、新校舎が地域の防災拠点としても機能する複合教育施設として整備されたことから、活動を深化。受け継がれた校風、防災の学びや技能を生かそうと、災害発生時の初動対応を行う自主防災組織(自主防)を今年2月に立ち上げた。「助けられる人から助ける人へ」。自分の命を守りつつ、周囲の人も救う姿勢を実践していく。
 
 記念誌の編さんに取り組んでいるのは、同校創立50周年記念事業実行委員会(小笠原慎二委員長)、教職員ら約10人。昨年夏頃から委員らが集まって構成を考え、菊地由紀美副校長(58)が中心となってまとめている。
 
メンバーが話し合いながら編集作業を進めている

メンバーが話し合いながら編集作業を進めている

 
 「足跡、軌跡を振り返ることができる大事な記念誌。思い出を共有できるものをつくりたい」という思いだが、卒業者名簿や卒業アルバムなどの資料を失っているため苦戦。卒業生らにアルバムなど情報提供を求め、寄せられたアルバムから写真を選び、まとめようと奮闘している。入手できたアルバムは39年分で、年度ごとにクラス写真を掲載する予定。また、震災の記録として、同校の防災教育や震災当時の避難行動を紹介する新聞記事なども加える。
 
 記念事業として、昨年10月に同校文化祭に合わせて式典や沿革を紹介する特別展示を実施。展示した写真も記念誌に収める予定で、小笠原委員長(43)や菊地副校長らが、鵜住居の歴史に詳しい同校の学校運営協議会委員の古川幹敏さん(71)の話も聞きながら作成を進める。
 
記念事業として実施した展示で使った写真も掲載する予定

記念事業として実施した展示で使った写真も掲載する予定

 
 同校の卒業生で実行委顧問の川﨑浩二さん(55)は津波で自宅が被災し、思い出の品は残っていない。記念誌の作成に関わる中で、「懐かしい記憶」に触れている。自身の卒業年度のアルバムは被災地域外の同級生が寄せてくれた。「年度ごと、個別だった学校の歩みがひとつになるのが記念誌。一気に見ることができるものは、なかなかない」と発行の意義を強調する。学びやを巣立った人たちが懐かしむだけでなく、「今、学んでいる生徒にも見てほしい。こういう経過があって今あることを知ってほしい」と望む。
 
 編集は終盤に入り、発行に向けて協賛金を募っている。協賛金は2000円からで、記念誌を希望する場合は2000円以上の協賛金が必要。専用フォームから申し込み、指定口座へ振り込む(手数料は自己負担)か、学校に直接持参する。申し込みは23日まで。問い合わせは釜石東中(0193-28-3010)へ。
 

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