タグ別アーカイブ: 産業・経済

鏡開きで飲食店街のオープンを祝う市、大和リースなど関係者

「かまりば」漁火酒場、本格開業〜中心飲食店街の再興へ、12店のうち6店は4月までに

鏡開きで飲食店街のオープンを祝う市、大和リースなど関係者

鏡開きで飲食店街のオープンを祝う市、大和リースなど関係者

 

 東日本大震災で被災した飲食店街の中心市街地への再建を目指し、釜石大町駐車場隣接地に新たに整備された「釜石漁火酒場かまりば」が1月27日、グランドオープンを迎えた。入居する12店舗のうち、居酒屋6店が開店。残る6店は4月までに順次、営業を開始する。

 

 同施設は、昨年2月に市と連携協定を結んだ大和リース(大阪市、森田俊作社長)が、釜石市大町1丁目の市有地1165平方メートルを活用し整備。軽量鉄骨造り平屋建ての共同店舗3棟(延べ床面積394平方メートル)に13区画を設けた。被災した7事業者、新規の5事業者が同社と入居契約を結ぶ。

 

 グランドオープンには、大町で被災し鈴子町の釜石はまゆり飲食店街で仮設営業する「呑ん兵衛(のんべえ)横丁」から移った「助六」「あすなろ」「やっ子」、新規開店の「飲みすぎ」「よしよし」、キッチンカーから移行した「BEC,K(べック)」が顔をそろえた。

 

 オープニングセレモニーで同社岩手支店の池田康二支店長は「やっと皆さまの熱い思いを実現できる場をご用意できた。交流、にぎわいの場として愛され、地域経済の発展に貢献できるよう精いっぱい頑張っていきたい」とあいさつ。関係者7人で鏡開きを行い、オープンを祝った。

 

 施設名称の「かまりば」は、かたりば、たまりば、ねまりばなど交流の場を示す言葉に、釜石に来ることを造語で表現した「かまる」という言葉を組み合わせたもの。ロゴマークは、中心の「釜」の字を囲むように、はまゆり、虎舞、ラグビー、海の幸を釜石の四季のイメージでデザイン。青葉通り側の敷地の一角に同マークが描かれた看板が設置された。

 

「かまりば」のロゴマーク

「かまりば」のロゴマーク

 

 セレモニー後、各店には常連客やグランドオープンを聞きつけた客らが次々と訪れ、市街地復興に弾みをつける新飲食店街の誕生を喜んだ。27、28の両日は、オープンのチラシに付いた引換券でドリンク1杯が無料になるサービスや「お互いに頑張ろう」のメッセージが込められた熊本地震など全国の自然災害地からの菓子のプレゼントがあった。

 

 市東部地区の復興計画「フロントプロジェクト(FP)1」に位置付けられた飲食店街。野田武則市長は「新しい釜石の飲みどころ、食べどころ、憩いの場として全国に発信していきたい。歴史を築いてきた呑ん兵衛横丁のように、市民や釜石を訪れる人に親しみを持っていただける場所になれば」と期待した。FP1は残る市民ホール(仮称)の完成を待つばかりとなった。

 

かまりばの今後のオープン予定は次の通り。(変更の場合あり)
▽2月=京花(割ぽう)、魚貞食堂(定食)、小太郎(洋風居酒屋)、神威(ジンギスカン)▽3月=萩(居酒屋)▽4月=三陸パスタ(パスタ)

 

(復興釜石新聞 2017年2月1日発行 第559号より)

 

復興釜石新聞

復興釜石新聞(合同会社 釜石新聞社)

復興釜石新聞と連携し、各号紙面より数日の期間を設け記者のピックアップ記事を2〜3点掲載しています。

問い合わせ:0193-55-4713 〒026-0044 岩手県釜石市住吉町3-3

「木と鉄」で釜石らしさを追求して生まれたテーブルセット(左から宮崎さん、高橋参事、岩間さん)

釜石地方森林組合、「木と鉄」の家具を開発〜材料、デザイン、加工を地元で

「木と鉄」で釜石らしさを追求して生まれたテーブルセット(左から宮崎さん、高橋参事、岩間さん)

「木と鉄」で釜石らしさを追求して生まれたテーブルセット(左から宮崎さん、高橋参事、岩間さん)

 

 釜石地方森林組合(久保知久代表理事組合長、組合員1670人)はスギの間伐材と鉄の丸棒を組み合わせたテーブルセットを開発、販売に乗り出した。「釜石の木と釜石の鉄」をテーマに掲げる製造販売事業「mori―to―tetsu(森と鉄)」のシリーズ第1弾となる。同事業で、釜石地域で産出するスギ間伐材の付加価値を生み、地元の創造力(デザインと技能)を結びつけ、地元内での経済循環による「なりわい」強化を期待する。

 

 製品の披露会は14日、片岸町の同組合事務所で行われた。11月28日に急逝した佐々木光一・前組合長の職務を7日に引き継いだ久保組合長は、「林業を取り巻く環境は厳しい。釜石地域は『鉄と魚』とうたうが、この際、『鉄と木のまち』とする新しいブランドに取り組もうと考えた」と基本姿勢を語った。

 

 製品1セットは、テーブルがスギの板6枚を合わせた天板(横135センチ、縦81センチ、厚さ4・5センチ)で、高さ70センチ、重量35・2キロ。いすは4脚で、スギ板3枚のシートは幅40センチ、背もたれ(幅35センチ)を含む全高80センチ、重量9・5キロ。

 

 テーブル、いすは鉄の丸棒をむきだしに、接ぎ方は板に差し込む方法。また、板の接着、強度の確保を目的に鉄棒を埋め込んだ。鉄の材質は、表面が酸化で黒くコーティングされる「黒皮鉄」を選んだ。

 

 デザインは、一級建築士、一級施工管理士、インテリアコーディネーターの宮崎達也さん(44)。三重県鈴鹿市で宮崎建築事務所を経営し、東日本大震災後の2012年に釜石市に転居、復興事業の設計にも携わる。「木の節もそのままに、柔らかさ、ぬくもりある肌触りを生かし、耐久性と強度を持ったデザインを心掛けた」と語った。

 

 鉄の加工は、浜町での創業から三代目の大平町、岩間鉄工所の岩間邦明さん(38)。鉄オリジナル小物やインテリア(サイドテーブル、ハンガーラックなど)も手掛ける。「鉄と木を組み合わせるのは初めて。木の柔らかさに対応するのが難しかった。黒皮鉄の質感はいいが、表面の被膜を損なわないようにする必要がある」と、技術的な挑戦を語った。

 

 同森林組合の高橋幸男参事は、大震災の復興に立ち向かいながら着想した思いが具体化し、「釜石を表し、発信するアイテムにしたい」と意欲を高める。

 

 同組合事業を支援する釜援隊(釜石リージョナルコーディネーター)の手塚さや香さんは、この「チーム」結成、「さんりく基金県北沿岸地域特産品開発事業」助成金の申請と交付決定などに駆け回った。

 

 セット価格は34万2千円。個別の注文や、若干のサイズ変更にも応じ、受注から1カ月で納品できる。同組合事務所に展示するほか、県内外のイベント出展も見込む。

 

 注文、問い合わせは同組合(電話0193・28・4244)へ。

 

(復興釜石新聞 2016年12月17日発行 第547号より)

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ごきんじょぶ釜石版

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こちらからチラシをダウンロードできます。
ごきんじょぶ釜石版チラシ
(PDFファイル 1,4MB)
 

※ごきんじょぶ釜石市版は、HRソリューションズ株式会社(東京都中央区)が開発した、自治体のための雇用創出支援プラットフォームを利用して開設、運営するものです。

 

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初めて見る柿室に興味津々のツアー参加者

甲子柿の里、実りの秋〜甘味引き出す「室」を公開、見学ツアーも好評

初めて見る柿室に興味津々のツアー参加者

初めて見る柿室に興味津々のツアー参加者

 

 出荷の最盛期を迎えた釜石市の特産品「甲子柿」などの地場産品や甲子地区の魅力に広く触れてもらう「甲子柿の里・秋祭り」(同実行委員会主催)は22日から24日までの3日間、甲子町の道の駅釜石仙人峠と創作農家「こすもす」を中心に開かれた。2回目の開催となった今回は甲子柿などの販売を2会場で展開。生産過程の見学や甲子地区の名所を巡るツアーの内容も充実させ、”まるごと甲子”をアピールした。

 

 22日は住民がガイドを務め、地元の見どころを案内する4つの地域巡りツアーを開催。道の駅を発着点に、柿をいぶす柿室(かきむろ)3カ所の見学、隠れパワースポット・不動滝などを散策する大畑地区のツアーには市内外から15人ほどが参加した。

 

 地元農家、佐々木裕一さん(65)の柿室を見学した参加者は、室内の温度やいぶす日数、まきの材料など熱心に質問した。甲子柿の試食もあり、「おいしい」と秋味を堪能。松倉地区から参加した三浦佳奈子さん(36)は「去年、甲子柿のおいしさに気付いたばかり。病みつき、くせになる味がどんな風に作られているのか見たくて参加。室を3つも見学できるなんて」と感激していた。

 

 佐々木さんは、柿づくりにはさまざまな苦労があると漏らすが、「日本で同じものを作っていないのが甲子柿。絶やしたくない。いいものを作るのは大変だが、おいしい―という言葉を聞くとうれしい。明日も、来年も頑張ろうという気持ちになる」とうれしそうだった。

 

 甲子柿は道の駅や「こすもす」で販売。今年は台風による落果や実裂けなどで例年に比べ収量が減り、店頭に並ぶとすぐに売り切れとなった。「こすもす」では甲子柿を使ったスイーツなども提供。道の駅では23日、ホタテの浜焼きや焼きそばなど出店が並んだ。

 

秋祭り会場には浜焼きなど出店も並んだ

秋祭り会場には浜焼きなど出店も並んだ

 

 実行委の藤井サエ子さん(甲子地区活性化協議会長)は「祭りを盛大にやることで、来年の豊作につながれば」と期待。甲子柿の生産から商品開発、販路拡大を進めながら、さまざまな地域資源を再発見し、活用して交流を図り、「元気な甲子」を目指す取り組みも続ける。

 

(復興釜石新聞 2016年10月26日発行 第532号より)

 

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釜石お店なう : アンジェリック洋菓子店

岩手のこだわりの食材を使用したオリジナリティ溢れる創作菓子のお店「アンジェリック洋菓子店」

アンジェリック洋菓子店

 

はじめまして!これから釜石のお店紹介を担当する、“釜石お店なう”です。釜石のお店のHOTな情報や釜石に住んでいても実は知らない釜石のお店の魅力をお伝えしていきます!!

 

第1回目にご紹介するお店は、「アンジェリック洋菓子店」です。

 

https://kamaishi-town.com/archives/6482233.html

釜石お店なう : アンジェリック洋菓子店

このサイトは釜石商工会議所が運用する、岩手県釜石市の店舗・その他施設の情報を発信するタウン情報サイトです。少しづつ情報を増やし、よりリアルタイムで情報をお届けできるようにしていきます。
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震災後、「釜石鉄鉱石シュケット」や「釜石ラガークッキー」、「釜石港通り塩マドレーヌ」など、SL銀河の運行やラグビーワールドカップ開催のために力を入れて開発した釜石のお土産シリーズでも知られています。

 

特にも「釜石鉄鉱石シュケット」は、第1回おいしい釜石コンテストのスイーツ部門で金賞を受賞し、「釜石港通り塩マドレーヌ」は、釜石コレクション認定商品に選ばれるなど、ひとつひとつ実績を積み上げているお店です。

 

釜石鉄鉱石シュケット

第1回おいしい釜石コンテストのスイーツ部門で金賞を受賞した「釜石鉄鉱石シュケット」

 

震災前は嬉石町で和洋菓子店として営業しており、大福やシュークリームなどが人気がありました。

 

釜石港通り塩マドレーヌ

釜石コレクション認定商品に選ばれた「釜石港通り塩マドレーヌ」

 

東日本大震災で嬉石町の店舗が流出し、震災後からはシープラザ釜石で営業しています。復旧ボランティアの方達が訪れた際や地元のお客さんが遠出する際など、お土産として買える商品はないか、という要望が多くあったことから、遠くへ持って行っても日持ちする焼き菓子の商品を増やし、現在の「釜石鉄鉱石シュケット」や「釜石ラガークッキー」等が生まれました。

 

釜石ラガークッキー

釜石郷土菓子かまだんご味の釜石ラガークッキー

 

今年の春に発売された「もなかクッキーかまいしコロンチョコ」は、チョコクッキーに貝型のもなか生地がかぶさるように覆っている可愛らしいクッキーです。

 

常に前を向き、新たな商品作りに邁進している「アンジェリック洋菓子店」の今後の商品も楽しみですね。釜石お店なうの紹介ページでは、より詳しい情報も掲載しております。こちらもぜひご覧ください。

 

次回のタウンレポートでは、各店で品薄状態になっている、釜石のある企業とコラボした人気の商品をご紹介します!

アンジェリック洋菓子店
所在地: 岩手県釜石市鈴子町22-1 シープラザ釜石(1階)
電話番号: 0193-22-4719
駐車場: あり
営業時間: 9:00~18:00
定休日: 第1・3・5火曜日
Webサイト: https://angelique.ftw.jp/
釜石お店なう

タウンレポーター 釜石お店なう

釜石商工会議所が運営する「釜石お店なう」は、釜石市内のお店や商品・サービスの情報をお伝えする情報サイトです。

釜石お店なう

濱幸水産サンマ船、新造船が釜石入港〜80トンを初めて水揚げ

釜石港にサンマを初水揚げする浜幸水産の新造船・第65欣栄丸

釜石港にサンマを初水揚げする浜幸水産の新造船・第65欣栄丸

 

 遠洋マグロ漁を主力とする釜石市の浜幸水産(浜川幸雄社長)が新造した大型サンマ漁船・第65欣栄丸(山中東一郎漁労長、17人乗り組み)が21日、母港釜石港に初めてサンマ80トンを水揚げした。わがまちの大型新造サンマ船の水揚げに浜は活気づき、今後に期待した。

 

 同船は8月16日、釜石港から出漁、20日から北海道沖の漁場で操業を続けている。浜幸水産によると、水揚げしたサンマは中型が大半だった。新造サンマ船の母港初水揚げに市場は活気づき、野田武則市長も出向いて祝った。

 

 浜幸水産は創業から80年余り、世界中の海に出漁し、マグロはえ縄漁一筋で日本の食を守ってきた。経営体質強化の一環で、昨年から1隻でサンマ漁に参入した。

 

 四半世紀ぶりに新造した大型サンマ船の第65欣栄丸は最新、ハイテク設備を導入し、運用コストの軽減を具現した。今年は、購入した第58欣栄丸(大崎雅仁漁労長、18人乗り組み)と2隻を加え、サンマ漁の水揚げ拡大を目指している。新たな乗組員の大半は、県内から採用した。

 

 同水産は、新造船での釜石港初水揚げに、「これまでの水揚げは北海道・花咲港が中心だ。漁場との距離など条件が整えば、釜石に揚げたい。漁場はしばらく北海道沖にあり、南下するにしても、先になる」と見込んでいる。サンマ漁は例年、11月末まで続く。

 

(復興釜石新聞 2016年9月28日発行 第524号より)

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新しい憩いの場に期待される飲食店街の完成予想図

釜石飲食店街再建へ、12月末にプレオープン「憩いの場、愛される店舗に」大町で地鎮祭

新しい憩いの場に期待される飲食店街の完成予想図

新しい憩いの場に期待される飲食店街の完成予想図

 

 釜石市が市中心部の飲食店街再建に向けた市有地活用事業として、大和リース岩手支店(池田康二支店長)と進めていた飲食店街新築工事が始まるのを前に23日、大町の現地で地鎮祭が行われた。震災で被災した8店を含む13店が入居を予定。12月25日にプレオープンし、本格オープンは来年1月末の予定だ。

 

 地鎮祭には関係者約20人が出席。神事でくわ入れし、工事の安全を祈った。野田武則市長は「新しい釜石の食べどころ、飲みどころとして市民や観光客の憩いの場になってほしい」と期待した。

 

 建設場所は、ホテルや大型ショッピングセンターに近い約1170平方メートルの市有地。同社が軽量鉄骨造り平屋建て3棟(延べ床面積計約400平方メートル)の共同店舗を建てて、テナントに貸す。事業費は約1億2千万円。店舗面積は約10~60平方メートルまでの5つのタイプを用意。被災事業者の家賃は1坪(3・3平方メートル)当たり1カ月5200円とした。

 

地鎮祭でくわ入れをし、工事の無事を願う野田市長(右)

地鎮祭でくわ入れをし、工事の無事を願う野田市長(右)

 

 入居する被災事業者は居酒屋と食堂で、いずれも現在、鈴子町の「釜石はまゆり飲食店街」で仮設営業している。新規に出店する5店は釜石出身者らによる居酒屋や焼き肉店など。夜だけでなく、ランチタイムも営業する店もある。

 

 市中心部での飲食店街再建は、にぎわい再生と魅力ある都市空間の創出が狙い。入居にあたって市が移転を呼び掛けた事業者の中には、大町で被災した「呑ん兵衛(のんべえ)横丁」の事業者も多く含まれるが、出店の契約を結んだのは3事業者にとどまり、1事業者が調整中だという。

 

 出店を決めた居酒屋「助六」は22年前に呑ん兵衛横丁で開店。店主の藤原ヨウ子さん(72)は「年齢や体調が不安で悩んだが、体力が続く限り頑張りたい。横丁からの出店が少ないのは残念だが、今まで通り愛されるような飲食店街にしたい」と話した。

 

 新しい飲食店街の名称は未定。市は当初、観光名所にもなっていた呑ん兵衛横丁の名の引き継ぎを考えたが、出店が一部にとどまったため引き継ぎは難しくなった。「全国に知られた名を何とか残したいと思ったが」と残念がる野田市長。新しい名称は、大和リースと入居店ら関係者で協議して決めていくという。

 

(復興釜石新聞 2016年9月28日発行 第524号より)

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幅広い年代のボランティアがブドウの収穫=19日、あまほらファーム

70人でブドウの収穫〜200キロに笑顔いっぱい、あまほらファーム

幅広い年代のボランティアがブドウの収穫=19日、あまほらファーム

幅広い年代のボランティアがブドウの収穫=19日、あまほらファーム

 

 NPO法人遠野まごころネット(臼澤良一理事長)がワインの生産を目指して釜石市甲子町天洞に開くぶどう園「釜石まごころの郷・あまほらファーム」の収穫祭は18日午前、現地で行われた。支援のボランティアや近隣住民ら70人が白ぶどう約200キロを収穫、選果処理して20日、醸造場所の長野県に発送した。

 

 同ファームは開墾整備、植栽して3年目。約2千平方メートルに、赤と白合計9種の苗1050本が育つ。この日の収穫は白ワインとなるシャルドネ、ケルナー、ミュラーの3種。畝(うね)ごとに同一品種が植えられていた。選定や摘み取りの要点を聞いた参加者は専用のハサミを手に、小雨の中で作業した。摘み取り、集荷したブドウの房は、虫食いや未熟な実を取り除く選果を施し、種類別に計量した。

 

 参加者は、ファーム開設を支援、植栽から四季の作業にかかわるバークレイズ証券、イオングループと、近隣の健康づくりサークル「大松スクラムメイト」の会員や家族。日本語の堪能な外国人社員も多く、”国際的な”収穫作業は和気あいあいのうちに進められた。

 

 大松の千田トミ子さん(61)は孫の北上市立南小5年、石川涼君(10)を伴った。涼君は3連休を利用して釜石に来た。「ブドウの収穫は初めて。甘く、おいしかった。ワインの味は分からないけど…」と、摘み取り、集荷、選果を続けた。

 

 愛知県の大学生長谷川佳祐さん(19)は両親と東日本大震災被災地のボランティア・ツアーで宮城県亘理町の活動後、収穫に参加した。「初めて体験した。ワインは飲めないけど、興味はある」と楽しんだ。

 

 バークレイズ証券のチーフ・オペレーティング・オフィサー長谷川康一さんは「震災から5年間、大槌、釜石で林業の再生と振興などをお手伝いしてきた。ファームも夢のある事業。応援を続けたい」と語った。

 

 イオングループの金丸治子環境・社会貢献部長は「主に被災地の海岸林の植栽を応援しているが、3年目でこれほど収穫できるのはうれしい。ワインの販売にも協力したい」と語った。

 

 遠野まごころネットの小谷雄介副理事長によると、昨年の初収穫では全収量が20キロで、今年は10倍になった。「虫、鳥、動物の食害対策や、強風による苗木や支柱の被害など苦労もある」と小谷さん。しかし、遠野市に整備するファーム1ヘクタールを加え、2年後には1・5トンを期待し、将来は醸造所の建設も見込む。

 

 同ネットは被災地域の活性化、障害者の就労支援事業との連動など、社会に役立つ複合的な「ものづくり」事業を目指す。ファームの運営とワインの一環生産も、その一事業。

 

(復興釜石新聞 2016年9月21日発行 第522号より)

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地域のスギで国体を応援しようと製作されたキーホルダー

釜石地方森林組合、国体キーホルダーを製作〜市内3競技、120個を販売

地域のスギで国体を応援しようと製作されたキーホルダー

地域のスギで国体を応援しようと製作されたキーホルダー

 

 釜石地方森林組合(佐々木光一代表理事組合長)は「希望郷いわて国体」の開催を記念し、スギの間伐材を加工した「国体キーホルダー」を限定販売している。市内で行われる3競技をデザインした3種類があり、価格はそれぞれ600円(税込み)で、全部で120個を製作。同組合では「釜石に足を運んでもらった記念に手に取ってもらえれば」と、おもてなしの心を伝える土産物としての需要に期待する。

 

 キーホルダーは、大会マスコットキャラクター「わんこきょうだい」をモチーフに、オープンウォータースイミング、トライアスロン、ラグビーフットボールの3競技をそれぞれデザイン。大きさは直径4・8センチ、厚さ0・8センチで、裏面には釜石大観音をあしらい、釜石色をアピールした。

 

 加工は釜石のNPO法人「かだっぺし」が請け負う。障害者や引きこもりがちな人たちの社会参加を支援している団体で、レーザー加工機で形成し、やすりをかけて一つ一つ丁寧に仕上げた。

 

 釜石は海のイメージが強いが、9割が山林。同組合は震災後、木製の避難路づくりや植樹などのボランティアを受け入れてきた。その際、「記念の木製品を」という声があり、昨年から間伐材を加工した一合升、「虎舞ラガーキーホルダー」を開発し販売。地場木材の活用の場を広げ、豊かな森林資源にも理解を深めてほしいとの思いが込められた商品で、森林体験などで釜石を訪れた人が土産物として購入しているという。売り上げの一部は升や虎舞キーホルダーと同様、被災した組合員が山に植樹する際の苗木購入費用に充てられる。

 

 釜援隊から同組合に派遣され、新商品開発に携わる手塚さや香さん(37)は「海はもちろん、豊富な森林資源があることが国体によって全国に伝われば、いいな」と商品をPR。今後も木製品の土産物を増やしたいとの思いを強めていた。

 

 国体キーホルダーは、各競技会場内に設けられる出展ブースで販売するほか、鈴子町のシープラザ釜石内の「かまいし特産店」でも売り出す。片岸町の同組合事務所でも扱うが在庫は少なく、商品に関する問い合わせは同組合(電話0193・28・4244)へ。

 

(復興釜石新聞 2016年9月10日発行 第519号より)

 

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釜石港に初水揚げされたサンマ=4日正午過ぎ

釜石にも秋味 サンマ到来〜初船 28トン水揚げ

釜石港に初水揚げされたサンマ=4日正午過ぎ

釜石港に初水揚げされたサンマ=4日正午過ぎ

 

 釜石市新浜町の魚市場に4日、今漁期初のサンマ28トンが水揚げされた。東北沿岸に初めて上陸した台風10号の影響でほとんど漁のなかった浜は、待ちに待った秋味の到来でにわかに活気づいた。

 

 水揚げしたのは、北海道根室市の第68伊勢丸(179トン、村田多紀夫漁労長ら16人乗り組み)。ロシア領200カイリ内で操業し、3昼夜をかけて釜石まで運んできた。「走り」としてはまずまずの大きさで、入札の結果、1キロ当たり630~500円と、昨年の初水揚げ(330~333円)を大幅に上回る高値で買い取られた。

 

 同船は一昨年も釜石にサンマを水揚げしている。村田漁労長(67)は「型は大きく脂の乗りもいいが、今のところ漁は全然だめ。燃料代は高く付くが、釜石の魚市場は日曜日でも受け入れてくれる。地元の水産加工業者の誘いも熱心で、何とか期待に応えたい」と心意気を示すものの、「サンマがこう高くては、魚ばなれが一層進むのでは」と心配する。

 

 待ちに待ったサンマの初水揚げに野田武則市長も駆け付け、飲み物などを差し入れて歓迎。「条件の悪い釜石に水揚げしてくれ、感謝している。他の漁港との格差が広がるようであれば、市としても対策を考えていかなければならない」と話した。

 

(復興釜石新聞 2016年9月7日発行 第518号より)

 

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「十割糀みそ」(左)を使ったパウンドケーキ(右)

岩手ぅんめぇ〜もんグランプリ優秀賞、藤勇 十割糀みそケーキ 発売〜老舗醸造会社と人気洋菓子店のコラボ

「十割糀みそ」(左)を使ったパウンドケーキ(右)

「十割糀みそ」(左)を使ったパウンドケーキ(右)

 

 釜石市大渡町のみそ、しょうゆ製造販売業、藤勇醸造(藤井徳之社長)は7日から、自社の「十割糀(こうじ)みそ」を使ったパウンドケーキを販売する。東日本大震災で被災した同社が復旧支援への感謝を込めて作り上げたみそに釜石と東京の”発酵女子”が着目し、新しいおいしさを提案しようと開発した。製造は地元のアンジェリック洋菓子店(鈴子町)が担当する。

 
 藤勇醸造の小山和宏専務(51)は「人との出会い、地域のつながりがなければ生まれなかった商品。手作り感、コラボレーションを楽しんでほしい」と力を込める。新しいスイーツの企画にかかわった小山さんの長女、明日奈さん(27)は「ケーキからみそのおいしさを知ってほしい。新しい釜石の土産物になれば」と期待する。

 

釜石と東京の”発酵女子”開発

 

 名称は「藤勇の十割糀みそケーキ」。生地にみその塊を残し、アクセントに香ばしいクルミを練り込んだことで、西洋風のお菓子にほんのり懐かしい味わいがするのが特徴だ。

 

 使われた十割糀みそは県産の米、大豆100%で仕込んだ甘めのみそ。ケーキは材料の小麦粉の半分、卵が県産など、地域食材を主役にしている。

 

 同社は1902年にみそ醸造会社として創業。事業が軌道に乗り、しょうゆづくりも始め、まろやかな甘味が特徴のしょうゆは地元で長く愛されている。

 

 震災では社屋が半壊。仕込み中だったみそ約50トンは廃棄し、しょうゆは約3万本を市民に無償で提供した。被害額が大きく、会社存続の危機もあったというが、「製造を再開して」という顧客らの励ましの声、物資や復旧支援のボランティアらの後押しもあり、最低限の設備を復旧し、約半年後にしょうゆづくりを再開。みそは工場の建て替えが必要となって仕込みが遅れ、出荷が再開できたのは震災から2年半後だった。

 

 しょうゆとみその消費量は、食生活の変化などで震災前から全国的に減少。伝統を守り、支援への感謝を込め、地場食材にこだわった新商品づくりを進める中で生まれたのが十割糀みそだった。

 

 ケーキ開発のきっかけは、食を通じた人とまちのつながりを目的とした東京のシェアキッチン「okatteにしおぎ」に集うメンバーと明日奈さんの出会い。東京と釜石の新しい関係づくりをしようと、十割糀みそを使った商品づくりを始めた。今年2月に東京で開かれたイベントで試験的に販売。評判も上々で、地元での販売を決めた。

 

 先月盛岡で開催された「岩手ぅんめぇ~もん!!グランプリ2016(岩手県ふるさと食品コンクール)」に出品。商品の見せ方、味に高い評価を得、食品企業部門で優秀賞に選ばれた。小山専務は「販売に向け弾みがついた」と喜ぶ。

 

 発酵女子は、みそやぬか床といった発酵食品を自在に使った料理がお得意。「塩麹(こうじ)」や「酒かす」などの発酵食にも注目が集まっている。明日奈さんもその一人で、「(東京のメンバーは)うちのみそを気に入ってくれて、食に興味があり、発酵食の伝統を復活してほしいとの思いも強い。アイデアを出し合い、それぞれの強みを生かし出来上がったもので、本当につながりに感謝。まだ違った形で商品が出てくる可能性も」と目を輝かせた。

 

 ケーキのパッケージには、十割糀みそのロゴマークにもなっている同社の屋号を利用した。富士に見立てた山から、みそだるのイメージを重ねた太陽が昇るデザイン。津波で被災した市内の印刷会社に残っていた木版の中から偶然見つかったことも糀みそ開発のきっかけの一つだったことから、歴史を感じる木版の風合いをケーキにも生かそうと考えた。

 

 小山専務は「みそ造りから始まった伝統を守りたい。社としてまちの力にもなりたい。商品開発が食を通じた地域を支える一つの力になればうれしい」と話す。

 

 価格は1個220円(税別)。市内では道の駅仙人峠、アンジェリック洋菓子店、イオンタウン釜石で販売する。そのほか盛岡市のNanak(ななっく)、特産品プラザらら・いわて盛岡店、カワトクなどにも並ぶ予定。地元の洋菓子店が手作りするため、1回の製造で120個ほどとなり、販売開始直後は品薄となることも見込んでいるが、同社では売れ行きを見ながら進めたいとしている。

 

 あすの販売開始を前に、きょう開かれる「釜石よいさ」に合わせ、大町ほほえむスクエアで100個を限定販売する。「たまにやってくるみそのしょっぱさ、洋風の中にある和テイストを楽しんで」と小山専務。

 

 問い合わせは藤勇醸造(電話0193・22・4177)へ。

 

(復興釜石新聞 2016年8月6日発行 第510号より)

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釜石湾のコンテナ

釜石港 コンテナ定期航路5周年、公共ふ頭でセレモニー〜さらなる利用拡大へ決意新た

くす玉を割り、釜石港コンテナ定期航路5周年を祝う関係者

くす玉を割り、釜石港コンテナ定期航路5周年を祝う関係者

 

 釜石港と京浜地区の国際コンテナ港を結ぶ定期航路=写真=が開設から5周年を迎え、釜石港の公共ふ頭で1日、記念のセレモニーが行われた。コンテナ船は、東日本大震災からの復興はもとより、地域経済の発展を支える重要な物流ツール。釜石港のコンテナ取扱量は震災後、年々増加を続け、2015年は県内主要港の最高記録を更新した。同港には来年度、荷役能力の高い大型のガントリークレーンを県が整備することも決まっており、関係者はさらなる港湾利用の拡大へ決意を新たにした。

 

 セレモニーは、釜石市、釜石港港湾振興協議会(会長・野田武則釜石市長)が主催した。コンテナ船を運航する井本商運(神戸市)の井本隆之社長ら関係者約60人が出席。野田市長が井本商運などに感謝状を贈り、関係者がくす玉を割って定期航路開設5周年を祝った。

 

 野田市長は「釜石港のドラスチックな変化はすべて、5年前のコンテナ定期航路開設から始まった」と感謝。井本商運と連携してコンテナ船を運航する香港の大手海運会社オリエント・オーバーシーズ・コンテナライン・リミテッド(OOCL)日本支社の藤江成宏代表は「初めて釜石港の惨状を見たときは言葉がなかった。何が何でも、ここに荷物を入れると決意して5年。これからも釜石市民になったつもりで、港の発展を祈念しつつ頑張りたい」とあいさつ。井本商運の井本社長は「今後も釜石港の発展に貢献したい」と決意を述べた。

 

釜石港のコンテナ

 

 釜石港へのコンテナ船寄港は、震災前は不定期に行われていた。被災した同港を支援しようとOOCL社がコンテナヤードに指定。井本商運が連携し、11年7月から京浜港との定期運航を始めた。

 

 コンテナ取扱量は、12年1759TEU(20フィートコンテナ換算)、13年2036TEU、14年2631TEUと着実に増加。15年は震災がれきを船で運んだことも加わり、4420TEUと県内港の過去最高記録を更新した。16年は昨年以上の取扱量を目指す。

 

 同港では現在、旋回するアームで荷物をつるジブクレーンが稼働しているが、1時間当たりに運べるコンテナは11~13個にとどまる。県が来年度の稼働を目指して整備を進める橋脚型のガントリークレーンになれば、荷役能力は約3倍にアップする見込み。

 

 県は、冷蔵・冷凍コンテナ用のコンセント増設も進めている。野田市長は「ガントリークレーンの整備は大きな一歩。本県にはまだまだ荷物がある。荷物は岩手の港から―という道筋を付け、釜石港が先進的な役割を果たしていきたい」と意気込む。

 

(復興釜石新聞 2016年8月3日発行 第509号より)

関連情報 by 縁とらんす
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