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「農地の日」にちなんだ活動で汗を流した農業委員ら

カボチャでラグビーW杯を盛り上げ、釜石市農業委員会〜鵜住居の遊休地に植え付け

「農地の日」にちなんだ活動で汗を流した農業委員ら

「農地の日」にちなんだ活動で汗を流した農業委員ら

 

 釜石市農業委員会(二本松誠会長)は20日、鵜住居町田郷の遊休農地でカボチャの苗の植え付けと草刈り作業を行った。今回植え付けたのは「ロロン」という品種で、ラグビーボールのような形をしたカボチャ。2019年のラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催に向けた盛り上げの一助になればと、試験的に栽培する。

 

 県農業会議が2013年に設定した「農地の日」(7月15日)にちなんだ取り組み。釜石市では景観保全、農地の有効活用、地域住民の交流を狙いに、市内各地にある遊休農地でソバ栽培などを試みてきた。昨年は今回と同じ農地(約20アール)で品種が異なるカボチャを植え付けたが、台風による大雨の影響で全滅。今年は品種を変え再挑戦することにした。

 

実りに期待を込め「ロロン」の苗を植え付けた

実りに期待を込め「ロロン」の苗を植え付けた

 

 この日の作業には委員ら約20人が参加。約10アール分の農地に、甲子町の農業、佐々木四郎さん(70)が育てた苗90株を植え付けた。農地として守るため、残りの約10アールは草刈りをした。

 

 ユニークな形のロロンは2キロ程度の大玉となり、上品な甘さと滑らかな舌触りが特徴。苗を育てた佐々木さんも今回、自身の畑に約90株を植え付けており、「イチゴやメロンなどを栽培してきたが、カボチャは初めての挑戦。味がいいと聞いているので、収穫が楽しみ」と話した。

 

 二本松会長は一足早くロロンに着目し、自身の畑で栽培しており、1週間後に収穫できる見込みだという。同委員会としての取り組みは試験栽培だが、「ラグビーカボチャが市内の産直に並べば、W杯に向けた地域の盛り上がりにつながると思うので、ぜひ成功させたい。この取り組みにより、市内で作付けする農家が増えてくれれば」と期待を寄せた。

 

 今後は協力して間引き作業などを行い、10月に収穫する予定。

 

(復興釜石新聞 2017年7月22日発行 第607号より)

 

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今季初の集荷会に収穫したウメの実を持ち込んだ生産者ら

今季初の梅を集荷、「そう、うまくは…」と苦笑い〜量は昨年を大幅に下回る

今季初の集荷会に収穫したウメの実を持ち込んだ生産者ら

今季初の集荷会に収穫したウメの実を持ち込んだ生産者ら

 

 釜石市、大槌町のウメ生産者らでつくる釜石地方梅栽培研究会(前川訓章会長、19人)の今季初となる集荷会が6月29日、栗林町の栗林地区基幹集落センターであった。生産者は青緑の実を持ち込み、次々に計量。ウメは梅酒の原料として小川町の酒造会社浜千鳥(新里進社長)に提供する。

 

 生産者によると、今年は例年どおり開花したが、その後の天候は雨が少なく乾燥した日が多かったり、受粉もうまく進まず、昨年度の集荷量約5500キロを大幅に下回り、2~3千キロにとどまる見込みだという。

 

 今回は96キロを出荷する前川会長は「例年650キロほど取れていたのに、今年はあと二、三十キロにしかならない。まるっきりだめ。前の年が良かったからと期待していたが、そううまくはいかない」と苦笑い。梅の実の一番いい時期に一度に買い取ってもらう取り組みは生産者にとってメリットになっていて、遊休農地の活用にと仲間入りする人も増えているという。「兼業農家が多く、楽しみながら無理せずやっていければ、いい」と話した。

 

 同研究会は生産農家と浜千鳥などが良質なウメの栽培や安定した生産の確保を目指し、2014年に設立。昨年は大粒のウメ品種の新植による遊休農地の有効活用を図ったほか、県内の先進地視察研修を行い、効率的な収穫方法、生産・加工技術を学んだ。

 

 集荷会の前には総会が開かれた。県沿岸広域振興局が進めている三陸農産物のブランド化の取り組みで、ウメも対象品目の一つになっている。市などが今年5月に開催した、地元の海と山の食材を使った料理を紹介する試食会でウメを使った料理が高い評価を得、メニューを考案した首都圏で活躍する料理研究家も食材としての活用、加工品の開発など積極的な取り組みを提案していたことなどが報告された。

 

 前川会長は「今まで食べきれない分は捨てていたもの。商品化し、販売量の増加など結果が伴えば、地域ももっと盛り上がる。グリーンツーリズムなどとも合わせて認知度を高める取り組みも進めていければ」と意欲を見せた。

 

 昨年収穫したウメを使った梅酒は4日から販売されている。

 

(復興釜石新聞 2017年7月5日発行 第602号より)

 

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式典には漁師らも祝いの大漁旗を掲げて新しい魚市場に駆け付けた

「魚のまち」再興へ〜釜石魚市場 新施設完成、新浜町と2場体制で

供用が始まった釜石魚市場

供用が始まった釜石魚市場

 

 東日本大震災の津波で被災し、釜石市が新築復旧を進めてきた釜石魚市場の魚河岸地区荷さばき施設が完成し、16日、現地で供用開始式典が行われた。鳥獣の侵入を防ぎ、殺菌冷海水や排ガスの出ない運搬車を導入するなど衛生管理機能を高めた新市場の稼働により、魚市場機能が本格的に回復し、産地魚市場としての機能も強化。2013年4月に再開した新浜町地区の施設と併せて「魚のまち釜石」の復興加速に期待がかかる。

 

 魚河岸地区の施設は鉄骨造り2階建て、延べ床面積約6500平方メートル。建物幅約165メートル、奥行き約35メートルと旧市場と同規模で整備。鳥獣などが入らないようシャッターで囲われた閉鎖型の構造を採用した。排ガスが出ないバッテリー式フォークリフトや殺菌冷海水の供給設備を導入し、衛生管理を徹底。陸揚げから選別・計量、陳列・販売(入札)、出荷に至る区画を直線的に配して作業を効率化し、魚介類の鮮度を保つよう工夫した。

 

 整備事業費は約36億7500万円。水産庁の水産基盤整備事業費、復興特別交付税を活用し、市の負担は約5千万円。管理運営は釜石市漁業協同組合連合会が担う。

 

 釜石魚市場の年間水揚げ額は、最盛期の1980年代に100億円を超えていたが年々減少。魚のまちを復活させるため魚河岸地区と2場体制にしようと、震災前から新浜町地区に大型漁船の水揚げ拠点として荷さばき施設の整備を進めていた。完成間近だったが、震災の津波で両施設とも被災。比較的被害が少なかった市漁連が運営する第2魚市場を11年8月に再開、代替えとして活用しながら、新浜町地区の魚市場も再開させた。

 

式典には漁師らも祝いの大漁旗を掲げて新しい魚市場に駆け付けた

式典には漁師らも祝いの大漁旗を掲げて新しい魚市場に駆け付けた

 

 魚河岸魚市場は2015年2月に着工し、今年3月に完成した。これにより2場体制が復活。魚河岸地区は定置網を中心とした地元漁船、水深の深い新浜町地区ではサンマ船など大型船の水揚げに対応し、機能を分担する。

 

 震災前の旧市場の水揚げは30億円程度で推移していたが、震災のあった11年には14億円台まで落ち込んだ。その後も低調に推移し、昨年は約17億円と伸び悩んでいる。市は市場周辺に水産加工など4事業者を誘致し、水産業の復興を推進。海産物を食べたり買ったりできる、にぎわい創出施設の整備計画もあり、当面の目標は「年間水揚げ量2万トン、水揚げ額36億円」としている。

 

関係者がテープカットで祝う

関係者がテープカットで祝う

 

 式典には関係者ら約100人が出席し、テープカットして完成を祝った。野田武則市長が「2場体制で水産業の本格復興を図りたい」とあいさつ。市漁連の小川原泉会長は「震災から6年が経過する中、この日を迎えることができ、喜びに堪えない。生産者、連合会一丸となって水揚げ増加に取り組み、新鮮で安心安全な魚介類を消費者に届けていきたい」と力を込めた。

 

(復興釜石新聞 2017年5月20日発行 第589号より)

 

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釜石ワイン市販開始へ、三陸の海の幸と好相性〜5月5日からイオン釜石で販売

釜石ワインの誕生と市販開始を喜ぶ関係者、野田市長と市民

釜石ワインの誕生と市販開始を喜ぶ関係者、野田市長と市民

 

 釜石産ブドウを100%使ったワインが誕生し、26日、関係者にお披露目された。ワインは初めて、5月5日からイオンタウン釜石のイオンスーパーセンター釜石店で市販される。イオン釜石で開かれた発表会では、ブドウ園「遠野まごころの郷あまほらファーム」を運営するNPO遠野まごころネット(臼澤良一理事長)や支援、醸造、販売にかかわる40人が試飲。地域の活性化につながる事業の今後の展開に期待を高めた。

 

遠野まごころネット 「白」に限定121本

 

 同ファームは甲子町天洞の民有地約3千平方メートルを借用。2014年、15年と用地を拡大し、ワイン用ブドウの苗木1千本を植えた。一昨年秋には約20キロを収穫、昨年9月には収量を300キロ近くに伸ばした。

 

 長野県東御市でワイナリー「はすみふぁーむ&ワイナリー」を経営する蓮見よしあき(喜昭)さんが栽培から醸造までを指導。市販にこぎ着けた。

 

 生産本数(750ミリリットル入り)は、白が原料約200キロから121本、赤は80キロ以上から55本。今回は、一定の熟成感を得た白のみを市販する。

 

 釜石ワイン・白の名称は「シャルドネ60アッサンブラージュ」。シャルドネ(種)を60%以上使い、ミュラー、ケルナーの2種をブレンドしたワインで、アッサンブラージュはフランス語で「立体的なものを寄せ集め、積み上げる」という意味。アルコール度数は12度。

 

 昨年4月の発表会で、遠野まごころネットとイオングループは販売合意書を取り交わし、世界的金融大手バークレイズは就農支援プログラムを発表している。今回の発表会では野田武則市長、イオンスーパーセンターの東尾啓央社長、植樹からかかわるイオングループの金丸治子環境・社会貢献部長らが期待を述べた。

 

 収穫に参加した大松地区の佐々木美津子さん(74)と制野芳子さん(75)は釜石ワインの誕生に大喜び。「切れ味がある。刺し身とかにも合いそう」と期待を膨らませた。

 

ワインの味わいは「切れ味がいい」と好評だった

ワインの味わいは「切れ味がいい」と好評だった

 

 臼澤理事長(68)は「感無量。ラグビーワールドカップ(W杯)がある19年には8千本の販売を目指す」と今後の展開を見据えた。

 

 同ネットは甲子町天洞地区に障害者施設・まごころ就労支援センターを集約。受け入れ規模を現在の16人から26人に拡充する。ブドウの栽培にも大きな戦力になる。遠野市上郷町にも昨年4月、「バークレイズ遠野さむかぜヴィンヤード」を開設し、2種類、1500本を栽培する。ワイン醸造設備・機器の購入も決めている。

 

 「釜石の白」は5月5日午前10時から、イオンスーパーセンター釜石店前のフードコート通路の特設コーナーで販売する。価格は1本税込み2700円。

 

(復興釜石新聞 2017年4月29日発行 第584号より)

復興釜石新聞

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甲子柿を活用した活動について野田市長に報告した甲子地区活性化協議会のメンバー

特産生かし2つの新商品、甲子柿ジャム・レアチーズケーキ〜甲子地区活性化協議会が開発、4月28日から販売開始

甲子柿を活用した活動について野田市長に報告した甲子地区活性化協議会のメンバー

甲子柿を活用した活動について野田市長に報告した甲子地区活性化協議会のメンバー

 

 釜石市の甲子地区活性化協議会(藤井サヱ子会長)は、特産品の「甲子柿」を使った2つの新商品を開発した。柿をそのまま味わえる甲子柿ジャム(100グラム、600円)と、淡い柿色が特徴の甲子柿レアチーズケーキ(90グラム、350円)。28日から道の駅「釜石仙人峠」と創作農家こすもすで販売を始める。これを前に17日、市役所の野田市長を訪ね、新商品を披露。甲子柿のPRを目的に考案したロゴマークやパンフレットなどの完成についても報告した。

 

 同協議会は甲子柿を守る会や生産組合などで構成し、2015年4月に発足。甲子柿の加工品開発やイベント開催など地域の魅力を活用した事業に取り組んでいる。

 

 甲子地区で育った渋柿の一種である小枝柿を煙でいぶして甘さを凝縮させた甲子柿は地域の特産品の一つだが、これまでは旬の10月だけと季節が限定されていた。加工品としては、藤井会長がレストランを開設した2007年からドレッシングを提供してきたが、通年で味わってもらえるよう、さらに加工品の開発を進め、細胞を壊さずに凍らせるCAS冷凍機で丸ごと一個を凍らせた冷凍甲子柿や、甲子柿をラム酒に漬け込み、アイスと混ぜ合わせたジェラートを昨年4月に売り出した。

 

 今回はこれに続くもので、ジャムは砂糖の使用を極力控え、香料などの添加物も使わず、甲子柿の持つ独特の薫香と強い甘み、完熟感をそのまま味わえるようにした。レアチーズケーキは甲子柿をとろみのあるなめらかな半液体状にし、豆乳とクリームチーズと混ぜ合わせた。

 

新商品の甲子柿レアチーズケーキとジャム(手前左から)

新商品の甲子柿レアチーズケーキとジャム(手前左から)

 

ロゴマーク、パンフレットも完成

 

 試食した野田市長は「おいしい」と評価。柿をデザインしたロゴマーク、秘伝の製法から生まれた魔法の柿としての物語や生産者の思いをまとめたパンフレット、店頭などに置いてもらうPR用のポスターやリーフレットの紹介も受け、釜石をアピールする特産品としての今後の展開に期待を示した。

 

 同協議会によると、昨年は台風による落果や実裂けなどで例年に比べ収量が減り、安定生産が課題だという。

 

 多い時に80人が所属した生産組合の会員は現在20人ほど。柿づくりには肥料、せん定などきめ細かな配慮が大事になり、庭などにある柿の木を放置したままの人や組合に入っていない人などに働きかけ、安定的な供給、さらなる加工品づくりにつなげたい考え。

 

 藤井会長は「甲子柿は成分などまだ知らない部分も多く、調査を進めることで新たな広がりを生む余地がある。(加工品は)全て手作りなので細く長く続けたい」と今後の取り組みに意欲を見せる。

 

 新商品2点とドレッシングは、釜石食ブランド開発検討協議会が主催する昨年度の「おいしい釜石コレクション」に認定されている。事務局の市商業観光課は、これまで認定された菓子や総菜など34点を紹介する冊子を作成。市内の公共施設などで配布し、市民や観光客に釜石ならではの商品PR活動を後押しする。

 

(復興釜石新聞 2017年4月22日発行 第582号より)

 

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完成した「かまいし最中サブレあゆ美人」をPRする小島製菓の菊地社長(右)、釜石振興開発の菊池部長

小島製菓「最中サブレ あゆ美人」〜道の駅釜石仙人峠、開業2周年へ共同開発

完成した「かまいし最中サブレあゆ美人」をPRする小島製菓の菊地社長(右)、釜石振興開発の菊池部長

完成した「かまいし最中サブレあゆ美人」をPRする小島製菓の菊地社長(右)、釜石振興開発の菊池部長

 

 釜石市上中島町の菓子製造販売業、小島製菓(菊地広隆社長)は、間もなく開業2周年を迎える道の駅「釜石仙人峠」を盛り上げようと、釜石・大槌地域産業育成センター、道の駅を運営する第三セクター釜石振興開発と合同で、甲子川のアユにちなんだ菓子「かまいし最中(もなか)サブレ あゆ美人」を開発した。アユの形をした最中の皮に、釜石産ひとめぼれの米粉を使ったサブレ生地を流し入れ焼き上げたもので、サクサクとした軽い食感が特徴。同道の駅は21日から5月の大型連休まで、開業2周年の感謝を込めた企画を準備しており、新商品はこれに合わせて27日から本格販売を始める。

 

 同センターが地域事業者と共同で新商品の開発やブランド力の強化など地域食産業の活性化を図ろうと取り組む「市海商工連携(6次産業化)推進事業」から生まれた商品。同道の駅のキャッチフレーズにある「アユ躍る清流」と、甲子川のアユが昨年岐阜県で開催された「清流めぐり利き鮎(あゆ)会」で最高位のグランプリを獲得したことから着想を得た菊地社長が主導して開発した。

 

 日本一の味となったアユを育てた清流、甲子川の良さ、そのきれいな水が釜石の海につながっていることを感じてもらえる土産品になればと今年1月ごろから開発をスタート。最中の皮の香ばしさとサブレ(洋風焼き菓子)のサクサク感による味覚の融合を楽しめる品に仕上げた。3月から試験的に販売を始めたが、試食会のアンケートによると約9割が「おいしい」と上々の評価。そこで味は変えず、手に取ってもらいやすく、「やさしい味」をイメージしたピンクと白のパッケージデザインにして本格的に売り出すこととなった。

 

 「あゆ美人」は一袋5個入り500円(税抜き)、一箱12個入り1300円(同)。同道の駅のほか、シープラザ釜石内の「かまいし特産店」でも販売。市内の宿泊施設やスーパーの土産物コーナーなどにも販売場所を広げる予定だ。

 

 「甲子川のアユを売り込める商品が生まれた」と喜ぶのは駅長を務める振興開発の菊池利教部長。新たな釜石の名物、土産品の需要に期待を寄せており、「地元企業や地元ならではの物を紹介するのが役割。ここからいろんなところに発信していきたい」と意気込む。

 

 製造が中心の菊地社長は「今回販売のプロと一緒に取り組んだことで商品の見せ方など学ぶことも多かった。みんなとつくるのが面白い」と手応えを感じた様子。「かまいし最中サブレ」をブランド化したい考えで、アユに続く商品としてラグビーワールドカップなど地域の歴史、イベントなどをテーマとした商品づくりを進めており、「地元が頑張らないと」と気合を入れた。

 

 同道の駅の2周年記念イベントは21日から23日まで開かれる。500円以上購入した人に記念切符(限定300枚)を配布。初日には商品購入者先着100人に団子をプレゼントするほか、日替わりでおすすめ商品の割引販売などもある。5月の大型連休まで企画は続き、地元団体などによる商品販売なども予定する。

 

 特産「甲子柿」など地元農産物などを利用した加工品の販売も相次いでおり、同駅の佐々木雅浩副駅長は「地元ならではの商品が増えている。ぜひ足を運んでほしい」と呼び掛ける。

 

(復興釜石新聞 2017年4月19日発行 第581号より)

 

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高性能林業機械を使った間伐現場の様子=栗林町、釜石地方森林組合提供

釜石森林組合助成制度設立、被災地再造林を支援〜林業経営持続を推進、釜石・大槌 皆伐に対応

高性能林業機械を使った間伐現場の様子=栗林町、釜石地方森林組合提供

高性能林業機械を使った間伐現場の様子=栗林町、釜石地方森林組合提供

 

 県森林組合連合会(県森連、中崎和久会長)と釜石地方森林組合(久保知久組合長)は、釜石市、大槌町の森林所有者の再造林活動を支援する独自の助成金制度を設けた。釜石森組管内を含む県内沿岸部では震災後、生活資金の確保や住宅再建のため、木を全て切る皆伐(かいばつ)が増える一方、伐採後の再造林への資金が不足し放置される山が多い。助成により植林を進めることで地域の森林環境保全、林業の持続的経営を推進する。

 

 釜石森組は2007年から新日鉄住金釜石製鉄所、釜石市の3者で間伐後の山林に放置されている端材などを有効利用するため、「緑のシステム創造事業」を立ち上げ、林業や関係産業の活性化、雇用拡大、再生可能エネルギーの利用拡大などに取り組んできた。10年から同製鉄所内の石炭火力発電所で使うバイオマス燃料となる木材を納入。県森連が木質バイオマスの収集窓口となったことを受け、昨年7月に収益の一部を積み立てる基金を設け、助成の原資とすることにした。現在の積立額は約600万円。

 

 助成金の対象は釜石森組管内の釜石、大槌両市町の山林所有者で、所定の森林経営計画をまとめた人を支援する。国、県が合わせて約7割を支援する森林整備補助金に上乗せする形で、山林所有者の負担がほぼ生じない仕組み。初回の助成先は3月に決めており、箱崎町など8カ所、計30・58ヘクタールの所有者8人に合わせて約500万円を支援した。

 

 被災地では皆伐して売り払い、住宅資金や生活費を工面するケースが増えている。釜石森組管内でも震災後、少なくとも約200ヘクタールが伐採。震災前の3倍ほどのペースだという。生活再建が最優先される中、再造林への資金が不足していることや負担を敬遠する傾向があり、再造林率は7%にとどまっている。

 

記者会見する(左から)久保組合長、野田市長、中崎会長

記者会見する(左から)久保組合長、野田市長、中崎会長

 

 釜石市役所で12日、記者会見した県森連の澤口良喜専務は「民間主体の助成は県内初。再造林を促す取り組みにより森の荒廃と資源枯渇を食い止めたい。この動きが県全域に広がってほしい」、釜石森組の久保組合長は「助成により計画的な森林の維持活動が見込まれる。持続的経営を導いて地域経済の活性化に貢献したい」と話した。

 

 同席した野田武則市長は「民間主導の先進的な取り組みで、被災地林業の大きな力になる」と期待した。

 

(復興釜石新聞 2017年4月15日発行 第580号より)

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岩手ぅんめぇ~もんグランプリ2016優秀賞、藤勇醸造の「十割糀みそケーキ」

藤勇醸造『十割糀みそケーキ』

 

こんにちは。釜石のお店紹介担当の“釜石お店なう”です。今回は、藤勇醸造の『十割糀みそケーキ』をご紹介します!

 

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このサイトは釜石商工会議所が運用する、岩手県釜石市の店舗・その他施設の情報を発信するタウン情報サイトです。少しづつ情報を増やし、よりリアルタイムで情報をお届けできるようにしていきます。
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「藤勇醸造」といえば、釜石では知らない人がいないほど醤油の「藤勇」で有名な会社ですが、実のところ元々は、味噌製造会社として創業されたということはみなさんご存知ですか?

 

今回紹介する『十割糀みそケーキ』に使用された『十割糀みそ』は、県産米、大豆100%で仕込み、糀で自然の甘さが引き出された味噌です。その味噌を活かして、「藤勇醸造」の専務の娘さんが、食を通じた人とまちのつながりを目的とする東京のシェアキッチンに集う女性たちと出会い、『十割糀みそ』を使用した商品づくりを始めました。

 

「藤勇醸造」の『十割糀みそ』と女性たちのアイディア、そして製造に携わった「アンジェリック洋菓子店」のそれぞれの力が結集して完成したのが、『十割糀みそケーキ』です。

 

十割糀みそケーキ

 

パウンドケーキの中に『十割糀みそ』がマーブル状に練りこまれ、味噌を強調し過ぎず『十割糀みそ』の甘じょっぱさがふわっと香ります。洋風のパウンドケーキの甘みと和風の『十割糀みそ』の風味が絶妙にマッチした味わいに仕上がっています。クルミの軽やかな歯ごたえもアクセントになってとても美味しいです。
昨年の8月には“岩手ぅんめぇ~もんグランプリ”で優秀賞を受賞し、人気の商品となっております。

 

優秀賞 藤勇十割糀みそケーキ 藤勇醸造株式会社 | 岩手ぅんめぇ〜もん!!グランプリ2016

 

岩手ぅんめぇ〜もんグランプリ優秀賞、藤勇 十割糀みそケーキ 発売〜老舗醸造会社と人気洋菓子店のコラボ | 縁とらんす

 

「藤勇醸造」の専務の娘さんは、『新しい釜石の土産物になれば』と期待しています。1個220円で、5個セットでの販売されており、「アンジェリック洋菓子店」、「道の駅仙人峠」、「イオンタウン釜石店 産直『結のはま』」、「マイヤ釜石店」で販売しています。

 

今回ご紹介した『十割糀みそケーキ』の他、しょうゆ糀や生塩糀なども「藤勇醸造」のオンラインショップで購入できますので、「藤勇」さんのHPも是非ご覧ください!

 

藤勇醸造株式会社

藤勇醸造株式会社

創業百余年 岩手県釜石市において味噌、醤油、つゆを製造販売しております。
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藤勇醸造株式会社
所在地: 岩手県釜石市大渡町3-15-32
電話番号: 0193-22-4177
Webサイト: https://www.fujiyu.com/
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釜石商工会議所が運営する「釜石お店なう」は、釜石市内のお店や商品・サービスの情報をお伝えする情報サイトです。

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指輪の完成を報告したポール・コステロさん(右から3人目)ら

アイルランドの世界的デザイナー「ポール・コステロ」さん、絆を表す指輪制作〜本県開発の合金を素材に、販売も開始

指輪の完成を報告したポール・コステロさん(右から3人目)ら

指輪の完成を報告したポール・コステロさん(右から3人目)ら

 

 今年は、日本とアイルランドの外交関係樹立60周年。これを記念し、アイルランドのイマジネーションと岩手の技術力が融合した指輪が生み出された。「クラダリング」という名称で世界中に親しまれているアイルランドの伝統的デザインをモチーフに、釜石市平田で金属製造を手掛けるエイワ(佐々木政治社長)が提供するコバルト合金「コバリオン」を素材に使用。指輪を監修したアイルランド人デザイナー、ポール・コステロさん(71)、佐々木社長(74)らが20日、野田武則市長を訪ね、完成した指輪を贈った。

 

 この指輪は、「ハート」を「両手」でつかみ、「王冠」を配したデザインが基本になっており、それぞれ「愛」「友情」「忠誠」を表す。コステロさんは独自の発想で指輪に波模様を施し、東日本大震災の被災地域が「津波を乗り越えて再生してほしい。東北とアイルランドを愛と友情で結ぼう」とのメッセージを込めた。

 

 素材として使われたコバリオンは次世代の新金属として注目されているもので、岩手県、釜石市が大学と連携し技術を開発、同社が国内唯一の生産・供給企業として事業化を進めている。当初、生体材料の医療用金属として開発されたが、▽固く傷が付きにくい▽温泉での着用でも変色しにくい▽ニッケルが原因となる金属アレルギーを起こしにくい▽磨くとプラチナと同等の輝きを放つ―などの特性から、宝飾用素材としての応用が期待されている。

 

 故ダイアナ妃の専属デザイナーを16年間務めたことでも知られるコステロさんに、同社がこの新素材を売り込んだことで指輪の制作が実現。大学、企業などでつくる「岩手とアイルランドを結ぶ指輪プロジェクト」を立ち上げ、専用サイト(https://www.costelloecobarion.com/)で販売を始める。女性用6万8千円(税込み)、男性用が8万6千円(同)で、木製ケース付き。

 

ポール・コステロ コバリオン製クラダリング

 

 市役所を訪れたコステロさんは「アイルランドの古いデザインに東北という新しい要素を加えたのがこの指輪。込められた意味を感じながら着けてほしい」と願った。野田市長は新素材開発の苦労などを話し、「世界に発信してもらいたい」と期待した。

 

 佐々木社長は「一人では力がないが、皆さんの後押しで進んでいける。報いるためにも、震災後の釜石の発展につながるよう精いっぱい頑張っていきたい」と話した。

 

 指輪に関する問い合わせはエイワ(電話0193・26・6880)へ。

 

(復興釜石新聞 2017年3月25日発行 第574号より)

復興釜石新聞

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釜石オープンアカデミーの開催について

【3月3日開催・企業経営者・ビジネスマン必見】釜石オープンアカデミーの開催について

釜石オープンアカデミーの開催について

 

日本のビジネス界の第一線で活躍されている講師をお招きし、「多様な人材が活躍し、様々なビジネスが展開されるまちを目指して」をテーマに「釜石オープンアカデミー」を開催いたします。
どなたでも参加できますので、お気軽にご参加ください。

 

釜石オープンアカデミーチラシ

釜石オープンアカデミーチラシ

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日時

平成29年3月3日(金)18時~20時30分 ※開場:17時30分~

会場

釜石PIT(釜石情報交流センター) ※釜石市大町1-1-10

内容

■挨拶 釜石市長 野田 武則
■講演①
講師 政所 利子 氏(株式会社玄 代表取締役)
演題 「ヒト・コト・モノづくり」
■講演②
講師 阿部 洋己 氏(キリンビバレッジ株式会社 元代表取締役社長 / 阿部経済研究所所長)
演題 「人を活かすリーダーシップ」
■取組紹介
説明 釜石市総合政策課オープンシティ推進室 室長 石井 重成
内容 釜石市オープンシティ戦略の施策・事業の紹介(釜石ローカルベンチャー事業、労働力発掘人材マッチング事業等の紹介)

無料

無料(事前申込制)

共催

釜石シティプロモーション推進委員会、釜石市

問い合わせ先・申込先

釜石市総合政策課オープンシティ推進室
TEL:0193-22-2111(内線132・192)
FAX:0193-22-2686
MAIL:sougou(アットマーク)city.kamaishi.iwate.jp
※スパムメール対策のため、「@」を「アットマーク」で表記しています。

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 総合政策課 オープンシティ推進室
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-22-2111(内線 132) / Fax 0193-22-2686 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/shisei_joho/keikaku_torikumi/chihousousei/detail/1207644_3278.html
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慣れない洋上作業にも、カゴ漁の成果に海の豊かさを体感した

漁業就労へ、尾崎白浜で体験講座〜県外から8人が挑む、漁師の仕事に理解深める

慣れない洋上作業にも、カゴ漁の成果に海の豊かさを体感した

慣れない洋上作業にも、カゴ漁の成果に海の豊かさを体感した

 

 本県漁業の担い手を全国から発掘しようと、県は12日までの3日間、「浜の魅力体験講座」を釜石市尾崎白浜地区で行った。東京都、埼玉県、秋田県などから男性8人が参加。漁船、養殖に分かれ、地元漁業者の指導で漁業体験に取り組んだほか、若手漁業者との交流を重ね、漁業の魅力や漁師の仕事に理解を深めた。

 

 沿岸広域振興局水産部が昨年度から実施する「いわて三陸漁業担い手確保・人づくり対策事業」の一環で、企画・運営はパソナ東北創生(釜石市甲子町、戸塚絵梨子社長)が受託した。原則40歳までの男女10人を募集したところ、20~48歳の男性が応募。参加者は11日午前5時、漁船と養殖に分かれて体験に出発した。

 

 漁船の操業体験は、尾埼灯台の東2キロでの「かご漁」。漁業佐々木洋裕さん(46)の指導でかごを引き上げると、ミズダコ、カレイ、ソイ、アブラメ、ドンコ、タナゴ、ハゼなど、たくさんの獲物が入っていた。

 

 養殖漁場は漁港に近い水域にある堀内孝一さん(36)のホタテ施設で体験。ネットを引き上げ、選別のポイントなどを学んだ。

 

>ホタテの分散作業で、養殖漁業を体験、その意味を学んだ

ホタテの分散作業で、養殖漁業を体験、その意味を学んだ

 

 漁港に戻り、「番屋」で昼食。釜石湾漁協白浜浦女性部の佐々木淳子部長ら6人が「浜の料理フルコース」を振る舞った。夜には講師の2人と若手漁業者10人を交えて懇親会。漁業経営や漁家の生活などについて、和気あいあいと情報を交換した。

 

受講者との懇談会では、若手漁師が海の魅力と課題を誠実に語り伝えた

受講者との懇談会では、若手漁師が海の魅力と課題を誠実に語り伝えた

 

 尾崎白浜地区には、2年前に漁師を志して神奈川県鎌倉市から移り住んだ山﨑寛さん(43)がいる。家族の介護などのため企業を退職。あこがれていた漁業を目指して情報を集め、昨年10月、釜石湾漁協の漁業権を得た。

 

 「漁師の人たちが受け入れ、応援してくれた」と山﨑さん。「1年後に、やっと浜で働くための筋肉が付いたと感じた。自立には遠く生活にも余裕はないが、まだまだ学ぶことは多く、いろんな仕事は面白い。結婚もしたい」と意欲を語った。

 

 今回の漁業体験参加者の最高齢は、秋田県横手市の山本栄司さん(48)。伝統建築・数寄屋造りを専門とする技能士で、好きな海釣りから漁業に目を向けるようになったという。

 

 山本さんは「昨年暮れ、宮古市重茂漁協での体験はショックだった。大震災からすぐに立ち上がった瞬発力。後を継ぐ若者や子どもがあふれ、活気があった。海は豊かだと分かった。ほかの体験講座も受けてみる」と意欲を示した。

 

 岩手大釜石サテライトを協働先とする釜援隊(釜石リージョナルコーディネーター)の齋藤孝信さんは「受講者が参加した動機は多様だが、この体験講座で漁業への理解が深まり、広まることは確か。新たな漁業就業者が生まれれば」と期待した。

 

(復興釜石新聞 2017年2月15日発行 第563号より)

 

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「省エネ大賞」で最高賞を受けたエヌエスオカムラの製造ライン

エヌエスオカムラ「省エネ大賞」最高賞、東北の企業で初受賞〜塗装工程改善 エネルギー大幅削減、独創性を高く評価

「省エネ大賞」で最高賞を受けたエヌエスオカムラの製造ライン

「省エネ大賞」で最高賞を受けたエヌエスオカムラの製造ライン。新沼伸一技術部長(写真)が塗装工程の改善をけん引した

 

 釜石市の新日鉄住金釜石製鉄所構内で操業する鋼製家具製造のエヌエスオカムラ(鎌倉康雄社長)が、一般財団法人省エネルギーセンター(東京)が主催する2016年度の「省エネ大賞」で、省エネ事例の最高賞に当たる経済産業大臣賞を受賞した。コスト削減を狙いに家具の塗装工程に導入した独自の取り組みが、エネルギー消費量の大幅な削減につながり、先駆的、独創的な省エネ策として高く評価された。東北に本社を置く企業が同賞を受けるのは初めて。

 

 鋼製家具を塗装する工程の前処理では、リン酸などの薬剤を鉄材に吹き掛け、腐食させて塗料をのりやすくするのが一般的。その際、鉄を反応させるために薬剤を60度程度にする必要があるが、同社は独自の添加剤を混ぜた薬剤で鉄をコーティングして塗料を付着させることで、常温で処理することに成功した。

 

 これにより従来の前処理が不要になったほか、薬剤費を75%も削減。エネルギー消費量も従来と比べ16%削減した。さらに、リン酸化剤で処理した場合に生じる酸化物などの廃棄物が発生しないことから、年間約15トンに上る廃棄物、約5千万円のコスト削減につながった。

 

 16年度の「省エネ大賞」省エネ事例部門には96件の応募があり、経済産業大臣賞に選ばれたのは4件。書類審査後の昨年10月に東京で行われた発表大会では、同社の新沼伸一技術部長が説明を担当し、優秀プレゼンテーション賞を受賞。開発プロセス、独創性、経済性、環境保全性など、その取り組みが高く評価された。

 

 独自の取り組みの導入をリーダーとしてけん引した新沼部長は「震災後の1、2年は量、品質の安定化、元の操業状態にいかに回復させるか、軌道に乗せるのに精いっぱいだった。その後は、地方にある小さな会社の名をいかに広めるか考えてきた。こういった形で評価してもらい、本当にありがたく、うれしい」と受賞を喜ぶ。表彰式は今月15日に東京ビッグサイトで行われる。

 

 同社はオフィス家具メーカー岡村製作所(横浜市)と新日鉄住金(東京)が共同出資し、1991年から釜石市港町の通称「中番庫」で操業を開始。東日本大震災の津波で工場が全壊し、12年5月に釜石製鉄所構内に移転、新築した。新工場の稼働を契機にさらなる効率アップに取り組み、エネルギー消費量のほぼ半分を占めていた塗装工程の改善を推進した。

 

 同社は昨年10月、環境省主催の「循環型社会形成推進功労者表彰」でも環境大臣賞を受賞している。震災翌年の12年度の売上額は約23億円まで落ち込んだが、15年度は約29億円まで回復している。

 

(復興釜石新聞 2017年2月4日発行 第560号より)

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