祝・釜石市新庁舎落成 市民の安心安全守る拠点、交流の場にも 9月24日業務開始

新市庁舎落成記念式典で祈念演舞を披露する釜石市の「南部藩壽松院年行司支配太神楽」=25日
釜石市が天神町に建設を進めてきた新庁舎が完成し、25日、現地で落成記念式典が開かれた。新市庁舎には分散していた行政機能が集約され、市民の利便性が向上するほか、災害時に一時避難場所として利用可能な機能を備える。東日本大震災の教訓を生かした防災拠点、市民交流やにぎわい創出の場として期待される。新庁舎での業務開始は9月24日を予定する。
式典には市内外から約210人が出席。県指定無形民俗文化財の「南部藩壽松院年行司支配太神楽」が地固めの祈念演舞で開式を彩った。式辞に立った小野共市長は建設の経緯を振り返るとともに新庁舎が果たす役割を説明。「新庁舎の完成は釜石が積み重ねてきた復興の歩みの一つの到達点。市民にとって頼れる場所、釜石の未来を支える拠点となるよう、全力で市政運営に取り組んでいく」と決意を示した。

落成記念式典は1階の「みんなのホール」で開かれた

釜石市民歌を歌って開式。小野共市長(写真右上)は完成までの道のりを示し、関係者に感謝の気持ちを伝えた
来賓の鈴木俊一衆議院議員は「東北の産業経済をリードしてきた歴史とイノベーションは釜石市の底力。新庁舎落成を機に、世界とつながる釜石市がさらに大きく前進することを祈念する」と祝辞を述べた。達増拓也県知事は「新庁舎が釜石市の新たな顔として市民に親しまれ、未来に向かって歩みを進める象徴として新しい機能を発揮することを期待する」とのメッセージを寄せた。建設工事に携わった共同企業体や付帯物品を寄贈した団体の代表10人に小野市長から感謝状が贈られた。

市から感謝状を贈られた工事関係者や各種寄贈者ら

天神町に整備された釜石市役所新庁舎。鉄骨鉄筋コンクリート造り4階建て
新市庁舎は旧釜石小跡地で、震災時は仮設住宅用地となった約1万2千平方メートルの敷地に建設。庁舎棟は鉄骨鉄筋コンクリート造り4階建て。車庫棟(鉄筋コンクリート造り)を含めた延べ床面積は約9千平方メートル。只越町や大渡町など7カ所に分散する各部署を同所に集約した。
1階には市民課と並んで保健福祉部の各課が窓口を配置。窓口カウンターには間仕切りを設置し、プライバシーに配慮する。エントランスホールに隣接する「みんなのホール」は市民の休憩や交流の場として利用できるほか、イベント開催にも対応する。

1階には市民課や保健福祉部の各課窓口が並ぶ(玄関入って左手)

1階と2階は吹き抜けでつながり、開放的な印象
吹き抜けスペースを囲む2階には教育委員会、税務課、生活環境課のほか、産業振興部、建設部の各課を配置。相互に関わりの深い業務を担う部署が同じフロアに集まることで日常的な情報共有や連携を円滑にする。

教育委員会が入る2階。事務フロアの奥には個別対応の相談室も

2階には市民生活に深く関わる部署を集めた
3階には文化スポーツ課、オープンシティ・プロモーション室、財政課、総務課などを配置する。防災危機管理課と隣接する2つの会議室は間仕切りに可動式の壁を採用。災害発生時には間仕切りを移動させることで広い空間を確保し、警察や消防、自衛隊などの関係機関が一堂に会する災害対策本部として活用することができる。市長室や応接室も同フロアにある。

防災危機管理課と隣接する2会議室(写真白枠)は可動式の壁を採用。災害発生時には広い空間を確保し対策本部機能を担う=3階

市長室や応接室(写真右下)も3階に。災害対策本部となる会議室とも隣り合う
4階は議場や議会事務局、大小の4会議室を設ける。傍聴席は防音ガラスで区切った特別傍聴席も設け、乳幼児を連れた人も安心して傍聴できる環境を整えた。カーペット敷きの会議室は災害時の一時避難スペースにも活用される。庁舎には非常用発電設備や耐震型受水槽、非常用汚水槽に加え、マンホールトイレ、太陽光発電・蓄電設備などを備えており、庁舎全体で約3300人の避難者受け入れを想定する。

市議会が開かれる4階の議場。議員席の背後には傍聴席があり、防音ガラスで区切られた特別傍聴席も

災害時の一時避難場所としても活用される4階の大会議室。4階フロアはカーペット仕様
窓口カウンターや市長室、議場などの机や椅子には市産木材(アカマツ)を使用。壁材には県産木材も採用し、木の温もりあふれる空間を実現する。各階には男女のトイレのほか、オストメイト対応設備やベビーチェアなどを備えた優先トイレを設置。エレベーターで車いす利用者も楽に移動できる。駐車場は112台分(バリアフリー3台を含む)を確保。庁舎前にバス停を設け、路線バスが乗り入れる。

一部のフロアでは職員が自由に席を利用できる「フリーアドレス」を導入(写真右上)。各階にはさまざまなニーズに対応した優先トイレを配置(同右下)

旧釜石小の校庭にあったイチョウの大木を使って作られた市民憲章と防災市民憲章のパネル。釜石地方森林組合が寄贈した
釜石市の現庁舎は只越町と天神町にある第1~第5庁舎のほか、大渡町の保健福祉センター、鈴子町のシープラザ釜石、嬉石町の市民交流センターに各部署が分散する。1954(昭和29)年建設の第1庁舎など建物の老朽化、行政機能の分散が長年の懸案で、2011年の東日本大震災を機に新庁舎整備の検討が加速。その過程で国、県から最大クラスの津波浸水想定が公表され、敷地のかさ上げなど計画の見直しを余儀なくされた。資材価格の高騰や労務不足など社会情勢の変化も重なり、工期の延伸や費用の増額が必要となり、当初計画から約3カ月遅れての竣工となった。事業費は約73億3417万円。実施設計時から約20億円増加した。
1986(昭和61)年の検討開始から40年―。式典後の会見で小野市長は「歴代市長、市民の皆さまの期待が込められた大切な庁舎。市民の安心安全な生活を守ると同時に、行政としての役割、リーダーシップを発揮し、市勢発展へ導いていく機能を果たせる場所にしていかなければ」と述べた。

釜石新聞NewS
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