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産業振興釜石事業所

ガレキ処理で観光大臣表彰、産業振興釜石事業所 金属くず99%再資源化

産業振興釜石事業所

環境大臣表彰受賞を野田市長に報告した産業振興釜石事業所の青山所長(中)

 

 東日本大震災で発生したガレキの中の金属くずを独自に考案した処理法で再資源化し、最終処分量の削減に取り組んだ産業振興釜石事業所(青山隆一所長)は本年度の循環型社会形成推進功労者として環境大臣表彰を受け、9日、野田武則市長に受賞を報告した。

 

 同表彰を受けたのは全国の13社で、本県は2社、震災被災地では同事業所の1社だけ。表彰式は11月21日に福井市で開かれた第10回3R推進全国大会(環境省、福井県など主催)で行われ、西川環境副大臣から青山所長に表彰状が授与された。

 

 同事業所は新日鉄住金釜石製鉄所構内で約200人の従業員が鋼材加工や鉄スクラップ事業などに当たっている。震災のガレキ処理事業では新たに約20人を雇用し、今年10月までに処理した約5万8800トンの金属くずのうち99・1%(5万8300トン)を再資源化した。これは県内で発生した金属くずの約40%に当たる。

 

 市長室を訪れた青山所長は「釜石で長く手掛けてきた鉄スクラップ事業などの積み重ねで、ガレキ中の金属くずの最適な加工選別処理法を独自に考案することができた。雇用面でも復興に貢献できた。今後は、この技術をよそでも活用できるよう発信していきたい」と受賞を報告。

 

 野田市長は「震災発生直後はガレキの山をどう処理するか頭を痛めたが、処理業者に蓄積されたノウハウが早期処理につながった。その実績に敬意を表し、すばらしい受賞を今後につなげたい」と同事業所の取り組みをたたえた。

 

(復興釜石新聞 2015年12月12日発行 第444号より)

 

釜石市

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釜石水産物商業協同組合の新しい事務所用地

浜の拠点 新事務所着工、釜石水産物商業協同組合〜一般向け販売コーナーも 来年3月完成予定

釜石水産物商業協同組合の新しい事務所用地

釜石水産物商業協同組合の新しい事務所用地。奥の海側に魚市場が建設される

 

 東日本大震災で旧釜石魚市場内の事務所が全壊した釜石水産物商業協同組合(赤崎光男理事長、組合員32人)の新しい施設が浜町2丁目に建設されることになり、新築工事の地鎮祭が1日、水産業共同利用施設復興整備事業でかさ上げ、造成された現地で行われた。新事務所は来年3月の完成を見込む。来年10月の完成に向けて建設中の新魚市場に隣接し、新生「水産釜石」の拠点の一つとして期待される。 

 

地鎮祭には組合員、施工関係者ら約20人が出席。神事で赤崎組合長がくわ入れし工事の安全を祈った。野田武則市長は「浜町、新浜町、東前町一帯は水産振興の拠点地域に位置づけている。水産加工団地が早期に形成されるよう、市も努める」と期待を述べた。

 

地鎮祭でくわ入れする赤崎光男理事長

地鎮祭でくわ入れする赤崎光男理事長

 

 新事務所は鉄骨造り平屋建て、延べ床面積198平方メートル。事務所、加工場、倉庫と販売スペースを配置する。総事業費6400万円で、うち5600万円は、国と市が8分の7を負担する水産業共同利用施設復興整備事業の補助を受ける。

 

 同事業は、建設中の魚市場に隣接する浜町一帯の計画面積約3万2千平方メートルで実施。全体で5区画のうち、同組合の用地は2区(1550平方メートル)で、公募により同組合と来年9月の竣工(しゅんこう)を見込む民間事業所1社が承認された。区画内には、自力再建した地元の1社がすでに操業している。

 

 同組合は1971年、中小企業等協同組合法により、釜石市、大槌町、山田町の組合員で設立。地元の海産物、加工品の購入、地域外からの搬入品を扱ってきた。昭和50年代には組合員が100人を超え、販売額は10億円以上にのぼったが、震災直前には組合員50人、販売額も3億円に縮小していた。震災でさらに10人が廃業。現組合員32人のうち3分の1は休業状態にある。

 

 組合事業は震災の4カ月後、大渡町に仮店舗を借り再開した。しかし、魚市場から離れた立地や販売環境の変化など課題が重くのしかかった。組合の経営基盤を強化するため、新魚市場に隣接して新事務所を構えることにした。

 

 赤崎理事長(60)は「浜町一帯は商店も被災。残る住民は”買い物難民”になっている」と指摘。新設する事務所には、一般消費者向けの販売コーナーも設ける考えだ。「来年には完成する魚市場と一体で、『海の駅』的な観光資源にもしたい」と意欲を見せる。

 

(復興釜石新聞 2015年12月5日発行 第442号より)

 

復興釜石新聞

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森林資源活用研究会

地産地消へ流通システム構築〜薪を安価に安定的に調達 さまざまな波及効果期待、森林資源活用研究会

森林資源活用研究会

釜石地方森林組合の原木置き場で9月に開かれた「薪づくりまつり」

 

 釜石地方森林組合と連携し、薪(まき)燃料流通システムの構築に取り組んでいる「森林資源活用研究会」は、薪が手に入りやすくなったとしてストーブユーザーなどに利用を呼びかけている。山林所有者などから丸太材を買い取り、薪燃料として販売する仕組み。市販価格より格安で販売するが、その代わり購入した材木は自分の手で割るなど燃料用として加工するのが原則。研究会は、この試みからさまざまな波及効果を期待する。薪ストーブ生産者で研究会事務局を担当する石村工業の石村真一社長(62)は「薪の地産地消を進めたい」と思いを膨らませる。 

 

 再生可能エネルギーの一つとして普及が期待される薪は、販売する所が少ない上、石油などと比べ割高なのがネック。釜石市内には現在、薪を売っている所はない。石村工業が生産する薪ストーブは木質ペレットも使用できるが、入手が困難で、現在は秋田県の業者から仕入れているという。デザイン性にも優れた同社の薪ストーブはヒット商品となり、これまで全国に2300台余りが売れているが、釜石市内では50台程度にとどまる。

 

 そこで、薪を安価で安定的に供給するシステムはできないかと、昨年6月に任意団体の森林資源活用研究会を発足。釜石地方森林組合の協力で原木の置き場を敷地の一角に確保。ストーブや風呂、給湯などに用いる薪を、ここで購入できるシステムを整えた。

 

 1キロ当たりの販売価格は、薪割りと運搬を自分で行う場合、ナラ類11円、広葉樹10円、針葉樹8円。市販価格の5分の1程度という。購入者はここで薪を割り、自宅まで自分で運搬するのが原則。この試みには低質材の流通促進、林内の美化、薪利用の普及などのメリットがあるほか、薪ユーザー同士の交流促進にも期待も込める。

 

 薪流通の仕組みを知ってもらおうと、今年9月と今月の2回、「薪づくりまつり」を開催。参加は10人足らずと少なかったが、石村社長は「薪流通システムの周知に努め、少しずつ利用者を拡大して軌道に乗せたい」と意欲を見せる。

 

 薪は月~土曜日に販売しており、薪を割る機材は森林組合が貸してくれる。原木を提供してもらえる山林所有者からの買い取りも行う。申し込み・問い合わせは石村工業(電話0193・22・3641)へ。

 

(復興釜石新聞 2015年11月28日発行 第440号より)

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全国向けに販売する東北復興支援ビール「渚咲」

「ハマユリビール」復興にエール 釜石のプロジェクト商品化〜津波に耐えた花から酵母採取

ビールをアピールする佐藤社長、野田市長、笠井部長(右から)

ビールをアピールする佐藤社長、野田市長、笠井部長(右から)

 

 釜石市、北里大感染制御研究機構釜石研究所などでつくる「釜石はまゆりプロジェクト」は、一関市の世嬉の一酒造(佐藤航社長)の協力を得て、釜石市の花ハマユリから採取した酵母を使用したビールを商品化した。同社オリジナル商品として「東北復興支援ビール 渚咲〜Nagisa〜」を20日から全国向けに販売、同じ中身でラベルが異なる「はまゆりエール」は12月初旬から釜石市内限定で販売を開始する。使われている「釜石はまゆり酵母」は、震災の津波に耐えて自生し続けるハマユリから採取したもので、釜石の元気と復興への思いをビールに込めて市内外に発信する。

 

 ハマユリは平田・佐須地区の岩場から採取。震災の津波で水没したが、その年の夏に花を咲かせ、復興に向かう住民らの心の支えになったという。同プロジェクトでは2013年夏、そのハマユリ10輪から酵母の採取に成功。採集された400の酵母の中から食品加工用に厳選されたのが釜石はまゆり酵母で、香りの良さが特徴だという。

 

 同社は江戸時代から続く蔵元で、1995年にクラフトビール(地ビール)の醸造を開始。岩手の食材や地域文化を生かしたクラフトビールの提案を行っており、12年に北里大と共同で石割桜の酵母を使った「東北復興支援ビール 福香」を開発している。

 

 こういったつながりで同プロジェクトから依頼を受けた同社が、色や香り、飲みやすさなど試行錯誤を重ねながら約1年がかりで開発。ハマユリらしさを伝えるオレンジに近い赤色で、フルーティーな香りが特徴のビールを完成させた。同社によると、野生の酵母を使ったビールは全国的にも珍しいという。

 

全国向けに販売する東北復興支援ビール「渚咲」

全国向けに販売する東北復興支援ビール「渚咲」

 

 販売開始に合わせた20日、佐藤社長や同研究所の笠井宏朗部長らが釜石市役所を訪れ、野田武則市長に商品を披露した。佐藤社長は「ストーリー性を楽しみ、釜石を思って飲んでもらいたい。多くの人が岩手に来るきっかけになれば」と期待。「はまゆり酵母は香りが良く、発酵力も強く商品化しやすい酵母」と話し、新たな商品開発にも意欲を示した。

 

 はまゆり酵母を使った商品は、「釜石バーガー」「釜石海まん」に続き、今回が第3弾。笠井部長は「ビール片手にバーガーといった感じで楽しんでもらいたい」とアピールした。

 

 野田市長は「震災を乗り越えた奇跡のハマユリから作ったもので、不撓(ふとう)不屈を体現した、釜石そのものといえるビール」と太鼓判。食を通じ元気な釜石の発信に取り組む市では、世界遺産やラグビーワールドカップなどで増加が見込まれる観光客らの土産物として活用したい考えで、市内限定販売のビールには「ハマユリを知ってもらうとともに、釜石を応援してほしい」との思いを込めている。

 

 共に330ml。「渚咲」(税込み518円)は全国の同社商品取扱店と同社ホームページで、「はまゆりエール」(同500円)は道の駅「釜石仙人峠」とシープラザ釜石で販売される。問い合わせは同社(電話0191・21・1144)へ。

 

(復興釜石新聞 2015年11月25日発行 第439号より)

関連情報 by 縁とらんす
世嬉の一酒蔵 公式サイト
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釜石水産物ブランド化セミナー

釜石水産物ブランド化セミナー開催のお知らせ

釜石水産物ブランド化セミナー開催のお知らせ

 

釜石市では、「魚のまち」としての再生・復興に向け、平成25年度より岩手大学と連携した「魚のまちモデルアクションプラン」の策定及び実証を進めております。

 

地域水産物の付加価値向上やブランド化への検討に向け、本年9月、市内水産関係機関により「釜石水産物ブランド化研究会」を立ち上げたところですが、この取組の一環として、「釜石産水産物ブランド化セミナー」を開催します。

 

開催日時

平成27年12月4日(金) 13:30~15:30

会場

岩手大学釜石サテライト 1階セミナー室(釜石市大字平田3-75-1)

内容

1. 講演 (13:30~14:30)
・演題:『萩シーマートと地域資源のブランド化』~ブルーオーシャン戦略の実践~
・講師:中澤さかな氏 (道の駅「萩シーマート」(山口県萩市)駅長)
2. 意見交換 (14:40~15:30)

 

・どなたでも参加できます。
・添付のチラシをご参照ください。

 

https://www.city.kamaishi.iwate.jp/kurasu/suisangyo/detail/__icsFiles/afieldfile/2015/11/20/burando.pdf

釜石水産物ブランド化セミナーチラシ

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【*】釜石産水産物ブランド化研究会
(目的)本研究会は、釜石市内で水揚げされる水産物のブランド化について検討するため、生産、販売、消費に係る関係機関、団体等が一丸となってネットワークを構築し、連携して、釜石産水産物の販売促進と消費拡大を図ることを目的としています。

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 産業振興部 水産課 水産振興係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-22-2111(306) / 0193-22-9005 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/kurasu/suisangyo/detail/1197591_2289.html

 

釜石市

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漁業・農業後継者育成担い手確保対策セミナー

漁業・農業後継者育成担い手確保対策セミナー開催のお知らせ

漁業・農業後継者育成担い手確保対策セミナー
 

「魚のまち」としての再生・復興に向け、根底となる生産現場の活性化を目的とし、平成25年度より岩手大学と連携した「魚のまちモデルアクションプラン」の策定及び実証を進めておりますが、この一環として、石川県能登地域において「里山里海マイスター育成プログラム」を実践している金沢大学・中村浩二特任教授を当市に招聘した講演会を開催いたします。

 

開催日時

平成27年11月24日(火) 13:30~15:30

会場

岩手大学釜石サテライト 1階セミナー室(釜石市大字平田3-75-1)

内容

(1)講演 (13:30~14:30)
・演題:『漁業農業振興をベースにした地域人材育成活動について ~「能登里山里海マイスター育成プログラム」を例にして~』
・講師:金沢大学 中村浩二特任教授
(2)意見交換 (14:30~15:30)

 

【*里山里海マイスター制度】地域の宝である「里山」「里海」を活かした地域のリーダー人材を、金沢大学、構成自治体及び地域企業の産学官連携によって育成しようという試み。能登への移住者やIターンによる漁業者の定着において実績を有している。

 

・漁業関係者、農業関係者、地域振興や人材育成にご関心のある方々、どなたでも参加できます。
・添付のチラシをご参照ください。

https://www.city.kamaishi.iwate.jp/kurasu/suisangyo/detail/__icsFiles/afieldfile/2015/11/12/chirashi_2.pdf

漁業・農業後継者育成担い手確保対策セミナー

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太陽光パネル 東北各地へ陸送、片岸地区に物流倉庫起工〜トリナ・ソーラー社 来週から稼働へ

トリナ・ソーラー完成イメージ

太陽光パネルの物流拠点となる倉庫の完成イメージ

 

 世界でも大手の太陽光パネル製造販売会社で中国江蘇省に拠点を置くトリナ・ソーラーの日本向け物流拠点となる倉庫の起工式が21日、釜石市片岸町の現地であった。中国で生産した太陽光パネルを釜石港で陸揚げし、東北各地に発送する計画で、倉庫は来春の稼働開始を目指す。 

 

 起工式は、トリナ社と提携し倉庫の建設運営主体となる建設コンサルタント会社「大甲」(神戸市、細川秀紀代表取締役)が主催した。トリナ社の翁寅社長や野田武則市長ら市の関係者、地域住民代表など約50人が出席。神事で細川代表取締役がくわ入れし、工事の安全を祈願した。

 

起工式でくわ入れする大甲の細川代表取締役

起工式でくわ入れする大甲の細川秀紀代表取締役

 

 震災の津波で全壊した旧職業能力開発センター跡地、約1万4500平方メートルの市有地を借り受け、床面積約1500平方メートルと約4千平方メートルの大小の倉庫、事務所棟を建設する。倉庫は全体で約8万枚の太陽光パネルを保管できる。

 

 今回着工したのは小さな倉庫と事務所棟で、大型の倉庫は来年度に着工予定。このため全面的に稼働するのは2017年春からとなる。総事業費は約6億円を見込み、地元採用を含め5~10人の従業員の雇用を予定する。

 

 トリナ社は生産量、出荷量が世界トップクラスの太陽光パネルメーカー。これまでは横浜港などに陸揚げしてきたが、復興事業などに伴い東北の需要が伸びると見込み、三陸沿岸道路と東北横断道路の結節点に当たる釜石に物流拠点を置くことにした。誘致は、市と産業復興支援協定を結ぶパシフィックコンサルタンツ(東京)が仲介。昨年9月に市と立地協定を結んだ。

 

 大甲の細川代表取締役は「復興を後押しするためにもこの事業を成功させ、第2、第3の事業もできるようがんばっていきたい」としている。

 

(復興釜石新聞 2015年10月24日発行 第430号より)

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かまだんご

伝えたい ふるさとの味「釜石かまだんご」発売、食べやすく 一口サイズに

釜石振興開発かまいし特産店の下川原繁夫店長

「懐かしい、ふるさとの味をどうぞ」と呼びかける釜石振興開発かまいし特産店の下川原繁夫店長

 

 伝えたい、ふるさとの味――。釜石市の第三セクター釜石振興開発(新里進社長)は、釜石地方の郷土菓子として知られる「かまだんご」を一口サイズにして食べやすくした「釜石かまだんご」を発売した。モッチリとした食感の団子からトロリと黒蜜がしたたり落ちる、懐かしい味わいを再現。同社は「釜石の新しい土産品として利用していただければ」と期待を込める。

 

 草を刈る鎌の形に似ていることから名付けられたといわれる「かまだんご」は、釜石地方の農家などに古くから伝わる定番のおやつ。それぞれの家庭によって形や中身は少しずつ異なるが、いずれも米粉や小麦粉でつくられたモッチリとした生地の皮の中にトロリとした砂糖が入っている。

 

 以前は釜石橋上市場や朝市などでもよく見かけたが、今では一部の産直や道の駅などで販売されるだけとなった。

 

 「昭和の時代、おばあちゃんやお母さんがよく作ってくれた、かまだんご。初めて食べる人は必ずといっていいほど、黒蜜で手や服を汚したもので、これも古き良き思い出」。釜石かまだんごの開発を担当した下川原繁夫さん(46)=かまいし特産店店長=は、こう話す。

 

 この懐かしい味を土産品として広く普及できないかと考えるようになったのは、震災の前から。しかし、かまだんごは時間がたつと皮が固くなり、風味も落ちるなどの難点があった。

 

 そこで考えたのが、一口サイズにし、解凍することでモチモチ感を維持すること。製造は、全国にもファンが多い「ごま摺り団子」を販売する平泉町の菓子メーカー松栄堂に委託。4回の試作を重ねて、やっと完成した。

 

 釜石の地元食材、藤勇醸造のみそ、釜石鉱山で産出する仙人秘水を使用。「食べやすく、懐かしい味わいをそのまま再現した」と下川原さん。実家は酒屋で、調理師免許も持ち、「子どものころから、かまだんごには深い思い入れがあった」と明かす。

 

 釜石かまだんごは9月に行われたいわて特産品コンクール(いわて産業振興センター主催)で「いわての物産展等実行委員会会長賞」に入賞した。

 

 販売価格は8個入り756円(税込み)、16個入り1458円(同)。常温解凍で1~2時間後が食べごろという。釜石市鈴子町シープラザ釜石内のかまいし特産店、甲子町の道の駅・釜石仙人峠で販売している。問い合わせは、かまいし特産店(電話/FAX0193・31・1180)へ。

 

(復興釜石新聞 2015年10月3日発行 第424号より)

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サントリー スチール缶新発売

サントリー スチール缶新発売〜鉄の街 釜石を盛り上げよう「ザ・プレミアム・モルツ」「金麦」

サントリーが制作したオリジナルポスター

サントリーが作成したオリジナルポスター。「鉄の街・釜石を盛り上げよう」と呼びかける

 

 洋酒やビールなど飲料製造・販売大手のサントリーは、釜石市に棒線事業部釜石製鉄所を置く新日鉄住金の製品を使用したスチール缶ビール「ザ・プレミアム・モルツ」「金麦」を6日から新たに発売する。「鉄のふるさと釜石」で広くスチール缶に親しんでもらい、復興にまい進する釜石を盛り上げようとの願いを込め、釜石地域を皮切りに県内、東北へと販売活動を展開する。

 

 サントリーが今回、発売するのはプレミアム・モルツ5千ケース(24本入り)、金麦6千ケース(同)。いずれも新日鉄住金名古屋(愛知県)、広畑(兵庫県)、八幡(福岡県)の3製鉄所で製造するスチール缶を使用。釜石、遠野、大槌地域を皮切りに全国で販売する。釜石市内ではイオンスーパーセンター、キクコーストア、マイヤ、みずかみなどスーパーのほか、酒店などで取り扱う。

 

 これを前にサントリーは1日、釜石市内の飲食店向けに「お役立ち展示会」をホテルサンルート釜石で開催。スチール缶ビールをはじめウイスキーやワインなどの主要製品を並べ、新しい飲み方やメニューなども提案。無料で招いた飲食業者らに利用を呼びかけた。

 

 同社は「鉄の街・釜石」を盛り上げよう―とのキャッチコピーを掲げたオリジナルポスターも作成。仙台支店の高田智康営業担当部長は「スチール缶の良さを広げていこう」と呼びかける。

 

 鈴子町の仮設飲食店街で居酒屋を経営する工藤結城さん(68)は「息子が名古屋製鉄所でスチール缶の製造に従事していて、今回のキャンペーンは本当にありがたい。店の再建へ向け力をもらった」と感謝した。

 

サントリーが開いた「お役立ち展示会」

サントリーが開いた「お役立ち展示会」で、スチール缶を手に取ってみる市内の飲食業者ら

 

 世界的な環境保護の世論の高まりの中、スチール缶は他素材製の容器と比べてリサイクル率が高く、製造時のエネルギー消費や二酸化炭素の発生が少ない「環境に優しい容器」として再認識されている。

 

 新日鉄住金によると、スチール缶のリサイクル率は2012年度で90・8%に上る。八幡製鉄所のお膝元、北九州市ではスチール製の容器を使用した缶ビールは全体のほぼ50%を占めるという。しかし、全国的にはまだ1%程度と少なく、釜石製鉄所の担当者は「釜石でもスチール缶の比率を少しでも高めたい。釜石シーウェイブスの応援などと絡めた〝ご当地缶〟もできれば」と期待する。

 

(復興釜石新聞 2015年10月3日発行 第424号より)

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梅の香ほんのり ようかん2種〜地元産のウメ、酒を使用 釜石の新しい名物に 釜石振興開発販売

道の駅釜石仙人峠で売り出した酒ようかんと梅酒ようかん

釜石の新名物にと、道の駅「釜石仙人峠」で売り出した「酒ようかん」「梅酒ようかん」

 

 釜石市の第三セクター釜石振興開発(新里進社長)は、地酒「浜千鳥」や地元産のウメを使った梅酒を素材に2種類のようかんを開発した。それぞれ日本酒、ウメの香りがほんのり広がり、ほどよい甘さが特徴。同社が運営する道の駅「釜石仙人峠」で8月中旬から販売し、10日までに約1千個が売れた。地域色豊かな商品として新たな釜石の名物、土産品の需要に期待を寄せる。

 

「酒ようかん」には、まろやかでフルーティーな味わいの大吟醸酒を使った。「梅酒ようかん」は釜石産ウメを日本酒で漬け込んだ梅酒を使用。2種類とも白あんのようかんで、一口サイズで食べやすくしている。

 

 1袋12個入りで各540円(税込み)。道の駅のほか、同社がシープラザ釜石内で営業する「かまいし特産店」でも購入できる。さらに、市内業者の支援と物産販売の促進に向けてネット上に立ち上げている「三陸釜石元気市場」での販売も予定している。

 

 同社は震災後、釜石の新名物にしようと地元の素材を使った商品の開発、販売に力を入れている。第1弾は「釜石復興の環(ロール)」として、地元の老舗「藤勇醸造」のしょうゆを使ったロールケーキ「醤油ロール」や浜千鳥を素材にした「大吟醸ロール」を販売。第2弾として、橋野町の和山高原で栽培したそば粉を使った「釜石和山高原そば」を売り出している。

 

 今回は第3弾。「橋野鉄鉱山・高炉跡」の世界遺産登録を目前にした今年6月ころから、記念する商品になればと開発を進めた。含むアルコール分は0・7%未満。車を運転する人や妊娠している人、子どもの飲食には注意を呼びかけるが、道の駅のスタッフは「本物のお酒と飲み比べしてみるのも楽しいのでは」とPRする。

 

 駅長を務める同社の菊池利教部長は「お土産の一品になれば。地元にあるものを使って商品を作ることがポイントで、第4弾、5弾と考えていきたい」と意欲をみせる。

 

 世界遺産登録を記念した釜石物産フェアが今月上旬に盛岡市のカワトクで開かれ、同社が出品したようかんも好評だったという。今月中はカワトクでも購入できる。

 

 問い合わせは道の駅「釜石仙人峠」(電話0193・27・8530)、かまいし特産店(電話0193・31・1180)へ。

 

(復興釜石新聞 2015年9月12日発行 第418号より)

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楢ノ木平にメガソーラー〜唐丹、甲子の地域振興に 建設技術研究所

立地協定を結んだ西山社長(右から2人目)、野田市長ら

立地協定を結んだ西山社長(右から2人目)、野田市長ら

 

 建設コンサルタントの建設技術研究所(東京都中央区)が釜石市に設立した子会社、釜石楢ノ木平太陽光発電(西山勝栄社長、資本金500万円)が唐丹町に大規模太陽光発電所(メガソーラー)を建設することになり、1日、市と立地協定を結んだ。今回の協定は、市が取り組むスマートコミュニティー構想事業の一環で、再生可能エネルギーを活用した地域経済の振興を図るのが狙い。環境に配慮したエネルギーの普及啓発活動も行う。

 

 同社は、同研究所の再生可能エネルギー分野の新事業参入とコンサルティング領域の拡大を目的に、太陽光発電事業を行う子会社として設立した。同発電所は市内で2カ所目のメガソーラー。市が所有する楢ノ木平牧場の一部約2ヘクタールの土地に太陽光パネル6300枚を敷き詰め、発電する。今月中旬に着工し、来年7月の稼働を目指す。事業費は約5億円。

 

 出力1500キロワット、年間発電量は一般家庭約400世帯に相当する150万キロワット時。東北電力に売電する予定で、年間売り上げは5千万円程度を見込む。売電期間は20年。賃貸借料や収益の一部を市に支払い、周辺の唐丹、甲子地区の地域振興策に役立てる。

 

 締結式は市役所で行われ、西山社長と野田武則市長が協定書に署名した。西山社長は「単なる売電ではなく、地域への貢献や再生可能エネルギーの普及啓発にも協力したい」とあいさつ。野田市長は「震災では市民生活における電力の重要性を認識。地域に根ざした事業を展開し、釜石が目指す再生エネルギーの拠点地域としての発展に協力を」と述べた。

 

(復興釜石新聞 2015年9月5日発行 第416号より)

 

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釜石サンマ水揚げ

釜石にも秋味覚到来 浜に活気、一挙に2船 140トン初水揚げ

釜石に初水揚げされたサンマ。銀りん躍るサンマに魚市場も活気づく=4日午前6時36分

釜石に初水揚げされたサンマ。銀りん躍るサンマに魚市場も活気づく=4日午前6時36分

 
 釜石市新浜町の魚市場に4日朝、今季初のサンマが水揚げされた。釜石への初水揚げは昨年より3日早く、大型サンマ船2隻が合わせて約140トンを水揚げした。サンマの型は例年よりやや小さめというものの、待ちに待った秋味の到来に浜は活気付いた。

 

 千葉県南房総市の第1安房丸(120トン)は昨年に続き、釜石へのサンマ第1船となった。今季は4回目の操業で、北海道根室沖のロシア海域で漁獲した約60トンを一昼夜半かけて釜石まで運んできた。

 

 水揚げしたサンマは160グラム以上の大型が約3割にとどまり、中型が約5割、小型は約2割。黒川義明漁労長(55)は「まだ漁が薄く、本格的な漁はこれから。型もまだ少し小さいが、脂は乗っており、おいしいと思う」と話した。

 

 一方、稚内市の第5朝洋丸(199トン)もロシア海域で漁獲した約80トンを水揚げ。後藤昭美漁労長(61)は「今季初めて、まとまった数の漁になった」と喜ぶ。一昨年、昨年と釜石に水揚げしており、「今後も続けたい」と後藤漁労長。

 

 入札の結果、1キロ当たりで昨年の初水揚げより50円ほど高値の233~330円で取引された。

 

 この日、釜石に水揚げされたサンマのうち約80トンを買い付けた平庄(平野隆司社長)は、そのほとんどを関東、名古屋方面へ鮮魚として出荷した。同社の菊池幸一工場長(49)は「昨年度は約3千トンを買い付けた。今年は5千トンを目指したい」と意気込む。4年前の震災で被災したものの、間もなく工場を復旧。サンマの買い付け、加工も休まず続けている。

 

 釜石魚市場の昨年度のサンマの水揚げは5260トン、5億199万円にのぼり、13年度と比べ数量は5倍、金額は3・6倍も伸びた。被災した水産加工場の復旧が進み、受け入れ設備も整ってきたことなどから、釜石に水揚げするサンマ船が増えているという。

 

 釜石市の野田武則市長も午前7時前に魚市場を訪れ、「今年もやっと釜石産のサンマが食べられる」とサンマ船を歓迎。各漁労長に飲み物などを差し入れ、「新しい魚市場の建設も進めている。引き続き、釜石への水揚げをよろしく」と要請した=写真。

 

サンマ船を歓迎する野田釜石市長

 

(復興釜石新聞 2015年9月5日発行 第416号より)

 

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