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働くことにワクワクを! 若手社員、異業種交流セミナー 「未来の釜石」テーマに話し合う

期待するまちの将来像を発表する若手社員ら

期待するまちの将来像を発表する若手社員ら

 
 釜石市内の企業などで働く若手社員を対象とした「私たちがワクワクする働き方セミナー」(ジョブカフェかまいし主催)の最終講座が9日、港町のイオンタウン釜石内にある「しごと・くらしサポートセンター」で開かれた。社会人1~3年目の若者約20人が同年代との対話を通じ未来のまち、自身の姿を考えて発表。普段の働き方や自らの性格を見つめ直す機会にした。
 
 このセミナーは若手社員のキャリア形成支援や主体性の向上、同世代交流、職域を越えたコミュニティーづくりなどを目的に企画された。市内の民間事業所や行政機関など14団体の若手社員・職員ら計22人が参加。「釜石の未来」をテーマに個人やグループワークを行いながら個人の目標設定、望むまちの姿とそのために自分ができることを9月から2回にわたって考えてきた。
 
「未来の釜石」をテーマに話し合いをする参加者

「未来の釜石」をテーマに話し合いをする参加者

 
 最終回となる今回は、グループワークでまとめた成果や活動の中で発見したり確信したりした仕事や地域への思いなどを、派遣企業の経営者や人事担当者ら約20人を前に発表した。未来のまちについて、「夢物語」としつつ娯楽・商業施設の整備を語る人がいれば、「きらびやかなものを目指す必要はない」とした上で豊かな自然や地域資源を生かしレジャー、スポーツイベントの充実を提案する声もあった。
 
話し合いの成果をグループごとに発表した

話し合いの成果をグループごとに発表した

 
 未来に向けてできることとして共通していたのは、SNS(会員制交流サイト)を使った情報発信。「こういうのが欲しいな―と考え調べてみると、すでに存在していた。情報を知らない人が多く、周知が課題だと感じた。SNS発信は若い世代が得意とする分野。積極的にやっていけば、住みやすいまちになるはず」などと強調した。
 
 最後に、参加者それぞれが「宣言」。与えられた業務をこなすばかりで仕事に対し受け身だったと振り返った女性は「チャレンジをテーマに、できることを考えながら仕事したい」と力を込めた。仕事で注意されることが多く、後ろ向きな気持ちになっていたという若者は「ダメと言われても、やってやる!という気持ちになった」と前向きな姿勢を取り戻した様子。職場と家の往復という生活に視野の狭さを感じていた人は、同じ地域で暮らす多様な人との対話を通して「やっぱり釜石が好きだ」と再認識し、笑顔になった。
 
言葉を紡ぎながら「釜石が好き」という思いを深めた発表者

言葉を紡ぎながら「釜石が好き」という思いを深めた発表者

 
未来に向けてできることを書き出してみたり

未来に向けてできることを書き出してみたり

 
 産業振興釜石事業所(鈴子町)に就職して2年目の平野雅典さん(20)は「目標もやりたいこともなかった。同世代と話し意見を聞いて、ないものを見つけられた」と手応えを実感。趣味の釣りに行ったときは周辺のごみ拾いをして環境美化に協力、職場ではしっかりと仕事を覚え後輩に助言できるようにする―という目標を見いだした。
 
 釜石市地方創生アドバイザーで、女性の就労・キャリア形成支援などに取り組む「Will Lab(ウィル・ラボ)」(東京)代表の小安美和さんの講話も。「やりたいこと(will)」「できること(can)」「なすべきこと(must)」を考える自己理解作業などを紹介し、「自分を知り、対話することが大事。小さいwillでも言葉にすれば道が開ける。長距離の人生を生き抜くため、新しいことを学び続けてほしい」と激励した。
 
若手社員らの活動を見守り、助言した小安さん(中)

若手社員らの活動を見守り、助言した小安さん(中)

 
 トヨタレンタリース岩手釜石駅前店(鈴子町)の佐々愛佳さん(20)は「まちづくりについて考える過程は、仕事に対するモチベーションUPにつながる」と刺激を受けた。自己理解の手法で、これまでの働き方を見つめ直した様子。「レンタカーを利用するのは市外の方が多い。釜石ラーメンやまちの歴史について聞かれることもある。まちの魅力を発信できるようにしたい」とうなずいた。
 
セミナーに若手を送り出した企業関係者を交えて意見交換

セミナーに若手を送り出した企業関係者を交えて意見交換

 
 セミナーで同世代とざっくばらんに語り合い、「気づき」を得た若者たちの表情は明るかった。ジョブカフェかまいしでは今後も、人生そのものとも言える「キャリア」を主体的に考えるきっかけ、業種を超えた緩やかなつながりを促す場づくりを進めていく考えだ。
 

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福祉学習の成果、演じて発信 大平中生、認知症の劇披露「みんなで支えよう!」

認知症がテーマの劇で熱演する大平中3年生

認知症がテーマの劇で熱演する大平中3年生

 
 釜石市大平町にある大平中(蛸島茂雄校長、生徒101人)は、地元の高齢者福祉施設と交流しながら福祉学習に取り組んでいる。3年生39人は、3年間の学びの集大成として認知症をテーマにした劇を創作。8日、同じ学区内にある平田町の平田小(鈴木崇校長、児童148人)で披露し、福祉学習の成果を後輩たちに伝えた。
 
 劇のタイトルは「野菊ばあちゃん物語」。認知症の症状が出始めた高齢女性の振る舞いに戸惑いながらも暖かく見守る家族や地域の人たちを描いた。「物忘れが多くなった」「身の回りのことに無頓着」「外に出なくなった」「同じことを何回も話す」といった高齢女性の変化を見せ、「認知症かも?」と家族が気付く症状を明示。医療機関の受診を渋ったり、食事した後に「ごはんまだ?」と繰り返したりした時の悪い対応事例を演じた後に、時間を巻き戻す演出で同じ場面を再現して関係をこじらせない接し方や心得も分かりやすく紹介した。
 
「もしかしたら認知症?」。早めの受診を促す方法を紹介

「もしかしたら認知症?」。早めの受診を促す方法を紹介

 
 認知症の人を地域全体で見守る体制の大切さも発信した。その一歩が、声がけ。ポイントは、▽驚かせない▽急がせない▽心を傷つけない―ことで、「『こんにちは。きょうは寒いですね』とかごく普通のあいさつをして、『どこまで行くの?』とゆっくり穏やかに優しく声かけるのよ」と、せりふで示した。高齢者らが行方不明になった際の早期発見を目的にした市事業「認知症高齢者徘徊(はいかい)SOSネットワーク」も紹介。自分たちが暮らす地域でも「困ったときはお互いさま」という気持ちが広がってほしいと思いを込めた。
 
「相手の視界に入って優しく声がけを」。認知症の人への接し方を伝えた

「相手の視界に入って優しく声がけを」。認知症の人への接し方を伝えた

 
 大平中の福祉学習は総合的な学習の一環で、社会福祉法人清風会(平田)が支援。3年生は認知症サポーター養成講座や介護技術体験などに取り組んできた。同法人が運営する特別養護老人ホームあいぜんの里を訪問し、ソーランを披露するなど交流も。3年間積み上げた学びを劇に盛り込んだ。
 
 「野菊ばあちゃん」を演じた佐々木梨杏さんは「認知症についてたくさん学んで、知ったことを伝えられた。対応の仕方が分かったので、学びを生かして地域で暮らしていきたい。これからも福祉に興味を持って、知識を深められたらいい」とうなずいた。
 
人を思いやる大切さや大事な人を守り抜く尊さを伝える合唱も披露した

人を思いやる大切さや大事な人を守り抜く尊さを伝える合唱も披露した

 
 劇の披露は、中学校での福祉学習の様子を伝え、地域のために尽くそうとする心を育てるのが狙い。平田小4~6年生約70人が見学した。児童から「調べたり学習したことを劇にしたのがすごい」「認知症は身近に潜んでいると思った」「家族に認知症の高齢者がいる。劇を参考にして優しく接してあげたい」などと感想があった。
 
劇の発表を通じて交流を深めた大平中の生徒と平田小の児童

劇の発表を通じて交流を深めた大平中の生徒と平田小の児童

 
 同法人の関係者や教育、福祉関係の市職員らも鑑賞し、「核家族化やコミュニティーの希薄化が進み、地域や世代間の交流が少なくなる中、福祉に関する正しい理解を育む取り組みが求められている。継続を」と期待。それに応えるべく、大平中では「支え合い・助け合い、安心して暮らせるまちづくり」を全校共通テーマとして学習、交流を深めていく考えだ。

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広報かまいし2022年11月15日号(No.1796)

広報かまいし2022年11月15日号(No.1796)
 

広報かまいし2022年11月15日号(No.1796)

広報かまいし2022年11月15日号(No.1796)

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【P1】
表紙

【P2-3】
釜石市市勢功労者表彰
まちの話題

【P4-11】
特集 大切な子どもを安心して産み育てられるまちに

【P12-13】
令和3年度 決算報告

【P14-15】
新型コロナワクチン接種のお知らせ

【P16-17】
鉄の記念日 関連イベント

【P18-19】
まなびぃ釜石

【P20-23】
市民のひろば
まちのお知らせ

【P24-25】
保健案内板・保健だより

【P26-27】
釜石ラーメン物語 完成披露上映会開催

【P28】
写真 釜石まつり

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 広聴広報課 広聴広報係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8419 / Fax 0193-22-2686 / メール
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釜石市

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紅葉の橋野に3年ぶりのにぎわい 「水車まつり」で祝う実りの秋 豚汁やそばに舌鼓

人気の餅まきでにぎわう「第16回水車まつり」

人気の餅まきでにぎわう「第16回水車まつり」

 
 農作物の収穫を祝う釜石市橋野町の「水車まつり」は6日、産地直売所・橋野どんぐり広場周辺で開かれた。橋野町振興協議会(和田松男会長)、栗橋地区まちづくり会議(洞口政伸議長)が共催。新型コロナウイルス感染症の影響で2年間の中止を経ての復活開催となり、待ちわびた約430人が餅まきや豚汁の振る舞いなどを楽しんだ。食、文化、自然と地域の魅力を堪能できるイベントは16回目を迎えた。
 
 青空に映える山々の紅葉に囲まれた会場。祭りは恒例の餅まきで幕を開けた。手作りの祝い餅約1千個を軽トラックの荷台から豪快にまいた。老若男女が「こっち、こっち」と手を伸ばし、久しぶりのにぎわい風景が広がった。
 
主催団体の代表らが紅白の祝い餅を豪快にまいた

主催団体の代表らが紅白の祝い餅を豪快にまいた

 
餅まきを楽しむ来場者。まつりを代表する光景

餅まきを楽しむ来場者。まつりを代表する光景

 
 野菜をふんだんに使った豚汁は約300食を用意し、無料で提供。手打ちそば、きびの焼き団子、雑穀おにぎりなどは約100~300食を各100円で販売した。野菜や穀物はいずれも地元産。良質食材と地域の食の技で生まれる味覚を求めて、長蛇の列ができた。2018年から同祭りに協力する鵜住居公民館の自主グループ「そばの三たて会」(奥山英喜会長)は、そば打ちで力を発揮。振興協女性部とともに前日から準備にあたった。全メニューは昼前に完売する盛況ぶりを見せた。
 
豚汁は無料でお振る舞い。この味を求めて多くのファンが訪れる

豚汁は無料でお振る舞い。この味を求めて多くのファンが訪れる

 
きびの焼き団子は炭火で香ばしさアップ。みそだれも食欲をそそる

きびの焼き団子は炭火で香ばしさアップ。みそだれも食欲をそそる

 
 川崎花音さん、心花さん姉妹(鵜住居小4年)は「栄養たっぷりの野菜が入った豚汁、みそだれがかかったきび団子がおいしかった」、いとこの川口梨沙さん(同)は「餅をいっぱい拾った」と笑顔満開。周辺の紅葉にも目を見張り、「赤、黄、オレンジといろいろな色が交ざってきれい。秋だなーって感じる。ずっと見ていたい」と口をそろえた。
 
 甲子町の佐藤高正さん(74)は市広報を見て妻らと初めて来場。「こんなに人出があるとは驚き。一通り食べたが、どれもおいしい。天気もいいし、川と水車、紅葉が織りなす景色は最高」と祭りを満喫。橋野に来る機会はあまりなく、「こういうイベントがあれば足が向く。長く続けてほしい」と望んだ。
 
橋野自慢の味に子どもたちもこの笑顔!箸が進む

橋野自慢の味に子どもたちもこの笑顔!箸が進む

 
赤ちゃんもおいしい豚汁をもぐもぐ。家族で橋野の味を堪能

赤ちゃんもおいしい豚汁をもぐもぐ。家族で橋野の味を堪能

 
 産直近くの親水公園内にある水車小屋では、きねでもみ米をつく実演も。これで精製した米は風味が違うという。この日は来場者が米を持ち込む姿もあった。大きな水車が回る農村風景は今ではなかなか見ることができない。水車の前では記念撮影を楽しむ家族連れらが目立った。水車小屋の裏手には「ママシタの滝」があり、こちらも撮影スポットとなった。
 
かやぶき屋根の水車小屋(左上写真)。来場者は水の力で回る大きな水車の迫力を楽しんだ

かやぶき屋根の水車小屋(左上写真)。来場者は水の力で回る大きな水車の迫力を楽しんだ

 
 水車まつりは、同町で年間を通して行われる「はしの四季まつり」の一つ。コロナ禍で20年からは全祭りの中止が続いていたが、本年は春の八重桜まつり、夏のラベンダーまつりを観賞会という名目で実施。今回の水車まつりは本格復活の第一歩となり、ほぼ例年規模での開催が実現した。
 
 同振興協の和田会長は「市内の感染状況も落ち着いており、『そろそろ動き出したい』との思いがあった。協議会内でも開催への前向きな意見が多く、みんなの強い気持ちが復活を後押しした」と説明。3年ぶりの活気に「よかったねぇ~。ほっとする光景」と目を細め、「来年はニジマス釣り大会を含め、全まつりができるようになれば」と心から願った。

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誰もが自分らしく生きられる社会に 釜石で人権のつどい 講演などで理解促進図る

人権マンガ展の入賞者と関係者ら=人権のつどい

人権マンガ展の入賞者と関係者ら=人権のつどい

 
 人権のつどいinかまいし(釜石市主催)は5日、大町の市民ホールTETTOで開かれた。宮古人権擁護委員協議会の人権啓発活動ネットワーク事業で、新型コロナ感染症の影響により3年ぶりに実施。同市が独自に取り組む「人権マンガ展」の入賞者表彰、応募作品の展示、講演会などが行われ、幅広い世代が人権問題への理解を深めた。
 
 人権意識の高揚、差別のない明るい社会の構築を目指すイベント。開会にあたり野田武則市長は「人権課題解決の一助、自らの人権意識を見つめ直す機会となることを期待する」とあいさつ。同市が1991年から継続する中学生対象の「人権マンガ展」の表彰式が行われた。
 
 本年度は市内3校から16点の応募があり、4賞の受賞者を表彰した。釜石市長賞を受賞したのは髙橋愛里さん(唐丹中3年)。国籍や人種による差別や偏見で事件が発生している世界の現状に心を痛め、差別撤廃や人権尊重の思いを作品に表現した。肌の色が違う4本の手を組ませ、「私とあなたは何の違いもない」とのメッセージを添えた。「相手を知ろうとする姿勢が大事。他国のことを調べたり話し合ったり。インターネットも有効活用し、互いの理解を深められたら」と髙橋さん。
 
釜石市長賞を受賞した髙橋愛里さん(唐丹中3年)

釜石市長賞を受賞した髙橋愛里さん(唐丹中3年)

 
髙橋さんの作品。差別のない社会への思いを表現

髙橋さんの作品。差別のない社会への思いを表現

 
 館内では5、6の両日、本年度の全応募作品と2014年度からの入賞作品の展示も行われた。来場者はいじめ撲滅や個性尊重、世界平和などへの願いが込められた力作を目にしながら、人権の大切さを再認識した。
 
本年度の全応募作品と過去の入賞作品を展示した人権マンガ展

本年度の全応募作品と過去の入賞作品を展示した人権マンガ展

 
 講演会のテーマは「ジェンダーと人権~性の多様性を手がかりに」。釜石市出身で都立高主幹教諭の瓦田尚さん(早稲田大大学院卒)が講師を務めた。瓦田さんは性的少数者(LGBTなど)やジェンダー(社会的、文化的につくられた性)に関する教育をいち早く授業に取り入れてきた。
 
 講演で、男女の役割などについて固定的な観念を持つことを指す「ジェンダーバイアス」の事例を紹介。「バイアス(先入観、偏見)によってつらい思いをする人もいる」と話した。性的少数者の割合は左きき、AB型の割合と同じくらいとも言われる。近年、当事者が支援者と共に理解促進を訴えるパレードを行ったり、同性パートナーシップ制度を導入する自治体が増えてくるなど、取り巻く社会環境は大きく変わってきている。
 
瓦田尚さんの講演「ジェンダーと人権~性の多様性を手がかりに」

瓦田尚さんの講演「ジェンダーと人権~性の多様性を手がかりに」

 
 「少数者が生きやすい社会はその他の人も生きやすい社会。憲法では社会的弱者に対し、国や自治体がその権利、自由を保障する責任を定めている」と瓦田さん。誰でも使えるという「ユニバーサルデザイン」の考え方を紹介し、「物だけでなく考え方、環境をいかに“ユニバーサルデザイン化”していけるかが重要」と話した。
 
 学校では男女別の名簿や定員の廃止、部活の入部条件の改善などが進み、将来的には男女別の体育を一緒にという方向性も示されている。瓦田さんは憲法11、12条の条文を紹介し、「権利をもらって安心するだけでなく、『これでいいのか』と常に考え続けることが大事。困った時に声を上げることが人権を守ることにつながる」と教えた。
 
学校の授業のような雰囲気で進んだ人権講演会

学校の授業のような雰囲気で進んだ人権講演会

 
 この日はアトラクションとして、甲子中生徒によるハカ、唐丹町の桜舞太鼓も披露された。 

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「イカ」の体って面白い! 子どもたちが解剖 エコクラブ講座 海洋プラごみの現状も学ぶ

こどもエコクラブで行われたスルメイカの解剖

こどもエコクラブで行われたスルメイカの解剖

 
 小学生が地元の自然や環境を学ぶ釜石市の「こどもエコクラブ」(市主催)は5日、本年度の第4回講座「海の生物観察会」を開催。会員30人がスルメイカの解剖と海洋プラスチックごみの学習に取り組んだ。大学生や漁業者が講師となり、海洋資源の大切さ、人間の暮らしが海に与える影響などを伝え、子どもたちの理解を促した。
 
 平田の岩手大釜石キャンパスが会場。2班に分かれ、2つのメニューを交互に体験した。イカの生態を教えたのは、同大農学部水産システム学コース専攻の小松原昂樹さん(4年)。イカは日本近海だけでも100種類以上いて、水を吐き出すことで高速移動したり、空中を飛ぶことができること、2種類の色素細胞によって体色が自在に変化することなどを教えた。唐丹町の漁師佐々木武さん(40)、佐々木和則さん(56)も講師を務め、スルメイカの漁獲方法などを解説した。
 
漁師の佐々木武さんはイカの漁獲方法を説明した

漁師の佐々木武さんはイカの漁獲方法を説明した

 
はさみとピンセットを使い、スルメイカの解剖に挑戦する子どもたち

はさみとピンセットを使い、スルメイカの解剖に挑戦する子どもたち

 
 スルメイカの解剖では、はさみを使って体を切り開き、各部位を観察。果たす役割も学んだ。慎重に作業するも、墨汁嚢(のう)を切ってしまい、顔に墨を浴びる子も。イカの目は人間と構造が似ていて高性能。子どもたちは取り出した目の中にある透明な水晶体に驚きの声を上げた。イカの血液が青色であることも知った。
 
漁師の佐々木和則さんから教わり目玉を取り出してみると… 中には透明な水晶体が(左下写真)

漁師の佐々木和則さんから教わり目玉を取り出してみると… 中には透明な水晶体が(左下写真)

 
岩大生の小松原昂樹さん(右から2人目)がイカの青い血液について解説

岩大生の小松原昂樹さん(右から2人目)がイカの青い血液について解説

 
 磯﨑雄太君(双葉小3年)は「イカは家で食べるけど、体の中を見るのは初めて。心臓が3つあるのを知ってびっくり。海の生き物に興味がわいた。もっと勉強してみたい」と目を輝かせた。
 
 海の環境汚染で近年、問題視されている海洋プラスチックについて教えたのは、同大大学院生の菅野智愛(ともよし)さん(1年)。子どもたちは始めに、キャンパス近くの漁港で海水を採取。ろ紙でこし、紙に残ったものを顕微鏡で観察した。見えたのは、肉眼ではほとんど確認できなかった糸くずのようなもの。正体は、海に流れ出たプラスチックごみが波にもまれたり、太陽光にさらされたりして微小化した「マイクロプラスチック」。
 
海水を採取(左下写真)し、交じっていたものを顕微鏡で観察

海水を採取(左下写真)し、交じっていたものを顕微鏡で観察

 
岩大大学院生の菅野智愛さんが海洋プラスチックごみについて教えた

岩大大学院生の菅野智愛さんが海洋プラスチックごみについて教えた

 
 菅野さんは魚の腹からペットボトルのキャップが出てきた事例も紹介。「小さなプラスチックが魚の口に入ると、みんなが食べる魚にも影響が出てくるかもしれない。このままだと、海のプラスチックごみが魚の量を超えてしまうという予測もある」と話した。釜石の海のプラスチックごみの現状も示し、誰もができる海ごみ減量の方策として「ポイ捨てをしない。見つけたごみを拾う。ごみの分別をする」ことを呼び掛けた。
 
 長畑良優(みゆ)さん(平田小1年)は「海にプラスチックがたくさん落ちていたり浮いていることを初めて知った。海に行ってごみ拾いをしたい」と環境への意識を高めた様子。体験や座学を通して子どもたちは多くの学びを得た。

うのすまい・トモス秋祭りwith手仕事マルシェ

うのすまい・トモス秋祭りwith手仕事マルシェ

うのすまい・トモス秋祭りwith手仕事マルシェ

  

うのすまい・トモス広場と鵜の郷交流館内にて、「うのすまい・トモス秋祭りwith手仕事マルシェ」が開催されます。
キッチンカーや市内事業者等による飲食物の販売や、ハンドメイド作品の販売を行います。

  

※新型コロナウイルス感染症対策として、会場内でのマスク着用、手洗い及び手指消毒の実施にご協力ください。また、体調がすぐれない方、37.5度以上の発熱がある方は入場をお控えください。

  

▼イベントチラシはこちら▼
うのすまい・トモス秋祭りチラシ[JPG:1.86MB]

日時

令和4年11月13日(日)11:00~15:00

場所

釜石市鵜住居町4丁目901番2
うのすまい・トモス前広場、鵜の郷交流館内

イベント内容

市内外から飲食店やハンドメイド作品のお店が集まります。
また、岩手ビッグブルズのチアガールとマスコットキャラクターBULLZO君のダンス披露や釜石シーウェイブスによるラグビー体験、秀明太鼓の披露などが行われます。

問合せ先

うのすまい・トモス事務局
住所:釜石市鵜住居町4丁目901番2
電話:0193-27-5666 

この記事に関するお問い合わせ
産業振興部 商工観光課 観光物産係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8426 / Fax 0193-22-1255 / メール
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釜石大観音仲見世通りに子連れオフィス「LIFULL FaM」 空き家改修しオープン

作業デスクに子どもと並んで座り、仕事をする母親

作業デスクに子どもと並んで座り、仕事をする母親

  
 働く母親が子どもを連れて出勤できる「子連れオフィス」が4日、釜石市大平町の釜石大観音仲見世通りに開所した。同市と東京都の不動産情報サービス業LIFULL(ライフル、井上高志社長)が結ぶ連携協定の一環で整備。テレワーク普及など働き方改革に関わる事業を行う同市のロコフィル(佐藤薫代表社員)が管理運営する。空き店舗を地域住民やボランティアの力を借りて改修。キッズスペースを備え、未就学児を持つ母親らの仕事と育児の両立を応援する。
  
子連れワークができるオフィス「LIFULL FaM釜石」

子連れワークができるオフィス「LIFULL FaM釜石」

 
釜石大観音仲見世通りの空き家を改修しオープン

釜石大観音仲見世通りの空き家を改修しオープン

 
 施設名は「LIFULL FaM(ライフル・ファム)釜石」。同通りにある木造2階建ての空き家を改修。延べ床面積は約70平方メートルで、1階は遊具などを置くキッズスペース、2階がテレワーカーの作業デスクなど配置したワークスペースで仕事や打合せなど多目的に利用することができる。
 
 同市とライフルは今年2月に結んだ連携協定に基づき、未就学児を持つ母親らの就労支援を促進。育児しながら仕事を通じてスキル取得やキャリアアップを目指すことができる新たな働き方として、Webマーケティングなどのテレワークへの挑戦を応援する。本年度は6~8月にテレワーカー育成研修を実施。修了生で、ロコフィルスタッフとして登録した人などの施設利用を想定する。
 
関係者がテープカットし、開所を祝った

関係者がテープカットし、開所を祝った

 
 この日、現地で開所式があり、関係者がテープカットで祝った。野田武則市長は「人口減に歯止めをかけるため、地元で暮らしながら、やりたい仕事ができるまちを目指したい。若者、子育て中の女性たちが活躍する拠点を温かい目で見守ってほしい」と願った。
 
 式の後には内覧会も。この空き家は、同通りでシェアオフィスを運営しながら、にぎわい再生と交流の場づくりに取り組んでいる宮崎達也さん(50)が、不動産賃貸事業を行う会社を新たに立ち上げて取得した。床の張り替えや壁塗りなど改修作業の大部分を地域住民や市内外の企業ボランティアの協力を得て進めた。階段には地元産スギ材を使い、木のぬくもりを感じてもらえるよう工夫。透かしの装飾が施された欄間(らんま)など和の雰囲気を残しつつ、温かみのある空間を作り上げた。
 
キッズスペースを備えたテレワークオフィスを内覧する関係者

キッズスペースを備えたテレワークオフィスを内覧する関係者

 
作業や打ち合わせなど多目的に利用できるワークスペース

作業や打ち合わせなど多目的に利用できるワークスペース

 
昔ながらの和の風情を残しつつ、落ち着いて仕事ができる環境を整えた

昔ながらの和の風情を残しつつ、落ち着いて仕事ができる環境を整えた

  
 研修の修了生で、5歳と2歳の娘を持つ源太沢町の平松寿倖(ひさこ)さん(32)は「託児付きで使える施設なら利用し、少しずつ仕事をしてみたい」と前向きに捉えた。ロコフィルから仕事の紹介を受け、「ママレポーター」として事業所紹介の記事作成を受注。今後もこうした情報通信技術(ICT)を活用し時間や場所の制約を受けず、柔軟に働く形を続けたいと考えていて、「作業している時に託児してもらえたり、子どもを遊ばせるスペースがあれば集中できる。同じ年代の子を持つ人たちとのつながりを持てるのもうれしい」と歓迎した。
 
保育士や子育て支援員らが見守る体制も用意する

保育士や子育て支援員らが見守る体制も用意する

 
 ライフルは、福井県鯖江市や島根県雲南市など全国にキッズスペース付きの拠点を開設しており、釜石は5カ所目。ライフルファム事業責任者の秋庭麻衣さんは「一人で仕事する日が続くとストレスを抱える。週に1、2回集まって話し合うコミュニケーションの場があることで、日々のモチベーションアップにもつながる」と利点を強調した。空き家の再生という地域と作り上げた施設にも手応えを実感。テレワーカーを目指す講座やイベントなどの開催を見据え、「気軽に来てもらえるような地域に開かれた場所にしたい」と力を込めた。

 

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「古里は心のよりどころ」釜石出身、アルゼンチン在住の造園技師 猪又康夫さん映画撮影で帰郷

映画撮影のため帰郷した猪又康夫さん(左から2人目)、長男圭悟さん(同3人目)、フェルナンド・クラップ監督(左)らスタッフ 

映画撮影のため帰郷した猪又康夫さん(左から2人目)、長男圭悟さん(同3人目)、フェルナンド・クラップ監督(左)らスタッフ 

 
 釜石市出身で、南米アルゼンチンに渡り、日本の造園術を広めた猪又康夫さん(84)が自身の人生を描くドキュメンタリー映画の撮影で10月下旬、6年ぶりに帰郷した。首都ブエノスアイレス市の日本庭園を設計、施工するなど、同国の街並みに唯一無二の空間を生み出してきた猪又さん。日本を離れて半世紀以上になるが、古里釜石は今も心のよりどころ。今回の訪問で、旧友との再会や子どものころから慣れ親しんだ景色に力をもらい、生涯現役に意欲を燃やす。
 
 同映画は、日本人移民の著書を執筆したフェルナンド・クラップ監督が猪又さんの人柄とエネルギーに魅せられ、数年かけて口説き落とし、撮影が実現した作品。猪又さんがアルゼンチンで手掛けた仕事や歩んできた人生を紹介するほか、日系社会や両国の関係性について本人の視点で浮き彫りにする。アルゼンチン映画協会が制作を支援する。
 
 猪又さんと長男圭悟さん(44)はクラップ監督ら制作スタッフ3人と来釜。26日午前は漁船に乗っての釜石湾内周遊、午後には鉄の歴史館見学や市広報のインタビュー取材を受ける様子などを撮影した。
 
職員の案内で鉄の歴史館を見学する猪又康夫さん

職員の案内で鉄の歴史館を見学する猪又康夫さん

 
インタビュー取材を受ける様子をスタッフが撮影

インタビュー取材を受ける様子をスタッフが撮影

 
自身の人生について語る猪又康夫さん(釜石市出身、アルゼンチン在住)。撮影:市広聴広報室

自身の人生について語る猪又康夫さん(釜石市出身、アルゼンチン在住)。撮影:市広聴広報室

 
 猪又さんは1938年生まれ。父と兄は製鉄所勤務で、上中島町に暮らした。釜石高から東京農業大に進み、造園を学んだ。叔父は中国で活躍した造園技師で、その仕事を写真で目にしたのもきっかけだった。大学卒業後は北海道札幌市の造園会社に勤め、技術を磨いた。忙しい日々の中、「行き先が決まった人生は歩みたくない」とゼロからの出発を決断。27歳の時に、アルゼンチンで成功した札幌出身の花き栽培業者の呼び寄せで渡航した。
 
 ブエノスアイレス北部のエスコバル市に住み仕事を受け始めたが、当時、日本庭園の魅力を知るのは戦後、開拓で渡った日本人移民だけ。それでも「造って見せないことには誰も信用しない」と、日本で培ったさまざまな技術を駆使し実績を積んでいった。その実直な仕事ぶりや優れた技術は次第に現地の人たちの注目を集めていく。
 
 69年、エスコバル日本人会の依頼で入植記念の日本庭園を完成させた。78年には在亜日本人会から依頼されたブエノスアイレス日本庭園の大規模改修、拡張工事を完了。パンアメリカン高速道路の拡張工事に伴う大木1080本の移植も実現した。エスコバルで毎年行われる国定花祭りでは、大展示場装飾の総監督を50年余り続けている。公共の仕事のほか私邸の造園も行ってきた。2020年には日本文化の普及、在留邦人、日系人への福祉功労で、日本の叙勲「旭日双光章」を受章。アルゼンチン岩手県人会長も務めた。
 
猪又さんが手掛けた「エスコバル日本庭園」。写真提供:小木曽モニカさん(日本ロケコーディネーター・通訳)

猪又さんが手掛けた「エスコバル日本庭園」。写真提供:小木曽モニカさん(日本ロケコーディネーター・通訳)

 
多くの観光客でにぎわう「ブエノスアイレス日本庭園」。写真提供:清水尚子さん(同)

多くの観光客でにぎわう「ブエノスアイレス日本庭園」。写真提供:清水尚子さん(同)

 
 渡航から56年―。己の造園道を貫き、異国の地で確かな足跡を残してきた猪又さん。「子どもたちには苦労をかけたが、なんとかやってきた。商才がないんですね。ただ、文化としての日本庭園は種をまいた。家族には金は残せなかったが、心の財産は残せたと思っている」。
 
 古里釜石の豊かな自然、美しい景色は造園にも生かされる。「意識はしていないが、幼いころから見たものはやっぱり目に焼き付いているのだろう。自然に絵に浮かんでくる」。自身にとってのもう一つの宝は地元の友人ら。今回のロケでも船や車の手配など全面的な協力をもらった。「遠く離れていても気持ちはつながっている。ありがたい」。
 
猪又さんの友人(左)が漁船を出し、海上での撮影も。写真提供:清水さん

猪又さんの友人(左)が漁船を出し、海上での撮影も。写真提供:清水さん

 
震災後の釜石の海景色を目に焼き付ける猪又さん(左)。写真提供:清水さん

震災後の釜石の海景色を目に焼き付ける猪又さん(左)。写真提供:清水さん

 
 造園は自らの人生そのもの。「体は使えなくなってきたが、仕事がくる間は監督、設計は続けていく。これしかできないから。死ぬまで変わらないと思う―」。仕事への情熱は尽きることがない。
 
 猪又さんを追った映画のアルゼンチンでの公開は来年後半を予定する。「日本、釜石でもぜひ公開したい」と撮影陣。現在、制作のためのクラウドファンディングも展開している。

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第52回釜石市民芸術文化祭

第52回釜石市民芸術文化祭
 

市内外の芸術文化団体や市民の皆さんの各種ステージ発表、作品展示を行います。
皆さまのご来場をお待ちしております。(入場無料)

 

ステージプログラムなど詳細は、以下のリーフレットをご覧ください。
第52回釜石市民芸術文化祭リーフレット[PDF:1.12MB]

期間

令和4年11月12日(土)9時~18時 ~ 11月13日(日)9時~16時

会場

釜石市民ホールTETTO(釜石市大町1丁目1番9号)

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 文化スポーツ部 文化振興課 芸術文化係
〒026-0003 岩手県釜石市嬉石町1丁目7番8号
TEL 0193-27-7567 / Fax 0193-31-7568 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2022110400011/
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挑戦!色の“ない”世界を“ある”に 生活体験発表大会で知事賞 釜石高定時制・大里菜々美さん 全国大会へ

全国大会に向け練習する大里菜々美さん(写真左)。原稿には学校生活で得た学びや気付き、思いをつづる(写真右)

全国大会に向け練習する大里菜々美さん(写真左)。原稿には学校生活で得た学びや気付き、思いをつづる(写真右)

 
 岩手県内の定時制、通信制高校に通う生徒たちの「生活体験発表大会」で、「色」と題して語った釜石高定時制2年の大里菜々美さんが最優秀の知事賞に輝いた。不登校だった小中学校時代の6年間は「色のない世界」。高校生となった今は、新しい仲間との出会いや三つの「挑戦」を課すことで前向きに生きている。「人生を彩るのは『挑戦』。どんな色を塗っていこう。想像するだけで胸が高鳴る」。本県代表として全国大会に臨む大里さんは、かつての自分と同じような境遇の人たちにそう語りかけるつもりだ。
 
 県大会は今年で72回目。9月に盛岡市で開かれ、定時制や通信制のある高校9校から12人が出場した。7分の持ち時間で、自身の体験や思いを語って最高賞を手にした大里さん。釜石高の前身、釜石南高時代を含め初めての受賞で、関係者らは喜びを口にする。
 
県大会の賞状を手にする大里さん。トロフィーのペナントリボンに初めて「釜石高定時制」の名が残る

県大会の賞状を手にする大里さん。トロフィーのペナントリボンに初めて「釜石高定時制」の名が残る

 
 大里さんは全国大会に向け、日々練習中。国語科担当の伊藤裕美教諭が付き添い、間の取り方などを助言する。「(大里さんは)本番に強い。淡々としているが、強い意志を感じる語り。滑舌がいい」と評価。原稿を暗記して読み上げるのではなく、「自然に話しているように言葉が出てくるようになれば」と見守る。
 
担当教諭に助言をもらいながら練習を重ねる大里さん

担当教諭に助言をもらいながら練習を重ねる大里さん

 
 「困難なことに立ち向かうことは、面倒なことでしかなかった。だから挑戦から逃げてきた」。小学4年生から休みがちになったという大里さん。陸上記録会の選手候補になったり、校内の広報委員長に推されたり、挑戦しなければならない局面になると、逃げるように休んだ。そして「本格的に不登校になった」。中学校にはほとんど行かなかった。
  
 時間や曜日の感覚が曖昧な昼夜逆転の生活。逃げ続け、たどり着いたのは「色彩のない世界だった」。真っ暗な夜中に目を覚ましては、孤独感に涙した。そんな白黒の世界の中で、自問自答する日々。「このままでいいはずがない」。焦りを感じるようになった中学3年、高校受験が近づいた。「生活を変えたい。彩りのあるものにするためには挑戦する勇気を持たなくては」。環境を変えようと、地元遠野市の隣町釜石市にある釜石高定時制を受験。自宅から列車などで約50分かけて通う日々が始まった。
 
 「やってみる」という一つの挑戦だった高校生活も2年目に突入。これまでに▽生徒会の役員になる▽接客が必要なコンビニでアルバイトをする▽学校を休まない―という三つのことに挑戦した。1年生で生徒会の会計係になり、今年の後期には自ら手を挙げて生徒会長になった。「リーダーに向いているとは思わないが、集団の先頭に立つ経験をし、成長したい」。アルバイトは1カ月だけだったが、無遅刻無欠勤でやり遂げた。「やればできる」と分かった。そして1年間休まず学校に通い、最大の目標、皆勤賞を手にした。「強くなれた。変われた」と実感。皆勤は今も続けている。
  
 なぜ、かつて学校から逃げたんだろう?―「失敗するのが怖かったんだ」と振り返る。挑戦できるようになった今思うことは…「大切なのは成功することではない。経験が財産になる。人生を彩るのは、挑戦そのものだ」
 
大里さんは思いを込めた言葉を紡ごうと練習に励んでいる

大里さんは思いを込めた言葉を紡ごうと練習に励んでいる

 
 「全国か…」。知事賞を受けた気持ちを聞いた時に大里さんがこぼした一言。喜びより逃げ腰かと一瞬感じられたが、「ガチガチに緊張するタイプ。周りに圧倒されないようにしたい」と自己分析していたからだった。これまでの生活を振り返りながら原稿を考える過程で、前向きな気持ちになったと言い、「『失敗してもいいや』。そう思うと、怖いものなしで生きられちゃう」。本番での強さにつながる「心の強さ」が伝わってきた。
 
友達との交流を楽しむ大里さん(左)。彩り豊かな学校生活を実感する

友達との交流を楽しむ大里さん(左)。彩り豊かな学校生活を実感する

 
「大会では一人芝居のように発表する人が多いが、自分にはハードルが高い。ただ言葉を紡いで発する感じだけど、私らしく思いを伝えたい」
 
 また一つ挑戦を重ねる大里さん。人生というキャンバスに新たな色を加える全国大会は11月20日、六本木ヒルズ・ハリウッドプラザ(東京)で開かれる。
 
 

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復興まちづくりや観光振興などで尽力 釜石市、市勢功労者を表彰 9人1団体

市勢功労者表彰の受賞者ら。まちの発展に尽くす気持ちを新たにした

市勢功労者表彰の受賞者ら。まちの発展に尽くす気持ちを新たにした

  
 釜石市の2022年度市勢功労者表彰式は1日、大町のホテルサンルート釜石で行われた。復興まちづくり、社会福祉、観光振興、消防防災などで市の発展、市民生活の向上に貢献した市勢功労者として8人1団体を表彰。特別功労者として、漁業の振興発展に尽くした1人をたたえた。
  
野田武則市長(右)から表彰される市勢功労者

野田武則市長(右)から表彰される市勢功労者

  
 野田武則市長は「行政だけでは力の及ばない課題が多く、市民の協力がなければ、まちの発展もない。培ってきた豊かな識見と経験のもと、なお一層の協力を」と式辞。受賞者を代表して渡辺幹男さん(80)が「市民や地域、市勢の振興などに少しでも貢献できたことはこの上ない喜び。この栄誉は周囲の支えや協力のおかげ。市民が安心して暮らし、より魅力的なまちになるよう一層努力したい」と謝辞で応えた。
  
受賞者を代表し渡辺幹男さん(手前)が謝辞を述べた

受賞者を代表し渡辺幹男さん(手前)が謝辞を述べた

  
 保健福祉の向上に力を尽くしているとして表彰されたのは、小佐野町の市立図書館を拠点に活動する「朗読奉仕・ハマナスの会」(藤原由香里会長)。視覚障害者向けに録音CDを制作し、希望者に毎月送っている。会員は50~80代の7人。今年、結成30年を迎えた。
  
 集まるのは月1回。会員それぞれがお気に入りの新聞記事を持ち寄って、録音活動にいそしんでいる。活動歴18年の藤原会長(55)は、会の中では最年少。「お姉さまたちの雰囲気がよく、気持ちが穏やかになる居場所。楽しく活動しながら人の役にも立てる。やりがいがある」と充実感をにじませる。気にかかるのは、会員の高齢化。「集まるのは日曜日。働いていてもできる。若い仲間が増えてくれたら」と望んだ。
  
朗読奉仕「ハマナスの会」の藤原会長(左)。活動継続へ意欲を高める

朗読奉仕「ハマナスの会」の藤原会長(左)。活動継続へ意欲を高める

  
功労者と功績は次の通り。
【自治功労表彰】
▽遠藤幸徳さん(74)=唐丹町 11年に市議に当選し、3期目。市勢発展に貢献
▽柏舘旨緒さん(72)=小佐野町 04~06年に市都市計画審議会委員、13~21年に被災市街地復興土地区画整理審議会委員を務め、都市計画の推進や復興まちづくりに貢献
▽川﨑孝晴さん(75)=栗林町 07~19年まで通算12年間、民生委員・児童委員を務め、社会福祉の増進に貢献
▽菊池秀明さん(75)=甲子町 11年に市議に当選し、3期目。市勢発展に貢献
▽木村琳藏さん(75)=唐丹町 11年に市議に当選し、3期目。市勢発展に貢献
▽澤田政男さん(74)=鈴子町 10~22年まで通算12年間、釜石観光物産協会長を務め、地域経済の発展と観光振興に貢献
▽鹿本勝政さん(71)=両石町 消防団員として45年間にわたり地域防災の任に当たるとともに、市消防団第6分団長の要職を務め、民生の安定に貢献
▽渡辺幹男さん(80)=新町 07~19年まで通算12年間、民生委員・児童委員を務め、社会福祉の増進に貢献
▽朗読奉仕「ハマナスの会」(1992年結成、藤原由香里会長)=小佐野町 結成以来30年にわたり視覚障害者への朗読奉仕を継続して行い、保健福祉の向上に貢献
  
【特別功労表彰】
▽小川原泉さん(71)=箱崎町 16年から6年間、市漁業協同組合連合会長を務め、漁業の振興発展に寄与