野田市長(左から2人目)らと記念撮影する小山さん(中央)=釜石市役所

将棋・小山怜央さん 古里釜石に帰省 プロ合格を報告、活躍誓う「応援力に」

釜石市に帰省して地元の子どもたちと指導対局する小山怜央さん(左)=小佐野コミュニティ会館

釜石市に帰省して地元の子どもたちと指導対局する小山怜央さん(左)=小佐野コミュニティ会館

 

 今年2月に将棋の棋士編入試験に合格した釜石市鵜住居町出身の小山怜央さん(29)=横浜市。4月1日付で岩手県初のプロ棋士としてデビューする。新たな舞台への一歩を踏み出す前に、古里に帰省。3月28日は子どもや将棋愛好家らへの指導対局、市長への表敬訪問などで大忙しだった。「おめでとう」「白星重ねて」「もっと強くなりたい」。行く先々で喜びや応援、希望を見いだす声を聞いた小山さんは「困難な時があっても地元の応援を力にし、今後も良いニュースを届けたい」と飛躍を誓う。

 

 小学2年生の頃に将棋を始めた小山さん。中学3年で棋士養成機関「奨励会」を受験するも不合格に終わった。高校2年時の東日本大震災で自宅を失い、避難所や仮設住宅での生活を余儀なくされたが、棋力は磨き続けた。岩手県立大進学後、数々のアマチュアタイトルを獲得。16年には奨励会の「三段リーグ」編入試験に挑戦したが、不合格となった。ただ、社会人になってもプロ棋士という夢を諦めず、アマとして臨んだプロの棋戦で好成績をあげ、編入試験の受験資格を獲得。22年11月から若手プロ棋士相手の五番勝負に挑み、3勝1敗と勝ち越して合格した。

 

将棋教室で特別指導

 

憧れの小山さんと(前列右から3人目)と交流し笑顔の子どもたち=小佐野コミュニティ会館

憧れの小山さんと(前列右から3人目)と交流し笑顔の子どもたち=小佐野コミュニティ会館

 

 合格後の初帰省。28日午前、小山さんは小佐野町の小佐野コミュニティ会館を訪れ、子ども将棋教室に特別参加した。将棋愛好家らでつくる「正棋会」が小佐野公民館と連携して企画する教室には小学生9人を含め20人ほどが集まっていて、「おめでとう」と拍手を添えて出迎えた。そして、時間を惜しむかのように、子ども3人が「六枚落ち」のハンデをもらって対局に挑んだ。

 

 対局後には「感想戦」も。勝負を振り返り敗因となった手などを語り合って、最善手を検討する時間だ。小山さんが「負けました」と発した一局。「完敗だった。金をとられたのが痛かった。いい手をとったね」と声をかけられた中澤朋哉君(釜石小4年)は照れ笑いした。棋士を目指す中澤君にとって、小山さんは夢を実現させた憧れの存在。ハンデありの勝ちは「うれしいけど、ちょっと悔しい。途中、勝ち!と思っていたら、怪しい技を繰り出してきて、ただじゃすまなかった。やっぱり、すごい。もっと強くならなきゃ」と刺激を受けた。

 

将棋愛好家や子どもらを相手に臨む「8面指し」=中妻地区生活応援センター

将棋愛好家や子どもらを相手に臨む「8面指し」=中妻地区生活応援センター

 

子どもも大人も小山さんとの勝負に熱中=中妻地区生活応援センター

子どもも大人も小山さんとの勝負に熱中=中妻地区生活応援センター

 

 午後は上中島町の中妻地区生活応援センターで指導対局。子どもや高齢の愛好家らを相手に真剣な表情で多面指しに臨んだ。小山さんに会うために山田町から駆け付けた斎藤稜平君(豊間根小3年)は「緊張してすごく疲れた。とても強かった。感想戦で攻めのことを教えてもらったから強化したい」と貴重な時間を楽しんだ様子。対局の喜びをかみしめるのは大人たちも同じで、「最高だ」と顔をほころばせていた。

 

市長を表敬訪問

 

野田市長(左から2人目)らと記念撮影する小山さん(中央)=釜石市役所

野田市長(左から2人目)らと記念撮影する小山さん(中央)=釜石市役所

 

 2つの指導対局の合間に、市役所の野田武則市長を訪ねて報告。4月から四段としてフリークラスに参戦する小山さんは「こんなに釜石の方が喜んだり応援してくださっていると改めて感じ、とてもうれしく思います。たくさんの声かけを力に勝利を重ねて少しでも早く突破できるよう頑張りたい」と力を込めた。

 

 同行した小山さんの父敏昭さん(60)、母聖子さん(60)は「諦めず夢をかなえた。試練はあると思うが応援してほしい」と望み、野田市長は「大きな偉業を成し遂げていただいた。勝利した瞬間から釜石の空気が明るい雰囲気に変わった。活躍が市民に元気と勇気を与える。厳しいことは多々あると思うが、市民が応援しているので頑張ってほしい」とエールを送った。

 

土橋さんらから贈られたネクタイを着用。同郷のアーティスト小林覚さんの作品「数字」がデザイン。「白星、数字を重ねて」との願いが込められている

応援への感謝と意気込みを伝える小山さん=釜石市役所

 

 幼少期の小山さんに将棋を教えた土橋吉孝さん(67)=日本将棋連盟釜石支部長=は「成長し、たくましくなった。余力があり、まだ伸びる。白星を稼いで上を目指してほしい。怜央はみんなの目標であり、将棋文化普及の力になる」と期待する。実際、小山さんの活躍により、子どもらの熱の高まりを感じていて、同支部では将棋教室の回数を増やす考え。コロナ禍で開催できずにいた市長杯も4月に予定する。

 

 自身も通った教室に今なお多くの人が集う様子をうれしそうに見つめる小山さん。「こんな、にぎやかな感じが続いていってほしい。子どもたちには、いろんな大会に出て経験を積んで頑張ってほしい。自分も勝負師なので、負けるのは悔しい。またチャレンジさせてください」。控えめながら、将棋にひたむきに向き合う姿勢が印象的だった。

 

応援への感謝と意気込みを伝える小山さん=釜石市役所

土橋さんらから贈られたネクタイを着用。同郷のアーティスト小林覚さんの作品「数字」がデザイン。「白星、数字を重ねて」との願いが込められている

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あふれる「SL銀河“愛”」ラストシーズンに一層胸熱く! 沿線で全国のファンらお出迎え

今シーズン運行初日、陸中大橋駅に到着したSL銀河=25日

今シーズン運行初日、陸中大橋駅に到着したSL銀河=25日

 
 2014年の運行開始以来、沿線住民をはじめ全国から訪れるファンを魅了し続けてきた「SL銀河」。その姿を愛してやまない人々は、ラストシーズンの運行開始を特別な思いで見つめた。25、26日の上下運行に、沿線各地では多くの人たちがカメラを構え、通過する列車に手を振った。
 
 25日、釜石市最西端の陸中大橋駅。列車到着の1時間前から待ちわびたのは紫波町の譽田貢司さん(53)家族。三女の朱菫さん(24)、禅太朗ちゃん(3)、すみれ子ちゃん(2)親子は、貢司さんお手製のSL銀河Tシャツと帽子、バッジを身に着け、SL愛をアピール。この日は花巻―新花巻駅間しか切符が取れず、1区間だけ乗車後、車で列車を追いかけてきた。興奮冷めやらぬ禅太朗ちゃんは「ぽっぽの音大好き。手を振ったの楽しかった」とにっこり。
 
 「SL銀河大好き!」譽田貢司さん(中央)家族

「SL銀河大好き!」譽田貢司さん(中央)家族

 
譽田さん手作りのSL銀河Tシャツ。2人のお孫さんのために帽子やバッジも作っちゃいました!

譽田さん手作りのSL銀河Tシャツ。2人のお孫さんのために帽子やバッジも作っちゃいました!

 
 「一般住宅の窓からも手を振ってくれる。外から来る人にも地元からもこんなに愛されている列車ってあるだろうか?釜石線の象徴がなくなるのは寂しい」と貢司さん。「せめて機関車だけでも胴体展示して、みんなが触れ合えるよう残してほしい」と願う。これまで全区間乗車を目指し、何度も挑戦してきたが夢はかなっていない。妻彩野さん(50)は「何とか6月までに…。すすまみれになりながら釜石の景色が見たい」と最後の望みをつなぐ。
 
 SL到着時刻が近づくにつれ、駅には続々と人が集まった。県外ナンバーの車も多数。「これが最後になるかなと思って…」。新潟ナンバーの車で乗り入れたのは、14年の試運転から追いかけているという高木亘さん(50)。「(終盤になって)混むと、思うように写真が撮れなくなりそうなので」と初日に駆け付けた。今シーズンでの運行終了に「とっても残念。客車の老朽化は仕方ないが、機関車はまだ使えそう。どこかで走ってくれたら」。SL撮影が趣味で全国に足を運ぶが、「勾配のある道のり、風光明媚な沿線はここならでは。季節によって見栄えが変わるのも大きな魅力」と語った。
 
 25日は駅以外でもSLを待つ人たちが多く見られた。野田町の踏切付近、小佐野駅近くの線路をまたぐ歩道橋では複数の人出があった。釜石駅周辺を見下ろす県道水海大渡線に集まった人たちのお目当ては、駅手前の甲子川橋梁を渡るSL。写真や映像を熱心に撮影する人たちが並んだ。
 
甲子川橋梁に近づくSL銀河(左)と高台の県道水海大渡線でカメラを構える人たち(右)

甲子川橋梁に近づくSL銀河(左)と高台の県道水海大渡線でカメラを構える人たち(右)

 
釜石駅手前の甲子川橋梁を進む姿は圧巻!汽笛の音とともにファンを魅了

釜石駅手前の甲子川橋梁を進む姿は圧巻!汽笛の音とともにファンを魅了

 
 大渡町の女性(85)は同県道が日課の散歩コース。テレビのニュースで花巻駅出発の様子を目にし、釜石駅到着時刻に合わせ自宅を出てきた。「汽笛の音だけでもいいもんね~。いつもあの辺で2、3回鳴らすんだ」。被災した釜石に元気をくれたSLに感謝。「もうちょっと走ってくれるといいんだけど。機械のことだから分からないもんねぇ」。最後の運行まで、その姿にエネルギーをもらうつもりだ。
 
雨にぬれながら、緩やかな坂道を上る=甲子町大橋、26日上り

雨にぬれながら、緩やかな坂道を上る=甲子町大橋、26日上り

 
 26日は雨がっぱ姿の“撮り鉄”らが防水対策をした撮影機材で待機。水にぬれ、一層黒光りする蒸気機関車の車体を記録した。14年の試運転以来、毎月1、2回は撮影に来ているという神奈川県横浜市の加辺晃さん(55)。夜行バスと一番列車を乗り継ぎ、沿線に足を運ぶのも10年目となった。写真と映像の“二刀流”。釜石市内の撮影ポイントも熟知していて、この日は桜木町でカメラを構えた。
 
左:春の花々もラストシーズンに彩りを添える=桜木町/右:陸中大橋駅出発直後のSL銀河(ともに26日)

左:春の花々もラストシーズンに彩りを添える=桜木町/右:陸中大橋駅出発直後のSL銀河(ともに26日)

 
 「SL銀河は坂道が多く、煙が多いのがいい。そういう所は人も多く集まる」と加辺さん。沿線に仮設住宅が立ち並ぶころから、復興に向かうまちの様子も目にしてきた。「高速道路ができたり街並みも変わってきたが、まだ復興途中なのだろう。この10年、SL運行が地元の力になってきたのは外から来ても感じている。いつかは終わるとは思っていたが…、ちょっと早いかな」。それでも最後までその雄姿を見届けるつもり。「来月は2回来ます」と声を弾ませた。

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駆け抜けろ!ラストシーズン SL銀河、10年目の運行スタート 釜石駅でも歓迎

最終シーズンの運行が始まったSL銀河。釜石駅周辺でも多くの人が出迎えた=25日

最終シーズンの運行が始まったSL銀河。釜石駅周辺でも多くの人が出迎えた=25日

 
 東日本大震災後の沿岸被災地を活気づけようと、JR釜石線(花巻―釜石駅間、90.2キロ)を走る観光列車「SL銀河」のラストシーズンが始まった。25日の釜石駅ホーム。「おかえり。今年もありがとう」とたくさんの笑顔が出迎えた。見送りの26日はあいにくの雨模様にもかかわらず、駅ホームはもちろん沿線にも多くの鉄道ファンらの姿。2日とも全区間で176席がほぼ満席で、「全区間乗りたい」「残りわずかなシャッターチャンスを逃すまい」と、さまざまな熱気が運行を終える6月上旬まで続く。
 
 SL銀河は、JR東日本盛岡支社が観光面からの復興支援、地域活性化を目的に、2014年4月12日に運行を開始。盛岡市の岩手県営運動公園内の交通公園に展示保存・復元した蒸気機関車「C58形239号機」と、花巻市の童話作家・宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を題材にした客車が人気を呼ぶ。春から初冬の土日を中心に約480本を運行し、約7万人が乗車。被災地の観光客増に一役買っていたが、客車の老朽化などから定期運行を終える。
 
客席はほぼ満席で、釜石駅ホームは家族連れらであふれた=25日

客席はほぼ満席で、釜石駅ホームは家族連れらであふれた=25日

 
 25日は花巻発釜石行きの運行。終点の釜石駅(釜石市鈴子町)では大漁旗が揺れる中、列車がホームに滑り込んだ。郷土芸能・虎舞の出迎えに感激したのは陸前高田市の岸浩子さん(66)。物語の世界観が広がるプラネタリウム、「ガタゴト」という揺れなど独特の鉄道旅に「テンション上がりまくり。病みつきになる」と目を輝かせた。初乗車の藤田幸子さん(56)も一緒に祭り気分を満喫。3回目で全区間通して乗車する機会を得た菅野光江さん(70)は「駅関係者の熱意を感じ、ジーンとくる。手を振ってくれる住民、カメラマンの姿を見るのも楽しい。夏の風景を見ることができないのが心残り」としみじみ語る。それでも3人は最終列車への乗車を計画中。「また会いましょう」と笑顔を残した。
 
 毎週末、釜石に観光客を連れてきたSL銀河。沿線では歓迎、見送りといったおもてなしに励んできた。運行開始に合わせ、釜石観光物産協会はホタテ稚貝汁をお振る舞い。虎舞のお出迎え、住民による小旗振りは毎週末に継続し、5月の大型連休には駅前で春まつりを予定する。佐々木一伸事務局次長(52)は「ありがとう―を込めて最後まで応援したい」と思いを込める。
 
転車台での回転作業も多くの人が見つめた=25日

転車台での回転作業も多くの人が見つめた=25日

 
 やっぱり煙だな、SLは―。そう話すのは、只越町の鈴木哲さん(74)。津波での被災、続く避難生活で「何かやることを」と考え手にしたのが、カメラだった。SLの運行が始まると、力強く走る姿に励まされた。頑張る姿に自身を重ね、運行日に合わせてシャッターを押した。「外に出るきっかけを作ってくれた。引退に寂しさを感じるが、最後まで目に焼き付けたい。そして、記録として残したい」。追っかけ生活を続ける。
 
駅長や機関士らと触れ合ったりSL旅を満喫する親子=25、26日

駅長や機関士らと触れ合ったりSL旅を満喫する親子=25、26日

 
 26日の釜石駅も花巻行きの列車を見送ろうと多くの人でにぎわった。盛岡市の川村瑠成(りゅうせい)さん(上田中2年)は48回目の乗車。前日もSLで釜石入りし、一度自宅に戻って再来した、つわものだ。「人との出会いが楽しい」と飽きはなく、今季も乗車回数を重ねるつもり。「なくなってほしくないけど…安全で楽しくラストを迎えてほしい」と見守る。
 
SLをバックに記念写真(写真左)。SL乗車48回目の川村さん(同右)=26日

SLをバックに記念写真(写真左)。SL乗車48回目の川村さん(同右)=26日

 
雨模様にもかかわらず多くの人が見送り(写真左)、それに応える機関士(同右)=26日

雨模様にもかかわらず多くの人が見送り(写真左)、それに応える機関士(同右)=26日

 
 10年目となる今季の運行は土日を中心に上下計24本を予定する。最終定期運行は6月3日(釜石行き)と4日(花巻行き)。10、11日の旅行商品専用の団体臨時列車が最後の運行となる。
 
 同支社ではラストを盛り上げるためプロジェクトを立ち上げ、多彩なイベントを展開している。もてなしに協力してもらおうと、沿線5市町の新小学1年生にオリジナル手旗をプレゼント。釜石市内では約190人に配られる予定で、釜石駅の髙橋恒平駅長は「いつでもどこでもSLを見かけたら笑顔で小旗を振って、応援してもらえたらうれしい」と期待する。また、同駅では運行日に合わせ改札内通路に夜空をイメージしたイルミネーションを点灯している。
 
SL銀河オリジナル手旗(写真左)と釜石駅改札内通路のイルミネーション(同右)=26日

SL銀河オリジナル手旗(写真左)と釜石駅改札内通路のイルミネーション(同右)=26日

DAZN presents いわてグルージャ盛岡 パブリックビューイング 福島ユナイテッドFC戦

DAZN presents いわてグルージャ盛岡 パブリックビューイング 福島ユナイテッドFC戦

 DAZN presents いわてグルージャ盛岡 パブリックビューイング 福島ユナイテッドFC戦

 

\ いわてグルージャ盛岡を一緒に応援しよう! /

 

DAZN Presents パブリックビューイング in 釜石PIT
いわてグルージャ盛岡の応援企画として、アウェイ戦を中心にパブリックビューイングを開催します!少数ですがグッズ販売もあります!

対象試合

2023明治安田生命J3リーグ 第5節
いわてグルージャ盛岡 vs 福島ユナイテッドFC(AWAY)

日時

2023年4月2日(日) 14:00 キックオフ
開場 13:40

場所

釜石PIT(岩手県釜石市大町1-1-10)

参加費(運営協力費)

大人300円、高校生以下無料
※運営協力費は、本パブリックビューイング開催のための運営費の一部として使用します。会場にてお支払いをお願いします。

その他

・入場時は検温および手指消毒をお願いします
・観戦時のお食事はできません
・大声を出しての声援はお控えください

主催

釜石まちづくり株式会社

フェリアス釜石

釜石まちづくり株式会社

釜石まちづくり株式会社(愛称 フェリアス釜石)による投稿記事です。

問い合わせ:0193-22-3607
〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-10 釜石情報交流センター内 公式サイト

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林野火災の空中消火を想定 釜石市で消防・県防災ヘリ隊員が合同訓練 空と陸の連携強化へ

釜石大槌消防本部と県防災ヘリコプターによる林野火災対応訓練=22日

釜石大槌消防本部と県防災ヘリコプターによる林野火災対応訓練=22日

 
 釜石大槌地区行政事務組合消防本部(大丸広美消防長)は22日、県防災航空隊と合同で林野火災対応訓練を行った。防災ヘリコプターによる空中消火を想定し、給水を行う地上部隊の資機材の取り扱い、ヘリとの無線交信、実際の散水などを行い、早期鎮圧・鎮火のための連携を確認した。空気の乾燥、入山機会の増加などで山林火災が発生しやすい春を迎えるのを前に実施した。
 
 訓練は釜石市片岸町の片岸公園を拠点に行われ、両機関から約40人が参加。地上部隊は釜石消防署の若手署員らが訓練に臨んだ。同航空隊が運用する防災ヘリ「ひめかみ」が到着すると、隊員らが空中消火に使用する消火バケットの組み立て方を署員に説明。重さ80キロのバケット(容量1200リットル)を署員らが2つ組み立て、待機していた水槽車からホースで給水した。
 
県防災航空隊の隊員が空中消火で使う資機材の扱い方を説明

県防災航空隊の隊員が空中消火で使う資機材の扱い方を説明

 
消火バケットの組み立てを体験する釜石消防署の署員ら

消火バケットの組み立てを体験する釜石消防署の署員ら

 
水槽車からホースを引いてバケットに給水する訓練

水槽車からホースを引いてバケットに給水する訓練

 
 今回はバケットに500~700リットルの水を積み、鵜住居川で6回散水。地上部隊は人員を入れ替えながら一連の作業を体験した。地上の指揮隊はヘリとの無線交信訓練を行った。県内では昨年、空中消火の水が地上で活動する消防団員にあたり大けがをする事故があり、空中と地上の連携強化を念頭に訓練した。消防長ら現場指揮者が搭乗しての上空偵察訓練も行った。
 
ヘリコプターから降ろしたワイヤーにバケットを装着し、つり上げる

ヘリコプターから降ろしたワイヤーにバケットを装着し、つり上げる

 
地上の指揮隊はヘリとの無線交信訓練も行った

地上の指揮隊はヘリとの無線交信訓練も行った

 
この日の訓練では鵜住居川に散水。釜石の隊員らは広範囲に対応可能な空中消火への理解を深めた

この日の訓練では鵜住居川に散水。釜石の隊員らは広範囲に対応可能な空中消火への理解を深めた

 
 ヘリを誘導するマーシャルを担当した釜石署の消防士・大津果穂さん(22)は防災ヘリとの訓練は初めての経験。「安全管理の重要性を再認識した。一つ一つの訓練を大切にして、学んだことを自分の業務に生かしたい」と気を引き締めた。
 
 県内各地の消防機関から派遣された隊員10人で編成する県防災航空隊には、2021年度から釜石大槌消防本部の佐藤友伍さん(39)が所属。本年度から副隊長を務めている(同本部初)。今回の訓練で地元の消防隊員には「空中消火の有効性を理解し、ヘリ特有の緊迫感、強風と騒音下での活動を体感してもらいたかった」といい、両者の連携強化に手応えを実感。航空、地上の両部隊が活動を共にする現場では「相互の活動を理解し、情報共有や活動調整を行う必要がある」とした。
 
 同市では2017年5月に尾崎半島で発生した大規模林野火災以降、山林火災は起きていない。大丸消防長は「誰でも現場作業にあたれるよう、訓練で経験を積むことが大事。新しい職員も今日はしっかり訓練できていた」とコメント。これから山林火災が発生しやすい季節を迎えることから、一般市民に向けても「山に入って火を使うことは極力避け、入山前後にも十分気を付けてほしい」と火災防止への協力を願った。
 
 市内では今年に入り4件の建物火災が発生している。家庭や職場でも今一度、火の元の確認を十分に行うことが必要だ。

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釜石SW レギュラーシーズン最終戦も勝利ならず 4月22日の順位決定戦は再び江東と

今季2回目の対戦「釜石SW―江東」=19日

今季2回目の対戦「釜石SW―江東」=19日

 
 NTTジャパンラグビーリーグワン2部の釜石シーウェイブス(SW)RFCは19日、釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムで清水建設江東ブルーシャークスと対戦し、26―35(前半14―22)で敗れた。26日の日野レッドドルフィンズ戦が相手の不祥事で不戦勝となったため、2勝8敗勝ち点9(5位)でレギュラーシーズンを終えた。4月22日の4~5位順位決定戦で再び江東と対戦する。
 
 ホームでの今季勝利をかける釜石、実戦での初勝利を目指す江東。先制したのは釜石だった。前半2分、けがから復帰し3試合目の出場となったCTBヘルダス・ファンデルボルトが今季初トライ(ゴール成功)。チームを勢いづけるも、その後はディフェンスミスなどで江東に3トライを許した。釜石の追加点は33分。敵陣ラインアウトを起点に、ファンデルボルトが力強い突破で22メートルまで運び、すぐさま右に展開。外側に1人余す余裕で最後はフルバック片岡領が決めた(ゴール成功)。
 
前半2分、先制トライを決めるヘルダス・ファンデルボルト(中央)

前半2分、先制トライを決めるヘルダス・ファンデルボルト(中央)

 
前半33分、片岡領(左)が抜け出しSW2本目のトライ。7点差に詰め寄る

前半33分、片岡領(左)が抜け出しSW2本目のトライ。7点差に詰め寄る

 
片岡領のナイストライに喜びの大漁旗がはためく

片岡領のナイストライに喜びの大漁旗がはためく

 
 8点差で追う釜石は後半、継続したアタックは見せるもハンドリングエラーなど大事な場面でのミスが出て、なかなかトライまで持ち込めない。江東のPG、トライでさらに点差を広げられた。25分以降、8選手を入れ替え。33分には敵陣5メートル手前のスクラムから粘り強く攻め続け、フランカー河野良太が相手の隙を突いてトライ。39分には途中出場のフランカー、セタ・コロイタマナのトライ(ゴール成功)で追い上げたが、差は埋められず、26-35で敗れた。
 
後半33分、河野良太(手前)のトライで追加点

後半33分、河野良太(手前)のトライで追加点

 
 試合後の記者会見。「細かいミスとペナルティーで崩してしまった印象。取り急いでしまった」とWTB小野航大主将。ディフェンスがうまくいかなかった要因として「ゲインラインを越えられ、ネガティブなフェーズになってからのタックルが多かった。接点でもっと戦わないといけない」と修正点を見据えた。
 
 レギュラーシーズンを終え、須田康夫ヘッドコーチは「昨季よりトライ数、得点能力は飛躍的に改善したが、ディフェンスはまだ課題が残る。最終的にどこで取り返し、どう取り切るかという部分で、プレー選択の明確な意図が必要」と総括。順位決定戦で勝利して1つ順位を上げ、3部との入れ替え戦に臨めるよう、1カ月間しっかり準備を進めていくことを誓った。

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大震災かまいしの伝承者 9歳小学生・佐々木智桜さんが初仕事 教えられたことをみんなにも「命さえあれば良いんだよ」

「大震災かまいしの伝承者」として初仕事に臨んだ佐々木智桜さん

「大震災かまいしの伝承者」として初仕事に臨んだ佐々木智桜さん

  
 釜石市鵜住居町の津波伝承施設「いのちをつなぐ未来館」で19日、東日本大震災の体験や教訓を語り継ぐ「大震災かまいしの伝承者」として、鵜住居小3年の佐々木智桜(ちさ)さん(9)が“初仕事”をした。「命が一番大事。何も持たなくていいから、とにかく逃げて」。市内で最年少の伝承者・智桜さんは大きな声でそう訴えた。
  
 この伝承者の制度は市が2019年度に始め、研修を受けた人を認定している。智桜さんは、未来館に勤める母の智恵さん(40)と昨年12月に受講。地震や津波のメカニズム、釜石で震災時に起きたことを学び、2人で伝承者となった。現在74人が認定されているが、震災後生まれは智桜さんだけだという。
  
 智桜さんは偶然にも、2014年3月11日生まれ。3年前の同じ日、祖母と伯母が津波の犠牲になった。5歳まで仮設住宅で暮らし、家族や近所の人たちから体験を聞いたり、震災は身近だった。そして昨年の冬頃、智恵さんが未来館で働き始めたことも「伝承者になりたい」との気持ちを大きくした。「自分でも伝えてみたい」
  
本番を前に先輩語り部の川崎さん(右)に進め方を確認する智桜さん(中)

本番を前に先輩語り部の川崎さん(右)に進め方を確認する智桜さん(中)

  
「命が一番大事」。原稿につづった伝えたいことを読み上げる智桜さん(左)

「命が一番大事」。原稿につづった伝えたいことを読み上げる智桜さん(左)

  
 この日は、未来館職員で語り部の川崎杏樹(あき)さん(26)の質問に答える形で、用意してきた原稿を読み上げながら伝承者になった理由や災害の時に気を付けてほしいことを伝えた。
  
 「たくさんの人に分かりやすく伝えたい。命が一番大事だということ。逃げるのが遅くなると命を無くしてしまうかもしれないから、早く行動してほしい」
「地震が起きた時は何も持たなくていいから、とにかく逃げて。命さえあれば良いんだよ、とお父さんに教えてもらっています。みんなにも伝えたい」
  
 来場者に、はきはきとした元気な口調で伝えた智桜さん。川崎さんに目標を聞かれると、「震災は自分が生まれる前のことなので、もっとくわしく勉強したい。英語でも伝えられるようになりたい。別の国の人にも津波のことを教えたいです」と前を向いた。
   
 智桜さんの話を聞いた鵜住居小6年の千葉心菜(ここな)さん(12)は「自分より年下なのに…すごい。防災学習を真剣にやっていると思った。見習いたい。いざという時に周囲に声をかけて命を救えるよう努力したい」と刺激を受けていた。
  
来場者は智桜さんの語り部にじっくりと耳を傾けた

来場者は智桜さんの語り部にじっくりと耳を傾けた

  
智桜さんも、智恵さんの読み聞かせをじっと見つめた

智桜さんも、智恵さんの読み聞かせをじっと見つめた

  
 今回の語り部は、未来館を含めた三陸鉄道鵜住居駅前の公共施設「うのすまい・トモス」の開館4周年イベントに合わせて実施。震災当時釜石小に勤めていた及川美香子さん(現釜石・双葉小校長)が釜小の防災教育について、智恵さんは釜石の子どもたちの避難行動を題材にした絵本「はしれ、上へ!」の読み聞かせを行い、智桜さんは先輩伝承者たちの姿をじっと見つめ、伝え方を学び取っていた。
   
「緊張したけど、ちゃんと伝えられた」と笑顔を見せる智桜さん

「緊張したけど、ちゃんと伝えられた」と笑顔を見せる智桜さん

   
 初仕事を終えた智桜さんに出来を聞いてみると、「100点満点」と明るい笑顔が返ってきた。「人の心に残るような文を入れられる語り部になりたい。(聞いた人に)防災意識をもっと高めてもらいたいなあ」とも。智恵さんは「心配したけど、大きい声を響かせて、しっかりと伝えられていた。それでもまだ勉強不足。智桜が伝えたい、続けたいという思いを持ち続ける限り尊重したい。2人で頑張っていこうね」と見守った。
  
出番を終え、友達と遊ぶ智桜さん(左)。明るい笑顔が印象的

出番を終え、友達と遊ぶ智桜さん(左)。明るい笑顔が印象的

 

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コロナ禍脱却へ「釜石の歴史を学ぶ会」活動再開 郷土資料館・津波企画展を見学

学習会を再開した「釜石の歴史を学ぶ会」の会員ら=18日、市郷土資料館

学習会を再開した「釜石の歴史を学ぶ会」の会員ら=18日、市郷土資料館

 
 市民活動グループ・釜石の歴史を学ぶ会(柴田渥代表、20人)が、新型コロナウイルス禍で休止していた活動を再開。18日、釜石市鈴子町の市郷土資料館(藤井充彦館長)で開催中の企画展「先人に学ぶ復興―昭和三陸地震津波から90年」を見学し、同市の津波災害と復興の歴史に理解を深めた。新年度から月1回の定例学習会を復活させる予定で、会員らは学びへの意欲を高めている。
 
 同会は2016年5月から活動。幅広い分野で郷土の歴史を学ぼうと月に1回集まり、郷土資料館での学習、市内の史跡見学、専門家の講話などで知識を深めてきた。コロナ禍で会員が集まっての学習を控えていたが、感染症も収束傾向にあることから活動再開を決めた。
 
市郷土資料館で開催中の企画展を見学する会員ら

市郷土資料館で開催中の企画展を見学する会員ら

 
 18日は12人が参加。郷土資料館の津波企画展を見学し、同館の佐々木寿館長補佐から話を聞いた。話題に上ったのは、釜石・大槌の津波記録文献の復刻を手掛け、防災教育にも取り組んだ故上飯坂哲さん(2009年逝去、享年71)の功績について。
 
 小学校教諭だった上飯坂さんは大槌町の吉里吉里小校長在職中に、1896(明治29)年の大津波について当時の校長が記した記録の存在を知り、子どもたちにも読ませたいと復刻に取り組んだ。退職後に務めた釜石市の鵜住居公民館長時代には、市内各地に残る津波資料の文献を次々に復刻。2005年に同公民館長を退任後、津波防災の重要性を伝えたいと、自身の考えをまとめた「津波てんでっこ考」を執筆、自費出版した。後に釜石東中から津波講話の依頼があり、これを機に子どもたちに教える活動も始めた。
 
上飯坂哲さんが書いた「津波てんでっこ考」を紹介する佐々木館長補佐(右)。企画展では上飯坂さんが復刻した複数の津波記録誌も展示(左)

上飯坂哲さんが書いた「津波てんでっこ考」を紹介する佐々木館長補佐(右)。企画展では上飯坂さんが復刻した複数の津波記録誌も展示(左)

 
 2011年の東日本大震災発生時には、釜石東中、鵜住居小の児童生徒が率先した避難行動で迫り来る大津波から逃れ、自らの命を守った。「上飯坂さんの活動は釜石の津波防災教育のはしり。残した功績は非常に大きい」と佐々木館長補佐。震災後、同著に関する問い合わせも多数あったという。市教委は14年に、上飯坂さんの家族の協力を得て同著の復刻版を発行している。
 
 学ぶ会の柴田代表(76)は「地元に住んでいてもまだまだ知らないことは多い」と実感。こうした学びの機会は新たな気付き、古里への興味を引き出すきっかけにもなるといい、「細く長く活動を続け、若い世代にも何か刺激を与えられたら」と生涯学習への意欲を示した。
 

昭和の三陸大津波から90年― 先人の復興を学ぶ 郷土資料館で5/7まで企画展

 
郷土資料館企画展「先人に学ぶ復興―昭和三陸地震津波から90年」

郷土資料館企画展「先人に学ぶ復興―昭和三陸地震津波から90年」

 
 昭和と平成の時代に三陸を襲った大津波はくしくも同じ3月の発生。市郷土資料館が毎年この時期に開催する津波に関する企画展では、さまざまな視点で同市が受けた津波災害の歴史を掘り下げている。今回は「先人に学ぶ復興」をテーマに、発生から90年となる昭和の津波の被害状況や復興の歩みにスポットを当てた。
 
 1933(昭和8)年3月3日午前2時31分に起こった昭和三陸地震津波。本県沖を震源とするマグニチュード8.1の大地震が発生し、その後の津波で3千人以上が犠牲となった。市内で被害が大きかったのは釜石町嬉石・松原、唐丹村本郷、鵜住居村両石(町村=当時)。ほとんどの家屋が流失し、本郷では人口の半分以上が犠牲となった。
 
被災の惨状をいち早く伝える当時の新聞=郷土資料館所蔵

被災の惨状をいち早く伝える当時の新聞=郷土資料館所蔵

 
 驚くのは当時の復興の速さ。1カ月後、中心市街地にはバラックの建物が建ち始め、漁港も応急修理が施された。翌34(昭9)年には釜石港が東北最初の国際港として開港し、税関支署などの諸官庁が設置されていった。釜石町は人口が4万人を超えた37(昭12)年、県内で2番目に市制を施行。釜石製鉄所繁栄の勢いがまちの復興を後押ししていったと考えられる。
 
昭和9年1月に開港した釜石港の1周年を記念して発行された絵はがき。復興した魚河岸付近を撮影した写真が印刷される

昭和9年1月に開港した釜石港の1周年を記念して発行された絵はがき。復興した魚河岸付近を撮影した写真が印刷される

 
 企画展では当時の小学校が中心となって残した記録集(故上飯坂哲さん復刻)を基に、各地の被害状況を写真やパネルで伝える。発災直後の新聞記事、唐丹村役場の救助者名簿、復興工事に関わる契約設計書も。港近くの復興後の街並み写真が印刷された釜石港開港記念の絵はがき、市制施行の稟議書や記念品なども並ぶ。企画展は5月7日まで(火曜日休館)。

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やりたいこと、実現!「かまっこまつり」準備中 釜石の子どもたち「来てー!」

手製のチラシを手に「かまっこまつり」をPRする子どもたち

手製のチラシを手に「かまっこまつり」をPRする子どもたち

 
 釜石市の子どもたちが中心となって企画する「かまっこまつり」が25日、大町の釜石PITで開かれる。自らアイデアを出し合い、準備から運営まで行う祭りは9回目。手作り雑貨や遊びの出店、ステージ発表などで市民をもてなす。今回は6歳~高校生約30人がスタッフに応募。昨年11月下旬から作戦会議、準備を重ねている。本番を1週間後に控えた18日に大町の青葉ビルで進められた作業をのぞいてみた。
 
 商品の袋詰めや店の看板づくり…。この日は、小中学生と保護者、大人スタッフら15人ほどが集まった。手製のスノードームなどを売り出す「なんか屋」チームの櫻井真衣さん(双葉小5年)は「ものづくりが好きだから楽しい」と手際よく作業。同級生の大井虹色(なな)さんは「春休みは暇だから。いつもと違ったことができるのかなと楽しみ。とにかく、買ってもらえたらよし!」と、せっせと手を動かしていた。
 
スノードームを作ったチーム。販売に向け袋詰めや飾り付けを進める

スノードームを作ったチーム。販売に向け袋詰めや飾り付けを進める

 
看板に描くイラストを考えたり、ダンスの振り付けを確かめたり…大忙し

看板に描くイラストを考えたり、ダンスの振り付けを確かめたり…大忙し

 
 他にもスライムづくりや宝探しゲーム、運動遊びコーナーなどが並ぶ予定。子どもたちは「ルールを考えるのが楽しい」「作り方を知りたいからやってみた」と生き生きした表情でもてなしの準備を進めている。チラシをつくって青葉ビル周辺の住民に配布。宣伝にも力を発揮する。
 
祭り限定の仮想通貨「かまっコイン」。みんなで丁寧に切り取り中

祭り限定の仮想通貨「かまっコイン」。みんなで丁寧に切り取り中

 
 そして祭りの特徴の一つが、限定の仮想通貨。今回の「かまっコイン」は、釜石の海と夕日がデザインされている。考えたのは松田桃さん(鵜住居小2年)。「きれいだと思ったから描いた。優しい気持ちで使ってほしい」とはにかんだ。来場者は受付で仮想通貨をもらって買い物や遊びを満喫。通貨を使い切ったら、各ブースで運営を手伝う“アルバイト”をして報酬の通貨を得る仕組みも楽しみどころだ。
  
「25日にやります。来てください」。チラシを配って呼びかけも

25日にやります。来てください」。チラシを配って呼びかけも

  
 釜石まちづくり株式会社が主催。祭りは東日本大震災後の子どもの居場所づくりを目的に「放課後子ども教室」を運営する市民団体が2013年に始めた。子どもたちのやりたいことを実現させ、地域の人たちとの出会いを促すのを目指し、本年度から同教室の運営を担う同社が取り組みを引き継いだ。
  
 これまで会場にしてきた鵜住居地区を飛び出し、市中心部に乗り込んで初開催。隣接する市民ホールTETTO前広場では、何でも100円で買えるフリーマーケット「かまいし百円市」(同社主催)も予定され、楽しさ倍増で街中ににぎわいを生み出す。同教室事業に長年携わる同社の岩城一哉さん(36)は「子どもたちが時間をかけて作り上げる成果を見てほしい。そして交流することで、互いに声がかけやすい関係づくり、発見や学び合うきっかけになれば」と来場を呼びかける。
 
 かまっこまつりは正午~午後3時まで。同時開催の百円市は同14時半まで楽しめる。
 

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新設のSMC釜石第5工場 4月から本格操業 雇用拡大、地域経済活性化に期待

4月から本格操業を開始する「SMC釜石第5工場」=釜石市岩井町

4月から本格操業を開始する「SMC釜石第5工場」=釜石市岩井町

 
 空気圧制御機器製造で世界首位のSMC(髙田芳樹社長、本社・東京都千代田区)が国内生産拠点の一つ、釜石市に新工場を建設。4月から本格的に操業を開始する。同市の誘致企業として30年以上の実績がある同社釜石工場。今回の工場新設は国内外の需要増に対応し生産拡大を図るためのもので、同市では5番目の工場となる。順次雇用を増やし、2026年ごろまでに外国人を含む約600人の就労を目指す。
 
 釜石第5工場は第2工場に隣接する形で岩井町に建設。敷地面積は2万6317平方メートル。建物は鉄骨造り2階建てで、工場棟2棟に事務所と食堂を備える。延べ床面積は2万6970平方メートル。既存工場で手掛けてきた電磁弁部品、空気圧補助機器、管継手(かんつぎて)を製造する。
 
 新工場稼働に伴い、中途採用、パートを含む人員確保を進めている。特定技能外国人労働者の雇用も予定。釜石工場では現在、ベトナム、インドネシア、中国出身者ら約50人が就労しており、今後約200人にまで増員する計画。即戦力として期待される。
 
緑のインテリアで彩られた2階の事務所スペース

緑のインテリアで彩られた2階の事務所スペース

 
食事も提供する2階の食堂。室内には自社製品の焼結濾過体を使った照明器具も設置(左下写真)

食事も提供する2階の食堂。室内には自社製品の焼結濾過体を使った照明器具も設置(左下写真)

 
食堂は大型テーブル席のほかソファー席なども

食堂は大型テーブル席のほかソファー席なども

 
 同社の主力製品・空気圧制御機器は、工場の生産ラインなどの自動化に欠かせないもので、自動車や半導体、食品製造をはじめ、あらゆる産業で使われる。日常生活でなじみのあるものではガソリンスタンドの洗車機、バスの開閉扉、歯科医の治療機器―などに組み込まれ、さまざまな装置の自動化を可能にする。同分野の国内シェア65%、世界シェアも40%弱とトップを誇る。
 
 近年では世界的な脱炭素化の動きにも対応する。消費電力、二酸化炭素排出量削減に貢献する省エネルギー製品を開発、設計し、各種産業界に提案。今後、さらなる需要増が見込まれる。
 
 同社の国内生産拠点は埼玉県草加市、茨城県常総市など関東以北に6カ所。海外は約30の国と地域に工場を持つ。釜石市では1991年に第1工場(上中島町)が操業。2000年には第2工場(岩井町)と第3工場(甲子町坪内)、01年には第4工場(甲子町松倉)が設置された。当初50~100人ほどだった従業員は現在、1~4工場合わせ約1500人にまで増え、同市を代表するものづくり企業として内外に認知される。釜石工場では部品製造から組み立て加工まで、製品の一貫生産を行っている。
 
 浦島勝樹釜石工場長は第5工場操業にあたり、「市内の雇用機会創出など、より一層地域に貢献できる工場を目指したい。当社では2026年の全体売り上げ1兆円を目標に掲げる。釜石工場としても人員を確保しながら生産能力を高め、目標達成の一翼を担えれば」と意を強くする。
 
 野田武則釜石市長は「SMCは今では、三陸沿岸地域の産業と雇用を支える県内有数の事業所となった。今回の釜石第5工場の稼働が、地域の雇用や経済振興に大きく寄与することを期待している」とのコメントを寄せた。
 
 同社では今回、需要増への対応として釜石市のほか、本県遠野市、茨城県下妻市の拠点にも新工場を設置している。

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命を守る教育 本と追体験で発信 全児童津波逃れた釜石小・卒業生ら 防災教育大賞受賞

野田武則市長(左)に受賞を報告した加藤孔子さん(中)と寺田恵美子さん

野田武則市長(左)に受賞を報告した加藤孔子さん(中)と寺田恵美子さん

 
 東日本大震災時、釜石小児童は学校管理下になかったものの、各自の判断で津波から逃げ、184人全員が助かった。なぜ命を守れたのか―。児童らの避難行動や判断する力となった同校の防災教育をまとめた伝承本をつくってみた。あの時の避難経路を、震災を知らない子どもたちとたどる活動もやってみた…。同校の卒業生と当時の教職員有志でつくる「2011team(チーム)釜石小ぼうさい」(加藤孔子代表)が、体験を風化させまいと取り組みを進めている。こうした次世代につなぐ活動が評価され、「防災教育チャレンジプラン」(内閣府など主催)で2022年度の防災教育大賞を受賞した。
 
 全国12団体が取り組む中、2月11日にウェブ報告会が開催され、最高賞に選ばれた。震災発生時に同校の校長だった加藤さん(65)と、統括地域コーディネーターとして同校で活動する寺田恵美子さん(60)が3月17日に釜石市役所の野田武則市長を訪ね、受賞を報告した。
 
伝承本「このたねとばそ」を紹介する加藤さん(左)と寺田さん

伝承本「このたねとばそ」を紹介する加藤さん(左)と寺田さん

 
 チーム釜小は昨夏、同校の防災教育を全国に発信し未来に残すため、伝承本「このたねとばそ」(A4判、83ページ)を製作した。▽08年に始めた下校時避難訓練などの防災教育▽あの日、自己判断で避難した児童の証言▽震災直後に学校再開に奔走した教職員の対応-などの詳細を記録。市内の小中学校に届けたほか、加藤さんが名誉館長を務める鵜住居町の「いのちをつなぐ未来館」でも限定配布した。
 
 そして、大津波を生き抜いた同校卒業生が当時の避難行動を語り、小学生に実際に体験してもらうフィールドワークも実施。話を聞いた小学生に、避難の判断ができた理由や自分たちにできることを話し合ってもらったりした。震災を経験していない世代が増える中、子どもたちに学びや気付きという“たね”を植え付ける機会にした。
 
昨年8月に行った震災伝承フィールドワーク

昨年8月に行った震災伝承フィールドワーク

 
釜小卒業生の話を聞いて児童が話し合う活動も

釜小卒業生の話を聞いて児童が話し合う活動も

 
 加藤さんは「大変な津波を生き抜いた子どもたちの判断、行動を何とかして発信したかった。思いがけない受賞で、すごく驚いた。種が全国に飛んだのかな…。受賞もまた発信になる。震災を知らない人たちに語り継ぎ、バトンをつないでいきたい」と意欲を強めた。
 
 野田市長は「年数がたつと風化するが、きちんと次の世代につなげなければいけない。学校現場や社会の中で頑張り、取り組みの裾野を広げてほしい」と期待した。

 

第3回 かまいし百円市

第3回 かまいし百円市

第3回 かまいし百円市
 
売ってる商品はぜ~~んぶ100円の『かまいし百円市』を開催します。
リユース可能な衣類や子供用品、持て余したお中元や引き出物、ハンドメイド作品、まだまだ使えるおもちゃ、趣味やコレクションの品・・・など、全て100円のフリーマーケットです!
合言葉は「100円握ってお宝さがし!」
 
第3回 かまいし百円市チラシ(3.6MB/PDF)

 

トルコ・シリア地震のチャリティとして、募金箱を設置のうえ出店料の一部と合わせて寄付させていただきます。

日時

2023年3月25日(土)12:00~14:30

場所

釜石市民ホールTETTO・ホール前広場

販売商品

<出店にあたって示している一例>
・リユース可能な衣類や子供用品
・持て余してしまったお中元や引き出物の中身
・まだまだ使えるおもちゃ
・ハンドメイド作品
・ハンドメイドやDIYの素材
・趣味やコレクションの品
・端数が残ってしまったパック商品
・ダブったガチャガチャ
など

主催・お問合せ

釜石まちづくり(株)
TEL 0193-22-3607

フェリアス釜石

釜石まちづくり株式会社

釜石まちづくり株式会社(愛称 フェリアス釜石)による投稿記事です。

問い合わせ:0193-22-3607
〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-10 釜石情報交流センター内 公式サイト