大震災かまいしの伝承者 9歳小学生・佐々木智桜さんが初仕事 教えられたことをみんなにも「命さえあれば良いんだよ」


2023/03/27
釜石新聞NewS #防災・安全

「大震災かまいしの伝承者」として初仕事に臨んだ佐々木智桜さん

「大震災かまいしの伝承者」として初仕事に臨んだ佐々木智桜さん

  
 釜石市鵜住居町の津波伝承施設「いのちをつなぐ未来館」で19日、東日本大震災の体験や教訓を語り継ぐ「大震災かまいしの伝承者」として、鵜住居小3年の佐々木智桜(ちさ)さん(9)が“初仕事”をした。「命が一番大事。何も持たなくていいから、とにかく逃げて」。市内で最年少の伝承者・智桜さんは大きな声でそう訴えた。
  
 この伝承者の制度は市が2019年度に始め、研修を受けた人を認定している。智桜さんは、未来館に勤める母の智恵さん(40)と昨年12月に受講。地震や津波のメカニズム、釜石で震災時に起きたことを学び、2人で伝承者となった。現在74人が認定されているが、震災後生まれは智桜さんだけだという。
  
 智桜さんは偶然にも、2014年3月11日生まれ。3年前の同じ日、祖母と伯母が津波の犠牲になった。5歳まで仮設住宅で暮らし、家族や近所の人たちから体験を聞いたり、震災は身近だった。そして昨年の冬頃、智恵さんが未来館で働き始めたことも「伝承者になりたい」との気持ちを大きくした。「自分でも伝えてみたい」
  
本番を前に先輩語り部の川崎さん(右)に進め方を確認する智桜さん(中)

本番を前に先輩語り部の川崎さん(右)に進め方を確認する智桜さん(中)

  
「命が一番大事」。原稿につづった伝えたいことを読み上げる智桜さん(左)

「命が一番大事」。原稿につづった伝えたいことを読み上げる智桜さん(左)

  
 この日は、未来館職員で語り部の川崎杏樹(あき)さん(26)の質問に答える形で、用意してきた原稿を読み上げながら伝承者になった理由や災害の時に気を付けてほしいことを伝えた。
  
 「たくさんの人に分かりやすく伝えたい。命が一番大事だということ。逃げるのが遅くなると命を無くしてしまうかもしれないから、早く行動してほしい」
「地震が起きた時は何も持たなくていいから、とにかく逃げて。命さえあれば良いんだよ、とお父さんに教えてもらっています。みんなにも伝えたい」
  
 来場者に、はきはきとした元気な口調で伝えた智桜さん。川崎さんに目標を聞かれると、「震災は自分が生まれる前のことなので、もっとくわしく勉強したい。英語でも伝えられるようになりたい。別の国の人にも津波のことを教えたいです」と前を向いた。
   
 智桜さんの話を聞いた鵜住居小6年の千葉心菜(ここな)さん(12)は「自分より年下なのに…すごい。防災学習を真剣にやっていると思った。見習いたい。いざという時に周囲に声をかけて命を救えるよう努力したい」と刺激を受けていた。
  
来場者は智桜さんの語り部にじっくりと耳を傾けた

来場者は智桜さんの語り部にじっくりと耳を傾けた

  
智桜さんも、智恵さんの読み聞かせをじっと見つめた

智桜さんも、智恵さんの読み聞かせをじっと見つめた

  
 今回の語り部は、未来館を含めた三陸鉄道鵜住居駅前の公共施設「うのすまい・トモス」の開館4周年イベントに合わせて実施。震災当時釜石小に勤めていた及川美香子さん(現釜石・双葉小校長)が釜小の防災教育について、智恵さんは釜石の子どもたちの避難行動を題材にした絵本「はしれ、上へ!」の読み聞かせを行い、智桜さんは先輩伝承者たちの姿をじっと見つめ、伝え方を学び取っていた。
   
「緊張したけど、ちゃんと伝えられた」と笑顔を見せる智桜さん

「緊張したけど、ちゃんと伝えられた」と笑顔を見せる智桜さん

   
 初仕事を終えた智桜さんに出来を聞いてみると、「100点満点」と明るい笑顔が返ってきた。「人の心に残るような文を入れられる語り部になりたい。(聞いた人に)防災意識をもっと高めてもらいたいなあ」とも。智恵さんは「心配したけど、大きい声を響かせて、しっかりと伝えられていた。それでもまだ勉強不足。智桜が伝えたい、続けたいという思いを持ち続ける限り尊重したい。2人で頑張っていこうね」と見守った。
  
出番を終え、友達と遊ぶ智桜さん(左)。明るい笑顔が印象的

出番を終え、友達と遊ぶ智桜さん(左)。明るい笑顔が印象的

 

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