特産生かし2つの新商品、甲子柿ジャム・レアチーズケーキ〜甲子地区活性化協議会が開発、4月28日から販売開始
甲子柿を活用した活動について野田市長に報告した甲子地区活性化協議会のメンバー
釜石市の甲子地区活性化協議会(藤井サヱ子会長)は、特産品の「甲子柿」を使った2つの新商品を開発した。柿をそのまま味わえる甲子柿ジャム(100グラム、600円)と、淡い柿色が特徴の甲子柿レアチーズケーキ(90グラム、350円)。28日から道の駅「釜石仙人峠」と創作農家こすもすで販売を始める。これを前に17日、市役所の野田市長を訪ね、新商品を披露。甲子柿のPRを目的に考案したロゴマークやパンフレットなどの完成についても報告した。
同協議会は甲子柿を守る会や生産組合などで構成し、2015年4月に発足。甲子柿の加工品開発やイベント開催など地域の魅力を活用した事業に取り組んでいる。
甲子地区で育った渋柿の一種である小枝柿を煙でいぶして甘さを凝縮させた甲子柿は地域の特産品の一つだが、これまでは旬の10月だけと季節が限定されていた。加工品としては、藤井会長がレストランを開設した2007年からドレッシングを提供してきたが、通年で味わってもらえるよう、さらに加工品の開発を進め、細胞を壊さずに凍らせるCAS冷凍機で丸ごと一個を凍らせた冷凍甲子柿や、甲子柿をラム酒に漬け込み、アイスと混ぜ合わせたジェラートを昨年4月に売り出した。
今回はこれに続くもので、ジャムは砂糖の使用を極力控え、香料などの添加物も使わず、甲子柿の持つ独特の薫香と強い甘み、完熟感をそのまま味わえるようにした。レアチーズケーキは甲子柿をとろみのあるなめらかな半液体状にし、豆乳とクリームチーズと混ぜ合わせた。
新商品の甲子柿レアチーズケーキとジャム(手前左から)
ロゴマーク、パンフレットも完成
試食した野田市長は「おいしい」と評価。柿をデザインしたロゴマーク、秘伝の製法から生まれた魔法の柿としての物語や生産者の思いをまとめたパンフレット、店頭などに置いてもらうPR用のポスターやリーフレットの紹介も受け、釜石をアピールする特産品としての今後の展開に期待を示した。
同協議会によると、昨年は台風による落果や実裂けなどで例年に比べ収量が減り、安定生産が課題だという。
多い時に80人が所属した生産組合の会員は現在20人ほど。柿づくりには肥料、せん定などきめ細かな配慮が大事になり、庭などにある柿の木を放置したままの人や組合に入っていない人などに働きかけ、安定的な供給、さらなる加工品づくりにつなげたい考え。
藤井会長は「甲子柿は成分などまだ知らない部分も多く、調査を進めることで新たな広がりを生む余地がある。(加工品は)全て手作りなので細く長く続けたい」と今後の取り組みに意欲を見せる。
新商品2点とドレッシングは、釜石食ブランド開発検討協議会が主催する昨年度の「おいしい釜石コレクション」に認定されている。事務局の市商業観光課は、これまで認定された菓子や総菜など34点を紹介する冊子を作成。市内の公共施設などで配布し、市民や観光客に釜石ならではの商品PR活動を後押しする。
(復興釜石新聞 2017年4月22日発行 第582号より)
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