kyousei01

釜石・片岸公園が「自然共生サイト」に 震災津波からの環境再生の取り組み 国が評価

環境省東北環境局の東岡礼治局長(中)から「自然共生サイト」の認定証を受け取った釜石市の小野共市長(右)、かまいしDMCの村上舞子さん(左)

環境省東北環境局の東岡礼治局長(中)から「自然共生サイト」の認定証を受け取った釜石市の小野共市長(右)、かまいしDMCの村上舞子さん(左)

 
 沼や池があり、野鳥や水生生物がすみ着く釜石市片岸町の片岸公園が、国の「自然共生サイト」に認定された。東日本大震災津波で失われた自然環境を回復させ、地域の各種団体と連携して行う保全活動が評価された。27日、代表申請者の市と連携活動実施者の観光地域づくり法人かまいしDMC(河東英宜代表取締役)に認定証が贈られた。本県での同認定は6カ所目となる。
 
 認定証授与式は市役所で行われた。環境省東北環境局の東岡礼治局長が認定の経緯を説明。小野共市長と同社旅行マーケティング事業部の村上舞子さんが東岡局長から認定証を受け取った。
 
 国は、さまざまな要因で失われつつある自然環境を回復させる取り組みの一環で、企業や市町村が地域で行う生物多様性増進の活動計画を認定。活動実施区域を「自然共生サイト」として広く周知している。釜石市は震災後に整備した片岸公園の生物多様性“回復”を目指す保全活動実施計画(2026年~5カ年)を申請。環境、農林水産、国土交通3省の最終審査を経て同サイトの認定を受けた。
 
kyousei01

認定証授与式には東岡局長と東北環境局の関係部署職員3人が訪れ、認定の経緯などを説明した

 
 鵜住居川左岸河口域に位置する片岸公園は、震災津波で流失した豊かな自然環境を取り戻したいとの市民の声を受け市が整備。2021年6月に供用を開始した。一帯は震災前、みのすけ沼を中心に多くの野鳥や魚類が生息する湿地帯だったが、津波でヨシ原などの植生が全て流失した。公園は一部残った沼地のほか、減災機能を兼ねて作った遊水池を中心に水辺環境を確保。丘陵地には樹木を植え、遊歩道も整備した。年月を重ねる中で、水辺周辺にはヨシ原が再生。水生生物やトンボなどの昆虫が増えてきた。鵜住居川と行き来する野鳥の姿も見られるようになり、冬にはオオハクチョウの飛来地として市民に親しまれる。
 
kyousei01

東日本大震災の津波で植物などが流失した現片岸公園のエリア=2011年4月撮影

 
kyousei01

2021年に完成した片岸公園。遊水池の周りに遊歩道を整備し、さまざまな木々を植樹した

 
kyousei01

野鳥やトンボなどさまざまな生き物が見られるようになった遊水池。冬にはオオハクチョウが飛来する

 
 今回の認定について東岡局長は「全国でも事例の少ない『回復』タイプ。震災で失われた自然環境を再生し、生物多様性を回復していく取り組みが評価された。震災復興を経て新たな自然共生の姿を示す大変意義深い事例」と称賛。同市は2024年9月に環境省の「脱炭素先行地域」にも選定されていて、環境に配慮した取り組みを推進する。「ネイチャーポジティブ(自然再興)と地域脱炭素を一体的に推進する先進的なモデル」としても高く評価されたという。東岡局長は「片岸公園が多様な生き物と人とが共に暮らす地域のシンボルとして、次世代に受け継がれていくことを願う」と期待した。
 
kyousei01

「釜石の取り組みは全国のモデルとなる」と話す東岡局長。今後の活動にも期待した

 
kyousei01

片岸公園では野鳥観察会なども開かれてきた。市は今回の認定を機に子どもたちの環境学習にも力を入れたい考え

 
 小野市長は「震災以降、手探りで続けてきた取り組みが国に認められたことは励みになる」と喜ぶ。世界規模の気候変動で自然環境にも大きな影響が出る中、「釜石市として何ができるか?しっかり考え行動し、グローカルな考え方を行政の責任として子どもたちにも伝えていきたい」と話した。市では認定により、地域の自然への理解や愛着がさらに深まることを期待。環境学習や交流人口拡大にもつなげていきたいとする。
 
 保全活動計画には、浚渫(しゅんせつ)やヨシの間引きなどで水の循環を促し、水質維持のための定期的なモニタリング調査を行うことが盛り込まれる。かまいしDMCはサスティナブルツーリズム(持続可能な観光)を推進し、首都圏企業を中心に企業研修を受け入れている。そのコンテンツの一つが片岸公園の保全活動で、外来植物の除去や研究機関と連携した水生生物による水質調査などを実施。村上さんは「活動を通じて環境に対する行動変容が生まれるよう工夫している。認定を機に未来へ向けた活動をさらに進めていきたい」と意を強くする。
 
kyousei01

かまいしDMCの村上舞子さんは企業研修に取り入れている片岸公園の保全活動について紹介した

 
 国は2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として保全する世界目標「30 by 30(サーティーバイサーティー)」の達成に向け、自然共生サイトの認定を重要な取り組みと位置付ける。認定は2023年度から始まり、今回の釜石を含む26年度第1回認定を合わせ、全国610カ所となった。

kaminakafes01

スタートから38年 今年で最後 かみなかしまフェスティバル 夏のにぎわいに惜しむ声

大勢の来場者でにぎわった第33回かみなかしまフェスティバル=23日夕

大勢の来場者でにぎわった第33回かみなかしまフェスティバル=23日夕

 
 釜石市西部地区の夏の夜の一大イベント、かみなかしまフェスティバル(同実行委主催)が23日、上中島町のサンパルク・サンデー駐車場で開かれた。1989(平成元)年にスタートした同フェスは今回で終了することが発表され、訪れた人たちからは惜しむ声が聞かれた。
 
 同フェスは上中島商店会(千葉博規会長、36店)が実行委を組織して開催。飲食の出店と音楽や郷土芸能、ダンスなどのステージ発表を組み合わせたイベントで、毎回大勢の客を集めてきた。東日本大震災や新型コロナウイルス感染症の影響で、中止を余儀なくされた年もあり、開催数としては今回で33回目となった。
 
オープニングを飾った神愛こども園のマーチング。旗を使った演技を披露

オープニングを飾った神愛こども園のマーチング。旗を使った演技を披露

 
 オープニングを飾ったのは地元の神愛こども園(高橋仁美園長、園児28人)の年長児8人。カラーガードを取り入れたマーチングを披露した。同園は長年、同フェスの開会を盛り上げてきた。高橋園長は「今年で最後と聞いて寂しい限り。年中の子たちも来年を楽しみにしていたので…」。同園では秋の運動会での披露を目指し、年長児がマーチングに取り組む。フェスは園児らの1回目の目標。「のびのび、堂々と発表してくれた。楽しんでいる様子が見られてうれしい」と高橋園長。
 
上中島こども園の3~5歳児クラスの園児はかわいらしい衣装で“ラーメン体操”を披露

上中島こども園の3~5歳児クラスの園児はかわいらしい衣装で“ラーメン体操”を披露

 
 上中島こども園(楢山知美園長、園児31人)は3歳以上の17人が歌とダンスを披露した。ラーメンどんぶりの帽子をかぶった“ラーメン体操”では、曲に合わせて元気に体を動かした。大人のジャズバンド「トライデント」は心地良い音楽を奏で、夕涼み気分の来場者に届けた。ステージ発表には計7団体が出演し、夏の夜のひとときを盛り上げた。
 
 会場には同商店会が出した焼き鳥、焼きそば、綿あめ、かき氷の出店と、お好み焼きやラーメンのキッチンカーが並んだ。子どもたちを喜ばせるくじ引きの店も。計12店が出店し、来場者のお腹と心を満たした。家族連れや仲間同士でテーブルを囲み、飲食をしながら多彩な発表を楽しんだ。
 
まつりの定番、焼きそばは大人気! 調理に精を出す実行委のスタッフら width=

まつりの定番、焼きそばは大人気! 調理に精を出す実行委のスタッフら

 
各店の前には好みのメニューを求める人たちが列を作った

各店の前には好みのメニューを求める人たちが列を作った

 
「何が当たるかな?」 いろいろなおもちゃが並ぶくじ引きの店は子どもたちで大にぎわい

「何が当たるかな?」 いろいろなおもちゃが並ぶくじ引きの店は子どもたちで大にぎわい

 
 釜石中3年の堤樹希さん(15)は友人3人で来場。毎年来ているといい、「今年で最後は悲しい。人がいっぱい集まって、めっちゃ楽しいイベントなので」と残念そう。それでも気分が高揚するひとときは相変わらずで、中学校生活最後の夏に楽しい思い出を心に刻んだ。
 
「かみなかフェス、楽しいー!」。笑顔いっぱいの中学生ら

「かみなかフェス、楽しいー!」。笑顔いっぱいの中学生ら

 
 「今年最後と聞いたので…」と向定内から足を運んだのは藤原京子さん(81)。お目当ては女形舞踊で人気を集める尚玉泉さんのステージ。「追っかけです」と自称し、友人らと踊りを楽しんだ。同フェスには過去にも複数回来場。「ホットな時間。気持ちが温まるよね」と笑顔を広げた。
 
ジャズバンド「トライデント」(写真上)、尚玉泉さんと舞踊仲間(写真下)のステージ

ジャズバンド「トライデント」(写真上)、尚玉泉さんと舞踊仲間(写真下)のステージ

 
釜石の女形舞踊といえばこの人! 尚玉泉さんはどこに行っても大人気

釜石の女形舞踊といえばこの人! 尚玉泉さんはどこに行っても大人気

 
 長い歴史を重ねてきた同フェスには2世代、3世代で足を運ぶ家族連れも。八雲町の井上里咲さん(35)は「自分も子どもの頃から親しんできたので、なくなるのはとても寂しい。これだけ人が集まるのはやはり地域密着のまつりだからではないか」と改めて実感。「子どもたちも毎年楽しみにしてきた」と家族の思い出作りの場に愛着をにじませた。
 
虎舞の「尾崎青友会」は白虎と黄虎が競演。釜石人の魂をゆさぶる舞に観客の目がくぎ付け

虎舞の「尾崎青友会」は白虎と黄虎が競演。釜石人の魂をゆさぶる舞に観客の目がくぎ付け

 
辺りが暗くなってくると演舞にスポットライトが当てられ、幻想的な雰囲気に

辺りが暗くなってくると演舞にスポットライトが当てられ、幻想的な雰囲気に

 
 商店会の各店舗は代替わりし、同フェス開始当初を知る人は少なくなった。千葉会長(70)は「隣町のスーパーでやっていた夜市をヒントに始まったのがこの催し。当時はサンパルクの向い側にボウリング場があり、玄関階段をステージにカラオケ大会もやった」と懐かしむ。昼と夜の2部に分け、隣の上中島グラウンドを会場に新日鉄アパート(当時)の屋上から“○×(まるばつ)クイズ”をやったことも。東日本大震災後は同グラウンドに仮設住宅が建ち、多くの被災者が暮らした。同フェスに足を運ぶ姿も見られ、「大変な中、少しでも心安らぐ時間になったのではないか」と振り返る。「地域の皆さんが楽しんで、盛り上がればとの思いでやってきた」が、来年以降は会場確保など不確定な要素があるため、今回で一区切りとすることを決めた。

wine04

【イベントレポート】景色と美酒に酔いしれる 三陸鉄道「海街ワイン列車」を満喫

三陸鉄道の観光列車「海街ワイン列車」を楽しむ参加者

三陸鉄道の観光列車「海街ワイン列車」を楽しむ参加者

 
 列車が盛駅(大船渡市)をゆっくりと走り出すと、車内にはワイングラスが触れ合う軽やかな音と潮風のような爽やかな香り、笑い声が広がった。三陸鉄道恒例の「海街ワイン列車」。日常の移動手段の鉄道が、この日だけは特別なワイナリーへと姿を変える。
 
 7月25日夕刻、三鉄盛駅。レトロ調の車両に乗り込むと、座席には豪華なおつまみBOXとグラスが用意されていた。席に着き、ほどなくしてグラスに注がれたのは、大船渡市のワイナリーが醸造するワイン。赤、白、ロゼなど個性豊かな味わいがそろい、それぞれ飲み比べができるのもうれしい。
 
大船渡市のワイナリー「THREE PEAKS(スリーピークス)」で醸造されたワイン。6種の飲み比べを楽しめた

大船渡市のワイナリー「THREE PEAKS(スリーピークス)」で醸造されたワイン。6種の飲み比べを楽しめた

 
おつまみとの相性も抜群!大船渡市のカフェ「ユキグランパ」が提供した

おつまみとの相性も抜群!大船渡市のカフェ「ユキグランパ」が提供した

 
 あいにくの雨模様ながら、車窓には緑豊かな自然と穏やかな海が次々と流れ、グラスを傾けるたびに旅情が深まっていく。車内は終始和やかな雰囲気。近くに座った人同士が自然と会話を始め、「どのワインが好きですか」「普段も三鉄に乗るんですか」などと話が弾む。旅先で偶然居合わせた人との交流も、この列車ならではの魅力だ。
 
海街ワイン列車で出会って意気投合「かんぱ~い!」

海街ワイン列車で出会って意気投合「かんぱ~い!」

 
 途中停車した恋し浜駅(大船渡市)や折り返し地点の唐丹駅(釜石市)では、ホームに降りて「思い出に」と写真撮影を楽しむ人の姿が見られた。復路では、三鉄やワインに関するクイズで大盛り上がり。盛駅へ戻るころには初対面だった参加者同士が打ち解け、「また来年も会いましょう」と言葉を交わしていた。笑顔があふれた約2時間の旅はあっという間だった。
 
海街ワイン列車の舞台となった三陸鉄道のレトロ風列車。途中停車した恋し浜駅のホームから見ると車両が傾いている!?

海街ワイン列車の舞台となった三陸鉄道のレトロ風列車。途中停車した恋し浜駅のホームから見ると車両が傾いている!?

 
車内ではクイズも。答え合わせは盛り上がり、景品をかけてじゃんけんで勝負する一幕も

車内ではクイズも。答え合わせは盛り上がり、景品をかけてじゃんけんで勝負する一幕も

 
 三陸の景色、地元で醸造されたワイン、沿線の魅力を知り尽くした三鉄社員のもてなし-。それらが調和した「海街ワイン列車」は、五感で味わう特別な旅を届ける、三陸ならではの観光列車だ。そして、三鉄は単なる移動手段ではなく、人と人、地域と人をつなぐ舞台であると改めて感じた。
 
参加者をもてなしたのは三鉄盛駅の吉田哲駅長(右)と大船渡派出所の山蔭康明所長

参加者をもてなしたのは三鉄盛駅の吉田哲駅長(右)と大船渡派出所の山蔭康明所長

 
 岩手県内のいいところ、おいしいものを紹介する三鉄の観光列車はさまざまある。飲食関係では日本酒、焼酎、サーモン…そして、人気のビールも。○○好きはもちろん、鉄道旅を楽しみたい人もぜひ一度体験してみては。

 

今年は釜石から走ります!サントリー生ビール号

サントリー株式会社東北営業本部では、三陸鉄道を応援するため、サントリー生ビールが飲み放題となる特別列車を運転いたします。
お弁当とおつまみが付くほか、楽しい車内イベントも企画していますので是非ご参加ください。
 

bnr_santetsu-suntory

 

釜石駅発「サントリー生ビール号」運行について | 三陸鉄道

 

■運航日
2026年9月6日(日)
■発着時刻
釜石駅発 16:10~盛駅にて折返し~釜石駅着 18:27
■参加費
4,000円(2人1組)
・サントリー生ビール飲み放題
・お弁当、おつまみ、運賃込
■申込み方法
8月1日(土)9時より、お電話でお申込みください。
20歳以上の方、20組40名先着順です。
3名以上での申し込みはできません。
 
【お申込み先】
三陸鉄道釜石駅 電話番号:0193-22-1616(9:00~16:30)

newcityhall01

祝・釜石市新庁舎落成 市民の安心安全守る拠点、交流の場にも 9月24日業務開始

newcityhall01

新市庁舎落成記念式典で祈念演舞を披露する釜石市の「南部藩壽松院年行司支配太神楽」=25日

 
 釜石市が天神町に建設を進めてきた新庁舎が完成し、25日、現地で落成記念式典が開かれた。新市庁舎には分散していた行政機能が集約され、市民の利便性が向上するほか、災害時に一時避難場所として利用可能な機能を備える。東日本大震災の教訓を生かした防災拠点、市民交流やにぎわい創出の場として期待される。新庁舎での業務開始は9月24日を予定する。
 
 式典には市内外から約210人が出席。県指定無形民俗文化財の「南部藩壽松院年行司支配太神楽」が地固めの祈念演舞で開式を彩った。式辞に立った小野共市長は建設の経緯を振り返るとともに新庁舎が果たす役割を説明。「新庁舎の完成は釜石が積み重ねてきた復興の歩みの一つの到達点。市民にとって頼れる場所、釜石の未来を支える拠点となるよう、全力で市政運営に取り組んでいく」と決意を示した。
 
newcityhall01

落成記念式典は1階の「みんなのホール」で開かれた

 
newcityhall01

釜石市民歌を歌って開式。小野共市長(写真右上)は完成までの道のりを示し、関係者に感謝の気持ちを伝えた

 
 来賓の鈴木俊一衆議院議員は「東北の産業経済をリードしてきた歴史とイノベーションは釜石市の底力。新庁舎落成を機に、世界とつながる釜石市がさらに大きく前進することを祈念する」と祝辞を述べた。達増拓也県知事は「新庁舎が釜石市の新たな顔として市民に親しまれ、未来に向かって歩みを進める象徴として新しい機能を発揮することを期待する」とのメッセージを寄せた。建設工事に携わった共同企業体や付帯物品を寄贈した団体の代表10人に小野市長から感謝状が贈られた。
 
newcityhall01

市から感謝状を贈られた工事関係者や各種寄贈者ら

 
newcityhall01

天神町に整備された釜石市役所新庁舎。鉄骨鉄筋コンクリート造り4階建て

 
 新市庁舎は旧釜石小跡地で、震災時は仮設住宅用地となった約1万2千平方メートルの敷地に建設。庁舎棟は鉄骨鉄筋コンクリート造り4階建て。車庫棟(鉄筋コンクリート造り)を含めた延べ床面積は約9千平方メートル。只越町や大渡町など7カ所に分散する各部署を同所に集約した。
 
 1階には市民課と並んで保健福祉部の各課が窓口を配置。窓口カウンターには間仕切りを設置し、プライバシーに配慮する。エントランスホールに隣接する「みんなのホール」は市民の休憩や交流の場として利用できるほか、イベント開催にも対応する。
 
newcityhall01

1階には市民課や保健福祉部の各課窓口が並ぶ(玄関入って左手)

 
newcityhall01

1階と2階は吹き抜けでつながり、開放的な印象

 
 吹き抜けスペースを囲む2階には教育委員会、税務課、生活環境課のほか、産業振興部、建設部の各課を配置。相互に関わりの深い業務を担う部署が同じフロアに集まることで日常的な情報共有や連携を円滑にする。
 
newcityhall01

教育委員会が入る2階。事務フロアの奥には個別対応の相談室も

 
newcityhall01

2階には市民生活に深く関わる部署を集めた

 
 3階には文化スポーツ課、オープンシティ・プロモーション室、財政課、総務課などを配置する。防災危機管理課と隣接する2つの会議室は間仕切りに可動式の壁を採用。災害発生時には間仕切りを移動させることで広い空間を確保し、警察や消防、自衛隊などの関係機関が一堂に会する災害対策本部として活用することができる。市長室や応接室も同フロアにある。
 
newcityhall01

防災危機管理課と隣接する2会議室(写真白枠)は可動式の壁を採用。災害発生時には広い空間を確保し対策本部機能を担う=3階

 
newcityhall01

市長室や応接室(写真右下)も3階に。災害対策本部となる会議室とも隣り合う

 
 4階は議場や議会事務局、大小の4会議室を設ける。傍聴席は防音ガラスで区切った特別傍聴席も設け、乳幼児を連れた人も安心して傍聴できる環境を整えた。カーペット敷きの会議室は災害時の一時避難スペースにも活用される。庁舎には非常用発電設備や耐震型受水槽、非常用汚水槽に加え、マンホールトイレ、太陽光発電・蓄電設備などを備えており、庁舎全体で約3300人の避難者受け入れを想定する。
 
newcityhall01

市議会が開かれる4階の議場。議員席の背後には傍聴席があり、防音ガラスで区切られた特別傍聴席も

 
newcityhall01

災害時の一時避難場所としても活用される4階の大会議室。4階フロアはカーペット仕様

 
 窓口カウンターや市長室、議場などの机や椅子には市産木材(アカマツ)を使用。壁材には県産木材も採用し、木の温もりあふれる空間を実現する。各階には男女のトイレのほか、オストメイト対応設備やベビーチェアなどを備えた優先トイレを設置。エレベーターで車いす利用者も楽に移動できる。駐車場は112台分(バリアフリー3台を含む)を確保。庁舎前にバス停を設け、路線バスが乗り入れる。
 
newcityhall01

一部のフロアでは職員が自由に席を利用できる「フリーアドレス」を導入(写真右上)。各階にはさまざまなニーズに対応した優先トイレを配置(同右下)

 
旧釜石小の校庭にあったイチョウの大木を使って作られた市民憲章と防災市民憲章のパネル。釜石地方森林組合が寄贈した

旧釜石小の校庭にあったイチョウの大木を使って作られた市民憲章と防災市民憲章のパネル。釜石地方森林組合が寄贈した

 
 釜石市の現庁舎は只越町と天神町にある第1~第5庁舎のほか、大渡町の保健福祉センター、鈴子町のシープラザ釜石、嬉石町の市民交流センターに各部署が分散する。1954(昭和29)年建設の第1庁舎など建物の老朽化、行政機能の分散が長年の懸案で、2011年の東日本大震災を機に新庁舎整備の検討が加速。その過程で国、県から最大クラスの津波浸水想定が公表され、敷地のかさ上げなど計画の見直しを余儀なくされた。資材価格の高騰や労務不足など社会情勢の変化も重なり、工期の延伸や費用の増額が必要となり、当初計画から約3カ月遅れての竣工となった。事業費は約73億3417万円。実施設計時から約20億円増加した。
 
 1986(昭和61)年の検討開始から40年―。式典後の会見で小野市長は「歴代市長、市民の皆さまの期待が込められた大切な庁舎。市民の安心安全な生活を守ると同時に、行政としての役割、リーダーシップを発揮し、市勢発展へ導いていく機能を果たせる場所にしていかなければ」と述べた。

carestation01

和やかに交流促進!福祉拠点に笑顔広がる かまいしケア・ステーションで納涼会

かまいしケア・ステーションの納涼会で魚釣りを楽しむ利用者ら

かまいしケア・ステーションの納涼会で魚釣りを楽しむ利用者ら

 
 釜石市の社会福祉法人「翔友」(野田武則理事長)が運営する同市上中島町の生活介護事業所「かまいしケア・ステーション」(及川耕一施設長)で22日、納涼会が開かれ、利用者らがゲームや出店での買い物を楽しみながら交流を深めた。
 
 同事業所は介護を必要とする障害のある人らが日中に過ごせる通所型の施設として、2024年に開所。リフト付きの入浴施設、多目的ホールなどを備え、利用者は入浴や食事のサポートを受けたり、創作やレクリエーションなど自由な活動をして思い思いに過ごす場としている。
 
 1日当たりの利用定員は10人。現在21人が登録している。週1~5回と利用の仕方はそれぞれ。納涼会は普段、顔を合わせることがない利用者が一堂に会し、交流の幅を広げてもらう機会として昨年に続いて催し、2回目となった。
 
利用者たちが作った七夕飾りや折り紙で彩られた納涼会の会場

利用者たちが作った七夕飾りや折り紙で彩られた納涼会の会場

 
 「みなさま、楽しみましょう」との利用者代表のかけ声で、納涼会が始まった。利用者は施設職員らの手を借りたり、声援を受けつつ、ボッチャを応用したゲームに挑戦。ボールが止まった地点の点数を競い合い、じゃんけん大会でも盛り上がった。
 
ボッチャ風ゲームで点数を競い合う利用者

ボッチャ風ゲームで点数を競い合う利用者

 
勝者は一人。じゃんけん大会で盛り上がる

勝者は一人。じゃんけん大会で盛り上がる

 
 同法人が運営する釜石、宮古の両市にある就労継続支援事業所のワーク・ステーションや福祉作業所の出店もあり、焼き鳥や大判焼き、クッキー、手作りキーホルダーなどの買い物も楽しんだ。ノンアルコールビールやジュースを手に乾杯し、「初めまして」「きょうも元気そうだね」などと声をかけ合い、会話を弾ませた。
 
利用者は品定めを楽しみ、施設職員は「おいしくなーれ」と腕を振るう

利用者は品定めを楽しみ、施設職員は「おいしくなーれ」と腕を振るう

 
かんぱーい!食べて飲んで談笑して親睦を深める

かんぱーい!食べて飲んで談笑して親睦を深める

 
 手作りの魚釣りゲームは、利用者たちが施設で過ごす時間に色塗りを手伝った紙製の魚たちが獲物。糸の先に磁石が付いた釣ざおを手にした挑戦者たちは、紙に付いているクリップをめがけて一投。小さめの魚は次々と釣れるが、大きいものや立体的な魚体は持ち上げるのも一苦労のようで、喜んだり残念がったり、表情や声で素直な感情を見せ合った。
 
狙いを定めて一投。手作りの魚釣りゲームに熱中

狙いを定めて一投。手作りの魚釣りゲームに熱中

 
 魚釣りで40匹超を釣り上げて優勝した菊池亜依さん(19)は「うれしいし、楽しい」とはにかんだ。自分で選んだ浴衣を着ることができて満足げ。この施設は週5回利用し、ものづくりをして時間を過ごしているという。施設職員によると、「亜依ちゃんが持ち込んだものがブームなる」らしく、少し前に利用者らが夢中になった「アイロンビーズ」が一例。今、亜依さんの熱は「しゃぼん玉」に移ったようで、周りの大人たちが視線を注いでいる。
 
 会が終わりに近づくと、利用者から「とてもいい“アレ”でした」「七夕飾りもきれい」「また来年もお願いします」と感想や要望が飛んだ。「職員が頑張った」と感謝を伝える声も聞かれた。
 
利用者も施設職員も理事長も!みんなで楽しむ魚釣り

利用者も施設職員も理事長も!みんなで楽しむ魚釣り

 
 終わりの言葉を担当した菊池駿輔さん(24)は「買い物して、ボッチャして、お酒飲んで楽しかった」と元気に話した。さまざまな人と楽しい時間を共有する駿輔さんの姿を見守った母親の弘美さん(59)は「あたたかな雰囲気の中、穏やかに過ごしているのが感じられ、安心した。人と関わりながら学び、成長してくれたら。ここで無理なく楽しく過ごしてほしい」と目を細めた。
 
 施設利用者は10代から80代と年代の幅が広い。身体の不自由さや必要な介護はそれぞれで、社会福祉士や介護支援専門員といった資格を持つ職員ら5人で1日最大10人の利用者を支えるのは「やはり大変」だという。
 
 納涼会には約20人の利用者が参加し、寄り添う職員の動きはいつも以上に活発化。慌ただしさの中、利用者一人一人が楽しんでいる様子を感じ取った及川施設長は「笑顔があれば十分」とうれしそうに話した。
 
かまいしケア・ステーションの納涼会を楽しんだ参加者

かまいしケア・ステーションの納涼会を楽しんだ参加者

 
 春はお花見、秋には運動会、冬になればクリスマス会など季節行事を一緒に楽しむ。多数が集う行事は「利用者にとっても刺激になる」と及川施設長。これからも「それぞれが自分のペースで活動する時間をサポートしていく」と思いを深めつつ、「共に季節を味わう仲間が増えること」を待ち望む。
 
 野田理事長も納涼会に顔を出し、利用者らと触れ合ったり、ゲームに挑んだりした。同法人が運営する関連施設は釜石、宮古を含め計7カ所あり、それぞれ多くの利用があるという。職員も計60人ほどが活躍。「利用者、職員が集まる機会をつくりたい」と、各施設の連携で実施するイベント企画の継続を望んだ。
 
 かまいしケア・ステーションが入る施設には、障害者が働きながら技能を身に付ける就労継続支援B型事業所「釜石市福祉作業所2nd(セカンド)」も併設。2つの事業所を合わせた障害者福祉施設「かまいしガーデン」として運営する。

matatabi01

また旅に行きたくなる!?「またたび書店」 釜石大観音仲見世通りで営業中 朗読会も

旅や地域、場所にまつわる本が並ぶ「またたび書店」

旅や地域、場所にまつわる本が並ぶ「またたび書店」

 
 釜石市大平町の釜石大観音仲見世通りに、旅をテーマにした本が並ぶ小さな書店がある。その名は「またたび書店」。店主は、同通りでコワーキング・シェアオフィスを運営する一級建築士の宮﨑達也さん(54)。「読むとまた旅に行きたくなる。そんな本を集めた書店」と言って笑う。
 
 書店は、コワーキング・シェアオフィス「co-ba kamaishi marudai(コーバ・釜石・マルダイ)」の1階にあるギャラリースペースを活用する。広さは約30平方メートル。国内外のさまざまな土地の紀行やエッセー、小説など新刊、古本を合わせて計約600冊がずらりと並ぶ。
 
釜石大観音仲見世通りの一角で営業している小さな本屋さん

釜石大観音仲見世通りの一角で営業している小さな本屋さん

 
本選びを楽しむ女性。旅に出たような気分になれるかも!?

本選びを楽しむ女性。旅に出たような気分になれるかも!?

 
 店内はこぢんまりとしているが、ソファーや椅子が置いてあり、「座り読みOK!」との貼り紙も。マスコットキャラクターの「本屋のねこ」をデザインしたトートバッグなどのグッズや、同通りにあるカフェのドリップバッグコーヒーも販売する。
 
店主のおすすめ本やドリップコーヒー、本屋オリジナルグッズも並ぶ

店主のおすすめ本やドリップコーヒー、本屋オリジナルグッズも並ぶ

 
 オープンは今年の3月11日。三重県出身の宮﨑さんは東日本大震災の復興に携わるため来釜したのを縁に、2018年にコーバ釜石をオープンさせた。同通りはかつて20店舗以上が軒を連ねたが、震災後には稼働ゼロに。空き家や2階の住宅利用のみとなっていた。大観音は市内の観光スポットでもあり、「このエリアのにぎわいを取り戻そう」と思い立ち、三重に建築事務所を構えつつ、釜石との二地域居住(二拠点生活)を続ける。
 
「本を読みながらゆっくりしていって」と店主の宮﨑達也さん

「本を読みながらゆっくりしていって」と店主の宮﨑達也さん

 
 同通りで生活しながら、再び人の行き交う場にしようと各種イベントも手がけ、約10年見つめている宮﨑さん。大観音を訪れる観光客や、近くにある「みちのく潮風トレイル」のコースをたどるハイカーらの姿を見かけることもあり、「この地を訪ねてくれた人たちが立ち寄れる場所をつくりたい」と、書店の開業に踏み切った。
 
 「旅先や移動中に本を読むと、あとから旅と読書の思い出がリンクする。旅で訪れたことのある土地の本を読むと、その時の思い出がよみがえることも。本を読むと旅に行きたくなるのは、そんな記憶の作用かも」と宮﨑さん。
 
 7月18日には、詩人で作家のドリアン助川さんによる朗読会をコーバ釜石で開いた。震災後に釜石であったある企画展示を通じて親交を深めたドリアンさんと宮﨑さん。書店オープンを聞き、お祝いも兼ねて快く来釜してくれたのだという。ドリアンさんは、最新刊「動物哲学物語 ナイス実在」(6月26日刊行)の中からインド水牛をテーマにした自然の摂理や思想を盛り込んだ物語「寄り添う心」などを情感たっぷりに聞かせた。
 
書店が入る建物の2階で開かれた朗読会

書店が入る建物の2階で開かれた朗読会

 
朗読会の参加者と交流するドリアン助川さん

朗読会の参加者と交流するドリアン助川さん

 
 地元釜石のタレント養成所のレッスン生や、宮﨑さんも参加する劇団もしょこむの団員らによる朗読も。もしょこむが披露したのは、またたび書店のキャラ、本屋のねこ・コーシローを主人公とした物語で、宮﨑さんが脚本を手がける。この日は、1話目をプレ公開。今後、全10話(予定)で仕上げ、秋頃にラジオドラマ風にユーチューブで配信することにしている(らしい)。
 
 店名は「また旅に」という思いを込めた言葉遊び的な名づけだが、諸国を歩きまわることを意味する「股旅」という要素も含む。さらに、同通りでは「猫に出合う」ことも“たびたび”。猫が夢中になるという植物マタタビも、その一部分になるのだとか。この場所にちなんだいくつもの視点を組み合わせた命名に宮﨑さんのユーモアがあふれる。
 
本を通した交流が芽吹き中!「えんむすびのタネ」もどうぞ

本を通した交流が芽吹き中!「えんむすびのタネ」もどうぞ

 
 大観音は「恋人の聖地」に選定されていて、人のつながりや縁を広げる場所として魅力が上乗せ。宮﨑さんは「気軽にお立ち寄りを。そして、ゆっくり本を読んでもらえたら。良い本とのご縁がありますように」と期待を込める。朗読会のようなイベントも「たまには」。本業の傍らでの書店運営なので、「気が向いたら」と目を細めた。
 
味わいのあるキャラクター「本屋のねこ」がお出迎え

味わいのあるキャラクター「本屋のねこ」がお出迎え

 
 またたび書店は「店員が旅に出がちなので」として、無人販売が基本。気になった本を選び、設置されているセルフレジ機で支払う仕組みとなっている。支払いはキャッシュレス決済のみ。営業時間は午前9時~午後7時で、年中無休。詳しくはサイト(https://matatabibooks.hp.peraichi.com/)で確認を。

yunagikai01

郷土芸能の担い手確保へ 高校生が魅力伝える新団体「結凪會(ゆうなぎかい)」結成  虎舞体験軸に発信

有志団体「結凪會~人と人を繋ぐ郷土芸能~」を設立した沿岸部の高校生ら

有志団体「結凪會~人と人を繋ぐ郷土芸能~」を設立した沿岸部の高校生ら

 
 虎舞、神楽、鹿踊り…など郷土芸能の宝庫である三陸沿岸地域。郷土に根付く貴重な伝統文化を次世代につなぐには担い手の育成が必須だが、人口減、少子高齢化の影響もあり、各団体は人員確保に苦慮している。そうした課題解決に地元高校生が立ち上がった。釜石高を中心に沿岸4校の生徒有志29人で結成したのが「結凪會(ゆうなぎかい)~人と人を繋(つな)ぐ郷土芸能~」。共同代表を務める釜石高3年の玉木里空さん、三浦海斗さんら5人が昨年度取り組んだ“郷土芸能ゼミ”の活動を深化させ、後輩たちにつないでいこうと新団体発足に至った。今月15、19の両日には会結成後初となる虎舞披露&体験の交流活動を展開。郷土芸能の魅力発信へ弾みをつけた。
 
yunagikai01

米国から訪れた高校生9人に虎舞を披露する結凪會のメンバー=15日、釜石PIT

 
 15日は、日本の文化や音楽に興味がある米国の高校生9人を迎えての交流会。東日本大震災後、日本各地を回り太鼓をツールとした文化や平和の学び活動を行う国際交流プログラム「Taiko for Peace(たいこフォーピース)」の参加者だ。結凪會の14人は英語で自己紹介し、三陸を代表する郷土芸能「虎舞」を紹介。矢車、跳ね虎、笹ばみの3演目を威勢のいいお囃子(はやし)で舞って見せた。演舞の後には会のメンバーが教えながら、米国の高校生が踊りやお囃子を体験。同世代で交流の輪を広げた。
 
yunagikai01

初めて見る虎舞に笑顔を広げる米国の高校生(15~18歳)

 
yunagikai01

踊りの解説はメンバーが英語で行った(左上)。黄、白の2頭の虎で「笹ばみ」を披露

 
 マックス・サントスさん(15)は「伝統的な太鼓と虎の動きがシンクロナイズしていて、とても力強い」と感激。虎頭を動かす体験では「実際に自分でやってみるとうまくいかないところも。スクワットもして、後ろの人と動きを合わせる一連の動作は彼らが練習を重ねてきた成果の表れ」と感じ入った様子。アリーナ・オルティーズ・レイモンドさん(16)は「太鼓の演奏と踊りのハーモニーがすごくいい。高校生たちが地元の文化を自分たちの力で次の世代に受け継ごうとしているのはとても大事なこと」と称賛した。
 
yunagikai01

演舞の後は太鼓や踊りの体験。会のメンバーが教えた。会話を弾ませる高校生も

 
 釜石高の2年生が取り組む探究活動で昨年度、地域課題に目を向けたグループの一つが郷土芸能ゼミ。玉木さんらメンバー5人は各地の芸能団体で活動する中で、「年々、郷土芸能に参加する若者が少なくなっている」と実感。小中高生へのアンケートを実施し、担い手を増やすための方策を考えてきた。参加への敷居の高さの払拭、効果的な魅力発信などの必要性を感じたメンバーは、趣旨に賛同する仲間を募って、虎舞の演舞披露と体験を組み合わせた交流活動を展開。市郷土芸能祭では、出演団体のポスターを作成して会場に掲示し、興味のある人と団体をつなぐ橋渡し的役割を担った。釜石を会場に開かれた三陸国際芸術祭では、若手芸能者の公開ディスカッションに参加して継承へのヒントを得たほか、自分たちの活動も発信した。
 
昨年10月の三陸国際芸術祭で郷土芸能ゼミの活動を紹介する玉木さん、三浦さんら。左下白枠は今年2月の市郷土芸能祭で掲示した出演団体を紹介するポスター

昨年10月の三陸国際芸術祭で郷土芸能ゼミの活動を紹介する玉木さん、三浦さんら。左下白枠は今年2月の市郷土芸能祭で掲示した出演団体を紹介するポスター

 
 1年間のゼミ活動で担い手不足問題の深刻さを再認識し、活動継続の必要性を感じた5人。3年生になった本年4月、さらに活動を広げ、後輩たちに引き継いでいってもらおうと団体の設立を決意した。祭りや郷土芸能が盛んな大槌、山田両町の高校生にも声がけ。4校(釜石、釜石商工、大槌、宮古)から計29人が集まった。会の名称は人と団体を結ぶ“結”、水平線から顔を出す太陽が広く海面“凪”を照らす光景に自分たちの活動姿勢を重ね、「結凪會」とした。
 
 基本とするのは上下関係や参集の強制をなくした風通しのよい組織。既存団体への所属の有無、学校も関係なく、やってみたい人なら誰でも歓迎する。「メンバーには全くの未経験者もいるし、団体所属者も虎舞、神楽、鹿踊り、手踊りとさまざま。他校の人たちと触れ合うことで新たな面白さも生まれている」と玉木さん。担い手を増やすには、団体の垣根を越え、互いを尊重し協力し合える関係の構築も必要とし、自分たちでその一歩を踏み出したい考え。「目標はメンバー100人超え!」と活動の広がりを願う。
 
釜石応援ツアーの参加者に虎舞を披露するため、お囃子や踊りの最終確認=19日、宝来館

釜石応援ツアーの参加者に虎舞を披露するため、お囃子や踊りの最終確認=19日、宝来館

 
いいパフォーマンスを見せるため、本番直前までしっかりと練習

いいパフォーマンスを見せるため、本番直前までしっかりと練習

 
 山田町の伝承団体「山田八幡大神楽」で活動する宮古高定時制3年の佐々木晃耀さんは、同団体に所属する釜石高生に誘われて会に加入した。地元の各郷土芸能団体も担い手不足は共通の課題で、「全く郷土芸能に関わったことがない人、身近になかった人たちにこそ、体験を通して『楽しい』とか『かっこいい』と感じてもらえたら」と、体験活動を積極的にサポート。「参加をためらう要因の一つである昔からの敷居の高さを少しでもなくしていきたい」と意気込む。
 
 19日は、一般社団法人Blue Compass(ブルーコンパス)がラグビーワールドカップ2019釜石開催を機に継続する釜石応援ツアーの参加者に、虎舞演舞と体験の場を提供した。約50人の参加者は国内外から集まっていて、この日も英語での説明を交えて会の活動や虎舞の紹介を行った。
 
yunagikai01

子どもたちは迫力の舞におっかなびっくり。外国人客は笑顔で楽しむ=宝来館ロビー

 
yunagikai01

虎の生態を表現したさまざまな動きに目がくぎ付け。足さばきにも注目

 
 会のメンバーは1年生が全体の半数以上を占める。幼い頃から地元団体で虎舞に親しむ釜石高1年の及川椿姫さんはこの日、女子メンバー4人でお囃子の笛を担当した。高校入学のタイミングで会が発足。学校での郷土芸能活動にも意義を感じ、加入を決めた。沿岸地域には虎舞団体が複数あり、お囃子や踊りもそれぞれ異なるが、会の演舞では、それらを調和させてリズムを刻む。「お囃子の似ている団体もあり、いろいろな発見がある」と及川さん。演舞の披露で興味を持ってくれる人が多いことにも喜びを感じ、「今後は小学生とか小さい子たちにも体験の場を設けられれば」と願った。
 
yunagikai01

腰を低くして虎頭を操る虎舞独特の姿勢を教える会のメンバー

 
yunagikai01

お囃子の太鼓に挑戦する女の子。コツをつかむと上手にリズムを刻んだ

 
 副代表の山陰宗真さん(釜石高2年)は現3年生の活動を見てきた一人。若者を中心とした発信活動のきっかけを作ってくれた先輩たちに感謝し、自分たちもさらに活動を発展させていきたいと意を強くする。「若い世代の強みであるSNS発信を充実させ、もっと人を呼び込めるような活動ができれば。地元での体験会を増やすことはもちろん、県内外への遠征でその魅力を発信できたら」と今後を見据える。結凪會の活動は公式インスタグラムで発信していく予定。
 
yunagikai01

結凪會の今後の活動に期待! 高校生パワーで郷土芸能の魅力を発信していく

100yen12ththum

「第12回かまいし百円市」の出店者を募集します

100yen12th

釜石まちづくり(株)では、2026年9月5日(土)「第12回かまいし百円市」 (以下、百円市) を開催します。販売商品をすべて100円とするフリーマーケットやバザーのような“100円均一フリマ”といったイメージです。
 

【例えばこのような商品の出品を想定しています!】
リユース可能な子供用品、持て余してしまったお歳暮や引き出物の中身、まだまだ使えるおもちゃ、ダブったガチャガチャ、ちょっとしたコレクションアイテム、端数が残ってしまったパック商品、かつての趣味の名残、ハンドメイド商品、お菓子などの食品・・・などなど、価格を100円として頂ければ、一部の取扱い禁止商品以外は何でもOKです。

 
均一価格のため販売益は限定されるかもしれませんが、以下のような点に意義を見出してくださるご出店者様を募集いたします。
・リユースの促進による社会活動的意義
・みんなで出店する楽しさ
・街の賑わいの場づくり
・ハンドメイド作品などの販売機会 など

 
各種サークル活動などのグループをはじめ、社会福祉法人やNPO等の社会活動団体、町内会やクラブ・少年団活動等の地域活動の一環として、学校や幼稚園・PTAや保護者会の催しとしてなど、皆様のご出店をお待ちしております(個人での出店も可能です)。

開催概要

日時:2026年9月5日(日) 10:00~14:00
場所:釜石市民ホールTETTO・ホール前広場
主催:釜石まちづくり(株)
キャッチコピー:「100円握ってお宝探し!」

出店の基本情報

◎すべての商品を以下の価格で販売すること
・100円(税込)
◎下記の品数をご用意頂けること(多い分には大歓迎!)
 ・50個以上
◎「出店について」の要件を遵守頂けること
 ・参加可能枠を超えるご応募があった際は抽選とさせて頂きます
 ・チャリティ活動(売上は○○へ寄付、○○を支援、教育や社会福祉活動資金に充当) が伴う場合は、条件により別枠での出店が可能ですのでご相談下さい

出店について

◆物品の販売以外のサービスを商品として提供することはできません
(マッサージ、ヘアカット、診断、占いなど ※縁日等に類するものや主催者が要請したものは除く)
◆出店料は以下となります
・500円(税込)
◆出店スペースの広さは、幅2~2.5m×奥行1.5~2mを目安に調整させて頂きます
 また、販売台、シート、釣銭等は各自でご準備下さい(主催者による両替には限りがあります)
◆会場は屋外となりますので、各自で出店時の気候対策等をお願いします
◆駐車場は釜石大町駐車場をご利用ください
◆ペット等を同伴しての出店は禁止です(介助犬等を除く)
◆火器の使用や発電機の持込みは禁止です

取扱い禁止商品

《以下の商品の取扱い及び取引は禁止といたします》
生鮮食品など衛生管理上好ましくない物、その場で調理提供する飲食品(キッチンカーを除く)、ペット等の生き物、偽造品や盗品など法律に抵触する商品、受発注や目録を介しての後日取引を前提とした商品、取扱い資格の必要な危険物や薬品(有資格者でも不可)、公序良俗に反する物、大量の火薬類、再販売やオークション等への出品を前提とした取引

 
※大量の酒類を取り扱う場合は事前にご相談ください
※この他、主催者が不適切と判断した商品については取扱いを中止頂く場合があります

出店の申し込み方法

出店に関しての各種事項(開催概要、基本条件、出店について、取扱い禁止商品)を必ずご確認・ご理解のうえ、下記の出店申込書を記入して釜石まちづくり(株)までお申込み下さい。
 
●釜石まちづくり(株)の社員によるご紹介やご案内をご希望の場合は、直接担当社員(菅原)まで
●それ以外の場合は、下記のいずれかの方法でご送付ください
・釜石まちづくり(株) FAX:<0193-27-8331>
・担当者メールアドレス:s-sugawara@kamaishi.co.jp

※FAXやメールでのお申込みが難しい場合は「釜石情報交流センター(釜石市大町1丁目1-10)」の受付にお越しいただき、出店申込希望の旨をお伝えください。

 
申し込み締切:2026年8月16日(日)
 
問合せ等については、釜石まちづくり(株) TEL<0193-22-3607>までお願いします。

出店概要&申込書

PDF版(1.1MB)
「第12回 かまいし百円市」の出店概要&申込書
 
Word版(272KB)
「第12回 かまいし百円市」の出店概要&申込書

フェリアス釜石

釜石まちづくり株式会社

釜石まちづくり株式会社(愛称 フェリアス釜石)による投稿記事です。

問い合わせ:0193-22-3607
〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-10 釜石情報交流センター内 公式サイト

sakuramasu01

手軽においしく!釜石はまゆりサクラマス 料理教室で普及へ、地元食材の良さ再認識

釜石はまゆりサクラマスを使った巻きずしを作る参加者

釜石はまゆりサクラマスを使った巻きずしを作る参加者

 
 釜石市が力を入れている養殖サーモンのブランド魚種「釜石はまゆりサクラマス」を使った料理を学ぶ体験教室が14日、同市鵜住居町の根浜シーサイドレストハウスで開かれた。市の委託で、地元の観光地域づくり法人かまいしDMCが主催。市民8人が参加し、地元の食材の良さを確かめながら旬の味わいを楽しんだ。
 
 釜石湾で養殖されているサクラマスは6~7月が水揚げシーズン。市内飲食店が限定メニューを提供するフェアを行っているが、どちらかと言えば観光やビジネスなど市外来訪者が食す機会が多くなっている。そんな旬の食材を市民にこそ知ってもらい、「家庭の食卓で手軽に味わってもらおう」と企画。講師として、家庭料理の魅力を広める「母めし研究所」代表の大久保久江さん(71)と、巻きずしの普及に取り組む民間団体の「巻寿司特任大使」を務めるやはためいこさん(50)を東京から招いた。
 
「母めし研究所」代表の大久保久江さん(右)の話に参加者は興味津々

「母めし研究所」代表の大久保久江さん(右)の話に参加者は興味津々

 
 この日のメニューは塩こうじ焼き、みそと混ぜ合わせた「なめろう」、蒸したサクラマスを混ぜ込んだ酢飯を使ったのり巻きなど。大久保さんは「日々の料理は『手間なし』が楽しく続く秘訣(ひけつ)」と話し、せいろを使った調理法を紹介した。「食材をポンポン入れて蒸しただけ。そのまま出せて、おしゃれじゃないですか、せいろって。華やかで、おもてなし料理にもなる」と手軽さをアピール。市販の調味料に「漬けて焼くだけ」、薬味と「混ぜるだけ」といった「頑張りすぎない」けど、おいしく調理できるアイデアも実演した。
 
料理の楽しさを伝える大久保さんが提案するサクラマス料理

料理の楽しさを伝える大久保さんが提案するサクラマス料理

 
 やはたさんは「のり巻きは巻くのではなく『合わせる』のがポイント。ごはんで具材を巻き込んだら、最後はご飯とご飯をくっ付ける感じで」などと作り方を教えた。今回、サクラマスと合わせる具材として選んだのは蒸したキャベツとニンジン、すき昆布。「具材は何でも入れちゃえばいい。恐れずにいろいろ入れて巻いてみて」と助言した。サクラマスのなめろうを使い、すしの断面が花柄になるような巻き方も紹介。切り方のコツも伝え、「巻きずしは断面が醍醐味(だいごみ)」と魅力を語った。
 
のり巻きの作り方を丁寧に教える「巻寿司特任大使」のやはためいこさん

のり巻きの作り方を丁寧に教える「巻寿司特任大使」のやはためいこさん

 
 参加者は、のり巻き作りに挑戦。普段から料理を作る人たちがほとんどで、「なるほど」と感覚をつかんで手際よく調理した。同市甲子町のパート福士明美さん(64)は食べることが大好きで、魚食に関心があり参加。最近店頭で生のサクラマスを見かけ、料理したいと思っていたタイミングだったこともあり、「どれも簡単にできそう。家族に振る舞うのが楽しみ。機会があったら、また参加したい」と笑顔で話した。
 
サクラマスの飾り巻きを作る参加者。目指す図案は花柄

サクラマスの飾り巻きを作る参加者。目指す図案は花柄

 
のり巻きが完成し笑顔を見せる参加者。きれいな断面に「おいしそう」

のり巻きが完成し笑顔を見せる参加者。きれいな断面に「おいしそう」

 
のり巻きの出来栄えに満足げな参加者。うれしさは周りに伝わる

のり巻きの出来栄えに満足げな参加者。うれしさは周りに伝わる

 
 市水産農林課地域プロジェクトマネジャーの齋藤孝信さん(64)は、はまゆりサクラマスの特徴や味力を説明。市内スーパーの店頭にも並んでいるはずだが、「見かけない」「買えない」といった声も聞かれているとし、「市民にどう届けるかが課題」と認識する。
 
 市は認知度を高めるため、さまざまな施策を主導している。2022年度からは市内の全小中学校の給食で食材として使用。23年からは市内飲食店での「釜石はまゆりサクラマスフェア」を行っている。飲食店以外での普及活動として今年6月に開催された、みちのく潮風トレイルを舞台に市内を巡るグルメウォークでも振る舞った。
 
サクラマスを刺し身にして教室の参加者に振る舞った齋藤孝信さん

サクラマスを刺し身にして教室の参加者に振る舞った齋藤孝信さん

 
 このほか、24年度から同市平田にある岩手大学釜石キャンパスの学生が地元の漁協女性部の力を借りてフライや照り焼きなどのメニューを開発し、盛岡市上田のキャンパスにある学生食堂で期間を限定し提供。県庁の食堂、さらに今年度は岩手県立大学でも提供される予定だ。
 
 通年で養殖サクラマスを楽しんでもらおうと、今年度から「釜石はまゆりサクラマス認定店舗」という取り組みがスタート。市内の鮮魚店や飲食店、スーパーなど、現在約20店舗が参加する。
 
教室参加者をサポートした母めし研究所のメンバーらと料理談義!?

教室参加者をサポートした母めし研究所のメンバーらと料理談義!?

 
 普及という面では「やはり家庭」と考える齋藤さん。「はまゆりサクラマスを市民の魚として身近な食卓で食べてもらえるようにしたい。きょうのように家庭、仲間で料理してもらえたら」と期待しながら、さらに知恵を絞る。

umibiraki01

夏だ!海だ! 1年ぶりの水の感触に歓声 根浜海岸海開き 初日は各種アクティビティも

18日に海開きした根浜海岸海水浴場。事故防止を呼びかける啓発活動も行われた

18日に海開きした根浜海岸海水浴場。事故防止を呼びかける啓発活動も行われた

 
 釜石市の海水浴場、根浜海岸は18日に海開きした。午前中は小雨がぱらつく曇り空だったが、午後からは晴れ間ものぞき、夏を待ちわびた家族連れらが次々に来場。海で泳いだり、海遊びイベントとして用意された体験無料の各種アクティビティを楽しんだりした。海水浴場は8月23日まで開設。遊泳時間は午前10時から午後4時まで。
 
 今季の海水浴場開設にあたり、午前9時から一般社団法人釜石観光物産協会主催の安全祈願式が行われた。関係者約40人が出席。鵜住神社の花輪宗嗣宮司が祝詞をささげ、出席者の代表が玉串を供えてシーズン中の無事故を祈った。協会の新里進会長は同海岸について、「近年では三陸ジオパークとしての魅力が加わり、みちのく潮風トレイルのゲートウェイの役割も担っている。シーカヤックやサップなどの各種体験も可能。ぜひ、多くの皆さんに来ていただきたい」と話した。
 
海水浴シーズン中の無事故を祈る安全祈願式

海水浴シーズン中の無事故を祈る安全祈願式

 
遊泳開始時刻を前に監視体制などを確認する地元ライフセーバーら

遊泳開始時刻を前に監視体制などを確認する地元ライフセーバーら

 
午前10時すぎ、さっそく海に入り遊ぶ子どもら

午前10時すぎ、さっそく海に入り遊ぶ子どもら

 
 午前10時の時点で気温30.4度、水温21度。海に入った子どもたちは「水、ちょっと冷たーい」と言いながらも、浮き輪などで波に揺られる心地良さを楽しんだ。市内の小学生木村渚彩さん(8)は大きなイルカの浮き輪に乗ってぷかぷか。「海は広いところで泳げるのがいい。気持ちいいし、嫌なことも全部海が吹き飛ばしてくれる感じ。根浜にはあと3回ぐらい来たい」とにっこり。母裕美さん(47)は「根浜海岸は小さい子から大人まで幅広く楽しめる。海のあるまちで育っているので海のリスクも知りながら、遊びも楽しんでくれれば」と子どもたちを見守った。
 
 海に関わる団体でつくる実行委は海開きのイベントとして、各種無料体験を用意。シーカヤック、サップ、シュノーケリングのほか、海の安全を守る水上オートバイやレスキューボートの乗船体験もあり、多くの人が根浜の魅力を体感した。緑地帯では岩手大の海の生き物タッチプール、文京学院大のシャボン玉ワークショップなどもあり、学生らが海開きを盛り上げた。
 
海開きを記念し、サップやシーカヤックなどの体験メニューは無料で提供

海開きを記念し、サップやシーカヤックなどの体験メニューは無料で提供

 
水の出るエアー遊具は大人気。震災復興支援を機に釜石とつながる文京学院大生はシャボン玉で楽しませた

水の出るエアー遊具は大人気。震災復興支援を機に釜石とつながる文京学院大生はシャボン玉で楽しませた

 
 海水浴場開設期間中は一般社団法人根浜MIND、釜石ライフセービングクラブが監視業務で協力する。同クラブの佐々木良衡副代表(45)によると、昨年の期間中は救助に至るような事案はなく、海水浴客のマナーも良かったという。ただ、海のレジャーは危険と隣り合わせ。「海中は急に深くなる場所もあるので、水の深さを確認しながら入っていってほしい。コンクリート部分や岩場には貝殻が張り付いているため、厚いマリンシューズを履くなどしてけがの防止を」と呼びかける。また、近年は夏の気温が非常に高いため、熱中症への警戒も必要。「こまめに水分を取り、塩分補給も忘れずに。適度に水の中に入って体を冷やすことも大事」と佐々木副代表。この日は安全祈願式の後に、同クラブによる救助のデモンストレーションや釜石海上保安部による海水浴の安全啓発活動も行われた。
 
救助のデモンストレーションを行った釜石ライフセービングクラブ。遊泳中に危険を感じたら早めに助けを求めるよう呼びかける

救助のデモンストレーションを行った釜石ライフセービングクラブ。遊泳中に危険を感じたら早めに助けを求めるよう呼びかける

 
釜石海上保安部職員はチラシやキャラクター入りカードを配り、海のレジャーの安全対策を呼びかけた

釜石海上保安部職員はチラシやキャラクター入りカードを配り、海のレジャーの安全対策を呼びかけた

 
 根浜海岸の昨年度の入り込み客数は約6700人。今年は8月2日に10回目を迎える長距離泳の大会「釜石オープンウオータースイミング2026根浜」、8月8日には昨年に続き2回目となる障害者対象の「ユニバーサルビーチ」が開催される予定。

bousaimap01

歩いて確認!地域の危険箇所 命を守る手作り防災マップで共有 釜石小で発表会

釜石小で開かれた「ぼうさい安全マップ」発表会

釜石小で開かれた「ぼうさい安全マップ」発表会

 
 釜石市大渡町の釜石小(五安城正敏校長、児童62人)で10日、地震や大雨、台風などの災害ごとの危険場所をまとめた「ぼく・わたしのぼうさい安全マップ」の発表会が開かれた。通学路、遊び場など自分たちが住む地域で見つけた気になるポイントを児童同士で共有。自分の命を守る意識を高め合った。
 
 全校児童が参加。発表は6年生(11人)が中心となり、中高学年も加わった。学区内の5地区(浜町、天神・只越、大只越、大町、大渡)の子ども会ごとに発表。マップには「土砂崩れの可能性」「クマが出る」「排水が大雨であふれるかも」などと危険内容を記した付箋が貼られ、発表者は写真も示しながら津波の指定緊急避難場所と併せて説明した。
 
マップに示した危険箇所について発表する児童

マップに示した危険箇所について発表する児童

 
危険な点を書いた付箋や写真が貼られた手作りマップ

危険な点を書いた付箋や写真が貼られた手作りマップ

 
注意が必要な場所をスライドで示しながら説明した

注意が必要な場所をスライドで示しながら説明した

 
 東日本大震災について、家族らから聞いたことも紹介した。釜石を襲った津波の高さは9.3メートル。襲来時に家屋などを巻き込みバキバキという音が響き渡り、ものすごい勢いだった。2波、3波と繰り返し押し寄せると伝え聞いた天神・只越地区の児童は「絶対に戻らないということを大切にしなければいけません」と強調。大只越地区の児童も「地震が来たら逃げ道を作ることも大事。大津波がくる前に逃げ、絶対に引き返さないこと」と重ねて訴えた。
 
児童は家族らから聞いた東日本大震災のことも伝えた

児童は家族らから聞いた東日本大震災のことも伝えた

 
東日本大震災の津波浸水区域を知ってもらう工夫も

東日本大震災の津波浸水区域を知ってもらう工夫も

 
 マップには、震災の津波浸水区域がひと目で分かるような工夫も。山と川に挟まれた大渡地区は震災時、津波が川をさかのぼり、あふれる水が逆流して大きな被害を受けた。説明した児童は災害発生時、さまざまな危険が重なることに触れながら、「大渡地区にいたら釜石小に避難して命を守ってください」と呼びかけた。
 
 浸水区域の表示は今回初めての試み。マップをまとめた5、6年生が「次に大きな災害、津波がきた時、『ここまでだったから大丈夫』ではなく、より高く、もっと上、もっと上の方へ逃げてほしい」と願いを込めたのだという。
 
東日本大震災の津波浸水区域を示して注意を促す

東日本大震災の津波浸水区域を示して注意を促す

 
 発表を聞いた1年生は「津波が怖い」と感想を話した。そのほかの学年の児童は「川が近く心配なので、早く避難したい」「5地区の避難場所や危険な箇所が分かった。遊びに行ったり、一人の時には気をつけて行動したい」などと受け止めた。菊池浩央さん(3年)は「自分の家が震災の時に流されたところに入っていた。より早く避難場所に着けるようにしたい」と学びを深めた。
 
発表を聞いて学んだことや感想を話す児童

発表を聞いて学んだことや感想を話す児童

 
 釜小ぼうさい安全少年団長の山﨑良菜さん(6年)は「きょうの発表を通して、自分の命は自分で守るということを意識し、本当の災害が起きた時に生かしてほしい。登下校の時、危険な場所を確認しながら歩いて、日ごろから気をつけて生活してもらえたら」と願いつつ、自身も行動への心構えを新たにする機会にした。
 
 マップ作りは震災前から続けられている活動。今年も全児童が取り組み、6月上旬から中旬に自宅周辺の危険な場所を地図に記入。その後、持ち寄った情報を5、6年生が大きな地図にまとめた。避難場所や危険箇所、震災の津波の高さを示す看板などの写真も撮ったり、「みんなに分かりやすく伝わるよう」にした。昇降口に掲示する。
 
月に1回取り組む「釜小ぼうさいの日」。防災に関するメッセージを発信する

月に1回取り組む「釜小ぼうさいの日」。防災に関するメッセージを発信する

 
 震災発生日の3月11日にちなみ、同校では毎月11日を「釜小ぼうさいの日」として総合的な学習に取り組む。五安城校長は「命を守るため、きょうの勉強を大事にした上で、いざという時には自分の目で見て、音を聞いて判断できるようになってほしい」と期待。発表を聞いて「危険」「怖さ」を感じる子もいたようだが、「どこにいても危険はある。自分が住むまちのいろんな面を知ることで、いいところ、危ないところが見えてくると思う。だけど、みんなには今いる場所を好きになってほしい」と見守る。

tenmon01

先人に鉄 宇宙とつながる釜石 天文学者2人が講演 唐丹「星座石、測量之碑」日本天文遺産認定記念で

「星座石と陸奥州気仙郡唐丹村測量之碑」日本天文遺産認定記念講演会=11日、TETTO

「星座石と陸奥州気仙郡唐丹村測量之碑」日本天文遺産認定記念講演会=11日、TETTO

 
 釜石市唐丹町に受け継がれる石碑「星座石」と「陸奥州気仙郡唐丹村測量之碑」の日本天文遺産認定を記念した講演会が11日、市民ホールTETTOで開かれた。同遺産認定に係る現地調査を担当したNPO法人イーハトーブ宇宙実践センター理事の亀谷收さん(同遺産選考委員)、釜石南高(現釜石高)出身で広島大宇宙科学センター長の川端弘治さんが講演。釜石と宇宙をつなぐロマンあふれる話に約150人が聞き入った。
 
 「星座石」と「陸奥州気仙郡唐丹村測量之碑」は江戸時代に全国を歩いて測量し、初の実測日本地図作成に至った伊能忠敬(1745-1818)が唐丹村(当時)で天体測量したことを示す遺産。両石碑は天文学を学んでいた地元唐丹の知識人、葛西昌丕(1765-1836)が建立した。伊能の業績を存命中に顕彰し、現存するものとしては全国唯一とされる。本年3月、公益社団法人日本天文学会が選ぶ「日本天文遺産」に認定された。認定は歴史的に貴重な天文学、暦学関連遺産の価値を広め、保全、活用を図るのが目的。
 
 亀谷さんは認定の理由として、▽江戸時代末期(1800年代前半)、最先端の西洋天文学の知識が文化的中心地(江戸、仙台)から離れた唐丹にまで伝播していたことを明確に示す資料▽測量之碑の中に「地球の微動あらざらんか」という、西洋の学説を後世の人々に確かめてほしいとの記述がある▽伊能の存命中に作られた石碑が地域住民の保存活動により残っている―ことを挙げた。
 
星座石と測量之碑が日本天文遺産に認定された理由などを話した亀谷收さん

星座石と測量之碑が日本天文遺産に認定された理由などを話した亀谷收さん

 
 星座石に刻まれている緯度「北緯39度12分」は、伊能が1801(享和元)年9月24日に唐丹村で天体測量を行い、求めた値とされる。これは現在の地図と合致するが、葛西は「この緯度が不変なのか、あるいは西洋の学説にあるように地球の微動により変動するのかを後世の人々に解明してほしい」とのメッセージを石碑に残している。
 
 亀谷さんは葛西の地球微動の問いかけに答える形で、緯度変化の要因として考えられる4つの可能性「歳差」「光行差」「章動」「極運動」について、自作の模型を示しながら考察した。自身の見解として示したのは、「1803年以降に存在が分かってきた章動と光行差が(葛西の言う)地球の微動に該当するのではないか」ということ。測量之碑は1814(文化11)年に建立されていて、「葛西が天文学を学んだ仙台でそうした知識を得ていた可能性は十分ある。緯度自体を変化させる極運動が発見されたのは1888年なので、こちらは想定していないと思われる」とした。
 
葛西昌丕が後世に解明を託した「地球の微動」について自身の見解を示す亀谷さん

葛西昌丕が後世に解明を託した「地球の微動」について自身の見解を示す亀谷さん

 
 同遺産認定は全国20例目、本県では3例目となる。亀谷さんは「岩手は星がきれいな“銀河県”。今回の認定で、多くの人にその重要性を知ってもらえれば」と願った。
 
 超新星の研究をしている川端さんは、“近代製鉄発祥の地”釜石と深く関わる鉄を、宇宙に存在する元素からひも解いた。宇宙は138億年前にビッグバンで誕生したとされる。これで生まれたのが水素とヘリウムで、水素は現在、宇宙に存在する全元素の9割を占める。その他の元素は、水素のような軽い原子核どうしがくっついて重い原子核をつくる「核融合」という現象によって生まれた。重い原子核をつくるにはプラスどうしの電気の反発力に打ち勝って原子核を融合させる必要があるため、星の内部のような高温、高圧状態が必要。「炭素、酸素から鉄までの元素は星の中での核融合反応でつくられてきた。鉄は原子核の中で最も安定な元素で、核融合の終着点」と川端さん。炭素や酸素などの重元素ができたからこそ、惑星や生命の誕生につながったことを明かした。
 
「ビッグバンから<鉄>へ:宇宙と釜石のつながり」と題した川端弘治さんの講演

「ビッグバンから<鉄>へ:宇宙と釜石のつながり」と題した川端弘治さんの講演

 
 一方、地球に限って見ると一番多い元素は鉄。地球を形作った物質の3分の1は鉄で、その多くは地球の中心部に存在する。地表付近にある鉄は太古の海が酸化して析出した鉄鉱床。これが隆起した地層があるのが釜石で、「鉄鉱石が採れる所は、ほとんどが海の底だった所。釜石鉱山もそう。宇宙から巡り巡ってきている」と話した。
 
tenmon01

釜石の鉄鉱石の大元は宇宙でできた鉄元素。宇宙の進化とのつながりに驚き

 
 川端さんは講演の中で、国立天文台のプロジェクトが開発した4次元デジタル宇宙ビューワー「Mitaka(みたか)」の映像も上映。地球から観測可能な太陽系、天の川銀河、宇宙の大規模構造をリアルタイムに可視化するソフトで、広大な宇宙を紹介した。人間が肉眼で見えている星は1000光年ぐらいまで。10億光年スケールで見た銀河の分布は銀河どうしが連なり、網の目状の姿を見せている。
 
4次元デジタル宇宙ビューワー「Mitaka」の映像も上映。地球から観測されている星や宇宙の構造を知ることができる

4次元デジタル宇宙ビューワー「Mitaka」の映像も上映。地球から観測されている星や宇宙の構造を知ることができる

 
興味深い講演に拍手を送る来場者

興味深い講演に拍手を送る来場者

 
 来場者は普段じっくり触れることのない宇宙の世界に興味をそそられながら、講師2人の話に耳を傾けた。講演後は星座石と測量之碑の管理者、本郷文化財愛護少年団育成会の小池直太郎会長がこれまでの保全活動や今回の遺産認定の住民の受け止めを紹介。認定以降、現地への来訪者が増えていることも話し、さらなる知名度アップに期待を寄せた。
 
本郷文化財愛護少年団育成会の活動などについて紹介した小池直太郎会長(写真左上)。市文化財保護審議会の藤原信孝会長は講演への感謝の気持ちを伝えた(同下)

本郷文化財愛護少年団育成会の活動などについて紹介した小池直太郎会長(写真左上)。市文化財保護審議会の藤原信孝会長は講演への感謝の気持ちを伝えた(同下)

 
ホール前のロビーでは関連資料の展示も行われた

ホール前のロビーでは関連資料の展示も行われた