釜石の“宝物”が集う新スポット!?「まちかどミニ美術館」 TETTOに開設


2025/03/25
釜石新聞NewS #地域 #文化・教育

釜石市民ホールTETTOに開設された「まちかどミニ美術館」

釜石市民ホールTETTOに開設された「まちかどミニ美術館」

 
 釜石市大町の市民ホールTETTOに、常設展示コーナー「まちかどミニ美術館」が開設された。地域に眠る“宝物”をみんなで楽しもうと、釜石市芸術文化協会(河東眞澄会長)が企画。思い思いの表現活動に取り組む人たちの“見てもらいたい一作”を紹介している。今後は、3カ月ごとに作品を入れ替える予定。「わが家の宝」「創作活動の力作」などテーマを設けたりしながら公募し、作品10点程度を無料で展示していく。
 
 開設に合わせ22日に行われたセレモニーで、河東会長は「釜石にはさまざまな芸術作品が眠っている。地域には絵を描いたり、ものを作ったり、文化活動を楽しむ人たちがいる。そうした活動の中で生まれた宝物をみんなで楽しみましょう」とあいさつ。芸文協の関係者や出品者らが除幕し、文化芸術に触れる場のオープンを喜んだ。
 
まちかどミニ美術館には市民が手がけた多彩なジャンルの作品が並ぶ

まちかどミニ美術館には市民が手がけた多彩なジャンルの作品が並ぶ

 
 同ホール共通ロビーの一角を活用。毛布に包まれて気持ちよさげに眠る猫を描いたパステル・色鉛筆画「爆睡」(小野寺浩さん作、日仏現代美術世界展準大賞受賞)、破けた障子の穴をのぞき込む瞬間を切り取った写真作品「好奇心」(菊池賢一さん作、第45回岩手県写真連盟公募展大賞受賞)、鶏をモチーフにした複雑で細緻な線をつないだ切り絵「まなざし」(黒須由里江さん作、第76回中美展準会員賞受賞)のほか、版画や俳句、彫金、砂絵など多彩なジャンルの作品が並ぶ。13人が出品。団体に所属している人もいるが、多くは個人で創作活動に取り組んでいる。
 
オープニングセレモニーで出品者が作品に込めた思いを解説

オープニングセレモニーで出品者が作品に込めた思いを解説

 
感性豊かな作品が並び、来場者がじっくりと鑑賞を楽しむ

感性豊かな作品が並び、来場者がじっくりと鑑賞を楽しむ

 
 本業の看板業を発展させながら写真やイラストなどの作品を作り続ける多田國雄さん(82)は、「2011.3.11の記憶」とタイトルを付けたデザイン作品を並べた。東日本大震災で被災し避難生活を送る中で唯一、手元に残った記録媒体・携帯電話で撮った写真を散りばめた。全ての窓が抜け落ち土砂に埋まった当時の自家用車、防潮堤を壊した形で岸壁に乗り上げた貨物船、被災後のまちに戻った街灯の明かり…。被災から3年たった頃に手がけたもので、「次第に当時の記憶が遠のく今、薄れかけた記憶を呼びもどす」との気持ちを閉じ込めた。「(災害は)また来るかもしれないでしょ」。毎年3月に個人的に向き合ってきた一作を公開している。
 
震災をテーマにした「2011.3.11の記憶」(左)と作者の多田國雄さん

震災をテーマにした「2011.3.11の記憶」(左)と作者の多田國雄さん

 
 同美術館には「港かまいし 芸術鑑賞散歩」とのキャッチフレーズが付く。芸文協の関係者は「どの作品も個性が全く違う。作品を楽しみに来てもらい、一作一作をじっくりと楽しんでほしい」と期待。公開された作品に刺激を受け、「新たなことに挑戦したり、趣味を見つけてもらえたら。そして、ぜひ展示してみましょう」と、輪の広がりを待つ。
 
制作者、鑑賞者がつながる場としての可能性に期待が高まる

制作者、鑑賞者がつながる場としての可能性に期待が高まる

 
 出品は原則釜石在住の個人、芸術文化団体に所属する人が対象。今後、市の広報紙などで募集する予定だ。同美術館には文化芸術に関する催しのチラシなどを配置する情報コーナーも用意。作品公募の案内も置くことにしており、「鑑賞がてらチェックを」と呼びかける。

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